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近代的婚姻の法理 カントの婚姻法理論

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家 族

代的

-カ

トの

姻法理論-川

一 絶 對 永遠 の正 し さを も つ も のと して 永 い 間 信 じ られ て き た 一 夫 一 婦 制 は 、 現在 危機 にあ るよ う に思 わ れ る。婚 姻 前 お よ び婚 姻外 に おけ る男 女 の性 關 係 は、 戦後 非 常 に 増 加 し た よ う であ り、 且 つこれ に封 す る人 々の意 識 がも は や 傳來 的 な 婚 姻 の考 方 にし だ い に拘束 され な い よう にな つてゆ く よ う に思 われ る。 同 じ よ うな 現象 が 第 一 次 大職 後 の 時 期 に ヨ ー ロ ッ パ およ び ア メリ カ でも顯 著 と な つ た ( 1 ) 。 傳來 的 な婚 姻 の 思 想 や制 度 の危 機 を説 き 、 また これ に 代 わ る も のと し て 試 験結 婚 や 友 愛 結 婚等 の 新 しい 制度 や 思 想 の導 入 を企 て る 一 蓮 の 文献 が、 それ ら の國 々 で公 け に され た 。 あ た かも 、 サヴ ェ ー 卜 ・ロ シア にお い て は傳 來 的 な婚 姻 制度 を 完 全 に爆破 し て しま う ような 法 律 の改 革 が行 わ れた ( 2 ) 。 し かし 、 わ が國 の 社 會 は 、 これ らの 暴 風圏 の外 にあ つた。 わ れ われ は 、海 の 彼 方 の これ らの あら しを 、言 わ ば 對岸 の火災 のよ う に興味 半 分 の氣 持 ち で、 好奇 心 を も つ て な がめ て い る こと が でき た。 だ が、今 は 、全 く事 情 を 異 に し て い る。 わ れわ れ の社會 も こ の世界 的 な あら し の圏 内 に入 つた ま う であ る。 わ れ われ の受 けた 打撃 は實 に大 き い。 一 方 では、 婚 姻 は、 家 制度 的 な家 父長 制 に拘 束 され て いる と同時 に、他 方 では婚姻 そ のも のの 債 値 を嘲 笑 す る よ うな 現象 が大 量 的 に 起 つて い ろ。 婚 姻 制度 に ついて , われ わ れは 全く混 亂 状 態 にあ ると言 つてよ いで あ ろう。 す な わ ち、 婚 姻 制度 や 性 關係 に つ いてわ れ われ の行 動 を規定 す べ き 傳來 的 な社 會 規 範激 いし便 値 體系 は いち じ 2

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近 代的 婚姻 の法 理 るし く その權 威 を失 つた に かが わらす 、 それ に代る 新 たな社 會 規 範 な いし價 値體 系 は ま だ わ れ われ の生 活 に 根 を 下し て い るわ け 笠は な い。慨 嘆 や 咏嘆 や 憤 激 によ つ て は 、 われ われ の 行動 の方 向づ け は生 れ な い。 この間 題 に ついて のあ らゆ る 方面 か ら の冷静 な研 究 と批判 とが 必要 であ る。 ( 1 ) 大 ざ つ ば に 言 つ て 大 體 一 九二 〇年 代 以 來そうである 。そ の 當時以來結 婚 の 危機を説き 、或はそ の 種 々の 救濟方法な い し 對 策 を説 く 著書 が 無數 に公 け にさ れ て いるご とは、 周知 のご を であ る。 な お、 私 は 第 一 次 大 戦 後 のド イ ツ の事情 に つ いて 簡 單 な紹 介 を試 み誉 と があ る。 川 島 ﹁ 戦 後 性 生活 の 實 態﹂ 女性 改 造 、 一 九 四九 年 九月 號 。 ( 2) 一 九 一八 年 の婚 姻 ・家 族 ・後 見 法 八 六 條 以 下 。 M a k le z o w , Ti m a s c h e w, Al e x e j e w u . Sa wa d s k y , D a s Re c h t S o wj e tr u s s la n d s ( 1 9 2 5 ) . S . 3 12 ; Fr e u nd , Da s Z iv i lr e c h t S o wj e t ru s sla n d s (19 2 4 ) S. 7 4 f . だ が 問 題 は き わ め て 多 面 的 で 複 雑 で あ る 。 も ち ろ ん 、 ﹁哲 墨 的 ﹂ な 研 究 だ け で 解 決 し 得 ら れ る わ け で は な い 。 何 よ り も 重 要 な の は、 いわゆ る ﹁一 夫 一 婦 制﹂ な いし 傳 來 的婚 姻 制度 や 性 道徳 の社會 經 濟 的 な側 面 の 研究 であ る。 し か し、 同 時 に、 一 定 の社 倉 的經 濟 的條 件 が直接 に入 間 の行動 を規 定 す るも ので はな く 、 それ ぞれ の社會 的 經 濟 的條 件 は 一 定 の 價 値 體系 を つく り だし 、社 會 生活 に對 す る 一 定 の基 本 的な 考 方 を つ く り だし 、 一 定 のし か た で入間 の行動 を動 機 づ ける 。 人 間 行動 の この よ うな媒 介 的契 機 は 、 な が い 間 哲學 にお いで 研 究 の 對 象 と され て き た 。 そ の かぎ り で、 ﹁ 哲 學 ﹂も ま た こ の問 題 の解決 に、 重要 な 寄與 を し て きた のであ る 。 させ に指 摘 し た よう に、 現代 日本 にお け る間 題 は遭 わ めて複 難 な様 相 を お びて いる 。 現 代 に おけ る現象 は、 あ る 意 味 で ,は世 界 的 であ る。 し か し、 ヨ ー ロ ッ パ や ア メリ カに お いて は、 近 代 的 な 一 夫 一 婦 制 の 基 礎 の上 におけ る 變 化 が 問題 とな つて い るの に對 し、 わ が國 にお い ては 近 代的 な 一 夫 一 婦 制 そ のも の が 未 だ、 一 般 的 には 域 立 して いな い で 、 む し ろ ﹁ 家 ﹂制 度 的 な家 父 長 制 のわ く の中 にお け る婚姻 制 度 の解 體 、 それ への脅威 が 問 題 とな つて いる の であ る。 し か し、 ま た同時 に、 明 治 以後 、 近 代 的な 一 夫 一 婦 的婚 相 観 が種 々 の﹁ 家﹂ 制度 的 修 正を うけ つ つ も 、政 府 の 公 定 の思想 ・し て採 用 3

