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(1)

第 はじめに 一 章 み な し 配 汽 課 税 論

1

現 行 税 制

2

現 行 税 制 の 問 題 点 と そ の 考 察 第 二 章 現 金 支 出 税 構 想 田 個 人 所 得 税 と 法 人 所 得 税 の 統 合 論 図 現 金 支 出 税 構 想 の 内 容

第 ^

1章 税 制 改 律 論 の 世 界 的 展 開 田 欧 米 の 税 制 改 革 論 の 出 発 点 と 二 重 配 喝 論 切 キ ャ ピ タ ル

・ ゲ イ ン 課 税 の 不 公 平 性

│ ー 勤 労 者 所 得 課 税 軽 減 の 必 要 閻我が国の不公平税制—|'中小企業課税—~ 性I

④ 税 制 の 国 際 的 展 開 と そ の 調 和 固 経 済 の リ ス ト ラ と 増 税

│ ー ー 純 増 税 と 財 政 的 中 立

│ i

̲

1 9  

6

消 費 税 の 増 税 と そ の 改 吊

m

地 球 温 暖 化 間 題 と 炭 索 税 の 導 人

.

侶炭素税の特質ー~世界の税・エネルギー税ー—ー ,

⑨ 炭 素 税 の 導 入 と 世 界 的 税 制 改 革 おわりに

9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 ,   9 9 9 9 9 9 1 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 ,

' ‑

﹄ 論 説

i}

{ 9 9 9 ,  

9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 ,

J I

  I 

租 税 法 上 の 所 得 概 念 の 構 成 と 税 制 改 革 論 の 世 界 的 展 開

14‑3・4 487 (香法'95)

(2)

みなし配当額の定義

法人税法第二四条︵配当等の額とみなす金額︶

法人の株主等である内国法人が当該法人から次に掲げる金銭その他の資産の交付を受けた場合において︑

の額及び金銭以外の資産の価額の合計額がその交付の基因となった当該法人の株式︵出資を含む︒︶の帳簿価額をこえる

ときは︑この法律の規定の適用については︑

金額以外の金額は︑利益の配当又は剰余金の分配とみなす︒ A  (1) 

法 人 税

現 行 税

第一章

の理念を明らかにする︒ 所得概念構成上の争点をめぐるみなし配当課税論を通じて︑現行税制の基本間題を浮き彫りにする︒次に︑その抜

本的な解決策として︑現金支出税構想を説明する︒その上で︑税制改革の但界的展開について述べ︑ニ︱世紀の税制

みなし配当課税論

は じ め に

は次のように規定している︒

その金銭

その超える部分の金額のうち︑当該法人の資本等の金額から成る部分の

14 ‑34 ‑488 (香法'95)

(3)

租税法上の所得概念の構成と税制改革論の世界的展開(吉川)

② 所 得 税

③ 

資本又は出資に組み入れた利益積立金額

② 利 益 積 立 金 額 の 資 本 又 は 出 資 へ の 組 み 入 れ

① 利 益 を も っ て す る 株 式 の 消 却

法人につき次の各号に掲げる事実が生じたときは︑

④  ③  ②  ① 

当該法人の合併により交付される金銭その他の資産 当該法人の解散により残余財産の分配として交付される金銭その他の資産 当該法人からの退社又は脱退により持分の払い戻しとして交付される金銭その他の資産 当該法人の資本若しくは出資の減少又は株式の消却により交付される金銭その他の資産

みなし配当の交付時の認定

この法律の規定の適用については︑当該各号に掲げる金額のう ち当該法人の株

E

等である内国法人が当該各号に掲げる事実の発生の時において有する株式︵出資を含むものとし︑①の

場合にあっては︑消却されなかった株式とする︒︶に対玉心する部"分の金額は︑利益の配当又は剰余金の分配の額とみなし︑か

つ︑その内国法人が当該事実の発生の時において当該金額の交付を受けたものとみなす︒

その消却した株式に対応する資本の金額︵当該金額がその消却に充てた利益の金額を超える場合には︑当該利益の金額︶

解散により残余財産の一部を分配した後における継続又は合併による消滅 その分配が︑

まず︑資本等の金額からされたものとした場合に計算される分配後の資本等の金額として当該法 人の貸借対照表に壮上されている金額に不足する場合におけるその不足額 みなし配当額の定義

14‑‑3•4- 489 (香法'95)

(4)

② 

資本又は出資に組み人れた当該利益積立金額

① 利 益 を も っ て す る 株 式 の 消 却

④  ③  ②  ① 

当該法人の合併により交付される金銭その他の資産

所得税法第二五条︵配廿等の額とみなす金額︶は次のように規定している︒

法人の同法第二条第一四号に規定する株主等が当該法人から次に掲げる金銭その他の資産の交付を受けた場合にお

い て

︑ その金額の額及び金銭以外の資産の価額の合計額が当該法人の同法第二条第一六条に規定する資本等の金額の

うちその交付の基因となった株式︵出資を含む︒︶に係る部分の金額を超えるときは︑この法律の規定の適用については︑

その超える部分の金額は︑利益の配当又は剰余金の分配の額とみなす︒

当該法人の資本若しくは出資の減少又は株式の泊却により交付される金銭その他の資産 当該法人からの退社又は脱退により持分の払い戻しとして交付される金銭その他の資産 当該法人の解散により残余財産の分配として交付される金銭その他の資産 みなし配当の交付時の認定

