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スープレン吸入麻酔液 CTD 第 2 部 CTD の概要 ( サマリー ) 2.5 臨床に関する概括評価 バクスター株式会社

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(1)

CTD 第 2 部

CTD の概要(サマリー)

バクスター株式会社

スープレン吸入麻酔液

(2)

目次

略号一覧表 ... 2 2.5 臨床に関する概括評価(臨床概括評価) ... 3 2.5.1 製品開発の根拠 ... 3 2.5.1.1 はじめに ... 3 2.5.1.2 製剤の薬理学的分類 ... 3 2.5.1.3 目標とする適応症(全身麻酔) ... 4 2.5.1.4 目標とする適応症に対して申請医薬品の臨床試験を行う科学的背景 ... 4 2.5.1.5 臨床開発計画 ... 5 2.5.1.6 医薬品機構とのこれまでの相談内容 ... 13 2.5.1.7 現行の標準的な臨床開発との適合性 ... 14 2.5.2 生物薬剤学に関する概括評価 ... 17 2.5.3 臨床薬理に関する概括評価 ... 17 2.5.3.1 国内での臨床薬理試験 ... 17 2.5.3.2 海外での臨床薬理試験 ... 19 2.5.3.3 臨床薬理試験に関する考察 ... 23 2.5.4 有効性の概括評価 ... 29 2.5.4.1 国内試験の概要 ... 29 2.5.4.2 海外試験の概要 ... 32 2.5.4.3 患者集団の特性について ... 38 2.5.4.4 海外データの適応の妥当性 ... 39 2.5.5 安全性の概括評価 ... 40 2.5.5.1 薬理学的分類による有害事象の特徴 ... 40 2.5.5.2 特定の有害事象のモニタリング方法 ... 40 2.5.5.3 患者集団の特性及び曝露 ... 40 2.5.5.4 比較的よく見られる重篤でない有害事象 ... 41 2.5.5.5 重篤な有害事象 ... 44 2.5.5.6 部分集団における有害事象 ... 46 2.5.5.7 投与量,投与方法及び投与期間と有害事象との関連性 ... 47 2.5.5.8 有害事象の予防・管理方法 ... 48 2.5.5.9 過量投与,依存性,反跳現象及び乱用 ... 48 2.5.5.10 世界における市販後使用経験 ... 49 2.5.6 ベネフィットとリスクに関する結論 ... 50 2.5.7 参考文献 ... 53 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 1

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略号一覧表

略号 英語名称 日本語名称

ASA American Society of Anesthesiologists アメリカ麻酔学会

BIS Bispectral Index -

BLM-240 - 日本での治験記号

CBF Cerebral Blood Flow 脳血流量

CI Confidence Interval 信頼区間

Compound A Fluoromethyl-2,2-difluoro-1-(trifluoromethyl)- vinyl ether

CPP Cerebral Perfusion Pressure 脳灌流圧

CSFP Cerebrospinal Fluid Pressure 脳脊髄液圧

ED50 50% Median Effective Dose 50%有効量

ED95 95% Median Effective Dose 95%有効量

EMEA European Medicines Agency 欧州医薬品審査庁

FA - 終末呼気濃度

FAo - 吸入期最終の終末呼気濃度

FAS Full Analysis Set 最大の解析対象集団

FDA Food and Drug Administration 米国食品医薬品局

FI - 吸入濃度

GCP Good Clinical Practice 医薬品の臨床試験の実施の基準

JBP Jugular Bulb Pressure 頸静脈球圧

LCL Lower Confidence Limit 下限信頼限界

MAC Minimum Alveolar Concentration 最小肺胞内濃度

MedDRA Medical Dictionary for Regulatory Activities ICH 国際医薬用語集

NACS Neurological and Adaptive Capacity Score 神経的適応能力スコア

N2O Nitrous Oxide 亜酸化窒素

O2 Oxygen 酸素

PaCO2 Arterial Carbon Dioxide Pressure 動脈血炭酸ガス分圧

PPS Per Protocol Set 治験実施計画書に合致した集団

PT Preferred Term 基本語(MedDRA)

SpO2 Pulse Oximeter Saturation 酸素飽和度(パルスオキシメータ表示)

TIVA Total Intravenous Anesthesia 完全静脈麻酔

TFA Trifluoroacetic Acid トリフルオロ酢酸

TOF Train-of-Four トレイン オブ フォー(四連反応)

UCL Upper Confidence Limit 上限信頼限界

VA Alveolar Ventilation 肺胞内換気量

VAS Visual Analogue Scale 視覚アナログ尺度

VD Volume of Dead Space 死腔換気量

VE Expired Gas Volume per Minute 分時換気量

VPS Verbal Pain Scores 言葉による疼痛の点数化

VT Tidal Volume 1 回換気量

2.5 臨床に関する概括評価 ページ

BLM-240 2

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2.5 臨床に関する概括評価(臨床概括評価)

2.5.1

製品開発の根拠

2.5.1.1

はじめに

BLM-240[一般名:Desflurane,化学名:(2RS)-2-(Difluoromethoxy)-1,1,1,2- tetrafluoroethane]は Airco Inc.の J.P. Russell らによって,合成されたハロゲン化吸入麻酔薬である.

ハロゲン化吸入麻酔薬として最初に開発された製剤が1956 年に開発されたハロタンである.ハ ロタンは術後の悪心・嘔吐が少なく,吸入麻酔薬の歴史の中で一番長く臨床使用されてきたこと などから,臨床面で優れた麻酔薬といえる.しかし,ハロタンは光に対して感受性が高く添加剤 として,チモールを必要とするが,チモールにはゴムや金属に対して腐食作用があり,これが原 因で麻酔器や気化器が損傷する.また,ハロタンの最大の短所は,代謝物であるトリフルオロ酢 酸(TFA)がハプテンとなり,アレルギー様反応を示した場合,重篤な肝障害を引き起こす.こ れらの短所を克服するためハロゲン化吸入麻酔薬の開発が引続き行われ,現在でも世界的に臨床 使用されているハロゲン化吸入麻酔薬はBLM-240,セボフルラン及びイソフルランの 3 製剤であ る.これら3 つの吸入麻酔薬は,ハロゲン化吸入麻酔薬の開発の歴史の中で化学構造の修飾が系 統的に行われ,開発された.このため,これら吸入麻酔薬より優れたハロゲン化吸入麻酔薬の出 現の可能性は極めて低いとされている5 4-1. BLM-240 の製剤としての開発は,BOC Inc.により行われ,19 年代後半~19 年代初頭にかけ, 当時市場で頻用されていたイソフルランを主な対照薬とした非臨床試験及び臨床試験が主に米国 において実施された.その結果,BLM-240 は,安全かつ有効な吸入麻酔薬であることが確認され, 「成人での全身麻酔の導入と維持」及び「小児での全身麻酔の維持」を適応症とし,1992 年に米 国で承認され,現在では米国を始め英国,ドイツ,フランス等世界60 ヵ国以上で販売されている. 吸入麻酔薬としてのBLM-240 のシェアは,2008 年度米国での調査(IMS データを用いた社内 資料)では29.1%であり,セボフルラン(63.9%)と BLM-240 とで 90%以上の市場を占めている.

なお,1998 年に BOC Inc.から Baxter International Inc.に BLM-240 のライセンスが委譲された.

2.5.1.2

製剤の薬理学的分類

BLM-240 はハロゲン化吸入麻酔薬に分類され,その構造は既存のハロゲン化吸入麻酔薬である イソフルランと類似している.すなわち,BLM-240 はイソフルランの α-炭素(C)に結合してい る塩素(Cl)がフッ素(F)で置換した化学構造を有しており,C-F 結合エネルギーは C-Cl より も大きいためこの部分で代謝を受けにくく,優れた生体内安定性を有する. BLM-240 を含むハロゲン化吸入麻酔薬の物理化学的特徴を表 2.5.1.2-1 に示す. 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 3

(5)

表 2.5.1.2-1 ハロゲン化吸入麻酔薬の物理化学的特徴 吸入麻酔薬 項目 BLM-240 セボフルラン イソフルラン ハロタン 沸点(°C)(760 mmHg) 23 58.6 47~50 49~51 蒸気圧(mmHg)(20°C) 684 156.9 238 243 血液/ガス分配係数 0.424 0.63 1.43 2.5 血液/ガス分配係数等の吸入麻酔薬の物理化学的特性は,それぞれの吸入麻酔薬の薬理学的プロ ファイルを示す上で非常に重要であり,血液/ガス分配係数が小さい吸入麻酔薬ほど,血液への溶 解性が低く,麻酔導入及び麻酔からの覚醒/回復が速く,麻酔深度調節性が優れているとされる. BLM-240 の血液/ガス分配係数は既存の吸入麻酔薬と比較し最も小さい.このため,BLM-240 は患者の心拍数,血圧等の変化に速やかに応じて,麻酔深度を調節することが可能であり,麻酔 からの迅速な覚醒/回復が期待される. なお,吸入麻酔薬の中枢神経抑制に関する作用機序(特に網様体賦活系)は明らかではない5 4-2.

