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積 付 の 過 失 と 海 上 運 送 人 の 責 任

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(1)じ. め. り. −航海上の過失を中心としてー. に. に. め. 村. 真. 澄. 積付の過失と海上運送人の責任. は. わ. じ. わが国における学説とその検討 お. は. 中 積付の過失と海上運送人の責任. ︵三︶. 二一二. な影響をもたらすものである︒積付の実施にあたり︑ダンネージ︵荷敷︶︑仕切板および仕切席などが使用されるの. ︵二︶. 積付が適切に行なわれるかどうかは︑運送品自休を維持するためだけでなく︑船舶の安定ないしは航海の安全に重要. 海上物品運送人は︑運送契約を履行するため︑荷送人または傭船者から受取った物品を船舶内に積込み︑かつ積付 ︵一︶ をしなければならない︒積付︵斡o巧品ρ餌摸言おρω欝ロ窪︶とは︑運送品を船内に適当に配置することをいうが︑. に. 積付の過失に関するフランスの学説・判例. 積付の過失に関する英国および米国の判例. 五 四 三 二 一.

(2) 論. 説︵中村︶. もそのためである︒. 二二二. 積付は︑このように専門的技術が必要とされるため︑ステベドァー︵ω冨く豊oお︶とよばれる船積作業請負人によっ. て行なわれるのが通常である︒ステベドァー自身は︑独立した企業者︵ぎ号需邑Φ暮8鱒蚕90﹃︶であって︑多くの. 場合︑海上運送人との請負契約にもとづいて船積作業に従事するものであるが︑ステベドァーの理疵ある積付によっ ︵四︶. て運送品が損傷した場合には︑海上運送人はその履行補助者の過失によるものとして︑荷主にたいし損害賠償の責を. 負わなければならない︒もっとも︑傭船契約においては︑傭船者がステベドァーを選任する旨︑約定される場合もあ. るが︑この場合にも︑たんにその選任権が傭船者にあるからとの理由をもって︑積付の過失につき海上運送人が全く. 責任を負わないと断じることはできない︒なぜなら︑傭船者がステベドァーを選任する場合でも︑そのステベは船主 ︵五︶. から報酬の支払いを受け︑かつ船長の指揮・命令のもとに船積作業を行なうべく約定される場合が少なくないからで. ある︒また︑ときには積付がステベによらず︑船長の指揮のもとに︑船員その他の運送人の使用する者によって行な. われることもある︒この場合にも積付に関する注意義務がとくに軽減されることはなく︑船長には︑資格あるステベ ︵六︶ ドァーと同一の熟練した技能が要求されるものと解すべきであろう︒. このように積付は︑直接運送品の取扱に関する行為として︑その実施にあたっては運送人およびその使用人に慎重. な配慮が求められ︑これらの者がもしその注意義務を怠った結果︑運送品の損害が生じた場合には︑海上運送人はそ. の損害を賠償する責を負わなければならないのは当然である︵商七六六条︑五七七条︑国際海上物品運送二条一項︶︒しか. しながら︑他面︑積付の適否は船舶の安定ないし航海の安全に重大な影響をもたらすもので︑そのため船長にはとく.

(3) に発航前の検査義務がみとめられ︵船員法八条︶︑検査すべき事項の一つとして運送品の積付が船舶の安定をそこなう. ことのないかどうかを定めている︒これは運送品の積付が︑他面では航海上の技術的性質を有し︑船舶のために行な. われていることを示すものである︒したがって︑このような積付に過失があるときは︑それはいわゆる﹁航海上の過. 失﹂︵国際海上物品運送三条二項︶にあたるものとして︑海上運送人は︑よって生じた運送品の損害につき免責の利益を. 廉.海商法︵新法学全. 享受しうるものではなかろうかという疑問が生じる︒以下︑本稿では主に英・仏の判例および学説を検討しながらこ の問題を考えてみたい︒. ︵一︶ 石井照久・海商法︵法律学全集︶二三〇頁︑小町谷操三・海商法要義︵中巻一︶八四頁︒竹井. 海上運送人は︑たとえば︑マット︑当て木︑柔かい木材など所要のダンネージを提供しなければならない︒これらのダン. 集︶二四四頁︒ ︵二︶. ネージは︑物品をその場所に固定して移動を防ぐため︑あるいは他の物品や船舶の壁と接触して損傷するのを防ぐため︑あ. るいは換気や排水のために必要とされるスペースを維持し︑漏水を船底に害なく通過させるために必要とされる︒コO︒一ぎ︐ <累き9匹品Φ冨ω8目︵騨庄警ω臣薯凶轟U署ωω︶●一8G︒■や瑠N・. ︵三︶ 積荷が仕切板などによって固定されていないと︑航海中の船体の動揺によって﹁荷くづれ﹂をおこし︑積荷が船舶の一方. に片寄ったまま︑復原性を失い顛覆するにいたるからである︒とくに穀類などの︑いわゆるバルキー.カーゴーや木材の甲. 板積み運送にはこの危険がいちぢるしく︑そのため﹁穀類その他の特殊貨物船運送規則﹂︵昭和三九.運輸省令六二号︶が. 二三二. 石井・前掲二四八頁︑小町谷・前掲入五頁︑竹井・前掲二四四頁︒英法においては︑ぼ留b窪号導8暮寅90吋を雇傭した. 制定されて︑積付の方法を規制し運送の安全を期している︒ ︵四︶. 積付の過失と海上運送人の責任.

(4) 論. 説︵中村︶. 一三四. 者は︑言血8窪留馨8馨醤99またはその使用人の行為につき︑いかなる責にも任じないという原則があるが︑スクラッ. トソは︑ステベドァーの行為にたいする海上運送人の責任は例外であって︑明示の特約がないかぎり︑船積業務は運送人が. 運送契約のもとにおいて遂行すべき法律上の義務ある行為であり︑﹁独立の企業者﹂を雇い入れることによってその責任を. 免かれえず︑ただ運送人は﹁独立の企業者﹂にたいして求償することができるにすぎない︑とのべている︒ωR9εPO昌. 英法においても︑傭船者によって選任されたステベドァーは︑船主の使用人なのか︑傭船者の使用人なのかという点につ. O富嘗o巷曽旨8餌包ω田ωo臨霊&昌αq・嵩普a●お①避や一おロ08ピ. ︵五︶. いて多くの事件で問題とされているが︑スクラットンにょれば︑これらの判決からはまだ一般原則は確立されていず︑おそ. らく各ケースはそれぞれの具体的な状況に依存するものと思われる︑とのべている︵ω自暮8Poマ98や嵩09器ρ︶わ. いう事実認定との関連において︑各約款の越旨を合理的に解釈して決定すべきである︒従って傭船者がステベドァーを選任. が国においても各具体的な事例につき︑船長にょる船積作業についての指揮・命令がいかなる程度において行なわれたかと. すべく定めた約款は︑船主の雇傭するステベドァーは傭船者の選任した者にこれを限るという趣旨にも解せられ︑ステベド. ァーの不良積付については︑これが指揮および監督をすべき立場にあった船主が責任を負う場合も少なくないように思われ. る︒小町谷教授も︑海上運送人が適当な積付をなす義務を負担するのが本則であることにかんがみると︑傭船者が仲仕人を. 選定する旨の約款は︑仲仕人を傭船者の被用者とする趣旨よりも︑単にその選択権を留保するにとどまる趣旨と解される場. ωO﹃¢穽O口︸O℃●﹃息ρv℃・一恥O O触 悶.OO一凶旨< q図℃○唱︒9け℃娼.α刈射. 合が多いことを指摘されている︒小町谷・前掲八五頁︒ ︵六︶.

