音楽科教材における「編曲」に関する研究‐小・中学校を中心に‐
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(2) 一目..次一. ・・… @. はじめに. 2. 第I・章 学校における音楽科授業等の現状. 第1節学習指導要領について. … 3. 第2節 音楽科授業と特別活動・学校行事での音楽の役割・・19 第3節 準備に関する対応∼楽譜に関して∼. …. 25. 第■章・編曲・に伴一う諸問題一. @ 28 ・… @ 35. 第1節 現場での現状. ・…. 第2節 音楽科授業における編曲. 第皿竜一一編苗の実践. 第1節 教科書にみられる編曲の実際. ・…. @ 43. 第2節 子どもの実感・実態アンケートより. …. 62. 第3節 目の前の子どもに合わせた編曲・工夫. …. 73. ・・…. @ 80. 参考資料・楽譜. ・・…. @ 82. 謝辞. ・ “…. 119. 引用・参考文献および資料一覧. ・…. お’わ一一りに. 1. @ 120.
(3) はじめに・…. 現状. 一動機と目的一. 教員(任期付講師等)として学校教育の現場に出て、まもなく20 年に手が展こうとしている。この問に勤務した学校は、15校になる。 中学校・高等学校・小学校音楽専科・特別支援学校と、さまざまな 校種で音楽科教員として、児童生徒の音楽科学習・音楽活動に携わっ てきた。その中で、不便だと感じることの一つに、児童生徒の人数と 現状、楽器など備品の数と種類などが、既成の楽譜編成やその難易度 に、一致しにくいということがあった。. 特に、ほとんどの小学校の音楽会などで行われている器楽合奏では、. 既成の楽譜がそのまま使えないということは、音楽専科が必ず配置さ れているわけではなく、重大問題である。. 毎年行われる音楽会や生活発表会の中での合奏曲・合唱曲では、プ. ログラムの1つとして適切な選曲であるだけでなく、長時間練習する ことになるのであるから、教材としても適切であり、児童の意欲をそ そるような曲を演奏させたいと思う。. また、中学校においては、大所帯の合唱部や吹奏楽部が活発な活動 をする一方、生徒数の小規模校では、音楽系部活動の人数が多くなく、. 小編成のアンサンブル楽譜が必要とされる場合がある。. もちろん、毎年、多くの楽譜が出版され、適切なものも探せば全く ないわけではないだろう。しかし、上記の気になる事柄を克服するた めに、「内容(現物)を見て購入できるもの」となれば、かなり制限 されてしまう。. そうなれば、教員自身が、編曲の知識や手法を知り、自分の目の前 にいる児童生徒に合う楽譜ができれば最高ではないかと考えた。.
(4) 第I章. 学校における音楽科授業等の現状. 第1節 学習指導要領(改訂)について 現在、小・中学校の音楽科授業の表現の分野において中核を成す 歌唱・器楽は、どのような変遷を経て現在に至ったのであろうか。ま た、改訂された学習指導要領の「A表現」てば、歌唱・器楽について、 どのような目標や内容の取扱いが示されているのであろうか。. 奈良飛鳥時代、大陸の音楽が伝わり、それを日本人が習得したとき を日本の組織的な音楽教育の始まりとみることができよう。また、キ リシタンの伝来と共に日本人信者はキリスト教音楽を学び、一方で伝 統音楽は、師匠から弟子へと伝えられた。つまり、日本でも音楽教育 は種々の形で歴史を持っていたが、一般大衆的な意味は、あまりなか った。. 明治以降、国民皆教育制度が確立し、その教育カリキュラムに音楽 (唱歌)が導入された。教育内容として制定された学制にも、「当分. 之ヲ欠ク」との但し書きがつけられながら、小学校にr唱歌」、中学 校に「奏楽」を教科として規定した。. しかしながら、r唱歌」が必須科目となったのは、義務教育期間が. 4年から6年に延長された明治40年の小学校令改正に伴うもので、 「学制」発布後35年を経過したときであった。一’〕. 文部省の「尋常小学唱歌」は、明治末から大正の初年にかけて逐次 発行され、国定教科書ではなかったが、実質的には国定教科書のよう に大正期から昭和初期に至るまで大部分の小学校で採用されてきた。 2). その後、音楽科の目標の推移(<図2>参照)に導かれて、この6 0年間に内容・教材・方法も少しずつ変化してきた。器楽領域では、.
(5) 試案期の簡易教育楽器「銀笛3)<図1参照>」「折りたたみ木琴」「ミ. ハルス4〕」などによる合奏の模索を経て、告示期に入り、小学校では リード合奏(ハーモニカ・アコーディオンなどを中心とした合奏)が、. 中学校ではこれに加えてリコーダー合奏がそれぞれ音楽授業の理想 形とされ、現在では、一般化している。. <図1>Webぺ一ジより引用 (htt//・nf・・… oco1o一・1ft c㎝/b1o/2009/10/ost−6f7bhtm1 2010.1,5 20:00 ダウンロード). 明治の書物や雑誌の広告を見ると、銀笛の広告が時折掲載されているので、大体 の形状はわかる。このたて笛状の先にラッパを付けたものもあった。下記は、『横 笛独りまなび』倉田初四郎編、十字屋刊に載っている楽器広告である。 1「一「. 一噌:録日糠染貞狡屋字十灘卜. 4.
(6) 器楽のクラブ活動の分野では、第4次期に隆盛を極めたリード合奏 は一部を除いて影をひそめ、第5次期以降、小学校では、金管バンド が、中学校では吹奏楽がそれぞれ主流となっていく。(福島、千葉、. 新潟をはじめとする多くの県で少数ではあるが、戦後一貫してスクー ルオーケストラの活発な活動が継続されているところもある。). 授業で取り扱う楽器としては、第5次期から楽器の質が飛躍的に高 まったリコーダーが、小・中学校ともに中核的位置を占めている。 5).
(7) <図2>. 学習指導要領の推移 内容・領域の変遷. 時期. 第1次. 歌唱教育. 器楽教育. 1947年(昭22)試案. 鑑賞教育. 創作教育. 第2次. (中学校). (小学校). 1951年(昭26)試案. 歌唱. 1歌唱. 器楽. 2楽器の演奏 1■鑑賞. 鑑賞. 創造的表現 リズム反応. 第3次. (中学校). (小学校). 1958年(昭33)告示. A鑑賞 歌唱. B表現 歌唱. 第4次. 器楽. 小学校告示 1969年(昭44). 創作≡B鑑賞 (中学校). (小学校). 1968年(昭43). 器楽. A基礎. D器楽. D創作. B鑑賞. E創作. E鑑賞. C歌唱. 中学校告示. 第5次. A表現. 1977年(昭52)告示. B鑑賞. 第6次. A表現. 1989年(平元)告示. B鑑賞. 第7次. A表現. 1998年(平10)告示. B鑑賞. 第8次. A表現. 2008年(平20)告示. B鑑賞. 6. 創作.
(8) 改訂・学習指導要領(平成20年告示)から、演奏による表現活動 に関わる事項のみを取り出した。. <図3>「小学校学習指導要領」より 項 目. 全学年に関することと ’. 一. @ @. ’. ’. 一. ’. ’. 一. 一. 一. 一. 一 I. 一. .. ’. L. ’. 一. 一. 一. 一. 一. 一. ■. ■. ■. ■. 一. ■. ■. I. 一. 一. 一. ■. .. ■. 一. ■. ■. 一. .. ■. 一. 一. 一. 一. .. 一. 一. ■. .. 一 一. 一. 一. ■. 一. 一. ■. 一. 一. .. ■. 一. 一. 一. 一. 一. ■. ■. ’. ’. .. 一. 一. .. 一. ■. ■. 一. 一. ■. I. 一. .. 一. ■. 一. ■. ■. ■. 第1学年に関すること ≡第2学年および第3≡第5学年および第6 一. I. h. 1. D. 1. 1学年に関わること 1学年に関わること ,. 目. 標. ■. ①表現及び鑑賞の活動を通して、音楽を愛好する心情と音楽に対する感 性を育てるとともに、音楽活動の基礎的な能力を培い、豊かな情操を養 う。 ■. 一. 一. ■. 一. ■. 一. 一. I. 1. ■. 一. 一. 一. 一. .. 一. 一. .. 一. .. 一. 一. ■. .. ’. .. .. .. ②楽しく音楽にかか. ②進んで音楽にかか. ②創造的に音楽にかか. わり,音楽に対する興. わり,音楽活動への意. わり,音楽活動への意. 味・関心をもち,音楽. 欲を高め,音楽経験を. 欲を高め,音楽経験を. 経験を生かして生活. 生かして生活を明る. 生かして生活を明るく. を明るく潤いのある. く潤いのあるものに. 潤いのあるものにする. ものにする態度と習. する態度と習慣を育. 態度と習慣を育てる。. 憤を育てる。. てる。. ③基礎的な表現の能. ③基礎的な表現の能. ③基礎的な表現の能力. カを育て,音楽表現の. 力を伸ばし,音楽表現. を高め,音楽表現の喜. 楽しさに気付くよう. の楽しさを感じ取る. びを味わうようにす. にする。. ようにする。. る。. ④様々な音楽に親し. ④様々な音楽に親し. ④様々な音楽に親レむ. むようにし,基礎的な. むようにし,基礎的な. ようにし,基礎的な鑑. 鑑賞の能力を育て,音. 鑑賞の能力を伸ばし,. 賞の能力を高め,音楽. 楽を味わって聴くよ. 音楽を味わって聴く. を味わって聴くように. うにする。. ようにする。. する。一. 7.