法人につき次の各号に掲げる事実が生じたときは︑この法律の規定の適用については︑当該各号に掲げる金額のう

ち当該法人の株主等が当該各号に掲げる事実の発生の時において有する株式︵出資を含むものとし︑①の場合にあっては︑消

却されなかった株式とする︒︶に対因囮する部分の金額は︑利益の配当又は剰余金の分配の額とみなし︑

生の時において当該法人からその株主等に対し当該金額の交付がされたものとみなす︒

かつ︑当該事実の発

その消却した株式に対応する資本の金額︵甘該金額がその消却に充てた利益の金額を超える場合は︑晋該利益の金額︶

法人税法第二条第一八号に規定する利益積立金額の資本又は出資への組み人れ

14 ‑3•4-‑490 (香法'95)

(5)

租 税 法r:O)所得概念の構成と税制改革論の世界的展開(吉川)

他方

また

その株式の発行会社が合併により消滅したため︑

付を受けた時に︑被合併会社が資本積立金額を有しており︑

き継がれた資本積

L I L

金額は被合併会社が合併の時に有していなかったものとして︑

税基

本通

達て

11I九︶︒この考え方は︑合併による被合併法人の清算所得の金額を計算する場合に︑合併法人に引き継が

れた資本積立金額は︑被合併法人の合併の時の資本積立金額から控除することとしている法人税法第一︱二条第三項

その株式を所有する法人が合併会社から新株及び金銭の交

ヽ~ヽカ 一

会社の合併と被合併会社の資本積立金額の取り扱い

る︵

法人

税基

本通

達ニ

ーー

八︶

解散により残余財産の一部を分配した後における継続又は合併による消滅

その

分配

が︑

まず︑資本等の金額からされたものとした場合に計算される分配後の資本等の金額が︑

又は合併に際し資本等の金額として当該法人の貸借対照表に計上されている金額に不足する場合におけるその不

みなし配当制度

上述したようにみなし配当とされるのは︑資本等の金額から成る部分の金額以外の金額であるので︑

支出財源の区分を明確にする必要がある︒けだし︑商法上︑ その継続

みなし配当の

みなし配当支出の財源を資本積立金額とするか利益積立

みなし配当については︑所得税法上︑所得税の源泉徴収が行われるため︑発行法人は必ず︑みなし配当の財

源区分を明確に計算するので︑法人税法上も︑発行法人の計算に基づいてみなし配当の金額を計算することとしてい 金額とするかは︑発行法人の自由であるからである︒

@みなし配当支出財源の区分の明確化の必要性

足額

③ 

それを合併会社に引き継いでいるときは︑その引

みなし配当の金額を計算する︵法人

14  3.4~491 (香法'95)

'""""'""""""'"""'"'""""""'"""'"'"""""""""""""""'"

(6)

① 交 付 さ れ る 金 額 の 所 得 の 種 類

され

るが

︑ @減資によるみなし配当とキャピタル・ゲイン

本に組み入れられたものとしてみなし配刈とする︒ てている場合には︑評価益︵この評価益は税払じ益令い額に算人される︒︶に相当する利益積立金が生じその利益積立金が胄 し配判に該背することになる︒そこで︑ の規定の趣旨によるものである︒さらに︑引き継がれた育本積立金額は合併法人における合併差益を構成し︑しかも︑その合併差益の構成順序は令第九条に定められているからである︒

商法上の準備金の資本組み入れと発行法人の計算

また︑商法二九三条ノ一.ーに規定する準備金には利益準備金及び百本準備金が含まれる︒法人税法

t

︑商法に規定す

る準備金は法人税法上の利益積立金と資本積立金が含まれると解される︒会社が同条の規定により取締役会の決議に

基づき

L

記準備金を資本に組み人れた場合には︑その組み人れられた準備金のうち︑利益積立金の組入額だけがみな

達三

I‑│

1 0

において︑発行法人の計算に従うこととしている︒

さらに︑組織変更の場合の資本組み人れについて︑法人税基本通逹三

I ‑

│ ‑

入れについてはみなし配当に該当する︒

いずれの準備金が組み入れられたかを区分する必要が生じる︒法人税基本通

一に基づき︑利益積吃金の資本組み

また︑会社が所有資産について評価増を行い︑

その評価益をもって増賓に充

所得税法第二五条︵配中晶守とみなす合額︶には減資︑出資の減少︑退社︑脱退︑解放︑合併の場合のみなし配当につい

ての規定がある︒これらについて︑株式会社の減資の場合を代表として説明する︒減資があると株主に金銭等が交付

これが何所得としてどう課税するかということが間題である︒

交付額のうち資本等の額︵株︑Eの持株対応部分︑以ド同じ︒︶を超える部分は利益積立金の交付であるからみなし配

@ 

̲L.̲ 

/¥ 

14  3・4‑492 (香法'95)

(7)

租 税 法l.O)所得概念の構成と税制改革論の世界的展開(古川)

する

@利益により株式の消却とみなし配当額の計算

合併の場合において︑被合併法人が株主等に配粁として交付した金額は交付額には該当せず︑

(a)

③ 

又は譲渡損が発生する︒

配当そのものに該冴

‑ ‑‑ ‑‑

み な し 淡 渡 収 人 額

② 

①のみなし譲渡収入は︑株

E

の減資された株の取得価額と対比して譲渡益

みなし配中ーは取得価額とは無関係に課税される︒

資本等の額とは︑法人税法第二条第一六号の額︑即ち︑資本又は出資金額と資 本積立金額との合計額をいう︒これは配当できない金額に該門する︒資本等の額

を超える額が利益積立金額︑即ち配当できる金額だけがみなし配当の金額となる︒

交付額と資本等の金額とのいずれか低い額が株の譲渡収人となる︒法人税法の

みなし配当と異なるのは取得価額を下回る部分もみなし配当として課税される点である︒これは個人の記帳能力を考

慮したためである︒

また︑金銭等の交付が二回以卜あった場合︑まず資本等の金額から交付されたとみなされる︒資本等の金額を超え

る額がみなし配喝に該←lするので︑納税者に有利に限定したものである︒

所得税法第二五条第二項第一号に規定する﹁利益をもってする株式の消却﹂とは︑商法第ニ︱二条第一項但書の場

合を指す︒これは資本金はそのままにして株式を利益積立金を減額して消却することを指す︒これを資本金五億円︑ b交付額のうち資本等の額以下の部分は譲渡収入とみなす︒ 当に該甘する︒

