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耳下腺腫瘍術後より20年の経過で発症した腺様嚢胞癌の孤発性肺転移と考えられた一例 利用統計を見る

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山 梨 肺 癌 研 究 会 会 誌30巻2017

耳下腺腫瘍術後 よ り20年 の経過 で発 症 した腺様嚢胞癌 の孤発性肺転

移 と考 え られた一例

山梨大学医学部 放射線医学講座

渡 邊 裕 陽 、 澤 田 栄 一 、 本 杉 宇 太 郎 、 大 西 洋 山梨 県 立 中央 病 院 放 射 線 診 断 科*1、病 理 診 断科*2 斉 藤 彰 俊*1,小 山 敏 雄*2 要 旨:症 例 は 耳 下 腺 腫 瘍 の 既 往 の あ る60歳 代 女 性 。 約5年 前 よ りCT検 診 で 右 中 葉 に 結 節 を 指 摘 さ れ て い た 。HRCTで は 、右 中 葉S4に 充 実 性 結 節 を認 め た 。 中 葉 気 管 支 B4bに 連 続 し 、周 囲 脈 管 の 巻 き 込 み や 圧 排 が な く 、形 態 で は 過 誤 腫 な ど の 良 性 病 変 も 考 え られ た 。 し か しFDG-PET検 査 で は 同 部 位 に 有 意 な 集 積 を 認 め た 。 よ っ て 右 中 葉 肺 癌 TlbNOMO stageIAと の 術 前 診 断 で 、 中 葉 切 除 術 が 施 行 さ れ た 。 病 理 で は3.5 ×3.0×2.Ocmの 黄 色 調 の 腫 瘤 を認 め 、篩 状 パ タ ー ン と管 状 パ タ ー ン の 両 方 の 形 態 を 有 し て お り、 腺 様 嚢 胞 癌 の 診 断 で あ っ た 。 耳 下 腺 腫 瘍 の 既 往 も 踏 ま え 、 転 移 性 腫 瘤 の 可 能 性 も あ り過 去 の 病 理 検 体 と比 較 検 討 し た 。 主 な る 病 理 形 態 は 異 な る も の の 、 い ず れ も腺 様 嚢 胞 癌 で あ る こ と か ら 、 転 移 性 肺 腫 瘍 の 可 能 性 が 高 い こ と が 示 唆 され た 。 キ ー ワ ー ド:腺 様 嚢 胞 癌 、 耳 下 腺 腫 瘍 、 孤 発 性 肺 転 移 は じめ に 腺 様 嚢 胞 癌 は肺 癌 に お い て まれ な 疾 患 で あ る。 多 くは 中枢 気 道 発 生 で あ り、 な お か っ発 育 は緩 徐 で あ る。 また 、唾 液 腺 腫 瘍 の肺 転 移 との鑑 別 が 問題 と な る。 今 回 、 耳 下腺 腫 瘍 術 後 よ り20年 の経 過 で発 症 した 腺 様 嚢 胞 癌 の 孤 発 性 肺 転 移 の 一 例 を 経 験 し文 献 的 考 察 を 踏 ま え 報 告 す る。 症 例 症 例:60歳 代 女 性 現 病 歴:5年 前 か らCT検 診 で 、 右 中 葉 に 結 節 を 指 摘 され て い た 。約1年 の 経 過 で 増 大 が み られ た た め 、肺 癌 な ど悪 性 が 疑 わ れ た 。 既 往 歴:耳 下 腺 腫 瘍(他 院 で21年 前 に 手 術 、 詳 細 不 明) 喫 煙 歴:な し 血 液 検 査 所 見(表1):腫 瘍 マ ー カ ー は CEA1.5ng/ml、SLX30U/ml、NSE!0.7ng/ml と い ず れ も 正 常 範 囲 内 で あ っ た 。そ の 他 の 検 査 項 目 に 異 常 値 は 認 め な か っ た 。 胸 部 単 純X線 写 真(図1):右 下 肺 野 に 腫 瘤 影 が 認 め られ た 。 一16一

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平成29年4月!日 (表D血 液検 査 所 見 【血 算】 WBC RBC Hb Ht MCV MCH MCHC Pit 【凝剛 PT PT-I N R APTT f ibrinog en 5400 430T5 13.4 39,9 92.7 31.7 33 7 23T5 /01 g/d1 `yo Fl pg /0l 115 % 0.91 27.5 sec 471 mg/dl 【生化学】 総蛋 白 Alb T.Bi€ AMY BUN Cr CK AST ALT LDH ALP y-GTP 7.6 g/dI 4,6 g/dl 0 81 mg/dI 93 1U/I 9.8 mg/dl 0 58mg/di 67 1U/I 23 1U/1 16 IU/I 171IU/1 313 1U/I 40 1U/: Na 139,7 mEq/I CI Ca CRP CEA SLX NSE KL-6 4.2 103.6 95 0.037 1.5 30 10.7 187 mEq/I mEq/I mEq/I mg/dI ng/ml U/ml ng/m1 U/ml (図1)胸 部 単 純X線 写 真 CT検 査:軸 位 断 で は 、 辺 縁 が 分 葉 状 で 比 較 的 境 界 明 瞭 な 腫 瘤 が 周 囲 構 造 の 巻 き 込 み や 圧 排 な く 占拠 し て い る。良 性 も し く は 悪 性 度 の 低 い 腫 瘍 が 考 え られ た (図2)。 矢 状 断 で は 、 気 管 支 内 に の び る 棍 棒 状 の 所 見 が あ り、粘 液 栓 も し く は 腫 瘍 栓 と考 え られ た(図3)。 FDG-PET検 査: CTで 認 め られ た 腫 瘤 にFDG集 積 を 認 め た 。(SUXmax4.69→5.84)(図4)。 (図2)CT軸 位 断 (図3)CT矢 状 断 一17一

