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応用力学論文集Vol.12 (2009年8月) 土木学会

地盤材料の諸特性の簡単且つ統一的なモデリング

-密度、ボンディング、時間効果特性を例として-

Simple and unified method for describing various characteristics of geomaterials - Influences of density, bonding, time effects and others -

中井照夫*・Hossain Md. Shahin**・菊本統***・京川裕之****・張 鋒* Teruo Nakai, Hossain Md. Shahin, Mamoru Kikumoto, Hiroyuki Kyokawa, and Feng Zhang * 工博名古屋工業大学教授都市社会工学科(〒466-8555愛知県名古屋市昭和区御器所町)

** 工博名古屋工業大学准教授都市社会工学科(〒466-8555愛知県名古屋市昭和区御器所町)

*** 工博名古屋工業大学助教都市社会工学科(〒466-8555愛知県名古屋市昭和区御器所町)

**** 工修 名古屋工業大学大学院社会工学専攻博士後期課程(〒466-8555愛知県名古屋市昭和区御器所町)

A simple and sophisticated method to take into consideration various soil properties such as influences of density, bonding and time effects in constitutive modeling is presented. The influence of density is considered by introducing a state variable ρ which is the difference between the current void ratio and that on normally consolidation line (NCL). To describe the stress-strain behavior of structured soils, attention is focused not only on the state variable ρ related to the density but also on the state variable ω related to bonding effects, because it can be considered that the soil skeleton structure in a state which is looser than that of a normally consolidated soil is formed by bonding effects. Furthermore, to describe simply time-dependent behavior and other behaviors – e.g., temperature effects and unsaturated soil, another state variable ψ which control the position of NCL is introduced. Though basic ideas to describe these soil properties are shown in one-dimensional condition, the extension from one-dimensional model to three-dimensional model is possible using the tij concept.

Key Words: Constitutive model, density, bonding, time effect キーワード:構成式, 密度、ボンディング、時間効果

1. はじめに

地盤材料の力学モデルは実際の地盤の変形・破壊挙動の予測 に使えることを前提に開発する必要がある。したがって、限ら れた材料で限られた条件下だけで構築・検証したモデルではそ の適用は自ずと限られる。今から約60年前に提案されたCam clay model1)はそれまで別々に考えられていた圧密とせん断の基 本的な現象を同一土俵で説明できる画期的なモデルであった。

しかし、Cam clay modelが適切に説明できるのは三軸圧縮条件 下の練返し正規圧密粘土の非時間依存性挙動に限られる。その 後、Cam clay modelのこの限界を超えるべく多くのモデルが提 案されたが、その多くは非常に複雑である上に適用範囲が限ら れるものである。例えば、Cam clay modelが説明できなくて、

構成モデルが考慮すべき特性としては以下の項目が考えられる。

(1) 変形・強度特性におよぼす中間主応力の影響 (2) 塑性流動方向の応力経路依存性

(3) ひずみ硬化中の正のダイレイタンシー

(4) 応力誘導異方性を含む繰返し載荷特性

(5) 変形・強度特性におよぼす密度/拘束応力の影響 (6) 構造を持った自然堆積土の挙動

(7) 固有異方性 (8) 時間効果特性 (9) 不飽和土特性 (10) 温度効果 (11) 粒子破砕等

これまでに、修正応力tijの概念2)を使うことにより特性(1)を、

降伏関数やひずみ硬化パラメーターは1つであるものの塑性ひ ずみ増分を関連流動則成分と等方的な成分に分ける3)ことによ

り特性(2)を、橋口による下負荷面4)の考え方を導入することで

特性(3), (5)を考慮できるモデル(subloading tij model)5)を提案して いる。更に、浅岡ら6)による上負荷面の考え方からヒントを得

て特性(6)も考慮したモデルに拡張している。

本論文では、上述のモデル化法を含め、地盤材料の諸特性を 応用力学論文集 Vol.12, pp.371-382  (2009年8月) 土木学会

(2)

統一的な見方でモデル化する方法を、初学者でも理解しやすい ようにまず1次元問題として解説する。特に、間隙比の違いす なわち密度/拘束応力の影響のモデル化、ボンディングを考える ことによる自然堆積土の特徴のモデル化、そして時間効果特性 を従来の粘塑性論とは異なる方法でモデル化する方法について 紹介する。その後に、1次元モデルをtijの概念を使って多次元モ デルに拡張する方法を述べる。

2. 正規圧密土の初期型弾塑性論による説明

1次元圧密時の練返し正規圧密粘土では、ひずみ~応力間で はなく、間隙比(e)~応力(lnσ)間で図-1示す直線関係が与えら れる。ここでは、図-1の間隙比~応力関係に弾塑性論的な解 釈を与える。同図において、I 点 (σ=σ0, e=e0)は初期状態を、P 点 (σ=σ, e=e)は現在の状態を表し、eN0およびeNは初期応力およ び現応力における正規圧密線(NCL)上の間隙比を意味する。また、

λ, κはそれぞれ圧縮指数および膨潤指数を表す。初期応力から 現応力までの応力が変化したとき、間隙比変化 (-Δe)およびその 弾性成分 (-Δe)eは次式となる。

0 0

(−Δ =e) e − =e eNeN (1)

0

( e)e κlnσ

−Δ = σ (2)

したがって、間隙比の変化量の塑性成分(不可逆成分)は

0 0

( e)p ( e) ( e)e λlnσ κlnσ

σ σ

−Δ = −Δ − −Δ = − (3)

で与えられる。ここに、Fを応力の関数、Hを塑性的な間隙比変 化(ひずみ硬化パラメーター)として

0

( ) ln

F λ κ σ

= − σ (4)

( )p

H= −Δe (5)

と定義すると、(3)式は次式のように書き改められる。

or 0

F=H f = −F H= (6)

これをFH関係のグラフで説明すると、図-2に示すように勾 配1の直線関係を満たしながら塑性的な間隙比変化が起こるこ とを意味する。ここに、適応条件 (df=0)より

