2.5 臨床に関する概括評価(臨床概括評価)
2.5.4 有効性の概括評価
2.5.4.2 海外試験の概要
表 2.5.4.1-3 国内試験003における抜管までの時間
解析対象集団:FAS Unit:分
手術部位 投与群 例数 平均値 標準偏差 最小値 25%点 中央値 75%点 最大値 95%LCL 95%UCL
合計 BLM-240群 166 9.8 5.0 3 7.0 9.0 11.0 37 9.1 10.6
BLM-240 N2O群 111 10.1 4.6 3 7.0 9.0 12.0 31 9.3 11.0
BLM-240 O2群 55 9.3 5.7 3 6.0 8.0 11.0 37 7.7 10.8
セボフルラン群 50 14.8 8.4 6 10.0 12.0 15.0 41 12.4 17.2
次に,BLM-240・N2O群とセボフルラン群(N2O併用)において抜管までの時間を指標とした
非劣性の検討結果を表 2.5.4.1-4に示す.手術部位及び手術時間で調整後の各投与群での抜管まで の時間(平均値±標準誤差)は,BLM-240・N2O群では9.7±0.6分,セボフルラン群では14.3±0.9 分,両群での抜管までに要した時間の差の95%信頼区間の上限値は-2.7分であり,事前に設定し た非劣性におけるマージン(Δ:1.0分)より小さいことから,麻酔からの覚醒/回復時間について
は,BLM-240はセボフルランとの非劣性が検証された.PPSにおいても同様な結果であった.
以上のとおり,主要評価項目である麻酔薬としての有効性(機能)及び抜管までに要した時間 において,当初計画した要件[(1)麻酔薬としての有効性(機能)におけるBLM-240の有効率 の95%信頼区間の下限値が90%より大きく,かつ(2)BLM-240・N2O群及びセボフルラン群(N2O 併用)の抜管までの時間の差について95%信頼区間の上限値がΔ1.0分より小さい]を満たしたこ
とから,BLM-240はセボフルランに劣らない吸入麻酔薬であることが検証された.
表 2.5.4.1-4国内試験003における抜管までの時間を指標とした非劣性の検討結果
解析対象集団:FAS Unit:分
投与群 推定値 標準誤差 自由度 推定値 標準誤差 自由度 95%LCL 95%UCL BLM-240 N2O群 9.7 0.6 154 -4.6 1.0 154 -6.6 -2.7 セボフルラン群 14.3 0.9 154
モデル:抜管までの時間=投与群+手術部位+手術時間 群間差
抜管までの時間
1) 試験方法
外来患者での一般外科手術におけるBLM-240の有効性を,第III相試験10試験において検討し た.これら試験はすべてオープンラベル/無作為/並行群間/比較試験であり,6試験は多施設共同に て実施した.各種麻酔薬及び併用ガスによる麻酔導入/麻酔維持を組合せ,それぞれの投与群毎に 有効性を評価した.主な有効性の指標としては,麻酔導入の質(呼吸反射より評価),救済処置 薬の使用頻度,麻酔からの覚醒/回復時間(「目覚めまでの時間」,「手を握れるまでの時間」,
「名前を言えるまでの時間」,「生年月日を言えるまでの時間」及び「回復室からの退室適合ま での時間」等),麻酔後の認識機能(p消去テスト,数字入替えテスト),疼痛の評価[視覚ア ナログ尺度(VAS),言葉による疼痛の点数化(VPS)]及び鎮静等とした.
2) 試験成績
外来患者での各種の一般外科手術の際に,BLM-240・O2又はBLM-240・N2Oによる麻酔導入が 効果的に行われ,意識消失までの時間は1.51~3.45分(試験毎の平均値)であった.BLM-240に よる麻酔導入時には,プロポフォール又はチオペンタールによる導入時と比較し,息こらえ,咽 頭痙攣,咳嗽,分泌物,興奮,自発運動,意識的な体動等の呼吸反射が高頻度に認められたが,
麻酔深度を高めることにより消失した.
術中の循環動態及び呼吸器パラメータは,BLM-240を含めすべての麻酔薬において問題となる 変動はなく,麻酔維持時の安定した状態を維持するために有効であることが示された.
全般的に,BLM-240・O2麻酔維持群では,麻酔からの覚醒/回復時間が最も速く,次いで alfentanil・N2O麻酔維持群,BLM-240・N2O麻酔維持群の順であった.BLM-240・O2麻酔維持群 では,認知機能の回復も速かった.なお,BLM-240・N2O麻酔維持群において1例で術中の記憶 があったと報告された.
以上のことから,外来患者での一般外科手術において,BLM-240は麻酔からの覚醒/回復時間が 速く,認識機能の回復も速やかであることから,外来患者で使用する吸入麻酔薬として有用であ ると考えられた.
(2) 心血管手術
· 海外試験07(参考資料,資料番号:5.3.5.1-12)
· 海外試験07A(参考資料,資料番号:5.3.5.1-13)
· 海外試験14(参考資料,資料番号:5.3.5.1-14)
· 海外試験09A(参考資料,資料番号:5.3.5.1-15)
· 海外試験09B(参考資料,資料番号:5.3.5.1-16)
· 海外試験09C(参考資料,資料番号:5.3.5.1-17)
· 海外試験09D(参考資料,資料番号:5.3.5.1-18) 1) 試験方法
心血管手術におけるBLM-240の有効性を,第III相試験7試験により検討した.これらの試験 では特に心血管パラメータに注目し観察した.7試験中5試験はイソフルランとの比較(海外試 験07,09A,09B,09C及び09D),1試験はフェンタニルとの比較(海外試験07A)及び1試験
2.5 臨床に関する概括評価 ページ
BLM-240 33
はsufentanilとの比較(海外試験14)であった.すべてオープンラベル/無作為/並行群間/比較試験
で,7試験中4試験は多施設共同で実施された.