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家 族 せ ら れ 、 強 力 に 教 え こ ま れ て き た 。 そ れ は 、 目本 入 に と つ て は 婚 姻 の 理 想 的 様 式 id e a l p a t te r n で あ る 。 だ か ら 、 現 代 に お け る問 題 は 、 ﹁ 家 ﹂ 的 家 父 長 制 の 婚 姻 觀 と な ら ん で近 代 ヨ ー ロ ッパ = ア メ リ カ 的 婚 姻 観 (一 夫 一 婦 制 ) の 問 題 で あ る 。 そ うし て言 うま でも な く 、思 想 的或 は 教育 的 には 、後 者 が きわ め て 重要 な 意味 を も つて い る 。 近 代 的 な婚 姻制 度 がど の よ うな 思 想的 根 據 の上 に診 る のか を 明ち か に す る こと は、 現 代 に お い て は特 に 重要 であ ろ うと 思わ れ る 。婚 姻 に 關 す る カ ント の法哲 學 理論 を 本稿 で とり あげた のは、 こ のよ うな 意 味 に お いて でみ る。 二 カ ントの 法哲 學 の 理論 は 、法 哲 學 の 基 礎 づ け の部 分 に お いて そ の偉大 さを 示し 大 き な功 績 を 残し た が、 そ の 基 礎 の上 に 立 つて の體 系 の 展 開 にお いて は 比較 的貧 弱 であ り、 む しろ 入を し て失 望 させ る、 とさ え言 わ れ る ( 3 ) 。 た し か に、 法 の基 礎 づ け、 殊 に法 と道 徳 と の 關 係 に關 す る彼 の 理論 は劃 期 的 で輝 かし いも の であ ろう 。 そ うし て 、 それ に 比 べ れ ぽ 、 彼 の法 哲 學 理論 の 内 容 、特 に私 法 の部分 は、 ・ た し か に獨 創性 にお い て劣 つて い ると言 え る で あ ろう 。物 權 や債 權 等 に關 する 彼 の理論 は ロ マ ニスト的 な實 用 法學 理論 の再 版 に すぎ な い よう に見 える。 M e zg e r は、﹁ 私 法 上 の 諸 問 題 ( 所 有權 等 々 ) に 關 す る カ ントの スコラ的 な 取扱 は、 自然 法 の傳來 的諸 理論 の 最 悪 のも のか ら抜 け でて いな い﹂ と すら酷 評 す る ( 4 )。 し か し、 それ にも か かわ らす 、 否 それ ゆ え に、 カ ントの 私 法 理論 は、他 の多 く の同時 代 の學者 ( た と え ば、フ ィ ヒテ や へ ー ゲ ル ) に比 べて徹底 的. に近 代的 であ る 6 こと に、 現實 の日 々の生 活 に密 着 し ても つとも非 理性 的情 緒 的な 要素 を含 む と ころ の婚姻 や親 子 の問 題 に ついて は、 ま さ にそ れゆ えに、 カ ント の理論 の近 代性 が輝 い て いる。 彼 の理 論 の内 ・在的 な 論 理 にお いて は、 この こ とは、 彼 の 法 哲 學 理論 が 一 切 の現實 的 具 體的 經 験 的な 文 化 的目 的 的な要 素 かち抽 象 され た ﹁ 形式 的 ﹂ な原 理の論 理的體 系 であ つ た と いうこ と と、 は なれ が た く結 び ついて い る。 だ から こそ、カ ン ト の理論 は、 ほ か の多く の 法 哲 學者 のよ う に現實 と妥 協し 、 これを 肯 定 し、 こ れ を 正當 化 し 、基 礎 づ けると とを 目 的 とし な い で 、 超 4

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近 代 的婚 姻 の法理 現 實 的 に 近 代 の 文 化 の 理 想 像 を 論 理 的 に も つ と も 完 結 し た 型 態 に お い て わ れ わ れ に 示 す こ と が で き た の で あ ろ う 。 ( 3 ) Me tz g e r , G e se ll sc h a ft , R e c h t u n d S ta a t in d er E th ik d e s d e u ts c h e n I d e a li smu s . 19 17 . S . 8 1 . ( 4 ) Me tzg e r, o p . ci t. S . 8 1 . カ ント の 婚 姻 理 論 は 露 骨 で 且 つ 突 飛 な 表 現 に み ち て 誇 り 、 且 つ婚 姻 に お け る ロ マ ン テ イ ック な 要 素 を む ざ ん に 竜 切 り す て て い る 。 そ れ は 、 讀 む 人 を 驚 か す に 足 の る 。 寡 聞 で 不 案 内 な 私 は 、 こ れ ま で カ ント の 婚 姻 理 論 を 立 ち い つて 論 じ た も の が あ る こ と を 知 ら な い 。 恐 ら く 、 ガ ント の 婚 姻 理 論 の 突 飛 な 内 容 の ゆ え に、 そ れ は 彼 の 私 法 理 論 全 體 と と も に 、 忘 却 の 世 界 に お き 去 ら れ て し ま つ た の で は あ る ま い か 。 だ が 、 ひ そ か に 私 は 考 え る 。 カ ン ト の婚 姻 理 論 ほ ど 、 近 代 的 な 一 夫 一婦 制 婚 姻 の 究 局 の 思 想 的 基 礎 を 、 明 快 に 疑 の 余 地 な く 説 き あ か し た も の は 、 そ の例 が 少 い の で は な い だ ろ う か 。 ま た 、 彼 の 突 飛 な 表 現 の 裏 に は 、 近 代 的 な 婚 姻 の ピ ュー リ タ ン的 な 精 神 に 對 す る 彼 の 熱 情 が 秘 め ら れ て い た の で は な い だ ろ う か 、 と 。 そ れ は と 竜 か く と し て 、 近 代 的 一 失 一 婦 制 そ の も の が 明 確 な 精 神 的 基 礎 を も つて 把 握 さ れ す ま た そ の 社 會 的 經 濟 約 基 礎 も 確 立 さ れ て い な い の に 近 代 的 一 夫 一 婦 制 が 説 か れ 教 え ら れ て き た わ れ わ れ の 社 會 に と つ て 、 彼 の 理 論 は 特 に興 味 深 く 思 わ れ る ( 5 ) 。 ( 5 ) カ ント の 婚 姻 理 論 を 知 る た め のカ ント の著作 とし ては、 私は つぎ の も のを 用 いた。 第 一 、" D ie Me ta p h y si k d e r S it te n" ( 1 79 7 ) . 引 用 は、 Imma n ue 1 K a n ts W e rk e, h er a us g egeb e n v o n E . C a ss ir e r . B d . V II に よ る。 な お、 本 稿 中 の 引 用 は 、 原 則 と し て、 恒 藤 恭 ・ 船 田享 二 ﹁ 法律 哲 學」 ( カ ント著作 集9 ) ( 岩波 書 店) に 依 つた。 第 二、 " U b e r d e n G e me in s p ru ch " ( 19 7 3 ) .引 用 は同 じ く Ca ss ir e r. A u sga b e Bd. V I に よ る。 第 三、 " E in e Vo e s u n g Ka n ts u b e r E th ik " , h e ra u s g eg eb e n v o n P aul M e n z e r ( 19 2 1) . これ は、 カ ソ ト の誕 生 二○ ○ 年 記 念 の日 に出版 さ れた、 カ ント の 講 義 の筆 記 で あ る。 こ の 貴 重 な資 料 の存在 を教 示 せら れ 且 つ 貸 具 され た金 子 武 藏 教授 の 深 い 鋤好 意 にあ つ く 感 謝 の意 を表 す る 。

