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座席位置を利用する Moodle の 出席管理モジュールの開発

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座席位置を利用する Moodle の 出席管理モジュールの開発

三重大学大学院教育学研究科教育科学専攻 理数・生活系教育領域

216m014 小山智久 2018年2月9日

(2)

i

目次

1はじめに ...1

1.1 研究の背景 ...1

1.2 研究の目的 ...1

2他システムとの比較 ...3

2.1 Moodleattendanceモジュール ...3

2.1.1 特徴 ...3

2.1.2 問題点の提示 ...3

2.2 Autoattendance block...3

2.2.1 特徴 ...3

2.2.2 問題点の提示 ...6

2.3 Moodleにおけるブックマークレットによる出欠管理 ...6

2.3.1 特徴 ...6

2.3.2 問題点 ...7

2.4 Moodleにおける携帯電話を利用する小テストを用いた出席管理システム ...7

2.4.1 特徴 ...7

2.4.2 問題点 ...8

2.5 csvファイルから出欠データを読み取るattendanceモジュールの改良 ...8

2.5.1 特徴 ...8

2.5.2 問題点の提示 ...9

2.6 従来の出欠確認方法と携帯電話を併用した出欠確認システム ...9

2.6.1 特徴 ...9

2.6.2 課題の提示 ... 11

2.7 言語化しにくい画像を用いた出席確認システムAGENGO ... 11

2.7.1 特徴 ... 11

2.7.2 問題点の提示 ... 14

2.8 三重大学で用いられているIC学生カード出席システム ... 14

2.8.1 特徴 ... 14

2.8.2 問題点の提示 ... 14

3章 Moodle... 16

3.1 Moodleとは ... 16

3.2 Moodleのインストール手順 ... 16

3.2.1 Moodle用のデータベースの作成 ... 16

3.2.2 Moodleのサーバー側でのインストール ... 16

3.2.3 Moodleのセットアップ ... 18

4本システムの詳細 ... 30

(3)

ii

4.1 機能説明 ... 30

4.1.1 座席位置送信機能 ... 30

4.1.2 教室データ作成機能 ... 31

4.1.3 座席表確認機能 ... 31

4.1.4 空席登録機能 ... 32

4.1.5 自動出席確認機能 ... 32

5使用方法 ... 33

5.1 学生側の使用方法 ... 33

5.1.1 Moodleへアクセスする ... 33

5.1.2 Moodleへのログイン ... 34

5.1.3 コースへ移動する ... 36

5.1.4 出欠活動モジュールへの移動 ... 37

5.1.5 出欠活動モジュールの画面(学生)の説明 ... 38

5.1.6 座席位置の送信 ... 44

5.2 教員側の使用方法 ... 45

5.2.1 出欠活動モジュールの画面(教員) ... 45

5.2.2 出欠活動モジュールの作成 ... 46

5.2.3 セッションの追加方法 ... 48

5.2.4 教室データの作成 ... 50

5.2.5 空席の記録 ... 53

5.2.6 座席位置を用いた出席判定 ... 55

6システムの実現方法 ... 58

6.1 開発環境 ... 58

6.2 ファイル構成 ... 58

6.2.1 attendance内のファイル構成 ... 58

6.2.2 moodledata内ファイル構成... 61

6.3 データベース構造 ... 62

6.3.1 mdl_attendanceテーブル ... 62

6.3.2 mdl_attendance_logテーブル ... 63

6.3.3 mdl_attendance_sessionsテーブル ... 64

6.3.4 mdl_attendance_statusesテーブル ... 66

6.3.5 mdl_attendance_seatテーブル ... 67

6.3.6 mdl_attendance_seatexistテーブル ... 67

6.3.7 mdl_attendance_seatvacantテーブル ... 68

6.4 phpファイル別の表示される画面 ... 69

6.4.1 manage.php ... 69

6.4.2 take.php ... 70

(4)

iii

6.4.3 attendance.php ... 71

6.4.4 attendance_byseat.php ... 72

6.4.5 showseat.php ... 73

6.4.6 decideroom.php ... 74

6.4.7 sessions.php ... 75

6.4.8 view.php ... 76

6.5 追加または編集したプログラムファイル ... 77

6.5.1 lib.php ... 77

6.5.2 take.php ... 81

6.5.3 renderables.php ... 82

6.5.4 renderer.php ... 91

6.5.5 add_form.php ... 108

6.5.6 attendance_byseat.phpを追加 ... 109

6.5.7 locallib.phpに追加 ... 110

6.5.8 db/upgrade.phpへ追加 ... 129

6.5.9 showseat.phpを追加 ... 135

6.5.10 student_attenance_byseat_form.phpを追加 ... 138

6.5.11 decideroom.phpを追加 ... 141

6.5.12 sessions.php ... 144

6.5.13 version.php ... 148

7評価 ... 149

7.1 実施評価 ... 149

8まとめ ... 150

8.1 まとめと今後の課題 ... 150

参考文献 ... 151

謝辞 ... 153

(5)

1

第1章 はじめに

この章ではこの研究に際しての背景と目的を述べる。

1.1 研究の背景

大学の講義において、講義の開始時に出席の確認を行うことは多くある。三重大学では 講義の出席確認を行う際に紙に記入させ提出させたり、点呼をとったりすることで出欠の 確認をすることが多くある。少人数制の講義であれば、時間もかからずに出欠確認をする ことが可能であるが、多人数制の講義であると出欠確認に時間が掛かることが多くある。

さらに、紙に書いたり点呼をとったりする方法で出欠確認を行った場合、教員自身が講義 終了後または成績処理中に手作業で出欠を確認する必要があり手間が掛かる。また、大学 の講義においては不正に出席を代行する学生が少なからず存在するので、このような学生 に対する対策も考えなくてはいけない。