(9) 表 現 ■. 内. 容 の. 取 扱. ①範唱を聴いて歌っ. ①範唱を聴いたり,ハ. ①範唱を聴いたり,ハ. たり、階名で模唱した. 長調の楽譜を見たりし. 長調及びイ短調の楽譜. り暗唱したりするこ. て歌うこと。. を見たりして歌うこ と。. と。. ㍉、. ②歌詞の表す情景や. ②歌詞の内容,曲想に. ②歌詞の内容,曲想を. 唱 的. 気持ちを想像したり,. ふさわしい表現を工夫. 生かした表現を工夫. 分. 楽曲の気分を感じ取. し,思いや意図をもつ. し,思いや意図をもつ. ったりし,思いをもつ. て歌うこと。. て歌うこと。. ③呼吸及び発音の仕. ③呼吸及び発音の仕方. ③自分の歌声及び発. 方に気を付けて,自然. を工夫して,自然で無. 音に気を付けて歌う. で無理のない一歌い方で. 理のない,響きのある. こと. 歌うこと。. 歌い方で歌うこと。. (歌. 野). て歌うこと。. ④各声部の歌声や全体 ④互いの歌声や伴奏 を聴いて,声を合わせ て歌うこと。. ④互いの歌声や副次 的な旋律,伴奏を聴い て,声を合わせて歌う. の響き,伴奏を聴いて,. 声を合わせて歌うこ と。. こと。. ⑤主となる歌唱教材に. ⑤主となる歌唱教. ⑤主となる歌唱教材に. 材については,各学年. ついては,各学年とも. ともウの共通教材を. ウの共通教材を含め. 含めて,斉唱及び輪唱. て,斉唱及び簡単な合. で歌う楽曲. 唱で歌う楽曲. ついては,各学年とも. ウの共通教材の中の3 曲を含めて,斉唱及び 合唱で歌う楽曲. ⑥相対的な音程感覚を育てるために,適宜,移動ド唱法を用いること。. ⑦歌唱教材については,共通教材のほか,長い間親しまれてきた唱歌,. それぞれの地方に伝承されているわらべうたや民謡など日本のうたを含 めて取り上げるようにすること。.
(10) ⑧変声以前から自分の声の特徴に関心をもたせるとともに,変声期の児 童に対して適切に配慮すること。.
(11) 表 現 ●. 内. 容 の. 取 扱 し、. (器. 楽 的. 分 野). ①節奏を聴いたり,リ. ①節奏を聴いたり,ハ長調. ①節奏を聴いたり,ハ長. ズム講などを見たりし. の楽譜を見たりして演奏. 調及びイ短調の楽譜を. て演奏すること。. すること。. 見たりして演奏するこ と。. ②楽曲の気分を感じ取. ②曲想にふさわしい表現. り,思いをもって演奏. を工夫し,思いや意図をも. すること。. って演奏すること。. ③身近な楽器に親しみ. ③音色に気を付けて旋律. 音色に気を付けて簡単. 楽器及び打楽器を演奏す. なリズムや旋律を演奏. ること。. ②曲想を生かした表現 を工夫し,思いや意図を もって演奏すること。. ③楽器の特徴を生かし て旋律楽器及び打楽器 を演奏すること。. すること. ④互いの楽器の音や副次. ④互いの楽器の音や伴. ④各声部の楽器の音や 的な旋律,伴奏を聴いて,. 全体g響き,伴奏を聴い. 奏を聴いて,音を合わ 音を合わせて演奏するこ. て,音を合わせて演奏す. せて演奏すること。 と。. ること。. ⑤第1学年及び第2学年. ⑤第3学年及び第4学年で. ⑤第5学年及び第6学年. で取り上げる身近な楽器. 取り上げる旋律楽器は,既. で取り上げる旋律楽器. は,様々な打楽器,オル. 晋の楽器を含めて,リコー. は,既習の楽器を含め. ガン,ハーモニカなどの. ダ]や鍵(けん)盤楽器な. ・て,電子楽器,和楽器,. 中から学校や児童の実態. どの中から学校や児童の. 諸外国に伝わる楽器な. を考慮して選択するこ. 実態を考慮して選択する. どの中から学校や児童. と。. こと。. の実態を考慮して選択 すること。. ⑥主となる器楽教材につ いては、既習の歌唱教材 を含めて、主旋律に簡単 なリズム伴奏や低声部な. ⑥主となる器楽教材につ いては,既習の歌唱教材を 含めて,簡単な重奏や合奏 にした楽曲. とを加えた楽曲. 10 1∩. ⑥主となる器楽教材に ついては,楽器の演奏効 果を考慮し,簡単な重奏 や合奏にした楽曲.
(12) ⑦各学年で取り上げる打楽器は,木琴,鉄琴,和楽器,諸外国に伝わる. 様々な楽器を含めて,演奏の効果,学校や児童の実態を考慮して選択す ること. 11.
(13) 表 現 ●. 内. ①楽を形づくってい. ①音楽を形づくってい. ①音楽を形づぐってい. る要素のうち次の. る要素のうち次の(ア). る要素のうち次の(ア). 及び(イ)を聴き取り,. 及び(イ)を聴き取り,. ぎ取り,それらの働き. それらの働きが生み出. それらの働・きが生み出. が生み出すよさや面. すよさや面白さ,美し. すよさや面白さ,美し. 白さ,美しさを感じ取. さを感じ取ること。. さを感じ取ること。. 容. (ア)及び(イ)を聴. の. 取 一級 し、. (全. 般 的. (ア)音色,リズム,. (ア)音色,リズム,遠. (ア)音色,リズム,速. 速度,旋律,強弱,音. 度,旋律,強弱,音の. 度,旋律,強弱,拍の. の重なり,音階や調,. 重なりや和声の響き,. 流れやフレーズなど. 拍の流れやフレrズな’. 音階や調,拍の流れや. の音楽を特徴付けて. どの音楽を特徴付けて. フレーズなどの音楽を. いる要素. いる要素. 特徴付けている要素. (イ)反復,問いと答え. (イ)反復,問いと答え,. (イ)反復,問いと答え,. な・どの音楽の仕組み. 変化などの音楽の仕組. 変化,音楽の縦,と横の. み. 関係などの音楽の仕組. な}. ること。. しと. ■止. ハ 事 ノ、. 項 を. 含 む). み. ②身近な音符,休符,. ②音符,休符,記号や. 記号や音楽にかかわ. 音楽にかかわる用語に. る用語について,音楽. ついて,音楽活動を通. 活動を通して理解す. して理解すること。. ②音符,休符,記号や 音楽にかかわる用語に ついて,音楽活動を通 して理解すること。. ること。. ③学校や児童の実態等 ③低学年においては,. に応じて,合唱や合奏,. 生活科などとの関連. 重唱や重奏などの表現. を積極的に図り,指導. 形態を選んで学習でき. の効果を高めるよう. るようにすること。. にすること。. 一. ’. 一. .. 一. 一. 一. ■. 一. I. ■. I. ■. 一. ’. 一. ■. ■. 一. 一. ■. ■. 一. 一. ■. 一. 一. 一. .. .. .. ■. 一. 一. ■. 一. 一. 一. ■. I. ■. ’. ’. .. 一. ■. 一. ■. ■. 一. 一. 一. 一. 一. 一. ’. 一. 12. 一. 一. 一. .. 一. 一. 一. 一. 一. I. ■. I. 一 ’. ’. ’. 一. 一. 一. .. 一. ■. ■. ■. ■. 一. ■. ■.一. 一. ■. 一. 一. ’. 一. 一. 一.
