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セメント混合により年代効果を再現した砂の液状化強度特性

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Academic year: 2022

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セメント混合により年代効果を再現した砂の液状化強度特性

九州大学大学院 学生会員○児玉 聡 フェロー 善 功企 正会員 陳 光斉 正会員 笠間 清伸

1. はじめに

平成17年3月20日に発生した福岡県西方沖地震では,博多湾の沿岸部の多くの地点において地盤の液状化が 観測され,構造物の被害も認められた.本文では,博多湾沿岸部に位置する,福岡市中央埠頭と海の中道海浜公 園「光と風の広場」から採取した砂を用いて,セメント添加による年代効果の再現を試み,沿岸部と内陸部の液 状化強度の差異を生み出したと考えられる年代効果について考察を行う.

2. 実験内容および結果

2.1 物理特性

試料は,福岡市中央埠頭と海の中道海浜公園「光と風の広場」

の墳砂跡から採取したものを用いた(以降,中央埠頭砂,海の中道 砂と呼ぶ).2つの試料を粒径2mmでふるい分けを行い,供試体を 作製した.中央埠頭砂と海の中道砂の物理試験結果を表-1に示す.

この表に示すように,中央埠頭砂,海の中道砂ともに,土粒子の 密度ρおよび最小密度ρmin,ρmaxは,豊浦硅砂の値とほぼ変わら ず,土粒子の一般的な値であるといえる.図-1 に示す粒径加積曲 線から,海の中道砂は比較粒度の揃った中粒~細粒砂で,港湾の 技術基準1)に照らし合わせてみると,特に液状化しやすい砂である.

一方,中央埠頭砂は海の中道砂に比べると粒度に幅があり,液状 化しにくい砂であるといえる.

-1 海の中道砂と中央埠頭砂の物理試験結果 豊浦硅砂 海の中道砂 中央埠頭砂 土粒子密度ρs(g/cm3) 2.640 2.621 2.784

最小密度ρmin(g/cm3) 1.332 1.365 1.326 最大密度ρmax(g/cm3) 1.646 1.653 1.667

図-1 粒径加積曲線

0 20 40 60 80 100

0.001 0.01 0.1 1 10 100

中央埠頭砂 海の中道砂 豊浦硅砂

通過質量百分(%)

粒径(mm) 特に液状化の可能性あり

2.2 一面せん断特性

中央埠頭砂にセメントを添加したさいのせん断特性を評価する ために,圧密定圧一面せん断試験を行った.供試体の寸法は直径

6cm,高さ2cm とし,相対密度は60%に調整した.砂の乾燥重量

に対し,セメントを所定の量添加し,7日間水中養生を行った.表 -2 に各セメント添加率に対するせん断強度を示す.セメント添加 率が大きくなるにつれ,粘着力が増加し,内部摩擦角が減少する 傾向を示した.

表-2 一面せん断試験結果(中央埠頭砂) セメント添加率(%) 粘着力cd(kPa) 内部摩擦角φ(°)

0 2.89 48.1

1 7.93 39.6

3 14.26 37.9

5 39.33 39.7

2.3 液状化強度特性

試料にセメントを添加したさいの液状化強度特性を評価するた めに,繰返し非排水三軸試験を行った.供試体の寸法は,直径5cm,

高さ10cmで,相対密度が60%になるように調整した.砂の乾燥重 量に対し,セメントを所定の量添加し,7日間水中養生を行った.

炭酸ガスや脱気水,および二重負圧法を用いて飽和度を上げた後,

供試体に100kN/m2の有効拘束圧をかけ,約30分圧密させた後,繰

返し載荷を行った.同一の有効拘束圧のもとで,繰返し応力振幅

比を適切に変化させて実験を行い,液状化強度曲線を決定した.

図-2 液状化強度曲線(中央埠頭砂)

0.1 1 10 100 1000

図-2 は中央埠頭砂の液状化強度曲線を示したものである.セメ ント添加率が大きくなるにつれ,液状化強度が増加するのが見て

0 0.1 0.2 0.3 0.4

返し応力振幅比 σ d/2σ' 0

繰返し載荷回数 Nc

中央埠頭砂 σ0'=100kN/m2 DA=2%

c=0%

c=3%

c=1%

未改 1%改 3%改

DA=1%

DA=2%

DA=5%

Nu95

土木学会西部支部研究発表会 (2009.3) III-020

-403-

(2)

とれる.また,DA=2%,Nc=20 回で液状化を定義した場合,セメ

ント1,3%添加時の液状化強度はセメント無添加時のそれぞれ1.03

倍,1.72倍となった.