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家 族 第 四 、 "K a n t s Ha n d s c h r if t lic h e r Na c h la s z " Bd . I I 2 . H If t e . (Ka n t s Ge s a m m e lt e S c h r if t e n . A k a d e m ie. Au sg a b e . B d X V ) SS . 5 5 5 -584 . は 、 男 と 女 と の性 的 な ( ひ ろ い意 味 で の) 行 動 ・性 格 ・關 係 に つ い て の、 b e ha v io r is t i c と も 言 う べ き 觀 察 ・ 分 析 等 の断 片 を 集 録 し て いる 。 右 の諸 の 著 作 を 理 解 す る 鍵 と な り 、 ま た 文 化 人 類 學 的 資 料 と も な る 。 あ ま り 微 細 に わ た る か ら 、 本 稿 で は 引 用 し な い。 カ ントの法 理論 の全 髄系 は 、自 由な 人格 を その 究 局 の 基 礎 とし て構 築 される 。 ﹁ 法 は、 一 入 の意 欲 W il lkur が他 入 の 意 欲 と、自 由の 普遍 的 法 則 にし た が つ て 調 和し 能 う た め の 諸 條件 の總 和 で あ る。 ﹂( 6 ) ﹁ 或 る行爲 に お いて 又は そ の格 率 Max ime にし た が つて、 各 入 の意欲 の自 由 が他 の各 人 の自 由 と 、普 遍 的 法則 に從 つて兩 立 し能 うな らば 、 か かる行 為 は 正 し いr e c h t ﹂ 。 ( 7 ) -右 の 命 題 は 、 つぎ の よ う な 概 念 的 前 提 の 上 に 立 つ て い る 。 意 欲W il lk u rと い う の は 、 カ ン ト に よ れ ば . 人 間 が そ の も つ て い る 欲 望 を 行 動 に う つ す Bes ti m m u ng s g ru nd を 自 己 の う ち に も つて い る 場 合 の 欲 望 能 力 で あ つて 、 別 の こ と ば で 言 え ば 、 人 間 が そ の 意 の ま ま に ( n a c h Be lie b en ) 行 爲 す る 能 力 であ る 。 ﹁ そ う し て 、 そ の 欲 望 能 力 の 動 因 Bw w eg u ngsg r u n d e ( すな わち B el ie be n ) が 當 該 の 人 間 の 理 性 Ve r n u n ft の 中 に あ る 場 合 に は 、 そ の欲 望 能力 は 意 思W ille と呼 ばれ る。﹁ 純粋 理性 に よ つ て規 定 さ れ る こ との でき る意 欲 は、 自 由 な 意欲 と 呼ば れ る。 軍 に傾 向 . ( N e ig u n g ) -言 い か え れ ば 、 感 性 的 刺 戟 S t imulus -に よ つて し か 規 定 さ れ 得 な い 意 欲 は 動 物 的 意 欲 で あ る が 、 こ れ に 反 し、 人 間 の 意欲 は、 刺 戟 によ つ て 觸發 され るは す るけれ ど も (af zi ert ) それ によ つて 規定 され な い の であ るか ら、 理性 の 習 練 を 獲得 す る ことな し には 純 粋な も の では な いが 、 し かも 純粋 意 思 に よ つて 行 爲 にま で規 定 され る こと が で き る 。 意 欲 の 自 由 と は 、 か よ う に 意 欲 が 、 感 性 的 刺 戟 に よ る 規 定 か ら 獨 立 し て い る と い う こ と を 意 味 す る の で あ る。 ﹂ ( 8 ) ( 6) M e ta p hy s ik d e r S it t e n . Einl e itu n g ∬ B. S . 31. ( 邦 譯 五 三 -五 四 頁 ) -ま た 、 言 わ く 、 ﹁ お よ そ 外 部 的 法 の概 念 と い へ あ に へ う も の は 、 全 く 、 人 間 相 互 の外 部 的 關 係 に お け る 自 由 の概 念 か ら 出 て く る も の で あ り、 ⋮ ⋮ 。 法 は、 各 人 が 、 各 人 の 自 由 と 一 6

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近 代 的婚 姻 の 法理 般 的 法 則 に從 つ て 可能 な かぎ 婆 で 調 和す るた め の條 件 に合 う よ う に 各 入 の 自 由 を 制 限 す る こ とで あ る。 ﹂Ka n t , Ub e r d e n G emei n spr uch ( Cas s ir e r A usg a b e VI )S . 3 73 . ( 7) M . d . S . E in l. ∬C . S . 3 1. ( 邦 譯 五四 頁) ( 8 ) M . d . S . E in l. in d ie M e t. d . S it t . I S . 11 -14 . ( 邦 譯 一 五-二 二頁) 法 律 に よ つて 保 障 さ れ 強 制 さ れ る と こ ろ の 一 夫 一 婦 制 と い う 婚 姻 型 態 は 、 こ の よ う な 近 代 法 の 基 本 原 則 と ど の よ う な 關 係 に 立 つて い る の か 。 と の 問 題 に答 え よ う と す る の が 、 カ ン ト の婚 姻 法 の 理 論 の 中 心 熱 で あ る と 考 え る 。 カ ン ト の 理 論 は 、 一 見 し た と こ ろ き わ め て 特 殊 な 表 現 と 内 容 と を 竜 つ て い る。 彼 に よ れ ば 家 族 法 上 の 權 利 D a s Re c h t d er h a u s -li c h e n Ge se lls c h a ftと は 、 ﹁ 物 件 と し て の外 的 對 象 の 占 有 と、 人 格 と し て の そ 利 ﹂ す な わ ち 、 ﹁對 物 的 な し か た で對 人 的 な 權 利 ﹂ d a s a u f d in g li c h e Ar t p e r s o n li c h e Re c h t . iu s r e a li t e r p e r s o n a le . で あ る ( 9 ) 。 こ れ を 婚 姻 に つ い て 具 體 的 に 言 え ば 、 ﹁ 性 的 共 同 態 ( c o mme rc iu m s e x u a le ) ︹ 婚 相 は そ の 一つ で あ る ︺ は 、 或 る 入 間 ︹ 夫 又 は 妻 ︺ に が 他 の 人 間 の 生 殖 器 語 よ び 性 的 能 力 に つ い て な す 交 互 的 使 用 ( u s us m e mb r o r u m e t f a c u lt a t e m s e x u al i u m a lt er i u s )﹂ ( 10 ) であ つ て 、夫 又は 妻 は 互 に 他 を 物 と し 長 占 有 し且 つ 人 格 とし て 使 用する 權 利 を もつ て いる、 と 言 う ので あ る。 こ のよ う に、婚 姻關 係 を 、入 間 に甥す る物 的支 配 の面 と人格 的 支配 の面 と に分 析 す るし か た-そう して 、特 に そ の .露骨 な 表 現 -は い か に 竜 突 飛 で 亂 暴 に 見 え 、 わ れ わ れ の a n st a n d ig な 倫 理 感 情 に と つて は 少 か ら す シ ョ ッ キ ング で あ る 。 カ ン ト の婚 姻 理論 が 、 そ の 當 時 のド イ ツ の 他 の哲 學 者 の理 論 に比 べて きわ め て特 色 的 で あ る にも か かわ らず 、 これ ま で ほ と んど論 ぜら れ る こ とが な く、 無視 さ れ る に近 い 状 態 に あ つた こと の 最 大の 原 因 は、 このよ うな 鮎 にあ つ た の では な いで も へ あ ろ う か 。 だ が 、 そ れ は と も か く と し て 、 本 稿 で は 、 こ の よ う な 印 象 に基 い て 判 断 を 下 す こ と を や め て 、 ま す 彼 の 理 論 そ の 庵 の を 理 解 す る こ と に つ と め よ う と 思 う 。 ( 9) M . d . S . ∬ 2 2 . S . 8 0 . ( 邦 譯 一 四 六 頁) 7

