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2.5 臨床に関する概括評価(臨床概括評価)

2.5.4 有効性の概括評価

2.5.4.1 国内試験の概要

BLM-240の有効性を評価した国内試験の概要を以下に示す.

(1) BLM-240の有効性及び安全性の検討(セボフルランとの比較)

· 国内試験003(評価資料,資料番号5.3.5.1-1)

1) 試験方法

既存の吸入麻酔薬であるセボフルランを対照薬とし,BLM-240の有効性及び安全性を検討した.

なお,BLM-240及びセボフルランはそれぞれ特有の臭いを有し,また専用の気化器を用いて投 与する必要があるため,二重盲検比較試験とすることが困難である.このため,治験デザインは オープンラベル/無作為/並行群間/比較試験とし,多施設共同にて実施した.

対象は,国内での代表的な手術部位(胸部,腹部,関節・四肢,背部,頚部)での手術を要し,

ASA分類がI~IIIの手術患者216例とした.有効性の主要評価項目は麻酔維持中の体動・覚醒・

記憶の有無,血圧・心拍数の推移,救済処置の有無を指標とした麻酔薬としての有効性(機能)

及び治験薬吸入終了から抜管までに要した時間を指標とした麻酔からの覚醒/回復とした.

a) 有効性の主要評価項目の選択(臨床的意義)

主要評価項目の選択理由を以下に示す.

z 麻酔薬としての有効性(機能)

鎮痛薬,筋弛緩薬等の併用下において吸入麻酔薬の有効性(機能)として求められる事項は以 下の事項である.

(1)意識消失(術中の覚醒及び術中の記憶がない)

(2)体動等の有害反射の消失(術中に体動がない)

(3)麻酔深度の調節性(麻酔深度を迅速に調節可能)

術中は患者の状態に応じ,適切な麻酔深度を得るため麻酔薬濃度の調整が必要となるが,臨床 の場においては麻酔深度の指標として,意識の消失,体動の有無に加え,血圧及び心拍数が用い られている.すなわち,麻酔科医は,患者の血圧及び心拍数の変動並びに体動・覚醒の有無を指 標とし,麻酔薬及び鎮痛薬,筋弛緩薬等の併用薬の用量を調整し,手術施行に支障がないよう迅 速に適切な麻酔深度を維持する必要がある.また,術中は様々な外的要因(手術の浸襲度,合併 症等)による血圧及び心拍数の変動が起こる可能性がある.このような場合,麻酔薬の濃度や輸 液の投与速度の調整に加え,降圧薬,昇圧薬,抗不整脈薬等の投与(救済処置)による迅速な対 応が必要となる.これらのことから,BLM-240の有効性の主要評価項目として,麻酔維持中(治 験薬吸入開始~吸入終了)の体動・覚醒・記憶の有無に加え,血圧・心拍数の推移及び救済処置 の有無を指標としたBLM-240の吸入麻酔薬としての機能(有効性)を設定し,可能な限り客観的 に評価するための基準を設定した(表 2.5.4.1-1).

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表 2.5.4.1-1 国内試験003における吸入麻酔薬として機能(有効性)評価基準

評価 麻酔維持中(治験薬吸入開始~吸入終了)の評価基準

体動 覚醒・記憶 救済処置 血圧・心拍数

優れた

機能あり

収縮期血圧が80 mmHg以上150 mmHg未満及び心拍数が 50回/分以上100回/分未満で維持できた観測点

総観測点の 70%以上 十分な

機能あり 総観測点の

70%未満

機能あり

救済処置は不要と判断された血圧・心拍数の観測点

総観測点の 70%以上 機能

不十分

総観測点の

70%未満

問題あり

上記,基準に係わらず,血圧・心拍数,BIS等の推移から当該吸入麻酔薬が手術施行に問 題があると判断した場合(その理由を症例報告書に記入)

z 抜管までに要した時間を指標とした麻酔からの覚醒/回復

BLM-240はその物理化学的性質から迅速な麻酔からの覚醒/回復が期待され,海外では日帰り手

術に適した吸入麻酔薬として注目されている.また,術後の覚醒遅延は患者の予後にも影響を与 える可能性があり,術後管理を行う上でも重要な事項である.これらのことから,BLM-240の有 効性の主要評価項目として麻酔からの覚醒/回復を設定した.麻酔からの覚醒/回復の指標としては,

患者の意識,呼吸状態及び循環動態から適切な判断が必要とされる抜管までに要した時間とし,

対照薬であるセボフルランとのBLM-240の非劣性をN2O併用群で検証することとした.

b) セボフルランとの非劣性

BLM-240の非劣性を検証するために必要なセボフルラン投与群での症例数はBLM-240とセボ

フルランの抜管までに要した時間を比較した海外臨床研究より推定した.

腹腔鏡下での手術患者を対象としたSongらの臨床研究5 4-18では,麻酔薬吸入終了後(N2O併 用下)の抜管までに要した時間(平均値±標準偏差)は,セボフルラン群では5.6±2.6分(40例),

BLM-240群では5.1±3.3分(40例)であり,両群における標準偏差は約3.0分であった.このた

め,本治験における非劣性マージン(Δ)は,共通標準偏差(3.0分)の1/3である1.0分と設定し た.麻酔からの覚醒/回復の評価は,臨床現場では麻酔科医による1分毎のタイミングで確認する ことを求めており,Δの1.0分は妥当と判断した.このため,非劣性におけるΔを1.0分,有意水 準片側2.5%,共通標準偏差3.0(分)と仮定し,検出力を80%とし,症例数を設定した.