(5) 二. 積付の過失に関する英国および米国の判例. 英国において一九二四年の海上物品運送法が制定されるまでは︑積付の過失について海上運送人がいかなる責任を. 負うかは︑もっぱら免責約款との関係において論ぜられ︑とくに船長︑船員︑水先人など船主の使用する者の過失に. ついての︑いわゆる過失約款︵器αq凝窪8︒冨霧Φ︶との関係において論ぜられた︒すなわち同法制定前においては︑. 英国において免責約款を禁止し︑または制限する法律はなかったので︑一般に船荷証券には︑船舶の航海において船. 長その他の船員の過失につき船主は責任を負わない旨の過失約款が記載され︑その約款の範囲は︑ステベドァー︑そ. のほか船舶により一時的に雇傭される者の行為にまで拡張されることも少なくなく︑ときには船主であると︑その使 ︵一︶ 用人であるとを間わず︑すべての故意︵毛3昌管巨8け︶︑過失および判断の過誤にまで及ぶものとされた︒しかし裁. 判所は︑このような免責約款を︑とくに船主にたいして厳格に解釈し︑用語の明瞭な意味を超えて約款の範囲を拡張. することは許さなかった︒かくて︑﹁船長または海員の過失﹂︵昌罐凝窪89目器け震oNヨ巽ぎRω︶という免責約款. ︵二︶. は︑運送品の積付にあたり船員の行為はカバーするけれども︑ステベドァーの過失はカバーするものでないと判示さ れた︒. さて︑一九二四年の英国海上物品運送法が制定された後は︑それまで多種多様な形式で用いられていた免責約款は︑. 同法のスケジュール第四条第二項の規定により︑﹁航行または船舶の取扱における︑船長︑海員︑水先案内人その他. 一三五. 運送人の使用する者の行為︑過失もしくは僻怠﹂という表現に定型化されることとなり︑いわゆる航海上の過失と︑ 積付の過失と海上運送人の責任.

(6) 論. 説︵中村︶. 一三六. しからざる過失︵商業上の過失︶との間に明確な一線が画され︑前者の結果についてのみ船主は救済され︑後者の結. 果については賠償責任を免かれえないものとなった︒もっとも︑このような約款は一九二四年の立法をまって初めて. 生まれたものではなく︑すでにハーター法およびハーター法に倣った英国植民地法のもとにおける船荷証券約款にお. いて広く使用されていた︒そしてスクラットンによれば︑この新しいタイプの免責約款は︑主として次の二つの問題. に集約される論議を惹き起こしたとされる︒すなわちその一つは︑この免責約款はいかなる時期または場所にまで拡. 張されるかということであり︑その二は︑﹁航行または船舶の取扱﹂という語は︑いかなるものとして理解さるべき. まず免責約款の適用が時間的および場所的に拡張される範囲については︑海上物品運送契約に別段の記載がない. かということである︒いずれも判例はまだ満足すべき状態にあるとはいえないが︑これは︑そもそも解釈されるべき ︵三︶ 用語が曖昧であることからみれば別段おどろくには当たらないとのべている︒. ω. かぎり︑運送人が物品を占有しているすべての期間にわたり及ぶものと解される︒従って﹃航海中﹄.︑3鼠鑛9①. <畠おΦ.︑という語が使用されている過失約款は︑船積中の過失をもカパーする︒同様に︑﹃船舶の航行その他におけ. る損害﹄..3目謎①営轟≦嘘鼠轟9Φ磐萱興09震昌ω①︑︑という免責約款は︑船積中になされた損害をカパーする︒. ここで航海上の過失の意義と積付の過失が航海過失となることがあるかという問題について貴重な示唆を与えたのが︑ ︵四︶. ○Oa対ぎ星自ピqε巴︾霧09蝕自事件である︒事案は︑船舶が石炭を補給する港︵8呂罐宕琶で岩壁に係. 留されているあいだ︑船底コックが開かれたままになっていたため︑海水が船鎗に浸水して積荷を損傷した︒現在の ︵五︶ ﹁航海上の過失﹂に相当するもので︑保険証券に記載されていた﹃不適当な航海﹄..巨褄8巽量く置蝕9︑︑という語.

(7) の解釈が問題となったが︑ウイルズ判事は︑これを﹁航海中における船舶または船舶の一部について不適当になされ. たことがら﹂であると定義し︑本件事実はこれに当るものと判示した︒ここで注目すべきことは︑ウイルズ判事が余. 論において︵巽αQロ窪量︶︑不良積付︵ぴ銭ω8類品①︶は﹁不適当な航海﹂となるかという問題に答えて︑﹁ステベドァ ︵六︶. ーが雇い入れられた港における場合をのぞいては︑確かにその通りである﹂とのべていることである︒O醇ヨ一9器一. 号事件も同じように︑積付そのものに関する事案ではないが︑航海の開始前︑船主の使用人の行なったカーゴー・ポ. ートの充墳が適当でなかったため︑積荷の小麦が海水によって損傷した︒スミス判事およびウイルズ判事は︑これは. 保険証券にいう﹁不適当な航海﹂である︒なぜなら︑それは航海中の船内にある物品の安全と関連し︑船舶の安全な ︵七︶. 航海にも影響をおよぼしているからである︑と判示した︒これに反して︑9惹量留甘豆おOρ対卑置昏望ゼo≦亭. o器︾器8糞一9事件では︑小麦の積荷が汚れた船鎗内に積付けられて損害を受けた︒裁判所は︑これを﹁不適当な. 航海﹂とは認めなかった︒スクラットンはこの二つの事件を比較して︑両者の差異は過失が生じた時期によるもので. はない︒なぜなら︑それはいずれも船舶が航海を開始する以前のことであったからである︒その差異は︑前者の事件. では船舶の安全な航海が影響を受けたのにたいし︑後者の事件では︑船舶の安全な航海はなんら影響を受けていない ︵八︶ という事実にもとづいている︑とのべている︒. ︵一〇︶. つぎに船舶の﹁取扱および航行﹂..誉磐茜①目︒暮嘗α鋸く蒔碧一9.︑という語は︑一八九二年の↓ぎ頴貰o号事. ︵九︶. ω. 件におけるステベドァーの行なった不良積付の事案について︑はじめて解釈されたものとされている︒この事件にお. =二七. いては︑﹁船舶の航行または取扱における水先人︑船長または海員の行為︑過失または慨怠から生じた損害﹂を運送 積付の過失と海上運送人の責任.