2) 試験成績
術中の循環動態及び呼吸器パラメータは,BLM-240を含めすべての麻酔薬において臨床上問題 となる変動はなく,麻酔維持時の患者の安定した状態を維持するために有効であることが示され た.
また,BLM-240麻酔維持群では,イソフルラン麻酔維持群と比較し,覚醒が速やかな傾向であ
った.
なお,海外試験14において,ホルター心電図及び前胸部心エコー図に新たな心筋虚血が高頻度 に観察された.これは,すべての吸入麻酔薬による麻酔導入において散見される一過性の興奮の ため,麻酔が円滑に導入されなかったことに起因すると推察された.
以上のことから,冠状動脈バイパス術,腹部大動脈術,頚動脈内膜切除術及び末梢血管術にお
いて,BLM-240は有用な吸入麻酔薬であることが示された.
(3) 高齢患者での手術
· 海外試験11(参考資料,資料番号:5.3.5.1-19)
1) 試験方法
高齢者での手術におけるBLM-240の有効性を,第III相試験1試験により検討した.試験は対 照薬をイソフルランとしたオープンラベル/無作為/並行群間/比較試験で,多施設共同にて実施し た.主な有効性の指標としては,救済処置薬の使用頻度,麻酔からの覚醒/回復時間(「目覚めま での時間」,「手を握れるまでの時間」,「名前を言えるまでの時間」,)生年月日を言えるま での時間」及び「回復室からの退室適合までの時間」等),手術後の疼痛及び鎮静とした.
2) 試験成績
術中の循環動態及び呼吸器パラメータは,BLM-240及びイソフルラン投与群いずれも臨床上問 題となる変動はなく,麻酔維持時の患者の安定した状態を維持するために有効であることが示さ れた.また,BLM-240群ではイソフルラン投与群と比較し,有意差はみられなかったが,麻酔か らの覚醒/回復時間は速やかであった.
以上のことから,高齢患者での手術においてBLM-240は有用な吸入麻酔薬であることが示され た.
(4) 小児患者での手術
· 海外試験12A(参考資料,資料番号:5.3.5.2-4)
· 海外試験12C(参考資料,資料番号:5.3.5.2-5)
· 海外試験12B1(参考資料,資料番号:5.3.5.1-21)
· 海外試験12B2(参考資料,資料番号:5.3.5.1-22)
2.5 臨床に関する概括評価 ページ
BLM-240 34
1) 試験方法
小児患者での手術におけるBLM-240の有効性を,第III相試験4試験により検討した.海外試 験12B1及び12B2は,ハロタンを対照薬としたオープンラベル/無作為/並行群間/比較試験で,多 施設共同にて実施した.また,海外試験12A及び12Cは非対照試験で,小児患者でのBLM-240 のMACも検討された.主な有効性の指標としては,MACに加え(海外試験12A及び12C),麻 酔導入の質(呼吸反射より評価),救済処置薬の使用頻度,麻酔からの覚醒/回復時間(「目覚め までの時間」,「手を握れるまでの時間」,「名前を言えるまでの時間」,「生年月日を言える までの時間」及び「回復室からの退室適合までの時間」等)等とした.
2) 試験成績
BLM-240での麻酔導入は,呼吸反射(息こらえ,咳嗽,咽頭痙攣及び分泌物)の発現率が高く,
小児患者の麻酔導入薬として適切ではないと考えられた.ただし,術中の循環動態及び呼吸器パ ラメータは,BLM-240群はハロタン群同様,臨床上問題となる変動はなく,麻酔維持時の患者の 安定した状態を維持するために有効であることが示された.
また,麻酔からの覚醒/回復は,BLM-240群では,ハロタン群より速やかで(海外試験12B1及
び12B2),麻酔時間の長さに関わらず,また年齢が上がるほど速かった(海外試験12A).
以上のことから,小児患者での手術において,BLM-240による麻酔導入は推奨できないが,麻 酔維持に用いる吸入麻酔薬としては有用であることが示された.
(5) 産婦人科領域での手術
· 海外試験15(参考資料,資料番号:5.3.5.1-23)
· 海外試験16(参考資料,資料番号:5.3.5.2-6)
· 海外試験17(参考資料,資料番号:5.3.5.1-24)
1) 試験方法
産婦人科領域での手術におけるBLM-240の有効性を,第III相試験3試験により検討した.海 外試験15及び17は,対照薬をN2O及びエンフルランとしたオープンラベル/無作為/並行群間/比 較試験であり,海外試験16はオープンラベル/非対照試験であった.主な有効性の指標としては,
麻酔からの回復,母体失血量に加え,新生児評価スコア[アプガースコア,NACSテスト(海外
試験15及び17)]等とした.
2) 試験成績
無痛経膣分娩時のBLM-240麻酔(覚醒下)は,N2O群と比較し,鎮痛作用,母体失血量及び新 生児評価スコアは同様であり,母体及び新生児に対しても安全であった.
また,子宮内膜掻爬術時のBLM-240麻酔は,膣失血量は臨床上問題ない範囲であり,術中の呼 吸器パラメータは安定して維持された.
更に,帝王切開時のBLM-240の麻酔は,エンフルラン群と比較し,母体の失血推定量,新生児 アプガースコア及びNACSテストで同程度であった.
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