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家 族 ( 10) M . d . S . ∬ 2 4 . S . 8 1 . ( 邦 譯 一 四 七 頁 ) 右 の よ う な 婚 姻 法 理 論 の 基 礎 に は 、 つ ぎ の よ う な カ ン ト の 法 = 權 利 理 論 が 前 提 ざ れ て い る。 本 來 人 間 行 爲 の 外 的 な 側 、 面 に 甥 す る 規 範 で あ る と こ ろ の 法 は 、外 的 な 世 界 に 對 す る 入 間 の 支 配 ( ﹁外 的 な 私 の も の 、お よ び 、汝 のも の﹂d a s au s s er e M e in un d D ei n ) を 對 象 と す る も の で あ り ( 11) 、 そ れ が 權 利 で あ る 。 權 利 は、 そ の 對象 に よ つ て つ ぎ の 三 つ に わ け ち れ る。 そ の 第 一 は 、 自 分 の 外 部 に あ る 有 體 物 に 對 す る私 的 支 配 、 す な わ ち ﹁ 物 權 ﹂ S a c h e n r e c h t , iu s r e a le -﹁ 物 に お け る權 利 ﹂ das R a c h t in e in e r Sa c he, ius in re -で あ る 。 カ ント が 物 權 ( 或 は 、 對 物 權 ) と い う と き 、 彼 は 、 天 下 萬 人 に 對 抗 し 得 る 絶 對 的 な 且 つ現 實 の 支 配 に關 係 の な い 觀 念 的 な 權 利 と し て の 近 代 的 な 所 有 様 を 考 え て い る ( 12) 。 そ の第 二 は 、他 人 の 意 欲Wil l k u r に よ る. 或 る も の の 給 付 L e is tu ngに 對 す る 私 的 支 配 、す な わ ち 對 人 權 da s p e s o n li c h e Re c h t , iu s p e r s o n a le で あ る 。 カ ン ト が 對 入 構 と い う と き 、 彼 は 、 自 由 な 意 思 の 主 髄 者 と し て の 法 的 入 格 者 に劉 す る 請 求 權 ( そ の 發 生 の 基 礎 と し て め 契 約 自 由 の 原 則 ) と い う 近 代 的 な 信 権 を考 え て い る ( 13 ) 。 そ の 第 三 が 、 こ こ に 問 題 と な る と ご ろ の ﹁ 封 物 的 に 對 人 的 な 權 利 ﹂ で あ る 。 そ れ は 人 間 に 謝 す る 權 利 ( 對 人 權 ) で あ り う し た が つて 、 そ の 相 手 方 の 自 由 な 意 欲 に よ る給 付 を 私 .的 に支 配 し そ れ を 媒 介 と し て の み 支 配 を 實 現 し 得 る 權 利 で あ る と同 時 に 、 そ の 相 手 方 た る 人 格 を 物 と し て 占 有 し 使 用 す る 權 利 で も 診 る 。 こ の 意 味 で 、 カ ン } の 概 念 構 成 に よ れ ば 、 そ れ は 對 物 權 と 對 入 權 と の 統 一さ れ た 型 態 で み る こ と に な る 。 ﹁ カ ン ト に よ れ ば 、 こ の權 利 は 、 婚 姻 關 係 、 親 權 關 係 お よ び 僕 婢 に 對す る 家 長 の 關 係 の 三 種 に 分 れ る が ( 14 ) 、 も ち ろ ん こ こ で は こ の 中 の 第 一のも の の み を 問 題 と す る こ と に す る 。 ( 11 ) M . d . S . ∬ 1 S . 4 7 ff . ( 邦 譯 七 九頁 以下) ( 1 2) そ の 詳 細 は、 M . d . S . ∬ 10 S . 6 3 , ( 邦 譯 一一 一 頁) ∬ 1 1 S . 6 3 ff . ( 邦 譯 一 一 二頁 以 下) お よび ∬5 S . 5 1f f. ( 邦 譯 八 七頁 以 下 ) 参 照。 ( 13 ) そ の 詳 細 は 、 M . d . S . ∬ 10 S . 6 3 ( 邦譯 一一 一 頁) , ∬ 1 1 S. 6 3 ff . ( 邦 譯 一 一 二頁 以 下) お よび ∬ 18 S . 74 ff . ( 邦 譯 8

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近 代 的 婚姻 の法 理 一 三 五 頁 以下) 参 照。 ( 14) M . d . S . ∬ 2 3 S . 8 1( 邦 譯 一 四 七頁) 。 で は 、 ﹁ 對 物 的 に 對 人 的 な 權 利 ﹂ は 、 婚 姻 に お い て は 具 體 的 に ど の よ う な 内 容 を も つ て い る の で あ る か 。 ま す カ ン ト は 、 人 間 の 性 關 係 の考 察 か ら 出 發 す る 。 そ も そ も 人 間 は 、 他 の 人 間 を 直 接 に自 分 の 享 樂 の 客 體 に し よ う と す る 傾 向 Ne i, g u n g を も つて い る 。 人 間 に あ つ て は 、 そ れ は た だ 一 つ 、 性 慾 で あ る 。 人 間 が 他 の 人 間 の勞 働 や サ ー ヴ ィ スを 、 そ の 者 の 自 由 な 意 欲 にも と す いて 自 分 の 用 に 供 す る と い う こ と は あ る が 、 人 間 が 他 の 人 間 を 直 接 に 自 分 の享 樂 の 客 體 と す る の は た だ 性 慾 の場 合 に お い て だ け で あ る 。 性 慾 の 満 足 に お い て は 、相 手 方 の 性 の み が 問 題 な の で あ り 、 人 間 性 M e ns c h h e it は gl ci c h g u lt ig な も の と し て 背 後 に 退 け ら れ て し ま う 。 だ が 、 ﹁一方 の 性 の 者 が 他 の 性 の 者 の 生 殖 器 に よ つ て な す 自 然 的 使 用 は 享 樂 で あ つ て 、 そ の た め 紅 一 方 は 他 方 に 身 を 委 ね る 。 こ の 行 爲 に お い て 、人 間 は 自 分 を 物 と す る の であ つて 、 こ の よ う な こ と は 彼 自 身 の 人 格 に 對 す る 人 間 性 の權 利 に 矛 盾 す る 。 ﹂ そ こ で 問 題 は 、 一 人 間 世 を 焼 審 す る こ と な く し て 自 分 の 性 慾 を 使 用 す る こ と は 、 ど の 範 圍 内 な ら ば 許 さ れ る の か ﹂ ﹂ と い う 雛 と に な る 。 ﹁ 人 間 は 物 で は な い か ら 自 分 自 身 を 處 分 ( d is p o n ier en ) す る こ と は で き な い 。 人 間 は 自 分 自 身 の 所 有 者 で は な い 。 そ れ は 矛 盾 で あ る 。 何 故 か と 言 え ば 、 彼 が 人 格 で あ る が ぎ り 、 彼 は 、 他 の 物 に 對 す る 所 有 權 を 略 つ こ と の で き る主 體 者 であ る の だ が 、 も し 彼 自 身 の 所 有 者 .だ と す る な ら 彼 ( 自 身 ) が 物 で あ る こ と に な り 、 そ れ に 對 し 自 分 で 所 有 者 を も ち 得 る と と に な る か ら であ る 。 ⋮ ⋮ 同 時 に 物 であ り 且 つ人 格 で あ る 乙 と 、 所 有 者 で あ り 且 つ所 有 物 で あ る こ と は 不 可 能 であ る 。 し こ の こ と か ら 、 賣 淫 の 反 道 徳 性 が 歸 結 さ れ る 。 ﹁ だ か ら 、 利 害 蘭 係 に基 い て ( a us Int ere s s e ) 人 間 が 、 他 の 人 間 の 性 欲 の 満 足 の 對 象 と し て 自 分 を 使 用 さ せ る ご と は 、 自 分 を 物 と し て 處 分 す る こ と で あ り 、 ⋮ ⋮ そ の こ と に よ つ て 彼 の 人 格 、 彼 の 人 間 性 は 、 物 と し て 、 他 人 の 欲 望 の満 足 の 道 具 と し て 使 用 さ れ る危 險 を お か す こ と に な る 。 と の種 の 性 慾 満 足 が v a ga lib id o で あ り 、 ⋮ ⋮ こ れ が 、 貨 幣 と ひ き か え に 、 自 分 を 他 人 の 欲 望 の 満 足 に委 ね 自 分 の 入 格 を 賃 貸 す る と い う 、 も つ と も 恥 す べ き 行 爲 d a s