(8) 論. 説︵中村︶. 二二入. 人の責任から除外する旨︑記載のある船荷証券のもとに︑オレンジの積荷が船積されたが︑これがステベドァーの不. 適当かつ過失ある積付によって損害を受けた︒ジューン判事およびバーンズ判事は︑eステベドァーの過失は︑本件. 過失約款によってカバーされない︒口仮りにカバーされるとしても︑不適当な積付は︑﹁航行または船舶の取扱﹂に 含まれるものではないと判示した︒. 以上︑積付に関する英国の判例を概観してみると︑確かにスクラットンも認めているように︑航海上の過失そのも. のに関する判例が満足すべき明確な基準を提供していない結果︑積付に関する過失が航海上の過失となりうるかどう. かの問題もはっきりこれを断定することは困難のようである︒なるほど↓琴ぼ睡o号事件においては︑積付の過失. が航海上の過失たりうりことは明らかに否定されており︑このためフランスにおいては︑積付の過失を航海上の過失 ︵二︶ と認めないのが英国法の立場であると紹介されている︒また一九二四年の船荷証券統一条約の予備草案の作成に際し ︵一二︶ て︑ノーマン・ヒル卿は︑英国船主の名において次のように語ったと伝えられている︒すなわち﹁われわれは︑英国. の裁判所が︑船舶の取扱という字旬の中には運送品の積付を包含しないと判断しているのを熟知している︒われわれ. は︑積付については全責任を認めるものである﹂と︒しかしながら︑航海上の過失が他の過失から区別される基準と. して︑船舶の安全な航行に影響をおよぼすことが重視され︑また裁判官の余論という形式にせよ︑積付の過失が航海. 上の過失たりうることも承認されている︒さらに肩冨頴畦・号事件における具体的事案をみると︑ステベによる積. 付の過失が↓箒頴畦○号の安全に影響をおよぼしたという事実は全く確定されていないのであって︑これを看過し︑. ﹁不適当な積付は船舶の取扱に含まれない﹂とする判示だけをもって︑これを確定した英国の判例とすることに強い.

(9) 疑問を覚えるのである︒むしろ英国法の立場は︑積付の過失も航海上の過失たりうるとする可能性を残しながら︑ま だ確定しない状態にあるものとみるのが正当ではないかと考える︒. ︵一五︶. クナウスによれば︑不良積付は船舶の取扱における過失ではなく︑一九三六年のアメリカ海上物品運送法第三条第 ︵一三︶ 二項にいう積荷の注意および保管に関する過失で︑運送入の責任を生ずるもの︑とされているように︑アメリカにお ︵一四︶ いては︑積付の過失を航海上の過失とする判例はみられないようである︒しかし運送品の荷揚に関する事案であるが︑. ﹁船舶の取扱﹂が問題となった↓箒OR冒鋤巳o号事件は︑船舶の安全に影響をおよぽす積付の過失についても密接. な関係があるものとして注目される︒大西洋横断の定期船↓ぎOR睡目8号は厚い氷に覆われ︑しかもかなり遅れ. てニューヨーク港に到着した︒直ちにすべてのハッチを開いて荷揚げを開始し︑同時に艀から石炭の積取りを行なっ. ていたが︑そのとき船舶は突然傾き︑船窓が開いていたので︑そのまま埠頭わきに沈没してしまった︒運送人は︑ハ. ーター法第三条の﹁船舶の取扱﹂における過失を主張したが︑ホームズ判事はこれを却けて次のようにのべている︒. すなわち︑行為の主たる目的がバラストに影響をおよぼすことにあるとすれば︑その変更は船舶の取扱である︒しか. し本件の事実認定から明らかなとおり︑行為の主たる目的は積荷の荷揚にあったのであるから︑たとえその行為が船. 舶のトリム︵吃水偏差︶に影響をおよぼす事実があったとしても︑このことはハーター法第三条の適用を排して同法. 第一条が適用される運送品にたいする過失をいささかも減ずることはない︒ある事件では別個の面で︑ハーター法の. 第一条と第三条の双方に該当する場合も考えられるが︑この場合いずれの規定が適用されるかは︑損害を惹起せしめ. ニニ九. た行為の主たる性質および目的によって決定されなければならないと︒つまり運送品の荷揚は︑運送品そのものを主 積付の過失と海上運送人の責任.

(10) 論. 説︵中村︶. 一四〇. たる目的とする行為であって︑船舶を目的とする行為ではないから︑たとえその行為の結果が船舶の安全に影響をお. よぼしたとしても︑それは船舶の取扱における過失ではない︑とする︒この事件は︑ハーター法のもとにおける︑い. わゆる航海上の過失と商業上の過失に関する区別の基準を明らかにし︑運送品の荷揚という具体的事例につきその適. 用を示したものであるから︑荷揚と対比される関係にある船積ないし積付についても︑おそらく全く同様の結論が得. られるのではないかと思われる︒しかしこの判決に批判的な立場から︑次のような注目すべき見解が示されている︒. 船舶の取扱は︑船舶および積荷を海上の危険から保護する目的をもって︑船舶の礒装について行なわれる全ての事項. のコントロールを含んでいる︒積荷それ自体も︑船舶の安全に必要なバラストとして作用することにより︑この目的 ︵一六︶. スクラットンの前掲書二四﹄頁注三には実際に用いられていた過失約款の. に役立つのである︒従ってこの事件の情況のもとでは︑積荷の取扱いにおける過失は︑船舶の取扱における過失と看. 聞09言く餌q〆O巽践謎Φび﹃ω8娯b﹂ま. 徹されるべきであった︒. ︵一︶. さまざまな形式が紹介されているが︑中には積荷関係人の利益をも考慮して︑不良積付︑不適当な︑または不充分なダンネ. 船主は過失による自己の責任を免かれることはできるけれども︑それには︑明瞭にし. ージまたはバンティレーシ・ンによって積荷に損害が発生した場合には船主が責任を負う旨︑記載した妥協的な船荷証券約. マOO一ぎくき〆o層鼠εや一一①. 款も使用されていたのは注目される︒ ︵二︶. った一般的な用語による免責約款は︑物品の取扱または積付における船員の過失によって生じた破損または漏損について船. て︑かつあいまいでない用語を用いなければならぬとし︑かくてたんに﹁破損および漏損﹂︵ぼ8闘品①きα8爵謎oVとい.

(11) 主の責任を免除しないものとされ︑また﹁本船はいかなる場合にも加熱︵ぼ巴旨臓︶につき責を負わない﹂とする約款は︑不. ︵三︶. ︵一〇 〇置︶い肉●①ρ型㎝Ooo.ωR仁90P8︒蝕け. ωo毎辞o P O 宰 o 陣 什 こ ℃ ﹄ 畠 ●. 適当な積付によって生じた加熱についての船主責任を免除しないものと判示されている︒ワOo一汐くきき8・9£℃﹂置・. ︵四︶. b●漣ド. ︵五︶. ︑︑四9曾o導ヨ一ω・. ..一ヨ胃8R昌薯茜魯δb..の語は︑船主責任制限に関する一八六二年の英国商船法五四条に規定されていたものであるが︑. 現在では︑ 一九五七年の船主責任制限条約の成立にともない制定された一九五八年英国商船法第二条中の. ωδ昌ぼ浮Φ昌奨蒔讐δ昌曾導き品Φヨo馨9浮o診首.︑の語をもって置きかえられている︒. ooo 刈︶ρゆ●∪●謹鱒ωR暮8Poやo一貯こb﹄島. O霞ヨ一畠器一く︒ご<①唇Oo一ω●ω●︾ωωoo冨賦8︵一G. この事件は︑ヴァレンティアからリバプール向けの八三三箱のオレンヂの運送につき発行された船荷証券の譲受人によっ. ω興葺8戸oマ9£もや濾ρN蒔ω●. ︵一〇 〇〇 〇 〇︶⑲ω9ω●U●o o島℃ωR98戸o層9けこも﹄島●. 九八七六 ) ) ) 積付の過失と海上運送人の責任. 一四一. 一部はアル. ューン判事は︑まず第一点につき︑本件運送品の損傷は︑ステベの過失によって生じたものであるか︑それともステベと船. 本件船荷証券上の過失約款に包含されるとし︑さらに積付は船舶の取扱の一部であると主張した︒これにたいして裁判長ジ. によるもので︑いずれもステベドァーの蝦疵ある積付によることが明らかとされた︒被告運送人は︑ステベドァーの行為は. メリヤで積みとられた運送品の不良な状態によって生じたものであるが︑他の一部はヴァレンティアにおける不適当な積付. 分オレンヂの損傷が発見され︑これを売却しても︑なお一一ニポンド余の損失を免かれなかった︒この損害は︑. 積みとられたが︑これが腐敗した状態にあり︑しかも原告のオレソヂの箱の上に直積みされた︒リバプールに到着して原告. て提起されたものである︒原告のオレンヂが船積されたのち︑本船はアルメリアに寄港し︑そこでさらに若干のオレンヂが. ).

