• 検索結果がありません。

アジアの動向 韓国 1966

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "アジアの動向 韓国 1966"

Copied!
285
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

アジアの動向 韓国 1966

著者

アジア経済研究所

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

シリーズタイトル

アジア動向年報

雑誌名

アジアの動向1966年版

発行年

1966

出版者

アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00052005

(2)

-')

-

'

アジアの動向

p b

ζU

O

J

廿 日 止

E

E

叫 ん /

置量−冨置圏圃

−E ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 山 川 日 目 。 。 川 刷 聞 棚 m m m n u 川 川 川 川 川 川 川 ヲ ’ 川町山町山町’崎 山 山 山 山 山 山 川 区 J 山 山 川 川 川 川 川 n w z

E ・E ・ − E ・ E − 山 町 山 川

4

削船脚

1

. . . . . . . . . . . . . .

ア ジ ア 経 済 研 究 所

(3)

\?ノミケ{部

J

アジア経済

4

2

.

8

,

4

い−・−・・・・・

韓国/小牧輝夫 この「アジアの動向」く国別シリーズ) 1966年は,月刊「アジ アの動向」を各国別に 1冊にまとめ,総目次, 1966年の回顧, 年表を追録したものです。 アジア諸国の政治・経済の動きを適確に把握する基礎資料と して,月刊「アジアの動向」とあわせてご利用ください。

(4)

目 次

1966年の回顧...Ci) 年 表 (1966年)......................................................折込 〔解説事項〕 南ベトナムへの再増派 (1・2月) •••••••••••••••••••••••••••.•.•••••.•.•.•• 8 韓日間の経済協力問題( 4月〉....................................ー...77 空軍派遣問題とロッジ氏の訪韓(5月) ••.•.••••••••••••••••••••••••••.•••••• 97 農地所有上限制廃止問題( 5月) ...99 新予算の性格(8月) ••••.•••••••.••••••••.•••••.••••••••.••••••••••.•••• 151 三星財閥の密輸事件(9月) ...171 ジョンソン米大統領の訪韓(11月) •.••••.•.••••••••••••••.•••••••••••••••• 219 〔主要事項〕 朴大統領の年頭教書( 1・2月) ...4 南ベトナム増派条件で合意( 1・2月) ••.••••.••.•••••••.•.••••.•••••••••••• 6 朴大統領,東南アジア 3ヵ国を訪問 (1・2月) ...6 1965年度国民総生産の暫定推計 C1・2月) ... 7 第 1次 5ヵ年計画の最終年度計画(1・2月) ...8 第 1次経済開発 5ヵ年計画の中間評価 (1・2月) ...8 請求権資金の初年度使用案( 1・2月) ...10 第 2次 5ヵ年計画の総量計画案( 1・2月) ••••••.•••.•••.•••••••••••••.••••• 10 韓日合同経済懇談会の共同声明 C1・2月) ...11 韓日経済協力の構想(1・2月) ••••••••••••••.••••••••••••.•••••••••••••••• 12 増派費用問題の落着(3月) ...62 請求権第 1次年度使用計画,国会を通過( 3月) ••.••••••••..••••••.•••.••••.• 62 アジア・太平洋地域外相会議の予備会議開く(4月) ...79 請求権初年度実施計画,韓日間で合意(4月) ••••••.••.•.•.••...•••••••...•.. 80 66年度第 1回追加予算案国会を通過( 4月) ...82 66年度財政借款・商業借款支払い保証計画案,国会で承認( 4月) •••.••••..•••• 83 第3回韓日貿易会談終る(4月) ...84 1

(5)

-目 次 民社党,南北交流論を提起(5月〉 ... 105 北朝鮮技術者入国問題( 5月) þÿ0ûþÿ0ûþÿ0ûþÿ0ûþÿ0ûþÿ0û••••••••••••••••••••••••••••••••••••• 106 対日請求権原資材購買要領を公告( 5月) •••••••••••••••••••••••••••••••••• 108 対韓国際経済協議団ロンドンで予備会議( 5月) •••••••••••••••••••••••••••• 107 朴大統領の記者会見( 6 ・7月) • • • • • • • ・ • • • • • • • • • • • • • • • • • • þÿ0û0û• • þÿ0ûþÿ0û0û0û0û0û0û0û0û0û0û120 テロ犯人ねつ造事件( 6 ・7月) • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • þÿ0ûþÿ0û0ûþÿ0û0û•••••••••• 120 アジア・太平洋地域閣僚会議終る( 6・7月) •••••••••••••••••••••••••••••• 121 韓米行政協定に調印( 6・7月) • • • • • • ・ • • • • • • • • • • • • • • • • • • þÿ0ûþÿ0ûþÿ0ûþÿ0ûþÿ0û0ûþÿ0û0û•••••••••• 122 北朝鮮技術者入国問題,一応収拾へ( 6 ・7月) •••••••••••••••••••••••••.•• 123 第 2次経済開発 5ヵ年計画を公表( 6・7月) • • • • • • • • þÿ0û0û• þÿ0ûþÿ0û0ûþÿ0û0ûþÿ0ûþÿ0û••••••••••••• 124 外資導入法を可決( 6 ・7月) ••••••••..••••.••••••••••••••••••••••••.•••• 125 1965年国民総生産の確定推計( 8月) • • • ・ ・ • • • • • • • • ・ • • þÿ0û0û• • • þÿ0ûþÿ0û0ûþÿ0û0ûþÿ0û0û••••••••••••• 153 67年度予算政府案が確定( 8月) •••••••.•••••••••••••••••.•••••••••••••••• 154 朴大統領の67年度予算教書( 9月) • • • • • ・ • • • • • • • • • • • • þÿ0û0û• • • • þÿ0û0ûþÿ0ûþÿ0ûþÿ0û0û0û0û0û0û0û0û0û0û0û175 韓日経済閣僚懇談会( 9月) • • • • • • • • • • • ・ • • • • • • • • þÿ0û0û• • þÿ0ûþÿ0û0û• þÿ0ûþÿ0ûþÿ0û0û0ûþÿ0û0û••••••••••.••• 176 米穀の政府買入れ価格問題( 9月) • • • • • ・ • • • • • • • • • • • þÿ0ûþÿ0ûþÿ0ûþÿ0ûþÿ0û0û0û0ûþÿ0û0û•••••••••••••• 177 外米 6万トンの緊急輸入問題( 9月) .••.•••••••••.•••••••••••••••••••••••• 178 67年度政府管理糧穀需給計画,閣議で議決( 9月) þÿ0û0û• þÿ0û••••••••••••••••••••••• 179 朴大統領,マニラ会議に出席(10月) • • • ・ • ・ þÿ0û0û• þÿ0û• • þÿ0ûþÿ0û0û・ þÿ0û0û••••••••••••••.•••••••• 201 決着っかぬ財閥密輸( 10月) •••••••••••.•••••••••••••••••••••••••••••.•••• 202 民衆党大統領候補きまる( 10月) ... 203 67年度全体糧穀需給計画(10月〕...204 農家負債の実態調査(10月) ••••••••••••••.••••••••.•••••••••••••••••••••• 205 税制改善の基本方向(10月) ••••••••••••.••. þÿ0û••••.••••••••••••••••••••••••• 206 政府施策にたいする世論調査結果( 11月) ••••••••••••••••••••.••••••••••••• 221 66年度借款言J

J

追加分が国会通過( 11月) •••••••••••••••••••••••.•••••••••• 222 第 2次 5ヵ年計画に対するグルハティ報告(11月) •••••••••••••••.•••••••••• 222 韓国の対南ベトナム商品輸出展望( 11月) •••••••••••••••••••••••••••••••••• 223 日本商社に課税通告( 11月) •••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• 224 国連での朝鮮問題討議( 12月) •••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• 247 韓日国交正常化 1周年と韓国世論(12月) •••••••••••••••••••••••••••••••••• 248 67年度予算案,国会を通過(12月) •••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• 251 2

(6)

-目 次 対韓国際経協機構(IECOK)が発足(12月〕・ ・ ... ・ ... 252 対日請求権第 2年度使用計画案が国会通過(12月) ... 254 67年度全体糧穀需給計画を確定(12月) ... 255

