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細粒分を含む砂質土の液状化強度に及ぼす相対密度の影響

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Academic year: 2022

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0 20 40 60 80 100

0.001 0.01 0.1 1

試料1(Fc=0%) 試料1a(Fc=5%) 試料1b(Fc=10%)

通過質量(%)

粒 径 (mm)

図‑1  試料の粒径加積曲線

表‑1 試料の物理特性

試料名 Fc (%)

ρs  (g/cm3)

D50

(mm) Uc ρdmin (g/cm3)

ρdmax

(g/cm3) emax emin 試料1 0 2.648 0.169 1.44 1.280 1.629 1.106 0.655 試料1a 5 2.648 0.165 1.68 1.310 1.666 1.058 0.618 試料1b 10 2.648 0.158 2.36 1.314 1.746 1.052 0.544

1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 2.2

0 5 10 15

最小乾燥密度(中大法)

最大乾燥密度(中大法)

最小乾燥密度(JIS法)

最大乾燥密度(JIS法)

最小・最大乾燥密度 (g/㎝3)

細粒分含有率 Fc(%)

試料1a 試料1b

試料1

図‑2 最小・最大乾燥密度−

Fc

関係

キーワード:液状化,砂質土,三軸試験,相対密度,細粒分含有率

連絡先:〒112-8551 東京都文京区春日

1-13-27

中央大学理工学部 Tel:03-3817-1799 / Fax:03-3817-1803

細粒分を含む砂質土の液状化強度に及ぼす相対密度の影響 

中央大学理工学部 正会員○原 忠, 國生 剛治 学生員 村端 敬太, 森山 豊  

1.はじめに 

 近年,地震時に生じる地盤の液状化現象は,きれいな砂のみならず,細粒分を含む砂質地盤や均等係数の 大きい砂礫地盤においても生じることが報告されている 1),2).従来,砂質地盤の液状化強度は細粒分含有率 の増加とともに大きくなるという考え方が一般的であったが,密度の緩いシルト質地盤では均等係数の小さ い砂同様に液状化しやすいことが近年の知見として認識されるようになってきた 3).このような土質の液状 化強度を求めた研究は既にいくつかの報告が見られる4),5),6),7)が,相対密度が細粒分を含む砂質土の力学特性 に及ぼす影響を系統的に調べた事例は多くはみられない.

 本報では,均等係数の小さい河床砂にほぼ非塑性な細粒分を配合した試料について,供試体径

100

㎜,高 さ

200

㎜の中型三軸試験機を用いた非排水繰り返し三軸試験を行う.これらの試験結果に基づき,相対密度 の違いが細粒分含有率の異なる砂質土の液状化強度に及ぼす影響を検討する.

2.試験材料 

  図‑1に本研究で用いた試料の粒径加積曲線を示す.試料は 豊浦砂とほぼ等しい粒度組成を有する利根川砂試料

1

8)に,塑 性指数

I

P

6

程度のほぼ非塑性なまさ土細粒分を,細粒分含

有率

Fc

5%, 10%になるよう粒度調整した室内調整砂であ

る.これら試料の物理特性を表‑1に示す.

 供試体の相対密度は,各試料の最小・最大乾燥密度に基づ き計算する.地盤工学会基準で定められた標準試験法9)では,

Fc

5%以上の試料は適用範囲外とされているが,ここでは

各試料とも砂〜砂礫まで幅広い粒度分布を有する試料に適用 可能な最小・最大密度試験法(中大法)10)により設定した.

図‑2に各試料の最小・最大密度を細粒分含有率との関係で 整理する.ここでの最小・最大密度は,各試料について最小 密度試験については

10

回,最大密度試験については

5

回繰り 返した結果の平均値をまとめたものである.これより,各試 料の最小・最大密度は,細粒分含有率が

10%程度までは Fc

の増加とともに大きくなることがわかる.同図中には

JIS

法 により求めた同様な関係を示すが,中大法とはやや値が異な るものの,定性的には類似の変化傾向を示している.

3.液状化試験 

 供試体は別途用意した容器内において試料を含水させた後 モールド内で一定に締固めるウエットタンピング法 8)により 作成し,各試料の相対密度は

Dr≒30%, 50%, 70%程度になる

よう調整した.各供試体とも

B

値が

0.95

以上になることを確認し,有効拘束圧

98kPa

1〜2

時間程度等方 圧密したのち,0.1Hzの正弦波軸応力を非排水条件で加えて行った.

土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

‑465‑

3‑233

(2)

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

1 10 100 1000

試料1  (Fc=0%, Dr=69〜70%) 試料1a (Fc=5%, Dr=64〜71%) 試料1b (Fc=0%, Dr=65〜72%)

繰り返応力比 σd/2σc'

繰り返し載荷回数 Nc (DA=5%) ウエットタンピング法

σc'=98 kPa Dr≒70%

図‑3 液状化強度曲線

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

0 20 40 60 80 100

試料1  (Fc=0%) 試料1a (Fc=5%) 試料1b (Fc=10%)

り返し応力比 RL20

相対密度平均値(%)

ウエットタンピング法 σc'=98 kPa

DA=5%

図‑4  繰り返し応力比−相対密度関係

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

0 5 10 15

Dr≒30%

Dr≒50%

Dr≒70%

黄ら,Toyoura+Silt 佐藤ら,Toyoura+DLClay

返し応力比 RL20(DA=5%)

細粒分含有率 Fc(%) ウエットタンピング法

σc'=98 kPa

試料1 試料1a 試料1b

黄ら4),Dr≒50%

佐藤ら5),Dr≒65%

図‑5 繰り返し応力比−Fc関係   図‑3 に細粒分含有率の異なる試料の

Dr≒70%供試体につ

いて得られた液状化試験結果を,両振幅軸ひずみ

DA

5%

に至るまでの繰り返し載荷回数Ncと繰り返し応力比σd

/2σ

c

の関係で示す.これより細粒分を含む試料

1a, 1b

Fc=0%の

試料

1

に比べ供試体の乾燥密度は大きいが,液状化強度は逆 に小さく得られていることがわかる.