(14) ④音楽との一体感を味わい,想像力を働かせて音楽とかかわることが できるよう,指導のねらいに即して体を動かす活動を取り入れること。. .⑤和音及び和声の指導については,合唱や合奏の活動を通して和音の もつ表情を感じ取ることができるようにすること。また,長調及び短. 調の楽曲においては,I,M,V及びV・などの和音を中心に指導す ること。. ⑥各学年の〔共通事項〕のイの「音符,休符,記号や音楽にかかわる 用語」については,児童の学習状況を考慮して,次に示すものを取り 扱うこと。. 2よJ♪ ♪♪. よ. 1い㈱. 月 1. # 』 一 ∫ 砂. ρ 岬 〉. {プレ刺. 筆 竈 埆 濫く(二:〉虫. 屯. 里. 専. 9. 11. 晦. 制 .1 {膜籔鍵捗}. 1. 迂旗艦鰹妙}. ∩∩ 1 :l J」螂 碑利. 胆ラー} げク噌ソト)価夢学カー的. 13.
(15) <図4>「中学校学習指導要領」より. 全学年に関することと. 項 目. 一一■■■一’一一一一一一一一’一一■一一I一一一一一一一一一一一.一一’一一一一一一一 宙鼈鼈黶f一一一一一一■一一一一■II一’一’一’’’’一’一’一一一一一一一一一一’一I■. @. 日. 一 第1学年に関すること. 1第2学年および第3学年に関わるこ. ①音楽活動の楽しさを体験するこ. ①音楽活動の楽しさを体験するこ. とを通して,音や音楽への興味・. とを癌して、音や音楽への興味・関. 関心を養い、音楽によって生活を. 心を高め、音楽によって生活を明る. 明るく豊かなものにする態度を育. く豊かなものにし、生涯にわたって. てる。. 音楽に親しんでいく態度を育てる。. 標. ②多様な音楽表現の豊かさや美し ②多様な音楽表現の豊かさや美し. さを感じ取り、表現の技能を伸ば、. さを感じ取り、基礎的な表現の技. 創意工夫して表現する能力を高め. 能を身に付け、創意工夫して表現. る。. する能力を育てる。. ③多様な音楽に対する理解を深め、. ③多様な音楽のよさや美しさを味. 幅広く主体的に鑑賞する能力を高. わい、幅広く主体的に鑑賞する能. める。. 力を育てる。. 14.
(16) 表 現 .内. 容 の. 取. ①歌詞の内容や曲想を感じ散り、 ①歌詞の内容や曲想を味わい、曲に 表現を工夫して歌うこと。. ふさわしい表現を工夫して歌うこ. と。 ②曲種に応じた発声により、言葉. 扱 し、. 歌 唱 的. 分 野. の特性を生かして歌うこと。. ②曲種に応じた発声や言葉の特性. を理解して、それらを生かして歌う ③声部の役割や全体の響きを感じ こと。 取り、表現を工夫しながら合わせ て歌うこと。. ③声部の役割と全体の響きとのか. かわりを理解して,表現を工夫しな がら合わせて歌うこと。 ④変声期について気付かせるとともに,変声期の生徒に対しては心理的 な面についても配慮し,適切な声域と声量によって歌わせるようにする こと。. ⑤相対的な音程感覚などを育てるために,適宜,移動ド唱法を用いるこ と。. 表 現. ア 曲想を感じ取り,表現を工夫. ア 曲想を味わい,曲にふさわしい. 内. して演奏すること。. 表現を工夫して演奏すること。. イ 楽器の特徴をとらえ,基礎的. イ 楽器の特徴を理解し,基礎的な. な奏法を身に付けて演奏するこ. 奏法を生かして演奏すること。. 容 の. 取. 扱 レ、.. 器 楽. と。. 的. 分 野. ウ 声部の役割と全体の響きとの ウ 声部の役割や全体の響きを感. かかわりを理解して,表現を工夫し. じ取り.,表現を工夫しながら合わ. ながら合わせて演奏すること。. せて演奏すること。. 15.
(17) ①我が国及び諸外国の様々な音楽. ①我が国及び諸外国の様々な音楽. のうち,指導のねらいに適切で,. のうち,指導のねらいに適切で,生. 生徒にとって平易で親しみのもて. 徒の意欲を高め親しみのもてるも. るものであること。. のであること。. 全 般. ②音色,リズム,速度,旋律,テ. ②音色,リズム,速度,旋律,テク. 的. クスチュア,強弱,形式,構成な. スチュア,強弱,形式,構成などの. どの音楽を形づくっている要素や. 音楽を形づくっている要素や要素. 要素同士の関連を知覚し,それら. 同士の関連を知覚し,それらの働き. の働きが生み出す特質や雰囲気を. が生み出す特質や雰囲気を感受す. 感受すること。. ること。. ③音楽を形づくっている要素とそ. ③音楽を形づくっている要素とそ. れらの働きを表す用語や記号など. れらの働きを表す用語や記号など. について,音楽活動を通して理解. について,音楽活動を通して理解す. すること。. ること。. 表 現 内. 容 の. 取 扱 し、. な ど. 共 通 事 項. ④生徒がより個性を生かした音楽活動を展開できるようにするため,表 現方法や表現形態を選択できるよ一うにするなど,学校や生徒の実態に応 じ,効果的な指導ができるよう工夫すること。. ⑤我が国の伝統的な歌唱や和楽器の指導については,言葉と音楽との関 係,姿勢や身体の使い方についても配慮すること。. ⑥読譜の指導については,小学校における学習を踏まえ,#やトの調号 としての意味を理解させるとともに。3学年間を通じて,王#,1ト程度 をもった調号の楽譜の視唱や視奏に慣れさせるようにすること。. 16.
(18) ⑦生徒が自己のイメージや思いを伝え合ったり,他者の意図に共感した りできるようにするなどコミュニケーションを図る指導を工夫するこ と。. ⑧音環境への関心を高めたり,音や音楽が生活に果たす役割を考えさせ たりするなど,生徒が音や音楽と生活や社会とのかかわりを実感できる ような指導を工夫すること。. ⑨音楽に関する知的財産権について,必要に応じて触れるようにするこ と。. ⑩用語や記号などは、小学校学習指導要領第2章第6節音楽の第3の2 の(6)に示すものに加え、生徒の学習状況を考慮して、次に示すものを 擢、越一. ..斗、、、、.㍗一一111く・・一欝 芭ふ. (. 山繍 取り扱うこと。. 17.
(19) ・注釈. 1)平島達司・谷村晃・松本ミサヲ・松田明・田畑八郎共著. r翔んでる音楽教育 とんでもない音楽教育」2006p.51 2) 上原一馬著 「日本音楽教育文化史」1988p.234 3) r銀笛」ティン・ホイッスルのようなたて笛。先がラッパ付ぎになっている ものもある。 東京都 及川鳴り物博物館に所蔵品在り。. 4) 「ミハルス」カスタネットを簡略化した軍具・教育用楽器。赤と青の板(一 方の板には突揮が付いている)をゴム紐で括ってある。舞踊家の千葉みはる が考案した。. 5) 山本文茂著 rこれからの音楽教育を考える展望と指針」2006p.18−22. 18.
(20) 第2節 音楽科授業と特別活動・学校行事での音楽の役割 音楽科を担当するということは、その学校の行事の中核を担うこと になると言ってもよいほど、行事の準備・指導に深く関わることとな る。合唱コンクールや音楽会といった、音楽科と学年が一体と.なって. 取り組む行事から、年間に行われる様々往式に向けての歌唱指導と伴 奏、校外活動で歌う歌の練習など、学校行事に児童生徒の「音楽活動」 は欠かせないものになっている。. しかし、音楽科担当の教員は、各学校1名もしくは2名のところが ほとんどである。少ない人数で学年全体もしくは、学校全体に関わる 音楽活動を担うことは、大変な.ことであるが、授業計画とうまくリン. クさせていけば、児童生徒の発表・表現の場として、教科指導の延長 上に生かしていくこともできるであろう。. ただし、授業時間数削減の中で行うのであるから、授業時間の中に 入れる時にはよく考え、計画的に、行事に向けた練習を含めていかな いと、本来の教科指導の授業なのか、行事のための授業なのかわから ない状態に陥るこ一とになってし一まう。. また、行事に関わることを指導する時には、生徒会担当教員・当該 学年教員などとの連携をとることによって、児童生徒の活動がより良 くなることは間違いない。. そのほかに、生徒会(児童会)の委員会活動として、文化委員会や 学芸委員会、小学校でのクラブ活動、中学校での部活動での指導や、 それに付随する演奏会やコンクール、地域での活動も音楽科担当が担 うことが多い。. 19.