2.5.1.3

目標とする適応症(全身麻酔の維持)

麻酔法には,意識を消失させる「全身麻酔」と,脳以外の体の一部を麻酔する「局所麻酔」に 大別される. 「全身麻酔」とは,中枢神経に薬剤を作用させ,無痛,意識の消失・健忘,筋弛緩及び有害反 射の予防の4 つの条件を満たす状態にすることで,手術による侵襲から患者の肉体的・精神的苦 痛を取り除くことである.「局所麻酔」との大きな違いは意識消失の有無である.ただし,一つ の薬剤でこれらの作用を完全に満たす麻酔薬はない.このため,筋弛緩薬及びオピオイド鎮痛薬 等を適切に併用し,吸入麻酔薬(又は静脈麻酔薬)にて全身麻酔を行うバランス麻酔が主流であ る. なお,吸入麻酔薬による「全身麻酔」は,循環式麻酔回路を用い,吸入麻酔薬と酸素又は亜酸 化窒素(N2O)の混合ガスを吸入させる方式が一般的である.吸入麻酔薬による「全身麻酔」は, 静脈麻酔薬と比較し,麻酔導入は遅いが,投与を中止すると速やかに肺(呼気)から麻酔薬が排 泄されるため,麻酔深度調節性は優れているとされている.

2.5.1.4

目標とする適応症に対して申請医薬品の臨床試験を行う科学的背景

海外での臨床試験において,BLM-240 による麻酔維持は,外来患者を対象とした一般外科手術 に加え,冠状動脈バイパス術,腹部大動脈術,末梢血管術及び頚動脈内膜切除術のような高リス クの手術を受ける患者(ASA 分類:III~IV),肝又は腎障害患者及び腎移植患者でも忍容性は高 く,安全かつ有効な吸入麻酔法あることが確認された.ただし,小児に対してはBLM-240 の気道 刺激性及び刺激臭に起因する喉頭痙攣,咳嗽等の症状が顕著に発現するため,BLM-240 は小児で の麻酔導入時の使用は推奨されていない.また,成人においても,BLM-240 の気道刺激はセボフ 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 4

(6)

ルラン等の他の吸入麻酔薬との比較において強いことが示されている.TerRiet5 4-3らは2 MAC に 相当するそれぞれの薬剤の吸入濃度(%)を用いて,BLM-240(12%),イソフルラン(2.3%) 及びセボフルラン(4%)を 81 例の患者に吸入(マスクにより 60 秒間)した結果,BLM-240 群で は74%(20/27 例),イソフルラン群では 41%(11/27 例)の患者が気道刺激に関連した症状を訴 えたのに対し,セボフルラン群では1 例(1/27 例,3.7%)のみであったと報告している.このよ うに,BLM-240 は気道刺激性が強いことから,北米においては BLM-240 を用いた麻酔導入はほ とんど行われておらず5 4-4,BLM-240 による麻酔導入は他の吸入麻酔薬との比較において有用性 は期待できないことから,本邦における本剤の「効能・効果」及び「用法・用量」は「全身麻酔 の維持」のみとすることとした. このため,本邦にて実施した薬物動態試験を含むすべての臨床試験は,全身麻酔における一般 的な導入法である静脈麻酔薬(プロポフォール)による麻酔導入後,BLM-240 で麻酔を維持した 際の薬物動態,有効性及び安全性の検討を目的とした.

2.5.1.5

臨床開発計画

2.5.1.5.1 国内試験について BLM-240 の臨床試験は,海外にて 1988 年より開始され,1991 年の米国での承認申請時までの 2,000 例以上の手術患者及び健康成人を対象として実施された試験を含め,今日までに外来患者で の一般外科手術に加え,心血管手術,高齢者での手術,小児患者での手術,産婦人科領域での手 術,脳神経外科手術及び肝・腎障害患者での手術等の特殊な領域での試験を含む全66 試験が実施 された.これらの臨床試験から得られたデータの大部分が1992 年に行われた米国での承認資料に 組み入れられた. 一方,国内試験は20 年より開始した.国内にて実施した臨床試験を表 2.5.1.5-1 に示す. 表 2.5.1.5-1 国内にて実施した臨床試験 試験番号 相 対象 例数 対照薬 主な検討項目 国内試験 001 I/II 手術患者 6 なし · 薬物動態 · 心電図(12 誘導)への影響 国内試験 002 I/II 手術患者 3 なし · 想定される麻酔維持時の推奨上限濃度である BLM-240 8.5%で麻酔を維持した時の安全性の検討 国内試験 003 II/III 手術患者 216 セボフルラン · 麻酔維持中の体動・覚醒・記憶の有無,血圧・心拍 数の推移,救済処置の有無を指標とした,麻酔薬と しての有効性(機能)の検証 · 麻酔からの覚醒/回復について,治験薬吸入終了から 抜管までに要した時間を指標とし,セボフルランを 対照としたBLM-240 の非劣性の検証 本邦におけるBLM-240 の臨床試験は,日本人での本剤の薬物動態を検討するための臨床試験 (国内試験001)を 20 年 ~ 月に実施した.また,海外での麻酔維持時の推奨上限濃度であ るBLM-240 8.5%吸入時の安全性を検討するための試験(国内試験 002)を,20 年 ~ 月に実 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 5

(7)

施した.これら試験において,日本人におけるBLM-240 の薬物動態及び 8.5%吸入時の安全性が 確認されたことから,本邦での代表的な手術部位(胸部,腹部,関節・四肢,背部,頚部)で手 術が必要な患者を対象とし,BLM-240 の有効性及び安全性を検討するための第 II/III 相試験(国内 試験003)を 20 年 ~ 月に実施した.対照薬は既存の吸入麻酔薬であるセボフルランとした. 2.5.1.5.2 海外試験の利用計画について 本申請に際し,国内試験001,国内試験 002 及び国内試験 003 は評価資料であり,BLM-240 の 薬物動態,安全性及び有効性を評価する上で最も重要な試験である. ただし,日本人でのBLM-240 の最小肺胞内濃度(MAC),鎮痛薬及び筋弛緩薬との相互作用 を検討した試験は実施していない.また,BLM-240 は既に海外で広く使用されている吸入麻酔薬 であることから,国内試験での対象は本邦での代表的な部位での成人手術患者に限定したため, 心血管手術,小児患者での手術,産婦人科領域での手術,脳神経外科手術及び肝・腎障害患者で の手術等での特殊な領域での使用経験はない.このため,BLM-240 の臨床薬理を評価した海外試 験(表 2.5.1.5-2),有効性及び安全性を評価した海外試験(表 2.5.1.5-3),安全性のみを評価し た海外試験(表 2.5.1.5-4)を参考資料とした. 表 2.5.1.5-2 海外にて実施した臨床薬理試験 試験 番号 対象 例数注1 対照薬 主な検討項目 04 健康成人 8/8 ハロタン イソフルラン N2O · 薬物動態(吸収・排泄) · 心電図への影響 03 健康成人 13/13 なし · 薬物動態(代謝) · 呼吸器パラメータへの影響 · 心血管パラメータへの影響 · 脳波への影響 · 神経筋への影響 01 健康成人 11/11 なし · MAC-awake,MAC-equivalent 02 手術患者 44/46 なし · 成人でのMAC 12A 手術患者 81/81 なし · 新生児・乳児・小児でのMAC 12C 手術患者 26/26 なし · 乳児・小児でのMAC 06A 手術患者 134/135 イソフルラン · 短時間作用型オピオイド鎮痛薬(フェンタニル)との相互作用 06C 手術患者 91/91 イソフルラン · 短時間作用型オピオイド鎮痛薬(フェンタニル)との相互作用 06B 手術患者 93/93 イソフルラン · ベンゾジアゼピン系薬剤(ミダソラム〔麻酔前投薬〕)との相 互作用 30 健康成人 8/11 イソフルラン · 筋弛緩薬(ベクロニウム)との相互作用 31 健康成人 8/10 イソフルラン · 筋弛緩薬(ベクロニウム)との相互作用 05A1 手術患者 19/20 イソフルラン · 筋弛緩薬(パンクロニウム)との相互作用 05B 手術患者 23/26 イソフルラン · 筋弛緩薬(パンクロニウム)との相互作用 05A2 手術患者 12/12 イソフルラン · 筋弛緩薬(スキサメトニウム)との相互作用 10I 健康成人 20/25 プロポフォー ル · 麻酔からの覚醒/回復 · 精神運動に対する影響 注1:評価例数/安全性評価例数 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 6

(8)

