を実施し,改良砂の液状化に対する粘り強さの評価ととも

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(1)3‑523. 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月). 間隙水をゼリー状物質で置換された改良砂の液状化抵抗 東北大学 同. 正会員. 上. 学生会員. 五洋建設. 正会員. 風間. 基樹. 仙頭. 紀明. 渦岡 良介 鈴木. ○林. 健太郎. 河村. 健輔. 崇. 大島 貴充. 1.はじめに 溶液型薬液注入工法とは,飽和砂質土の間隙水をゼリー状のシリカの固結物で置換することにより砂の液状化抵 抗性を改良する工法である.既往の研究 1)より,レベル 1 地震動に対しては,改良砂の一軸圧縮強さと液状化抵抗 の関係から,qu=50~100kN/m2 で十分な液状化抵抗性を有することが分かっている.しかし,間隙水がゼリー状物 質であることによる改良砂特有の粘り強さは,従来の研究では適切に評価されていないのが現状である.そこで, 本研究では,改良砂の定ひずみ繰返し非排水三軸試験. 2). を実施し,改良砂の液状化に対する粘り強さの評価ととも. に,レベル 2 地震動に対する液状化抵抗について検証した. 2.実験の概要 土試料として Fc=0%である 5 号相馬硅砂と 5 号,6 号,8 号相馬硅砂を Fc=10%となるように混合,調整した調整硅砂の 2 種類を使用した.改良 砂は,薬液のシリカ濃度を 2.0%~6.0%に変化させ,Dr=60%となるよう に水中落下法で作製した.28 日養生後に改良砂の一軸圧縮試験および定 ひずみ繰返し非排水三軸試験を実施した.改良砂の薬液のシリカ濃度と qu の関係を図-1 に示す.定ひずみ繰返し非排水三軸試験は,未改良砂を. 3.改良砂の繰返しせん断特性 図-2 に相馬砂の未改良,図-3 に相馬砂の改良(シリカ 濃度 3.0%)の応力~ひずみ関係を示す.なお,図中のせん 断ひずみはγ=1.5×軸ひずみとして算出した.未改良砂は, 軸ひずみ振幅に関わらず,載荷とともに剛性が低下し履歴. 履歴ループは扁平とならずせん断抵抗を有しており液状 化していない.軸ひずみ振幅で比較すると,振幅が大きい ほど剛性の低下が若干大きくなる傾向が見られる.. 0 0.0. 図-1. 40 20 0 -20. 1.0. 7.0. 改良砂の一軸圧縮強さ 60 40 20 0 -20. (b) 軸ひずみ振幅0.5%. 未改良砂の応力~ひずみ関係. 60 40 20 0 -20. 60 40 20 0 -20. -40 -40 -0.6 0 0.6 -1.2 0 1.2 せん断ひずみ γ( %) せん断ひずみ γ( %). (a) 軸ひずみ振幅0.2%. 荷回数と剛性低下率,載荷回数と累積損失エネルギーの関. 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 薬液シリカ濃度 ( %). -40 -40 -0.6 0 0.6 -1.2 0 1.2 せん断ひずみ γ( %) せん断ひずみ γ( %). 図-2. 4.改良砂の液状化抵抗性 定ひずみ繰返し非排水三軸試験から得られた結果を載. 50. (a) 軸ひずみ振幅0.2% せん断応力 τ(%). は,軸ひずみ振幅に関わらず,若干剛性は低下しているが. 100. 60. ループが扁平な形状となり液状化しており,軸ひずみ振幅 0.5%では数波で液状化状態となっている.一方,改良砂で. 150. せん断応力 τ(%). 波数 0.1Hz,載荷回数 100 回で載荷した.. 相馬砂 調整砂. 200. せん断応力 τ(%). 0.5%(レベル 2 地震動相当)の定ひずみ振幅を正弦波,周. せん断応力 τ(%). 含めた各改良砂供試体について,軸ひずみ 0.2%(レベル 1 地震動相当) ,. 一軸圧縮強さ qu (kN/m 2 ). 250. 図-3. (b) 軸ひずみ振幅0.5%. 改良砂(濃度3.0%)の応力~ひずみ関係. 係で整理したのが図-4~7 である.剛性低下率は,応力~ ひずみ関係における各サイクルでの割線剛性 G を初期の割線剛性 G0 で除した値である.累積損失エネルギー2)は, 土が地震荷重を受けた際に,液状化する過程において塑性変形して費やすことのできるエネルギー容量を表してお キーワード 薬液注入,地盤改良,液状化,三軸試験,砂質土 連絡先. 〒329-2746. 栃木県那須郡西那須野町四区町 1534-1. ‑1045‑. 五洋建設(株)技術研究所. TEL0287-39-2116.