( )d ( )p 0 df dF dH λ κ σ d e

= − = − σ − − = (7)

したがって、間隙変化の塑性増分は次式で与えられる。

( )

( )p d

d e λ κ σ

− = − ⋅ σ (8)

弾塑性論的に間隙比~応力関係を増分形表示すると、(2)式と(8)式 の和として次式のようになる。

( )

{ }

( ) ( )p ( )e d

d e d e d e λ κ κ σ

− = − + − = − + σ (9)

通常、1次元であっても応力とひずみ間で構成モデルをつくるが、

ここでは、図-1に示すように応力と間隙比間の関係式を基本と して考えるため

3. 過圧密土の発展型弾塑性論 (stage I) によるモデル化7)

実務では初期型弾塑性論のように正規圧密状態では弾塑性挙 動、過圧密状態では弾性挙動と割り切ることが多いが、実際には 過圧密粘土であっても弾塑性挙動を示す。すなわち、繰返し載荷 をするとひずみは蓄積するし、過圧密土の挙動が圧密降伏応力で 弾性から弾塑性挙動に急に変わるわけでもない。また、せん断時 に過圧密土が弾塑性挙動をすることはよく知られている。図-3 は過圧密粘土のe~lnσ関係を模式的に示している。ここに、NCL

(正規圧密線)からの距離ρを密度の状態変数として定義する。いま、

図-4に示すように、初期状態I点(σ=σ0で間隙比をe0現状態P 点(σ=σで間隙比e)とすると、その間の間隙比の変化量の塑性成分 は次式で表せる(ここに、(-Δe)=e0-eでその弾性成分は(2)式で与えら れる)。

{

0 0

}

0

0 0

( ) ( ) ( )

( ) ( ) ( )

ln ( ) ln

p e

e

N N

e e e

e e ρ ρ e

σ σ

λ ρ ρ κ

σ σ

−Δ = −Δ − −Δ

= − − − − −Δ

= − − − (10)

(4), (5)式で与えられているF, Hを使って表すと、(10)式より次式 の降伏関数が得られる。

{ }

0 or ( 0 ) 0

F+ =ρ Hf = −F H+ ρ −ρ = (11)

F

H 0

1 1 F

H

F

F

H 0

1 1 F

H

F

図-2 正規圧密土のF~H関係

NCL e ln

e0=eN0

e=eN P

I

0

1

1 (-e)(- e)p

(-e)e

図-1 正規圧密粘土(NC clay)の間隙比変化

図-3過圧密粘土の間隙比 (e)~lnσ関係

図-4過圧密土の間隙比変化

(3)

適応条件 (df=0)より、

{ }

{ }

( ) ( )p 0

df dF dH d

d d e d

ρ

λ κ σ ρ

σ

= − −

= − − −Δ − = (12)

いま、ρは塑性変形に伴い、小さくなり最終的にゼロになると仮 定する。そして、同じ塑性変形でもρが大きいほどその変化が大 きくなると考えると、その増分dρ(発展則)はG(0)=0を満たす 単調増加関数G(ρ)を使って次式で与えられる。

( ) ( )p

dρ= −Gρ ⋅ −d e (13)

これは図-5F~(H+ρ0)関係で言えば、塑性変形に伴い実線で 表した過圧密土の関係が破線で示した正規圧密土の関係に近づ くことになる。その結果、塑性間隙比増分は(12), (13)式から

( )

1 ( )

p d

d e G

λ κ σ ρ σ

− = − ⋅

+ (14)

と表され、間隙比増分~応力増分関係は(2), (14)式を使って次式で 与えられる。

( ) ( ) ( )

1 ( )

p e d

d e d e d e

G

λ κ κ σ

ρ σ

⎧ − ⎫

− = − + − =⎨⎩ + + ⎬⎭ (15)

(14)式あるいは(15)式から分かるように、ρの減少によりρ=0とな った後はG(ρ)=0なので練返し正規圧密土と同じ挙動をする。

4. 自然堆積土の発展型弾塑性論 (stage II) によるモデル化7)

自然堆積粘土は長年の自然の営み等によって圧縮特性におい ても、練返し粘土と異なる。自然堆積粘土では初期の間隙比が練 返した正規圧密粘土の正規圧密線よりも小さくても、載荷により 正規圧密線より間隙比が大きい状態になり、その後の載荷により 急激な圧縮が起こり正規圧密線に収束する特性が見られる(図-

6の実線)。その結果、擬似的な圧密降伏応力の増加がみられ、

圧縮指数も見掛け上練返し粘土のそれと異なることもよく知ら れている。このような練返し粘土の挙動を記述する簡単且つ一般

性のある方法を述べる。

自然堆積粘土は練返し粘土と異なる力学挙動を示すのはその 構造化(嵩張り)6)によると言われているが、この構造化は広い 意味のボンディング効果によってできると考える。すなわち、ボ ンディングは密度効果(ρ)同様、同じ応力状態にあっても土の 剛性を大きくする効果があるといえる。これは見かけ上密度を更 に大きくするのと同じと考え、ボンディングを仮想上の密度増加 (ω)で置き換える。その結果、図-7に示すように、初期間隙比が図

-4の過圧密粘土と同じであっても、ボンディング効果によってその 剛性が大きくなるため、間隙比の減少量は過圧密粘土(破線の矢印)

よりも小さくなる(実線の矢印)。

図-8は自然地積土のF~(H+ρ0)関係を示している。ボンディン グ効果ωの消失が早いときは図-5同様ρは単調に減少しながら NCLに近づくが((a) 図)、NCLに到達してもωがゼロでないときρ は負になった後にNCLに近づく((b)図)。ここに、ρ符号の正負に拘 わらず過圧密土で示した(11)式が成り立つことが分かる。