表 2.5.1.5-3 海外にて実施した有効性及び安全性を評価した臨床試験 対象(又は術式) 試験番号 例数注1) 対照薬 【外来患者における一般外科手術:10 試験(有効性評価症例:932 例,安全性評価症例:939 例)】 一般外科手術 10B 84/88 III イソフルラン 関節鏡手術/末梢整形外科手術 10C 60/60 腹腔鏡手術 10F 123/123 関節鏡手術/末梢整形外科手術 10D 64/67 alfentanil 腹腔鏡手術 10G 79/79 関節鏡手術/末梢整形外科手術 10E 166/166 プロポフォール 関節鏡手術/末梢整形外科手術 10J 60/60 腹腔鏡手術 10H 178/178 腹腔鏡手術 10K 仏 60/60 腹腔鏡手術 10K 英 58/58 【心血管手術:7 試験(有効性評価症例:558 例,安全性評価症例:558 例)】 冠状動脈バイパス術 07 115/115 III イソフルラン 07A 50/50 フェンタニル 14 200/200 sufentanil 腹部大動脈術 09A 54/54 イソフルラン 末梢血管術 09B 48/48 頚動脈内膜切除術 09C 61/61 09D 30/30 【高齢患者での手術:1 試験(有効性評価症例:203 例,安全性評価症例:203 例)】 一般外科手術 11 203/203 III イソフルラン 【小児患者での手術:4 試験(有効性評価症例:323 例,安全性評価症例:323 例)】 一般外科手術 12A 81/81 III なし 12B1 95/95 ハロタン 12B2 121/121 12C 26/26 なし 【産婦人科領域での手術:3 試験(有効性評価症例:165 例,安全性評価症例:165 例)】 無痛経膣分娩 15 80/80 III N2O 子宮内膜掻爬術 16 10/10 なし 帝王切開 17 75/75 エンフルラン 【脳神経外科手術:5 試験(有効性評価症例:103 例,安全性評価症例:105 例)】 開頭術(脳腫瘍) 08A1 13/13 III イソフルラン 開頭術(脳腫瘍) 08A2 14/14 開頭術(脳腫瘍,血管奇形又は経蝶 形骨洞下垂体摘出) 08B 24/26 開頭術(脳腫瘍) 08C 16/16 開頭術(脳腫瘍,血腫又は血管奇形) 29 36/36 IV 【肝・腎障害患者での手術:2 試験(有効性評価症例:90 例,安全性評価症例:92 例)】 一般外科手術 Sub-Study11 32/32 III イソフルラン 腎移植術 19 58/60 注1):有効性評価例数/安全性評価例数 表 2.5.1.5-4 海外にて実施した安全性のみ評価した臨床試験 試験 番号 対象 評価 例数 対照薬 主な検討項目 05C 手術患者 94 イソフルラン ・筋弛緩薬(atracurium)との相互作用 05D 手術患者 48 イソフルラン ・筋弛緩薬(atracurium)との相互作用 32-001 生後 1 ヵ月未 満の新生児 15 フェンタニル ・先天性心臓奇形手術における新生児の薬物動力学 10A1 手術患者 24 - ・BLM-240 麻酔導入法の検討 10A2 手術患者 20 - ・BLM-240 麻酔導入法の検討 11A 高齢患者 52 イソフルラン ・高齢患者での安全性 13A 成人患者 20 - ・成人患者での安全性 32-002 小児患者 400 イソフルラン ・小児患者でのマスク又はラリンゲルマスク下での安全性 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 7

(9)

2.5.1.5.3 国内試験と海外試験とを比較する上での留意点 (1) 国内外での試験実施当時の使用可能な主な麻酔薬/臨床試験で併用した主な麻酔薬(麻酔併 用薬含む) 海外試験は主に1988~1991 年に米国にて実施された.一方,国内試験は 20 ~20 年に実施 した. 現在,吸入麻酔薬を用いて全身麻酔を施行する場合,静脈麻酔薬による麻酔導入後,吸入麻酔 薬に筋弛緩薬及びオピオイド鎮痛薬等を組合わせたバランス麻酔が国内外共に主流であり,海外 試験実施当時も同様であった. ただし,海外試験実施当時と現在では,使用可能な吸入麻酔薬,麻酔併用薬の種類は異なる. 1980 年以降の国内外の主な麻酔薬(麻酔併用薬含む)の変遷を表 2.5.1.5-5,国内外の試験実施当 時の使用可能な主な麻酔薬(麻酔併用薬含む)を表 2.5.1.5-6 に示す. 表 2.5.1.5-5 国内外での主な麻酔薬(麻酔併用薬含む)の変遷(1980 年以降) 年代 年 国内 年 海外 1980 ~ 1989 1981 エンフルラン(吸入麻酔薬)臨床使用開始 1981 イソフルラン(吸入麻酔薬)臨床使用開始 1988 BLM-240 臨床試験開始~ 1989 プロポフォール(静脈麻酔薬)臨床使用開始 1990 ~ 1999 1990 イソフルラン(吸入麻酔薬)臨床使用開始 1990 セボフルラン(吸入麻酔薬)臨床使用開始 1992 BLM-240(吸入麻酔薬)臨床使用開始 1994 ロクロニウム(筋弛緩薬)臨床使用開始 1995 プロポフォール(静脈麻酔薬)臨床使用開始 1995 セボフルラン(吸入麻酔薬)臨床使用開始 1996 レミフェンタニル(鎮痛薬)臨床使用開始 2000 ~ 現在 2004 フェンタニル(鎮痛薬)効能追加 -バランス麻酔における疼痛目的での使用可-2007 レミフェンタニル(鎮痛薬)臨床使用開始 2007 ロクロニウム(筋弛緩薬)臨床使用開始 20 BLM-240 臨床試験開始~ 表 2.5.1.5-6 国内外の試験実施当時の使用可能な主な麻酔薬(麻酔併用薬含む) 薬剤 国内【試験実施当時(2007 年~現在)】 海外【臨床試験実施当時(1988~1991 年)】 吸入麻酔薬 セボフルラン,イソフルラン イソフルラン,エンフルラン,ハロタン 静脈麻酔薬 プロポフォール,チオペンタール, チアミラール プロポフォール,チオペンタール,チアミラール 鎮痛薬 フェンタニル,レミフェンタニル フェンタニル,sufentanil,alfentanil 筋弛緩薬 ロクロニウム,ベクロニウム, パンクロニウム,スキサメトニウム ベクロニウム,パンクロニウム,スキサメトニウム, atracurium 海外試験は1988 年に開始されたが,当時,吸入麻酔薬としてイソフルラン,エンフルラン及び ハロタン,静脈麻酔薬としてチオペンタール及びチアミラール,鎮痛薬としてフェンタニル, sufentanil 及び alfentanil,筋弛緩薬として,ベクロニウム,スキサメトニウム,パンクロニウム及 びatracurium が主に使用されていた. 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 8

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このため,海外試験においては,これらの鎮痛薬及び筋弛緩薬との相互作用(海外試験06A, 06C,30,31,05A1,05A2,05B,05C 及び 05D)に加え,当時,最も臨床的に汎用された吸入麻 酔薬であるイソフルランを対照薬とし,BLM-240 の有効性及び安全性が検討された(海外試験 10B, 10C,10F,07,09A,09B,09C,09D,11,08A1,08A2,08B,08C,29,Sub-Study11 及び 19). また,小児患者では吸入麻酔薬による麻酔導入が最も一般的な方法であり,特に気道刺激性が 少ないハロタンが頻繁に用いられていたことから,小児患者を対象とした試験(海外試験12B1 及び12B2)ではハロタンが対照薬として設定された.一方,冠状動脈バイパス術のような大きな 手術侵襲に対する循環動態の安定を図るため,大量のオピオイド鎮痛薬を主とした麻酔も行われ ており,これらオピオイド鎮痛薬を対照薬(フェンタニル,sufentanil 及び alfentanil)として,冠 状動脈バイパス術及び外来患者を対象とした試験(海外試験07A,14,10D 及び 10G)が実施さ れた.更に,海外試験開始当時,静脈麻酔薬としてプロポフォールの臨床使用が開始されたため, プロポフォールを対照薬とし,BLM-240 の有効性及び安全性も検討された(海外試験 10E,10J, 10H,10K 仏及び 10K 英). 一方,国内試験は20 年より開始(国内試験003 は 20 年開始)したが,吸入麻酔薬として 国内で90%以上のシェアを占めていたセボフルランを対照薬として選定した.また,鎮痛薬とし てはフェンタニル,筋弛緩薬としてはベクロニウムを選定し,これら薬剤併用下でのBLM-240 又 はセボフルランとのバランス麻酔において,BLM-240 の有効性及び安全性を検討した. (2) 国内及び海外試験において麻酔薬/麻酔法が異なることによる BLM-240 の有効性及び安全 性の評価に及ぼす影響 1) 対照薬(セボフルランとイソフルラン) 国内及び海外試験における麻酔薬及び麻酔法において,大きく異なる点は,海外では当時最も 使用されていたイソフルランを主な対照薬として選定したが,国内ではセボフルランを選定した ことである. 吸入麻酔薬としての有効性に関して,セボフルランとイソフルランとの大きな違いは,麻酔か らの覚醒/回復時間である.両吸入麻酔薬の血液ガス分配係数(セボフルラン:0.63,イソフルラ ン:1.43)からも,セボフルランはイソフルランと比較し,麻酔からの覚醒/回復が迅速であるこ とが示唆される.また,麻酔薬の力価の指標であるMAC(40 歳以下 MAC;セボフルラン約 2.05, イソフルラン約1.15)は,セボフルランはイソフルランよりも大きい. また,安全性に関するセボフルランとイソフルランとの大きな違いは,気道刺激性と代謝であ る.気道刺激性は,イソフルランはBLM-240 との比較では弱いが,セボフルランよりも強く5 4-3, 現在ではBLM-240 と同様,麻酔導入には適さないとされている.また,イソフルランは代謝物と してTFA を産生するが,臨床上問題とはなっていない.一方,セボフルランは呼吸回路に使用さ れるソーダライムとの相互作用により腎毒性を有するCompound A [Fluoromethyl-2,2-difluoro-1-(trifluoromethyl)vinyl ether]を産生するが5 4-5,ヒトにおける腎毒性の 報告は稀である5 4-6. 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 9