図‑4 は繰り返し三軸試験により得られた液状化試験結果 に基づき,試料の相対密度と

DA=5%に至るまでの Nc=20

に 対する繰り返し応力比

R

L20 との関係をまとめたものである.

ここでの

Dr

は各試料のある程度のばらつきを平均化して示 している.これより細粒分を含む試料の

Dr

の増加に伴う繰 り返し応力比の変化傾向は,

Fc

がいずれの場合も試料

1

に比 べ小さく,密な供試体ほどその差が広がる様子が伺える.

図‑5 に細粒分含有砂の非排水繰り返しせん断試験結果を,

試料の細粒分含有率と

R

L20との関係をまとめる.Dr≒50%供 試体の試料

1a

の強度がやや小さいが,Drがいずれの場合も 細粒分含有率の増加が液状化強度の増加につながるという一 般的概念とは異なり,細粒分を含む試料の液状化強度が最も 小さくなる全体的傾向が読みとれる.また

Dr≒70%供試体で

は,

Fc=5%の試料 1a

において

R

L20が試料

1

6

割程度まで減 少しており,Fc=10%の試料

1b

においてもほぼ同程度の低い 繰り返し応力比を示している.同図中には既往の研究 4),7)よ り得られた非塑性シルトを含む砂質土の同様の関係を示す.

相対密度の設定方法が異なるため単純な比較は行えないが,

細粒分含有率が 5%以上の範囲において

Fc

の増加とともに

R

L20が低下する定性的傾向は類似している.

以上の実験事実から,非塑性細粒分を含む砂質土の液状化 強度は,本研究で得られた細粒分含有率の範囲では

Fc=0%の

砂に比べて小さく,

Dr≒70%程度の密な供試体においても Fc

の増加とともに液状化強度が低下傾向を示すと予想される.

4.結 論 

 相対密度をパラメーターとしたほぼ非塑性な細粒分を含む砂質土についての三軸試験結果から,以下の主 要な知見が得られた.(1) 細粒分を

5〜10%含む砂質土は,Fc=0%の砂に比べ供試体の乾燥密度が大きいが,

液状化強度は逆に小さな値を示す.

(2)

細粒分含有砂の相対密度の増加に伴う繰り返し応力比の変化傾向は,

Fc=0%の砂に比べ小さく,密な供試体ほどその差が広がる.(3)

本研究で得られた範囲では,砂質土の液状

化強度は相対密度がいずれの場合も細粒分含有率の増加とともに減少傾向を示す.

 

【参考文献】  

1) 森伸一郎,沼田淳紀, 境野典夫, 長谷川昌弘:埋め立て地の液状化で生じた噴砂の諸特性, 土と基礎, Vol.39-2, No.397, pp.17-22, 1991. 2) Kokusho, T., Tanaka, Y.,

Kawai, T. et al.: Case study of rock debris avalanche gravel liquefied during 1993 Hokkaido-Nansei-Oki earthquake, Soils and Foundations, Vol.35, No.3, pp.83-94, 1995. 3) 沼田淳 紀,森伸一郎:噴砂の粒度組成, 土木学会論文集, No.722/Ⅲ-61, pp.129-147, 2002. 4) 古関潤一, 石原研而, 藤井光久:細粒分を含む砂の三軸液状化試験, 21回土 質工学研究発表会発表講演集, pp.595-596, 1986. 5) 黄大振, 柳沢栄司, 菅野高弘:シルトを含む砂のせん断特性について, 土木学会論文集 No.463/Ⅲ-22, pp.25-33,

1993. 6) 桑野二郎, 飯村博忠, 中沢博志, 杉原弘一:カオリンを含む砂の液状化強度, 土木学会第50回年次学術講演会講演概要集, pp.506-507, 1995. 7) 佐藤正行,

野匡寛, 風間秀彦, 小瀬木克己:細粒分が埋立地盤の液状化特性に及ぼす影響に関する基礎的研究, 土木学会論文集, No.561/Ⅲ-38, pp.271-282, 1997. 8) 原 忠, 國生 剛治:砂礫の液状化強度および液状化後の非排水せん断強度に及ぼす粒度分布の影響, 土木学会論文集 No.645/Ⅲ-50, pp.245-253, 2000. 9) (社)地盤工学会:土質 試験の方法と解説, 8砂の最小・最大密度試験, pp.136-145, 2001. 10) 國生剛治, 原 忠:礫質土の最大・最小密度試験法の検討, 52回土木学会年次学術講 演会講演概要集, pp.20-21, 1997.

土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

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参照

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