また、近年は情報技術の進歩により、校務の情報化が注目されている。校務の情報化の 目的は情報技術を用いて効率的に校務を処理できるようにすることで、教員の事務的な負 担を軽減しより多くの時間を学生指導や研究などの事務処理以外のことに割くことであ る。ICTを有効活用することで、教育の質を高めていくことが今後ますます求められてい く。

このような背景から講義での出席確認を情報技術を用いて行う取り組みが三重大学でも なされている。三重大学ではいくつかの授業でドコモ・システムズ株式会社のWB-1Jとい う端末を用いたICカード出席システム(1)を導入している。三重大学の学生証は非接触式 ICカードで、このシステムは講義が行われている教室に入室する際にIC学生証を端末 にかざすことで学生の出席をとることができ、大人数の講義においての出席確認に要する 時間を削減することができる。しかし、このシステムを用いる手順の内のIC学生証をカ ードにかざす操作にコツが必要で現状ではスムーズに大人数のICカードを読み取らせる ためにカードを読み取らせることが難しいことと学生にカードの読み取りを任せると友人 の学生証もかざす学生が現れること、遅刻者がいた場合に教員がカードを読み取らせると 授業が止まってしまうという3つの理由から専用のアシスタントを配置しなければならな い。このシステムは時間の短縮という点では良い出席管理システムと言えるが、労力や操 作の簡単さの点ではあまり良いシステムとは言えない。

1.2 研究の目的

上記の例以外にも出席管理システムの導入例は多くある。出席管理システムを導入する 際に「刑務所のようだ」という批判を受けることがある。確かにGPSからの位置情報を 確認するシステムを実現することは可能であるが、これは学生を最初から疑ったシステム である。このように学生が不正をすることが前提のシステムはあまり良いとは言えない。

このようなシステムは学生から「刑務所のようだ」と評価されることもある(2)。システ ムを導入することで学生と教員の信頼関係を壊してしまう可能性もある。システムの導入 の目的はあくまで教育支援であり教育の質の向上である。その目的の実現の手段は作業に

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2

掛かる時間や手間などの事務的な負担を軽減し、その他の教育活動に当てる時間を増やす ことである。

そこで、本研究では三重大学で用いられているeラーニングシステムのMoodleを利用 して、出欠を確認できるようなシステムの開発を考えた。三重大学の学生であれば全員が 登録してあるMoodleを用いることで今よりもスムーズで簡単に出欠確認を取ることがで きると考える。現在の三重大学のMoodle2では自動で出欠を確認するようなシステムは存 在していない。しかし、現在のMoodle2には自動ではないが出欠を確認するためのモジ ュールが利用されている。本研究では公開されているこのモジュールを改良することを目 的とする。

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第2章 他システムとの比較

2.1 Moodleattendanceモジュール 2.1.1 特徴

attendanceモジュール(3)には、Dmitry Pupininと Human Logic 2つのバージ ョンがある。現時点では、Dmitry Pupinin 氏のバージョンがより安定して実用的である。

このモジュールは学生の出欠管理を行うMoodleのプラグインの中の代表的なものであ る。しかし、このモジュールは手動で出欠をとり管理するためのシステムで、従来の紙ベ ースの出欠管理をMoodle上にそのまま移動したような機能である。紙ベースでの出欠管 理と比較して良い点は、ネットワーク上で出席情報の管理ができるため出席簿を紙で記録 する場合と違い紛失する可能性がない点と、職場や家庭などどこからでも出席記録にアク セスできる点、出席数と欠席数と遅刻数と早退数が自動で学生一人ひとり別々に集計され その数に応じて自動で評点をつけることができる点である。

Dmitry Pupinin氏のattendanceブロックは、その補助的なattforblockというモジュー

ルが存在する。このモジュールをインストールして使わなくてもブロックだけでの動作は 可能だが、モジュールをインストールすることで出席を点数に換算した出席点をMoodle のコースの「評定」に反映させることができるようになる。

2.1.2 問題点の提示

このシステムは手動で出欠を取りそれを管理するためのもので、従来の出欠管理を

Moodle上に移動させたにすぎない。授業中にコンピューターを使用しない授業であれ

ば、十分機能を利用できるかもしれない。しかし、Moodleを授業の時間中に学生に使用 させる授業においては2.2で挙げているシステムのようにMoodleを活用したシステムも 存在しており、Moodleを授業で活用するという点では機能的に不十分である。

2.2 Autoattendance block 2.2.1 特徴

autoattendance blockは上記のDmitry Pupinin氏のattendance

block/module(v1.0.8,2007)を東京情報大学の井関文一氏がMoodle において自動的及び半

自動的に授業における出欠管理をできるように改造した(4)ものである。

元々の手動で出席をとる手動出席モードに加えて、Moodleのアクセスログより出席を 取る自動出席モード、ユーザーがリンクをクリックすることで出欠をとる半自動出欠モー ドでの出欠管理も可能で、これらのモードを組み合わせることにより、柔軟に出席をとる ことが可能である。もし、デフォルトのモードが自動モードや半自動モードであったとし ても、後から強制的に手動モードで出席データの追加や修正を行うことができるので、例 えば本当は授業に出席をしたのに自動モードで誤って欠席と判断されてしまった学生がい た場合でも、あとから手動モードにより「出席」と修正をすることができる。手動モード

Dmitry Pupinin氏のattendanceブロック本来の動作モードであり、このモードでしか

使用しない場合は、紙で出席帳を付けていたのをコンピューターに代えただけとなる。自

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動モードと半自動モードはコース内で混在可能である。半自動で出席をとったものをすべ て破棄して自動で出欠を取り直すことも可能であるが、逆に自動で出欠をとったものをす べて破棄して半自動でとり直すことは不可能である。

