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学 位 論 文 審 査 結 果 の 報 告 書

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Academic year: 2022

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(1)学位論文審査結果の報告書 氏. 名. 生 年 月 日. 北畑 孝祐 平成 5 年. 本 籍(国籍) 学位の種類. (博士の学位). 28 日. 和歌山県 博. 士 (. 学位記番号 学位授与の条件. 11 月. 第. 薬 学) 172. 号. 学位規程第5条該当. 論 文 題 目 乾癬におけるケモカイン受容体CCR4のDC-Th17細胞相互 作用を介した病態形成機構についての研究. 学位論文受理日. 令和4年. 1月 13日. 学位論文審査終了日. 令和4年. 2月. 審 査 委 員. 指 導 教 員. (主 査). 藤原 俊伸. (副主査). 細見. 光一. (副主査). 中山. 隆志. 中山 隆志. 7日.

(2) 論 文. 内 容. の 要. 旨. CCR4 は Th2 細胞選択的な受容体として同定されたケモカイン受容体であり、CCR4 は Th2 細胞によって誘導されるアレルギー疾患において Th2 細胞の抹消組織への浸潤 に関わることが明らかにされている。現在、自己免疫疾患を始めとする Th17 疾患での Th17 細胞に発現するケモカイン受容体の病理的役割を明らかにする研究が進められて いる。CCR4 は Th2 細胞だけでなく Th17 細胞にも発現することから、CCR4 は Th17 細胞の炎症組織への浸潤にも関与する可能性が考えられる。しかしながら、代表的な Th17 疾患である乾癬などの病変部位では CCR4 リガンドは産生されないため、CCR4 の病理的役割については不明である。 近年、CCR4 は炎症組織への浸潤以外の病理的役割を持つ可能性が報告された。慢性 的な皮膚炎が起きている皮膚及び所属リンパ節において、CCR4 発現 T 細胞と CCL22 産生 DC からなる多数のクラスターの存在が報告された。また、申請者らのグループ は、メラノーマ担癌マウスにおいて、メモリーTh17 細胞と CCL22 発現 DC との相互作 用を介して CCR4 が Th17 細胞の増殖に寄与することを明らかにしている。そのため Th17 疾患においても CCR4 はリンパ節での DC-Th17 相互作用に関与する可能性が考 えられる。そこで、本研究では Th17 細胞上に発現する CCR4 の病理的役割を明らかに するため、代表的な Th17 疾患かつ CCR4 リガンドが病変部位で産生されない乾癬に着 目し、CCR4 の病理的役割について研究を進めた。 乾癬研究で広く用いられているマウスモデルはイミキモド(IMQ)誘発性乾癬モデルで ある。しかしながら、一般的なマウスモデルではヒト乾癬とは異なり、Th17 細胞は非 常に小さな集団でしかなく、乾癬病態を誘導する IL-17 産生細胞のほとんどは γδT 細 胞である。そこで、IMQ の塗布期間を延 することにより従来の短期感作モデルより Th17 細胞をより強く誘導できる IMQ 欠損マウスに IMQ. 期感作乾癬モデルを作製した。野生型と CCR4. 期感作乾癬モデルを発症させたところ、発症 14 日目の CCR4 欠. 損マウスの皮膚及びリンパ節で Th17 細胞と皮膚の Th17 関連サイトカインの mRNA 発 現及びタンパク量が有意に減少していた。これらの結果から CCR4 が皮膚及びリンパ節 で Th17 細胞応答に寄与することが明らかとなった。 次に、病変皮膚と所属リンパ節での CCR4 リガンドを測定した結果、病変皮膚部位で は CCR4 リガンドの発現の上昇は見られなかったが、リンパ節で CCR4 リガンドの一つ である CCL22 の顕著な上昇が確認された。そこで、乾癬においても同様に DC-Th17.

(3) 細胞クラスターが存在するか解析したところ、乾癬マウスの所属リンパ節で CCL22 を 産生する DC の周囲に IL-17 を産生するリンパ球様細胞が集積しクラスターを形成して いることが明らかとなった。また、このクラスター数を計測すると、野生型マウスに比 べて CCR4 欠損マウスでは有意にクラスター数が減少することが明らかとなった。さら に DC と CD4 細胞の共培養により誘導される Th17 細胞は CCR4 の選択的阻害剤 Compound 22 の存在下で抑制された。これらの結果より、CCL22-CCR4 系は乾癬病態 において Th17 細胞と CCL22 産生樹状細胞との相互作用を介して Th17 細胞の増殖に 関与することが示された。 さらに、野生型マウスと CCR4 欠損マウスに IMQ. 期感作乾癬モデルを発症させた. ところ、CCR4 欠損マウスでは発症 14 日目には有意に病態スコアが減少し、CCR4 が 乾癬病態の形成に寄与していることを示された。また IMQ 誘発性乾癬に加えて乾癬マ ウスモデルとして広く使用されている IL-23 誘発性乾癬においても CCR4 欠損マウスで は Th17 細胞応答が抑制され、乾癬病態が減少することが明らかとなった。この結果よ り、CCR4 が特定のマウスモデルに依存せず Th17 疾患の形成に普遍的に寄与すること が示された。続いて CCR4 の選択的阻害剤を使用して CCR4 を介した遊走を一過性に阻 害したところ、CCR4 阻害剤の投与は DC-Th17 細胞のクラスター形成を抑制し、Th17 細胞を減少させ、濃度依存的に乾癬病態を改善することが明らかとなった。 近年、乾癬患者の血清 CCL22 量が重症度と相関するだけでなく、一部の重症乾癬患 者の皮膚病変で CCL22 の発現上昇が報告されている。そこで、IMQ を感作させ乾癬を 発症させたマウスの耳介皮膚に CCL22 を、新規 DDS デバイスである親水性ゲルパッチ を用いて経皮的に投与し、皮膚組織で異所性に産生される CCL22 の役割を検討した。 その結果、CCL22 の投与により Th17 細胞の皮膚浸潤が増加し、乾癬病態が悪化するこ とが明らかとなった。この結果は一部のヒト乾癬病変部位でみられる CCL22 発現は、 CCR4 を介した Th17 細胞の皮膚浸潤を促進し乾癬病態の重症化に関与することを示唆 している。 以上、本研究により CCR4 は乾癬において主に DC-Th17 細胞相互作用を介して Th17 細胞の増殖に寄与することが明らかとなった。CCR4 はリンパ節における Th17 細胞増殖に関与することで他の乾癬以外の Th17 疾患の形成や免疫応答に関与する可能 性が示された。.

