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沢登りの体験分析: 沖縄地域学リポジトリ

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Academic year: 2021

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Title

沢登りの体験分析

Author(s)

張本, 文昭

Citation

日本野外教育学会大会プログラム・研究発表抄録集, 13:

68-69

Issue Date

2010-06

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/18968

Rights

日本野外教育学会

(2)

B-IO

沢登りの体験分析

0

張 本 文 昭 ( 沖 縄 キ リ ス ト 教 短 期 大 学 ) キーワード:沢登り、体験、写真、状況、気持ち 1 .緒冨 渓谷を利用した沢登りは、日本特有の登山形態 とされている。また、野外教育の枠組みの中では 特に冒険教育的側面から lつのプログラムとし て展開されることが多い。では沢登りにおいて、 その行為者は何を体験しているのだろうか。 体験の分析には様々なアプローチが可能であ るが、それらの中でも筆者は写真投影法とキャプ ション評価法に着目した。いずれもランドスケー プ研究における景観評価や空間認知等の分析に おいて、しばしば用いられる手法である。筆者は その方法、すなわち自らが撮影し、写真について 自らがコメントとしてふりかえる中に、沢登りを 行う主体者の f体験への意味づけjが見いだせる のではないかと考えた。 本報は写真投影法とキャプション評価法を援 用し、沢登りにおける体験を分析するものである。 2. 方法 A大学集中授業f人間の研究 (09.9.4-7実施)J における沢登りに参加した女子大学生 3名を調 査の対象とした。沖縄県大宜味村T川上流域にて 実施された沢登り当日 (09.9.5)は晴天であった。 遡行行程の大部分は緩やかな流れで歩行や徒渉 した。撮影対象、撮影枚数は自由とし、自分を撮 影したい場合は他者による撮影も可とした。 調査終了後にカメラを回収、現像した後、写真 を貼り付けたキャプション記入票(図ー1、現物は A4サイズ)を授業終了後 1週間以内に撮影者本 人に配布し、キャプション記入を求めた。その後 これらは1週間以内に回収した。 分析の対象とした写真は、露出不足等で判別不 能な3枚を除き、対象者Kの 15枚、 Rの20枚、 Mの17枚の合計52枚であり、対応するキャプシ ョン記入票も 52件である。 ー現像写真

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図-1. キャプション記入累のサンプル が可能であるが、中には滝登りや高巻き、泳ぎな 「写真の撮影対象J、キャプション記入粟に記 どが必要な箇所もあった(所要時間6時間 50分)。 入された f覚えている状況jおよび fその時の気 源流近くを薮こぎし林道に出て (20分)、その後 持ち、感情などjについて、それぞれ自然、自分、 は舗装された林道を出発地まで戻った (60分)。 他者および人工物の 4つの観点で分類した。 対象者にはレンズ付きフィルム(防水タイプ. 3. 結果 フラッ、ンュ付き,27枚撮り)を配布し、沢登りの 3.1. 撮影対象と撮影時の状況 最中に「心が動いたとき Jに撮影するように指示 まず、対象者ごとに撮影対象を分類したところ、 -

(3)

68-表-}.に示すとおりであった。 表-1. 楓影対象の分頭結果 自然 自分 他 者 人工物

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I

23 7 15 自然を対象とした写真についてさらに分類し たところ、[沌][滝壷][沢筋]などの水景が最も多 く、次いで[空][木漏れ日]などの空や日光、そし て[カメ][トンボ]の生物などであった。また他者、 自分を対象とした写真については、全て[歩いて いる][崖を登っている][泳いでいる]等の何らか の行為が撮影されていた。 次に、撤影対象ごとに、撮影時の状況に関する キャプションを分類した。結果を表ー2.に示す。 なお、状況説明として複数の観点が示された場合 は、それら全てをカウン卜した。 表-2. 鍋影時の状況の分頭結果 自然 自分 他 者 人工物 自然 I 18 10 0 0 自分 1 7 0 0 0 他 者 I 3 7 12 1 人工物 1 0 5 4 3 針

I

28 22 16 4 ここでは撮影対象そのものに関する自然や他 者の状況について説明がなされる一方で、[歩い ている][沌を登っている][休憩している]等の自 分の行為に閲する説明も多く見受けられる。

3

.

2

.

撮影時の気持ち 撮影対象ごとに撮影時の気持ちを分類した。結 果を表ー3.に示す。状況の分類と同様、複数の観 点が示された場合は、それら全てをカウントした。 表-3. 搬影時の気持ちの分頬 自然 自分 他者 人工物 自然 13 21 自分 6

。 。

他者 3 16 5

人工物 4 5

昔十 21 48 6 2 撮影対象や撮影時の状況と比較すると、自分に 全身の疲労感]や、[達成感や充実感][自信]など が多く記述されていた。 次に多かった自然に閲する気持ちとしては、 [空の高さ]や[日光の眼かさ]についてや、[神秘 的に感じる滝][動きの激しい亀][伐採現場に対 するショック]についてなどが表現されていた。 他者に関する気持ちとしては、[(泳げない自分 と比較して)自由に泳げてうらやましい][岩場で 他者を気遣った][(登るのが)大変そう]や[全員 の無事を喜ぶ]気持ちなど、他者の行為を客観視 したり共感する気持ちが表現されていた。 少数ではあるが、人工物に関する記述として [シューズに感謝]や[ロープが切れないか]とい った装備に閲する表現や、[(森の中の桶につい て)これはこれで美ししっと感じたり、[道路は歩 きやすしっといったことが表現されていた。 4.考察 沢登りの中で心が動いたとき、撮影対象の分類 からは、何らかの自然や、他者の行為を視ている ことが比較的多いことが読み取れた。一方、撮影 時の状況の分類からは、自然や他者の行為に関す る状況説明も多いが、自分の行為について説明さ れたケースも多い。よって自然や他者の行為の中 に、自分の行為を投影しているのではないかと推 察できた。 そして撮影時の気持ちの分類では、自分に関す る気持ちゃ自然に関して感じたことが多く表現 されていた。沢登りにおいては、様々な自然を感 じながら、自分自身の中に不安や恐怖心、疲労感 を抱きつつ、登りつめていく行程の中で逮成感や 充実感を味わっていくと考えられた。 5.今後 調査方法と分析方法を精査し、沢登りにおける 関する気持ちの記述が多く見受けられた。[落ち 体験の詳細について、さらに検討していきたいと ないか、滑らないかといった不安、恐怖心][脚や 考えている。 -

参照

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