資本等の額

(b)

資 利 益 積1';:

ー・-、—-

(})  ‑ ‑ 一•一―

み な し 譲 渡 収 人 額 み な し 配,L3

交 付 額

14  3・4・493 (香法'95)

(8)

0

万円の場合は次の額が一株当たりの課税額となる︒ 増差額に課税することと同じになる︒ 株

数一

万株

一株当たり額面五万円︑利益積立金一億五千万円の会社の例で説明すると次のとおりである︒

この会社が一株当たり六万円で二︑

00

0

株を消却し︑これを消却される株主に支払う︒相手勘定は資本金はその

ままにして利益積立金一億一一千万円を減額する︑仕訳は次のとおりである︒

12 7ぃ

) j p

所得税法第二五条第一︳項第一号にいうぶ旧却した株式に対応する資本の金額﹂というのは︑消却した株式が一一︑

0

00

株︑これに消却前の一株当たり資本金五

J j 0 000

円を掛けた一︑

万円

をい

う︒

この

0

000

万円のうち︑ある株主が有する消却されなかった株式に対応する部分がその株主に対する利益の

みなし配当に該判する︒すなわち︑消却されなかった株は八︑

000

株であるから︑

1 0 ,  

oo

  E

Fl

: 8, 00 0 

│ 12,500 Fl 

この金額が﹁消却した株式に対応する資本の金額﹂ にすると次の額となる︒ 消却額六万円と株主の取得価額との差額は譲渡損益となる︒

( f ‑ l

岸 芸

は 向

︵ 諏

漁 ︶

一株五万円から六・ニ五万円となるので︑

その

1 0

000

万円を一株胄たり 12 7

]i

の消却されなかった株式一株山~たりの金額で、

資本金がそのままで株数が減るので一株当たりの資本金額が増えて︑

一 ︑

000

株の

株主なら一︑二五

0

万円のみなし配当となり︑全体として一

0

000

万円に対して課税されることになる︒つまり︑

所得税法第二五条第二項第一号のカッコ書の﹁消却した株式に対応する資本の金額﹂︑この場合一

0

000

万円

が︑

﹁その泊却に充てた金額を超える場合には当該利益の金額﹂というのは︑消却に充てた利益の金額が例えば八︑

00

14  3・4 ‑494 (香法'95)

(9)

租税法上の所得概念の構成と税制改革論の世界的展開(吉川)

表 1

消 却 前 ( 株 数lh"株、 1株 当 た り 資 本5万円)

資産 Jil'J 

65,000  65,000 

泊却後(株数0.8万株、

資本 利 益 積 立 金

jjflj 

50,000  1:i,000  6[i, ()()() 

1株当たり行本6.2575円)

資産

}jf lj 

53,000 

表 2

減 資 後 ( 株 数0.8万株、

資本

利 益 積1'L金

Jil'l  50,000 

3,000  53,000 

l株 当 た り 資 本5)jf月)

53,000 Jjf

53,000 

資本組人後(株数0.8万株、

資本

利 益 積1'L

hl'l  40,000  13,000  53,000 

l株 当 た り 資 本6.25h円)

まった場合がこれにあたる︒

八 ︑

000

万円で消却したということは一株五万円なのに︑

前述した会社の例を貸借対照表で示すと次のとおりである︒ 000 

7 5  

F9~8

000 

1 1  

E P

3  

産/

l資 Jil'! 

53,000  53,000 

資本 利 益 積 立 金

jjl'l  50,000 

3,000  53,000 

になり︑額面割れ消却となる︒利益はあるが︑例えば業績の先行が悲観的であるため︑株価としては額面を割ってし

八 ︑

000

万 円

・ 一

・ ニ

000

1 1 四万円で消却したこと

14-3•4---495 (香法'95)

(10)

3

(竹本金)

)jf'j 

10,000  賓p()

(減釘益)

hl'J  8,000  2,000 

4

前述した例︵泊却前の

B/S

0

万円に課税することになる︒ す

なわ

ち︑

資 産

減 胄 後 ( 株 数0.8万株、 1株 りたり資本り)j円)

-—--—-'

57, ()()( 

5

(減資烙益)

(利益柏\'[金)

2,000  8,000 

(行本金)

jf 

40,000  2,000  l:i,000  57,000 

‑‑

hl'l  10,000 

賓本糸I[人 後 ( 株 数0.8)j株、 1 株‘りたり青本 6.~:i)j 円)

ヘヽ →  ●● 

hl'J 

叩,: :i7'()()()  資 本 .10. 

o o i {

1

L ̲   ‑ ― ロ ニ / げ ぃ ! ↑

7 ,

1"111 ̲ 

において︑表

3

のとおり減資したものとする︒

S 7 , 0 0 0  

--—--- -、~/

利益をもってする株式の消却は︑減資後利益積立金を組本組入れしたのと同じであるから︑

1 0 1  

0

14・3・4‑‑496 (香法'95)

(11)

相税法い)所得概念の構成と税制改革論の枇界的展開(吉川)