〔 資 料 〕

朴大統領年頭教書(全文) C 2月〕・ ・ ・ ・ þÿ0û0û・. ・ ... ・ ... 36 請求権資金の運用ならびに管理に関する法律(2月) ... ,54 1967年度予算案に対する大統領施政演説( 9月) ...•... 190 韓日経済閣僚懇談会に関する共同新開発表( 9月) ... 198 朴・ジョンソン共同声明全文(11月) ...••... 293 3

(7)
(8)

-韓 国

1966

年 の 回 顧

政情の安定 1966年は, 61年の軍事クーデター以来,朴政権下の韓国の政情がもっとも安 定した年であった。 すでに前年に日韓国文正常化とベトナム派兵というこつの難関を突破した ことにより,朴大統領をはじめとする政府・与党首脳部の聞には,かつてな い強い自信が生まれていた。こうした自信は,韓国肥料会社の密輸事件を契 機とする与党内の混乱を除いて,おおむね政府・与党の結束を強化すること となった。 これにたいし野党陣営は,日韓条約反対闘争の最中における民衆党分裂の 痛手から,いかにして立ち直るかで精一杯であった。 67年の大統領・国会議 員選挙をひかえて,かれらはそれぞれの思惑を練った。 まず3月,罪潜善氏に率いられる新韓党が結成された。同党は,民衆党か ら脱退した対日強硬派を中心に,一部在野の旧政治家,言論人などを結集し

f

こ。 5月には,民主社会党準備委員会の徐環濠氏が, 「南北聞の部分的交流」 を提起することによって,既成の野党と異なる独自性を発揮した(同党の正 式発足は 12月〉。

7

月にはいって第

1

野党である民衆党が全国大会を聞き,党を代表する運 営委員会議長に朴順天女史を再選し,副議長に柳珍山氏を選んだ。柳珍山氏 は,日韓条約反対闘争の過程でその与党的言動を問われ,党を除名されてい た人物であった。民衆党はこの党大会と前後して,在野勢力の結集を図った が,指導部の刷新をめぐって折合いがつかず,日韓条約に反対した予備役将 官や言論人のグループは,いったん発表した入党声明を撤回する始末であっ

T

こ。 野党陣営は,国内問題では政治テロ犯人の警察によるデッチあげ事件(6 月〉,三星財閥傘下の韓国肥料会社によるサッカリン密輸事件(9月),外交 一 − l

(9)

-韓 国 問題ではベトナム増派問題(3月),日本政府の北朝鮮技術者入国許可問題 (7月〉などで政府を追及したが,いずれも日韓条約反対闘争に匹敵するほ どの迫力はもたなかった。 次第に政局の焦点は,与野双方の選挙体制確立問題に移っていった。与党 は,地区党組織の確立に全力をあげた。一方野党は,候補者一本化問題に頭 を脳ましていた。 民衆党が10月の臨時党大会で,同党の大統領候補に合鎮午前高麗大学総長 を選んだころから, 2大野党である民衆党と新韓党との問で交渉が始まった。 新韓党の予候補と民衆党合候補との直接会談も実現した。はたして野党統 合,野党候補一本化に成功するかどうか。もし野党側がこれに失敗すれば, 選挙での惨敗は避けられない。だが,たとえこれに成功したとしても,政情 の安定を背景とする選挙では,与党の優位はまず動かないであろう。 66年中には,軍部内での反政府行為は表面化しなかった。また学生

L

財 閥の密輸事件で政府を非難する集会を聞いたが,これまでのように街頭に進 出することはなかった。かれらが政治の舞台に躍りだす季節は,ひとまず終 ったのである。 積極的な外交展開 国内政局の安定は,朴政権の外交姿勢を積極化した。そしてこの積極外交 の展開は,朴政権の地位の高まりを内外に印象寸けるのに役立つた。 政府は2月に,南ベトナムへの戦闘部隊 2万人増派を決定,国会の同意を 得たのち,これらの部隊は秋までに派遣を完了した。かくして,南ベトナム の韓国軍は4万5000人規模となった。 「自由陣営への積極的な貢献」というこの事実を背景に,韓国は6月のア ジア・太平洋地域閣僚理事会(ASPAC)をソウルで、開くことに成功した。当 初参加をしぶっていた日本が参加したことによって,会議の性格はかなり反 共・軍事色が薄まったが,ワシントンは,むしろこの性格の変化のなかでの ASPACを強く支持した。 ASPACの開催は,ワシントンの指導者が「アジア の新風」について語るとき、常に考慮に入れている事実の一つで、ある。 さらに韓国政府は, 10月にマニラで聞かれた参戦国首脳会議にも積極的に 一一 11

(10)

韓 国 参加,南ベトナム政府とともに最も強硬な路線の側に立った。 韓国政府のこのような積極外交は,その国内安定化の兆しとともに,ワシ ントンの称賛を得るに十分であった。 参戦国会議に出席したジョンソン米大統領は,南ベトナム,タイ,マレー シアに続いて韓国を2泊3日にわたって訪問した。 「熱狂的な歓迎」のなか で,ジョンソン氏はつぎのようにのべた。 「太平洋地域に新しい風が吹いて いる。この新しい風は,マニラの参戦国会議で確認された。朴大統領はこの 太平洋協同体の偉大な指導者である。」 韓米関係は,朴政権下の過去のどの時期よりも緊密なものとなっているO このことは67年の二つの選挙で,与党にとって非常に有利に作用するであろ う。 ところで,韓国の積極的な反共外交の展開は,自由陣営内での韓国の地位 を高め,韓国に対する経済協力問題や国連で、の朝鮮問題討議において有利な 地歩を得るはずのものであるが,前者はともかく後者に関しては,必ずしも 順風万帆とはいかないようである。第21回国連総会は,昨年に続いて朝鮮統 一問題に関する西側案を採択したものの,この討議に先き立って南北代表同 時招請案の優先的討議を求めたギニア案が,わずか1票の差とはいえ可決さ れたことは,外交当局者に大きなショックであった。 一方,国交正常化1年目の日韓関係は,まずまず友好裡に推移した。だが, 日本政府が北朝鮮|向けのプラント輸出に関連して北朝鮮技術者の入国を許可 したことに対して,韓国側は猛反撃した。結局この問題は,当事者の東邦ベ スロンが内外の圧力で、プラント輸出を断念したことによって事態が収拾され たが,この種の問題は今後とも起りうるケースであろう。 67年の選挙をひかえて,再び統一問題の取扱いが脚光をあびてきた。 朴大統領は, 「祖国近代化こそ南北統ーのための大前提であり,中間目標 である

J

(66年年頭教書〉とのベた。これは朴政権の基本的な政治姿勢で、あ る「先建設,後統一」というスローガンの別の表現である。 これにたいし,民社党の徐現濠代表は「南北の全面的統一に先き立つ部分 的統一」の必要性を強調,具体的には南北聞の書信交流,記者や文化人の交 流などの「部分的交流

J

を主張した。この徐発言を,了一権総理は「国是に

(11)

韓 国 反するもの」と非難し,徐現濠氏は反共法違反(北朝鮮の主張に同意,北朝 鮮当局者との交渉主張)容疑で逮捕,起訴された。 統一問題に関して,一般国民の声はなお表面化していないが,野党民衆党 は南北統一問題協議のための超党派的な常設機構の設置を要求し,政府はこ れを拒否しつつも,政府内に統一問題機構を設けることを計画している。結 果的には,国会内に今後の統一問題研究の方法を研究する委員会が設置され, 初めて統一問題に関する公聴会が聞かれたりした。 統一問題は,なお韓国政局の前面には現われていないが,この国の底流に 統一問題が秘められていることは誰も否定できないであろう。 祖国近代化への道 朴大統領は, 1966年の年頭教書のなかで,韓国の近代化の過程を次のよう に展望していた。 私は,祖国近代化作業が次の3段階を経てはじめて成しとげられるもの と思う。工業国家の基礎を準備する第 1次経済開発 5ヵ年計画が終わる 19 66年をその最初の段階とすれば,第 2段階は工業化を達成する第 2次経済 開発 5ヵ年計画が終わる 1971年を指すもので,第3段階は第

3

次 5ヵ年計 画が終わり,大量生産を経て大量消費がなしとげられる 1970年代後半期と なろう。 対日国交正常化とベトナム派兵を対外的なテコとする朴政権の「祖国近代 化」戦略は,このような段階的な見通しからするなら,いまようやくその「最 初の段階」を終えたことになり, 67年からは,いよいよ「第 2段階