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家 族 S c h a n d l ic hs te で あ る 。 ﹂ ( 15 ) では、 婚姻 外 の性關 係 のも う 一 つ 別 の型 態 た る野 合 c o n c u b in a t u m の 反 道 徳 性 は い か にし て証 明 され ,る か。 ﹁ 人格 が 互 いに そ の傾向 ︹ 性慾 ︺を 満 足 しあ い、且 つ そ の 目的 に對 す る い かな る 利 害 をも も た な い で 一 方 が ︹ 互 い に︺他 方 へ の 傾 向 ︹ 性 慾 ︺ の満 足 に奉仕 す る 場 合 には 、 そ こ には何 ら 目 的違 反的 の も のは存 在 し な い よう に見 える。し か し、 一 つの 條件 が、 この 場 合 を も 許さ れ ぬ も のと す る の であ る。 野 合 と は、 あ る人格が 他 の人格 に自 分 を傾 向 ︹ 性 欲 ︺の 満 足 のた め に委 ね、 し かも彼 の 人 格 に か か わる 他 の諸 事 情 す な わ ち 彼 の幸福 や 運 命 へ の配 慮 に 關 し て は自分 自 身 に を 留 保 す る場 合 であ る。 し かし 、 そ れ にも かか わら ず 、 自分 を 單 に傾 向 の 満 足 のた め にの み 他 の人格 に提供 す る人 間 な、 や は り常 に彼 の人格 を 物 と し て使 用 さ せ るも の と言 う べ き であ る。 と いう の は 、 傾 向 ︹ 性慾 ︺ は當 に性 のみ を目 的 と して お り人 間性 を 目 的 とす る も の では な いか ら であ る。 と こ ろ で、も し 人間 が自分 自 身 の 一 部 分 を他 人 に渡 し てし ま う場 合 には彼 は自 分 を全 部 渡 し て しま う こ と にな る こと は、 明 白 であ る。 け だし 、入 間 は統 一 燈 なめ﹁ であ るか ら。 ⋮ ⋮ と ころ で、野 合 に よ つて、 私 は ︹ 絹 手 方 の ︺ 全人格 に劉 す る ︹ 要 求 權︺ を 取得 す る わ け では なく 、單 にそ の 一 部分 す な わ ち o r g a n a s e x u a lia に對 す る要 求 權を 取 得 す るだ け でみ ち。野 合 は 一 つ の約束 p a c tu m を前 提 す るが 、 そ の約束 は、 單 に 人 格 の 一 部 分 の享 樂 を 目的 と す るだ け であ つて、 全 體 状態 を 目的 とす るも の で はな い 。 と ころ が私 が野 合 に おい て 人 間 の 一 部分 を享 樂 ず る場合 には 、私 は そ のこ と によ つ て 人間 全體を 享 樂 す る、 し かも 私 は野 合 によ つ て人 間 全髄 に對 す る權 利 を も たず 單 に 人 間 の 一 部 分 に 對 す る權利 を も つだけ であ る、 だ から 私 は彼 の全 人格 を物 に 轉 化 す るこ とにな る 。し た が つて、彼 の傾 向 を満 足 さ せ る この よう なし か た もま た 、道 徳上 許さ れ な いの であ る 。 ﹂ ( 16) (1 5 ) M . d. S . § 24 S. 8 2 -83 , V or le s un g. S. 2 0 4 f f . ( 16 ) V o r l e s. S. 2 0 8-9 . そ こで、 人格 主 體性 の 原 理 の下 にお い て可 能 な性 的結 合は 、 ただ 一 つ 、一 夫 一 婦制 的 婚姻 だけ であ る ことが明 ら か と 10

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近 代 的婚 姻 の法 理 な る。 ﹁ ︹ 私 が ︺彼 の性 的 傾向 ( 欲 望) を 使 用 す る 自 由 の 存 在 す る ︹ し得 る ︺唯 一 の 條 件 は 、 後 の 全 人格 を處 分 する 權 利 に立脚 する の であ る。 この他 人 の 全人格 の處 分權 は 、 ︹ 彼 の︺ 幸 福 の 全状態 と か そ の 他 彼 の 人 格 に かか わ るす べ て の事 情 を蔽 う も の であ る。 私 がも つて い ると ころ の、 彼 の 全人 格 の 處 分 權 は、 ︹ 彼 の︺人 格 の 一 部 分を 處 分 す る權 利、 した が つて性 的傾 向満 足 のた め に o r g a n a s e x u a l ia を 使用 す る 權 利 をも 私 に與 え る。 で紋 、 全入 格 に對 す る この權 利を は 何 によ つ て 取得 す るの であ る か。 ほか でも な い、 同様 に私 が その人 に、私 の全人 格 に對 す る同 様 の權 利 を與 える こと によ つ て であ る。 こ の ことは た だ婚 姻 に お いて のみ存 在 す る。婚 姻 m a t r imo n iu m は、 二人 の常事 者 が互 いに等 し い 權 利を 回復 しあ い、各自 が相 手 方 に 自分 の人格 を 與 え そ の結果 各 自 が 相 手方 の全人格 に對 す る 完 全な權 利 を も つと い う ︹ 契 約 ︺條 件 に同 意 す る と ころ の、 彼ら の契 約 であ る ( 17 )。 一 人 格 が他 の入格 に 自 分を ささ げ る場合 には 、彼 は宮 分 の性 のみな らす そ の全人 格 を ささ げ るも のであ る。 と いう のは人 格 は分裂 され 得 ぬも のな のだ から 。 ⋮ ⋮し か し 、 私 が 私 の全人 格 を他 の人格 に與 え る かわ 参 に そ のこ と により そ の相 手 方 の人格 を獲 得 す る場合 には 、私 は 私自 身 を とり も ど し 、 そ の こと に 、よ つて私 自 身 を再 占 有 す るわ け であ る。 と いう の は、 私 は私自 身 を 他 人 に與 え て彼 の 所 有 物 と な るが 、 同時 に私 は 私 の所 有者 とな つた そ の人格 を獲 得 す るの だか ら、 私 は 私自 身 を再 びと りも ど す ご とにな るから であ る。 か よう にし て 、 二箇 の人 格 は 意思 の統 一 體 を 形域 す る 。 ⋮⋮ か よ う にし て、性 的 傾 向 は人間 の間 に 結 合 を つ く り だし 、 こ の結合 の下 に お いて のみ 性的 傾 向 の 使 用 が 可 能 な も の とな る。 性 的傾 向 を使 用 す るた め の こ の 條 件 -それ は た だ婚 姻 の下 に お いて のみ 可 能な のであ つた-は道 徳 的 で あ る。 ﹂ ( 18 ) ( 17 ) 婚 姻 m a tr im o n i u m は 、 ま た つ ぎ の よ う に も 定 義 さ れ る 。 ﹁ 性 を 異 に す る 二 人 格 の 、 彼 ら の 性 的 特 長 の 生 涯 に わ た る 交 互 的 占 有 we c h s e ls e iti g e r B e s it z へ の 結 合 で あ る。 ﹂ ( M . d . S . § 2 4 . S . 8 1 . 邦 譯 一四 八 頁 ) (1 8 ) Vor le s u ng, S . 2 0 9 -21 1 , -な お 、 M . d. S. § 2 5. S. 8 2 . ( 邦 譯 一 四 九 -一 五 〇 頁 ) に は こ の 趣 旨 が 要 約 さ れ て い る 。 一 夫 多 妻 制 の 不道 徳性 も 同様 の論 理 から説 明 され る。 ﹁ 何 び とも婚 姻 にお い て 同時 に 二人 の妻 をも つこと が できな い、 11