(12) 論. 説︵中村︶. 一四二. 長の双方の過失によって生じたものかを明らかにする必要があるとし︑船長にたいするステベの関係を明記した本件傭船契. 約書によると︑﹁傭船者またはその代理人によって選任された正規のステベドァーによって適当に積付けられるべきこと︑. れていた︒しかしこれらの言葉の意昧するところは︑ステベは一般に船長の指揮下におかれ︑傭船者の指揮下にはないとい. ただしステベドァーは船長の全面的な指揮下におかれるので︑積付は本船の危険と費用のもとに行なわれる﹂ことが定めら. うことであって︑積付におけるステベのすべての行為が船長の指揮下におかれるものとは解されないとし︑かくて本件にお. ける積付の過失は船長の過失ではなく︑ステベの過失であり︑過失約款によってカバーされないと判示された︒つぎに第二. 点として︑この過失ある積付は船荷証券中の船舶の﹃取扱﹄に含まれるものであるとする主張につき︑ジューン判事は︑積. 付との関係で︑.︑Bき品oヨ6旨︑.という語の意味に関する明確な判例は存しないようであるが︑過失約款における﹃航海﹄. が船舶の安全な航行に影響をおよぼすことを意味するのと同様に︑船舶の﹃取扱﹄も船舶自体および航海には属しない船舶. の取扱との関連で防備することが重要となることがらを指すものと解される︒したがって船荷証券約款の文言をこじつけて. ℃.認ω・. 解釈し︑不適当な積付をヨき品①ヨ①旨の中に含ませることは到底困難である︑と判示した︒ ︵一〇︶ ωR旨8P8・9叶. ︵二︶O︒匹冨唇浮o濤匿巽一寓ヨρ巨ω①窪﹄○霞程一R餌蔑一一8︒︒冨﹃戸閑○臼警o サ曽ρΩ四鼠Φ9巴富pOきω①ω. O●=●い緯品ρ問き88ヨヨRo芭09貯β3壼暮一程ρ目目・男這8隠﹂09一〇S. とくにその二〇六頁には︑. ︒●. 一禽巴①のq︑o図o泳蚕什一8身爲きω℃o旨oξ日畳什ぎΦ3拐一Φけ声ロ聲o旨α①ヨ巽魯き臼器即一8q︒やo︒G. ︵二︷︶. o︸℃℃蕊Oμ89 ︵コニ︶ 国P餌9F↓げ⑦︾目R一8昌一餌毒9008昌匪房9い器貯堕一300●で呂o. 不良積付につき運送人に責任ありとする判例が多数あげられているが︑いずれも積付が船舶の安全に影響をおよぼしたとみ. られる事例ではなく︑アメリカ判例法に関するクナウスの所説についてもこの点留意する必要がある︒なお︑08弩Uまo旨図.

(13) ︾三︒ρ峯oo一︵劇O︾︶︶で運送人が積付を適当に行なうべき注意義務は︑これをステベドァーに転嫁すること. のできないものである︑という意味で︑﹃委託しえないもの﹄︵昌8−号一Φ窓巨Φ︶と論じているのは︑過失約款の効果としてス. 号事件︵お欝. テベドァーの過失についても運送人の免責を認めていた英法の場合と比較して注目される︒. ︵一四︶ しかし加藤正治博士がハーター法について研究されたところによれば︑﹁唯曾o項謎oに関しては疑問を生ず︒しかれど. も普通の箇々の積込の過失の場合︑すなわち積込の悪しきがためにある積荷に損害を生ずる場合は商業上の過失にして第二. 条に入るべく︑これに反して全体の積荷の比重よりみて積込が船舶の中心力に関係をおよぼし航海を堪能ならしむるや否む. ⇒住Oo8旨匹房9. これを調整せんとしたと. 一〇ωO●℃●躍一︐. ≦90ザ9旨震℃貸賦霧. に関係するときはそのω8名品oたるや航海技術上の過失にして第三条に入るべし﹂とされており︑注目される︒加藤﹁米 国船主責任法︵=弩什巽︾9V二就テ﹂海法会誌一号一三九頁︒. ︵一五︶ ︵一89一8娼ψ誘9囚昌四暮Foやo一ε㌻83℃8ぴ︾ヨ〇二8pい. 9象轟﹂09藤夢a●b●一刈ど肉oび日ωop類き30良o胤︾血邑巨な霊霜言け冨d葺亀ω聾①の. Z9①言おO♪嵩=胃〜則肉①〜Nミ園oびぎωoPOやo一εや認ど昌03=q による︒. 鴻教授もこの事件を紹介されて︑﹁もし︑この場合に︑陸揚中のバラストの調整の必要を知って︑. ︵一六︶. 仮定し︑しかも︑その行為の解怠もしくは過失により︑船舶の顛覆を招来したという事態を考えるとき︑この場合を航海中. の過失として免責しうるとしつつ︑本件のごとき場合を商業上の過失として免責しないことは︑権衡を失するものと評せざ. 一四三. るをえない﹂と論評され︑航海上の過失と商業上の過失の区別の標準を行為の直接の目的に求めるのは理論的に不充分であ る︑とされる︒鴻 常夫﹁航海上の過失と商業上の過失﹂海法会誌復刊一号一二九頁︒. 積付の過失と海上運送人の責任.

(14) 積付の過失に関するフランスの学説・判例. 説︵中村︶. 三. 四四. うことが認められながら︑それでは一体いかなる基準にしたがって二つの過失が区別されるのかという問題について. 場合には運送人の責任を生ぜしめる商業上の過失となり︑他の場合には運送人に免責を許す航海上の過失となるとい. の上で異論をみないのはフランス法の場合における注目すべき特色である︒しかし︑このように積付の過失が︑ある. そこには航海上の過失が成立し︑運送人は損害賠償の責を免がれるものとされている点でも︑現今の判例および学説. 他方において︑もし積付の過失が船舶の安全をおびやかすにいたり︑その結果として運送品に損害を与えた場合には︑. 商業上の過失が認められ︑運送人がその損害賠償の責を負うことは判例および学説の上で早くから認められているが︑. 運送品の滅失または穀損の損害が発生した場合に︑海上運送人の使用人が積荷に関する注意義務を怠ったものとして. と︑船長はその責任を他に転嫁することは許されないものとされる︒このような積付に過失があり︑その結果として. ︵二︶. し︑船長はみずから積付を監督する義務を負い︑たとえ積付がステベとよばれる専門の請負人によって行なわれよう. 行為に認められる航海技術的性格が強調され︑したがって積付は︑航海技術上の指揮者である船長の本質的権限に属. が通常のようである︒そしてこのうち︑積付は何よりもまず船舶の安全のために行なわれるものであるとして︑積付. ︵一︶. 目段︒芭⑦︶とよび︑後者を航海積付︵妙睡首轟①壁暮β器︶とよんで︑積付行為に認められる二重の性質を区別するの. の安定ないし運送の安全をはかるために行なわれるものであることが認められ︑前者を商事積付︵麩はヨ夷08目−. フランスにおいても︑運送品の積付は︑一方において運送品を維持するために行なわれるとともに︑他方では船舶. 論.