J

にはい る。政府は7月に, 「第2段階」のプログラムである第 2次経済開発 5ヵ年 計画を作成,公表した。 第 2次 5ヵ年計画は, 「基本目標」を産業構造の近代化,自立経済確立の 促進におき, 「重点方向

J

として,①食糧の自給自足達成,②工業化計画の 強力な推進,③ 7億ドルの輸出(商品輸出は 5億5000万ド〉レ)達成と輸入代 替の促進,④雇傭の増大と人口膨張の抑制,⑤国民所得の画期的増加、とく に農民所得の向上,⑥科学技術ならびに経営技術の振興などを掲げている。 計画の具体的内容は,年平均 7 %の経済成長(鉱工業は 10.7%)を達成し, 一 − IVーー

(12)

韓 国 目標年度の 1人当り国民所得を 200ドルにまで高める,そのためには総投資 額9800億ウォン(約36億ドル〉を要し,うち38.5%(約14億 わ け を 海 外 か ら調達しなければならないということに集約される。 この計画の妥当性いかんについては,さまざまな見解がなり立ちうる。い わく,このような高い経済成長率を維持できるか,いわく,投資財源をはた して確保できるだろうか,……云々。だが,ここでは計画の数字そのものに こだわることをやめておこう。なぜなら,実際の計画執行にあたっては,年 次ごとの「総資源予算」とよばれるものが基準となり, 5ヵ年計画そのもの は一つの参考数字にすぎないからである。 高成長とその背景 第1次 5ヵ年計画期の最終年である 1966年の韓国経済は,政府の発表によ ると,実に 11.9%の経済成長率を記録した。 経済企画院当局者は,このような高成長は,①農業生産の順調,②輸出の 増大に導かれた工業生産の高成長( 16%), ③旺盛な投資需要に刺激された 建設業関係のブーム,などによるものであると説明している。 11.9%という数字はともかくとして,韓国経済が過去数年前に比べて,沈 滞から発展の過程にはいったことは明らかである。 食糧生産は, 1965年の 628万トン(うち米は 350万トン〉から 1966年には 732万トン(米391万トン〉に増加した。とくに麦類の増産が顕著であった。 この結果,食糧の輸入量は68万8000トンから 52万4000トンに減少した。 商品輸出は目標の 2億5000万ドルをほぼ達成し,輸出品の構成も工産品が 全体の62.4%を占めた。また,外貨保有額は, 2億3000万ドルを越え,韓国 史上最高を記録した。 工場の新設・増設も,肥料,セメント,化学繊維などの分野で完成または 進展したほか,石炭の増産,電源開発なども進んでいる。 政府が特に強調していることは,卸売物価の上昇が65年の10.7%から 66年 には 7.6%へと相対的に安定化しているという点である。だがこの点は、ソ ウル消費者物価Aの上昇が逆に 8.1%から 12.4%になっていること,また物価 統計の発表が経済企画院当局によって時に遅延されていることなどから,少 一 一 V 一一

(13)

韓 国 少疑問が残るところである。物価統計に問題があれば,前述の経済成長率に も累が及ぶわけであり,この点の解明のためにはさらに精密な検討が必要で あろう。 いずれにせよ,韓国経済が一つのブームにあることは事実である。このブ ームのなかで, ソウノレや釜山などの都市には新しいピノレが建ち,道路が舗装 され,陸橋が架けられるなど,その面貌を変えつつある。また蔚山には,一 大工業センターが建設されつつある。 新しい問題 だが同時に,このブームのなかで韓国経済が,徐々に新しい問題をはらん でいることを見逃すわけにはいかない。 第1の問題は都市と農村,工業と農業との格差の拡大である。政府の「重 農政策

J

にもかかわらず,農家収支は悪化しており,農民の負債は増加傾向 にある。これは基本的には,韓国農業の零細性,低生産性に由来しているの であろうが,政府の低米価政策がこれに拍車をかけている。 米穀の政府買入れ価格は,前年にくらべて4.7%しか引き上げられなかっ た。ちなみに,農協が発表した66年の農家販売価格指数は年間4.8%の上昇 であるのにたいし,購入価格指数は 9.5%と実に倍増している。 こうした農村の状況にたいし,政府は商品作物を中心とした企業農の育成 という方向を提示した。これに関連して朴大統領は 4月に,現行の農地所有 制限( 1戸当り 3ha)を改廃する方針を示唆し‘政府と USOMから委嘱を 受けて農地問題を検討していた韓国土地経済研究所は,農地所有制限の緩和 を答申した。なおこの報告によると, 65年度農地実態調査の結果,全農家に 対する非自作農家の割合は30.5%,総耕地面積に対する小作地の割合は 16.8 %に達しているという。 朴大統領は 8月には,自立安定農家育成計画を断念して,このための資金 を主産地造成による企業農育成と協業農育成に投入するよう指示したと伝え られ,問題は深刻化している。工業建設のために農村を犠牲にすることは、 開発途上国においである程度避けられないとしても,この問題は二つの暗影 をともなっている。その一つは,現在の低米価政策のなかで食糧増産に熱意 一 − Vl 一一

(14)

韓 国 を持ちうるだろうかということ。もう一つは,工業が安い肥料や農薬を農業 に供給し,また農村の潜在的失業者を有効に吸収しはじめるまでに,農村の 社会的安定を政府が維持できるだろうかということである。 韓国経済のブームの背景にある第2の問題は,経済自立化のための経済建 設が,外資導入による対外依存を深めているという矛盾である。 確かに,アメリカの無償援助は漸減傾向にあり, 66年度の物品計画援助と 余剰農産物の合計は約 1億1000万ドル(ベトナム増派経費およびアメリカ側 使用分を含む〉であったが, 67年度には更に減少が見込まれている。これを 反映して,国家財政の歳入総額中に占める見返り資金の比率は, 66年度予算 の23.4%から 67年度には 16.5%に低下した。これらの事実は,韓国経済が自 立化の方向をとっていることを示している。 しかしながら,外資導入という点からみると, 1966年は空前の増加ぶりを 示している。 66年 1年間で確定した借款事業は 2億9500万ドノレにも達し,導 入実績は 1億9600万ドルにのぼったが, 65年以前の実績累計が 1億5000万ド ルにすぎなかったことを想起する必要があろう。 66年の外資導入実績のうち その6割近くが商業借款である。 このような外資導入への依存は,元利金の返済問題ばかりでなく,企業の 経営権を外国資本におさえられるという問題をも惹起している。韓国でふた つ目の精油工場である湖南精油会社とカルテックスとの関係はその一つの例 である。 ブームの背景をなす第3の問題は,ベトナム特需への依存増大である。韓 国の66年の経常収支上の受取りは 4億8500万ドルに達したが,このうちベト ナム関係は6100万ドル,契約ベースでは 1億ドル以上に及んで、いる。南ベト ナムには, 4万5000人の軍人と,約 1万の技術者・労務者が派遣され,かれ らの送金だけで2300万ドノレに達した。韓国がベトナム戦争に関して,最も強 硬な立場をとっている理由のひとつはここにある。 外資導入とベトナム特需は,いつまでも続くものではない。この不安定要 因をかかえての高成長は,遠からず転換点に立たされるだろう。政府当局者 も,おそらくそれらのことを承知のうえで,いまできるだけ突走ろうとして いるのかもしれない。 一 一Vll一一

(15)

韓 国 いずれにしても現在の政治,経済条件からみると,韓国はここ数年,比較 的安定した発展を示すであろう。問題が表面化するのは, 67年の選挙からさ らに4年後の選挙の時期であろうか。

ー −

(16)

Vlll-政 1. 1sI朴大統領, 66年度年頭教書を発表 =正司、 , ロ | ①祖国近代化は南北統ーの大前提であり,中間目標 | である。③増産, 輸出,建設に総力を傾け, 今年 | も「働く年」とする 3. 20 I 増派案,国会を通過(出席125,賛95,反27,棄3) 3. 30

i

新韓党結党大会

5

.