(21) (1)一音一楽科の年間授業時間数と役割. 小学校・中学校においては、「各教科・道徳・総合的な学習の時 間並びに特別活動(小学校のみ、外国語活動)」によって編成され ている。. 一音楽科の年間授業時間数一. 中学校(中1一:一45、 中一2・中3:35 ). 小学校(小1:68、 小2:70く ノj,3・ノ』・4:60、 ノド5・ノ』、6:50 ). 週一あたりにす一ると、わずか柱授業時間数であ一るが、一学校教育の中で. の音楽科の役割は大きい。. 「音楽」と「教育」が何らかの形で結び付いた営み、すなわち、「学. 校内外において、教育を目的として人間が音楽と取り組むすべての営 み」一一を「音楽教育」一’と呼んでいる。そしてく音楽と教育の一緒・び付き方. は、目的にしたがって、. ①音楽の教育…知識・技能の伝達 ②音楽のための教育…音楽的成長 ③音楽を通’しての一教育…人間的成長. ④音楽による教育…音楽外的手段 の四つに分けることができる。6). つまり、学校教育の場において音楽は、単なる一教科として授業時 間内」の学習活動にと一とまらず、一教育活動の色々な場面での・役割がおの. ずと発生すると言えよう。. 20.
(22) (2)音楽科が深く関わる特別活動(学校行事及び児童生徒の活動). の実例. 上記で述べた「②音楽のための教育」は、子どもたちの音楽的能力 をできるだけ高めて、生涯にわたって音楽との関わりを持つことがで きるようにすることを目的とするもの、「③音楽を通して.の教育」は. 子どもたちの音楽的成長を促す過程で、基本的生活習慣・自主性・責 任感・社会性などの人間的成長を合わせて実現することを目的とした もので、クラブ活動・部活動・校内コンクール・校内発表会などがこ れにあたる。. これらは、実際の学校現場では、どのように行われているのか、次. の<図5>は、小・中学校での実際の年間活動実績であり、他校でも よく見られるパターンである。. 21.
(23) <図5>音楽科が活動主体となった学校行事一覧の実例. 規.. 模. 丁市小学校. K市 中学校. ①全校(6学年計12クラス. ①全校(3学年25クラス十特. 十特別支援1クラス)のうら、. 別支援学級2クラス)を、音楽. 特別支援学級を除く全クラス. 科2名(「総合」としての音楽の. を音楽専科1名が授業を担. 授業も含む)で担当。. 当。. ②放課後等の音楽系部活動を担. ②授業時間内でのクラブ活動. 当。. を担当。 1. 学 期. ①入学式一在校生による校. ①入学式. 歌紹介’. ②3年生修学旅行先での平和集. ②秤入生歓迎会…各学年に. 会用の歌指導. よる歓迎の歌・リコーダー麦 ③1年生野外活動用のキャンプ. 2 学 期. などの出し物. ソングなど. ①運動会…開式及び閉式で. ①体育大会…開式及び閉式で. の校歌など式歌と鼓笛隊。. の吹奏楽部演奏と校歌など式. ②音楽会…企画立案・職員会. 歌。. 議での提案・専科担当学年の. ②合唱コンクールおよび文化祭. 選曲・専科担当外学年への助. ③作曲コンクール出品および、. 言など。. 地区での審査。. ③作曲コンクール…出品及. ④市内連合音楽会出演と、運営。. び本選の事前指導と引率。 3 学 期. ③6年生を送る会. ①3年生を送る会. ④卒業式. ②卒業式. (例年、丁市内連合音楽会へ高学年の参加が あったが、市の予算削減の偏りをうけて、 中止となった。). 22.
(24) 以上の「音楽科が活動主体となった学校行事」には、一見、教科外 の活動ではあるが、しかし、授業時間内において、指導していかなけ. ればならない事柄も多い。関連事項をまとめると、次の3つに分別で きる。. A・儀式的行事において、校歌・行事用の決まった歌のような伝統 的な曲を歌い伝える。. B・音楽会(生活発表会)・文化祭などの学芸的行事の企画立案・ 選曲・指導の中心となる。. C・クラブ活動・部活動の系統だった指導計画、地域行事への参加 及びそれに伴う練習の指導及び準備。. Aにおいては、決まった曲がほとんどなので、どのタイミングで授 業に取り込むかさえ考慮すれば、指導はスムーズに運ぶ。. B・Cにおいては、学校にどのような楽器がどれだけあるのか、何 人の児童生徒で行うのか(クラス単位なのか、学級単位なのか、学年 を合同なのか、委員会活動、あるいは部活動のように学年を超えたも のなのか)、何人の教師が練習活動に闘われるのか(特に小学校では)、. 練習期間(時間)は、どれだけ確保できるか、どうような曲が適して いるのか、楽譜があるのかなどを考慮しながら、企画立案し、練習活 動へと運営していかなくてはならない。. 図6は、小学校での音楽専科が担当する学年の「年間の音楽活動」 を表にまとめたものである。7). ・注釈. 6) 山本文茂著 rこれからの音楽教育を考える 展望と指針」2006p,9 7) 「第49回近畿音楽研究大会 兵庫大会」資料集より. 23.
(25) <図6>神戸市立千代が丘小学校2006年度音楽発信カレンダー. 子代が屋外掌篠. 4月. 入学式. 6年. 朝の酋誘悶. 始業式. 1年生を趣える. 6月. 5月. 5年 4年 3年 2牢へ. 2①06年度音業菱信カレンダー. 9月. 7月. 垂水申学のブ チ代が丘祭り 始業式 ラスバンド部 のオープニン. べお礼g歌を. 五五月. 王O月. 属 会に肉け て. ム. ョ 古. 12月 終・冥. 始業, 卒業に商けて. グで歌おう. 連動会の賊. フおう.. 覇め会訪簡. 卒業コンサー. 5年. 1年生を遜える 会. ト・. 6年生を送る一. 黄桑会に向け て. 卒業式. 自然学狡を盛. 事年生とソコ・一ダーを次こ・. 終業武一. 始業式. り上げよラ. (学年集会で). 。膏築会に肉げ 音楽会. I終業式. 鵡業武. う(朝の会誘 闘). 学級音楽会に 学綴音’会 ’向けて. 一て. 」連動会の歌を. 学級音楽会の詠. ユ牢生と歌お一. 爾. 6年隼を送る 会. .つ. 卒業式に淘け. 自然学校報奮・. て. 会(牽校集会). 音楽会に肉け. .卒業武. 終業式. て. 、終式. 始業. 同 式. 因.会に向け て. 4年. 卒業コンサー. 会. 1年へ. 婚拳式. 3月. トの練習. 卒業コンサート の謙爾. のつて歌おう. 終業式. に胸けて. 広島の修学厳.. 行で平和をい. 会. 2月. 五月. 1宰全を麹える. 連動会の歌. 、 ム. レ 衣. ・トーライアングル. コンサート. トライア’ング. 会. ルコンサート. に殉.けぞ. 菅楽会に’陶け. 終業式. 鯵式. 学綴の愚.い艶 .クフス舎 を作ろう. 季誘で歌奉ラ 合撃と合奏 ゲストテイーチ. 6年生を送る.. 一ヤーをお麹えし. 会. て. て. 終業式. 終武. 飴業弐. 3年. 始業式. 講’苫に肉け. 筒一 寓。. 地壌のお年月り 始業 との交流会. 一て. 連藪会の歓・. 工’年生を麹える. 会. 音楽会把商け て. 24. ’. 学綴の愚い出 6年生を送る を作ろう. 会. 籔と合奏. 雄域のお牢喬 りとの交涜会 終藁弐 に肉けて. 終業式.