(15) は︑そこにかなり明確な見解の相違が認められるようである︒. まず第一説によると︑積付の過失を航海上の過失のカテゴリーの中に属せしめるものは︑船舶の安定ないし航海の. 安全にまで影響をおよぼしたその過失の結果であると説く︒たとえば︑リペール︑は︑同一の行為が航海上の過失にも. 商業上の過失にもなりうるものとして積付の例を挙げ︑蝦疵ある積付が船舶の安定を害するにいたった場合には航海 ︵三︶. 上の過失となり︑積荷だけに損害を与えて︑船舶の安全をおびやかすにいたらなかったときは商業上の過失となると. 説く︒またソーバージュによれば︑積付の過失に関する免責約款は︑いわゆる商業上の過失を免責させる約款である. から︑その積付が船長の指揮のもとに行なわれたか︑それとも船主の陸上の営業所の指図のもとに行なわれたかを問. うことなく無効とされるが︑報疵ある積付が船舶の安定性と海上航行をおびやかすときには︑積付の過失は例外的に ︵四︶ 航海上の過失を構成しうるとする︒. これにたいし他の一説によると︑積付の過失は︑積付が船舶の安定ないし安全のためになされたか︑それとももっ ︵五︶. ぱら運送品の維持のためになされたかに従って︑それぞれ航海上の過失または商業上の過失のカテゴリーに分類され. ると説く︒たとえばロディエールは︑﹁船舶の取扱﹂における過失について英国の判例により樹立された方式を航海. 上の過失と商業上の過失の区別の基準として採用し︑過失のあった当該行為がいかなる意図をもってなされたかを考. える必要があり︑船舶のためになされねばならなかった行為と︑積荷のためになされねばならなかった行為とを区別. しなければならない︒﹃ためにする﹄︵ぎ帯お器霞︶ことは﹃関する﹄︵098巨R︶ということではない︒ある行為が船. 一四五. 舶の利益のために企図されるとき︑その行為は船舶のためにするものであり︑船舶の機器︵○茜きoω︶に関するときは 積付の過失と海上運送人の責任.

(16) 論. 説︵中村︶. 一四六. 船舶のためにする行為ではないとし︑この基準をもって積付に適用すると︑積付は航海活動の典型そのものである︒. 積付は運送品に関するが︑なによりもまず船舶のためになされる︒積付が船長の指図のもとに一等航海士の立会いの ︵六︶. 上で行なわれるのはまさにこのような理由による︒積付はまず運送の安全のためになされる︒それゆえ不良積付は航. 海上の過失である︑と結論する︒またシャイバンも︑積付における過失は︑その過失の結果と切り離してこれを独自. に分析すべきであるとする見解に立ち︑︑航海の安全のためになされる積付に過失があるとき︑これは航海上の過失で. あって︑たとえ船舶の安定に実際上影響をおよぽすことなく︑運送品の損害だけが生じたからといって︑その事実は. 航海上の過失たる積付の過失を商業上の過失のカテゴリーに移しうるものではない︒なるほど航海の安全が少しもお. びやかされることのないときは商業上の過失の推定が存在するであろうが︑それは反証を容れる単なる推定に関する. ものである︒なぜなら過失の性質は︑その実際の結果に依存しうるものでなく︑もっぱらその本来的性格に依存する ︵七︶ からである︑と説く︒. このように積付が船舶または航海の安全のために行なわれるという︑その客観的性質から積付の過失を航海上の過. 失とみる第二説の立場においては︑積付の過失が商業上の過失を構成する余地はまったくないように思えるが︑ロデ. ィエールによれば︑かかる原則には例外をみとめねばならないとし︑物品が積荷を受け入れるために整備されていな. い場所か︑または適当でない場所に配置されたとき︑その過失は商業上の過失であるとする︒しかもこの解決は︑衡. 平という点では争う余地のないものであるが︑これを理由づけることの困難さを認め︑英法では﹃離路﹄の観念に訴. えることによってそこへ容易に到達しているが︑フランスでは︑そもそも物品がそのように配置されていたこと自体︑.

(17) ︵八︶. 船舶の安全を確保しようとする配慮からではなかったことを物語るものであるとする︒またシャイバンもロディエー. ルと同じように︑積付が船舶の安定にも航海の安全にもかかわることなく︑ひとり物品の維持にだけ関するとき︑そ. れは商事的活動に関するもので︑かかる積付に躍疵があり︑よって運送品に損害が生じた場合︑商業上の過失の成立. をみとめる︒しかしその理由づけについては戸ディエールのいうような困難を格別覚えることはないとし︑主として. 物品の維持のために行なわれる積付に過失あるとき︑それは一九二四年の船荷証券統一条約の三条二項が︑物品の船. 積︑取扱︑積付︑運送等につき︑運送人に要求する物品についての注意義務の不履行を構成し︑またフランス商法典 ︵九︶ 第一二六条および一九三六年四月二目法の第四条に定められた担保義務の不履行を構成するという︒. つぎに積付の過失に関するフランスの判例をみると︑まず︑﹁最疵ある積付に因る運送品の損害は︑一九三六年四 ︵一〇︶. 月二日の法律によればもちろん︑ブリュツセル国際条約によっても︑海上運送人の責任を免除する航海上の過失に帰. せられる﹂とする一九六〇年一二月一三目のル・アーブル商事裁判所の判決が注目される︒学説でもしばしば引用さ. れる事件なので︑事案を簡単に紹介すると︑本船のOo且8号はロッテルダムにおいて一︑〇一五梱の木綿をル・アー. ブルに向け船積したが︑そのうち二〇五梱が甲板積にされ︑その旨船荷証券にも明記された︒竃きω置ωの少し手前. でOo昆a号は渦の中にまき込まれた︒この渦は︑普通に船積している船舶であれば耐ええた筈であったが︑Oo区9. 号は安定性を欠いていたため抵抗することができなかった︒ー1海水が舷窓から機関室に流れ込み︑船体が傾いた︒. 出港に際して. 甲板上の積荷は充分に固定されていなかったので︑滑りだし︑この時︑船舶の安定性はゼロとなった︒フランス海事. 一四七. 検定協会切霞o雲<o葺霧やロッテルダム海事裁判所の判事など専門家の鑑定の結果によると︑ω 積付の過失と海上運送人の責任.