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山 梨 肺 癌 研 究 会 会 誌30巻2017 (図4)FDG-PET 臨 床 経 過:術 前 の 画 像 か ら 、右 中 葉 肺 癌TlbNOMOstageIAと 診 断 され 、 中 葉 切 除 術 が 施 行 さ れ た 。切 除 され た 中 葉 に は3.5×3.0×2.Ocmの 黄 色 調 の 腫 瘤 が あ り、病 理 組 織 像 で は 箭 状 パ タ ー ン (図5)と 管 状 パ タ ー ン(図6)の 両 方 の 形 態 を 有 し て い た 。こ れ よ り腺 様 嚢 胞 癌 と 診 断 され た 。耳 下 腺 腫 瘍 の 既 往 も 踏 ま え 、 転 移 性 腫 瘤 の 可 能 性 も あ り、過 去 の 病 理 検 体(図7,8)と 比 較 検 討 し た 。 主 な 病 理 形 態 は 異 な る も の の 、い ず れ も 腺 様 嚢 胞 癌 で あ る こ と か ら 、転 移 性 肺 腫 瘍 の 可 能 性 が 高 い と考 え られ た 。術 後1年 経 過 す る も再 発 は み られ て い な い 。 図5理 画 像(服E染 色)箭 状 パ タ ー ン ン 一

ω

(図7)過 去 病 理 画 像(H&E染 色)管 状 パ タ ー ン 一18一

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平 成29年4月1日 (図8)過 去 病 理 画 像(H&E染 色)箭 状 パ タ ー ン (図9)病 理 画 像(TTF-1染 色) 考 察 腺 様 嚢 胞 癌 は 分 泌 腺 か ら 発 生 す る 悪 性 腫 瘍 で あ り 、耳 下 腺 や 顎 下 腺 な ど の 唾 液 腺 や 口腔 内 ・鼻 腔 に 発 生 す る。 肺 原 発 の 腺 様 嚢 胞 癌 は 、90%が 中 枢 気 道 よ り発 生 し、末 梢 発 生 の も の は 、唾 液 腺 腫 瘍 な ど の 肺 転 移 と の 鑑 別 を 要 す る1)。Kitada ら の 報 告2)に よ る と 末 梢 発 生 の 原 発 性 腺 様 嚢 胞 癌 と 転 移 性 腺 様 嚢 胞 癌 を 鑑 別 す る の にTTF-1染 色 が 有 用 で あ る 。こ れ に 基 づ き 、 本 症 例 に お け る 病 理 標 本 を TTF-1染 色 し 、再 度 比 較 検 討 した(図9)。 し か し 一 部 に 染 ま る 腫 瘍 細 胞 が あ る も の の 、染 ま ら な い も の も多 く存 在 し て お り 、 陰 性 と 考 え られ た 。 ま た 、本 症 例 で は 、20年 前 で は あ る が 耳 下 腺 腫 瘍 の 既 往 が あ り、肺 転 移 の 頻 度 が 多 い と い う こ と も踏 ま え る と 、原 発 よ り も 転 移 で あ る 可 能 性 が 高 い と考 え られ る 。し か し な が ら 、原 発 で な い こ と を 完 全 に 否 定 す る に は 至 ら ず 、今 後 、遺 伝 子 解 析 な ど 更 な る 検 討 が 必 要 と思 わ れ る 。 結 語 耳 下腺 腫 瘍 術 後 よ り20年 の経 過 で発 症 した 腺 様 嚢 胞 癌 の 孤 発 性 肺 転 移 と考 え られ た1例 を報 告 した 。 術 後20年 の 経 過 中 で も、転 移 す る 可能 性 を念 頭 に 置 く必 要 が あ る と思 わ れ る。 引用 文 献

1 ) Inoue H, Iwashita A, Kanegae H, et al. Peripheral pulmonary adenoid cystic carcinoma with substantial submucosal extension to the proximal bronchus.Thorax 1991; 46 : 147-148.

2)Kitada M, Ozawa K, Sato K, et al. Adenoid cystic carcinoma of the peripheral lung: a case report. World J Surg Oncol. 2010; 8 : 74.

参照

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