(1)自動出欠モード

自動出席モードを使っている場合は、出席を直ぐに反映することはできず、出席状況を その授業中の間に確認して授業に活かしたりすることは難しい。また、Moodleのアクセ スログを用いて出席したか判定するため、授業開始時間前からコースページを参照してい る場合にページがブラウザにキャッシュされていると出席したかどうかの判定を行う際に 問題が生じる可能性があるので、ページをリロードしてこのような問題を回避しなければ いけないという難点もある。また、出席をしているかの判定にIPアドレスを用いる仕様 のため、ある学生が友人のPCを借りてコースにログインしてアクセスログを残した場 合、すでにその友人がそのPCを用いてコースにアクセスをしてあった場合は、IPアドレ スの重複エラーで出席は取られない。これは元々は学生の出席を他の学生に頼んで行う

「代返」を防ぐための機能であるが、その反面では実際に出席したのに出席したと判定さ れない可能性がある。自動出席モードでIP制限をしている場合は、自宅でコースにログ インしてアクセスログを残したとしてもIPアドレスにより学校に来ていないことが分か るので出席は取られない。IP制限をしていない場合でも、コースにアクセスしてアクセス ログを残した際に接続元のIPアドレスも記録されているので、それを教員が確認した場 合は後に手動で欠席とすることができるので、出席確認の不正を防ぐことができる。自動 出席モードでは、cronなどによりアクセスログを見て出席の確認をとるため最新の情報を 得たい場合にはタイムラグが生じるが、Moodleのログ情報を基に出席をとるのでMoodle のログさえ残っていればいつでも出席を取り直すことができる。

(2)半自動出欠モード

半自動出席モードで出席が取られている場合、通常ではまず教員が授業中にキーワード を学生に伝える。そして、学生は教員から伝えられたキーワードを確認して、Moodle の出欠確認ページからキーワードを送信する。正しいキーワードを送信することで本当に 授業に来ていることを証明でき、出席扱いとされる。キーワードに使えるのは英字のみ で、特殊な記号や数字はキーワードに含まれてはいけない。また、キーワードを「なし」

に設定することもできる。正しいキーワードを送信したかどうかを確かめるのは短い時間 でできるので、リアルタイムに出席状況を確認することができる。不正出席の方法とし て、授業に出席している友人にキーワードを聞いて自宅から出席をとるという方法があ る。その場合には、MoodleへアクセスIP情報が記録されているので、後で教員がIP 報を確認して不正に気づくことができる。また半自動出席モードでもIP制限も設定でき るので、自宅からのキーワード送信自体をできないようにも設定できる。また、友人の PCを借りてキーワードを送信した場合は、すでに友人がそのPCでキーワードを送信済 みの場合には、IP情報が重複してしまうためエラーとなる。この機能は教員によって任意

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ON-OFFできる。キーワードについては一回に授業中につき一回という制限があるわ

けではなく、二回以上キーワードを入力し送信させることもできる。

(3)手動モード

attendanceモジュールを改造する前から存在する本来のattendanceモジュールの出席の

取り方である。文字通り教師が手動で点呼を取って記録する。もしくは、点呼以外の方法 で取った出席情報を手動でMoodleに記録する場合に用いる。手動モードは自動モードや 半自動モードと比べて最も柔軟な方法だが、出席登録には従来の紙媒体での出席登録と同 程度操作に手間が掛かる方法である。手間は掛かる点では自動モードや半自動モードより 劣るがそれらと合わせて利用することでその真価を発揮する。例えば学生がコンピュータ ーを使わないような授業で使用したり、早退や公欠の学生がいた場合など半自動モード・

自動モードで記録した出席情報に修正を加えたりしたい時に利用すると効果的である。半 自動モード・自動モードとは互いに補完し合う機能であると言える。特徴としては以下の 点が挙げられる。

(ア)自動・半自動モードで出欠を取ってあっても、事後的に出席データの追加や修正 などの操作を強制的に行うことが可能である。

(イ)Dmitry pupinin氏のattendanceプロックの本来の動作モードである。この機能 を用いるだけでは紙の出席簿に出席状況を書いて記録していたのをコンピューター

(Moodle)上に記録することになるだけである。

改造元のMoodleattendanceと同じように、補助的なautoattendmodというモジュー

ルが存在する。改造前のモジュールから継承している機能もある。このモジュールをイン ストールして使わなくてもブロックだけでの動作は可能だが、モジュールをインストール することで出席を点数に換算した出席点をMoodleのコースの「評定」に反映させること ができるようになる。

半自動出席モードでは、学生が能動的に出席ボタンをクリックするため、学生自身に

「出席を取った」「授業に参加している」という自覚が生まれ、授業に向かう姿勢が改善 されると思われる。しかし、自動モードでは、出欠がMoodleへのアクセスログを用いて 自動で取られるため学生は出欠を取っている自覚が生まれない。このような授業への姿勢 の違いが自動モードと半自動モードの間には生まれる。それ以上の自動モードの難点とし て挙げられるのは出席登録のミスである。決してシステムに不具合があり出席登録にミス が生まれるのではなく、学生自身が出席登録を「忘れる」ことが起きる。それは、自動モ ードでは自ら出席登録を行っている自覚が生まれにくいことにも関係している。つまり、

学生は出席を取っている自覚が薄いため、Moodleのコースにゲストでログインしたまま 授業を受けてしまう。ゲストでログインしてもMoodleには本人のアクセスログは残らな い。授業の最後にMoodleの小テストなどMoodleにログインする必要があるサービスを 使った場合にはログインしていないことに気付き、後から教員に申告する学生が時々存在 する。このような申告があった場合には手動モードの出番で、手動で「遅刻」や「欠席」