(11)

以上のように,国内外の試験において,国内ではセボフルラン,海外で主にイソフルランを対 照薬として設定したが,日本人における本剤の有効性を評価する上で海外試験成績を参考にする にあたり,留意すべき事項は以下のとおりである. 1.セボフルランはイソフルランと比較し,麻酔からの覚醒/回復が迅速であること. 2.セボフルランはイソフルランと比較し,麻酔薬の力価の指標である MAC が高く,同様の麻 酔深度を得る場合,高濃度の吸入が必要となること. また,安全性については,BLM-240 はイソフルランと同様,気道刺激性が強く麻酔導入時の呼 吸反射に関連した症状の発現率が高いことが示唆される.このため,本邦においてはBLM-240 の 麻酔導入に関する適応を取得する予定はなく,日本人における本剤の安全性を評価する上で海外 試験成績を参考にするにあたり,BLM-240 の気道刺激性に由来する呼吸反射の症状を除外するこ と以外に留意すべき事項はないと考える. 2) 麻酔維持中のフェンタニルの使用方法 国内及び海外試験において大きく異なる点は,対照薬の違いに加え,麻酔維持中のフェンタニ ル(又はalfentanil)の使用方法の違いがある. 多くの海外試験では,麻酔維持中のフェンタニル(又はalfentanil)の使用を循環動態及び麻酔 深度の調整のために限定したため,フェンタニル(又はalfentanil)の麻酔維持中の使用頻度は低 かった. 一方,本邦においてフェンタニルは1971 年に承認されたが,その効能・効果は「ドロペリドー ルとの併用による手術,検査及び処置時の全身麻酔並びに局所麻酔の補助」及び「ドロペリドー ルとの併用による導入後,本剤の単独投与による麻酔効果の維持」であり,使用方法は,いわゆ るニューロレプト麻酔に限定されていた(海外試験で用いられたオピオイド鎮痛薬である alfentanil は国内では未承認). ただし,その後,「バランス麻酔時の疼痛」に加え,「硬膜外麻酔」,「大量フェンタニル麻 酔」及び「術後疼痛」に対するフェンタニルの臨床的な有用性についての検討が行われ,これら 適応症(効能・効果)に対してもフェンタニルの臨床的有用性は公知であるとの見解より,日本 麻酔科学会は1998 年にこれら適応症に対し,早期承認するよう要望書を厚生省(現:厚生労働省) に提出し,2004 年にフェンタニルはこれら適応症に対する承認が得られている. また,1990 年代後半(海外臨床試験終了後),麻酔維持中(術中)のフェンタニルの投与量が 多いほど,術後痛の程度が軽くなるとの報告5 4-7やフェンタニル又はブピバカインの硬膜外投与 による鎮痛を予防的に投与する方法(Preemtive analgesia:先制鎮痛)により,根治的前立腺摘出 後の術後痛の軽減と回復の改善が得られるなど5 4-8,「先制鎮痛」の有用性が示唆された. このような背景より,2001 年(平成 13 年)に日本麻酔科学会が認定した麻酔指導病院(803 病 院)を対象としたアンケート調査では,全身麻酔時に併用する鎮痛法として,硬膜外麻酔が85% (453/535 病院),フェンタニル等の麻薬の静脈内投与が 76%(406/535 病院)で行われている. 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 10

(12)

このように,手術侵襲による鎮痛を防ぐため,予めオピオイドの血中濃度を維持するバランス麻 酔が現在の主流になっている. このため,国内試験003 ではフェンタニルの予防的な投与も現在の臨床現場での状況に合わせ て可とした.また,国内試験003 においては麻酔維持中(術中)の硬膜外麻酔の併用を不可とし たこともあり,ほとんどの患者において麻酔維持中にフェンタニルが使用(93.4%,BLM-240 群 166 例中 155 例が使用)された. 以上のように,日本人におけるBLM-240 の有効性を評価する上で海外試験成績を参考資料にす るにあたり,フェンタニル(又はalfentanil)の使用方法の違いが,有効性(救済処置薬の使用頻 度,平均終末呼気濃度の分布)に及ぼす影響を考慮する必要がある.すなわち,フェンタニル等 の鎮痛薬を予防的に投与することにより,必然的に血圧/心拍数は低下し,エフェドリン等の昇圧 薬を用いた救済処置薬の使用頻度が増加すると考えられた.また,フェンタニルの併用は,麻酔 維持に必要なBLM-240 終末呼気濃度も低下させることから,国内外の試験において,麻酔維持中 のBLM-240 の曝露濃度に違いが生じる可能性が考えらた. このため,「2.7.3.3.2 全有効性試験の結果の比較検討」等の項に,フェンタニルの使用方法の 差異がBLM-240 の有効性評価に及ぼす影響について考察した. (3) 亜酸化窒素(N2O)併用の有無 海外試験実施当時,全身麻酔時に吸入麻酔薬とN2O を併用する場合が多かった.また,国内に てセボフルランの臨床試験実施当時(1985~1986 年)も N2O の併用が一般的であった.このため セボフルランの臨床試験では,N2O 併用下での試験成績しか得られておらず,麻酔維持において はN2O 併用下での適応(用法・用量)のみしかセボフルランは承認されていない. ただし,近年では,国内外共にN2O による地球環境に及ぼす悪影響,有害反応(術後の悪心・ 嘔吐の発現等)により,N2O を併用しない全身麻酔が主流になりつつある.愛媛大学での調査で は,N2O を併用した全身麻酔の割合は,2001 年では 79.1%(1,710/2,162 件)であったのに対し, 2005 年では 28.9%(586/2,031 件)と減少傾向を示している5 4-9(米国では約40%が N2O を併用し た全身麻酔を実施:2006 年バクスター社内調査). このため,国内試験003 では,BLM-240・N2O 併用群(111 例)において,セボフルラン・N2O 併用群(50 例)との麻酔からの覚醒/回復時間を比較すると共に,BLM-240・O2併用群(55 例) における安全性及び有効性も検討した. (4) 国内外での麻酔方法の臨床使用実態 国内外の麻酔方法の臨床使用実態については,詳細な調査結果は見当たらず,麻酔方法に関す るガイドライン等も発行されていない.このため,標準的な術式及び患者背景別の全身麻酔方法 は確立されていない.ただし,プロポフォールの発売以来,「完全静脈麻酔(TIVA)」が注目さ れ,国内外ともに全身麻酔方法の一つとして普及しつつある. 2006 年にバクスター社にて実施した海外での調査結果(調査国:フランス,ドイツ,ポーラン ド,メキシコ,イタリア,中国)では,静脈麻酔薬であるプロポフォールを麻酔維持においても 用いた割合は,全体で約11.8%(イタリア:25.0%,ドイツ:13.2%,フランス:11.1%)であった. 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 11

(13)

国内における静脈麻酔薬を麻酔維持に用いた割合に関する調査結果はないが,2004 年の売上 (IMS)がセボフルラン約 67 億円,プロポフォール約 68 億円であったのに対し,2008 年の売上 (IMS)ではセボフルラン約 61 億円,プロポフォール約 74 億円であったことから,国内におい ても完全静脈麻酔が着実に普及していることが示唆される. なお,BLM-240 は麻酔からの覚醒/回復が迅速である特徴を活かし,日帰り手術等を含め広く用 いられている.2006 年にバクスター社にて実施した海外での調査結果(調査国:フランス,ドイ ツ,ポーランド,メキシコ,イタリア,中国)における術式別の全身麻酔薬の使用頻度を表 2.5.1.5-7 に示す.海外では,BLM-240 は,Articular Surgery(関節手術)において最も使用頻度が高く,他 の術式においても広く用いられている. 表 2.5.1.5-7 海外(調査国:フランス,ドイツ,ポーランド,メキシコ,イタリア,中国) における術式別の全身麻酔薬の使用頻度(件数) 術式 プロポフォール セボフルラン BLM-240 イソフルラン 合計 Gastro abdominal surgery

(腹部消化器系手術) 12.5% ( 7) 21.0% ( 47) 12.8% ( 6) 24.2% ( 31) 20.0% ( 91) Cholecystectomy

(胆嚢摘出術) 14.3% ( 8) 18.3% ( 41) 19.1% ( 9) 21.1% ( 27) 18.7% ( 85) Gynecologic and urologic surgery

(婦人科・泌尿器系手術) 25.0% ( 14) 11.6% ( 26) 14.9% ( 7) 14.8% ( 19) 14.5% ( 66) Articular surgery

