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博 士 論 文 概 要

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Academic year: 2022

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(1)早稲田大学大学院理工学研究科. 博 士 論 文 概 要. 論. 文. 題. 目. 悪条件連立一次方程式の 精度保証付き数値計算法の研究 Studies on Numerical Verification Method for Ill-conditioned Simultaneous Linear Equations. 申 氏. 名. 専攻・研究指導 (課程内のみ). 請. 者. 太田. 貴久. Takahisa. OHTA. 情報・ネットワーク専攻. 情報数理工学研究. 2005 年 12 月.

(2) 現代の数値計算では、計算誤差を含む近似解を求め、その精度は検討されたと しても厳密でなくてもしかたないという考え方が常識的である。厳密に精度を保 証することが大変困難であると信じられているからである。一方、区間演算に基 づき、数値計算の精度を厳密に求める方法も提案されている。これを精度保証付 き数値計算という。精度保証付き数値計算の分野では、数学的に正しい解が確実 に含まれる区間を求める区間演算が利用されるが、区間演算をそのままナイーヴ に用いると、数値解を求める計算に対して精度保証に何万倍もの計算時間がかか ったり、解き得る問題の規模が数百元の連立方程式までに限られたり、保証され る精度がシャープでなく意味がないことがしばしばあるなど実用的ではないと思 われてきた。しかし、最近になって連立一次方程式の解の精度保証が、計算解を 求める計算時間とほぼ同じ時間ででき、得られる精度もシャープとなる方法が考 案 さ れ 、精 度 保 証 が 少 な く と も 線 形 計 算 に お い て 、実 用 の レ ベ ル に 達 し た 。ま た 、 多倍長浮動小数点数パッケージを使わずに倍精度浮動小数点数の和として計算値 を表現し、高精度に内積などを計算する方法も開発された。 本論文では、これらの成果をベースとして、条件数が非常に高い悪条件の問題 も含めて、連立一次方程式の解を倍精度浮動小数点演算のみを用いて高精度に求 め、その精度保証を高精度に行う方法を提案し、その有効性を数値実験で実証し ている。 具体的には、まず、残差を高精度に計算し、残差反復法によって求まった高精 度な計算解をシャープに精度保証する方法を提案している。これにより、残差反 復と数値解の精度保証を行っても、提案手法が、ガウスの消去法の数倍程度の計 算時間で終了することが示されている。 つぎに、残差だけを高精度に計算しても連立一次方程式の係数行列の条件数が 大きいと倍精度計算で求めた逆行列の精度が足りなくなるため精度保証ができな くなる問題を取り上げている。この問題に対し、本論文では逆行列を倍精度浮動 小数点数の行列の和の形で表現して、逆行列の精度を上げていく方法を提案し、 これにより精度保証が可能となることを示している。また、精度保証をよりシャ ー プ に 行 う た め 連 立 一 次 方 程 式 の 数 値 解 に 対 す る Ya m a m o t o の 成 分 毎 誤 差 評 価 定 理を用いることによって成分ごとに精度保証が行えるようにしていることが述べ られている。本提案手法は、所望の相対精度を与えたときにそれ以上の精度が得 られるまで自動的に必要な回数だけ残差反復を繰り返す方法であることが述べら れている。多倍長浮動小数点数演算を用いても悪条件性を克服することができる が、その場合、逆行列の計算後、逆行列の精度が足りないことが分かると、計算 精度を増やして、逆行列の計算をやり直さなければならなくなること、および、 す べ て の 計 算 を 多 倍 長 で 行 う た め 、計 算 時 間 が 膨 大 に か か る こ と を 指 摘 し て い る 。 これに対して、提案方式では、係数行列の条件数が分からなくても、反復計算に 1.

(3) より問題に応じて、アルゴリズムの内部で必要な精度を予測して適応的に精度を 増やしながら計算できることが述べられている。すなわち、本論文で提案する手 法において、高精度演算が必要なのは基本的に行列積と行列ベクトル積のみであ り、これらを高速かつ高精度な内積計算法に基づき計算するので、本手法は高速 な実装が可能であることが示されている。 更 に 、 Ya m a m o t o の 定 理 を 使 っ て も 計 算 解 の 成 分 の 絶 対 値 が 大 き な ば ら つ き が あるときには絶対値の大きな成分が影響して絶対値の小さな成分がシャープに評 価できなくなる問題に対応している。ここでは、解の絶対値がほぼ同じになる様 に連立一次方程式の係数に(変換誤差が発生しないように)2の整数乗をかけて 連立一次方程式をスケーリング変形し、変形した方程式の精度保証を行い、その 結果を元の連立一次方程式での精度保証に換算することによって絶対値の小さな 成分に対する精度保証をシャープに行えることが示されている。 以下、各章の構成に基づき、本論文の概要を少し詳しく述べる。本論文は4章 からなっている。 第1章「序論」では、高精度内積計算アルゴリズムと精度保証法の研究の現状 を概観し、必要な準備をしている。 第2章「高精度内積計算アルゴリズムを用いた連立一次方程式の精度保証付き 数 値 計 算 法 」 で は 、 係 数 行 列 の 条 件 数 が O (1016 ) 以 下 の 時 に O g i t a , R u m p , O i s h i に よ る高速な任意精度内積演算アルゴリズムを用いることによって高速性を損なうこ と無く高精度に精度保証できることを示している。これにより残差反復法によっ て得られた精度の高い計算解をシャープに精度保証できるようになることが述べ ら れ て い る 。 さ ら に 、 条 件 数 が O (1016 ) に 近 い 場 合 と 行 列 の 次 元 が 大 き い 場 合 な ど を含めて各種の数値実験を行い高速性を損なうこと無く高精度に精度保証を行え、 残差反復法によって得られた精度の高い数値解をシャープに精度保証できること を示している。 第3章「条件数が非常に大きな係数行列をもつ連立一次方程式の精度保証付き 数値計算法」では、係数行列の条件数が非常に大きい場合の連立一次方程式に対 する精度保証付き数値計算法を提案している。条件数が非常に大きいことから、 行列が非正則に近くガウスの消去法など連立一次方程式ソルバーの計算誤差が大 きく増幅されることになるが、非正則でなければ、非常に条件数が大きい係数行 列であっても精度保証ができる方法を提案している。すなわち、具体的には、逆 行列を倍精度浮動小数点数を要素とする行列の和の形で表現することによって高 精度に求め、条件数が大きい係数行列の連立一次方程式に対しても精度保証でき 2.