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になっている出席状況を「出席」と修正することができる。しかし、このように申告があ った場合は良いが、授業で小テストなどのMoodleへのログインが不可欠なサービスを利 用しなかった場合では出席登録が行われていないまま気づくことができず、期末の成績評 価では実際と違う評価が行われてしまう可能性もある。この問題には対策法があり、

Moodleのコースにゲストでログインすることを不可能にして、授業の最初から強制的に

ログインさせれば問題は解決できる。それでもゲストをどうしても許可しなければいけな い授業なら、半自動出席モードを使うなどの選択をすれば良い。半自動モードにも問題が 無いわけではなく、生徒全員が送信する必要があるので、誰かがキーワードを1文字送信 してしまう可能性もある。しかし、このキーワードには英字しか含むことができないとい う制限があるので、キーワードの打ち間違えはすくない。結果的に見ると、自動モードよ りも、半自動モードで出席を取るほうがミスなどの問題がおこる可能性は低いと思われ る。これらの点を踏まえると、操作は少なく出席登録に手間がかからないが出席登録のし 忘れの可能性がある自動出欠モードと、操作が必要で少し手間が掛かるが学生に出席した 自覚を感じさせ気持ちを授業に切り替えることができ出席登録に気づかぬミスが少ない半 自動出席モードのどちらを使うかは教員次第である。

2.2.2 問題点の提示

このシステムでは自動で「出席」「遅刻」「欠席」を判定することができるが、早退者を 自動で記録することができない。早退者がいた場合には手動モードでの出席情報の修正が 必要であり、自動で「早退」と登録する機能があればより良い。

自動・半自動モードでは出席状態の判定にMoodleにアクセスしているIPアドレスを用 いるがIPアドレスを偽装することのできる学生がいた場合、教室に来ていなくても不正 に出席できてしまう。

このシステムはMoodleにアクセスした端末のIPアドレスが学生同士で重複しているか チェックすることができ、重複している場合には1人の学生が「代返」したと見なされる ようになっている。しかし、PC教室での講義で空いている座席のPCを使って友人のア カウントでMoodleにログインし出席登録した場合はIPアドレスの重複は起きず「代返」

のチェックを免れることができてしまう。

2.3 Moodleにおけるブックマークレットによる出欠管理

2.3.1 特徴

このシステムは愛知工業大学の水野勝教氏が開発したシステム(5)である。Moodle

attendanceモジュールと併用することで出欠管理を可能にするプログラムである。併用す

attendanceモジュールはMoodleのバージョンによって異なる。Moodleのバージョン

が1ならDmitry Pupinin氏のバージョンを用い、Moodleのバージョンが2ならArtem

Andreev氏のバージョンのattendanceモジュールと併用して出席管理を行う。

ブックマークレットを用いた出欠登録に必要なものはポータブルタイプのICカードリ ーダーやバーコードリーダーとそれらで読み取れるICチップの埋め込まれている学生証

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やバーコード付きの学生証である。また、ブックマークレットを用いるため、Google

ChromeFirefoxなどのHTML5のFile APIに対応したブラウザが必要である。教員ア

カウントでMoodleの出席登録画面を開いた後にブックマークレットを呼び出すとファイ ル送信フォームが追加される。ファイル送信フォームへ出席データの入ったCSVファイ ルをドラッグ&ドロップをすると出欠登録ができる。システムの特徴としてブックマーク レットから呼び出されるJavaScriptのプログラムを利用してattendanceモジュールと連動 しているだけなのでattendanceモジュール自体は改造しなくても利用ができる。

attendanceモジュールを改造する必要がないので、手軽にこのシステムを導入することが

でき、授業での実用性は高いと考える。

出欠処理をする際の手順を述べる。まずはICカードリーダーを用いて出席を取る。こ の時出席した生徒のIC学生証をICカードリーダーで読み取り、読み取ったデータはCSV ファイルに保存される。次に、ブラウザからMoodleのコースを開き、attendanceモジュ ールの出席と登録する画面まで進む。そこまで来たら、ブックマークからブックマークレ ットを呼び出す。ブックマークレットから呼び出したプログラムにはファイルをアップロ ードできる機能があるので、そこでIC学生証をICカードリーダーで読み取った際に保存 したCSVファイルをアップロードして「出席確認」ボタンをクリックした後、Moodle の「出欠を登録」ボタンをクリックすることで出欠情報の登録が完了する。

なお、ブックマークレットについて解説すると、ブックマークレットはブックマークを 利用してプログラムを実行することである。ブックマークレットのプログラムは主に

JavaScriptで書かれている。ブックマークは普通ならばウェブサイトなどのURLを登録す

る機能だが、ブックマークレットはURLの代わりにプログラムをブックマークに登録す る。呼び出す際には登録したプログラムが実行される。

2.3.2 問題点

ブックマークレットを用いるため、attendanceモジュールのアップデートに対応できな い。

また、このシステムでは出席したかどうかの判定しか行うことができず「遅刻」や「早 退」の判定ができないことが問題である。

2.4 Moodleにおける携帯電話を利用する小テストを用いた出席管理システム

2.4.1 特徴

このシステムは龍昌治氏の研究(6)で利用された出席管理システムである。Moodle

Auto attendanceモジュールでは、授業時間内での該当コースへのMoodleのアクセスログ

を用いて出欠を行うため、PC教室での授業や全員がノートPCを持っている事が前提に なっている。ノートPCを出欠管理のためだけに受講している全学生に持って来させるこ とは難しいため、一般教室で行われる授業などPCを用いない授業においてほぼすべての 学生が持っている携帯電話を利用して出席管理をとる方法が考案された。