(関節手術) 3.6% ( 2) 11.6% ( 26) 23.4% ( 11) 2.3% ( 3) 9.2% ( 42) Cardio vascular surgery

(心血管手術) 14.3% ( 8) 7.6% ( 17) 4.3% ( 2) 7.8% ( 10) 8.1% ( 37) ENT surgery (Larynx, Pharynx)

(ENT 手術<喉頭,咽頭>) 10.7% ( 6) 8.5% ( 19) 2.1% ( 1) 3.9% ( 5) 6.8% ( 31) Amygdalectomy/Thyrodectomy (扁桃/甲状腺摘出術) 1.8% ( 1) 6.3% ( 14) 8.5% ( 4) 4.7% ( 6) 5.5% ( 25) Vertebral surgery (脊椎手術) 3.6% ( 2) 3.6% ( 8) 2.1% ( 1) 3.1% ( 4) 3.3% ( 15) Neurosurgery (脳神経外科手術) 3.6% ( 2) 0.9% ( 2) 0.0% ( 0) 7.8% ( 10) 3.1% ( 14) Thoracic surgery (胸部手術) 3.6% ( 2) 2.7% ( 6) 4.3% ( 2) 3.9% ( 5) 3.3% ( 15) Renal surgery (腎臓手術) 1.8% ( 1) 2.7% ( 6) 0.0% ( 0) 2.3% ( 3) 2.2% ( 10) Others (その他) 5.4% ( 3) 5.4% ( 12) 8.5% ( 4) 3.9% ( 5) 5.3% ( 24) 合計 100% ( 56) 100% (224) 100% ( 47) 100% (128) 100% (455) 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 12

(14)

2.5.1.6

医薬品機構とのこれまでの相談内容

国内での臨床試験を実施するにあたり,医薬品医療機器総合機構(以下,「医薬品機構」)と 相談(平成 年 月 日実施)及び 相談(平 成 年 月 日実施)を行った.主な相談内容は以下のとおりである. なお,医薬品機構との相談議事録は第1 部に添付した. (1) 相談 1) 第 I 相試験プロトコルについて 相談資料提出時には,第I 相試験として,健康成人を対象とし,投与濃度 7.00%で 30 分間マス ク麻酔下でのBLM-240 の薬物動態を検討することを計画していたが,その妥当性について相談し た.また,日本人でのMAC 測定のための臨床試験を実施しないことの妥当性についても相談し た.医薬品機構から以下の助言を得た. · 対象及び麻酔方法について 「健康成人を対象としたマスク麻酔での第I 相試験では,気道確保の点から被験者の安全性を 十分に確保するのは困難であり,死腔の増大,顔面とマスクの間からの漏れなど,データの信頼 性確保が困難であると考えられる.また,健康成人を対象とした気管挿管麻酔では,挿管時の歯 牙破切,気道刺激等,リスクとベネフィットを考える必要があるが,本剤は日本人と外国人の薬 物動態及び安全性が大きく異ならないと推測されることから,気管挿管麻酔を用いたASA 分類 I の手術患者を対象とし,第I 相試験を実施することを勧める.」 · 投与量(7.00%を 30 分間吸入)の妥当性及び日本人の MAC 測定のための臨床試験を実施し ないことの妥当性について 「本剤は代謝率が低く民族差が少ないと考えられる.また,代謝率の低い吸入麻酔薬であるセ ボフルランにおいて,日本人と外国人のMAC に大きな差異はないと考えられることから,本剤 の血中薬物動態データ等から外国人のMAC を日本人に外挿することが可能であるという根拠を 示し,理論構築が可能なら,MAC 測定のための臨床試験を実施する必要はない.また,同様の理 由から本剤の投与量を7.00%にすることに関して問題ないと考える.しかしながら,対象を患者 とするのであれば,手術時間等を考慮し,麻酔時間,手術の侵襲度等から得られるデータにどの ような影響を与えるのかについて十分考察した上で,ばらつきのないデータが得られるように検 討しておく必要がある.」 以上の医薬品機構の助言に基づき,国内試験001 では,気管挿管に伴うリスクとベネフィット を勘案し,健康成人ではなく,手術が必要な患者を対象とすることとした.また,薬物動態の指 標として,血中濃度も評価項目として追加した.なお,成人における1 MAC は約 6.00~7.25%と 推定されるが,手術患者を対象としたことで薬物動態観察後に引き続き行われる手術への影響, 治験の対象となる被験者の年齢を20 歳以上 45 歳以下と規定したこと,45 歳の患者での 1 MAC(O2 併用下)は約6.0%に相当することを考慮し,BLM-240 の投与濃度は 6.0%とした. 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 13

(15)

(2) 相談 国内試験003 ではセボフルランを対照とした N2O 併用下での BLM-240 の有効性及び安全性を 検討することを計画し,その妥当性について相談した.また,開発計画の妥当性,目標症例数の 妥当性についても相談した.医薬品機構から以下の助言を得た. · 開発計画の妥当性(臨床データパッケージ) 「現在計画されている試験が適切に実施されたと仮定した上で,本剤の有効性が示され,安全 性にも問題ないと判断できれば,臨床データパッケージに大きな問題はないと考える.ただし, 掲示されている臨床データパッケージにおいては,日本人のO2併用下での症例数は限られており, 当該条件下における有効性及び安全性の臨床試験成績は不十分であることから,現在の計画では O2併用下における用法・用量は承認できない.」 · 第II/III 相試験プロトコルについて(有効性の主要評価項目を,麻酔薬としての機能(有効 性)に加え,麻酔からの覚醒/回復にすることの妥当性について) 「本試験の有効性の主要評価項目を麻酔薬としての機能(有効性)及び麻酔からの覚醒/回復と することに異論はないが,本剤の有効性については,麻酔薬としての有効性が検証された後に, 麻酔からの覚醒/回復に関して N2O 併用下での症例を対象にセボフルランに対する非劣性を検証 する必要があると考えるので,主解析の方法等を適切に変更すること.」 以上の医薬品機構の助言に基づき,国内試験003 では,BLM-240 群として N2O 併用群に加え, O2併用群も設定した.また,主解析の方法等についても治験実施計画書を適切に修正した.

2.5.1.7

現行の標準的な臨床開発との適合性

本邦におけるBLM-240 の臨床開発計画は,以下に示す理由から選択した. · 治験薬を初めて投与する際の安全性及び薬物動態の検討には,通常,健康成人を対象とする が,BLM-240 は海外では既に承認され,20 年近く臨床現場で使用されている吸入麻酔薬で あり,安全性が確立していること及び健康成人において気管挿管に伴うリスクとベネフィッ トを勘案し,健康成人ではなく,手術患者を対象とした.このため,本邦にて日本人での薬 物動態を検討した国内試験001 及び海外での麻酔維持時の推奨上限濃度である BLM-240 8.5%吸入時の安全性を検討した国内試験 002 は,第 I/II 相試験として実施した. · 海外において,至適用量の指標となるMAC を検討した試験が既に実施されていることから 第II 相試験は実施せず,国内試験 003(第 II/III 相試験)において,血圧・心拍数の調整及 び不整脈に対する救済処置を必要とせず,患者の循環動態が安定した時のBLM-240 麻酔維 持濃度等の検討を含め,BLM-240 の有効性及び安全性を検討することした. なお,本申請資料の評価資料として添付した国内試験(001,002 及び 003)は,すべてヘルシ ンキ宣言に基づく倫理基準に従って実施された.また,治験審査委員会等の手順,インフォーム ドコンセント,治験実施計画書の遵守,書類管理,データ収集,原資料(診療録等)の閲覧及び 報告されたデータとの照合,有害事象の報告,記録の保存等については,GCP を遵守した. 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 14

(16)

また,本申請の参考資料とした手術患者を対象とした47 試験(以下,「海外 47 試験」)及び 健康成人男子を対象とした6 試験(以下,「健康成人 6 試験」)の計 53 試験について,GCP 等の 適否を証明する書類(写し)の総括報告書への添付の有無を 表 2.5.1.7-1 に示す. 19 年以降に開始した試験(海外試験29,30,31,32-001 及び 32-002)では監査証明書が作成 されているが,それ以前(19 ~19 年)に開始した試験では適合陳述書(Conformance Statement) 注)で対応している. なお,完全な報告書である海外試験10A1 及び 11A 並びにサマリーレポートのみの海外試験 08B, 08C,Sub-Study11,12C,13A, 14,17 及び 19 の適合陳述書又は監査証明書の有無は確認できな かったが,これらの試験を含め,FDA 又は EMEA 審査時には評価資料として,これらの臨床試験 データを用いてBLM-240 の製造・輸入承認が得られている. 注):適合陳述書(Conformance Statement)には,「GCP に準拠して実施した」又は「インフォームドコンセント 及びIRB の実施は,CFR(Code of Federal Regulations)Title 21 Part 50(Protection of Human Subjects)及び 56 (Institutional Review Boards)を遵守して行われた」旨が記載されている.