(4) ることを示している。本提案方式は、内積計算の高精度演算が可能であれば、 IEEE754規 格 に 従 う 浮 動 小 数 点 数 を 実 装 し た 各 種 の 計 算 機 上 で 実 装 可 能 と な る ス ケーラビリティを備えていることが指摘されている。また、本手法においては、 高精度内積計算法は任意でよいが、具体的な高精度内積計算法を設定して、それ によるチューニングも行っている。すなわち、近年、内積計算の高精度演算の研 究が進み、高速な高精度内積計算法が種々開発されている。特に、非常に最近に なって、倍精度浮動小数点演算だけを用いて、内積を高精度かつ高速に計算する 方 法 を Ogita, Rump, Oishiが 示 し た 。 こ れ を 利 用 す る と 、 本 論 文 で 提 案 し た 手 法 はポータブルで高速な、高条件数の係数行列をもつ連立一次方程式に対する数値 解の計算法と精度の検証法となることが述べられている。実際、この実装法に基 づき、数値実験を行い、条件数が非常に大きい場合でも、連立一次方程式の近似 解が精度保証付きで計算されることを示した。更に、精度保証ができる状態にな った後は、残差反復法により精度の高い計算解が得られ、その精度をシャープに 評価できることを示している。 他の方法との比較であるが、係数行列の条件数が高くても、その上界がわかっ て い れ ば 、多 倍 長 浮 動 小 数 点 数 演 算 を 用 い て も 悪 条 件 性 を 克 服 す る こ と が で き る 。 しかし、多倍長浮動小数点数演算では、近似逆行列の精度が十分でないと逆行列 の計算を始めからやり直す必要があるが、提案方式では事前に逆行列の計算に必 要な精度が分からなくても、反復計算により問題に応じて精度を増やしながら、 必 要 な だ け の 精 度 で ア ダ プ テ ィ ブ に 実 行 で き る こ と が 強 調 さ れ て い る 。す な わ ち 、 本 研 究 で 提 案 さ れ て い る 手 法 は 、 精 度 の 高 い 近 似 逆 行 列 を Ogita, Rump, Oishiに よる高精度内積計算法に基づき、アダプティブに得る方法なので、任意の条件数 を持つ問題でも対応できる点、及び、精度保証にかかる計算時間が多倍長浮動小 数点数演算と比べて、大幅に短縮されることなどの特長を持つことが述べられて いる。 更に、計算解の各成分の絶対値に大きなばらつきあるときには、連立一次方程 式 の 数 値 解 の 成 分 毎 誤 差 評 価 を 与 え る Yamamotoの 定 理 を 用 い て も 絶 対 値 の 小 さ な 成分に対する精度保証が絶対値の大きな成分の影響でシャープに行えないという 問題に対する対処法が提案されている。具体的には、スケーリングを行い絶対値 の差が小さい方程式に置き換えて計算することによって、絶対値の小さな成分に 対する精度保証がシャープに行える方法が提案されている。 第4章「結論」では本論文のまとめと結論が記されている。. 3.

(5) 研 究 業 績 種 類 別. 題名、. 発表・発行掲載誌名、. 発表・発行年月、. 連名者(申請者含む). 論文. "悪 条 件 連 立 一 次 方 程 式 の 精 度 保 証 付 き 数 値 計 算 法 "( 日 本 応 用 数 理 学 会 論 文 誌 , Vol.15,No.3,2005,pp.269‑286) ・ 太 田 貴 久 , 荻 田 武 史 , Siegfried M. Rump, 大 石 進 一. 講演. Numerical Verification Method for Dense Linear Systems with Arbitrarily Ill‑conditioned Matrices( N O L T A 国 際 会 議 , ベ ル ギ ー ブ ル ー ジ ュ , 2 0 0 5 年 1 0 月 ) ・ Takahisa OHTA, Takeshi OGITA, Siegfried M. Rump, and Shin'ichi OISHI. 講演. "条 件 数 が 非 常 に 大 き い 連 立 一 次 方 程 式 に 対 す る 解 の 精 度 保 証 法 "( 2 005年7月日本シミュレーション学会大会,7−9,p.225− 228.)・太田貴久,荻田武史,S.M.Rump,大石進一. 講演. "高 精 度 内 積 計 算 ア ル ゴ リ ズ ム を 用 い た 連 立 一 次 方 程 式 の 精 度 保 証 付 き 数 値 計 算 法 "( 2 0 0 4 年 6 月 日 本 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 学 会 大 会 ,1 2 −4 ,p .3 45 −34 8 .)・太 田貴久 ,大石 進一 ,荻 田武 史,S . M.ルンプ. 5.

(6) 研 究 業 績 種 類 別. 題名、. 発表・発行掲載誌名、. 6. 発表・発行年月、. 連名者(申請者含む).

(7) 研 究 業 績 種 類 別. 題名、. 発表・発行掲載誌名、. 7. 発表・発行年月、. 連名者(申請者含む).

(8)

参照

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