源泉徴収の面でいろいろ問題がある︒ と

なる

④ み な し 配 当 制 度 の 問 題 点

八 ︑

000

万円の対価で︑二︑

000

株を消却した結果差額は減資益となる︒

とおりとなる︒

右記から増資をしてもとの資本金に戻すとその仕訳は表

5のとおりである︒

‑ 0

がみな その結果︑減資後の

B/S

は表4の

すなわち︑増資一

0

000

万円のうち︑二︑

000

万円は減資差益からの振りかえであるから︑資本積立金の資

本組み人れとなり︑

わたったときは︑ みなし配当には該当しない︒

八 ︑

000

J j 円が利益積立金の資本組み人れに該背し︑みなし配晋

理論的には︑利益積立金から配当があり︑これを直ちに払いこむのと同じであるとして課税することになるが︑商 法二九三条ノ第三条第二項で︑利益積立金の賓本組み入れに際して株式を発行する場合を除いて︑金銭や株式を受け

取らないのに︑会社の財務表示が変わっただけで課税されるのは︑担税力の点からも間題がある︒

一方︑利益積立金の減少は配当の機会を少なくする︒

また︑解散の場合には一株当たりの資本が増加するためのみ

なし配当の金額︵交付金ー資本金等︶が減少し︑課税のチャンスが少なくなる︒これがみなし配当課税の理由になってい

る︒しかし︑この場合でも︑利益積立金の資本組み入れをしている法人の場合には︑解散の際のみなし配当の計算上︑

その組入額を資本等の額から控除するという方法︵立払︶も考えられる︒個人株主に対する未実現利益に対する課税や

所得税法第二五条第二項第二号の規定については︑法人が解散をして残余財産の分配が行われ︑それが二回以上に

まず資本等の金額から分配されたとされる︒例えば︑資本等が︳

00

︑利益積立金五

0

の場合につ

いていうと︑三

0

の分配があっても課税は生じないが︑次に八

0

の分配があると︱

‑ 0

の分配となって︑

14  3•4 497  (香法'95)

(12)

し配当の金額となる︒

所得の本質的属性 未実現の利得も所得に含まれるかは租税法における所得概念の構成に関する基本的争点である︒この問題に関する

判決

には

︑ アメズナー対マッコンバー事件に対する︑アメリカ合衆国最高裁判所の判決がある︒同裁判所は所得の意

•••••••••

義について︑本質的に重要な点は﹁資本から生ずる利得﹂という言葉であるとしている︒その上で株式配当は所得に 含まれないとしている︒この判決はアメリカの財政学者セリグマンの所説に基づいている︒セリグマンによれば所得 の本質的属性として︑実現と分離をあげている︒さらに︑セリグマンは資本は﹁未実現の所得の束﹂であるとしてい

れて

おら

ず︑

る︒上記のテストにてらすと︑株式配当においては︑配当株式の額面額の総計に相当する金額が会社資産から分離さ

また株主は実現された利得を得ていないから︑株式配当は所得ではなく︑資本増加の表象にすぎない︒

未実現の利得が原理的に所得でないとされるのは次の理由によるものである︒

租税法の所得概念は﹁財産増加説﹂でとらえられるべきであり︑原価主義を基本とする成果計算原理により算定さ

れるべきである︒

所得税法は︑原則として︑収入という形態において実現した利得のみを課税の対象としていると解すべきである︒

法人税法においても︑課税対象たる所得を︑益金の額から損金の額を控除した金額と規定し︑実現した利得だけを課

税対象としていると解すべきである︒ A 

①租税法上の所得概念と未実現利得︵株式配当︶

2

現行税制の問題点とその考察

14‑3・4 498 (香法'95)

(13)

租税法上の所得概念の構成と税制改革論の世界的展開 (t片川)

みなし配当に対する課税を未実現利得に対する課税に該当するかが問題となる︒上記判決は次のように述べている︒

﹁配当は︑通常は現金で支払われ︑例外的な場合には他の財産で支払われる︒そして︑このような支払いを受けた場

合にのみ︑株主は︑その分離した財産となる利益ないし利得を実現し︑投下資本から所得を引き出すのである︒﹂

﹁株式配当は︑会社の積立利益が︑株主に配冴され︑あるいは将来の配胄可能な剰余金として積み立てられる代わり

に︑それが資本化されることを意味する︒株主の利益の実現とは逆に︑

もの

であ

る︒

それ

は︑

むしろ︑新株式によって表示される

資金が︑剰余金から資本に移され︑もはや実際の配当に利用できないという意味で︑かかる実現を将来に引き延ばす

﹁本質的且つ支配的な事実は︑株主は︑その分離した利用及び利益のために︑会社の資産から何物をも受け取ってい

ないことである︒逆に︑その最初の投資の金額のすべては︑その利用の結果として生じた積立利益とともに︑会社の 財産として止まっており︑しかも︑すべての投資を消し去ってしまうかもしれない事業上の危険に服しているのであ る︒事柄の真実︑すなわち形式ではなく実質に着目するとき︑株主は︑修正一六条の意義における所得に該当する何

物をも受け取っていないのである︒﹂﹁明らかに︑株式配当は︑会社の財産から何物をも取り去らず︑

に何物をも加えないのみでなく︑ また株主の財産

それによって表象される利益の資本化は︑資本の増加によって株主がより富裕にな

ったことを示しているとしても︑同時に︑株主は何らかの所得を実現ないし受領していないことを示している︒﹂

﹁株主は︑株式配当によって得た新株式を譲渡することができる︑といわれる︒彼がそれを譲渡し︑利益を実現した

場合には︑その利益は所得であり︑課税の対象となる︒⁝⁝しかし︑譲渡することなしには︑株主は︑他の資金をも たない限り︑配当株式に対する所得税を納付する資本をもたない︒租税を納付するために資本の処分が必要であるこ