(26) 第3節 準備に関する対応∼楽譜に関して∼ 教科指導、あるいは、特別活動における音楽活動の取り組みの準備 において、重要なことの1つに楽譜の用意がある。 各学校に楽譜のライブラリーは、そう多くはない。その年の子供た ちに合うもの、環境(楽器などの備品や、練習場所、児童生徒の人数 と関わる教師の人数、練習期間など)に合うものという諸条件をふま えて選曲し、楽譜を準備しなくてはならない。つまり、コーディネー ターとして、授業(行事のための練習活動も含む)や特別活動・部活 動などの企画運営を行わなくてはならない。. また、音楽科教師は、その授業がすべりだすと、時には、サポータ 』となり、あるいは、子どもと授業を作り上げる共有者となっていく のである。. より良い授業のためにも、教材である楽譜の選択と、教材解釈は、 重要である。(部活動における音楽活動もまた同様である。)8). 次の(1)∼(3)は、楽譜に関する学校現場での現状である。. (1)小学校音楽会などでの器楽合奏・合唱 <リード楽器を中心とした器楽合奏>. ・比較的、出版物は多い。特に、CDとタイアップしたシリーズ 物の合奏曲集や、小学校教員向けの出版物など。. ・最近、ポップス系の曲を合奏に取り入れたい意向が多くなった ためか、吹奏楽のポップス楽譜を得意とする出版社が、器楽合奏 曲の楽譜も出している。ただ、編成のパート数の多さ・ポップス ならではのリズムの難しさなどがある。. ・ほとんどの学校では、教師個人が所蔵する楽譜集などに頼って 25.
(27) いる面がある。前任校でやってみて良かった曲のコピーが使われ、 演奏され続けることとなる。 ・学校・学年によって児童数・所蔵楽器数(種類・数)が異なる。. また、音楽会になると、練習に携われる教師の数も異なる。一曲自. 体の難易度だけでなく、それらのこともふまえて、可能なパート 割りを考える必要がある。. <児童合唱>. ・歌唱分野では、同声2部合唱が多く用いられる。教科書掲載の 選択曲も充実してきたし、出版物も比較的多い。ただ、声域や伴 奏の難易度の問題が生じることがある。. (2)小学校でのクラブ活動 <金管バンド>. ・中学校・高等学校の吹奏楽部と同様のスタイルをとっていると ごろと、マーチングを中心に行っているところがある。楽譜に関 しては、次の(3)と同様と考えられる。. (3)中学校高等学校での部活動 <吹奏薬に関して>. ・吹奏楽に関しては、オランダ・アメリカをはじめとする海外出 版杜の輸入楽譜、国内では、クラシックの編曲版・吹奏楽オリジ. ナル曲の出版以外にも、WMAHAニューサウンズシリーズ・ミ ュージックエイト社などポップス系楽曲の編曲版で、定番になっ ているものもある。. ・佼成W.0.・シエナW.O.・大阪市音楽団など、CD出版された プロの演奏などから、楽譜の出版情報を得ることもある。. ・いずれの出版社も、最近では、大編成の曲だけでなく、少子化 に伴う学校における吹奏楽団体の編成規模の縮小も視野に入れた 26.
(28) 楽譜が見られるようになってきた。. ・費用の面で、多少かさむことになるが、レンタル講の利用もあ る。. ・まれではあるが、規模や特徴に合わせた編成の編曲・作曲を専 門家に依頼する団体が、以前に増してみられるようになってきた。. ・毎冬に行われているアンサンブルコンテストに関しては、小規. 模校が保有しないことが多いダブルリードを含まない木管アンサ ンブルの編成に編曲された楽曲の出版が以前よりも増えてきた。. <リコーダーに関して>. ・20∼30年前、日本各地で、リコーダーアンサンブルが多く見 られた時期があった。その頃は、リコーダーに関する多くの楽譜の. 出版があったそうであるが、現在は、かなり減少している。9)ソ ロや、2重奏程度のものは、楽器店にも並んでいるが、アンサンブ ル・合奏の規模の曲になると、とても少なく、リコーダーのオリジ ナル曲やリコーダーの良さを生かした楽曲というよりは、知ってい. る曲をリコ』ダーで吹こうという趣旨のもとに編曲されたような ものが多い。. ・ベルギー、オランダなどの輸入楽譜もあるが、情報としては、吹 奏楽やオーケストラに比べて、かなり少ない。. 実感として感じることは、r使い勝手が良い」と思えるものは、 年度が変わっても再び利用することが多く、特に、行事で用いるも のは、その傾向があるように感じる。. ・注釈. 8) 熊木眞見子著 「子ども&授業 音楽①」1998p.2 9) 東京リコーダー協会理事 元中学校教論 小林幹子氏談. 27.
(29) 第■章. 編曲に伴う諸問題. 第1節 現場での現状 中学校の場合、教科担任制であること、生徒がある程度の音楽経 験を積んできていること、市内音楽科のネットワークを持ちやすい. (各校1.2名の教科担任であるために転勤をしても市内でほぼ同 じメンバーが音楽を担当するため)ことなどから、現場の問題点の 対応が小学校に比べると、取りやすい状況にあると思う。特に、こ の市内の音楽科担当者でコミュニケーションをとりやすい点は、大 変心強く、問題点の相談や解決に向けた助言を得やすい状況にある。. このことは、私の経験上、総じてどの市の音楽科にも当てはまる気 がした。. 例をあげると、前学習指導要領改訂により、和楽器導入をしなけ ればならなくなった時、K市では、各学校にある楽器はせいぜい生 徒に見せるための箏が1面程度という状況であった。行政も財政的 に苦しい時期であったため、学校備品として、授業で使えるほどの. 購入は不可能であった。それを乗り切るために、音楽科担当者と市 担当者で考え出した方策は、「各校2面の箏を購入」することであっ.. た。もちろん、わずか2面では、授業での活動には使えない。しか. し、市内中学校を3枝ごとのグル』プとし、各校が持ち寄って6面 にすると、班活動ができる。そして、6面の箏を1学期間ごとに、 その3校をローテーションするという方法であった。このことによ り、1. e校とも和楽器の授業が実現した。. 辛た、小学校における音楽専科担当、或いは、音楽の授業をする 学級担任は、運動会と並ぶ、二大行事である音楽会では悩みを抱え ることが多いように思う。. まず、音楽専科担当が、音楽を専門的に学んできた教師だとは限 28.
(30) らないこと。クラス数の増減によって、専科の配置があるとは限ら ないこと。また、専科が配置されても、全学年にわたって音楽専科 が授業を担当するとは限らないこと。以上の事柄は、行政的・校内 人事的な問題であり、音楽専科担当や学級担任で対応できる事柄で はない。. しかし、その限られた条件の中でいかに、よりよい教材を以って、. よりよい授業・音楽活動を児童と共有できるか、そのために、問題 点を明らかにしてみたい。. (小学校音楽専科をとりまく現状). ①音楽専科担当が1年生から6年生までを担当する。 ②音楽専科が一部の学年を担当する。. ③音楽の専門知識を備えた専科担当である場合、または、校内人事 の都合上、専門知識はないが、担当者になっている場合がある。 ④急速な児童数変化が起こった学校での対応がどうであるか。(全般. 的には児童数は減少傾向であるが、新興住宅地の造成やマンショ ン建設によって、一時的に、急激な増加がみられることがある。) ⑤楽器備品が十分でない場合(数・種類・状態)がよくある。 ⑥行事に関わる曲も音楽の授業で指導をすることになる。あるいは、 その後、学級活動の中でそれを深めて、行事に臨む。(時間数に関. しては、第I章参照). ⑦音楽会に向けての学級・学年での合奏に際して、学級担任が音楽 を苦手な場合、また、児童の練習をサポートできる教員があまり. いない場合、各パートの練習音源(テープ・CDなど)を用意し なくてはならない場合がある。この作成には、いろいちな方法が. あるが、ほとんどの場合、そのための教具・備品はないので、教. 師自前のPCソフト或るいは、電子楽器などで作成することが多 い。かなり、時間と手間のかかる作業である。 29.一.
