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Academic year: 2022

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(1)

試験項目 試験条件 ホイールトラッキング試験 試験温度 :60℃

輪荷重   :686N カンタブロ試験

試験温度 :20℃,-20℃

回転速度 :30~33rpm 回転数   :300回

アスファルトラバーを用いた開粒度混合物の性状

(株)NIPPO

コーポレーション 正会員 ○向後 憲一

SRI研究開発(株) 正会員 榊 俊明 大有建設(株) 正会員 武井 真一 ニチレキ(株) 正会員 大坪 義治 1.まえがき

廃タイヤを粉砕して得られるゴム粉末を舗装用石油アスファルトと混合・熟成養生して製造されるアスファ ルトラバー(以下,ARという)は,

1970

年代から米国でアスファルト混合物用のバインダとして使用され,

優れた供用性が確認されている 1).我が国では

2003

年に設立された日本AR研究会において,国産の素材を 用いたARの開発ならびに各種混合物へのARの適用が検討され2),実路での試験舗装も行われている.

ここでは,上記検討の一環としてARをバインダとした開粒度混合物(以下,AR開粒度混合物という)に ついて,ゴム粉の粒径や混合物の粒度の違いによる耐流動性および骨材飛散抵抗性への影響を評価し,適用地 域に応じたバインダ組成や混合物粒度の選定について検討している.

2.実験の概要

2-1 開粒度混合物の配合 AR開粒度混合物は,高粘度改質アスファルトを使用したものと比

べバインダ量が増加してもダレ難いという特徴がある3).本検討では,

ARの特徴を活かしてバインダ量を多く(ARの膜厚を厚く)しても 十分な空隙が得られるよう混合物の粒度を通常の排水性混合物と比 べ粗い(骨材間隙率が大きい)範囲に設定した.表-1の「中央」およ び「下限-1」は,排水性舗装技術指針(案)に示される標準的な粒度 範囲の「中央」および「下限」を目標とし,「下限-2」は

6

号砕石と 石粉のみの配合とした.

2-2 バインダ

バインダは,ARにプラントミックスタイプの改質材を添加したも のを使用した.ARは,ストレートアスファルト 60/80(以下,スト アス 60/80 という)に粒径の異なる(0.4mm,1.4mm)トラック・バス 用タイヤ(以下,TB という)のゴム粉末を添加した下記2種であり,

180℃で 1hr 熟成養生して使用した.

①ストアス 60/80:TB0.4mm=85:15(以下,TB0.4mm という)

②ストアス 60/80:TB1.4mm=80:20(以下,TB1.4mm という)

2-3 試験項目および試験条件

試験項目および試験条件は表-2 に示すとおりである.

3.実験結果 3-1 耐流動性

ホイールトラッキング試験の結果を図-1 に示す.ARを用い た開粒度混合物は,[TB0.4mm,下限-2]を除きDS≧6000 回/mm であり,高粘度改質アスファルトを使用した排水性混合物と同程 度の耐流動性を有するとみなせる.

バインダ種(ゴム粉末の粒径)の違いで比較すれば,DS値は TB1.4mm>TB0.4mm の傾向にあり,粒径の大きいゴム粉末を用い

キーワード アスファルトラバー,開粒度混合物,カンタブロ試験,ホイールトラッキング試験

連絡先 〒140-0002 東京都品川区東品川 3-32-34 ㈱NIPPOコーポレーション技術研究所 TEL03-3471-8543 表-1 開粒度混合物の配合と粒度

表-2 試験項目および試験条件

TB1.4mm

TB0.4mm - 2

- 1

1 26 0 0

9 0 6 0 9 8 00

7 73 0 79 8 0

2 7 70

0 2 0 00 4 0 00 6 00 0 80 0 0 10 0 00 1 2 0 00 1 4 00 0

DS (回/mm)

図-1 DS

中央 下限- 1 下限- 2 6号砕石

83 89 95

粗  砂

12 6

石  粉

5 5 5

19mm 100 100 100

13.2 97.4 97.2 97.1

4.75 23.5 18.0 12.6

2.36 15.2 10.4 5.8

600µm 10.4 7.7 5.0

300 8.1 6.5 5.0

150 6.2 5.6 5.0

75 5.0 4.8 4.6

   

土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-277- 5-139

(2)

たAR開粒度混合物が耐流動性に優る.また,混合物の粒度の違 いで比較すれば,DS値は中央>下限-1>下限-2 の傾向にあり,

この範囲では 2.36mm 通過量の多い混合物が耐流動性に優る.