(18) 論. 説︵中村︶. 一四八. 機関室の舷窓が開けられていたこと︒以上三つの事実に本件事. 甲板上の積荷の固定︵①巴ω芭が不充分であり欠陥があったこと︒これが木綿の梱を移動させ︑. 船舶の安定性が充分でなかったこと〜これは第二・第三のバラストを充すことによって容易に治癒することができ たであろうこと︒@. かつ混乱︵留鋸瑛一日夷①︶を起すのに寄与した︒の. 故の原因を認めうるとし︑裁判所もこの証拠を採用し︑Oo区8号が渦を通って傾いたのち舵をとっても復原しなか. ったという事実は︑船舶の過失ある船積に帰することができ︑したがって運送品の損害の最初にして︑かつ真の原因. は積付にあるものと認定する︒そして出航における積付は︑船内の運送品を処理する権利および義務を有する唯一の. 者である船長の本質的権限の一部であり︑従って船舶の安定と安全を危殆におとしいれる毅疵ある積付は︑船長の航. 海上の過失を特徴づけるものである︑と判示している︒ ︵二︶ また︑これより先に一九五九年四月一〇日の破殼院判決は︑積付の過失を航海上の過失とする一九五五年七月二一. 日のモンペリエー控訴院の原判決を容れて︑上告を棄却している︒すなわち原判決によれば︑被控訴人である船長. ○お讐①臣によって運航される汽船↓①ωの巴鋤号は︑控訴人である一.○田8塁葺o量=暮震冥90絶o目色号ωo曾盆一霧. ︵ρZ︒一ρ︶に向け︑四一八トンの大麦をアルジェーで船積した︒本船が勺9泣早乞○薯亀Φに到着した際︑五九五︑. 七二五フラン相当の貨物の濡損が判明した︒この損害は︑アルジェー港出発のときに不良積付された多くの樽が大波. の影響を受けて航海中移動し︑バラストのパイプに衝突して海水の流出を招き︑この海水が船鎗に入って生じたもの. であった︒原判決は︑右の樽の暇疵ある積付は︑船長について運送人のすべての責任を免除する航海上の過失を構成. するという理由で︑控訴人一︑ρZ﹄ρの損害賠償請求を棄却した︒これにたいする上告理由は︑一方において︑.

(19) 船積に際しなされた過失は航海開始前になされたものであ突かつ船長はまだ運送人の監督下におかれていたのであ. るから航海上の過失ではなく︑運送人がその責を負う商業上の過失とみなされるべきものである︒他方︑原判決は︑. 積付の欠陥が船舶の安定および安全をおびやかしうることを正当づけるいかなる種類の事実もあげることなく︑かつ. 原判決が判示する航海上の過失の性質の決定に関する破殿院のコントロールの行使を可能ならしめなかったからと︒. これにたいし破殿院は︑一方において原判決は正当にも︑出航における積付は船舶内の物品を処理する権利・義務を. ただひとり有する船長の本質的権限の一部をなすと考え︑他方︑本件において積付の過失は︑海難報告書の記載によ. れば︑支えが悪く︑中甲板の中で転々とした樽の移動を招き︑第一パラストの動揺をきたし︑よって船舶の安定と安. 全性をおびやかすに至った︒かかる事実認定と評価により︑控訴院は船長の航海上の過失たる性質を充分明らかにし︑. コOげ 仁く臼F↓蚕凶泳αΦ母o濤ヨ鍵庄ヨρおqoo℃﹂お︒. その判決に法的基礎を与えたものとして上告を棄却した︒. ︵一︶. コO﹃. 9匹需貰oやoF唇◎O貫80︒︑9甲い鋒謎ρ頴旨①8目含Ro芭①o江墜8葛g一2ρU︒罫コご欝すεS. 卓<8Foマ9f℃や鳶N鳶ρカ●肉09驚9U8詳旨霞三目o◎.碧捗ω一〇り泳9の傷¢U畠窪OΦoお①ヵ首Rぴ一8刈. ︵二︶. ︵三﹀. 男3づ〇一ωω蝉β<餌αq①9匂8p6巴ρp象Φさ鼠拶φρ巴胃讐5仁のαq6吋餌冨づ○昌号ωヨ巽o﹃餌⇒象ωのωづ鴛旨のびお①㎝P躍昌○什①︵一︶. P曽一.. ︵四︶. 箒泳園・舞Nρ評幕葛q樽暮︒㊦こき3︒§日§芭①ωユ①苗ず二鈴甘二ω頁&窪8富需器ρuき勇一㊤曾や臨仰 づ﹄お︒. 一四九. ︵五︶. ℃︒Oげ四¢ ︿ Φ g F o ℃ ︒ 9 叶. 積付の過失と海上運送人の責任.

(20) 論. 説︵中村︶. ︵六︶ 閑●園Oq観旨ρOづ・O津. もや. 零菊o象酵90やafづトαρ. ㎝企俸㎝㎝●. の●肉首窪け. ooo.. ︵七︶ ρO﹃巴び薗Poで9rマo ︵入︶. O.霞◎司●一8一P器刈卑の三ぐ. o9 ︵九︶ ρOび巴び曽Poや9fすG ︵一〇︶ U●寓︒悶.這紹℃●8一簿ω鼠<︒. ゆぢ溶参舘憲β會ヨδ①餅. わが国における学説とその検討. ︵一一︶. 四. 五〇. oβ噌蝉仁一震妙く艮一おOω℃斡﹃男. 菊o象酵ρ一霧ρや鐸ω■. ︵一︶ ひるがえってわが国における学説をみると︑積付の過失についてもっとも詳論されているのは西島博士である︒す. なわち同博士は︑海技過失と商事過失が一個の行為から生じる場合がありうる例として﹃積付﹄を指摘され︑﹁貨物. の積付そのものは︑多くの場合に︑商事過失に属するものである⁝⁝︒しかし積付の不完全は船舶自体の安全を害す. る原因を構成する場合があり得る︒例えば︑ー重量軽く︑容積の比例的に多いものを多量に下積となし︑比例的に. 重量の重いものを上積となして︑船舶のスタビリティを失わしめる場合があれば︑明らかに船舶自体の取扱に関する. ものであり︑かつ技術上の性質を有するものである︒したがってこの場合は海技過失をも構成するものと論断するを. 妨げないと思う﹂とされ︑さらに進んで︑﹁そしてまた︑積付が商事過失を構成しないで︑海技過失のみを構成する. 場合があるかに関しては︑これを積極に答えざるを得ない︒すなわち一般には︑積付の過失は︑貨物自体の取扱より.

(21) する貨物の損害を発生せしめる場合をいうのであり︑例えばダンネ⁝ジの不足または油類の直隣りに棉花類を積付け. たり︑または油類が棉花に浸潤するのを防止する相当の方法を講じなかったような場合は︑・明らかに商事過失である. が︑貨物自体の船内保管方法には過失はなかったが︑積付の位置に誤りがあり︑船舶の安全を害し︑よって船舶が沈. 没した場合の如きは︑明らかに海技過失のみを構成する︒けだし船舶自体の取扱に関するものであるからである︒そ. して貨物の損害は船舶自体の取扱上の過失︑すなわち海技過失から生じた損害と解せられることとなる﹂とされる︒. また山戸博士も︑船舶の取扱に開する過失は航海中において︑また商業上の過失は船積港や荷揚港において多く発生. することを認められるが︑逆に︑船積港において船舶の重心をあやまり安定性を失わしめるような積付をなすことは︑ ︵二︶ 船舶の取扱上の過失である︑とされ︑積付の過失が航海上の過失となる場合のあることを認められる︒. これにたいし小町谷教授は︑船舶の取扱に関する行為とは︑直接に船舶のためにする行為をいい︑直接に積荷のた. めにする行為を含まないから︑積付は矯舶の取扱のうちに入らない︑とされ︑積付の過失により船が安定を失った場. 合は航海上の過失になるという説があるが︑積付の過失の程度が軽い場合に商業上の過失になって︑免責の効果を生 ︵三︶. ぜず︑過失の程度が甚しくなった場合に航海上の過失として免責の効果を生ずるということは矛盾だといわざるをえ. ない︑とされる︒同様に︑田中誠二教授は︑海技過失が成立するためには二つの要件を必要とし︑その主要直接な目. 的および結果の両方面から考察することを要するとされる︒すなわち第一には︑過失行為が直接に船舶自体を目標と. してされることを要し︑貨物を直接の目標としてされないことであるとし︑第二に︑このような過失行為は︑ただ︑. 一五一. 間接に偶然に︑かつ附随的に貨物に影響をおよぼしたにすぎないことを要し︑貨物にたいし直接的︑かつ必然的な影 積付の過失と海上運送人の責任.

