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C-S-H 系硬化促進剤によるコンクリート中の空隙改質メカニズムの解明

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Academic year: 2021

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(1)

C-S-H 系硬化促進剤によるコンクリート中の空隙改質メカニズムの解明

AH15064 深澤 英将 指導教員 伊代田 岳史

1. 研究背景・目的

コンクリート製品の生産性や現場施工の効率を向上 する手段として混和剤を用いることがある.中でも硬 化促進剤は,寒冷地において初期凍害防止や初期強度 の発現を促すために用いられている.一般的な亜硝酸 系硬化促進剤は,セメント粒子からイオンの溶出を促 すことでセメントの水和反応を促進させ,強度発現を 早める.一方,本研究で用いた C-S-H 系硬化促進剤は,

カルシウムシリケート水和物(以下,C-S-H)のナノ粒 子を主成分としており,この粒子がコンクリート中に 存在することで,粒子周辺に C-S-H 水和物が生成する ことにより硬化が促進される.既往の研究により,

C-S-H 系硬化促進剤を添加したコンクリートにおいて

物質透過性を左右する空隙が緻密化すると報告されて いる

1)

本研究は C-S-H 系硬化促進剤を添加したコンクリー

ト中の空隙構造がどのようなメカニズムで改質される のかを解明することを目的として 2 つの実験を行った.

2. 空隙改質の境界値の把握 2.1実験概要

表-1にコンクリートの計画配合を示す.ここでは コンクリート中の空隙構造が大きく変化する境界値の 把握を行った.強度と物質移動抵抗性に寄与する空隙 構造は異なると想定し,圧縮強度試験,透気試験,空 隙率試験の 3 つを実施した.ここで,一般の硬化促進 剤をはじめとする混和剤はセメントに対して作用をす るため,セメント質量に対して添加量を決定するが,

この硬化促進剤はコンクリート中に C-S-H ナノ粒子を

C-S-H 水和物の生成核として存在させるため,単位水量

に対する濃度が重要であると考えた.そこで本研究で

は, C-S-H 系硬化促進剤を単位水量に対する添加率を変

動させた.

(1) 圧縮強度試験

供試体は φ100×200mm の円柱供試体であり,恒温恒 湿室(温度:20±1℃,相対湿度:60±5%)にて材齢 3 日, 7 日, 28 日間封緘養生を施し, JIS A 1108 に準拠し て実施した.

表-1 コンクリートの計画配合

W C S G 添加率

[W×%]

添加量 [kg]

添加率 [C×%]

0 0.0 0.0

5 8.5 3.0

10 17.0 6.0

15 25.5 9.0

0 0.0 0.0

5 10.0 3.0

874 976

200 333 817 912

W/C (%)

s/a (%)

air (%)

単位量[kg/m³] ACX

60 48 4.5

170 283

(2) 透気試験

供試体は, φ100×50 ㎜の円柱供試体を作製し,恒温恒 湿室で 7 日間封緘養生をした.供試体は質量が恒量と

なるまで 40℃の炉で乾燥させた.その後 0.2MPa の圧力

で空気を透過させ,その量を水上置換法よりメスシリ ンダーを用いて透気量を計測し,透気係数を算出した.

(3) 空隙率試験

透気試験を行った供試体を用いて乾燥質量を計測後,

真空飽水処理を行い,飽水質量と水中質量を計測した.

乾燥質量と飽水質量,水中質量を用いてアルキメデス 法より空隙率を算出した.

2.2 実験結果及び考察

図-1に材齢 7 日における空隙率と透気係数の関係

を示す. C-S-H 系硬化促進剤を 5%添加すると空隙率が

減少し透気係数は大きく改善された.しかし,添加率 をさらに上げても空隙率,透気係数はほとんど変化を しなかった.

図-2に透気係数と圧縮強度の関係を示す.5%添加 すると透気係数が大きく改善した. 10 %添加すると透 気係数はほとんど変化せず,圧縮強度のみ変化が確認 された.