B

みなし配当は未実現利得か

14-3•4---499 (香法'95)

(14)

D

株式配当非課税論

とは︑何ものにもまして︑株式配当に課税することが所得ではなく資本に対する課税であることを︑明白にポすもの

であ

る︒

この判決は︑虹接には︑株式配当が憲法修正一六条の意味における所得に含まれず︑

したがってそれに所得税を課 すことは憲法に違反することを︑判示するものであるが︑租税理論および租税法理論の見地からは︑実現が所得概念

の要素であり︑実現した利得のみが所得を構成する︑

てい

る︒

株式配当課税論

という原理を確立した判決として︑

(7

1)

8

) 

上記の見解に対して金子宏教授はパウエル及びヘイグの見解を引用しつつ︑租税理論において伝統的に用いられて きた資本と所得の区別はミスリーディングであり︑仮にこの区別を用いるとしても︑未実現の利得は資本ではなく所 得を構成する︑と解するのが妥当であると述べている︒そうして︑利益積立金額の資本組み入れ等によるみなし配酋

課税は︑末実現利得に対する課税の典型的な例であると述べている︒

金子宏教授は未実現の利得は所得を構成する理由として︑パウエルの﹁常識的観点からいえば︑所得税を課される

ことなしに無限に富を増加させることができる︑という観念には︑何かおかしなところがある﹂との見解を引用して︑

未実現の利得も人の担税力を増加させることはたしかであり︑

した

がっ

て︑

きわめて重要な意味をもっ

それを課税の対象から除外することは︑

担税力に即した公平な税負担の配分という所得税の韮本理念に原理的に反することになると述べていな︒

しかしながら︑金子宏教授のこの見解は担税力に即した公平な税負担の配分こそ︑所得税の基本理念であることを 強調し過ぎている見解であり︑今日における学説の世界的な潮流は︑むしろ︑所得税はその基本理念を含め︑今後の

一四

14 3・4 ‑500 (香法'95)

(15)

租税法上の所得概念の構成と税制改革論の世界的展開(古川)

討す

る︒

一 五

社会経済の潮流には合致できない税制になりつつあるとしている︒以下︑金子説に対する私の見解を述べる︒

未実現利得は租税法卜の所得概念に含まれないと解すべきである︒

我が国の法人税法第二二条は︑法人税の課税所得概念について︑明示的に規定していない︒そこで︑法人税課税所

得の概念をどのように構築すべきかについて︑争いが生ずる︒

まず︑租税法に固有な貸借対照表︵以ド︑課税貸借対照表という︒︶が存在するのか︒

上︑固有な会計理論によって律せられるべきであるのか︒

商法の田中博士によれば︑商業帳簿は﹁正規の簿記の原則﹂によって作成さるべきことが商法の体系に内在する規 範として要請されると解すべきとしている︒その理由として︑ドイツ商法には︑商業帳簿は﹁正規の簿記の原則﹂に

簿記の原則﹂

を基調とするものである︒ また︑課税貸借対照表は︑租税法

その租税会計法の理論の具体的内容は何か︒等について検

よって作成さるべき旨の明ボの規定があることを指摘している︒

さらに︑ドイツの租税法によれば︑課税貸借対照表が狭義の貸借対照表と損益計算書とで構成されており︑﹁正規の

で作成されるべきことが明定されている︒故忠佐市教授は︑租税法

t

の所得概念を﹁純財産増加説﹂に

よって解釈すべきとしつつ︑それは﹁正規の簿記の原則﹂︑即ち︑公正妥当な会計慣行として︑歴史的に発展してきた︑

成果計算原理を基調としては握されるべきであると説いている︒したがって︑租税法上の評価の原則は﹁原価主義﹂

マクロ経済的成果計算原理は資本と利益を区分し︑しかも︑﹁原価主義﹂評価を基調とした利益計算の原価である︒

には国民経済資本を維持拡大を図る原理の租税法卜の応用ともいうべきものである︒未実現利益に対する課税はこの 原理原則に反するものであり︑租税法理論としては容認できない原理原則である︒成果計算原理の具体的内容は財政

14  3・4  501 (香法'95)

(16)

さて

か ら

みなし配当は未実現利得であるか︒

みなし配当に関する我が国の税制は既に述べたとおり︑利益の配当にかかる租税法上の取り扱いを公平とするため の制度である︒それが利益積立金又は利益の組入れによる増資であったとしても︑法律的には利益積立金又は利益を 財源として現金配当し︑これを株主が増資のため払い込んだと解すべきである︒株主の財産は増加しているのである

アメリカの税制の上での取り扱いとは異なって︑我が国では租税法にいう所得概念を構成すると解すべきであ E

株式配当は所得概念を構成するか

いうことが明らかになっている︒ 付加価値税の出現の経過から見て︑その時代時代の考案が︑いうなれば持続した発酵によって︑一流の考案になると ックス

ジャ

ーナ

学上の租税論と会計学の理論との観点から検討されなければならない︒また︑

じた内容を持つものでなければならない︒

それは経済社会の歴史的発展段階に応 財政学

L

の租税論の観点からは︑租税が経済に中立的でなければならない︒成果計算原理をマクロ経済的に拡大し て︑国民経済の付加価値にのみ課税する原理にまで発展させなければならない︒付加価値