(2) 改良砂 濃度6.0%. 0.8. 改良砂 濃度5.0%. 0.6. 改良砂 濃度4.0%. 0.4. 改良砂 濃度3.0%. 0.2. 改良砂 濃度2.0%. 0.0. 未改良砂. 0. 20. せん断剛性低下率 G/G0. 図-4. 40 60 載荷回数 N(回). 80. 0.8. 改良砂 濃度5.0%. 0.6. 改良砂 濃度4.0% 改良砂 濃度3.0% 改良砂 濃度2.0%. 0.2 未改良砂. 20. 図-5. 40 60 載荷回数 N(回). 80. 相馬砂,調整砂ともに,未改良. になることはない.シリカ濃度 が大きくなるほど剛性の低下は 小さくなるが,最も薄い濃度の. 20. 100. 改良砂 濃度6.0% 改良砂 濃度5.0%. 0.20. 改良砂 濃度4.0%. 0.15. 改良砂 濃度3.0%. 0.10. 改良砂 濃度2.0%. 0.05 未改良砂. 0.00. 図-7. 20. 0.4 0.2 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 薬液シリカ濃度 ( %). 剛性低下率. 40 60 載荷回数 N(回). 80. 100. 繰返しに伴う正規化累積損失エネルギー (調整砂、軸ひずみ振幅0.5%). 0.6. 図-8. 80. 0.25. 0.8. 0.0 0.0 1.0 未改良砂. 40 60 載荷回数 N(回). 繰返しに伴う正規化累積損失エネルギー (相馬砂、軸ひずみ振幅0.5%). 1.0 剛性低下率 G/G0. らほぼ一定値に収束し剛性が 0. 未改良砂. 0.00. 相馬砂 軸ひずみ振幅0.2% 相馬砂 軸ひずみ振幅0.5% 調整砂 軸ひずみ振幅0.2% 調整砂 軸ひずみ振幅0.5%. として表される.図-4~5 より,. 性は低下するが,40 波載荷後か. 改良砂 濃度2.0%. 0.05. 0. り,履歴ループの面積の累積値. なるのに対し,改良は徐々に剛. 改良砂 濃度3.0%. 0.10. 100. 繰返しに伴う剛性低下率 (調整砂、軸ひずみ振幅0.5%). は載荷直後に剛性が低下し 0 と. 改良砂 濃度4.0%. 0.15. 図-6. 改良砂 濃度6.0%. 0.0. 改良砂 濃度5.0%. 0. 繰返しに伴う剛性低下率 (相馬砂、軸ひずみ振幅0.5%). 0.4. 改良砂 濃度6.0%. 0.20. 100. 1.0. 0. 0.25. 7.0. 正規化累積損失エネルギー. 1.0. 正規化損失累積エネルギー. 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月). 正規化損失累積エネルギー. せん断剛性低下率 G/G0. 3‑523. 0.25. 相馬砂 軸ひずみ振幅0.2% 相馬砂 軸ひずみ振幅0.5% 調整砂 軸ひずみ振幅0.2% 調整砂 軸ひずみ振幅0.5%. 0.20 0.15 0.10 0.05 0.00 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 未改良砂 薬液シリカ濃度 ( %). 図-9. 7.0. 正規化累積損失エネルギー. 2.0%でも初期剛性の 30~40%は保持されている.また,細粒分が含まれる調整砂の改良の方が剛性の低下は小さい. 累積損失エネルギーについては,未改良砂は図-2 に示すように履歴ループが扁平となるため,累積損失エネルギー に上限値があるが,改良砂は履歴ループを保持するため,累積損失エネルギーは徐々に線形増加する.シリカ濃度 が濃くなるほど,また,細粒分が含まれる調整砂の方が累積損失エネルギーは大きく,液状化抵抗性は大きくなる. 載荷回数 100 回における剛性低下率および累積損失エネルギーとシリカ濃度との関係を図-8~9 に示す.なお,図 中のシリカ濃度 0%は未改良砂の結果である.図より,改良砂が著しい液状化抵抗性を有することが確認できる. 5.まとめ 本研究により,溶液型薬液注入工法による改良砂の液状化抵抗性を確認することができた.この液状化抵抗性は, 剛性低下の特性などから粘性土のような粘り,靱性によるものであると考えられる.特に,濃度の薄い低強度の改 良砂でもその靱性が発揮されている.また,レベル 2 地震動を想定した軸ひずみ振幅に対しても十分な液状化抵抗 性を有している.今後,この靱性を適切に評価し,レベル 2 地震動に対する設計手法を確立していきたい. 【参考文献】 1). 山﨑他:溶液型薬液注入工法の液状化対策への適用,港湾空港技術研究所報告,第 41 巻,第 2 号,pp.119-151,2002.. 2). 風間他:定ひずみ制御繰返し三軸試験による液状化強度評価の可能性,土と基礎,Vol.46,No.4,pp.21-24,1998.. ‑1046‑.

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