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しかし、Moodle自体は標準的には携帯電話からのログイン・利用は想定されていない ので、追加モジュールとしてMobile for Moodle(MFM)を追加して利用することにより 出欠をとる試みが行われた。このシステムではMFMを用いて簡単な小テストに答えさ せ、この小テストへの回答をもって出席とされる。携帯電話を所持していない学生がいる ことへの対策として、手書きで回答できる用紙を受講生全員に配布し、その手書きの回答

用紙にはMoodleのモジュールへのアクセス用にQRコードを印刷した。

問題点はあるが、携帯電話を出欠確認に利用することができるようになれば授業の時間 を大きく出欠確認に割くこと無く即時的に出席確認ができる上に、授業で学んだことの復 習や確認のために小テストやアンケートを用いることで出席確認を行うことができるので 実用性は高いと考えられる。

2.4.2 問題点

実験をした際のアンケート結果によると、「便利でいい」などの肯定的な意見が複数あ った上に、PC上では各自の出席状況を一覧で確認することができて良いという意見もあ り、賛同する意見が多かったが、携帯電話を持っていない学生への配慮や携帯電話を用い て通信するため携帯電話の通信料への配慮が求められる。また、そもそも授業中に携帯電 話を操作すること自体への批判を示すものもあった。このシステムでは、出席登録のため に携帯電話を使うので、授業中に他の事を携帯電話でする学生がいる可能性がある。授業 を真面目に受けている学生にとって、不真面目な学生が同じ授業を受けていることには懸 念を示すのも当然である。よって、このシステムを日常的に利用するには、なお検討が必 要である。

また、MFM自体が開発途中であり、Moodleに適用するバージョンによっては不具合も 多く、機能も少なく小テストとアンケートしか機能的に表示できない。しかし、不具合が 多いことは問題だが、機能が少ないことには良い点もあり、機能が少なく絞られていた方 が説明も少なく済み利用するには簡単で操作も楽である。

2.5 csvファイルから出欠データを読み取るattendanceモジュールの改良 2.5.1 特徴

このシステムは龍昌治氏の研究で開発されたシステムである。携帯電話を利用する小テ ストを用いた出席管理システムやAutoattendanceモジュールに加えて、もっと日常的に出 席管理を行えるシステムが必要だと考えられる。出席をとる手段は一つだけではなく複数 必要で、授業を行う教室の種類などを含めた授業の形態や受講する学生の数の規模などに より、場面や状況に応じて出席をとる手段を使い分けながらも出席の結果は一まとめに集 約するシステムが望まれた。従来からの教員による点呼や、手書きでの出席用紙、IC学生 証とICカードリーダーやバーコードリーダーなどの出席管理において利用が試みられて いる様々な手段は、一つの講義であっても週によって違う方法を選択することができる上 に、PC教室で行われない講義であっても出席管理ができるので、柔軟性の面で様々な出 席確認方法を毎授業ごとに選択して利用することは有用性があると考えられる。このシス

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テムではそのように様々な方法でとった出席をMoodleに集約する方法を考えられてい る。

このシステムはMoodleの標準のattendanceモジュールをもとに改造を行ったシステム である。取った出欠データをcsv形式にしておき、そのcsvファイルをMoodleへ読み込

Moodleの出欠データと統合する。Moodleで読み込むcsvファイルを作成するのにはル

ールがある。まず、ファイルの第一行目には項目名、二行目以降にはデータを格納する。

項目の間は基本的にはカンマで区切るcsvファイルとするが、他にもセミコロンやタブで 区切ることも可能である。項目の順番も任意で決めて良い。また、ファイルの文字コード は日本語環境で作成することが考慮されているので、UTF-8の他にもShift-JISなどでも 作成が可能となっている。そのため、表計算ソフトのExcelなどで作成した出席データを もとにして、csvファイル形式で保存するだけで簡単にファイルが作成できる。データの 中には必須項目があり、それはusername、date、statusの3つである。Username

Moodleにおけるログイン名であり、三重大学でこのシステムを使うならばここには学籍

番号が入る。Dateは出席をする授業のある日を入れる。statusは出席の状態を表し、出 席・欠席・遅刻・早退などが入る。出席日の書式はyyyy/mm/ddのようにしても良いし、

yyyy-mm-ddmm/dd/yyなどの形式でも使用可能である。また、出席の状態である

statusの書式は、出席・欠席・早退・遅刻の様に4つの区分ができているならなんでもよ

く、任意で決めれば良いので例えば出席ならば0、欠席ならば1、遅刻ならば2、早退なら

3、というように自分でルールを決めても良い。そのルールはcsvファイルをMoodle

へアップロードする際に、選択し設定することができる。

このシステムでは様々な手段でとった出欠データをcsv形式のように一種類のデータに することで出欠データをMoodleで一元的に管理できるようになった。

2.5.2 問題点の提示

このシステムを利用する上でcsvファイルを作成する作業が一番難しいと考える。この システムではMoodleに出席情報をアップロードするのは非常に簡単な上に、出席記録を 取る方法もICカードリーダーを用いたり従来の点呼をしたり柔軟に選択できる。しか し、さまざまな方法で取った出席情報をcsvファイルに保存することはコンピューターに 慣れている人でないと難しいと思われる。他のシステムを併用するなどしてcsvファイル の作成を容易にする必要がある。

2.6 従来の出欠確認方法と携帯電話を併用した出欠確認システム 2.6.1 特徴

青森大学の福永栄一氏により発案・設計され、青森共同計算センターにより開発(7) れた学生の携帯電話を使って出欠確認をするシステムである。学生は携帯電話からこのシ ステムを使い、教員が告げた一桁の数字を送信することで出席登録ができる。このシステ ムを利用した教育効果などが青森大学の福永栄一氏により調査されている(8)。出欠管理 システムは学生の授業への出席率を上げるために導入され、これまででも様々なシステム