賃金十利潤1 1

1 1 産出額ー投

入額という図式にこれを当てはめれば︑投資や貯蓄に介入しない税制こそ経済に中立的な税制であり︑それは

E

C

型 ︑

インボイス方式の付加価値税である。カール

•S

・シャウプは、「フランスにおける租税」(一九五五年―二月ナシ

3ナル

第八株j:•1

二八頁)で次のように述べている。付加価値税は、最近の新制度である。

論として︑所得概念を構成するものとは考えられないのである︒

また︑租税法上の所得概念を構成すべきであるか︒ フランスにおける

租税法上の所得概念は︑資本と利益を区分する原理として︑歴史的な発展をみて来た成果計算原理から︑

さらに投

入額︵投資︶を課税の対象としない経済的に中立な税制へと歴史的に発展して行くべきである︒未実現利得は租税法理

14 ‑‑34‑502 (香法'95)

(17)

租税法上の所得概念の構成と税制改革論の世界的展開(吉川)

る︒金子宏教授の見解︵未実現利得の典型的な例であるとする見解︶は妥当ではないというべきである︒

残る問題は前述した意味での成果計算原理から︑みなし配当はこの要件に合致しているかどうかにある︒

法人又は個人の株主に対するみなし配当は︑前述したとおり︑法人又は個人の財産の増加に該当することになる︒

しかしながら︑みなし配当による財産の増加は企業の資本再編成を原因として発生するものである︒会社の合併や解

散等法人格の創設と消滅を斐機として発生する財産の増加を企業の又は個人の成果計算原理に基づくものであるとは

いえないであろう︒そもそも︑国民経済が拡大再生産を続けてゆくためには︑資本の蓄積︑

一 七

その拡大再生産が必要と

商法も租税法も︑企業は永遠に継続することを前提として︑﹁正規の簿記の原則﹂による成果計算を基調とする商業

帳簿︑課税貸借対照表を作成して︑資本と利益とを明確に区分することを期待している︒租税が資本に喰い込むこと

株式配当課税と企業の

M&A

一九八五年レーガン大統領が議会に対する年頭経済教書において︑企業の

M&A

市場を分析し︑米国経済

の活性化のため︑企業の

M&A

を促進する方針を明らかにしてから︑企業の

M&A

が活発に行われるようになった︒

米国における

M&A

課税の取り扱いの研究によって明らかになったことは︑米国の連邦所得税の税制によって︑法

人︑個人を通ずる二重課税の問題︑

業の

M&A

という経済の核心的な部分が大きくゆがめられているという事実である︒

アメリカのハーバード大学の教授の指導の下で︑連邦所得税制の抜本的改革の検討が続けられ︑

( 1 8 )

1 9

)  

授の現金支出税構想やウルフマン教授の法人所得税︑個人所得税の統合論が論じられている︒

さら

に︑

がないよう期待しているのである︒ な

る︒

キャピタル・ゲイン課税をめぐる問題︑その不公平性をめぐる問題を通じて︑企

アンドリュウス教

143•4---503 (香法'95)

(18)

一般に長期

米国連邦所得税法のドで︑企業の非課税再編成の要件は株主利益の継続性と事業の継続性が保障されていることで

ある︒今日の資本︑下義社会がさらに拡大再生廂されるためには︑個人株主の資本が拡大再生産される制度が保障され

る必要がある︒我が国の場合は法人株ヽ玉が中心となった資本調達がなされている︒法人株主に対するみなし配当につ

いては︑現行の法人税法によって二重課税防止のため益金不算入の措置が講じられている︒

を区分し︑資本を決して課税の対象にすべきでないと解されている︒

そこで︑個人株主に対す るみなし配当に焦点をあててみると︑株主の利益と事実の継続性が保障されている限り︑非課税とすべきである︒

租税法上の所得概念を構成するのは成果計算を基調とする純資産増加説によると解される︒しかも︑成果計算の内 容は正規の簿記の原則である︒その内容は歴史的に発展してきたものである︒今日では︑少なくとも資本と剰余金と

最も早い時期に所得概念を構成した一人であるといわれるヘルマンは︑所得を︑﹁一定期間の間にある人に新たに加

わりその原資を減少させることなしに任意に使用することのできる財貨の総体﹂と定義しているが︑この原資の維持 の要請は資本主義経済における拡大再生産の見地からは︑当然の要請であるといえる︒資本と所得との区別に関連し

てキャピタル・ゲインの問題がある︒資産の価値の増加は所得であるかどうか︑

所得といえるかどうか等々︑そこには基本的な間題が数多く存在する︒長期間保有した資産の譲渡益は︑

間にわたって徐々に累積してきたものであるから︑

[l

) 

]

税することには問題がある︒

みなし譲渡所得課税と非課税企業再編成

またそれによって実現された場合に その全額を他の所得と全く同じく譲渡のあった年の所得として課

株式の譲渡所得については︑原則課税の扱いになっているが︑

みなし配当との関連で発生する株式の譲渡所得につ

いても︑非課税企業の再編成の要件︵株︑エ利用と巾業の継続性︶を充たしている場合には課税すべきではない︒法人税と

一八

14  34  504 (香法'95)

(19)

租税法じの所得概念の構成と税制改革論の世界的展開(占川)

企業買収の方法には︑株式購入型と資産購入型の二形態があり︑それに対する課税扱いが異なっている︒すなわち︑

売主側にたってみると︑株式売却の場合には︑

合には︑資産の売却に対して法人税が課され︑ その売却益に対して所得税が課されるのみなのに対し︑資産売却の場

さらに法人からの配当に対して所得税が課されるという二重課税が生

じる︒このため︑個人である売主側は株式を売却した方が有利となる︒

なお︑株式購入型であっても︑買主側が米国内国歳人法第三:一八条を選択すれば︑資産売却を行ったとみなすこと

ができるが︑この場合には︑買収対象企業が資産売却に基づく売却損益を認識しなければならない︒ただし︑買収対 象企業が当該取引以前に売却側の連結納税グループであったならば︑売却側は株式売却損益を認識しないことができ

t

のような

M&A

に対する課税卜の差異のため︑売却企業及び買収企業は︑課税上有利になるには︑

買収方法をとるべきかということに悩まされるわけである︒本来︑企業買収とは︑企業の発展のために業務拡大する

ために行われるので︑企業の関心事は︑買収対象企業の事業目的にある︒ る ︒

(1) 