9

1

徐E民 藻 悶 準 備 委 員 長 南 北 交 流 出 5.26 !芦j普善新韓党総裁, 「派兵はベトナム戦争の請負行為 |である」と発言 6. 3 I徐現濠氏,反共法違反容疑で逮捕 6. 20 I政治テロ事件に警察が犯人をデッチ上げ 7. 14I国会,統一問題研究特別機構設置決議案を可決 7.19I民衆党全国大会,総裁に李II原天女史,副総裁に柳珍山 氏を選出 9. 2 I政府,陸軍首脳を更迭(不正事件に関連〕 9.

s

I朴順天民衆党総裁,南ベトナム訪問から帰国 9.15

I

三星財閥系韓国肥料の密輸事件を各紙が報道 10. 22 i民衆党,大統領候補に命鎮午氏を指名 10.2s

I

命候補,芦j普善新韓党総裁を訪問 11. 5 I命鎮午氏,地方遊説開始 11.11 I国会,三星密輸事件の処理で決着 12. 6 I野党の大統領候補一本化で在野人土が初会合 12. 22 I民社党結党大会 12. 26

I

朴大統領,選挙に備えて6長官更迭 1

9

6 6

経 済 i. 1 I 公務員給与引上げ, (1.7には軍人給与引上げ) 韓 一 階 談 会 開 4. 9 I財政・商業借款支払保証案,国会で合意 4.20I韓日請求権資金の初年度計画に合意 4. 29 i朴大統領,農地所有上限制撤廃を指示 5.19I対韓国際経協機構, ロンドンで予備会議 6.18 I 「65年度の農家実質所得減少」を関係当局で確認 7.14I外資導入法,国会で可決 7. 20 I物価統計の発表を経済企画院で遅延 7. 29!第2次経済開発5ヵ年計画を公表

8

.

2

1

朴卜農林

s

.

11 I朴大統領,自立安定農家育成計画の中止を指示

s

.

25 I現金借款急増の報道 9. 2 I政府,外米6万トンの緊急輸入を発表 9. 6 I 67年度政府管理糧穀需給計画を発表 9.

s

I韓日経済閣僚懇談会聞く 土地経済研究所,農地所有上田 (同時に小作化の進行を報告) 10.18 !政府の米穀買入れ価格昨年比4.7%増と決定 11. 14I 北洋漁業問題が表面化 11. 11I通貨量の膨脹傾向 11. 25 I財政・商業借款支払保証追加案,国会で承認 12. s

I

67年度予算案,国会で可決(総額1643億ウォン〉 12. 12I対韓国際経協機構,バリで設立総会 12. 21I:農業基本法案,国会を通過

対 トタ 関 係 1. 1 Iハンフリー米副大統領が訪韓(2. 22にも再度訪韓) 2. 7 i |朴大統領,マレーシア,タイ,国府を訪問 ∼18 I 2 引 戦 闘 師 団 2万人の南ベトナム増派を政府決定 4. 24 I蒋経国国府国防部長が訪韓 4.21 I南ベトナム派遣技術者,ベトコンのテロで48人死傷 5 判 ロ ッ ジ 駐 南 ベ ト ナ ム 日 巾 6. 4 Iバーガー米国務次官補が訪韓 6.14Iアジア・太平洋地域閣僚会議をソウルで開催 ∼16I 1.

s

Iラスク米国務長官,パンディ国務次官補が訪韓 7. 9 !:韓米行政協定を締結 1. 29 I北朝鮮技術者の日本入国問題,椎名書簡で解決(8. 5 |には東邦ベスロンがプラント輸出を断念)

s

.

17Iニャチャンに韓国軍野戦司令部設置 9.

s

I ウエストモーランド駐南ベトナム米軍司令官訪韓 9. 17I北朝鮮の平新艇,下関に入港 10. 3 I |金鍾泌共和党議長,アメリカ,南ベトナムを訪問 ∼19i 10. 21I朴大統領,南ベトナムを訪問後,マニラの参戦国会議 ∼25 !に出席 10. 31iジョンソン米大統領が訪韓 11. 10

l

朴大統領,予備役を米軍の後方要員として南ベトナム |に派遣すると言明 12. 19I国連総会,朝鮮問題討議で西側案を可決 12. 21j カンボジアと断交(金選手の北朝鮮強制送還に関連) 12. 22i察駐南ベトナム韓国軍司令官,空軍派遣を要望

(17)

韓 国

1∼2月の概況 朴大統領は年頭教書のなかで,ことしも昨年にひき続き「働く年」とし, 祖国の近代化と経済自立のために,国民が総力を結集するよう訴えた。その ため第1次 5ヵ年計画の最終年度である 1966年度の計画も発表され, さらに 来年から始まる第 2次 5ヵ年計画の総量計画案も確定した。また,昨年の韓 日国交正常化にともなって,請求権資金の初年度計画案も国会に上程され, 民間ベースでも,韓日経済協力民間懇談会が東京で聞かれた。 一方ノ、ンフリー米副大統領の 2度にわたる訪韓の結果,政府は南ベトナム に再び 2万人規模の兵力を派遣することを決定した。この間,朴大統領はマ レーシア,タイ,国府の 3ヵ国を親善訪問し,反共態勢の確立と経済協力の 推進で各国首脳と意見の一致をみた。 南ベトナムへの再増派 政府は2月28日,南ベトナムに対し 1個連隊と 1個師団,合計約 2万人の 陸軍戦闘部隊をそれぞれ

4

月と

7

月に増派することを閣議で正式に決定,国 会に同意を要請することになった。この増派が実現すれば,南ベトナム駐留 の韓国軍の総兵力は約4万5000人となり,軍団規模になるものと予想されて いる。 今回の増派は,すでに昨年の12月末に,金鍾泌民主共和党議長らによって 示唆されていたものであるが,新年早々と2月のホノルル会談後の 2回にわ たるハンフリー米副大統領の訪韓を軸に,韓米当局者間の折衝の結果,ょう やく合意に達したもののようである白 ところで,昨年すでに 2万人の戦闘兵力を南ベトナムに送っている韓国が, 敢えて再増派にふみきった理由は,いったいどこにあるのだろうか。 第 1に考えられることは,すでに南ベトナムに駐留している兵力に対する 損失補充,および警備強化の必要性ということである。事実,現地司令部か - 1ー 一( 1 )ー

(18)

韓 国 (1∼2月〉 らは, 1個連隊程度の増援要請が国防部に届いている。だがそのためだけな ら現在 2万人も増派する必要はない。 次に考えられる理由は,反共防衛のために,南ベトナム・アメリカとの紐 帯を強化するという大義名分である。韓国がこの面で,自由陣営諸国のなか でも,きわだった貢献をしていることは周知のとおりである。また対日関係 とのパランスからいっても,対米関係をいささかもおろそかにすることはで きない。したがって,ワシントンからの増派要請をソウノレが容易に受け入れ たとしても,ふしぎではないようにみえる。 だが,対米紐帯の強化ということを, 「反共防衛への積極的な貢献」とい う大義名分にのみ帰するとすれば,すでに派遣された韓国軍の規模でも,そ の貢献ぶりを十分立証できたはずである。タイは「東北タイ問題」を,フィ リピンは「上院での審議難航」をそれぞれ理由にして,南ベトナムへの実質 的な軍事援助を避けている。韓国政府も,必要とあれば「38度線」を理由に 再増派を拒むか,あるいは名目的なものにすることができたはずである。 では政府が進んで派兵を決意したうらになにがあるのだろうか。たしかに 朴大統領は年頭教書のなかで,南ベトナムの危機は「われわれの安全と自由 に直結する問題」であり, 「ベトナム戦線は38度線と直結した韓国の第 2戦 線」であるとのべている。 しかしこのような主張とは別に,増派をめぐる韓米間の交渉では,韓国側 が,①3個予備師団の戦闘師団化と軍装備の近代化,②南ベトナム派遣軍を はじめとする軍人処遇の改善,③経済建設のためのアメリカ側の協調(1億

5

0

0

0

万ドル

A I

D

借款の年内使用,新規借款の供与,南ベトナムで、のパイ・ アメリカン政策の緩和,軍事援助の一部借款切りかえ計画の中断など)を強 く要求したことに留意すべきであろう。 与党内一部の慎重論も,いわばこうした派兵条件をめぐるものがほとんど であった。結果的には,韓国側の要求はほぼ受け入れられ,増派をめぐる韓 米間の交渉は完全に妥結したのである。そしてこのような交渉経過が物語っ ているものはきわめて“実利的なもの”であった。 ここで興味深いことは,朴大統領がことしの年頭教書において,激動する 国際情勢のなかで世界の各国は,それぞれの国家利益をめざして「実利外交」 一( 2 )- - 2