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を用いた試みが大学でなされてきている。大規模なシステムの導入はコストがかかり過ぎ てしまったり、「代返」を代表とする様々な抜け道を学生が用いて不正に出席をすること が容易に行われてしまったりと、出席管理を行うためのシステムを考案したり導入したり するのは今でも頭を悩ましている問題である。

この携帯電話を用いた出席管理システムを青森大学で導入したときには、「良い授業を すれば、学生は出席を取らなくても授業に出てくる」という意見が多かった。しかし、良 い授業をすれば学生が皆出席するというのには疑問を感じる。例えば、映画を視聴するだ けの楽しい授業を想定しても、4年間で1,000コマを超える講義の出席率が100%にする のは不可能と思われる。学生達が高校生だったときの出席率を大学での出席率を比較する と、非常に真面目な学生だけで見れば高校と大学で変化は無いが、全員の学生を見れば、

高校の時の方が出席率は高いと予想される。高校生には保護者や学校からの強制力が働く が、大学生にはその強制力が働かないことが原因である。学生は勉強をしなければいけな いことを知っているし、勉強によって習得できた知識・技能などが将来のために役に立つ ということも知っている。しかし、勉強は辛いものであるし、学生には高校生のころの保 護者や学校からの強制力のある勉強をさせられて来たという意識もある上に単純にもっと 遊びたいという気持ちがあるので、現実的には一部の学生を除けば授業や勉強は楽しくな いはずである。よって、勉強にはある程度の強制力が必要であると福永栄一氏は考えてい る。その強制力はたとえば試験であったり、単位であったりする。留年が一番大きなハー ドルとなっている上に、それらのハードルを乗り越えた先に卒業という栄誉がある。その ハードルと栄誉が対になって学生の勉強の意欲を上げていると考える。しかし、重要な試 験は各学期の期末試験まで存在しない上に、一年間で1単位や2単位を落とした程度では 単位数は少なくなるが、留年することは少ない。それが、大学生と高校生への強制力の差 だと思われる。大学生に限らず社会人でも強制力などの規制が働かないと自らの意思だけ では行動を律することは難しいと思われる。出欠確認をはじめ、規律を定めることでより 多くの学生が講義を聴いて学力を向上させたり、出席している生徒と出席していない生徒 を教員側で明確に区別していることを示したりすることで、安心して講義を受けられる学 生もいると思われる。

この出欠確認システムで最も重要視されていることは、学生と生徒の間の信頼関係であ る。代返などの不正防止に目が行き過ぎて、携帯電話のGPSから学生の位置情報を探し 本当に教室に来ているか確かめるシステムを考えると、それは最初から学生を疑う事にな ってしまう。教員と学生の信頼関係のためには人間性の面では疑いがあってはいけない。

この大学の出欠確認の目的はあくまで学生の教育・学習支援であり、不正をする学生を見 つけて罰することではなく、学生に勉強してもらいたいという理念のもとに行われてい る。初めから学生を疑ったシステムで出欠確認をすれば教員と学生の間の信頼関係が崩れ てしまう。学生が教員の支援を受け入れやすいシステムが望ましい。よって、このシステ ムは従来の出欠確認を真似て作られている。このシステムを使う際にはまず、教員が一桁 の数字を授業中に学生に告げる。学生はその数字を携帯の画面で選択し、教員の指示があ

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ったときに同時に出席登録を行う。この方法は、従来の教員が学生の名前を呼んで学生の 返事があるかを確認する「点呼」を真似たものである。その点呼を携帯電話を用いること で一斉に行うことを可能にしたのがこのシステムである。学生一人ひとりの名前を教員が 呼ぶ代わりに、全員に番号を告げ、学生一人ひとりは返事をする代わりに携帯電話で番号 を選択して同時に出席登録をする。しかし、友人へ携帯電話を預けて友人が授業の時に自 身の物と合わせて2つの携帯電話を同時に操作すれば不正に出席登録はできる。これは GPSを用いて監視をしていたとしても、この方法での不正は見つけ出すことはできない が、このシステムではそれを防止する方法を備えている。その対策方法は簡単な従来の方 法で、学生の名前を呼ぶだけでよい。このシステムでは学生一人ひとりが出席登録を携帯 電話で行った際に携帯電話の画面には「出席を受け付けました」と返すが、一部の生徒に だけは「あなたは、立って自分の名前と学籍番号を教員に告げてください。告げないと代 返とみなされるかもしれません」というメッセージが返るようになっている。この結果、

携帯電話を友人に預けて代返する方法を防いでいる。

このシステムは教員と学生の信頼関係を重要視して作られているが、システム導入の際 はシステムに反対の意見もあった。よく見られたのが「学生を締め付ける」という意見で ある。しかし、このような意見のある中でもこのシステムは大学全体にまで普及した。そ の理由となったのは、出席管理に掛かる時間と手間の少なさや手続きの簡単さである。他 にも問題として挙げられたのは携帯電話のインターネット通信に掛かる通信料負担だが、

携帯電話でのweb使い放題が普及したため大きな問題となっていない。

このシステムの良い点は、遅刻を明確にできるという点と、学生が授業に遅れなくなる ことと、真面目に来る学生が喜ぶことである。従来の方法での出欠確認だと時間が掛かる ため授業の後半に出欠確認を行うことがあったので真面目に授業に間に合うように来た学 生と授業が始まったあとに来た遅刻の学生を混同してしまい同じに扱ってしまう事があっ たのだが、このシステムには全員が一斉に送信する、という特徴がありそれ以降に来た学 生は遅刻だということが分かりやすい。さらに、手続きが簡単で短時間で行えるので、授 業開始直後にはもうすでに出欠確認が終えてしまっている。その結果、学生はチャイムが 鳴る前に来るようになる。