3-2 骨材飛散抵抗性

カンタブロ試験の結果を図-2~図-4 に示す.

バインダ種の違いで比較すれば,カンタブロ損失率は試験温度

+20℃,-20℃とも TB0.4mm<TB1.4mm の傾向にあり,粒径の小さ いゴム粉末を用いたAR開粒度混合物が骨材飛散抵抗性に優る.

また混合物の粒度の違いで比較すれば,カンタブロ損失率は下限 -2<下限-1<中央の傾向にあり,2.36mm 通過量の少ない混合物が 骨材飛散抵抗性に優る.なお図中に比較標準として示した排水性 混合物(高粘度改質アスファルト使用)とほぼ同等のカンタブロ 損失率となる配合は,試験温度+20℃では[TB0.4mm,下限-1],

[TB0.4mm,下限-2]および[TB1.4mm,下限-2],試験温度-20℃で は[TB0.4mm,下限-2]のみである.前述ホイールトラッキング試 験の結果([TB0.4mm, 下限-2]は耐流動性に劣る)も勘案すれば,

AR開粒度混合物は一般地域に使用する排水性混合物として十分 な性状を有するが,積雪寒冷地域への適用にあたっては低温性状 を更に改善することが望ましいと考えられる.

4.まとめ

本検討で得られた知見は以下のとおりである.

1)AR開粒度混合物は,粒径の大きいゴム粉末を使用すること,

および 2.36mm 通過量の多い骨材配合とすることにより耐流動性 が向上する.

2) AR開粒度混合物は,粒径の小さいゴム粉末を使用すること,

および 2.36mm 通過量の少ない骨材配合とすることにより骨材 飛散抵抗性が向上する.

3)ゴム粉末の粒径および骨材配合を[TB0.4mm,下限-1]または

[TB1.4mm, 下限-2]とし,改質材を併用したAR開粒度混合物 のDS値およびカンタブロ損失率(+20℃)は,高粘度改質ア スファルトを使用した排水性混合物とほぼ同等であり,一般地 域に使用する排水性混合物として十分な性状を有すると考えら れる.

5.あとがき

本検討の結果をもとに,日本AR研究会では平成 16 年 5 月に茨 城県つくば市の構内道路で、平成 16 年 12 月に東京都小平市の一 般道路でAR開粒度混合物の試験舗装を実施し,通常の製造設備 で混合物を製造することができること,ならびに通常の施工機械 編成で施工が可能であることを確認している.

今後は試験舗装箇所の追跡調査を実施し供用性を確認するとともに,課題として残された低温性状の改善検 討や騒音・振動の低減に特化した処方の検討などを行うこととしている.

〈参考文献〉

1) A.M.Usmani

Asphalt Science and Technology

pp385-442

1997

2)

武市ほか:米国アスファルトラバー舗装の現状と日本に於ける開発への取り組み,土木学会第

59

回年次学術講演会,

5-557

pp1111-1112

2004.

3)

村瀬ほか:アスファルトラバーの排水性混合物への適用,土木学会第

59

回年次学術講演会,

5-562

pp1121-1122

2004.

図-2 カンタブロ損失率【中央】

図-3 カンタブロ損失率【下限-1】

図-4 カンタブロ損失率【下限-2】

2.36mm通過量5.8%

(下限-2)

0 20 40 60 80 100

10 15 20 25

空隙率 %

ロ損失率 

TB0.4mm,15%(+20℃) TB0.4mm,15%(-20℃) TB1.4mm,20%(+20℃) TB1.4mm,20%(-20℃) 高粘度As(+20℃) 高粘度As(-20℃)

-20℃

+20℃

2.36mm通過量10.4%

(下限-1)

0 20 40 60 80 100

10 15 20 25

空隙率 %

カン 

TB0.4mm,15%(+20℃) TB0.4mm,15%(-20℃) TB1.4mm,20%(+20℃) TB1.4mm,20%(-20℃) 高粘度As(+20℃) 高粘度As(-20℃)

-20℃

+20℃

2.36mm通過量15.2%

(中央)

0 20 40 60 80 100

10 15 20 25

空隙率 %

ロ損失率 

TB0.4mm,15%(+20℃) TB0.4mm,15%(-20℃) TB1.4mm,20%(+20℃) TB1.4mm,20%(-20℃) 高粘度As(+20℃) 高粘度As(-20℃)

-20℃

+20℃

土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

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