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博士学位論文審査報告書

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Academic year: 2022

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(1)2017年7月1日. 博士学位論文審査報告書 大学名. 早稲田大学. 研究科名. スポーツ科学研究科. 申請者氏名. 鈴木 康介. 学位の種類. 博士(スポーツ科学). 論文題目. 体育授業における児童・生徒の疾走能力向上のための短距離走の学習指導に 関する研究 Instructional Approaches to Enhance the Sprint Ability to Learners in Physical Education Classes. 論文審査員. 主査 早稲田大学教授. 友添 秀則 博士(人間科学)(早稲田大学). 副査. 早稲田大学教授. 寒川 恒夫 学術博士(筑波大学). 副査. 早稲田大学教授. 彼末 一之 医学博士、工学博士(大阪大学). 副査 早稲田大学准教授 吉永 武史 従来、正課体育における短距離走の授業は、走運動がその達成水準を問わなければ誰にで も容易にできる運動であるという理由で、児童・生徒らの学習者の技能向上のための指導が 必要かつ十分に行われてこなかったと考えられる。本博士学位請求論文において、先行研究 における走運動の発達過程を検討した結果、学習者の加齢に伴って次第に疾走能力は向上し ても、個人の疾走能力に着目すれば、相対的に疾走速度が低い学習者の技能は低位のまま停 滞する可能性があること、並びに個人差の背景にある疾走動作の質的差異の存在が明確にさ れてこなかったことが述べられた。このような問題意識のもと、本博士学位請求論文の目的 は、学習者の疾走能力の個人差について、特に疾走速度と疾走動作の質的な側面との関係か ら明らかにした上で、学習者の疾走能力を向上させるための学習指導について検討し、その 有効性について実証することを目的とするものである。この目的を達成するために、具体的 には、次の研究課題が設定された。研究課題1として、合理的な疾走動作に関する観察的動 作評価法の開発を行うこと、並びに学習者である児童・生徒の疾走能力に関する横断的・縦 断的分析を行うこと。研究課題2として、小学校高学年および中学校における短距離走の学 習指導に関する検討を行うこと。研究課題3として、学習者である児童・生徒の疾走能力を 向上させるための短距離走の学習指導の有効性に関する実証を行うことである。 これらの課題の解明のために、本博士学位請求論文は、序章、第1部の予備的考察(第1 章~第4章)、第2部の短距離走の学習指導の検討(第5章、第6章、第7章、第8章)、 第3部の短距離走の学習指導の有効性に関する実証的検討(第9章、第10章、第11章、 第12章、第13章)、及び結章の大部で構成され、そこで主として検証授業を通して考察 が行われた。 具体的には、第1部(研究課題1)では、短距離走の合理的な疾走動作を評価するための観 察的動作評価法の作成が行われ、合理的な疾走動作として、上肢3項目(「肘の引き出し」、.

(2) 「肘の曲げ伸ばし」、「腕振りの方向」)、下肢3項目(「下肢動作の大きさ」、「挟み込 み動作のタイミング」、「接地の部位」)の6項目からなる疾走動作の観察的動作評価法が 作成された。そして、観察的動作評価法の妥当性の検証から、先述の動作習得により、高い 疾走速度の獲得が可能であることが明らかとなった。次に、これらの動作評価をもとに学習 者の疾走能力について横断的・縦断的な分析を行った結果、疾走速度の個人差の背景には疾 走動作の質的な差異があり、有効な指導がなければ、疾走能力の低い学習者は低位のままと なる可能性が高いことが明らかとなった。第2部(研究課題2)では、これまでの学習指導 要領等における短距離走に関する内容、専門雑誌における短距離走の授業実践報告にみる教 材の変遷の分析を通して、第1部で明らかとなった短距離走の技能内容、学習内容を習得さ せるための教材づくり及び学習指導過程について検討が行われた。その結果、短距離走の学 習指導においては、教具の工夫、技術認識と技能習熟を関連付けた技能的学習や認識的学習 のための下位教材が用意される必要があること、学習者を意欲的に取り組ませる単元教材を 工夫した学習指導過程の構成が重要であることが明らかとなった。第3部(研究課題3)で は、第1部及び第2部の検証・考察の結果を受け、学習者の疾走能力を向上させるための学 習指導の有効性を実証するために検証授業が行われた。これらの検証授業から、適切な教具 の使用が習得させるべき動作に関わる課題認識や実態認識を与えることができること、意図 した動作を自然に誘発することのできる教材の開発・作成が学習者の疾走能力を向上させる ことが明らかとなった。さらに、十分な授業時数の確保と単元前半での基礎的な技術習得が 行われている場合、単元後半に問題解決学習を適用することで、一層学習成果を保障するこ とができること、短距離走もゲーム化教材の導入によって学習者の愛好的態度の向上に有効 であることも明確にされた。また、合理的な疾走動作を適切な学習指導によって習得させる ことで、相対的に技能が劣る児童・生徒が抱く短距離走の授業に対する嫌悪感を払拭させる ことができることも明確にされた。 なお、本博士学位請求論文の関連論文には以下のものがある。 鈴木康介・友添秀則・吉永武史・梶将徳・平山公紀(2016)疾走動作の観察的動作評価法に 関する研究:小学5・6年生を分析対象とした評価基準の検討.体育科教育学研究,32(1): 1-20.(A study on development of the criteria for observational evaluation of running skill through the analysis of 5th and 6th grade elementary school children.) 本関連論文は、本学位請求論文の第1部第1章「合理的な疾走動作に関する観察的動作評 価法の開発」の部分に対応するものであり、合理的な疾走動作を観察的に評価するための評 価基準ならびに評価方法について検討し、その有効性を小学校5・6年生児童170名の分 析結果から明らかにしたものである。さらに、この観察的動作評価法は本博士学位請求論文 の第1部第2章、第3章における児童・生徒の疾走能力の横断的・縦断的研究、加えて第3 部第9章、第10章、第11章、第12章における短距離走の学習指導の有効性の実証にお いても用いられたたものであり、本博士学位請求論文の根幹をなすものであると言える。 本博士学位請求論文は、これまで述べてきたように課題の設定、課題解決のための方法も 適切であり、その分析も丹念になされ、かつ論文の論旨も明快で、目的・方法・結論に至る 論理的整合性も優れている。これらに加え、本論文のオリジナリティーを考慮して、本申請 者は博士(スポーツ科学)の学位を授与するに十分値するものと認める。 以 上.

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参照

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