(22) 論. 説︵中村︶. ︵四︶. 一五二. 響のないことを要する︑とされる︒そして海技過失をこのように解するとき︑積付は︑その主たる直接の目的および ︵五︶ 影響は貨物にたいするものであるから︑積付の過失は商事過失であって海技過失ではないとされる︒. これを要するに︑わが国における学説は︑積付の過失が船舶の安定ないし航海の安全を害する場合には︑航海上の. 過失となりうることを認める立場と︑航海上の過失は直接に船舶のためにする︵または︑目標とする︶行為について. 存する過失であり︑または航海上の過失における貨物の損害は過失ある行為の間接的︑偶然的結果たることを要する. とする見地から︑積付の過失は常に商業上の過失を構成し︑航海上の過失の成立は認めえないとする立場が対立して いる︒. さて積付の過失の性質についてこれまで考察してきたところを綜合すると︑わが国における学説を含めて︑ほぼ次. の三つの立場にこれを分けることができるように思う︒第一説は︑積付の過失は原則として航海上の過失であり︑例. 外として商業上の過失となる場合のあることを認める立場である︒第二説は︑第一説とまったく逆の立場をとり︑積. 付の過失は原則として商業上の過失︑例外として航海上の過失たりうるとする︒第三説は︑積付の過失は常に商業上. の過失となり︑航海上の過失の成立を認めうる余地はないとする立場である︒以下︑これらの見解を検討しながら私 見をのべることとしたい︒. まず︑積付の過失について検討するに先立ち︑順序として航海上の過失と商業上の過失とを区別する一般的基準を. 明らかにする必要があるが︑その詳細な検討は別の機会にゆずることとし︑ここではすでに国際的にも承認されてい. るといってよい一つの基準︑すなわち問題の行為が﹁主として船舶のためになされたもの﹂であるか︑それとも﹁主.

(23) として積荷のためにされたもの﹂であるかという基準を採用するのが︑統一船荷証券条約にもとづくわが国際海上物 品運送法の解釈においても必要であると考える︒. しかしながら︑このような基準をもってしても︑積付の過失の性質を判断する上において必ずしも決定的な解決と. なりえないことは右にあげた第一説と第三説を比較してみると容易に判明する︒すなわち第一説は︑﹁船舶のために. する行為﹂を航海上の過失の基準として積付の過失を航海上の過失と判断する︒これにたいして第三説は︑﹁直接船. 舶のためにする行為﹂または﹁直接船舶を目標とする行為﹂を基準として適用し︑その結果︑積付の過失は常に商業. 上の過失であって航海上の過失とはなりえないと判断する︒この二つの説は全くその結論を異にしているが︑両説が. それぞれ採用している基準を比較してみて︑このように異なった結論がでてくるほどの相違が認められるであろうか︒. せいぜい第三説にみとめられる共通の特徴は﹃直接﹄という語の限定が加えられている点であるが︑第一説が単に. ﹁船舶のためにする行為﹂といっているのは︑﹁船舶に関する行為﹂という漠然とした基準を避けるためであったの. である︒したがって両説が基準とするものは実質的にみてほとんど相違がない︒そうだとすれば︑なぜ結論にこのよ. うな相違が生じるのであろうか︒その理由は︑運送品の積付という行為にたいする理解が二つの立場においては根本. 的に異なっているところにあると思われる︒すなわち第一説によれば︑積付は運送品に関する行為ではあるが︑運送. 品のためにする行為ではなく︑それは船舶の安全のためになされるから︑なによりもまず船舶のためになされる行為. であると解する︒これにたいし第三説においては︑積付は文字どおり運送品を直接対象とする行為であり︑運送品の. 一五三. ためにする行為であると解されている︒もちろん第三説においても︑積付が船舶の安定におよぼす影響は看過されて 積付の過失と海上運送人の責任.

(24) 論. 説︵中村︶. 一五四. いるわけではないが︑積付が主として運送品の維持のために行なわれるという目的からみて︑その過失の性質を判断 するに当って︑あえてこれを考慮の外においたものと解される︒. そこで問題は︑そもそも運送品の積付は︑主として船舶のために行なわれるものか︑運送品のために行なわれるも. のかということに帰着する︒私はつぎにのべる理由から︑積付は主として船舶のために行なわれるものと考える︒な. るほど運送品の積付といった場合︑多くは︑いわゆる商事積付を指し︑個々の運送品を直接その対象とするところの. 運送品の取扱に関する行為を考えるのが一般である︒そこでは︑積付の場所や他の運送品との関係から︑航海中運送. 品が損傷を受けることのないよう︑もっぱら運送品そのものにたいする配慮が要請される︒国際海上物品運送法三条. 一項が︑運送人またはその使用する者にたいして︑運送品の受取︑船積等とともに︑﹃積付﹄について注意義務を課. しているのはそのような意味である︒しかしながら積付には︑いま一つ︑船舶にたいする関係において︑全体として. の運送品の積付があることを看過してはならない︒全体としての運送品は︑あたかもそれ自体︑一個のパラストとし. て機能することにより︑その積付の適否は船舶の安定ないし航海の安全に重大な影響をもたらすものである︒したが. って︑全体としての運送品の積付は︑航海技術的性格を有し︵航海積付︶︑もっぱら船舶のために行なわれるものと. 解される︒積付の過失は常に商業上の過失であって︑航海上の過失が成立する余地はないとする第三説の立場は︑船 舶のために行なわれる積付の意義を不当に軽視したものであって採ることはできない︒. このように積付には︑船舶のために行なわれるものと︑個々の運送品のために行なわれるものとの二つがあるとす. ると︑次に問題となるのは︑この二つの積付は一体どのような関係にあるか︑という乙とである︒しかし︑これはい.

(25) うまでもなく︑二つの積付が有する目的の重要性によって決められるべきもので︑船舶の安定ないし航海の安全のた. めに行なわれる積付は︑個々の運送品を維持するための積付に当然優先するものと解される︒積付の過失は原則とし. て商業上の過失であり︑例外的に航海上の過失たりうるとする第二説は︑第三説と同様に︑船舶のために行なわれる. 積付を不当に軽視するものといわなければならない︒したがって結局︑積付は主として船舶のために行なわれること. になる︒このように積付の主たる目的が船舶の安全にあり︑行為の性質が航海上の技術的性格を有するものと認める. とき︑積付の過失は︑それが実際に船舶の安全をおびやかしたか否かという結果とは関係なく︑航海上の過失である. ことを承認しなければならないであろう︒ただし船舶の安全にまったく関係のない︑もっぱら運送品の維持のために ︵六︶. 行なわれた積付から生じた運送品の損害については︑運送晶の取扱に関する一般の注意義務を怠ったものとして︑運. 西島弥太郎・船荷証券論︵昭二九︶二二こ頁以下︒. 送人は損害賠償の責任を免かれえない︵国際海上物品運送法三条一項︶︒. ︵﹃︶. ︵三︶. 田中誠二・新版海商法︵昭三三︶. 小町谷操三・統一船荷証券法論︵昭三三︶. 一八二︑. 一入三頁︒. ︵二︶ 山戸嘉︸・国際海上物品運送法︵昭三三︶六一︑六二頁︒. ︵四︶. 田中誠二・船荷証券免責条款論六五九頁︒. 一八八頁︑同・船荷証券免責条款論・六五八頁︒. ︵五︶. ︵六︶ 小町谷教授は︑積付の過失の程度が軽い場合に商業上の過失になって免責されず︑過失の程度が甚しくなった場合に航海. 一五五. 上の過失として免責の効果を生ずるというのは矛盾だと評されるが︑これはたんに過失の軽重の問題ではなく︑両者の過失. 積付の過失と海上運送人の責任.