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家 族 と結論 せざ る を 得 な い。 何故 か と言 う と、 も し それ を 許 す る と假 定 す る と、 ど ちら の 妻 も 、 自分 を 全部 夫 に與 え、 した が つて夫 の全人 格 に對 す る同様 の權 利を も つ て いる に かか わら ず 、 夫 を 半分 し か所 有 し て いな い のだ か ら。 ﹂ だ から 、 結 局 一 夫 一 婦 制 の 婚 姻 のみ が道 徳 的 根據 に矛 盾 し な い のであ り 、 た だ そ の下 に お いて のみ fa c u lt a s  s e x u a li s の使用 が 正當 にな され得 る の で あ る ( 19 ) 。 ( 19 )  V o r l es. S . 2 11. 三 カ ント の婚姻 理論 の輪 廓 は、 以 上 で大 體 明 ら か にな つた こ とと考 え る。 そ の表 現 は突 飛 でまた 露骨 であ るが、 わ れわ れ に と つ て 問 題 とな るの は、 そ の外 形的 な 表 現 で はな く て、 そ の實質 的 な 内容 そ のも の でなけ れば なら な い。 では 、 カ ント の 婚 姻 理論 は ど のよ う に評價 さ る べき であ ろ う か 。 カ ントの婚 姻 理論 が目 的 とし た のは 、 近代 的 一 夫 一 婦 制 の基 礎 づ け と いう こと であ つ た 。 とこ ろ で 、 彼 が そ れ を なし とげ た方 法 は、 言 うま でもな く 社會 的 經 濟的 或 は政 治 的 な 現實 の諸 條 件 と の 關 蓮 に お いて 一 夫 一 婦 制 の必然 性 や合 理性 を 説 明す ると いう し か た ではな く し て、 一 定 の前 提 から 出 發 し て 純 粋 に 先 験 的 に論 理 的 に展 間 す ると いう し か たであ る。 そ の結果 、 婚 姻 におけ る e mo ti o n a l な要 素 は 捨象 され 、﹁ 法的 な﹂-﹁ 法主 能 者 が自 由 の 普 遍的 原 理 に 從 つ て 共同 に生活 し得 るが ため の、 行 爲 の 外 部 的關 係 ﹂ に關 す ると ころ の-要素 のみ が とり ださ れ る。 か よう にし て、婚 姻 に お いて -特 に、近 代 の婚 姻 にお いて-大 き な 意味 を も つ と ころ の愛情 の要素 が捨 象 され て いる。 そ の こと が 、 カ ント の婚 姻 理論 に對 し多 く の人 々のも つ 不満 の原 因 と な つて い るで あろ う 。 また 、 右 の よう な カ ン ト の形式 的 ・ 論 理的 な 理 論 は、他 の多 く の 法 的 型態 に つい てと 同様 に婚姻 に つ いても 、 現實 の生活 にお け る現象 から 一 應 切 り はな され た 理想像 を 示も て い る。 と ころ が現實 の生 活 に現 われ て く る法 的 現象 は 、 彼 が説 くよ う な言 わば 純 粋 なも ので はな く て、多 く の 12

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近代的婚姻 の法理 歴 史 的 限 定 を 伴 つ た も の で あ る 。 そ れ は 、 カ ン ト が 住 ん で い た 東 ヨ ー ロ ッパ の 田 舎 都 市 ケ ー ニヒ ス ベ ルグ に お い て は 特 に 、 現 實 か ら は な は だ し く 程 遠 い も の であ つ た で あ ろ う ( 20) 。 だ が 、 だ か ら と て 、 こ の よ う な 抽 象 朗 な 理 想 像 の 理 論 的 解 明 が 、 無 益 な も の で あ る と 断 定 す る こ と は で き な い 。 ( 20、 當 時 の 東 プ ロ シ ア に お け る 市 民 階 級 の未 成 熟 と いう 歴 史 的 事 情 が 、 カ ン ト を し て 純 粋 に論 理 的 に問 題 を 取 扱 わ し め た こ と 、 且 つ カ ン ト を そ の 觀 念 的 論 理 的 世 界 の外 に 出 さ せ な か つ た こ と に つい て は 、 M a r x u . En g e ls , Di e d e n t s c h e I d e o l o g i e (Ad o r a t s k ij -Au s g a b e ) 1 9 3 2 . S. 1 7 5 ff . こ の よう な カ ント の 法 哲 學、 特 に婚 姻 の理論 は 、現 代 の社 會 學 の概 念 で表 現 すれば 、 客 觀 的 には 、 近代 市 民社 會 の 社 會 秩 序を 支 え る と ころ の價値 體 系 v a lu e s y s te m に おけ る、 法 -そ うし て婚 姻 -の 地位 や構 造 や關 係 を 明ら か に す る ことを 目的 とし たも の と認 めら れ る。 彼 は、 も つとも 根本 的 な基 礎 的 な も のか ら出 發 して 、近 代 市民 的 な諸 の價値 を 、論 理的 に 完 結 し た 一つ の統 一 あ る體 系 に ま で構成 し よ う と試 み た。 そ の こと によ つ て はじ め て、 近 代市 民 的 な諸 の 價 値 は相 互 に 矛 盾 のな いも のとし て 、 そ の 存 在 の根據 を 確 保 す る こと が でき るは ず であ る 。 一 般 に社 會 規範 は -特 に 法 は-一 方 では それ ぞれ の歴史 的 社會 の現 實 の具 體的 諸 事精 に よ つて限 定 され ると同時 に 他 方 にお いて は また そ の社 會 の も つとも基 本 的 な價 値 によ つて規 定 さ れ て い る 。 あ ら ゆ る 經 濟 的 社會 的政 治 的基 礎 の上 に新 た な社 會組 織 や秩 序 を う ち た て よ う と す る 歴 史 的 時 期 に お い て は 、 新 し い 人 間 類 型 ( 或 は P e r s o n a li ty ) と とも に 新 し い 價 値 體 系 の 確 立 を 必 要 とす る。 そ うし て、 そ のよ う な時 期 に お いて 、 新 しい 社會 秩 序 を人 々 の自 覺 的 な行 動 に よ つ て 形成 し よ う とす る とき に は 、 このよ うな 價 値 體系 の論 理 酌 な 構 成 が現 實 的 に必 要 とな る。西 ヨー ロ ッ パ 近代 社會 にと つて自 然 法 論 が果 し た歴 史 的 役 割を 、 カ ン ト の法哲 學 は特 殊 的 に ドイ ツの市 民社 會 にと つ て 果 そ う とし た のであ つた 。 そ うし て、 特 に、 婚姻 に つ いて は、 カ ン ト の理 論 は、他 の多 く の學 者 におけ るより も そ の市 民精 神 にお い て 徹 底じ て いる の であ る。 カ ン ト の 婚 姻 理論を こ のよ う な も の とし て見 た 場合 には 、 波 の理 論 に おけ る高度 の抽 象性 や論 理性 には何 ら 不思議 は 13

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家 族 な い。 同 時 代 の 社會 哲 學 者 ( 例 え ば、 フ ィ ヒ テ︶ に お い て も ( 21) 、 ま た カ ント に先 行 す る 自 然 法 論 者 に お い て も ( 22) 、 婚姻 理 論ばそ れぞれの 時 代にお け る 婚姻 の 具體 的 な 關係 -特 に 、そこで は男 性支配が 顯 著 で あ つ た -を反 映し て い た の に比 べると、 カ ン ト の理 論 は そ のよ う な具 體 的 な事 實 を 全 く捨 象 し、 純 粋 に論 理的 に 構 成さ れ て い る 。 こ のよ う な抽 象 的 な理 論 は時 にな 無内 容 に見 え る ( 23 )。 しか毛 、 カ ン 千 の 婚 姻 理 論-同 様 に 法 理論 全體 -を そ の ゆ えに非 難す る の は、 カ ン み 理論 の理解 のし か た と して 誤 つ て い るの であ り 、 カ ント の理論 はむ し ろ その點 にそ の功績 を も つ て い るの であ る。 すな わ ち、 さき に 述 べ た よ う に、カ ン ト の法 哲學 、 そう し て婚姻 理論 は 、 現實 の習 俗 や規 範 關係 を 正 當 化 す る こ と を 目 的 とし た も の では な し 、 近代 市 民 社會 の價 値 體系 の論 理 的構 造を 、 法 の領域 に つい て -そし て婚姻 に つ いて-明確 にす る こ とを 目的 と し た の であ り、 ま さ に そ のゆ えに彼 は 現實 を 捨 象 し、 ま た 現實 と の 安 協 にすら い た ら な か つた の で あ る 。 (2 1 )  F ic h t e , Gr u nd lag e de s Na t ur r e c h t s . (F ich t e s W e r k e, h e r a u s ge g e b e n v o n F r it z M ed ic us ) 2. B d. S. 3 2 0 f f . (2 2 ) H u go G r ot i u s , Le d r o i t d e la gue r r e e t d e la p ai x . ( t r a de it p a r P. Pr adi e r -Fo d er e) t . l (1 8 6 7 ) , Li vr e d e u xi e m e , c h ap. V . V I I I -I X . p. 4 9 8-5 07 . (2 3 ) M e t z ge r , o p . c it . S . 8 3 . では、 近代 的婚 姻 を 近代 市 民社 會 の價値 體 系 の 中 に位置 づけ 、 基 本 的 な價 値 と の 論 理的關 係 を 明ら かにす る と いう カ ン トの 理論 は、 そ の内 在 的 な論 理 の展 開 に おい てど の よ うに成 功 も て い る で あろ う か。 これ が、 つぎ に 間 わな ければ な ら ぬ 問 題 であ る。 前 述 の紹介 か ら明 ら かな よう に、 カ ント の 婚 姻 理論 の核 心 は 、 夫 婦 が互 い に 絹 手 方 に ,對し て﹃ 對物 的 に對人 的 な權 利﹄ を も つ 、 と いう論 理構 成 に あ る。 ﹁ 對物 的 に﹂ と いう のは 、 そ の 權 利 が 相手 方 の 肉 體 の占有 使 用を 貝 的と す る 點 を 示 す の で言 、ま た ﹁ 對 人的 ﹂ と い うの は、 相 手 方 の 肉 體 の占有 使 用 が 相 手 方 の寓 な意 思を 媒 介 と す る、と いう點 集 す 14