(19)

韓 国 (1∼2月〉 を展開していると指摘していることである。韓国もまたその例外ではありえ ないというのであろう。

1

9

6

6

年は,第

1

次経済開発

5

ヵ年計画の最終年であると同時に,第

2

5

ヵ年計画への橋わたしをする年であり, 日本の請求権資金による事業もいよ いよ推進される年である。加えて,大統領選挙と国会議員選挙を来年にひか え,政府としては経済建設の成果を是が非でもあげたいところであろう。そ のためには,軍事援助や経済援助の削減をくいとめ,できるならば新規援助 資金を引き出し,また外貨獲得のために輸出を拡大しなければならない。 こうした事情が,まさに政府の「実利外交」の背景をなしており,したが って,一方で「反共防衛」の大義名分をかかげながら,他方でここから積極 的に実利を得ょうとする点にこそ,政府の増派政策の本質的な性格をみるこ とができょう。 かくして,韓国政府が再増派を決意した理由は明らかである。それはこの 機会に対米協力の姿勢をさらに強めつつ,援助による軍備強化,経済援助の 拡大,東南アジアへの経済的進出などの“見返り”を獲得することにある。 さてそれでは, この“見返り”は 2万人の兵力派遣に十分みあうものであ ろうか。増派条件をみるかぎり,韓国側の要求はかなりの程度受け入れられ た。もっとも,

1

億5000万ドノレの

A I

D

借款が前回の

2

万人増派に対応する ものとすると,今回の増派で約束された新規借款は 1500万ドル(原資材)と 1億ドル(資本財〉であるが,資本財の方は今後の事業別協議に委ねられて 事実上未確定である。また,南ベトナムに派遣された韓国軍の報酬は今回ひ き上げられたとはいえ,一般になお南ベトナム政府軍よりも低いという実情 である。 しかしながら, ここで注意すべきことは,こうした直接的な“見返り”の 多寡が重要なのではなく,韓国の現政権がアメリカからなにかを得たいとき, その交換条件の“切り札”としているのがこうした大規模な兵力派遣政策だ と判明したということではないだろうか。 そこで次のことが問題となる。 朴政権が,韓日国交正常化に結着をつけてしまった現在,南ベトナム派兵 以外にアメリカにたいする有力な取引材料はないと考ている以上,アメリカ - 3ー 一( 3 )ー

(20)

韓 国 (1∼2月) から要請されればさらに“見返り”を期待して,みたびこの切り札を使うの であろうかということである。 それが可能であるかどうかは内外の軍事的,政治的な諸条件の検討をまた ねばならない。ただ現在いいうることは,そのような増派が現実に必要とさ れ,アメリカにとって反対給付をするに十分な価値をもっとき,ベトナム戦 争の情勢は現在よりさらに重大化しているであろうということである。それ はまた,派遣韓国軍の犠牲が激増し,国内での政府批判が高まることを意味 する。 さらに局面打開策がいっそうの戦域拡大に結びつく限り,そのいきつくと ころは,マンスフィーノレド米上院議員がジョンソン大統領への報告書のなか で指摘したように, 「アジアでの全面戦争」の危機にほかならない。この場 合エスカレーションのいずれかの段階で,共産側が朝鮮半島への戦線拡大を 決意するだろうということは,ギャピン将軍の証言をまつまでももなく,初 歩的な軍事戦略論に属する問題である。 事態がそこまで発展しない場合,すなわち現状か和平交渉の場合はどうだ ろうか。ただし後者はいまのところ,アメリカかベトコン・北ベトナムのど ちらかが,基本的な考えを変えぬかぎりその見込みがほとんどない。とする と前者の場合が問題となる。この場合,戦局が米軍の大規模な増強を必要と せぬ程度であれば,かつまた韓国軍の犠牲が深刻な国内不安を呼び起こさぬ 程度であれば,朴政権の思惑は当面実現されよう。しかし,若干の補充以上 の増派が要請されないということは,朴政権にとってアメリカのいっそうの 感謝を受ける機会がないということを意味する。これは,ひとつの悲劇的な 矛盾のようである。 以上いずれにせよ,派兵による実利外交は,国内の経済建設の成果や韓日 会談妥結後の政局安定などを帳消しにしかねない,きわめて不安定な要素を 抱えこんでしまったのである。その意味で朴政権の前途には,一つの危険な 落しあながかくされているといえよう。 移朴大統領の年頭教書 朴大統領は1月18日,第54回臨時国会で1966年度の年頭教書を発表した(全文は資 一( 4 )一 - 4ー

(21)

韓 国 (1∼2月〉 料参照〉。朴大統領はこの教書のなかで,①65年度の回顧,②66年度外交国防政策,③ 経済政策,④文化・社会政策,⑤新年度の姿勢等についてふれ,祖国近代化と南北統 一のために, ことしも「働く年」として国民が総力を結集するようよびかけた。 教書の主な内容は次のとおり。 (65年度の回顧〉

0

国際情勢は激動を続けたが,世界各国とも「実利外交政策」で自国の国家利益を 追求している。

0

韓日国交正常化は是非必要であったが, 問題は今後にある。また南ベトナム派兵 は,韓国の安定と自由の問題に直結している。

0

経済は安定した基盤のうえで成長を続けた。①物価の相対的安定,②高い経済成 長率(1962∼65年の年平均は7.6%),③干・水害にもかかわらず穀物生産が平年作を 上まわった,④鉱工業生産の著しい成長(1965年は17.5%),⑤ 1億8000万ドルの輸 出達成,等々。

O

ことしは,第l次 5ヵ年計画を終結させ,第 2次 5ヵ年計画の準備作業にとりか かる年である。第3次 5ヵ年計画が終わる 1970年代後半期には祖国の近代化を達成し, 「消費は美徳」といえるような「豊かな社会」が建設されよう。 (外交・国防政策〕

O

外交方向の基本は,「統一を追求する紐帯外交

J

,「安全保障を追求する同盟外交」, 「繁栄を追求する経済実利外交」である。

0

アメリカをはじめとする自由諸国との友好関係を強化するとともに,韓国の「第 2の戦線」であるベトナム戦線へは必要な支援を続ける。 (経済政策)

O

なによりも「安定基調のうえに経済成長をなしとげ」ねばならない。そのため物 価安定に最大の関心をはらうとともに,安定した財政・金融政策で内資動員をはかる。

0

第1次5ヵ年計画による計画事業を完了させることに努め, とくに①エネルギ一 部門,②製鉄などの基幹工業の建設を推進するとともに,総合的工業団地造成,総合 的国土開発を推進する。

0

多角的な外資導入に努めるとともに, 2億5000万ドルの輸出目標を達成する。

0

食糧増産7ヵ年計画を推進し,とくに農業を自然災害から解放することに努める。 〈文化・社会政策)

O

民族主体意識の確立に努め,伝統を受けついた、新しい民族文化を建設する。また 教育を刷新し,教育が生産に寄与し直結するようにする。国家社会の発展を阻害する - 5 - 一( 5 )ー

(22)

韓 国 (1∼2月〉 学園の動きに対しては今後も強力に取締る。 〈新しい年の姿勢)

0

「信頼の社会

J

,「明朗な社会」の建設のため,不信と不和の弊習をぬぐい去ろう。

O

われわれが志向する祖国近代化こそ, 「南北統ーのための大前提」であり, 「中 間目標」である。統一の道が祖国近代化にあり,近代化の道が経済自立にあるとすれ ば,経済自立は統ーへの第1段階となる。