表 2.5.1.7-1 GCP 等の適否を証明する書類(写し)の総括報告書への添付の有無 資料番号 試験名 報告書の種類 適合陳述書(Conformance Statement) 監査証明書添付 の有無 FDA 審査時 の評価資料 EMEA 審査時 の評価資料 添付の 有無 CFR 遵守 GCP 遵守 5.3.3.1-1 海外試験01 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.3.1-2 海外試験03 完全な報告書 あり - ○ - ○ ○ 5.3.3.1-3 海外試験04 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.3.1-4 海外試験10I 完全な報告書 あり - ○ - ○ ○ 5.3.3.2-2 海外試験02 完全な報告書 あり - ○ - ○ ○ 5.3.3.2-3 海外試験06A 完全な報告書 あり - ○ - ○ ○ 5.3.3.2-4 海外試験06B 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.3.2-5 海外試験06C 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.3.4-1 海外試験05A1 完全な報告書 あり - ○ - ○ ○ 5.3.3.4-.2 海外試験05A2 完全な報告書 あり - ○ - ○ ○ 5.3.3.4-3 海外試験05B 完全な報告書 あり - ○ - ○ ○ 5.3.3.4-4 海外試験05C 完全な報告書 あり - ○ - ○ ○ 5.3.3.4-5 海外試験05D 完全な報告書 あり - ○ - ○ ○ 5.3.3.4-6 海外試験30 完全な報告書 - - - あり × ○ 5.3.3.4-7 海外試験31 完全な報告書 - - - あり × ○ 5.3.5.1-2 海外試験10B 完全な報告書 あり - ○ - ○ ○ 5.3.5.1-3 海外試験10C 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.5.1-4 海外試験10F 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.5.1-5 海外試験10D 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.5.1-6 海外試験10G 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 15

(17)

表 2.5.1.7-1 GCP 等の適否を証明する書類(写し)の総括報告書への添付の有無(続き) 資料番号 試験名 報告書の種類 適合陳述書(Conformance Statement) 監査証明書添付 の有無 FDA 審査時 の評価資料 EMEA 審査時 の評価資料 添付の 有無 CFR 遵守 GCP 遵守 5.3.5.1-7 海外試験10E 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.5.1-8 海外試験10J 完全な報告書 あり - ○ - ○ ○ 5.3.5.1-9 海外試験10H 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.5.1-10 海外試験10K 仏 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.5.1-11 海外試験10K 英 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.5.1-12 海外試験07 完全な報告書 あり - ○ - ○ ○ 5.3.5.1-13 海外試験07A 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.5.1-14 海外試験14 サマリーレポート - - - - ○ ○ 5.3.5.1-15 海外試験09A 完全な報告書 あり - ○ - ○ ○ 5.3.5.1-16 海外試験09B 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.5.1-17 海外試験09C 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.5.1-18 海外試験09D 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.5.1-19 海外試験11 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.5.1-20 海外試験11A 完全な報告書 - - - - × ○ 5.3.5.1-21 海外試験12B1 完全な報告書 あり - ○ - ○ ○ 5.3.5.1-22 海外試験12B2 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.5.1-23 海外試験15 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.5.1-24 海外試験17 サマリーレポート - - - - ○注 1) 注 1) 5.3.5.1-25 海外試験08A1 サマリーレポート あり注 2) - ○ - ○ ○ 5.3.5.1-26 海外試験08A2 サマリーレポート ○ ○ 5.3.5.1-27 海外試験08B サマリーレポート - - - - ○ ○ 5.3.5.1-28 海外試験08C サマリーレポート - - - - ○ ○ 5.3.5.1-29 海外試験29 完全な報告書 - - - あり × ○ 5.3.5.1-30 海外試験Sub Study11 サマリーレポート - - - - ○ ○ 5.3.5.1-31 海外試験19 サマリーレポート - - - - ○ ○ 5.3.5.1-32 海外試験13A サマリーレポート - - - - × ○ 5.3.5.1-33 海外試験32-001 完全な報告書 - - - あり × × 5.3.5.1-34 海外試験32-002 完全な報告書 - - - あり × × 5.3.5.2-2 海外試験10A1 完全な報告書 - - - - ○ ○ 5.3.5.2-3 海外試験10A2 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 5.3.5.2-4 海外試験12A 完全な報告書 あり - ○ - ○ ○ 5.3.5.2-5 海外試験12C サマリーレポート - - - - ○ ○ 5.3.5.2-6 海外試験16 完全な報告書 あり ○ - - ○ ○ 注1)FDA 審査時に提出したサマリーレポートは中間報告であり,EU 申請時に最終データで新たにサマリーレポ ートが作成された. 注2)Safety Report に添付 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 16

(18)

2.5.2

生物薬剤学に関する概括評価

国内の薬物動態試験(国内試験001)で用いた BLM-240 の吸気(FI)及び終末呼気濃度(FA) の測定は赤外線吸収分析法によって実施した.また,当該分析法については,水素炎イオン化検 出器付きガスクロマトグラフィーを用いた分析結果との比較において,その表示値について検証 し,赤外線吸収分析法は要求性能を満たしていることを確認した.また,BLM-240 の血中濃度は ヘッドスペース付きガスクロマトグラフ質量分析計,BLM-240 の代謝物である無機フッ素はイオ ン電極法,TFA についてはヘッドスペース付ガスクロマトグラフ質量分析計を用い,それぞれ測 定した.これら分析法は,いずれも検査機関が設定した品質管理基準に適合したことを確認した.

2.5.3

臨床薬理に関する概括評価

BLM-240 の臨床薬理試験の概要を以下に示す.

2.5.3.1

国内での臨床薬理試験

(1) 日本人での BLM-240 の薬物動態(吸収・排泄・代謝) · 国内試験 001(評価資料,資料番号:5.3.3.2-1)

国内試験001 では,手術患者(ASA 分類:I)6 例を対象とし,O2併用下でBLM-240 6.0%を 30

分間吸入時のBLM-240 吸入濃度(FI),終末呼気濃度(FA),血中濃度及び血清/尿中の TFA 並 びに血清/尿中の無機フッ素イオン濃度を指標とした BLM-240 の薬物動態を検討した.また, BLM-240 が心電図(12 誘導)に及ぼす影響等についても検討した. その結果,吸入時のFA/FI(吸入期)(図 2.5.3.1-1),FA/FA0(消失期)(図 2.5.3.1-2)及び無 機フッ素イオン/TFA 濃度の推移より,BLM-240 はほとんどが肺より速やかに吸収・排泄されるこ とが示された. また,血中濃度も,FAとほぼ同様の推移を示し,血中濃度のサロゲートであるFAは薬物動態の 指標として適切であることが示された. 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 17

(19)

図 2.5.3.1-1 日本人における BLM-240 FA/FIの推移(吸入期) 解析対象集団:PPS,FAS (平均値±標準偏差) FA /F A0 0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 BLM-240吸入開始後時間 (分) ( ) 内は吸入終了後時間 (分) 30 (吸入終了) (10)40 (20)50 (30)60 (60)90 手術 終了時 図 2.5.3.1-2 日本人における BLM-240 FA/FA0の推移(消失期) また,BLM-240 吸入中に心電図異常(12 誘導)として 2 例に軽度の「心電図 QT 延長」が認め られたが,軽度であり無処置にて回復した. 解 析 対 象 集 団 : P P S ,F A S ( 平 均 値 ± 標 準 偏 差 ) FA / FI 0 .0 0 0 .2 0 0 .4 0 0 .6 0 0 .8 0 1 .0 0 B L M - 2 4 0 吸 入 開 始 後 時 間 (分 ) 0 5 1 0 1 5 2 0 2 5 3 0 ( 吸 入 終 了 ) 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 18

(20)

2.5.3.2

海外での臨床薬理試験

(1) 外国人での BLM-240 の薬物動態(吸収・排泄・代謝) · 海外試験04(参考資料,資料番号 5.3.3.1-3) · 海外試験03(参考資料,資料番号 5.3.3.1-2) 海外試験04 では,健康成人男子 8 例を対象とし,ミダゾラム,チオペンタール,フェンタニル, 及びベクロニウムで麻酔導入し,70%N2O を 30 分間,次いで 65%N2O 併用下で,2.0% BLM-240, 0.4%イソフルラン及び 0.2%ハロタンの混合吸入麻酔薬で 30 分間麻酔を維持した際,イソフルラ ン及びハロタンとの比較における薬物動態(肺への吸収,肺・組織からの排泄)を検討した. 混合吸入麻酔薬30 分間吸入時(吸入期)の FA/FIの推移を表 2.5.3.2-1,混合吸入麻酔薬吸入終 了後150 分間(消失期)の FA/FA0の推移を表 2.5.3.2-2 に示す. BLM-240 の FA/FI(体内へ吸収速度)は,すべての測定時点においてイソフルラン及びハロタン より高値であり,FA/FA0(体内からの消失速度)は,すべての測定時点においてイソフルラン及び ハロタンより低値であった. 図 2.5.3.2-1 外国人における BLM-240 FA/FIの推移(吸入期) 図 2.5.3.2-2 外国人における BLM-240 FA/FA0の推移(消失期) 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 19

(21)

