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遠心場降雨実験による盛土内浸透過程に関する研究

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Academic year: 2022

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遠心場降雨実験による盛土内浸透過程に関する研究

(株)ホンダ四輪販売四国 学生会員 ○角南俊樹 愛媛大学院 国際会員 岡村未対

1. はじめに

2011年3月11日,東北地方太平洋沖地震が発 生し,東北を中心に約2000箇所の堤防が損傷した.

主な堤防の被災原因は,降雨浸透により形成され た盛土内飽和域の液状化であると報告されている.

鳴瀬川堤防30.0k~30.5k地点では震災後の堤体内 水位観測や堤防開削調査において水位が観測され,

天端直下などの堤体中央部において法尻よりも水 位が常時高くなっているとの観測結果も報告され ている(図1).そこで本研究では,水分移動特性を 把握し,降雨浸透過程,降雨浸透挙動による 水位形成について明らかにすることを目的と し,遠心場において降雨装置を用い,遠心模 型実験を行った.

2. 実験概要

本研究では,遠心力場50gにおいて降雨装 置を用いて異なる降雨条件2ケースの実験を 行った.図2に模型概要を示す.盛土材料は,

鳴瀬川30k地点での最終的な復旧に用いられ た土を用い,締固め度Dc=90%,初期飽和度

Sri=40%になるように締固めて作製した.間隙水圧を計測するた

めに間隙水圧計を盛土の右側に,飽和度を算出するために間隙 水分計を左側に配置した.また,不飽和盛土において雨水浸透 に着目した実験を行うため,盛土基礎地盤を非排水境界として アクリル板を用いた.実験は2ケース行い,降雨条件として,

降雨強度rp,総降雨量Rp,降雨継続時間∆tpを次のように設定 した.

Case1 rp=7.5mm/hr,Rp=835mm,∆tp=111.1hr Case2 rp=9.6mm/hr,Rp=1734mm,∆tp=180.6hr

なお,これらの値は,遠心模型実験の相似則に従い,雨量につ いては模型の50倍,時間は模型の502倍したものである.鳴瀬 川土の水分特性曲線,粒度分布及び透水係数を図3(a)(b)に 示す.

3. 実験結果・考察

何れのケースにおいても,降雨中に雨水が盛土表面を流下す ることなく盛土内に浸透したことをビデオカメラで確認した.

図4はCase1,2の実験で得た間隙水圧の時刻歴である.以後,

水位 (m)

3カ月

250 200 150 100 17

16 15 14 13 12 11 10 18

6/29 9/22

天端直下 法面

法尻

図2 模型概要

図1 鳴瀬川堤防30.0k地点の水位変化の時刻歴

図3(a) 水分特性曲線

図3(b) 粒度分布,透水係数 k=2.87×10-5m/s

0 20 40 60 80 100

0 10 20

Suction (kPa)

Degree of saturation (%)

吸水過程 排水過程

0.0010 0.01 0.1 1 10 20

40 60 80 100

Percentage by mass transit(%) Particle size(mm)

139

(2)

実験結果は原型スケールに換算して示す.図 5はCase1,2において間隙水圧計と間隙水分 計から求めた盛土内水位,飽和度分布,雨水 浸透状況の時間変化である.またtp =0が降雨 開始時刻,tp=2500時間が実験終了時刻である.

tp=2500時間の図の破線は吸水高さ40cmの毛 管上昇を考慮した飽和領域の高さである.図 5より次のことがわかる.図5において総降 雨量の違いにより,Case1では盛土中央にお いて雨水浸透せず飽和度が増加しない領域が 残ったが,Case2では盛土全体に浸透した結 果となった.これは,Case1における総降雨 量が盛土全体を湿潤化させるに十分な雨量で なかったためである.図5に示す盛土内水位 において,Case1では降雨終了時に法尻部に 約0.7mの水位が形成され,tp=2500時間まで に排水が進み水位は盛土底面まで低下した.

Case2では降雨終了時に法尻部に約1.8mの水 位が形成され,tp=2500時間(約3カ月)には約 0.5mの水位が存在していた.総降雨量が多い ほど盛土内水位が形成されやすくなり,ある 程度以上の水が盛土内に入ると約3カ月の時 間経過後も盛土内の水が完全には排水されず 滞留することがわかった.図5の盛土内飽和 度分布に着目すると,降雨浸透している部分 と浸透していない部分では飽和度が異なり,

浸透している部分では50~60%を示している.

また,Case1では天端,法面付近の飽和度が tp=2500時間でも低下せず,Case2では天端,

法面付近の飽和度が低下し天端直下の飽和度 が上昇している.

4. まとめ

1) 総降雨量が多い場合,盛土内水位は降雨開始直後に法尻部に形成され,法尻部に形成された水位は 天端直下方向に向かって水平方向に移動し,降雨終了後には天端直下に水位を形成する.また,盛 土上部に浸透した雨水は盛土底部に向かって鉛直下方に移動する.

2) ある程度以上の水が盛土内に入ると約3カ月間の盛土内水位変化は比較的少なく,鳴瀬川堤防の水 位観測データと同様に盛土内に水位が滞留したままの結果となった.鳴瀬川堤防の飽和域が地震に よって液状化した原因として盛土内水位が排水されにくいことで盛土内飽和域が長期にわたって形 成されたままであったことが推察される.

参考文献

国土交通省東北地方整備局北上川等堤防復旧技術検討会:北上川等堤防検討会報告書 平成23年12月

図5 Case1,2の時間変化による水位,飽和度分布,

降雨浸透過程図

図4 Case1,2の間隙水圧計時刻歴

0 1000 2000

-10 0 10 20

Pore water pressure (kPa)

Time (hr)

Case1 水圧計4 水圧計5

0 1000 2000

-10 0 10 20

Pore water pressure (kPa) Time (hr)

水圧計4 水圧計1

水圧計5 水圧計2

Case2

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