0

勤勉,倹約,貯蓄をさらに行動綱領とし,増産・輸出・建設に総力を傾け,今年 も真の「働く年」としよう。 以上の年頭教書に対し,与党スポークスマンは「祖国近代化への強力な意志を示し 新しい希望を与える教書である」とのべたが, 野党スポークスマンは「現実把握が余 りにも安易で,施政目標も羅列的である」と批判した。一方,経済界では,安定政策 と公共料金引上げなどの矛盾に不安を表明しつつも,韓国経済の未来像を示したもの としてこれを歓迎しているO 多朴大統領,東南アジア 3ヵ国を訪問 朴大統領は張副総理,李外務部長官らを伴って, 2月 7日から 18日までの12日間, マレーシア,タイ,国府の東南アジア3ヵ国を親善訪問した。朴大統領の東南アジア 訪問は初めてであるが,公式の外国訪問は西ドイツ,アメリカについで3度目である。 朴大統領はこの親善訪問で,ラーマン・マレーシア首相,タノム・タイ首相,蒋国 府総統らと会談し, それぞれ共同声明を発表した。共同声明はいずれも共通して,① アジア反共防衛に相互協力し,南ベトナムを支援する,②韓国提唱のアジア外相会議 をソウノレで、6月に開催する,③経済・技術協力を推進して貿易拡大に努める,④政治 的,文化的交流を拡大することをうたっている。 朴大統領の今回の新善旅行の目的は,第 1に反共を土台としての友好関係の強化に あるが,第2にこれら諸国に対する経済協力関係の強化,とくに輸出市場の獲得,第 3に東南アジア諸国に対する自主的な外交展開と韓国の主導権確立にあるといわれて し、る。 なお国府指導者との会談の際, 国府側からアジア反共同盟,韓国・国府の軍事同盟 の結成問題が提起されたが, 協議が成立せず共同声明ではふれられなかった。 場参南ベトナム増派条件で合意 南ベトナム増派に対する前提条件をめぐって,韓米間で折衝が進められていたが, 一( 6 )一 6

(23)

-韓 国 (1∼2月〉 2月23日,ハンフリー米副大統領の再度の来韓で事実上結着した。その結果,増派を めぐるいわゆる“先行条件”については 2月25日,李外務部長官とブラウン駐韓米大 使が増派条件合意議事録に署名した。その内容は次のとおりである。 (1) 処遇改善=南ベトナム駐留韓国軍の俸給を全面的に25%引上げ,戦死者補償 金を平均37万ウォン程度とする。 (2) A I D借款=新たに 1500万ドノレの A I D原資材借款を米国が供与し, 朴大統 領訪米時にジョンソン大統領が約束した 1億5000万ドルのA I D借款はできるだけ 年内に使用する。 (3) 軍援移管の中断=韓国軍2個師団が南ベトナムに駐留している聞は, 軍事援 助移管を中断する。 このほか文書化されないで合意したものは次のとおりである。 (1) 防衛力強化=3個予備師団を戦闘師団化させ,韓国軍装備の近代化をはかる (駆逐艦大型 L

s

Tの導入, F・86戦闘機の F5・Aへの切替え,レーダー網整備など)。 (2) 財政借款の可能性=肥料,総合製鉄工場などの建設のため, 1億ドノレの新た な財政借款を供与する問題は,事業別にひき続き両国で協議する。 (3) B ・ A政策緩和二南ベトナムに対するパイ・アメリカン政策を緩和し,約200 種の物資と用役に対する韓国の入札を認める。外国からの購買品のうち韓国特産品 は韓国からのみ購買する。 これらの増派条件中,南ベトナム駐留韓国軍兵士の待遇は,改善されてもなお米 軍,南ベトナム軍より低い。たとえば, 2等兵と 1等兵との月給は次のとおりであ る。(単位ドノレ) 2等兵 1等兵 回 開 初 的 1 ・ 日 M H 0 6 0 6 M 拍 門 q o q G 南ベトナム軍 55.79 57 .16 米軍 235.15 238.73 多1965年度国民総生産の暫定推計 韓銀は 1月 6日, 1965年度国民総生産の暫定推計を発表した。 これは10月までの実 績統計をもとにして推計したものである。 これによると,第2次経済開発5ヵ年計画 (1967∼71)の基準年度となる 1965年度の国民総生産に関する主要計数は次のとおり である。 ( 〉内は1964年度実績。 国 民 総 生 産 経常市場価格 7794億ウォン(6667億ウォン〉 60年不変価格 3413億ウォン(2920億ウォン〉 - 7一 一 ( 7 )ー

(24)

韓 国 (1∼2月〉 1人当り国生総生産 経常市場価格 2万7489ウォン( 2万4128ウォン) 経済成長率 的年不変価格 8% C 8.9%) (一次産業 グ 1.9% (17. 二次産業 グ 17.5%

C

5.7%) 三次産業 グ 7.8% C 4.0%) 一次産業の成長率が64年に比べて大きく下落したのは,干ぱっと水害による米穀生 産の低下によるものである。 また,二次産業のうち製造業は18.5%という高い成長率を示したが, その製品別内 訳は次のとおりである。 消 費 材 完成資本財 建築投資財 輸 出 財 16.6% 4.0% 13.8% 60.8% 場参第1

5ヵ年計画の最終年度計画 輸入代替財

セ メ ン ト 肥 料 200.0% 34.4% 16.8% 政府は 1月15日, 第 1次 5ヵ年計画の最終年度である 1966年度の計画を確定した。 この計画の骨子は次のとおり。 (1) GNPを, 65年度の7794億ウォンから 66年度には9081億ウォンにし,年間 GNP 増加率を 16.5%とする(いずれも経常価格, 60年不変価格では 8%)。また 1人あたり 国民所得を65年度より約3800ウォン増加させて 3万1245ウォンとする。 (2)軍納を含む輸出を 3億6900万ドル,総輸入を 5億9900万ドル,海外純借入なら びに贈与受取を 2億3000ドルとそれぞれ策定し, 国際収支の均衡を期する。 (3)年間総投資額を 1323億ウォンとし, GNPに対する投資比率を 14.5%とする。 また,計画当局者は,この計画を成功的に遂行するための基本政策方向として,① 通貨と外国為替相場などの経済安定の持続,②民間貯蓄の増大などによる内資動員体 制の確立,③輸出と増産に尽力する一方,推進中の重要計画事業を早期に完成させる ことを指摘した。 多第1次経済開発5ヵ年計画の中間評価 経済企画院は 1月27日,第 1次経済開発 5ヵ年計画(1962年∼ 66年〉の中間評価を 発表した。その主な内容は次のとおりである。 (1) 計画期間中の年平均経済成長率目標6.8%にたいし, 1962年から 65年までの 4年 一( 8 )ー - 8ー

(25)

韓 国 (1∼2月〉 聞の年平均経済成長率は7.6%であった(1954年∼61年までの年平均成長率は4.7%。) また, 65年の1人当り国民総生産は, 1961年に比べて19.7%の増加である。 (2) 産業構造は,二次産業の比重が高まった。国民総生産に対する産業別の比率(%〉 は次のとおり。 1960年 1次産業 35.2 2次産業 19.8 3次産業 45.0 1965年 32.2 25.2 41.6 (3) 4年間の年平均国内貯蓄率の目標9.6%に対し, 実績は4.8%で内資動員が不振 であった。また外資導入など海外貯蓄率も年平均目標13.4%に対し,実績は9.1%であ った。この結果,年平均総投資率は13.9%で,これは54年∼61年の実績12.3%より高 いが,目標の22.9%を大きく下まわった。 (4) 輸出が飛躍的に増大し,輸出商品構造も工業製品の比重が高まった。輸出入額 の拡大は次のとおり。 (単位100万ドル〉 輸出 輸 入 1960年 33 344 1665年 181 446 (5) 外資導入は, 5ヵ年計画期間中の目標4億2600万ドルに対し, 実績は1965年9 月末現在で1億2910万ドルで,目標の約30%である。実績の内訳は,次のとおり。(単 位, 100万ドル) L l t i 号 ロ − n y ヮ “ ム 口 1 財政借款 65.0 商業借款 57.7 合作投資 6.4 (6) その他の主要部門別の実績対比は次のとおり。 1960年 1965年 電 lOOkw 368 769 炭 100万トン 5.3 10 油 100万ノξー レ1レ 10.7 基 幹 産 業 建 設 {f 1000トン 460 1,664 肥 料 尿 素 1000トン 13.4 163 水産開発{魚米総麦耕地面類積類 1000石 21,071 24,313 1000石 7,211 9,514 1000町歩 2,042 2,189 1000トン 242 233 - 9 - 一( 9 )ー

(26)