また,吸入麻酔薬の肺からの吸入量及び排泄量より算出したBLM-240 の回収率は 105%であり, イソフルランの102%とほぼ同じであり,ハロタン(64%)より高かった. 海外試験03 では,健康成人(男子)13 例を対象とし,BLM-240 長時間麻酔による代謝につい て検討するため,O2又はN2O 併用下で BLM-240 6%(0.83 MAC),9%(1.24 MAC)及び 12%(1.66 MAC)を投与した.その結果,BLM-240 投与後,血清及び尿中への TFA の排泄が認められたが, イソフルラン及びハロタンで報告されている値と比較し少なかった. これらの結果より,BLM-240 は麻酔からの覚醒/回復がイソフルラン及びハロタンと比較し速や かであり,ヒト体内でも分解され難いことが示唆された. (2) 薬力学(MAC-awake,MAC-equivalent 及び MAC) · 海外試験01(参考資料,資料番号 5.3.3.1-1) · 海外試験02(参考資料,資料番号 5.3.3.2-2) · 海外試験12A(参考資料,資料番号 5.3.5.2-4) · 海外試験12C(参考資料,資料番号 5.3.5.2-5) 健康成人に対するBLM-240(O2併用下)のMAC-awake は 2.36±0.50%(平均値±標準偏差,以 下同じ)及びMAC-equivalent は 4.59±0.59%であった(海外試験 01). また,年齢及び併用ガス別のBLM-240 の MAC を表 2.5.3.2-1 に示す. 表 2.5.3.2-1 BLM-240 の MAC(年齢/併用ガス別) 試験 番号 群 対象(年齢) 例数注) BLM-240・O2 例数注) BLM-240・N2O MAC(%) MAC(%) 12A 新生児 0~1 ヵ月 6 9.16±0.02(9.15~9.20) - - 乳児 1~6 ヵ月 5 9.41±0.36(8.95~9.95) - - 6~12 ヵ月 4 9.96±0.67(9.05~10.65) - - 小児 1~3 歳 3 9.05±0.61(8.35~9.45) - - 小児 3~5 歳 4 8.61±0.56(8.30~9.45) - - 小児 5~12 歳 5 8.05±0.55(7.20~8.60) - - 12C 乳児 3~12 ヵ月 - - 5 7.15±0.82(5.75~7.75) 小児 1~5 歳 - - 5 6.40±0.49(5.75~7.00) 02 成人 18~30 歳 4 7.25±0.00(7.25~7.25) 4 4.00±0.29(3.75~4.25) 成人 31~65 歳 4 6.00±0.29(5.75~6.25) 6 2.83±0.58(1.75~3.25) 文献 報告5 4-10 65 歳以上の高齢者 6 5.17±0.6 6 1.67±0.4 平均値±標準偏差(範囲) 注)各交差ペアー(体動「あり」から「なし」へ及び体動「なし」から「あり」に変化のあった患者のペアー)数 O2併用時のMAC は 18~30 歳で 7.25 ±0.00%(平均値±標準偏差,以下同じ)及び 31~65 歳で 6.00 ±0.29%並びに N2O 併用時の MAC は 18~30 歳で 4.00±0.29%及び 31~65 歳で 2.83±0.58%であ った.MAC は,小児患者等を含め患者の年齢が高くなるほど低下した.なお,高齢者(65 歳以 上)におけるBLM-240 の MAC については,Gold5 4-10らが報告している.この試験では高齢の手 術患者39 例を対象とし,BLM-240・O2群(18 例)又は BLM-240・N2O 群(21 例)に割付けた. 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 20

(22)

MAC は up and down 法を用いて測定され,BLM-240・O2群では5.17±0.6%及び BLM-240・N2O 群

では1.67±0.4%であった. (3) 短時間作用型鎮痛剤(フェンタニル)及びベンゾジアゼピン系麻酔前投薬(ミダゾラム) との相互作用(MAC への影響) · 海外試験06A(参考資料,資料番号 5.3.3.2-3) · 海外試験06C(参考資料,資料番号 5.3.3.2-5) · 海外試験06B(参考資料,資料番号 5.3.3.2-4) ベンゾジアゼピン系麻酔前投薬(ミダゾラム25~50 μg/kg)の投与により,BLM-240 の MAC が約16%低下し,短時間作用型の鎮痛薬(フェンタニル 3~6 μg/kg)の投与により BLM-240 の MAC は O2併用時46~64%,N2O 併用時 22~76%低下した. (4) 健康成人における BLM-240 の麻酔からの覚醒/回復時間及び精神運動作用に及ぼす影響 · 海外試験10I(参考資料,資料番号 5.3.3.1-4) BLM-240 による麻酔からの覚醒/回復及び精神運動作用及ぼす影響について検討するため,健康 成人20 例を対象に実施した.対照薬はプロポフォールとした.麻酔終了から被験者が呼びかけに 反応できる及び見当識が戻るまでの時間は,BLM-240 麻酔維持群で有意に速かった(p<0.01, ANOVA).また,認知能力検査では,麻酔 1 時間以降は各群間に差異はなかったが,麻酔 1 時間 まではプロポフォール麻酔維持群と比較し,BLM-240 麻酔維持群では,動作判定検査,協調性検 査等の誤答が少なく,数字入替えテスト等では正答が多かった. (5) BLM-240 の呼吸器パラメータ,心血管パラメータ及び脳波への影響 · 海外試験03(参考資料,資料番号 5.3.3.1-2) 健康成人(男性)13 例を対象とし,BLM-240 長時間麻酔による呼吸器パラメータ,心血管パラ メータ及び脳波への影響について検討した. 1) 呼吸器パラメータへの影響 N2O 併用の有無にかかわらず,BLM-240 により用量依存的な 1 回換気量(VT)の減少及び呼吸 数の増加がみられた.N2O 併用時に,分時換気量(VE)に変化はなかったが,肺胞換気量(VA) が用量依存的に減少した.一方,O2併用時では,VA及びVEが共に減少した.N2O 及び O2併用時 共に,VAの減少により,炭酸ガス分圧(PaCO2)が徐々に増加した. 2) 心血管パラメータへの影響 a) 補助呼吸時(O2併用時) BLM-240 は用量依存的に中心静脈圧を上昇,全身血管抵抗及び平均動脈圧を低下させた.心係 数,左室駆出率及び腓腹筋血流に変化はなかったが,1 回拍出量係数は低下した. 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 21

(23)

b) 補助呼吸時(N2O 併用時) N2O 併用時,BLM-240 は用量依存的に血圧,心係数,1 回拍出量係数,全身血管抵抗及び左室 1 回仕事量係数を低下させ,肺動脈圧及び中心静脈圧を増加させた.心拍数は,いずれの MAC レ ベルでも10~12%増加した. なお,N2O 併用下での BLM-240 は O2併用下と比較した場合,同MAC レベルでは心拍数は低 値であり,血圧,中心静脈圧,左室1 回仕事量係数及び全身血管抵抗が明らかに高値であった. c) 自発呼吸時(O2又はN2O 併用時) 併用ガスの有無にかかわらず,心係数,1 回拍出係数,中心静脈圧,左室駆出率,平均左室円 周方向心筋線維短縮速度は,補助呼吸時と比較し,自発呼吸時で上昇した.平均動脈圧は,O2併 用時の12%(1.66 MAC)を除き,補助呼吸時と自発呼吸時で同様であった. 3) 脳波への影響 BLM-240 投与により,皮質の電気活性に用量依存的な低下が認められたが,てんかん様又はそ の他の異所性活性はいずれの時点においても認められなかった.また,すべての定量脳波のパラ メータは,BLM-240 終末呼気濃度と相関した. (6) 神経筋への影響 · 海外試験03(参考資料,資料番号 5.3.3.1-2) · 海外試験30(参考資料,資料番号 5.3.3.4-6) · 海外試験31(参考資料,資料番号 5.3.3.4-7) · 海外試験05A1(参考資料,資料番号 5.3.3.4-1) · 海外試験05B(参考資料,資料番号 5.3.3.4-3)

健康成人において,TOF 比は BLM-240 12%で有意に低下し,テタヌス刺激による tetanic fade (>10%)が用量依存的に顕著にみられた. また,3 つの筋弛緩薬(ベクロニウム,パンクロニウム及びスキサメトニウム)との相互作用 について検討した.1.25 MAC の用量において,単収縮を 50 又は 95%抑制する各筋弛緩薬の用量 (ED50又はED95)を表 2.5.3.2-2 に示す.BLM-240 はこれら筋弛緩薬の作用をイソフルランと同 程度に増強することが示された.ベクロニウムの神経筋への作用を増強する程度はイソフルラン よりBLM-240 のほうが大きかった. 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 22

(24)

表 2.5.3.2-2 BLM-240 と筋弛緩剤薬との相互作用 筋弛緩薬 ベクロニウム パンクロニウム スキサメトニウム 試験番号 30 05A1 05B 05A2 併用ガス O2 O2 60%N2O O2 用量(mg/kg) 【BLM-240】 ED50 0.008 0.009 0.009 0.15 ED95 0.019 0.022 0.018 0.36 【イソフルラン】 ED50 0.011 0.014 0.009 0.12 ED95 0.022 0.033 0.019 0.28