(4) 論 文. 審 査. 結 果. の. 要 旨. 本論文は、ケモカイン受容体 CCR4 の Th17 細胞応答における新たな病理的役割機能を見 出した論文である。 CCR4 は Th2 細胞選択的なケモカイン受容体として同定されたため、これまで Th2 型免 疫応答において炎症部位への浸潤に関与することが明らかにされている。また、CCR4 は近 年同定された新しい T 細胞サブセットである Th17 細胞にも選択的に発現することが報告さ れている。CCR4 は Th2 細胞だけでなく Th17 細胞の炎症部位への浸潤に関与する可能性が 考えられるが、乾癬など一部の Th17 疾患では炎症部位で CCR4 リガンドが産生されておら ず、CCR4 の Th17 細胞応答を介した乾癬における病理的役割はこれまで不明である。一方 で近年我々の研究室では、CCR4 が抗腫瘍免疫において、リンパ節での樹状細胞(DC)とメモ リーTh17 細胞のクラスター形成を促進することで Th17 細胞増殖に寄与することを明らか にしている。そのため Th17 疾患においても同様に CCR4 はリンパ節での DC-メモリー Th17 細胞との相互作用を介した Th17 細胞増殖に寄与することが示唆された。そこで申請 者は CCR4 の Th17 疾患における病理的役割の解明を目的に、乾癬モデルを用いて CCR4 の 寄与について解析を行っている。 まず最初に申請者は、イミキモド(IMQ)を 6 日間マウス皮膚に塗布する標準的な乾癬モデ ルマウスを用いて野生型マウスと CCR4 欠損マウスとで Th17 細胞応答の比較解析を行って いるが、これらの間で有意な差は見られなかった。そこで申請者は Th17 細胞の誘導期間に 注目し、IMQ の塗布期間を延. することで Th17 細胞優位な新規の乾癬マウスモデルを作成. している。次に新規乾癬モデルを用いて再度 CCR4 の Th17 細胞応答を評価し、CCR4 欠損 マウスでは Th17 細胞応答が抑制されることを見出している。また、リンパ節での DCTh17 相互作用について解析を進め、乾癬様皮膚炎のリンパ節で CCR4 が DC とメモリー Th17 細胞のクラスターの形成を促進することで Th17 細胞増殖に寄与することを示してい る。さらに CCR4 を介して誘導された Th17 細胞応答が IMQ 誘発性の乾癬様皮膚炎形成に 関与することが明らかにしている。続いて CCR4 の選択的阻害剤の投与によっても、Th17 細胞応答が抑制され乾癬様皮膚炎が改善されることを明らかにしている。最後に重症乾癬患 者の皮膚組織で CCL22 発現が上昇することに注目し、重症の乾癬患者においては、Th17 細 胞が CCR4 を介して直接皮膚へ浸潤する可能性を示している。 以上より、本論文は、ケモカイン受容体 CCR4 が、従来から知られていた Th17 細胞の皮 膚浸潤だけでなく、所属リンパ節において Th17 細胞を増幅させることで乾癬の病態形成に 極めて重要な役割を果たすことを明らかにしている。 以上、本論文は Th17 細胞が関与するその他の疾患への応用も期待できる重要な知見であ り、博士論文の要件を十分に満たすものである。.

(5) (課程・論文). 博士学位論文最終試験結果の報告書 令和 4 年 2 月 10 日. 審. 査. 委. 員. 学位申請者氏名 論. 文. 題. 目. 主 査. 藤原 俊伸. 副主査. 細見 光一. 副主査. 中山 隆志 北畑 孝祐. 乾癬におけるケモカイン受容体 CCR4 の DC-Th17 細 胞相互作用を介した病態形成機構についての研究. 博士学位論文最終試験は、令和 4 年 2 月 7 日に博士論文の口頭発表の形式で行わ れた。申請者はそつなく口頭発表を行い、質疑応答に関しても適切に対応すること ができた。また、博士論文についても論理性、研究方法、実験結果およびその考察 いずれも適切であると判断された。本研究は、ケモカイン受容体 CCR4 が、従来か ら知られていた炎症細胞の皮膚浸潤だけでなく、所属リンパ節においてこれらの炎 症細胞を増幅させることで乾癬の病態形成に極めて重要な役割を果たすことを明ら かにしている。これらの研究成果は、所属リンパ節でのエフェクター細胞増幅を標 的とした新規治療薬を開発する上で有用な情報を提供するものである。 以上、本申請者は最終試験に合格と判定しました。.

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