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近 代 的婚 姻 の 法理 の であ る。 言 う ま でも な く、 カ ン ト が婚姻 の權 利關 係 を分 析 し て、 彼 の いわ ゆ る ﹁ 對物 的 ﹂要 素 を とり だ した と いう ことは 、わ れわ れ の多 く に と つてき わ め て奇異 な 感 じを 與 え る。 し かも 、 そ の點 とそ、 カ ン ト の 婚 姻 法 理論 の核 心 をな して い るの であ る ( 24 )。 ( 24 ) 夫 婦 が 相 手 方 の ﹁ 肉 體 を 所 有 す る ﹂ と い う 構 成 の系 譜 は ま だ 私に は 詳 か で は な い。 し か し 、 彼 の 獨 創 に か か る も の で は な い こ と だ け は 、 確 か な よ う で あ る 。 私 の 知 つ て いる か ぎ り で は 、 ロ ッ ク が 同 様 の 考 え を 述 べ て いる 。 ﹁ 婚 姻 的 社 會 は 男 と 女 と の 任 意 の 約 束 に よ つ て 作 ら れ る 。 婚 姻 と い う も の は 、 主 と し て 、 そ の 主 な 目 的 た る 生 殖 の た め に 必 要 な 交 わ り c o m m u n io n と 根 手 方 の 肉 體 に 對 す る 權 利 と に 存 す る の で あ る が ⋮ ⋮ ﹂ (L o c k e , Tw o T r e a t is e s o n C i v il Go v e r n m e n t . Bo o k I I , Ch a p t . VI I ) ます 第 一 に、 カ ン 卜 の 論 理 にお い ては、 人 間 が性 慾 を も つて いる と いう 自 然 的事 實 、 そ うし て 、 それ に基 い て 人間 が 他 の人間 の 肉 體 を ﹁ 占有 ﹂ し ﹁ 使 用﹂ す ると いう 自 然的 事 實 が出 發 點 とな つて い る。 ﹁ 子 を 産 み且 つ 養 育 す ると いう 目的 は も と より 自 然 の目的 であ つて、 自然 は、 かか る目 的 のた め に兩 性間 に對向的 な 傾向 を 植 え つ け た﹂( 25) 。 つぎに 人間 の肉 體 の占 有 ・使 用 と人 間 の 主 體 的 人格 とが い か にし て調 和 し得 るか、 と いう問 題 が 現わ れ る。 そ うし て、 乙 の 問 題 の 解 決 が 、主 體 的人 格断 の現 約 であの 、 との契 約 を と おし て、 主 體 的人 格 は相 互 に相 手方 の 自、 由 意思 に基 く行 爲 を請 求有 る權 利 ( 對 人權 ) を 取得 し、 そ れをと おし て 得 手 方 の 肉 體 に對 す る占有 、 使 用 を基 礎 づけ る。 か よう な 對 人 權を とお し て 、 主體的 人格 は相 互 に相 手 方 の肉 體 を あ た かも ﹁ 物 とし て﹂ 取 得す る ( ﹁ 一 人 格者 が他 の人 格 者 に よ つて あ たか を粉 どい で取 得 さ れ る と 共 に、 更 に反 對 に、 前 者 が後 者 を ︹ 物 とし て︺ 取得 す る﹂ )( 前述 ) . (2 5 ) M . d. S. § 2 4 . S. 8 1 . ( 邦 譯 一 四 八 頁 ) ; V o r l e s un g. S . 20 4. 15

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家 族 と ころ で、 このよ う な ﹁ 對物 的 に對人 的 な 權 利 ﹂ は、 き わ めて 特 色 的な 權 利 であ る。 夫 婦 は自 由 な主 體者 とし て相互 に對人 權 によ つて ﹁ 債 權的 ﹂ に拘 束 さ れ て い る。 し かし 、 同時 に、 そ れを と お し て ﹁ 物權 的﹂ に 拘 束 さ れ て いる。 そ こ には、 財産 法 上 の ﹁ 對人 構 ﹂ に おけ るよ うな ﹁ 債權 平 等 の原則 ﹂ は存 在 しな い。 夫 婦 は 互 い に 一 夫 一 婦 的 に、 すな わ ち 相 手 方を獨 占 排他 的 に支配 して いる ( だ か ら人 格 者 を ﹁ 物 とし て取 得 ﹂ す る、 と いう 表 現 が使 われ る) 。 だ から 、 その か ぎり では、 夫婦 の權 利關 係 は、 對入 的 p e rs o n lic h では な いわ け であ る。 で は、 この よう な獨 占 排他 的 な ﹁ 對物 的 ﹂ な 支配 が い かに して 、 人格 主 體性 の原 理 と、 或 は 對人 權 の 問 題 と、矛 盾 な く存 在 し 得 る のか。 人 格 主體 性 に基 く近 代 的 價値 體系 の中 におけ る 一 夫 一 婦 制の基 礎 づけ の問 題 は、 カ ン ト に と つて は こ のよう な 形 に おい て現 われ る こと にな る。 さき に 見 たよ う に、 カ ン トは 、人 格主 體 性 の理論 から出 發 して ここ でも ま た論 理的 に 構 成 し た。 すな わ ちま す主 體 的 な 人格 は分 割 さ れ得 ぬ 全 一 體 である が、 肉 體 の債 權 的 な占有 使 用 關 係 た る 諸 の關 係 ( 賣淫 ・ 野 合) にお いて は、全 一 體 た る人格 でな し に 單 にそ の 一 部分 た る o r g a n a  s e x u a lia の占有 ・ 使 用 の み が扇的 と な つ て いる にす ぎな い。 し か る に 婚 姻 にだ いて は この 不可 分 の主 體 的人 格 が 全 一 體 と し て相 手 方 に移 譲 され 、 且 つ同時 に その移 譲 者は 相 手方 か ら彼 の主 體 的 人格 を 全 一 體 とし て 移讓 され る。 かよ う に して 、夫 婦 は 互 い に糊 手 方 の人格 を 全 一 體 と して 淺 るく ま なく麦 配 し 、 そ の反 射数 集 とし て o rg a n a  s e x u a l ia を 占有 ・ 使 用 す る權 利 を 取得 す る。 婚 姻を 成 り たた しめ ると と ろの夫婦 の對人 權 は、 このよ うな 全人 格 の移 讓 の 基 礎 の上 に お いて 、對 物 的な 内容 をも つてあ ら われ る。 カ ン ト の ﹁ 法 哲學 ﹂ 理論 は 、 こ のよ うな整 然 だ る論 理を も つて、 一 夫 一 婦制 を 近 代 市民 的價 値 體系 の 中 に位 置づ け 、ま た こ れ を基 礎 づ け た のであ る。 このよ うな カ ントの 理論構 成 は二 つの點 で きわ め て重 要 であ る。 第 一 に、 カ ン トは 、婚 姻關 係 が主體 的人格 間 の 契 約 關 係 であ り、 レた が つ で 、 相互 に相 手方 の 自 由意 思を 媒介 と か る 行 爲 の請 求權 によ つて 構 成 され るも のであ る ことを 明 ら かにし 、 その こ と によ つて、 近代 市 民 的婚 姻 の契約 的 盤質 と非 權力 的 性 質 とを 明ら か にした の と同 時 に、 近代 市 民約 婚姻 にお け る 一 夫 一 婦 制 が 、相 手 方 に對 ず る夫 婦相 互 の ﹁ 物 權 的﹂ な 支 配關 係 であ る こと、 す なわ ち、 相手 方 に對 す る 16