降伏関数およびその適応条件はstage I同様(11), (12)式で与えら

れる。さて、塑性変形に伴うρ の発展則は実際の密度ρと仮想上の密 度増加分ωによって決まると考える。また、仮想上の密度増加分ω 実際の密度ρと同じように、塑性変形に伴い減少し最終的にゼロにな るとする。その結果、dρはG(ρ)の他にQ(0)=0を満たす単調増加関 数Q(ω)を使って(16)式で与える。

( ) ( )

{ }

( )p

dρ= − G ρ +Q ω ⋅ −d e (16)

dωは別の発展則で与えてもよいが、簡単のため同じQ(ω)を使って (17)式で与える。

( ) ( )p

dω= −Qω ⋅ −d e (17)

塑性間隙比増分は(12), (16)式から ( )

( )

1 ( )

p d

d e G Q

λ κ σ

ρ ω σ

− = − ⋅

+ + (18)

となり、間隙比増分~応力増分関係は(2), (18)式より次式で与えら れる。

図-5 過圧密土のF~(H+ρ0)関係

図-6自然堆積粘土の間隙比(e)~lnσ関係

図-7自然堆積粘土の間隙比変化

図-8 自然堆積土のF~(H+ρ0)関係

(4)

( ) ( ) ( )

( )

1 ( )

p e d

d e d e d e

G Q

λ κ κ σ

ρ ω σ

⎧ − ⎫

⎪ ⎪

− = − + − =⎨⎪⎩ + + + ⎬⎪⎭ (19)

ところで、(18)式に示すように、正のρ, ωは剛性増加の効果を持つ

(ρ, ωが正のときG(ρ), Q(ω)も正)。その結果、図-6の吹き出し に示した効果により、自然堆積粘土の変形挙動が説明できること になる。また、同図からわかるように、自然堆積土ではρがゼロ になったとき(ρ0からのρの減少により間隙比がNCLに一致)で

もω>0である限り、剛性は正規圧密土のそれよりも大きいため、

ρ<0の領域(NCLよりも緩い)に入りうる。ρ<0の領域では、ρ は剛性減少の効果を持つのでやがてρとωのバランスにより、間隙 比はNCLの上側から最終的にNCLに近づく。このような特徴を 説明するには、ρ>0の領域で定義したG(0)=0を満たす単調増加関 数G(ρ)をそのままρ<0領域まで拡張するだけでよい(例えば、図

9に示す1次関数でG(ρ), Q(ω)を与える)。すなわち、Q(ω)は 塑性変形とともにゼロに近づくが、G(ρ)はρが正であっても負であ っても現在の間隙比をNCLに近づける効果を持つ。

(19)式を用いての計算例を図-10に示す。パラメーターは、藤 の 森 粘 土 を 想 定 し 、圧 縮 指数λ=0.104, 膨 潤 指 数κ=0.010, σ=Pa=98kPa(Pa:大気圧)時の正規圧密線の間隙比N=0.83とし ている。(a)図は同じ初期ボンディング効果ω0で初期間隙比e0を変 えた時の結果を、(b)図は同じe0でω0を変えたときの結果である。

同図から(19)式で与えた1次元モデルが練返し過圧密粘土(ω=0) はもとより、自然堆積粘土の1次元圧縮特性をよく表現できるこ とがわかる。また、(c)図は同じe0ω0で材料パラメーターbを変 えた結果を示すが、大きなbを設定したとき、軟化を含む間隙比

~応力関係が得られることもわかる。

5. その他諸特性の発展型弾塑性論 (stage III) によるモデル化 これまで述べてきた密度やボンディングの影響は塑性変形を 伴って変化するが、例えば時間効果、温度効果、不飽和土等の特 性はひずみ速度、温度、サクション(あるいは飽和度)の変化が 塑性ひずみの発生とは無関係に反映される。一例として、図-11 は正規圧密粘土の時間効果特性を模式的に描いたものであるが、

ひずみ速度(ここでは間隙比の変化速度)の大きさにより圧密曲 線がシフトする。また、クリープ時の間隙比は時間の対数に対し て一定勾配で変化することなどが実験事実として知られている。

更には、温度やサクション等によってもひずみ速度同様正規圧密 線(多次元の限界状態線(CSL)も同意)がシフトするという実験 結果が報告されている。このような特性をモデル化するために、

図-12に示すように、ひずみ速度、温度、サクション(飽和度)

の関数で与えられる状態変数ψによってNCLを上下方向にシフ トする(ψ0はψの初期値)。このとき、

{

0 0 0

}

0 0

0 0

( ) ( ) ( )

( ) ( ) ( ) ( )

ln ( ) ( ) ln

p e

e

N N

e e e

e e ρ ρ ψ ψ e

σ σ

λ ρ ρ ψ ψ κ

σ σ

−Δ = −Δ − −Δ

= − − − − − − −Δ

= − − − − − (20)

図-9 単調増加関数で与えたG(ρ) とQ(ω)

0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8

0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8

1.0 5.0 10.0 ln( /Pa)

a =100 b =40

0 =0.1

0=0.0

0=0.2

0=0.1

(b) NCL

0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8

NCL 図-10 ρ0, ω0, bを変化させた計算例

図-11 正規圧密土の時間効果特性

図-12 種々の影響を考えた土の間隙比変化

(5)

となるので、FとHの間に次式が成立する。

{ }

0 0

0 0

+ or

( ) ( ) 0

F H

f F H

ρ ψ ρ ψ

ρ ρ ψ ψ

+ + = +

= − + − + − = (21)

図-13は(21)式の関係をF~(H+ρ00)関係で表しているが、ψ 塑性変形とは無関係に決められる(ひずみ速度、温度、サクショ ン等)。したがって、ρは塑性変形の進行とともに正/負の値をと り最終的にゼロになるが、ψはゼロになるとは限らないので実線 は必ずしも破線で示した初期のNCLの関係に近づかない。

(21)式と適応条件(df=0)より

{ }

{ }

( ) ( )p 0

df dF dH d d

d d e d d

ρ ψ

λ κ σ ρ ψ

σ

= − − −

= − − − − − = (22)