2.6.2 課題の提示

このシステムの不正防止機能は数人の生徒に立って名前を言わせる方法を取っている。

しかし、あまりにたくさんの学生に立って名前を言わせることはできない。よって、人数 の特に多い授業では名前を言わなければいけない可能性が非常に低くなり、講義に参加せ ずに出席登録だけする学生が増えてしまうと思われる。

2.7 言語化しにくい画像を用いた出席確認システムAGENGO 2.7.1 特徴

このシステムは和歌山大学の吉野孝氏と中濱誠司氏が開発したシステム(9)である。携 帯電話を用いた出席確認システムである。携帯電話を用いたシステムでは、出席していな

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い学生の出席登録が実質可能であったり、ICカード学生証を用いたシステムでは学生証の 学生間の貸し借りによって不正可能であったりする。このシステムはそれらのシステムの 問題を解決するために開発されたシステムで、携帯電話と「言語化しにくい画像」を用い ることによって、短時間で出席確認可能かつ代返などの不正出席が難しいシステムを実現 した。システムの名前はAGENGOという。「言語化しにくい画像」とは「言葉によって 伝えにくい」「言葉で説明しにくい」画像の事であり、授業の行われている教室にいる学 生にとっては識別可能であるが、その画像がどのような画像であるかを教室にいる学生が 教室にいない学生に対して「言葉」で説明・伝達しにくい画像である。この性質を利用 し、代返などの不正出席をできないようにしている。

利用方法を述べる。教員は、PCもしくは携帯電話のWebブラウザを用いてAGENGO Webサーバーにアクセスし、学生は各自の携帯電話のWebブラウザを用いて

AGENGOWebサーバーにアクセスする。出席確認の手順は以下のようになっている。

1) 教員が授業の行われている教室で画像を提示する。この画像は毎週同じ画像を使わ ずに日ごとに変更する。

2) 学生が各自の携帯電話のWebブラウザからAGENGOWebサーバーにアクセ スし、ログインする。

3) 携帯電話の画面に表示される複数の画像の候補から、その授業で教員から提示され た画像を選択し出席確認をする。

AGENGOを使って出席確認を行った際に予想される不正出席の方法として、教室にい

ない学生に対して出席している学生からメールなどの機能を用いて提示された画像の特徴 などの情報を送信するという方法が想定される。しかし、このシステムで提示した画像は メールなどを用いて言語で表現し伝達することが難しい画像である。よって、授業に出席 している学生にはどれが正解の画像であるかを目で見て識別することが可能だが、授業に 出ていない学生が画像の情報を授業の出席した学生から伝え聞いたとしても、聞いた学生 はどれが正解であるかを識別することはできず、不正出席をすることもできないのであ る。講義中であるため「音声通話で大量の言語情報により無理矢理伝える」という方法も 用いることができず、携帯電話のデジタルカメラ機能で写真を撮影して送信することもシ ャッター音が鳴ると仮定すると不可能である。このシステムにより提示する画像は転送不 可情報の技術を利用しており、画像をメールに添付することはできないようになってい る。

携帯電話を用いた出席確認のために教室に来なければ得られない情報と本人しか知らな い情報を利用する方法がよく取られるが、このシステムでは「言語化しにくい画像」が教 室に来なければ得られない情報であり、アカウントIDとパスワードが本人しか知らない 情報である。

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AGENGOで防止できない不正出席の方法として、複数の携帯電話を所持した学生がロ

グインIDとパスワードを伝えて代返するという方法がある。こうした不正に対応するた めの防止策は必要とされている。

学生が携帯電話のWebブラウザを用いてAGENGOWebサーバーにアクセスしログ インした時に表示される画像は5種類である。5種類というと少ないと感じるが、正解画 像に類似した画像の枚数を4枚~7枚に変更して実験したところ、この枚数は正解画像の 説明しにくさに大きな影響を与えることがなかったので、5種類でも少ないことはない。

問題はこの5種類の画像を表示する順番である。出席登録する際に見えている5種類の画 像が誰の携帯からアクセスしても同じ順番で表示されたとすると、「何番目が正解画像だ よ」と出席していない生徒にどれが正解かを容易に伝えることができてしまう。そこでこ のシステムでは出席登録の画面にアクセスする度に画像を表示する順番をランダムに並べ 替えるように設計することで、画像の並び方の情報を伝えて不正出席する方法を防止して いる。

AGENGOに対する不正として、AGENGOWebサーバーにアクセスした際に表示さ

れた画像を保存して、授業に来ていない学生に送信するという方法があるが、その方法で の不正に対する対策をこのシステムは備えている。対策として、保存した画像をメールに 添付できないように設定すれば良い。携帯電話のキャリアにもよるが、転送不可情報とい う情報を画像単位で設定することが実現されている。転送不可情報とは、保存することは できるが保存した物をメール添付などで端末の外に転送することができないようになって いる情報である。

言語化しにくい画像とは類似画像が複数ある場合にそれらの中から本物を識別すること はできるが、どれが本物であるかを言語で直接画像を見ていない人に伝えることの難しい 画像である。

AGENGOを運用した際に起きた問題として、システム運営者のユーザー受講登録エラ

ー、教員のシステム操作ミスによる二重登録、ログインせずに出席登録を行おうとして起 きたエラー、携帯電話の電池切れなどのトラブル、難しい画像を用いたことにより正解画 像を直接みても識別できない、などがあった。画像を直接見ても識別できないのは大きな 問題であるが、その他の問題に関してはシステムに慣れていないから起こった問題だと考 えられる。