0.18 0.2 0.22 0.24 0.26 0.28 0.3 0.32 0.34

0 5 10 15

粘着力cd(kN/m2)

繰返し応力振幅比 σd/2σ'0 Cd-σd/2σ'0曲線

Nc=20回 D A=2%

中 央埠頭 砂

c=0 %

c =3%

c=1 %

3. 年代効果の再現結果

図-3 に中央埠頭砂における粘着力と繰返し応力振幅比の関係を 示す.粘着力8kN/m2 付近から急に繰返し応力振幅比が大きくなっ た.この結果を澤田らの研究結果2)を元に作成したグラフにプロッ トしてみると,図-4 のようになる.図より粘着力が比較的小さい 段階で液状化強度が高くなり,その後はゆるく上昇していく傾向 を示すことが分かる.また,図-5に既往の研究2)5)6)を用いて作成し た堆積深度と液状化強度増加率の関係を示す.堆積深度が深くな るにつれ,液状化強度増加率も大きくなるのが分かる.図-6 は,

既往の研究2)~6)および海の中道砂と中央埠頭砂の繰返し三軸試験 結果を用いて,堆積年代と液状化強度比の関係を示した図である.

これらの関係を用いて,セメント添加による年代効果の再現の程 度を評価した.本研究で行った,海の中道砂および中央埠頭砂に よる年代効果再現実験では,DA=2%,Nc=20 回で液状化を定義し た場合の改良砂の液状化強度と未改良砂の液状化強度の比は,海 の中道砂がセメント1%,3%改良砂それぞれ未改良砂の1.03,1.18 倍,また中央埠頭砂は,セメント 1%,3%改良砂それぞれ未改良 砂の1.03,1.72倍であった.図-6よりセメント1%の場合,両試料 とも約100年,セメント3%の場合,海の中道砂が約580年,中央 埠頭砂が約55000年の年代効果を再現していると推察される.

図-3 粘着力と繰返し応力振幅比の関係①

0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 0.55

0 10 20 30 40 50 60 70

粘着力cd(kN/m2) 繰返し応力振幅比 σd/2σ'0

Cd-σd/2σ'0曲線 Nc=20回 DA=2%

澤田ら(2006)

セメント3%添加 セメント1%添加 未改良

中央埠頭砂

図-4 粘着力と繰返し応力振幅比の関係②

1 1.5 2 2.5 3

0 5 10 15 20

液状化強増加率 Rd'/Rd

Rd:再構成試料の液状化強度 Rd':原位置採取試料の液状化強度

深度(m)

澤田ら(2006) 後藤ら(1999) 太田ら(1993)

4. まとめ

試料にセメントを混合すると,粘着力とともに液状化強度が増 加するが,その増加割合は粘着力が小さいときほど大きい.また,

堆積年代と液状化強度増加率には一定の相関関係があり,若干の セメント混合により完新世~更新世程度の年代効果の再現が可能

であるといえる. -5 堆積深度と液状化強度増加率の関係

完新世 更新世 鮮新世

<参考文献>

1 1.5 2 2.5 3

10 102 103 104 105 106 107

1)(社)日本港湾協会:港湾の施設の技術上の基準・同解説,1988. 2)澤田亮

ら:年代効果が洪積砂地盤の液状化強度に及ぼす影響,RTRI REPORT vol20,No.5,pp35~40,2006.3)関眞一ら :鎌倉市由比ヶ浜の遺跡におけ る液状化の痕跡の現地調査と液状化履歴砂の時間効果,土木学会第47 年次学術講演会,pp29229319884)堀智仁ら:凍結サンプリング試料 と再構成試料のせん断波速度と液状化強度,土木学会北海道支部論文報告 集,No.58pp526~52920025)太田直之ら:凍結及び再構成砂礫供試体 の動的強度特性の比較,土木学会第48回年次学術講演会,pp482~483,1993.

6)後藤茂ら:凍結試料による江戸川砂の液状化特性と試料の健全性の検 討:土木学会第54回年次学術講演会,pp196~1971999

関ら(1992) 澤田ら(2006) 堀ら(2002) 太田ら(1993) 後藤ら(1999) Rd:再構成試料の液状化強度 Rd':原位置採取試料の液状化強度

液状化強度増加率 R d'/R d

堆積年代(年)

セメント3%添加 セメント1%添加 海の中道砂

セメント3%添加 セメント1%添加 中央埠頭砂

図-6 堆積年代と液状化強度増加率の関係 土木学会西部支部研究発表会 (2009.3) III-020

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参照

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