(16)式で与えた塑性変形に伴う密度変化dρと(22)式より、塑性間隙比 増分は次式で表せる。

( )

( )

( )

1 ( )

p

d d

d e G Q

λ κ σ ψ ρσ ω

− +

− =

+ + (23)

(2), (23)式より、全間隙比増分は応力増分dσdψ使って次式で与え られる。

( ) ( )

( ) ( ) ( )

1 ( ) 1 ( )

p e

d e d e d e

d d

G Q G Q

λ κ κ σ ψ

ρ ω σ ρ ω

− = − + −

⎧ − ⎫

⎪ ⎪

=⎨⎪⎩ + + + ⎬⎪⎭ + + + (24)

なお、ψは塑性ひずみ速度(−&e)p(あるいは時間t)、温度T、サ クションs(あるいは飽和度 Sr)等の関数となるので、dψは dψ=(∂ψ/∂t)dt, (∂ψ/∂T)dT, (∂ψ/∂s)ds, (∂ψ/∂Sr)dSr 等で求められる。また、

これらの特性を複合的に考慮するには、ω=ωab…、ψ=ψab… のように考えて、定式化すればよい。

ここに、密度、ボンディング、その他の特性を考慮するために 導入した状態変数 (ρ, ω, ψ) の意味するところをまとめると、

ρ密度の影響を表す状態変数でNCLと現間隙比の差で定義 する

ω:ボンディング等の影響を表す状態変数(塑性変形の進展に より消散)で仮想上の密度増加に置き換える

ψ:時間効果、温度、サクション等の影響を表す状態変数(塑 性変形の進展とは無関係)で基準となるNCLの移動に置き 換える

ということになる。

また、計算では刻々のρを求める必要があるが、(2), (22)式より、

その増分は

( ) ( )e ( )p d

d e d e d e λ σ dρ dψ

− = − + − = σ + + (25)

と表せる。もしくは刻々の間隙比とその応力状態でのNCL上の 間隙比の差で直接ρを求めてもよい。

stage I からstage IIIを通して、負荷条件は1次元問題では塑性 変形(塑性的な間隙比の変化)は圧縮側にしか生じないという条 件で次式のように与えられる。

( ) 0 : if ( ) 0 ( ) 0 : if ( ) 0

p p

p p

d e d e

d e d e

⎧ − ≠ − >

⎨ − = − ≤

⎩ (26)

6. 発展型弾塑性論 (stage III) の時間効果特性への適用 発展型弾塑性論(stage Iからstage III)の定式化について説明して きたが、ここではstage IIIの考え方を使って時間効果特性を説明 する方法を述べる。時間効果特性を考慮したモデル(多次元モデ ル)の中で日本で提案された代表的なものをいくつかをあげると、

応力-(塑性)ひずみ-(塑性)ひずみ速度間に一義的な関係が あるとして流動曲面(降伏関数に相当)を求め時間依存性挙動を 説明する流動曲面型の関口モデル8)、動的降伏曲面と静的降伏曲 面の差である超過応力で説明する超過応力型の足立・岡モデル9)、 下負荷面弾塑性論にクリープポテンシャルを導入した橋口モデ ル10)などがある。また、張ら11)は著者らが提案したsubloading tij model5)の密度の状態変数ρの発展則G(ρ)に時間効果を導入してい る。ここでは、特別な粘塑性理論は使わずに基本的には他の諸特 性の説明と同じ方法(stage III)で時間効果特性をモデルに導入する。

図-14は正規圧密土のクリープ特性を間隙比(e)~応力(lnσ)関 係で示している。ここに、λαは2次圧縮係数を、時間および間隙 比の初期値をt0およびe0、現在の値をtおよびeとする。また、

この間は不可逆すなわち塑性的な間隙比変化だけが生じている ことになる。図-15は正規圧密状態で応力がσ0からσまで、間隙 比の塑性的な変化速度が(−&e)0pから(−&e)pまで変化した時のNCL の変化と間隙比の変化を示している。この時のNCL の移動量 (ψ-ψ0)は図-14より次式で与えられる。

{ } { }

0 0

0

0

0 0

ln ln ln

or

( )

ln ln( ) ln( )

( )

p p p

p

t t t

t

e e e

e

α α α

α α α

ψ ψ λ λ λ

ψ ψ λ λ λ

− = = −

− = − = − − − − −

& & &

& (27)

ここに、クリープ変形時に次式が成り立つことを利用している。

0

ln

( ) 1

( )

p p

d t d e t

e dt dt t

α

α

λ

λ

⎛ ⎞

⎜ ⎟

−Δ ⎝ ⎠

−& = = = (28)

図-13 諸特性を考慮した土のF~(H+ρ00)関係

図-14 正規圧密土のクリープ特性

(6)

したがって、図-15のψ, ψ0は間隙比の変化速度あるいは時間と 次式のように関係づけられる。

0 0 0 0

ln ln( )

ln or ln( )

p p

t e

t e

α α

α α

ψ λ ψ λ

ψ λ ψ λ

= ⎛ = − −

⎛ ⎜

⎜ = = − −

⎝ ⎝

&

& (29)

また、ψの速度すなわち時間tに関する微分も次式で表せる。

1 ( e)p

t αt

ψ=∂ψ =λ = −

& ∂ & (30)

さて、正規圧密状態(ρ0=0, ω0=0)だけでなく過圧密状態やボンデ ィングがある状態でも(29)式が満足されると仮定すれば、(22)式よ り以下の関係式が成り立つ。

{ ( ) }

( )1 ( )

( ) ( )

( )

p

p

p

Fd d dt dH

t F dH d e

d G Q d e

t e σ ρ ψ σ

σ λ κ σ

ρ ρ ω

ψ

∂ + +∂ =

∂ ∂

⎛ = −

⎜ ∂⎜ = −

⎜⎜ = − + ⋅ −

⎜∂

⎜ = −

⎜ ∂⎝ &

(31)