A企業買収課税の経済に対する非中立性

第二章

所得税を統合して︑現金支出税構想に基づく税制改革によって︑

とすべきである︒

現金支出税構想

個人所得税と法人所得税の統合論 みなし配当とみなし譲渡所得に対する課税は非課税

しか

し︑

一 九

どのような

その際︑企業が課税上不利になら

14  3・4  505 (香法'95)

(20)

ないようにするため租税法にも関心を注がなければならないということは︑

そこ

で︑

アメリカのレーガン大統領は︑企業の

M&A

を通じた経済の活性化をはかるため︑企業の

M&A

課税に対

する諸規制の緩和をはかった︒これと平行して︑企業の非課税再編成をめぐる判例を通じて︑非課税再編成の基本的

原則の具体的な内容が明らかになったのである︒ アメリカの法人所得税法が経済取引をゆ

すなわち︑もし企業買収取引が法第三六八条に規定する再編成か︑法第三五一条に基づく被支配企業への変更かの いずれかの要件を満たせば︑当該企業買収取引に対して非課税となる︒非課税再編成かどうかを判断する際には︑段 階的取引の原則が適用され︑中間的取引を無視し︑その究極的な目的にのみ収敏して決定される︒そして︑その要件 とは︑企業買収が事業を目的としたものでなければならないという事業目的要件︑買収対象企業の株主が再編成後も

持分を有しなければならないという株主利益の継続性︑買収企業が買収対象企業の従来からの事業を継続するか︑

の有していた事業資産の主要な部分を承継しなければならないという事業経営の継続性である︒

アメリカ法学研究会の提言

すでに述べたように︑企業の非課税再編成の要件としての利益の継続性に関する論文とアメリカ法学研究誌で︑

ハーバード大学のバーナード・ウルフマン教授は︑

らかにしている︒

アメリカ法学研究会の研究で明らかになった考え方及び提言を明

アメリカ法学研究会は︑企業買収に関する論文と企業配当に関する論文を発表しているが︑

マン教授は︑その顧問として研究に参加した︒さらに︑アメリカ法学研究会の所得税研究班の報告者は︑ウィリアム・

ディー・アンドリュース教授であった︒アメリカ議会は︑単なる合併が課税の引き金とはならないと決定した︒また︑

B

レーガン政権の企業の

M

&

A

を通ずる経済の活性化策

がめ︑中立的でないということができる︒ 二

0

ウルフ

14‑3・4 ‑506 (香法'95)

(21)

租税法上の所得概念の構成と税制改革論の世界的展開(吉川)

アメリカ法学研究会は︑現行法の欠点の改善に取り組んだ︒なかんずく︑ジェームス・ヴィー・ルーギンス氏とアー

ネスト・ジェイ・ブラウン氏は︑税制改正に関する論文を発表している︒アンドリュース教授は︑既に述べたように︑

アメリカ法学研究会の諸提案は︑古典的な二重課税をそのままにした簡素化と整合性のある改革にとどまっていると 述べている︒同教授は︑この提案が示唆しているものは個人所得税と法人所得税の統合であるとしている︒

法人・個人所得税の統合の次善の策として︑同教授は︑

アメリカ法学研究会の勧告した配当所得控除制度に言及し

ているが︑これについても法人所得税と個人所得税の統合という基本的な見解を表明している︒

法人擬制説と二重課税の調整方式

法人所得税と個人所得税の統合の問題に入る前に︑

学説を検討しておく︒

以下︑法人所得税課税をめぐる基本的な考え方に関する内外の 法人の性格に関しては︑法人をその株主である個人とは独立した納税主体と考える法人実在説と︑法人は株主の集

︵ 加

合にすぎないとする法人擬制説がある︒法人擬制説に基づけば︑法人の所得に対し課税し︑株主の配当所得に課税す ることは二重課税となるので︑二重課税を排除する調整措置が必要となってくる︒この法人擬制説に基づく国として

って二重課税の調整をはかって

いずれもインピュテーション方式によ

一重課税を調整してきた︒

いる︒我が国も法人擬制説的な考えの下に︑配当控除制度によって︑法人︑個人の

アメリカでは︑法人独立課税主義の下で︑受取配当に対する二重課税の調整を行わず︑総合課税することとしている︒

法人擬制説に基づく二屯課税の調整方式として各国において採用されているインピュテーション方式及び配当控除

いわゆる両者の統合といっ

方式では不十分であるという考えのもとに︑法人税と所得税を一体のものとして考える︑

た考え方が生まれる︒最も徹底した統合案としては︑配当されたか否かを問わず︑すべての企業所得を持分に応じて は︑イギリス︑西ドイツ及びフランスがあり︑

一 方

14--3•4--‑507 (香法'95)

(22)

以上述べてきたように︑複雑なため︑ 難

であ

り︑

合を図るために︑

企業の非課税再編成税制の非中立制 その際︑間趙となってくる所得の概念については︑純資産増加説によるとするのが今日の通説である︒純資廂増加 説といっても︑我が国における粗税法卜の所得概念は成果計算であるため︑資本の拡大︑発展という資本主義経済の 強い要請にこたえている︒したがって︑法人に対する課税が企業の市場における経済活動を攪乱しないことが最も惰