(26) 論. 説︵中村︶. お・わ. り. の性質が本質的に異なっているところからくるものであって矛盾ではないと思う︒. 五. 一五六. ︵三︶. ︵身Φ琶お窪8︶を尽せば足りるとする過失責任であるから︑航海上の過失としての積付の過失が船舶を不堪航なら. 五条の堪航担保義務は︑いわゆる堪荷能力︵8茜o巧o旨置器霧︶をも含む堪航能力を船舶に具備させるため相当の注意. い︑損害賠償の義務を免れることはできないと解する︒これにたいして外航船につき適用される国際海上物品運送法. 積付の過失が同時に船舶を不堪航ならしめたときには︑よって生じた運送品の損害について運送人は絶対的責任を負. 航船の場合は︑積付の過失について運送人の責任を免除する旨の過失約款そのものの効力は認められても︵商七三九︶︑. その立法理由と法文の解釈からして︑これを結果責任と解するほかないと考える︒したがって商法の適用を受ける内. 的な統一法へ接近するための解釈的努力が払われている点は注目すべきであるが︑私はやはり同条の責任の性質は︑ ︵四︶. 主の過失責任と解する小町谷教授の見解があり︑また最近ではこれと趣旨を同じくする判決も現われ︑いずれも国際. ︵二︶. をすると︑まず︑内航船についてもっぱら適用のある商法七三八条の堪航能力担保義務の性質については︑これを船. は︑同時に運送人の堪航能力担保義務の違反となる場合がありうるからである︒そこで最後にこの点についての考察. ︵一︶. れるものと速断することはできない︒なぜなら︑運送晶の積付は船舶の堪航能力と密接な関係にあり︑蝦疵ある積付. 害について海上運送人は免責の利益を主張しうるものと解するが︑しかしながらこれをもって運送人が直ちに免責さ. 以上考察してきたところにより︑積付の過失は原則として航海上の過失を構成し︑これによって生じた運送品の損. に.

(27) ︵五︶. しめた場合でも︑堪航能力の具備につき相当の注意が尽されたとの証明が運送人によってなされる限り︑海上運送人 ︵六︶. は免責されることについては疑いがない︒どのような場合に相当の注意がなされたかは︑まったくの事実問題であっ. て︑結局は裁判官の自由裁量に委ねられる︒この場合裁判官は︑船舶の性能および構造︑運送品の種類・性質︑航路︑. 航海の期間および季節など各具体的な諸事情を考慮に入れて判断すべきである︒なお︑この点に関連して船員法は︑. ︵船員法八︶︑これにもとづき. 船長にたいして発航前の検査義務を課し︑船長は︑命令の定めるところにより︑発航前に船舶が航海に支障ないかど うか︑そのほか航海に必要な準備が整っているかどうかを検査すべきものとしており. ︵同規則二条の二︶︒この. 船員法施行規則は︑例えば︑積載物の積付けが船舶の安定性をそこなう状況にないこと︑吃水の状況から判断レて船 舶の安定性が保たれていることなど︑所定の事項を発航前に検査すべきことを命じている ︵七︶. 検査義務は︑船舶共同体としての船長にたいし公益維持の必要から特にみとめられた公法上の義務と解すべきもので. あるが︑海上運送人の堪航能力担保義務とほぼその内容を同じくし︑また船長は相当の注意をもって検査すれば足り ︵八︶. るものと解される︒したがって船長の検査義務が履行されたかどうかが︑運送人の堪航能力担保義務に重要な影響を 与えることになるであろう︒. 一九三六年四月. ︷四五頁︒フランス法において. ︵﹃︶ この点は︑つとに大浜教授が指摘されているところである︒大浜信泉﹁航海堪能力ヲ論ズ﹂早法一巻六〇頁︑小町谷・前. 掲要義中巻日二二二頁︑同・統一船荷証券法論七六頁︑加藤正治・海商法講義︵大正﹃四︶. は︑すでにみた学説・判例ともこの点についてはまったく触れていない︒その理由はまだ明らかでないが︑. 一五七. 二日の海上物品運送法が条約とは異なり堪航能力に関する運送人の注意義務についての規定を欠いていたことにも大いに関. 積付の過失と海上運送人の責任.

(28) 論. 説︵中村︶. 係するのではないかと考える︒. 一五八. 小町谷操三・海商法要義中巻e二二三頁︑同・統一船荷証券法論︵昭三三︶六二頁以下︒ほかに過失責任と解するのは︑. 昭和三九年一月三一日東京地判︑下級民集一五巻一号心一三頁︑この事件の判例評釈としては︑戸田修三﹁船主の堪航能. 竹井 廉・海商法二三四頁︑松波仁一郎・日本海商法︵大六︶五六五頁︒. ︵二︶. ︵三︶. 宏﹁堪航能力担保義務の範囲﹂判例時報三七一号三七頁︒. 通説である︒石井・海商法二二六頁︑田中誠﹇丁新版海商法一七六頁︑大浜信泉・前掲論文五三頁︑加藤正治・海商法講. 力担保義務﹂海事判例百選九〇頁︑窪田 ︵四︶. 義︵大正一四︶二五六頁︑戸田・前掲九〇頁︒. 一九こ四年のブリュッセル条約は︑その第三条第一項をもって海上運送人に堪航能力を担保する義務を認めながら︑他方. では第四条第一項をもって︑運送人が堪航能力を維持するについて相当の注意を尽くしたことを条件として︑不堪航から生. ︵二七. よび船倉は米の如き重量物を以って満たし︑その余の軽貨物を甲板上に積載し︑なお厳重に網を張り荷すべりを防ぐなど︑. ﹁⁝⁝本船は右程度の重量貨物を仕向けられたる場合には︑船長としては当然後部客室に全乗客を集合せしめ︑前部客室お. 昭和一一年五月二一日の広島控訴院判決は︑共栄丸船長の堪航能力検査義務の違反を次のようにみとめている︒. る︒小町谷・窪田・海商法上巻五九頁︒. 山戸嘉一・船員法︵昭二九︶四九頁︒ただし小町谷教授および窪田教授はこれを私法上の職務権限の一つとしてあげられ. 小町谷・統一船荷証券法論八七頁︒. 条︶︒. して新たに堪航能力の担保義務を法定し︵二一条︶︑同時に船舶の不堪航を法定の免責事由の一つとして掲げている. じる運送品の滅失または穀損について免責を認める︒同様︑フランスの一九六六年の新海上運送法も統一条約の立場に接近. ︵五︶. (. 七. ︵入︶. ) ). 六. (.

(29) 航行上船体の安定方法を講ずべかりしにかかわらず︑これを怠り前記の如く積載に付もっぱら貨物の積込積卸しの簡易化に. のみ重点を置き︑船体の安定にたいする十分なる注意を欠きたる為︑空船時におけるよりも遙かに本船の中心点を上方にあ. らしめ︑因てその復原力を小ならしめたることを認め得べく︑船長甲が前示の如き適宜の措置をとらず︑波浪にたいし極め. 一五九. て不安定なる積載方法をとりたるまま発航したるは︑船長として職務上当然なすべき注意義務を怠りたるものといわざるべ からず﹂と︒法律新聞四〇一二号七頁︒. 積付の過失と海上運送人の責任.

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