(31) ⑧楽譜のパート数が多いほど、完成すれば、厚みのあるすぱらしい 演奏になるかもしれないが、実際には、児童の実態・関わること ができる教員数・使うことができる楽器にかなりの制約があるこ とが多い。つまり、・既成の楽譜を用いにくい。. ①∼③に関しては、校内人事が決定後、年度初めの担当学年の割 り振りや校務分掌を決定する時期に当該学年学級の担任とよく相談 をし合い、組織的なサポート体制を確認し合う必要がある。. また、④に関しては、人数の増減はある程度、前年度申に予測さ れるものではあるが、行事や授業体制が“例年通り”ではいかないこ. とになる。場合によっては二管理職・事務室に大きく力を借り、協 力体制のもと、活動していかなくてはならない。. そして、音楽専科担当教師(或いは、専科が配置されないところ では、学級担任の申の音楽科担当者)が、中心となっていかなくて はならない問題が⑤∼⑧である。まず、⑤の楽器状況を把握しない ことには、授業・行事の計画・準備は始められない。. 実際のところ、楽器備品がどういう状況であるか、異なる市の2 つの小学校を例に挙げてみた。. (楽器備品の実例1)丁小学校の場合・… (各学年2クラス十特別. 支援学級1クラス、合計13クラス) マリンバ マリンバのようなもの(使用?). シロフォン ビプラフォン 鉄琴 グロッケン. スタンドシンバル 30.
(32) シンバル. 1. 小太鼓. 1. 大太鼓. 1. コンガ. 1セット. ボンゴ(皮が割れている). 1. カウベル. 1. タンバリン. 数個. 鉛. 数個. トライアングル. 数個. アコ』ディオン(SATB). 8台. ティンパニ(ネジ式). 大小1セット. キーボード(バス・シンセ・オルガン). 4台. 鍵盤ハーモニカ(忘れた時の貸し出し用)数台 鼓笛隊用の楽器が少し. (楽器備品の実例2)J小学校の場合… (兵庫県が実施している. 少人数学級30名クラスが6クラス十8クラス十特別支援学級2ク ラス、合計16クラス). 木琴(ATB各2) 鉄琴 ビブラフォン. グロッケン. 大太鼓(使用可1+あまりよくない1) 小太鼓 テンプルブロック 31.
(33) あたり鉦 ギロ. 1 1. マラカス. 3. おもちゃ的なマラカス. 6. ウッドブロック(2種、ひびが入っているもの有り)4 スレイベル(大きい鈴). 3. 鈴. 6. ボンゴ. 1. タンブリン(6+大3). 9. コンガ. 1. 10. モンキータンブリン(1+小9) スタンドシンバル. 1. ティンパニ(大中小、チューニングが困難). 1セツト. カスタネット. 3. ウィンドチャイム. 1. 和太鼓. 1. アコーディオン(S6,A5,T3,B3) ピアニカ. ミュージックベル. 17 11 1セット. キーボード(楽器としてはどうか?と思う. おもちゃ的な物3+普通3+バス). 7. カッコウ笛. 2. コントラバス. 1. エレクト』ン. 1. マーテング用トランペット(修理調整が必要). 数台. マーチング用小太鼓(修理が必要). 数台. 32.
(34) 2校は学校の規模にはそれほど違いはないが、J小学校は、以前、 もう少しクラス数が多かったこと、音楽専科担当教員が数年にわた って同じ教員が担当したために、ある程度、備品数を保つことがで きたのではないかと推測できる。. 特に、低学年に多く使用する小物の打楽器類、高学年の合奏を充 実させるために必要な、アコーディオンや鍵盤打楽器の音域別の種 類が揃えられていることは、合奏め計画を立てる時に役立つ。. しかし、丁小学校に比べると、J小学校は一見、楽器数は多く見 えるけれども、使用に無理がある状態のものも、少なくない。. オルガンやシンセサイザ』をはじめとするキーボード類は、数の 上からも不足していて、小さなおもちゃのようなキーボ』ドをアン. プにつないで音を拡大させて使用しているという具合であった。1 つのアンプに6台をつなぐため、児童は自分の出している音がわか らない。アンプのトラブルも発生した。. 自分の音色を感じ取れないというのは、音楽活動としてはどうか と思う。. このことが、なかなか解消できないのには、予算の面と、事務的 な問題がある。値段の安い小さい小物打楽器を購入する時と、キー ボードのように、ある程度値段が高い物を備品購入する時とでは、. 購入にあたっての事務的な手続きが異なるため、なかなか備品購入 してもらうことができなという現状があるためである。. 丁小学校では、全般的に楽器数は多くないが、音楽専科が全学年 の音楽の授業を担当していたため、楽器使用に関して、学級や学年 がぶつかってしまうということが、ほとんどなく、合奏の編成の工 夫さえできていれば、なんとかやりくりができた。. しかし、全学年を音楽専科が担当できる授業数としては限度に近 い状態であったので、これよりも少しでも学級が増える、或いは、 33.
(35) 楽器の破損などがあると、今の状況を保つことはできず、たちまち 困ってしまうという余裕のない状況であった。(実際に、破損してい ても代わるものがないために、「とりあえず、破棄せずに置いている」 ものも、少なくない。). 各校、様々な状況の中、あるもので目の前の子どもたちに適する. 合奏計画・準備を進めなくてはならない。そのためには、それに見 合った編成の楽譜が重要になってくる。. どのような状況下でおいても、対応できるように、音楽科担当者 としては、楽譜を工夫する力を持っていたいものである。. 34.
(36) 第2節 音楽科授業における編曲 (1)楽曲を教材化する. 教材は、教授あるいは学習活動の材料となるべき文化財であり、. その教材によって、学習の目標を達成するという課題を持つもので ある。1). つまり、「一定の教育目標を達成するために選ばれた具体的な素 材」「ある目標を達成するために選ばれた文化的素材のこと」をいう。. さらに、音楽が人間の暮らしと密着し、文化を形成し芸術へと発 展させたことを考えれば、教材は、人間の暮らしや生活、そして教 育課題と多様な音楽内容など幅広い視点から考え、決定していくこ とが重要であろう。. 教材を選ぶ際、設定した指導目標をどの程度実現できるのか、ど のような教育効果をもたらすのかを念頭に置くことが、重要である。. 題材の目標を達成する選択のポイントとして、以下の点が挙げら れよう。. ①児童生徒が興味・関心を持つことができるか ②発達段階に適しているか ③目標に到達できる(到達させたい)要素があり、学習の 広がりを期待できるか ④作品に価値があり、心に残るものか. 部活動・クラブ活動などの場合、これに、. ⑤学校内外の音楽活動の場(演奏会・行事など)に、ふさわし 35.
(37) いプログラムであるかを、含める必要があると思われる。. 「具体的素材」・「文化的素材」として選んだ楽曲を、児童生徒の. 前に示すとき、上記①∼⑤を兼ね備えたものになるように、手を加 えることによって、r教材化」することになる。. たとえ、それが教科書に載っているものであっても、十分な教材 研究・楽曲分析によって、そのまま使用するだけでなく、児童生徒 の実態によって扱い方を変えることが不可欠である。. たとえば、声域を児童生徒に合わせたり、簡単に演奏できるよう にアレンジしたりすることである。なぜなら、毎年同じ学年に同じ ように… とは、いかないことも多くあるからだ。(反対に、同じ ようなところで興味・意欲を持ちやすいという事柄もある。)学年に. よって、子ども達のそれまでの音楽経験が異なること、身体的精神 的発達段階の差があるからである。また、合奏の場合はそれに加え て、学校によって異なる備品の数・種類、確保できる活動時間数も 考慮すべきである。. また、児童生徒の学習進度に差が出やすい器楽の分野の授業では、. 苦手な子どもへの対応に追われがちになりやすいが、得意とする子 どもが意欲をなくすことのないように、練習曲の旋律にハーモニ』. をつけ、第2のパートを作ってやることで、すぐに二重奏の練習が 始まる。子どもの音楽的欲求を満たしてやる工夫が必要である。. 逆に、苦手な子どもには、簡単化・シンプル化して提示してやる. ことも1つの方法である。つまり、児童の学習効果が出るように支 援するために、アレンジしたり、移調したり、今、目の前にいる子 どもたちのために楽曲に手を加えるのである。. そのような、工夫・配慮をすることで、児童生徒の音楽学習・活 動への参加意欲が増すのである。そのためには、いつも教師は子ど もの状況を把握し判断するためのアンテナを高くし、各々に応じた 36.