また,非劣性の検証手順としては,BLM-240亜酸化窒素併用群のセボフルラン亜酸化窒素併用 群に対する群間差の点推定値及び95%信頼区間等を算出して比較検討した.BLM-240亜酸化窒素 併用群及びセボフルラン亜酸化窒素併用群の抜管までに要した時間の差について95%信頼区間の 上限値が1.0(分)よりも小さい時,非劣性が検証されたと判断した.

2) 試験成績

a) 麻酔薬としての有効性(機能)

FASにおいて,「優れた機能あり」,「十分な機能あり」又は「機能あり」と判定された症例 の割合(以下,「有効率」)は,BLM-240・N2O群では99.1%(110/111例),BLM-240・O2群で

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は98.2%(54/55例),BLM-240の2群を併合したBLM-240群では98.8%(164/166例)であり,

有効率の信頼区間の下限値は95.7%であった.一方,セボフルラン群での有効率100.0%(50/50 例)であった(表 2.5.4.1-2).

なお,BLM-240群で「機能不十分」と評価された1例(BLM-240・O2群)は,麻酔維持中に体 動が認められた症例であった.また,評価不能とされた1例(BLM-240・N2O群)は術後,覚醒 後の病棟にて持続投与した薬剤(フェンタニル等)により,重篤な有害事象(意識消失/呼吸停止 /心停止)が発現したため,治験を中止し,翌日の術中の記憶が観察できなかった症例であった.

表 2.5.4.1-2 国内試験003における麻酔薬としての有効性(機能)評価

解析対象集団:FAS

投与群 対象例数 優れた機能あり 十分な機能あり 機能あり 機能不十分 問題あり 評価不能 例数 (%) 95%CI BLM-240 166 111 (66.9) 9 (5.4) 44 (26.5) 1 (0.6) 0 (0.0) 1 (0.6) 164 (98.8) 95.799.9

BLM-240 N2O群 111 68 (61.3) 7 (6.3) 35 (31.5) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (0.9) 110 (99.1) 95.1100.0 BLM-240 O2 55 43 (78.2) 2 (3.6) 9 (16.4) 1 (1.8) 0 (0.0) 0 (0.0) 54 (98.2) 90.3~100.0 セボフルラン群 50 31 (62.0) 3 (6.0) 16 (32.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 50 (100.0) 94.2100.0 評価(例数 (%)) 有効(「機能あり」以上)

b) 麻酔からの覚醒/回復(治験薬吸入終了から抜管までに要した時間)

FASにおける治験薬吸入終了から抜管までに要した時間を表 2.5.4.1-3に示す.

抜管までの時間は,BLM-240・N2O群では10.1±4.6分(平均値±標準偏差,以下同じ),BLM-240・ O2群では9.3±5.7分,セボフルラン群(N2O併用)では14.8±8.4分であった.

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表 2.5.4.1-3 国内試験003における抜管までの時間

解析対象集団:FAS Unit:分

手術部位 投与群 例数 平均値 標準偏差 最小値 25%点 中央値 75%点 最大値 95%LCL 95%UCL

合計 BLM-240 166 9.8 5.0 3 7.0 9.0 11.0 37 9.1 10.6

BLM-240 N2O 111 10.1 4.6 3 7.0 9.0 12.0 31 9.3 11.0

BLM-240 O2 55 9.3 5.7 3 6.0 8.0 11.0 37 7.7 10.8

セボフルラン群 50 14.8 8.4 6 10.0 12.0 15.0 41 12.4 17.2

次に,BLM-240・N2O群とセボフルラン群(N2O併用)において抜管までの時間を指標とした

非劣性の検討結果を表 2.5.4.1-4に示す.手術部位及び手術時間で調整後の各投与群での抜管まで の時間(平均値±標準誤差)は,BLM-240・N2O群では9.7±0.6分,セボフルラン群では14.3±0.9 分,両群での抜管までに要した時間の差の95%信頼区間の上限値は-2.7分であり,事前に設定し た非劣性におけるマージン(Δ:1.0分)より小さいことから,麻酔からの覚醒/回復時間について

は,BLM-240はセボフルランとの非劣性が検証された.PPSにおいても同様な結果であった.

以上のとおり,主要評価項目である麻酔薬としての有効性(機能)及び抜管までに要した時間 において,当初計画した要件[(1)麻酔薬としての有効性(機能)におけるBLM-240の有効率 の95%信頼区間の下限値が90%より大きく,かつ(2)BLM-240・N2O群及びセボフルラン群(N2O 併用)の抜管までの時間の差について95%信頼区間の上限値がΔ1.0分より小さい]を満たしたこ

とから,BLM-240はセボフルランに劣らない吸入麻酔薬であることが検証された.

表 2.5.4.1-4国内試験003における抜管までの時間を指標とした非劣性の検討結果

解析対象集団:FAS Unit:分

投与群 推定値 標準誤差 自由度 推定値 標準誤差 自由度 95%LCL 95%UCL BLM-240 N2O群 9.7 0.6 154 -4.6 1.0 154 -6.6 -2.7 セボフルラン群 14.3 0.9 154

モデル:抜管までの時間=投与群+手術部位+手術時間 群間差

抜管までの時間

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