試験運用後のアンケートの結果では、「システムの操作が簡単だった」という意見が多 かった。教員のシステム操作ミスは時々起こったが、学生は携帯電話を日常的に扱ってお り操作に慣れているという点からも携帯電話を使う出席管理システムは使用者に合ったシ ステムだと言える。また、システム自体が簡単な操作のみで使用できるというのも良い点 であると言える。この様にシステムの操作性に関しては良かったが、画像が難しいという 理由でシステムを使いにくいと感じた学生は多かった。また、出席確認に掛かる時間につ いては多くの学生が短いと評価しており、出席確認に多くの時間を割いてしまうという従

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来の紙媒体での出欠確認方法の問題点を克服しているシステムだと言える。しかし、それ でも4,5分は出席管理にかかってしまう。

2.7.2 問題点の提示

このシステム一番の問題点は、特に言語化しにくい画像を使用すると正解画像を識別で きなくなるという点である。よって実際の講義での利用においては言語化しにくいが識別 は可能な画像を利用する必要がある。

また、転送不可情報を用いてメールで講義に来ていない学生に写真を教えることを防止 しているが、現在普及しているスマートフォンは多くの機種でスクリーンショット機能が 利用でき、正解画像をスクリーンショットで保存し講義に来ていない学生に正解画像を教 えることが可能である。よって現在の環境ではこのシステムでは不正を防ぎきれないと思 われる。

2.8 三重大学で用いられているIC学生カード出席システム 2.8.1 特徴

三重大学ではIC学生証を用いた出席管理システムが運用されている。使用する道具は IC学生証とPCと図 2-1のドコモ・システムズの非接触式カードリーダー/ライターWB- 1を用いる。教室の入り口や教卓に非接触式カードリーダー/ライターWB-1を設置してお き、IC学生証を入室する際に読み取ることで出席を登録することができる。

システムの使用方法を以下に説明する。

1) 教員は自分のカードを機器にかざすか教員コード(任意)を入力する。

2) 遅刻時間の設定をする。10分、15分、20分、25分、30分、設定しない、

から1つ選択する。

3) IC学生証の読み取りを開始する。(2)で設定した時間が経過した後に読み取った学 生は遅刻扱いとなる。

4) 読み取ったデータをファイル出力する。ファイル出力の方法は2種類あり、「csv 力」と「ftp転送」である。

このシステムはIC学生証を読み取った時間で「出席」と「遅刻」を判別することがで きる。また、教員カードをかざすかパスワードを入力することで早退者の記録をすること もできる。

このシステムでは出力したファイルを直接参照して成績評価をつけることもできる上 に、出力したファイルを別のシステムに読み取らせることで自動で出席記録をすることが できるため、拡張性が高いと考えられる。

2.8.2 問題点の提示

学生が友人間でIC学生証を貸し借りすることで容易に不正出席が行われることが問題 点である。

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図 2-1 非接触型カードリーダー/ライターWB-1

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第3章 Moodle

3.1 Moodleとは

Moodleとは、GNU GPL(General Public License)のもとでMoodle.orgからオープンソ

ースで提供されているeラーニングプラットフォームである(10)。Moodleという語は Modular Object-Oriented Dynamic Learning Environment(モジュラーなオブジェクト指 向ダイナミック学習環境)の頭文字をとった語であり、また動詞としての「ものぐさに徘 徊する、思い付いたことをする」といった意味も込められており、楽しみながらの作業が 学習につながるといいう開発の意図が込められている。現在234カ国で使われており、日 本語を含む7カ国の言語に翻訳されている。

Moodleは様々な授業で使用できる非常に汎用性に優れたシステムであり、その汎用性

を支えているのが、多く優れたモジュールまたはブロックなどの機能を拡張するプラグイ ンである。

教員が講義資料の配布やテストの実施、学生の課題を提出するなどの講義に関する機能 や教員と学生が、また学生同士がコミュニケーションをとれるシステムや共同で調査など といった従来から教室その他の教育現場で行われている活動を、コンピューターとネット ワークの力で支援することによって、対面講義を補完・補強するためのシステムである。

また、MoodlePHPで開発されているのでUNIX,Linux,Windows,Mac OS X,Solalis ど多くのOSで運用されている。さらにデータを格納するデータベースは多くのデータベ ースが対応しており主にMySQL,PostgresSQL,Oracl,SQLiteなどについてサポートしてい る。

3.2 Moodleのインストール手順

3.2.1 Moodle用のデータベースの作成

(1) mysql -u root -pとコマンド入力しmysqlにログインする。

(2) create database moodle default character set utf8 collate utf8_unicode_ci;とコマン

ド入力しmoodleというデータベースを作成する。3.2.3の説明ではmoodle3とし

てある。

(3) grant select, insert, update, delete, create, create temporary tables, drop, index, alter on moodle.* to root@localhost identified by ‘passwd’とコマンド入力しmoodleデー タベースのrootというユーザーに権限を与える。

3.2.2 Moodleのサーバー側でのインストール

1)cd /var/www/htmlとコマンドを入力し、/var/www/htmlに移動する。

2)git clone -b MOODLE_28_STABLE git://git.moodle.org/moodle.gitとコマンド入力 し、Moodleのパッケージファイルを取得する。この時、2xの部分は対応するバージョン を記入する(11)

3)chown -R root moodleとコマンド入力し、ウェブサーバーユーザー側からmoodle ファイルに書き込む事を不可能にする。3.2.3の説明では3度目のインストールの画像を用 いているため、ここでmoodleのパッケージファイル名をmoodle3と変更してある。

図 2-1 非接触型カードリーダー/ライターWB-1
図 3-4 データベース選択画面
図 3-5  データベース設定画面
図 3-10 インストール完了画面の1番下付近
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参照

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