まし

い︒

このためには資金が必嬰となるため︑資金をあまり

この方式は︑大法人に対する実施が困 また実際に受領していない部分にまで課税することに対しては批判もあることから︑法人税と所得税の統

より優れた方式について検討することが必要となってくる︒

そこで︑法人所得税と個人所得税の統合を前提とした︑経済に対し中立的な税制とはどのようなものである

かについて検討する必要が生じるのである︒

M&A

に対する非課税が一定の条件のもとで確立されてきたことは︑経済に対し中立的な税制のあらわれであり︑

企業は︑相税法にとらわれることなく︑

する非課税規定を知っていれば︑要件を充足するような取引形態をとることにより非課税となることができるが︑知 らなければ︑取引形態を考慮しないため要件をすべて充足できず課税される場合が生じる︒そして︑非課税規定は︑

有さない弱小企業は︑資金︑

株主に按分分配し︑

M&A

を通じて業務拡大することが可能となった︒しかし︑

M&A

課税に関 一般の納税者が理解するのは困難なので︑合併する際には︑専門家に相談した

り︑企業内に特別機関を設ける必要が生じるのである︒

アメリカ法学研究会の税制改革案

しか

し︑

人材︑情報が豊富な大企業と比べ不利となってくる︒結局︑

は︑完全に公平で効率的な税制であるとはいえないのである︒

M&A

に対する非課税規定

株 ︑ にのみ課税するという組合課税方式がある︒E

しか

し︑

14  :J•4-508 (香法'95)

(23)

租 税 法Lの所得概念の構成と税制改革論の枇界的展開(古川)

(2) 

に解決するのかということとなる︒

そこで︑経済に対し中立的で公平な税制を築くためにはどのようにすればよいかについて検討しなければならない︒

ハーバード大学のアンドリュース教授は︑二甫課税とその他の不公平を除去する手段として︑個人及び法人所得税の

統合を図ることを提案している︒

ものであるが︑

アンドリュース教授は︑アメリカ法学研究会の起草委員会の個人消費税と併存する 企業配当及び法人課税に関する提案をめぐる論文のなかで︑企業配当に関するアメリカ法学研究会

( A

L I

起草委員

)

会提案を述べている︒アンドリュース教授は︑アメリカ法学研究会の報告で︑起草小委員会において︑企業買収制度 の簡素化の機が熟しているとの点で一致がみられ︑議会財政小委員会報告がこれらの税制改革案に関する最も最近の

アメリカ法学研究会小委員会の報告も有益なものであると述べている︒アンドリュース教授の考えに

よれ

ば︑

もし統合が行われれば︑借入金による資金調達と増資による資金調達に関する問題や︑株式配当と非株式配 当の問の際立った差異があるという間題を解決するであろうとしている︒結局︑争点は︑現行法人税が法人税の課税

を通じて︑株式による資金調達のコストを高め︑

現金支出税構想の内容

アンドリュース教授は︑

現金支出税︵キャッシュ・フロー税︶

その結果として株式による資金調達に対する不利な差別をどのよう その不利な差別を解決することとなる法人税と所得税の統合をはかる具体的方法として︑

を提案している︒

現金支出税とは︑所得のうち貯蓄部分には課税せず︑消費又は支出された部分についてだけ課税される税である︒

この税は︑現行個人所得税のように所得に対して課税するのではなく︑消費に対して課税する税であるが︑その場合 の消費とは︑消費取引又は販売取引又は付加価値取引を意味するものではない︒この税は所得をベースにした消費税 で︑その課税標準は︑個人所得をベースとして算定され︑貯蓄額を基礎として算定されるのではない︒したがって︑

14 3・4  509 (香法'95)

(24)

jれは︑その後 アメリカ法学研究会のウォーレンとアンドリュース教授が︑

︵ 翌

が引用した論文のなかで論述している︒第二の理由は︑

税が簡素で︑実施可能性が大きいという点であり︑

の都度控除でき︑現金を支出する際には︑支出する全金額についてその都度課税されることにより︑投資が

Ne

r o

の納

税者を同税率で効率的に課税することとなるため︑節税策を講じたとしても意味を持たないこととなる︒株主に対す る課税に関しても︑株主は︑配当又は他の形式の分配又は増資応募者に対する株の売却による配当のいずれによる場

支出すればすべて課税ベースに算定されるという極めて簡素なもの

( 1

)

この判決を契機として︑株式配当は︑歳人法上︑所得税の課税対象から除外された︒この点及びその後の問題をめぐる制度の展開

については︑参照︑金子宏﹁アメリカ連邦所得税における﹁株式配当﹂の取扱い﹂租税法研究一号︵昭和四八年︶一0

七頁

︑な お︑

そこで引用した論文のほかに︑次の諸論文が参考となる︒

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( 2

)  

とな

る︒

合を問わず︑投資すればそのすべてを控除でき︑ 番重視しているものである︒また︑キャッシュ・フロー税に基づけば︑納税者は︑

現金を受領する全金額についてそ

この

点こ

そ︑

アンドリュース教授が提唱し︑かつ現在でもなお

であ

り︑

この問題について︑

あらゆる事業及び投資取引が現金支出ベースで簡単に計算されるという点が 相違する︒現金支出税に基づけば︑所得を事業又は投資のためにあてる場合にはすべて控除でき︑事業又は投資から

所得を引き上げる場合には︑所得を差し戻されることになる︒

キャッシュ・フロー税の利点とは︑次のようなものである︒第一 それは個人所得税というべきであるが︑

の理

由は

この

その学会の冒頭でレスター

この税が効率的であるという点である︒第三の理由は︑

この税が公平かつ公正であるという点

ニ四

14‑3・4 ‑510 (香法'95)

参照

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