(38) 対応ができる多くの引き出しを持ち、常に教材分析、或いは教材開 発していく姿勢が望まれる。. 元の楽曲を簡単化した例として、合唱曲について挙げてみたい。. 今まで中学生の混声三部合唱のレパートリーとして用いられていた 楽曲が、同声二部合唱に編曲され、小学校の卒業式・音楽会で取り 上げられることが多くなってきた。 例をあげると、. ・高橋浩美作曲 「旅立ちの日に」 ・大津徹副作曲 「Let’s search for Tomorrow」 など. 楽曲の持つ魅力から、教師が児童の音楽活動・行事に取り上げた いと考えたのだろうと推測できるが、混声三部合唱の声の幅を活か. してこそ、その曲の良さがあるという作品もある。上記の2曲も例 外ではない。. 目の前の子どもに合わせたものを工夫する上で、子どもや学校の 実態に合わせることと、楽曲の良さを壊さないことの両方の配慮が 教材化するには、必要である。. 楽曲を子どもに合わせて工夫した例について、千代延尚氏が「本 立ちて道生ず」として、音楽之友社「月刊幼児教育」で次のように 述べている。 (以下、引用文). 「本立ちて道生ず」. 台東区立台東小学校 千代延尚. … 略…. つい先日、F県M幼稚園の丁先生から一本のテ. 』プを送って頂きました。園児のみなさんが演奏された田中利光作 曲「ピアノと器楽合奏のためのプレリュード“宮祭り”」の収録テ 37.
(39) 一プでした。この曲は、私が小学生のためにアレンジしたものです が、それをごらんになった丁先生から「先生のアレンジを使わせて ほしい。また、園児向けに修正することを許していただきたい。」と. の旨のお手紙を前もっていただいていましたので、早速テープをき かせていただいたことは申すまでもありません。. … 中略…. 演奏時間は4分少々ですから、それほどではな. いのですが、ギ東北の夏祭りを思い浮かべて書いてみた…」という 作曲者のことばのように、曲は緩急織り交ぜた“祭りばやし”のに ぎやかな情景があざやかに浮かんでくるような、力強い作品です。. しかも、ピアノのソロも入っていて、コンチェルト風なタッチで見 事にまとめられてい一ます。ですから、そうした曲の構成の妙をよく. 研究してとりかからないと、といいましょうか、指揮者のセンスが 間われる、といった決してやさしい曲ではありません。 おまけに楽器編成も、リコーダーや鍵盤ハーモニカを主体として、. アコーディオン(S・A・T・B)や木・鉄琴。それに電子オルガン やバスを加え、。その上に各種ρ打楽器(和太鼓)とピアノを配した という大がかりなものです。. ですから、私のところでは、いつも六年生にやらせているのです が、その大曲(?)をr幼稚園の子どもが…」とうかがいましたの で、私がどんなにびっくりしたか、みなさんにもお分かりいただけ たかと思います。 …. 中略…. M園の場合は、合奏大会に出場するために、という目的での選曲 で「この曲に!」白羽の矢が立ったのだと思いますが、選曲に際し ては、やはり曲の難度、表現技能、楽器編成、局への関心など、子 どもの実態に基づいて考えたいと思います。そして曲が決まったら、. やはり、教材研究ですね。スコアでしたら、曲の編成を理解するこ とはいうまでもありませんが、スコアに指定されているそれぞれの 38.
(40) 旋律楽器の音色的な効果、あるいは旋律と対旋律、.和声の動き、音. のひろがりなど、実際にピアノで試してみるとか…・。また楽器を カットすることはやぶさかではないのですが、そうすることによっ て指定された楽器の音色がなくなるわけですから、それで不自然さ は残らないのか、それとも他の何の楽器でそれを補うのか、そのあ たりの配慮がじゅうぶんでないと、まったくチンケな音楽になって しまうことを承知しておきたいものです。. テープで拝聴した限りでは、ピアノや木琴が省略され、リード楽 器中心のように感じられました。そのため、演奏は音色的な変化に 乏しく、しかも盛り上がりに欠けて平盤なものに終始して、私の描 いている“宮祭り”とは全くちがったものにきこえてきました。私 にいわせていただくならば、やはりピアノ、木琴などをはずした結 果では?と思えてなりません。. ただ一つ、光っていたことは、パーカッションの子どもたちρテ クニックでした。「これ、ホントに幼稚園の子どもたちが打ってる の?」と、私の学級の子どもたちがそういって感心したほど、とて も上手でした。. 私は思います。合奏にしても歌唱にしてもそうですが、選曲に当 たってまず考えたいことは、どんな場合であれ、その目的に応じた もの、その目的を達成するにふさわしいと思われる曲を選ばなけれ ばならないことはいうまでもありませんが、演奏するのは子どもな のですから、その子どもたちの実態にふさわしいものを!という考 え方で進めたいということです。教師の満足であってはならないと 思います。. 曲が決まったら、月並みな言い方ですが、教材研究一をしっかりや. る、ということです。まず“この曲の魅力”について感じ取り、次. いで、“その魅力を支えているもの”を取り出し、そしてこの教材 で“子どもの音楽性を伸ばし得るもの”をしぼっていく… 39.
(41) 先ほどの“宮祭り”ですと、私でしたら曲が日本旋法で構成され ていることから“日本旋律の美しさと和声のひびき、リズムセクシ ョンの楽しさ”を魅力に、それを支えているものとしては“それぞ. れの楽器群の音色の効果を生かした曲の構成”を挙げ、この曲を合 奏することによって身につけさせたいものを“ダイナミックな合奏 の満足感と、社会性(責任、協調、連帯感といった)の育成”と挙 げたいと思います。. 本立ちて道生ず、ということばがあります。そうしたねらいを、 はっきりと確立したあとで、曲のイメージをこわさないことに心し ながら、子どもの実態に応じたアレンジの工夫をすることになりま. す。その際に、使える楽器についても、音色や音域、台数などを考 慮しなければならないことはいうまでもありません。… 以下略2). 合唱曲や合奏曲の楽譜において、教師は、 「ちょっとこの部分は、省略ね。j 「ここは、難しいから、これに代えておこう。」. などと、ちょっとした楽譜上の変更から、大胆なカットや付け加え まで、色々と手を加えて楽譜を使用することが少なくない。. もちろん、それは良い効果を狙っての行為であるが、実はいつの 間にか上記のようなことに陥ってしまっているというケースも考え られる。. 子どもが音楽活動に入るまでの、指導者の楽曲研究、諸事情を見 極めた上での準備がいかに重要かを提言しているものといえる。. どの学年の児童生徒にも、その教材が教師にとって都合がいいか どうかではなく、真に子どもたちにとってふさわしいかどうか、子 どもたちの興味や関心を引き出す要素をもっているかどうか。子ど. も理解に基づいたr教材化」とr教材解釈」が、必要である。 40.
(42) (2)教材の発展性を考える. 音楽科における教材は、目に見えない「音」を最も小さな対象素 材とすることによって、他教科の教材の扱いにはない特色が出てく. る。学習者の感覚や内面に働きかけるという比重が大きいという特 徴を持っていることに留意して教材を選択することが大事である。. 特に、小学校低学年の児童のように、感覚的に音楽理解を進める ことが最も効果的といわれる発達段階では、音・響きなどに対して. 感覚に呼応しながら自然に美的感覚が身につけられるよう、教材選 択に留意が必要であろう。3) それには、音楽教育環境をする整備とともに、学校生活において、. 音や音楽が活用される生活を育み、総合的な音楽観の育成に効果的 な教材を、授業以外の時間にも準備することなどが考えられる。. たとえば、行事など授業時間外での音楽活動と、音楽の授業がう まく関係し合うことは、重要である。 また、感性を育てる意味からも、教材を活動や曲の難易度(特に、. 見せかけのレベル)だけで考えることなく、その活動を成立させる. ために、その教材曲を仕上げる過程で、どのような内容を取り扱わ れたかということを視野に入れて教材選択をしておかないと、この 先、子どもたちが自分たちで音楽を作っていくようにならない。音 楽の学習活動は、音楽体験であり、それが自分のものになってこそ、. いわゆる「豊かな情操」「感性」が育ってくるのではないかと思う。 授業の後、「今日は、何をならったの?」ときけば、子どもは“曲. 名を答える”か、歌を歌ったのという“行為を答える”かが多い。. つまり、どのような能力、資質を身につけたかは、子どもにはわか らないかもしれない。(特に学年が小さいほど。)しかし、教師は、. 子どもの資質・能力を計画的に育んでいくという視点を欠くことの ないようにしなければならない。. 41.