(31)式から、間隙比の塑性的な増分は次式で与えられる。

*

( )1 ( )

( )

1 ( ) ( )

( )1 ( )

1 ( ) ( )

p p

p

d e dt

d e G Q

d e dt

G Q

λ κ σ σ ρ ω λ κ σ

σ ρ ω

− + − ⋅

− =

+ +

− + − ⋅

≅ + +

&

&

(32) (32)式の(−&e)p*は1step前の間隙比の塑性成分の変化速度を表す。

したがって、間隙比の増分は最終的に次式で与えられる。

*

( ) ( ) ( )

1 ( )

1 ( ) ( ) 1 ( ) ( )

p e

p

d e d e d e

d e dt

G Q G Q

λ κ κ σ

ρ ω σ ρ ω

− = − + −

⎛ − ⎞ −

=⎜⎝ + + + ⎟⎠ + + +

& (33)

数値計算においては、現在の間隙比の変化速度(e&)pの代わりに 1step前の既知の変化速度(−&e)p*を用いる。ここに、元来が非線形 計算であるため微少な増分計算であることと、前のstepの変化速 度(−&e)p*を用いて次の間隙比の塑性増分d(-e)pを計算することによ る誤差は下負荷面の考え方で導入しているので1stepずれること になるが、自動的に修正される。また、(33)式は現時間tが入って いないので、多くのモデルで問題となる時間の取り方つまり時間 に関する客観性が保証される。また、時間効果に関する材料パラ メーターは2次圧縮指数λαただ1つである。

ここでの時間効果のモデル化は関口モデル同様、正規圧密状態 では応力-ひずみ-ひずみ速度間に一義的関係があること (isotach)に基づいている。関口モデルではこの一義的な関係式(時

間に関する常微分方程式)を解いて流動曲面(多次元)を求めて モデル化しているのに対し、本質は同じであるがこの関係式を解 かずに速度効果を一つの状態変数として下負荷面の考え方を利 用してモデル化している。

7. 1次元時間依存性モデルによるシミュレーション

解析に用いた材料パラメーターは藤の森粘土を想定し、図-10 同様、圧縮指数λ=0.104, 膨潤指数κ=0.010, σ= 98kPa(大気圧)時 の正規圧密線(NCL)の間隙比N=0.83としている。また、特に断ら な い 限 り 初 期 応 力σ0=98kPa, 初 期 の 間 隙 比 の 変 化 速 度

(−&e)0p=1.0×10-7, 2次圧縮係数λα=0.003 or 0.006。また、圧密解析で は、圧密係数cv=const.の条件から、透水係数kを間隙比eの関数 として次式で与えている。

0

0 exp

k

k k e e

λ

⎛ − ⎞

= ⋅ ⎜⎜⎝ ⎟⎟⎠ (34)

ここに、k0=1×10-5cm/min (e0=0.83の時), λk=0.104 (cv=const.となる)

0 0

NCL(

) ; ( e)p ψ ψ=

−&

NCL(

) ; ( e)p ψ ψ=

−&

0 0

0 0

=

=

=

= ω ω

ρ ρ

図-15 ひずみ速度、変えた時のψ, 応力, 間隙比の変化

102 103

0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8 0.85

no creep 0.002%/min 0.02%/min 2.0%/min 0.002 - 2.0%/min 2.0 - 0.02%/min

Ideal - Drained

e λρα0=0.0=0.0030

ω0=0.0

σ (kPa)

(a)

102 103

0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8 0.85

no creep 0.002%/min 0.02%/min 2.0%/min 0.002 - 2.0%/min 2.0 - 0.02%/min

Ideal - Drained

e λρα0=0.0=0.0030

ω0=0.0

σ (kPa)

(a)

102 103

0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8 0.85

no creep 0.002%/min 0.02%/min 0.2%/min 2.0%/min

Ideal - Drained e

λα=0.0030 ρ0=0.10 ω0=0.0

σ (kPa)

(b)

102 103

0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8 0.85

no creep 0.002%/min 0.02%/min 0.2%/min 2.0%/min

Ideal - Drained e

λα=0.0030 ρ0=0.10 ω0=0.0

σ (kPa)

(b)

102 103

0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8 0.85

no creep 0.002%/min 0.02%/min 0.2%/min 2.0%/min

Ideal - Drained e

λα=0.0030 ρ0=0.10 ω0=0.20, b=40

σ (kPa)

(c)

102 103

0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8 0.85

no creep 0.002%/min 0.02%/min 0.2%/min 2.0%/min

Ideal - Drained e

λα=0.0030 ρ0=0.10 ω0=0.20, b=40

σ (kPa)

(c)

図-16 要素としての1次元ひずみ速度効果

(7)

としている。

図-16は (a)正規圧密粘土、(b)過圧密粘土および(c)自然堆積粘 土の要素としての1次元圧縮挙動についてひずみ速度を変えて示 している。図中の破線で示した直線は基準となる速度(間隙比の塑 性成分の変化速度(−&e)0p=1.0×10-7)での正規圧密線を、実曲線は時 間効果特性を考慮しないモデルでの結果(図-10)である。また、

(a)図には載荷途中でひずみ度を変えた解析結果も示しているが、

ひずみ速度を変えるとひずみ速度により決まる一義的な間隙比

~応力関係に移動することもわかる(isotach)。また、過圧密土や自 然堆積土ではひずみ速度が速くなるに従い圧密降伏応力に相当 する応力が大きくなることもわかる。

図-17は構造化した自然堆積粘土の定ひずみ速度圧密試験の1 次元土・水連成有限要素解析シミュレーション結果を示している。

ここでも、破線で示した直線は基準速度のNCLを、実曲線は時 間効果を考えないモデルによる解析結果を示す。定ひずみ速度圧 密試験では、高さ2cmの供試体を上面排水、下面非排水条件で載 荷し、下面で測った間隙水圧ubを使って次式で平均的な有効応力