以上のことから,C-S-H 系硬化促進剤は,5%添加で 物質移動抵抗性は改善がみられ,それ以上添加すると 圧縮強度に寄与することがわかった.つまり,添加率 5 %で物質移動抵抗性に影響を及ぼす空隙構造が大き く改質したといえる.

3. 骨材界面の空隙構造改質の検討

3.1実験概要

(2)

2の結果から空隙構造改質の境界値を添加率 5 %と 定めて物質移動抵抗性に影響を及ぼすとされる骨材界 面に形成される空隙に対して C-S-H 系硬化促進剤がど のように作用するかを検討した.コンクリートは異方 性を有することに着目し,異方向から透気試験を実施 し検討した.

図-3に本実験の透気試験概略図を示す.供試体は

150×150×150mm のコンクリートを作製した。恒温恒湿

室にて 7 日間封緘養生を行ったのち,打設面に対して 垂直及び直行方向にコアを採取した。その後,この供 試体を2.1(2)と同様に透気係数を算出した.また,

ブリーディング量を多くすると骨材界面の空隙が形成 されやすいと知られているため,単位水量 170kg/m

3

に 加えて単位水量 200kg/m

3

のコンクリートも打設した.

3.2 骨材界面の空隙構造改質の検討

図-4に異方性を加味した透気試験結果を示す.

C-S-H 系硬化促進剤を無添加時においてどちらの単位

水量のコンクリートも垂直方向より直行方向の透気係 数が大きい結果となった.一方, C-S-H 系硬化促進剤を 5%添加したコンクリートの透気係数は,垂直,直行方 向とも改善され,特に直行方向における透気係数の改 善が大きい結果となった.この傾向が骨材界面の空隙 が形成されやすいとされる単位水量 200kg/m

3

のコンク リートでも確認された.つまり, C-S-H 系硬化促進剤を 添加することで骨材界面の空隙構造が改質され緻密化 をしたことで打設面に対して直行方向での透気係数が 改善したと考える.

4. まとめ

(1)

C-S-H 系硬化促進剤を 5 %添加することでコンク リート中の空隙構造を大きく改質し,初めに物質 移動抵抗性に寄与する.

(2)

C-S-H 系硬化促進剤の添加によって骨材界面に存

在する径の大きな空隙構造が顕著に緻密化される.

(3)

今後の課題として,C-S-H 系硬化促進剤の持つブ リーディング抑制効果の影響も検討する必要があ る.

参考文献

1)

水野博貴,牛久保実梨,杉山知巳,伊代田岳史:C-S-H 系硬化促進剤がコンクリートの空隙改質に与える影響,

第 72 回セメント技術大会講演,2018

2)

荒木萌,田篭滉貴,伊代田岳史:ブリーディングに伴う 骨材界面の空隙が物質透過性に与える影響,土木学会第 73 回年次学術講演会,2018

添加率0%

添加率5%

添加率10%

添加率15%

0.0E+00 5.0E-04 1.0E-03 1.5E-03 2.0E-03 2.5E-03 3.0E-03

11.0% 11.5% 12.0% 12.5% 13.0% 13.5%

透気係数(㎝⁴/N・s)

空隙率

図-1 空隙率と透気係数

添加率0%

添加率5%

添加率10%

添加率15%

20 20.5 21 21.5 22 22.5 23

1.0E-03 1.5E-03 2.0E-03 2.5E-03 3.0E-03 圧縮強度(N/mm2)

透気係数(㎝⁴

/N・s)

図-2 透気係数と圧縮強度

50 φ100

[mm]

打設面 打設面

垂直方向 直行方向 150

150

垂直方向

直行方向

図-3 異方性を加味した透気試験概略図

0.E+00 5.E-04 1.E-03 2.E-03 2.E-03 3.E-03

0% 5% 0% 5%

透気係数(㎝⁴/N・s)

添加率 直行方向 垂直方向

単位水量

170kg/m3

単位水量 200kg/m3

図-4 異方性を加味した透気試験結果

Supported by BASF

ジャパン

(

)

参照

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