(43) ある教材について、その題材の範囲内だけ一で考えるだけでなく、. その教材の発展方向、系列を考えておくと指導展開が弾力に富んだ. ものになる。1つ1つの教材での授業・1回1回の音楽活動が、子 どもの中でつながっていくように、計画的な指導の展望をもって行. わなければならない。そのためには、教材の発展性を踏まえて、教 材分析・教材選択をしておかなければならない。4). ・注釈. 1)教育学講座r造形と音楽の教育」学習研究社 第四節音楽教材と教具 1979 2) 月刊「幼児と音楽」音楽の友社 1986.5p.25−26 3) 宮野モモ子・本多佐保美「小学校音楽科教育法」2009 p.10. 4) 高須一・金本正武r小学校音楽科の授業作り 2007 p.12−16. 42.
(44) 第皿章. 編苗の実践. 第1節 教科書にみられる編曲の実際 児童生徒の実態に合った編曲を考えていくにあたって、まず、教 科書に見られる編曲を伴った教材を参考として取り上げてみたい。. 編曲の違いによって∵第I章で取り上げた学習指導要領の各学年の 目標・内容を達成し得るものになっているか、また、異学年によっ て、どのような編一曲面での一工夫がなされているかを考えてみたい。. 次の楽曲は、異学年の教科書に、それぞれ掲載されているもので ある。. 『聖者の行進』一アメリカ民謡. 「小学音楽音楽のおくりもの3」教育出版. 「新編新しい音楽4」東京書籍. 『カントリーロード』B.ダノフ、T.ニバート、J.デンバー作詞作曲. 「小学音楽音楽のおくりもの6」教育出版 「中学生の音楽 2・3下」教育芸術杜. 『翼をください』山上路夫作詞 村井邦夫作曲. 「小学音楽音楽のおくりもの6」教育出版 「中学生の音楽 2・3土」教育芸術杜. 43.
(45) (1)『聖者の行進』について. A・・「小学音楽 音楽のおくりもの3」教育出版 B・・「新編 新しい音楽4」東京書籍。. 前出の第I章、第1節に記した通り、学習指導要領では、小学校 3・4年生の器楽に関わる事項では、次のことが示されている。 ①主となる器楽教材については、既習の歌唱教材も含めて二簡単な 重奏や合奏にした楽曲。 ②節奏を聴いたり、ハ長調の楽譜を見たり一して演奏すること。. ③曲想にふさわしい表現を工夫し、思いや意図をもって演奏するこ と。. ④互いの楽器の音や副次的な旋律、伴奏を聴いて、音を合わせて演 奏すること。. ⑤音色に気を付けて旋律楽器及び打楽器を演奏すること。. ⑥各学年で取り上げる打楽器は、木琴、鉄琴、和楽器、諸外国に伝 わる様々な楽器を含めて、.演奏の効果、学校や児童の実態を考慮し て選択す一ること。. ⑦第3学年及び第4学年セ取り上げる旋律楽器は、既習の楽器を含 めて、リコーダーや鍵盤楽器などの中から学校や児童の実態を考 慮して選択すること。. これらのことを踏まえて、A・Bそれぞれの教材について考えて みる。. 44.
(46) 。A『聖者の行進』(「小学音楽 音楽のおくりもの3」教育出版 の楽譜より). ・]一・ネ未享李,台 ・炸毒≡コ. J,108ぐらい. ア.メ1.」カ民言妾. 吉原 順編曲. 1きょうか. ら. が. みんな で一 やってく る. 134 5 4. ’■一. 1. てい書 {!オタタ’フ’びくく〕. あさから. 一ば一ん. Q ンんなで 1. ブ㌔ノ’. 〇一1. まで’. ゙かえ. 謔、). ケい. @2. 2. 1. !、U画め〕. 2.{2回め〕. …. {くりかえす〕 き. に. じゃを. 1つ. ま. 3. 1. た. お. ち. に. 4. う2せいじや. ). ■. 1.U回め〕. 2.12画め} …. 1く≡1かえす). 1−li目め〕. 4. 2.12回め) …. {くりカ足す〕 ㍑ll^{寸、. r〈リズムはんそうのれい〉 (終わり) 小たいこ. など’ 大たいこ. など. 45. よう〕. _、ノ.
(47) ・B『聖者の行進』(r新編 新しい音楽4」東京書籍の楽譜より) アメ百カ民謡…若松歓編曲 」=王04∼112ぐらし、 一=王u4∼11zく.らい. \. へ. γ\. 、 ミ. 癒. π I. ■扇. ●. ●. 山{. i低い音で〕. ・ヘノ. ‘. 生. ’バ. ③ ①. アま. π 一. ∼. 1. (ぶるわせる〕. も. 4. ●. \ ■. 疲覇3. 5. にうごに細かく打つ〕. ヨ I. i. 1. 1 ア. ≧. ブき. き. ≧. ≧. ツ. \(さい後は繭がくわわる) ’^I咄 … I’ \’』一. ■’I一’. @ ● @ ■. ,\・蟻. 可. くぼちをすべらせる) 1. 5. 5 1. アま. γア. リ プ. ’. 46.
(48) 『聖者の行進』は、誰もが耳にしてことのあるスウィーングである。. 黒人霊歌に起源を発するアメリカ歌曲で、現在はゴスペルやジャズ ナンバーとして有名である。ジャズ発祥の地ルイジアナ州ニューオ リンズでは葬儀の際に用いられ、この慣習は「ジャズ葬儀」と呼ば れている。しかしながら、これは、思わず’手拍一子をしたくなるよう. な楽しいマ』チ風であるので、児童の感性に添いやすいタイプの曲 だといえる。. A・Bともに、教材化するにあたり、4分の2拍子、ト長調、 a(8小節)b(8小節)一にアレンジされている。Bはそれに、前 奏・後奏が付け加えられている。. 学習指導要領に示されている①∼⑦の内容を含ませた授業は、. A・Bとも可能である。③に関しては、演奏の鑑賞も含めていくと こによって、より一効一果が出一るであろう。. Aは、小学校3年生向けの教材である。 パートが、「主旋律・副旋律・低音」の3パートから成っている。 パート数が多くないことから、全員で一冬パートを練習することがで き、「主旋律のみで」「主旋律と副旋律で」「主旋律と低音で」「3つ. のパ』トを合わせて」と、練習のパターンを組み合わせることで、. 曲を成り立たせている各パートの役割をおのずと体験・実感するこ とができる。. 全員でパート練習することの良さとして、すでに音がとれている. 状態で小グループでのアンサンブルに移行することになるので、グ. ループの練習がスムーズにいきやすい。3年生ぐらいでは、1から 自分たちで講読みをす一ることは難しい。単元目標として、「パ』トの. かけあいを楽しむ」とあるように、自分たちで合わせてアンサンブ ルしていくことに集中できる状態を下ごしらえとして作ってやりた. い。これは、前出④や⑤の実現につながる。総じて3年生対象の教 ・47.
(49) 材として扱いやすいもの一と思われる。. また、オプションとして、リズム伴奏例が示されている。これは、. 表拍と裏拍から成るシンプルなもので、たいこ・タンブリン・手拍 子など、打楽器の組み合わせは、児童の様子や授業環境にあわせて アレンジが可能である。さらに、楽譜に歌詞が載せられているので、 歌とリズムというパターンも考えられる。. 曲の骨組みがしっかりとした上で、単純明快なアレンジである故、. 声部の簡単化・追加など、児童の実態に合わせた楽譜の扱い方が工 夫しやすいと思う。. Bは、小学校4年生向けの教材である。. 単元目標として「音色を重ねて楽しもう」とあるように、Aに比 べると、随分とパート数が多く、楽器の音色の重なりや、音が美し く響きあう感じを、合奏を通して感じ取らせる.ことを目標とした教 材である。. 児童の発達段階としては、コミュニケーションの能力が発達して くるとともに、3年生よりもグループでの活動が成り立ちやすくな ってきている。また、特に女子に多くみられるが、得意な児童が苦 手な児童を手伝ったり、教えたりする姿がみられるようになってく. る。もちろん、3年生以下にも同様の行動はみられるが、手伝う方 も手伝われる方も幼いため、二・ミュニケ』ションカ’の不足から混乱 に陥ることがある。. 「主旋律、副旋律、和声(1∼2)、低音、リズム(2∼3)」と、. 大まかに取り上げれば6パート、細かく取り上げると8パートから 成る。. 担当楽器の指示例として、. ・主旋律は、リコーダー ・副旋律は、鍵盤イトモニカ 48.
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