2.5.3.3

臨床薬理試験に関する考察

(1) 日本人と外国人の薬物動態 国内試験001 及び海外試験 04 における,日本人と外国人での FA/FI及びFA/FA0を指標にした薬 物動態を比較検討した.両試験の試験概略及びFA・FI分析法を表 2.5.3.3-1,日本人と外国人での FA/FI及びFA/FA0を図 2.5.3.1-1 及び図 2.5.3.1-2 に示す. BLM-240 の投与濃度は,国内試験では 6.0%を O2併用下で30 分間吸入であったが,海外試験で はBLM-240 2.0%を含む混合吸入麻酔薬(0.4%イソフルラン及び 0.2%ハロタン)を N2O 併用下で 30 分間吸入であり,BLM-240 の吸入濃度は異なるが,国内外の成績に大きな違いがないことから, 通常,臨床で用いられる用量(濃度)であれば,薬物動態に日本人と外国人に大きな違いはない と推察された. 表 2.5.3.3-1 国内試験 001 及び海外試験 04 の試験概略及び FA,FI分析法 試験名 国内試験001 海外試験04 対象 手術患者6 例(ASA 分類:I) 健康成人8 例(ASA 分類:I) 投与方法 【前投薬】なし 【麻酔導入】 プロポフォール フェンタニル ベクロニウム 【麻酔維持】 BLM-240 6.0%を O2併用下で30 分間吸入 【前投薬】ミダゾラム 【麻酔導入】 チオペンタール フェンタニル ベクロニウム 【麻酔維持】 BLM-240 2.0%を含む混合吸入麻酔薬(0.4%イソフルラン, 0.2%ハロタン)を N2O(65%)併用下で 30 分間吸入 FA,FI 分析法 赤外線吸収分析法 ガスクロマトグラフィー 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 23

(25)

図 2.5.3.3-1 日本人と外国人における FA/FIの推移(吸入期) 図 2.5.3.3-2 日本人と外国人における FA/FA0の推移(消失期) 0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 0 10 20 30 40 50 FA/FA0 外国人(n=8) 日本人(n=6) 吸入終了後時間(分) 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 24

(26)

また,海外試験03 においては,長時間麻酔後(平均 6.81 時間)の BLM-240 の代謝について検 討したが,BLM-240 の代謝物である血清及び尿中 TFA の排泄量は,BLM-240 はイソフルラン及 びハロタンで報告されている値と比較し少なく,BLM-240 は生体内で分解され難いことが示され た.国内試験001 においても,BLM-240 6.0% 30 分吸入後の血清及び尿中 TFA の排泄量はほとん どが定量下限未満であった. 更に,吸入量及び排泄量より算出したBLM-240 の回収率は 105%であり,イソフルラン(102%) とほぼ同様であった(海外試験04). 以上のことから,BLM-240 は肺からほぼ 100%近く排泄されると考えられ,代謝率はごく僅か であると推定された. 一般的に,代謝が僅かである医薬品は,民族的要因の影響を受けにくいとされているが,本剤 は他の吸入麻酔薬と比較し,最も代謝率が低いと推定され,FA/FI及びFA/FA0を指標とした薬物動 態にも日本人と外国人に大きな違いがみられていないことから,民族的要因による影響を受けに くい薬剤であると考えられた.このため,本剤の有効性及び安全性の評価にあたり,薬物動態の 観点からは民族的要因を考慮する必要はないと考えた. (2) BLM-240 の QT/QTc への影響(心電図への影響) 心血管パラメータについて詳細に検討した海外試験03 においては,健康成人 13 例に O2又は

N2O 併用下で BLM-240 6%(0.83 MAC),9%(1.24 MAC)及び 12%(1.66 MAC)投与時に ST-segment

の変化はみられていない. 一方,国内試験001 において,BLM-240 6.0%で 30 分間吸入時,不整脈等の症状は観察されな かったが,心電図異常が6 例中 2 例に 2 件認められ,いずれも軽度の「心電図 QT 延長」であっ た.このため,BLM-240 は QT/QTc への影響を及ぼすことが示唆される. 文献報告においても,Yildirim ら5 4-11は,ASA 分類 I の手術患者を対象とし,セボフルラン, イソフルラン及びBLM-240 各約 1 MAC(セボフルラン 2.0%,イソフルラン 1.2%及び BLM-240 6.0%)吸入時の QT/QTc への影響について,各群 30 例で検討した.その結果を表 2.5.3.3-2 に示 す.いずれの吸入麻酔薬もControl と比較し,QTc の有意な延長が麻酔維持中の 3 分(T2)又は 10 分後(T3)に認められている(セボフルランの T3 除く). 表 2.5.3.3-2 セボフルラン,イソフルラン及び BLM-240 の QT/QTc に及ぼす影響 投与群 項目 Control T1 T2 T3 セボフルラン QT 342±22 345±21 346±12 350±16 QTc 413±19 411±15 444±24 * 435±21 イソフルラン QT 354±26 354±20 356±22 363±23 QTc 416±34 422±30 450±26 * 455±34 * BLM-240 QT 353±36 355±30 356±29 370±31 QTc 417±18 421±17 441±28 * 448±24 * (msec):平均±標準偏差.各群:30 例 T1: 麻酔導入直後,T2:終末呼気濃度安定後 3 分,T3:終末呼気濃度安定後 10 分 * p<0.05 :Control と比較し有意差あり(Sheff’s test)

2.5 臨床に関する概括評価 ページ

BLM-240 25

(27)

Silay 5 4-12らは,ASA 分類 I~II の手術患者を対象とし,セボフルラン及び BLM-240 各約 2 MAC

(BLM-240 12.0%及びセボフルラン 4.0%)吸入時の QTc への影響について,各群 30 例で検討し た結果を図 2.5.3.3-3 及び表 2.5.3.3-3 に示す.いずれの吸入麻酔薬においても Control と比較し, QTc の有意な延長が認められ,BLM-240 群ではセボフルラン投与群と比較し,QTc 間隔が有意に 延長した(p<0.01 又は p<0.001,χ2-test 又は student’s t-test).

図 2.5.3.3-3 BLM-240 及びセボフルランの QTc に及ぼす影響

表 2.5.3.3-3 BLM-240 及びセボフルランの QTc に及ぼす影響

投与群 項目 BP AP II 1 II 3 Vec 1 Vec 3 Int 1 Int 3 セボフルラン QTc 431±20 436±23 438±28 439±30 449±35** 446±29** 462±27*** 452±30*** BLM-240 QTc 432±24 440±18 461±22*** 460±21*** 456±16*** 461±21*** 464±27*** 459±22***

(msec):平均±標準偏差

BP:前投薬投与前(Control),AP: 前投薬投与後,II 1 及び II 3:吸入麻酔薬導入 1 及び 3 分後 Vec1 及び Vec 3:ベクロニウム投与 1 及び 3 分後,Int 1 及び Int 3: 気管挿管 1 及び 3 分後 ** p<0.01,***p<0.001:Control 又はセボフルランと比較し有意差あり(χ2 test 又は student’s t-test)

また,本剤を含めた吸入麻酔薬は,in vitro 及び in vivo において正常心筋の収縮能を抑制するこ とが知られている. なお,先述したとおり,国内での臨床薬理試験(国内試験001)において,心電図異常として, 6 例中 2 例にいずれも軽度の「心電図 QT 延長」が報告されたが,海外での臨床薬理試験では認め られていない. ただし,海外での手術患者を対象とした試験では,SOC 分類別での「心臓障害」に関する治験 薬との関連性が否定できない有害事象(以下,「副作用」)が2,240 例中 108 例(4.8%)に報告 され,その内訳は「徐脈(27 例,1.2%)」,「結節性不整脈(17 例,0.8%)」及び「不整脈(13 例,0.6%)」等であった.一方,国内での手術患者を対象とした試験(国内試験 003)では,SOC 分類別での「心臓障害」に関する副作用が166 例中 8 例(4.8%)に報告され,その内訳は,「結 節性調律(2 例,1.2%)」,「上室性不整脈(1 例,0.6%)」及び「完全房室ブロック(1 例,0.6%)」 等であった. また,高齢患者を対象とした海外試験11 では,手術前の心電図所見が正常で,手術後に異常が 認められた症例数は,BLM-240 群では 51 例中 8 例(15.7%),イソフルラン群では 49 例中 12 例 BLM-240 2.5 臨床に関する概括評価 ページ BLM-240 26

表 2.5.1.7-1 GCP 等の適否を証明する書類(写し)の総括報告書への添付の有無  資料番号  試験名  報告書の種類  適合陳述書(ConformanceStatement)  監査証明書添付 の有無  FDA 審査時 の評価資料  EMEA 審査時の評価資料 添付の 有無 CFR 遵守  GCP 遵守  5.3.3.1-1  海外試験 01  完全な報告書  あり ○ -  -  ○  ○  5.3.3.1-2  海外試験 03  完全な報告書  あり -  ○ -  ○  ○  5.3.3.1
図 2.5.3.3-3 BLM-240 及びセボフルランの QTc に及ぼす影響
表 2.5.4.2-1 脳脊髄液圧(CSFP)の推移(海外試験 08A1,08A2 及び 08C)

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