σ’を求める(図-18参照)。また、eは供試体のマスとしての平

均的な間隙比を意味する。

10-3 10-2 10-1 1 10 102 103 104 0.74

0.76 0.78 0.8

0.82 no creep λα=0.0015

λα=0.0030 λα=0.0045 λα=0.0060

e

t (min)

ρ0=0.0 ω0=0.0

σ0=98kPa Δσ=98kPa H=1cm

10-3 10-2 10-1 1 10 102 103 104 0.74

0.76 0.78 0.8

0.82 no creep λα=0.0015 λα=0.0030 λα=0.0045 λα=0.0060 e

t (min) H=10cm

σ0=98kPa Δσ=98kPa

ρ0=0.0 ω0=0.0

図-19 2次圧密係数を変えた正規圧密土の段階載荷圧密試験

10-3 10-2 10-1 1 10 102 103 104 0.74

0.76 0.78 0.8

0.82 H=1cm

H=5cm H=10cm

e

t (min)

λα=0.0030 ρ0=0.0 ω0=0.0

σ0=98kPa Δσ=98kPa

10-3 10-2 10-1 1 10 102 103 104 0.74

0.76 0.78 0.8 0.82

e

t (min)

H=1cm H=5cm H=10cm

λα=0.0060 ρ0=0.0 ω0=0.0 σ0=98kPa Δσ=98kPa

図-20 試料高さを変えた正規圧密土の段階載荷圧密試験

2 3ub

σ′ = −σ (35)

図-19は正規圧密土の段階載荷圧密試験(初期応力σ0=98kPa)で 2次圧密係数を変えて計算した結果である(Hは供試体高さを表 し、片面排水条件)。ここでも、no creepと示している実線は時 間効果を考慮しないモデルによる結果である。2次圧密係数が大 きくなる(時間効果特性が顕著になる)に従い、よく知られてい る逆S次形状の圧密曲線から離れる曲線となる。また、間隙水圧 消散後の圧密曲線の勾配は与えた2次圧密係数λαと一致する。図

20は供試体高さをパラメーターとして整理したものであるが、

圧密曲線におよぼす供試体高さの影響を説明している。また、時 間の経過とともに供試体高さにかかわらず同じ圧密曲線に収束 する。図-21は応力増分Δσを変えた時の圧密曲線を示す。ここ でも、最終的な曲線の勾配は応力増分によらず同じ(2次圧縮係 数)となるが、荷重増分が大きくなるに従い図から読みとれる1 次圧密終了時の時間は長くなる。

図-22は2次圧密係数を変えて過圧密粘土の圧密曲線を時間の

102 103

0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8 0.85

e

no creep ( 0.02%/min) creep 0.002%/min creep 0.02%/min

λα=0.0030 ρ0=0.10 ω0=0.20, b=40

Simulation of Oedometer test

H=2cm

σ' (kP a)

102 103

0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8 0.85

e

no creep ( 0.02%/min) creep 0.002%/min creep 0.02%/min

λα=0.0030 ρ0=0.10 ω0=0.20, b=100

Simulation of Oedometer test

H=2cm

σ' (kP a)

図-17自然堆積粘土の定ひずみ速度圧密試験

z

u

ub σ

H

z

u

ub σ

H

図-18 定ひずみ速度圧密試験の間隙水圧の定義

(8)

対数目盛りおよび普通目盛りをとって整理したものである。時間 の対数目盛りの図では、過圧密粘土は正規圧密粘土(図-19)と 異なり途中から加速しているようにも見えるが、時間の普通目盛 りでみるとわかるように過圧密土でも変形速度は時間とともに 遅くなる。図-23は初期の過圧密比を変えた場合の圧密曲線と NCLの移動量を表す状態変数ψの変化を示している。正規圧密土 の場合、ψはほぼ時間の対数に対して直線的に変化するのに対し 過圧密土では時間とともにψは減少するものの間隙水圧消散後も 直線的には減少しない。

8. 1次元モデルの多次元モデルへの拡張

これまで1次元モデルで土の弾塑性モデルを誘導してきたが、

(4)式の応力の関数Fの1次元応力σを多次元応力σijのスカラー関 数で与え、流れ則を仮定するだけで、多次元の土の初期型および 発展型弾塑性モデル(stage I, II, III)を誘導できる。

8.1 通常の応力(σij)に基づくモデル化

Cam clay modelはじめ多くのモデルでは応力の不変量(平均応力 p, 偏差応力q)あるいは(p, η=q/p)を使って、次式の形で応力の関数 Fを与える。

1 0

0

( ) ln

( ) ln ( )

F p

p p p λ κ

λ κ ς η

= −

⎧ ⎫

⎪ ⎪

= − ⎨ + ⎬

⎪ ⎪

⎩ ⎭

(36)

ここに、ζ(η)はζ(0)=0を満たす応力比の増加関数(例えばoriginal Cam clay modelではζ(η)=η/M)。p0, p1は図-24に示すように、初 期および現降伏曲面のp軸上の値で降伏曲面の大きさを表す。そ して次式の応力空間での流れ則を考えれば(塑性ひずみ増分方向 は図-24に示すように応力空間の降伏関数に直交する)、1次元 の場合と同じ考え方で種々の土に対する多次元の応力・ひずみ関 係が得られる。

p ij

ij

F

σ

= Λ ∂

∂ (37)

上式において、塑性ひずみ増分の大きさを決める正の係数Λは、

1次元の場合同様、適合条件(df=0)から誘導できる。また、<Λ>

はΛ>0のとき<Λ>=Λとなり、Λ≤0のときは<Λ>=0を意味する。ち なみにCam clay modelは1次元の初期型弾塑性モデルを多次元化 したものに相当する。

ところで、 (p, η=q/p)を使うモデルの定式化では三軸圧縮条件下 の挙動は説明できても、一般的な3次元応力下の土の変形・強度 を唯一的な材料パラメーターで記述できないことがわかってい る2)