韓 国 (1∼2月〉 {鉄道旅客輸送 社会間接資本拡充{

l

市 内 電 話 場参第2次 5ヵ年計画の総量計画案 1960年 1965年 100万人・ km 4,935 7,353 1000回線 158 139.6 第 2次経済開発 5ヵ年計画(1967∼71年〉の基本モデノレとなる総量計画案が 2月28 日,韓米合同会議で確定された。各部門別事業と投資計画は 4月末までに作成し,相 互調整をしたのち6月中には全体計画が完成する予定。 総量計画案の主な内容は次のとおり。 (1)年平均成長率を 7 %とし, G NPを基準年度である 1965年度の7,790億ウォン から,目標年度である 1971年度には11,587億ウォンに引上げる(65年不変価格)。ま た 1人当り国民総生産は, 2万7466ウォンから 3万5732ウォンに引上げる。 (2)総投資を988億ウォンから2,319億ウォンに引上げ, G N Pに対する比率12.7 %を20%に引上げる。計画期間中の総投資 9812億ウォンの調達は,国内で63.6%, 海外から 36.4%とする。投資需要に対する資金調達のため,国内貯蓄を477億ウォン (貯蓄率6.1%)から 1,816億ウォン(15.7%)に高める。 (3) 貿易外収入を含む輸出は 2億8000万ドノレから 6億9000万ドノレに, 輸入は 4億 8200万ドルから 8億7900万ドノレにふやす。 多請求権資金の初年度使用案 政府と与党は 2月24日,請求権管理委員会が先に決めた請求権資金初年度使用計画 1億3755万3000ドノレを 1億ドル以下に引下げることに合意,閣議は25日, これを9593 万3000ドノレと策定して管理委員会に再上程, ここでの議決を経て朴大統領の裁可を受 け,国会に同意を要請した。 この初年度使用計画は, 最初の政府原案から大きく縮少されたが,その経過は次の とおりである。 (単位 1000ドル)。 無 償 財政借款 合 計 政府試案( 2月12日) 62,817 92,658 155,475 管理委案( 2月23日) 60,325 77,208 137,533 最 終 案 ( 2月25日〉 50,125 45,808 95,933 使用計画案がこのように縮少されたのは, 当初韓国側が資金の大幅な繰上げ使用に ついて楽観的な判断をしていたのに対し, 日本側が協定に反するとしてこれを拒否し 一( 10 )ー 10

(27)

-韓 国 (1∼2月〉 たためである。 なお韓国の野党は,この繰上げ使用に対し,選挙対策であると強く反 対している。 国会に提出された最終案の内容は次のとおり。 (単位 1000わけ マ 無 償 資 金 50,125 農 業 部 門 5,983 水 産 部 門 15,868 その他部門(送配電施設) 2,300 原資材導入部門 20,000 清 算 勘 定 4,573 誤 差 対 備 1,400 マ財政借款資金 45,808 中 小 企 業 部 門 15,000 鉄 道 海 運 部 門 20,103 建 設 部 門 9,455 誤 差 対 備 1,250 総 計 95,933 移韓国合同経済懇談会の共同声明 韓日国交正常化に伴い, 両国財界で経済関係の強化について話合う韓日合同経済懇 談会が, 2月18日から 23日まで東京で聞かれた。この懇談会には,日本側は石坂経団 連会長, 足立日商会長,稲垣日本貿易会会長ら約80名,韓国側は金容完経済人協会会 長ら 61名が参加した。最終日に発表された共同声明の要旨は次のとおり。 (1) 両国の経済交流を拡大強化するためには,両国経済人の相互理解と信頼を強 化することがきわめて重要であり, 今回の合同経済懇談会はこの点について重要な 意義をもった。 (2) 民間ベースによる経済協力を促すには,民間借款での頭金や支払い保証など の改善を検討するとともに, 技術提携ばかりでなく,今後韓国の輸出産業,輸入代 替産業ならひ、に新規開発産業について両国経済人による資本協力を促進することが 適切である。 (3) 日本と韓国の産業は,それぞ、れの産業発展段階に沿って, 国際分業を促進し 相互に協調補完しつつ, 両国産業の発展をはかることが長期的にみて最も適当であ - 11ー

(28)

韓 国 (1∼2月〉 ると考える。韓国の第2次 5ヵ年計画の構想、が農水産業の発展にも重点を置き,こ れとパランスのとれた工業発展を目的としていることは,きわめて妥当である。 (4) 技術交流を促進するためには,韓国側において工業所有権の保護を確立する など受け入れ体制の整備に努力するとともに, 日本側においても,韓国に対する技 術専門家の派遣,韓国からの技術研修者の受け入れなどにつきすみやかに検討を加 え,これを促進する。 (5) 当面の韓国経済発展と国際収支改善上, 2次産品の輸出,特に加工貿易の促 進がきわめて重要なので, 日本側において技術協力の強化,関税の減免,施設の貸 与,などを研究するとともに, 日本の中小企業への影響を勘案しつつ,その適切な 促進方策を検討するほか海外市場の共同開拓に努める。 (6) 韓国産品の輸入促進が, 当面,日韓両国貿易のアンバランスを是正する上で 重要であることを認め, 特に韓国から輸入しうる一次産品の自由化ないしワクの拡 大について日本政府の検討を求める。 (7) 日韓両国の経済交流を当面阻害している商社などの入国・滞在ならびに課税 問題などについては,早急に双方の政府にその改善方を働きかける。 (8) 第2回の日韓合同経済懇談会は,双方の合意の時期に韓国において開催する。

φ

韓国経済協力の構想 韓日合同経済懇談会のために使節団長として訪日した金容完韓国経済人協会会長は 2月19日,東京新聞の堀田経済部長との会見で,韓日経済協力のあり方などについて 次のような一問一答をした。 一一日韓国交回復後,最大の課題は経済協力問題だが, こんごどういう方向で経 済政策を進めるつもりか。中小企業,農業部門と重化学工業部門と, どちらに重点 をおくのか。 金団長 日本から受ける請求権をどう使うかは国民全体が関心を持っており, わ れわれはこれを有効,適切に使用する責任がある。 とくに請求権は農業開発と失業 者救済のための中小企業対策に重点的に使う。大型プラントを中心とした重化学工 業部門は民間ベースと米国,西独など欧米諸国からの借款でまかなう方針だ。 一一ことしで終わる第一次5ヵ年計画の成果はどうか。 金団長 2, 3の業種を除けば予定どおり,計画を達成した。これを土台にして, 第2次5ヵ年計画を来年から進めるわけだが, その目標は自立経済達成に置いてい る。これまでは米国の援助で経済を運営してきたが,援助がなくてもやってゆける 一( 12)一 ヮ “

(29)

韓 国 (1∼2月〉 ようにしたい。 一一日本からどんなものを導入する考えか。 金団長 日本でつくって世界に売れない産業は委託加工なり共同作業,分業なり あらゆる方法が考えられる。 日本の技術と資本を韓国の労働力と結びつける方法が 効果的だと思う。繊維,軽工業,造花,おもちゃなどがいいと思う。 一一韓国からみると, 日本との貿易不均衡是正が大きな問題になっているようだ が,貴国のほうでどういう具体策を考えておられるか。 金団長 日本は貿易の自由化を93%まで、達成したが,残りの 7 %は農産物など 1 次製品が多い。 しかし韓国が輸出できるのは日本がまだ自由化していない部分だ。 だから,これを韓国にたいしては緩めてほしい。 また鉱産物も日本に買ってほしいし, 日本と共同で第 3国市場開発もできると思 ワ。 一一日本からの経済協力, 資本のはいり方について韓国では“経済侵略”と受け 取る向きもあるようだが…−−。 金団長合弁の形がいちばん確実で効果的だと思う。 しかし,一般の国民は過去 の日本資本の進出について“経済侵略”との先入観があるのは事実で, これをどう いう方向で国民を納得させていくか,政府も検討している。誤解がなくなるのは時 間の問題だ。 ー一一合弁の場合,資本参加は何%認めるつもりか。 金団長 50%ぐらいまでは認めたい。また技術提携も促進させたい。 一一韓国では自由化はどのていど進んでいるか。 金 団 長 す で に70%が自由化されており,いま,自由化を軸にして,国内価格を 国際水準にサヤ寄せする政策を進めている。 一一日本と韓国を含めた共同市場構想、をどう思うか。 金団長大歓迎だ。日本,韓国,台湾など含めて具体化することを期待する。 一一韓国では輸出入のアンパランスを是正するため, シップ・コリアン(自国船 による船積み主義〉を進めているようだが日本船を使用した方が安くつくと思う。 金団長 国内産業を保護するため,そういう政策をとっている。しかし,安い船 を使用する方が経済の合理性からいえば当然なので,こんご, この点で圏内の海運 業界とも調整する必要があると考えている。 一一失業者の多い韓国から労働者を日本に送り込む考えはないか。 金団長 ご承知のように韓国は大量の失業者をかかえているのでこの構想には大 - 13 - 一( 13)ー