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近代 的婚 姻 の法 理 支 配 があら ゆ る第 三者 を 排 除す ると ど ろの獨 占 排他 的 支配 權 であ る こと、 お よび 、 そ の支配 の 内容 が 客體 ( 配偶 者 ) の 人 間的 存 在 の包括 的 全體 に わた る も の で あ る こと、 を 彼は 明ら か にんた 。 こ の後者 の 點 が、 第 一 の 點 と深 く内 的 に 關 連 す るも の であ る こと は言 う ま で竜 な いが 、 し かも 、 こ の 點 はき わ めて 重要 であ る。 客體 に對 す る支配 が 、第 三 者 に對 し て は 獨 占排 他 的 であり 、 又 そ の内 容 に おい て客 體 の 全體 に對 し包 括的 であ る と いう ことは、 近 代 の 私 的所 有 權 の 特 質 で あ る。 言 うま でもな く 、中 世 の 封 建 制社 會 を支 えた 土地所 有 關 係 に お いては 、所 有 權 な いし領 有 權 は す べ 'て の第 三 者 に 對 抗 し 得 べき獨 占排他 的支 配 で はな く對 人 的相 對 的 な權 利 であ つた し、 ま たそ の 内容 にお いて客 體 の 或 る側面 のみ を部 分 的 に把 握 す る にすぎ な い のが原 則 であ つた ( 26 )。 しか るに、 近代 的 所有 權 にお いて は、 所有 權 はす べて の第 三者 に 對 す る關 係 に お いて絶 對的 な しか た 、で獨 占 排他 的 であ の 、 且 つ客體 の物 理的 存在 全體 に對し て包 括 的 に支 配 を及 ぼす も の で あ る ( 72 )。 だ か ら、 カ ン ト は、近 代 的一 夫 一 婦 制 婚 姻 に お いて は、 夫 婦 がま さ に 近 代 的所有 權 と同 一 の型 態 にお い て 互 い に 相 手 方 を 所 有 し て い る の で あ る こ と を 、 明 か に し た こ と に な る の であ る 。 (2 6 )  G ie r ke, D a s de u t s c he G e n os s e ns c haf t s r e c h t. Bd . 2 S. 5 6 ff . ( 川 島 ﹁ 所 有 權 の 觀 念 性 ﹂ 法 協 六 〇 巻 一 〇 號 、 六 一巻 一 ・ 八 號 、 六 二 巻 二 號 、 川 島 ﹁ 所 有 權 法 の 理 論 ﹂ 、一○ 八 頁 以 下 。 (2 7 ) Gi e r k e , Das d e u ts c he G e no s s e ns c ha f t s r e c ht . B d. 2 . S. 5 9, 6 1 f . 川 島 ﹁ 所 有 權 法 の 理 論 ﹂ 一 一 ○ 頁 以 下 、 一 七 五 頁 。 第 二 に、近 代 的 所有 權 と、近 代 的 一 夫 一 婦制 に おけ る相 手 方 の人格 に對 す る獨 占 且 つ全面 的 な支 配 ( 私 的 所有 ) と の 對 應關 係 は、 何 を意 味 し て い るか 。 カ ントは こ の 點 に つ いて明確 な答 を與 えて いな い。 し かし 、 この對應 關 係 の指 摘 そ の も のは 、近 代 法 の構 造 の 理解 にと つ て き わめ て深 刻 且 つ重要 で あ る。 人間 の人格 し た が つ て そ の構 成部 分 と し て の肉 體 ( 特 に、o r g a n a s e x u a li a ) の ﹁ 所 有 ﹂ とい う、 一 見突 飛 で露骨 でデ リ カ シ イ を缺 く と ころ の カ ン トの 理論 は 、私 の 老 え ると こ ろ によ れば 、實 は問 題 のも つとも 根 本を つい て い る の で あ る。 財 産 法 に おけ る私 的所 有權 と婚姻 にお け る 肉 17

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家 族 體 の ﹁ 所 有 ﹂ と の對 應關 係 は、 決 し て單 な るた と え話 しと か 或 は單 な る論 理 上 の 對 應關 係 とかに す ぎ な いよ う なも の で はな い。む し ろ、 それ は、 現實 的 な 對應 關 係で あ り、 社 會 科 學者 とな つて カ ン ト の理 論 が興 味 があ るの は、特 に この點 で あ る。婚 姻 法關 係 の ﹁ 哲 學 的﹂ 解 明 を めざ し た カ ン ト にお い ては 、 も ち ろ ん この こ とは はじ め かち 視野 に入ら な か つ た であ ろ うし 、 また そ れは 當 然 であ る。 にも かか わ らず 、 彼 は問 題 の ﹁ 哲學 的 ﹂ な追 求 を とお し て、 社會 科 學 に と つて 恐 ら く はも つとも 深刻 な 課 題 を暗 示 し た の であ る。 と いう譯 は こう で あ る。 私 は、所 有 權 に ついて 、 つぎ のよ うな 假説 を 考 え る。 それ ぞ れ の 歴史 的社 會 は 、 それ に 固 有 な しか た で外 界的 自然 を 支 配 し ( 所 有 制度 ) 、 そ れ によ つてそ の 社 會 の全 生産 組 織 ・ 政 治 組 織 を構 成 し、 そ れ によ つて そ の 社 會 の 生存 を維 持 し て い るの そ のよ うな基 本 的 な所 有 の型 態 は、 そ の社 會 の 秩 序 のも つとも 重 要 な基 礎 を構 成 し てお り、 し た が つて こ の 基 本 的な 所有 型 態 を尊 重 し、 こ れ に從つ て行 動 す るよ う に人 女の思 惟 と行 動 と を 方向 づ け る こと は、 そ の社會 の維持 存續 にと つて の不可 缺 の條 件 と な る。 か よ う にし て、 それ ぞ れ の社 會 の基 本 的 な所有 の 型 態 は、 そ の社會 の人 々 の p e r s o n a lit yを規 定 し 、 そ の構成 的 内容 とな り、 人 々 の思 惟 と 行動 との様 式 准 いし型 を つ く り 上げ る。 人 々 は そ の 所 有 の基 本 的な型 にし た が っ て意 識 し行 動 す る。 かよ う に して 、基 本 的 な所 有 の理態 に對 應 す るお ごろ の他 の諸 の社會 關 係 が彩 成 さ れ る。 この法則 は、 人間 が 物 とし て所有 さ れ た奴 隷 制 社會 では妻 が家 内奴 隷 とし て の地位 に おかれ 、 また 出地 支配 を 媒介 とす る封 建 的身 分 支配 關係 が成 立 ず る社會 で は 、 夫 と妻 との關 係 が 夫 の財 産 を媒介 と す る主 從的 身分 支配 關 係 と し て成 立 す る、 と いう こと にも 現 わ、 れ で いる。 だ から 、近 代的 所有 權 の上 に 全 生産構 造 や 社會 構 造 や政 治構 造 が構 築 され て い る と とろ では、婚 姻 關 係 が同 じ 型 の關 係 と して 成 立 す るに至 るの は當然 であ る の カ ン ト の﹁ 對 物 的 ・ 對人 的な 權利 ﹂ の理論 は、 所有 制度 と婚 姻 制度 との間 の この 現實 の 對應 關係 を 暗 示 して いる點 で、 社 會 科 學 に と つてき わめ て意味 深 い も のと考 え ちれ る の で あ る。 18

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