8.2 修正応力(tij)に基づくモデル化

著者らの提案している修正応力tijの考え方(tij- concept)2)を使えば、

(p, η=q/p)を用いて定式化した如何なる構成モデルも一般的な3 元応力条件下の土の変形・強度特性を統一的に説明できるモデル に発展させることができる。方法は簡単で、(p, η=q/p)の代わりに、

10-3 10-2 10-1 1 10 102 103 104 0.7

0.72 0.74 0.76 0.78 0.8 0.82

Δσ=49kPa Δσ=98kPa Δσ=196kPa

e

t (min)

H=1cm

λα=0.0030 ρ0=0.0 ω0=0.0

σ0=98kPa

図-21 荷重増分を変えた正規圧密土の段階載荷圧密試験

10-3 10-2 10-1 1 10 102 103 104 105 106 107 0.72

0.74 0.76 0.78

no creep λα=0.0015 λα=0.0030 λα=0.0045 λα=0.0060 e

t (min) H=1cm

σ0=98kPa Δσ=98kPa

ρ0=0.05 ω0=0.0 OCR=1.70

0 0.5 1

[×107] 0.72

0.74 0.76

0.78 no creep

λα=0.0015 λα=0.0030 λα=0.0045 λα=0.0060 e

t (min) H=1cm

σ0=98kPa Δσ=98kPa

ρ0=0.05 ω0=0.0 OCR=1.70

図-22 2次圧密係数を変えた過圧密土の段階載荷圧密試験

10-3 10-2 10-1 1 10 102 103 104 105 106 107 0.68

0.7 0.72 0.74 0.76 0.78 0.8

0.82 ρ

0=0.000 (OCR=1.00) ρ0=0.050 (OCR=1.70) ρ0=0.065 (OCR=2.00) ρ0=0.100 (OCR=2.90) e

t (min) H=1cm

σ0=98kPa Δσ=196kPa

ω0=0.0 λα=0.0030

10-4 10-3 10-2 10-1 1 10 102 103 104 105 106 107 -0.08

-0.06 -0.04 -0.02

0 ρ0=0.000 (OCR=1.00)

ρ0=0.050 (OCR=1.70) ρ0=0.065 (OCR=2.00) ρ0=0.100 (OCR=2.90)

ψ

t (min) H=1cm

σ0=98kPa Δσ=196kPa

ω0=0.0 λα=0.0030

図-23 過圧密比を変えた過圧密土の段階載荷圧密試験 図-24 (p, q) 面で表した初期(initial)および現在(current)の降伏 関数と塑性ひずみ増分の方向

(9)

修正応力tijに基づく不変量(平均応力tN, 応力比X=tS/tN)を使って同 じ形で関数Fを与える。

1 0

0

( ) ln

( ) ln ( )

N N N N

F t

t

t X

t λ κ

λ κ ς

= −

⎧ ⎫

⎪ ⎪

= − ⎨ + ⎬

⎪ ⎪

⎩ ⎭

(38)

ζ(X)はζ(0)=0を満たす応力比Xの増加関数で、tN0およびtN1は図-

25に示すように初期および現在の降伏関数の大きさを表す。そし て、流れ則を(37)式の通常の応力σij空間ではなく、次式のように 修正応力tij空間で考えるだけで相異なる3主応力下の変形・強度 特性を唯一的に説明できるモデルに拡張できる。

p ij

ij

d F

ε = Λ t

∂ (39)

なお、tijの概念や定式化の詳細については参考文献2), 3), 5)を参照の こと。

8.3 修正応力(tij)に基づく多次元発展型モデル(stage III)の定式化 ここでは、多次元発展型モデル(stag III)を例に多次元モデルの定 式化を示す。降伏関数は1次元同様(21)式で与える。ここに、多 次元の場合、応力の関数Fは(38)式で定義でき、ひずみ硬化パラ メーターに相当するHも1次元モデルに倣い次式で与えられる。

( )

p (1 0) vp

H= −Δe = +e ⋅ε (40)

ここに、(21)式と適応条件(df=0)および塑性体積ひずみ増分が

p p

v ii

ii

d d F ε = ε = Λt

∂ (41)

と表せることより

{ }

{ }

0

( )

(1 ) 0

p

ii

df dF dH d d

dF d e d d

dF e F d d

t ρ ψ

ρ ψ ρ ψ

= − − −

= − − − −

⎧ ∂ ⎫

⎪ ⎪

= −⎨⎪⎩ + Λ∂ − − ⎬⎪⎭= (42)

ところで、1次元の場合ρ, ωの発展則は塑性変形の発生のおよびそ の大きさの尺度である塑性間隙比増分d(-e)pと関係づけている

((16), (17)式参照)。一方、多次元では塑性変形の発生およびそ の大きさの尺度は正の係数Λとなるので、ρ, ωの発展則は係数Λ 関連づけ、降伏関数の次元を考え次式で与える。

0

( ) ( )

(1 )

N N

G Q

d e

t t

ρ ω

ρ= − + + Λ

(43)

0

(1 ) ( )

N

d e Q

t

ω= − + ω Λ (44)

したがって、(37)式の係数Λは。

0

( ) ( ) (1 )

p

kk N N

dF d dF d

F G Q h

e t t t

ψ ψ

ρ ω

+ +

Λ = =

⎧∂ ⎫

⎪ ⎪

+ ⎨⎪⎩∂ + + ⎬⎪⎭

(45)

で表され、塑性ひずみ増分は次式で与えられる。

p

ij p

ij ij

F dF d F

d t h t

ε = Λ = + ψ

∂ ∂ (46)

弾性ひずみ増分は膨潤指数κと弾性式を利用して

e e

ij ijkl kl

dε =Cdσ (47)

の形で定義されるので、全ひずみ増分は両成分の和として与えら れる。

p e

ij ij ij

dε =dε +dε (48)