(30)

韓 国 (1∼2月) 賛成だ。ただ,日本では労働組合との問題があるので,むしろ, 日本国内の関係か ら実現するのはむずかしいのではないか。 一一技術交流には特許問題の解決をはからなければならない。韓国では工業技術 所有権制度が確立していないと聞くが。 金団長 日韓で合同事業が具体的に進めば,われわれ財界人も政府に, この問題 について強くいえる。 18日の合同経済懇談会でも日本側からバリ条約に参加してほ しいとの要望があったが, この問題が解決せずに協力はあり得ないので,もっとも なことだと考えている。 一一こんどの会談の成果についてはどう評価しているか。 金団長結論はまだ出ていない。しかし,経済交流の原則では一致しているので, こんどの会議で未解決のまま残った問題については, これからの課題として解決す るよう努力していきたい。

日 誌 (

1

2

〔I〕 圏内政治 4日 V朴大統領,年頭記者会見一一朴大統領は年頭の記者会見で,①全面的な内閣 改造はしない,②南ベトナム支援は国土防衛に支障のない範囲で行なう方針であ るが,今のところ増派計画はない,③韓米相互防衛協定を修正する必要はない, ④学園の正常化は新年施策の重点の一つである,とのべたo

v

野党の対政府闘争目標一一民衆党の金大中スポークスマンは, 7項目にわた る同党の当面する対政府与党闘争方針を明らかにした。その内容は,①政治テロ 事件の糾明,②政治犯の釈放,③学生と教授の処分撤回,④地方自治実施と政党 法および選挙法の改正,⑤韓日諸協定の条文解釈の差異に関する政府の見解をた だし,適切な処理を要求すること,⑥対日請求権使用関係法案に対する代案提出 ⑦鉄道庁汚職事件の糾明,であるo

v

失践した兵役義務者の調査指示一一国防部は,全国で15万5251名にのぼる失 綜した兵役義務者の調査を指示した。 V合参本部議長に張昌国陸軍大将任命 5日 ' 「日本漁船の侵犯はない」一一車農林部長官は, 「去る2日からの視察結果 一( 14 )- 14

(31)

-韓 国 C1∼2月〕 によると,共同規制水域内での日本漁船の行動に協定違反はなく,また韓国の専 管水域を侵犯した日本漁船は1隻もない

J

と言明,日本漁船の侵犯を報道した一 部言論機関を強く非難した。 7 日 V野党, 「日本の経済侵略」で質問書一一民衆党は所属議員約30人 の 名 義 で 「韓日国交正常化による経済協力に名をかりたH本の経済侵略の防止対策等に関 する対政府質問書」を国会に提出した。 8 日 V金斗漢議員逮捕一一韓国独立党の金闘漢議員は,国家保安法違反,内乱陰謀 容疑で逮捕された。検察当局は,同議員が「韓独党事件」に関連し, 「5段階革 命で現政権の転覆を企図した」と発表した。 12日 V鉄道庁不正事件一一一昨年12月に発覚した鉄道貨物運賃横領事件は,その後の 捜査で“史上最大”の不正事件であることが判明した。 12日現在の逮捕者はソウ ル駅長ら68人で, このほか約700人が捜査線上に上っている。事件は正規貨物運 賃の83%を各段階で横領したもので,その金額は李政権以来約 100億ウォン(鉄 道庁の年間予算に匹敵〉ど推定されている。 14日 V野党, 「請求権繰上げ使用反対」一一民衆党の金大中スポークスマンは, 「政府が進めている対日請求権の繰上げ使用交渉は,日本への従属を意味し,ま た1年後の総選挙をひかえた政府与党の選挙対策である」と声明を発表,請求権 資金の繰上げ使用に強く反対した。 17日 V第54回臨時国会開会 18日 V朴大統領,年頭教書発表(多特記事項参照〕 V文教部,全大学生への軍事訓練実施を計画一一文教部は, 4年制大学の全員 に対して現行のROTC(学徒軍事訓練団)軍事訓練を必須科目として実施する 計画であることを明らかにした。これに対し国防部の妻瑞竜次官は,そのような 計画は実現不可能であるとのベた。 20日 V民衆党基調演説一一朴順天民衆党代表最高委員は国会で, 66年度同党政策基 調演説を行ない,朴大統領の年頭教書に言及して,現実は「背信と絶望の時代」で あるとこれを批判した。朴順天女史はこの基調演説で,①対日外交における民族 主体制の確立,②統一問題国会特別委員会の設置,③南ベトナム増派に先立つ韓 米防衛条約の改正,④政治の民主的近代化,憲法,政党法,選挙法の改正,⑤地 方自治の実施,⑥中産層を中心とする大衆資本主義の建設などを特に強調した。 21日 V民主共和党基調演説一一金鍾泌民主共和党議長は国会で, 66年度の同党政策 基調演説を行ない,今年の政策指標を「安定のための静かな前進

J

に置くととも - 15 - 一( 15)一

(32)

韓 国 (1∼2月) に,「近代化のために役立つ施策で、あれば,野党のどのような提案でも受入れる」 とのべた。 同議長はこの演説のなかでとくに対日問題に触れ,日本への経済従属化防止に 努力するとともに韓日問題解快のため与野党協議機関を置くことを明らかにし た。対日経済従属防止策として同議長は,①貿易法改正による外国人の不法取引 行為防止,②外資導入促進委員会の厳格な審査制による日本の余剰商品流入防 止,③外国為替管理法改正による外国金融機関の国内活動制限,

G

:

鉱業権,特許 権などの外国人取得の防止,⑤請求権資金管理の公開等を公約した。 V日本商社を捜査一一検察当局は,三井,三菱,住友,丸紅飯田,伊藤忠,日 綿,東綿,安宅,日航の在韓 9日本商社を勤労基準法違反の疑いで捜査すること を決めた。 (注〉 去る12日,三菱商事ソウノレ4駐在員の吉田利氏が,外国機関ソウル支部日 本商社分会(昨年9月結成, 約120人〉の労組員と団交中, 韓国人労組員を 「共産党と同じ奴」と発言したため,同氏は18日,検察当局から反共法違反 で起訴された。 22日 V芦漕善氏, 「韓国協定は既定事実」一一野党強硬派の指導者安浩善氏は記者 会見で, 「韓日協定をひとつの既成事実として一応認める」と言明した。予氏は しかし, 「領土管轄権,旧条約無効の時期,対日請求権漁業協定などの問題点に 対する改廃闘争は今後も続ける」とのべた。 25日 V財務部長官任命一一政府は,空席中の財務部長官に商工部次官の金正漉氏を 任命したo v京郷新聞社を競売処分一一京郷新聞社に対する競売処分が執行され,金詰浩 氏(起亜産業代表〉が2億1807万ウォンで落札した。これに対し金大中民衆党ス ポークスマンは, 「京郷新聞社に対する競売処分執行は,悪らつな政治的弾圧行 為である

J

と政府を非難した。 27日 V電波法,教育公務員法等の改正を一時保留一一共和党は,逓信部が推進して きた電波管理法改正法律案中,放送局と通信者の許可取消し条項を削除するとと もに,文教部が推進してきた教育公務員法改正法律案中,教育監と教育委員の任 期を 4年から 2年に短縮する条項を削除することに決定した。なお政府はこのあ と,電波管理法改正をいったん撤回することに決めた。 (注〉 野党は,これらの法律改正を政府の選挙対策とみて反対の意志を表明し ていた。 一( 16)一 16

参照

関連したドキュメント

端を示すものである。 これは漸江省杭州市野下人 民公社に関する 1958

[r]

出版者 日本貿易振興機構アジア経済研究所/Institute of Developing Economies (IDE‑JETRO) .

権利 Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア 経済研究所 / Institute of Developing.

[r]

国際図書館連盟の障害者の情報アクセスに関する取

[r]

権利 Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア 経済研究所 / Institute of Developing.