次に、時間効果特性を考慮した多次元モデルにおいてのψの決 め方について説明する。1次元モデルではψは間隙比の塑性的な変 化速度(−&e)pで決めることができたが、多次元ではダイレイタンシ ーのため塑性変形が生じる時に(−&e)pは常に正とは限らない。ここ では図-26に示すように、降伏関数が大きくなる(ひずみ硬化)

過程では応力状態が降伏曲面のどの位置(例えばP1, P2)にあって もそこでのひずみ速度効果はP0における等価な等方圧縮時の間 隙比変化増分d(-e)p(equ)で規定されると考える。そのように考えると、

d(-e)p(equ)はP0での流れ則から次式のように表せる。

( ) 0 ( ) 0

0

0 0

( ) (1 ) (1 )

(1 ) ( ) 3

( ) 3

3 ( ) ( )

( )

p p

equ v equ

ii X

X

N

N

N N N

d e e d e F

t

e t

dF dt

t G Q t

t t t

ε

λ κ ψ

ρ ω λ κ λ κ

=

=

⎡ ∂ ⎤

− = + = + ⎢⎣Λ∂ ⎥⎦

= + ⎡ ⎤⎣ ⎦Λ − +∂

= ∂ −

⎧ ⎫

⎪ − + + ⎪

⎨ ⎬

⎪ ⎪

⎩ ⎭

(49)

したがって、図-27ψを決めるための(−&e)(pequ)は前のstepでの 等価間隙比の変化速度(−&e)(pequ*)を使って次式で与えられる。

( )

( )

*

( )

( ) ( )

( ) 3

( )

3 ( ) ( )

( )

p p equ

equ

p equ

N

N N N

e d e dt

F e

G Q t

t t t

ρ ω λ κ λ κ

− = −

= + − −

⎧ ⎫

⎪ − + + ⎪

⎨ ⎬

⎪ ⎪

⎩ ⎭

&

& & (50)

図-25 (tN, tS) 面で表した初期(initial)および現在(current)の降 伏関数と塑性ひずみ増分の方向

( ) 0 ( )

( )pequ (1 ) v equp

d e = +e dε

図-26 d(-e)p(equ)の定義

(10)

9. 多次元モデルによるシミュレーション

解析に用いる多次元モデルの材料パラメーターを表-1に示す。

藤の森粘土の材料パラメーターとしてこれまでに用いてきた値 と同じである(詳細は文献5, 12)参照のこと)。(43), (44)式のρ よびωの発展則を決める関数G(ρ), Q(ω)は図-28の関数形で与え る。

9.1 発展型弾塑性モデル(stage I)による解析

ωおよびψを考えない多次元モデル(stage I)は、すでに開発し 種々の地盤工学問題の解析に適用しているsubloading tij model5)に 相当する。過圧密比を変えた粘土の平均主応力一定三軸圧縮試験 および三軸伸張試験のシミュレーション結果と実測値を図-29 に示す。同図から、stage Iモデルが変形・強度・ダイレイタンシ ー特性におよぼす密度の影響はもとより、中間主応力の影響(三 軸圧縮と三軸伸張の差異)を適切に表現できることがわかる。そ の他の三主応力制御試験結果の検証等については文献5)を参照の こと。

9.2 発展型弾塑性モデル(stage II)による解析

自然堆積土にみられる構造化した土の等方圧縮およびせん断 挙動のシミュレーションを行う。図-30は初期の間隙比(e0=0.73) で初期のボンディング効果を変えた粘土の標準圧縮試験の多次 元モデルを用いた解析結果である(ここに、ω0=0.0は構造化して いない過圧密土を意味する)。同図より初期ボンディングが大き いほど構造の発達した粘土の挙動を示す。図-31は同じ粘土の平

均主応力一定三軸圧縮試験の解析結果である。ここでも、構造の 発達する(ボンディング効果が大きい)ほど、初期剛性・ピーク 強度(応力比)が大きく体積変化も膨張側になることがわかる。

図-32は同じ粘土の非排水三軸圧縮および三軸伸張試験の解析 結果である。有効応力経路と偏差応力~偏差ひずみ関係で示すが、

上半分は三軸圧縮条件、下半分は三軸伸張条件の結果を示す。同 図より、同じ初期間隙比でも構造の発達によりひずみ硬化軟化現 象が顕著になる。その結果、有効応力経路では巻き返しの現象が みられる。また、Stage Iの場合同様tijの概念による多次元のモデ ル化を行っているので三軸圧縮および伸張の差異も表現可能と なる。

図-33に示すようにe0=0.73(ρ0=0.1), ω0=0.4の初期状態の粘土を 等方圧縮し、図中の(A), (B), (C)点から三軸圧縮条件下で非排水せ ん断した場合の挙動を図-34に示す。拘束応力が小さい(A)点か

0 ( )0

; ( e)equp ψ ψ=

&

( )

; ( e)equp ψ ψ=

&

図-27 多次元モデルのψの定義

表-1 藤の森粘土の材料パラメーター

図-28 2次式および1次式で与えたG(ρ) と Q(ω)

5 10 15 20

0.5 1 1.5 2

0

εd(%) q/p

5 εv(%)

10

OCR=1 OCR=2 OCR=4 OCR=8

comp.

p=const.

Fujinomori clay

5 10 15 20

0.5 1 1.5 2

0

εd(%) q/p

5

OCR=1 OCR=2 OCR=4 OCR=8

εv(%) 10

ext.

Fujinomori clay p=const.

図-29 過圧密比を変えた三軸圧縮および伸張試験(曲線:シミ ュレーション、プロット:実測値)5)

0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

1 10 100

Void ratio e

Vertical stress [x 98kPa]

N.C.L.

-0.5 0 0.5 1 1.5

2 -40

-30 -20 -10 0

0 5 10 15 2010

Stress ratioq/p Volumetric strain[%]

Deviatoric strain[%]

図-30 自然堆積粘土の 図-31自然堆積粘土の 標準圧密試験 排水三軸圧縮試験

参照

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