• 検索結果がありません。

博士学位論文審査報告書

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "博士学位論文審査報告書"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)博士学位論文審査報告書. 大学名 研究科名. 早稲田大学 スポーツ科学研究科. 申請者氏名 砂川憲彦 学位の種類 博士(スポーツ科学) 論文題名. ラグビーフットボールにおける Indirect 型 ACL 損傷の特徴に関 する検討. 英文題名. The Characteristics of Indirect ACL Injuries in Rugby Union. 論文審査員 主査 早稲田大学教授. 広瀬 統一 博士(学術) (東京大学). 副査 早稲田大学名誉教授. 福林 徹. 副査 早稲田大学教授. 岡田 純一 博士(スポーツ科学) (早稲田大学). 博士(医学) (筑波大学). 本博士学位申請論文は、ラグビー選手の前十字靭帯(ACL)損傷の受傷メカニズムとして新たに Indirect 損傷 という考え方を提唱し、その発生頻度や同メカニズムで生じる下肢関節のキネマティクスを明らかにし、予防法確 立のための基礎資料を提供することを目的としている。この目的達成のために 3 つの研究がおこなわれている。 研究 1 では ACL 損傷の受傷場面を Direct 損傷(直接接触)、Indirect 損傷(間接接触)、Non-contact 損傷 (非接触)の 3 つに分類してそれぞれのメカニズムにおける ACL 損傷発生頻度と、In-Direct での ACL 損傷受 傷時のキネマティクスの特徴をビデオ映像分析から検討している。対象は大学生ラグビー選手延べ 242 名とし、 チームトレーナーにより記録された Injury Sheet を用い、ラグビーの練習や試合中に発生した膝関節傷害を後ろ 向きに調査し、ACL 損傷の受傷機転の特徴を検証した。その結果、ACL 損傷における受傷機転の内訳は、 Direct 損傷が 10%、Indirect 損傷が 50%、Non-contact 損傷が 40%であり、Indirect 損傷が大部分を占めること が明らかとなった。更に、動画による Indirect 損傷の受傷機転を確認した結果、Indirect 損傷は上半身に外力が 加わったことにより大きく姿勢を乱し、その結果 ACL 損傷の受傷肢位を取り受傷したものと推察され、下肢のキ ネマティクスのみに着目すると、Non-contact 損傷に類似したメカニズムである可能性が示唆された。これまで、 ACL 損傷は Contact 損傷と Non-contact の 2 つの受傷メカニズムにしか分類されておらず、Contact 損傷は事 故的要素が強いということから予防が不可能であると考えられてきた。しかし Contact 損傷にも Direct 型と Indirect 型があり、Indirect 型は Non-contact 型と類似したメカニズムで損傷がもたらされる可能性が考えられるこ とから、Indirect 損傷も傷害予防の検討を進める余地のある受傷機転であることが示された。(本研究は日本臨 床スポーツ医学会誌 23(3), 427-432, 2015 に掲載されている) 研究 2 では Indirect 損傷についてアンケート調査を用いその特徴を明らかにし、ACL 損傷予防に必要とされ る基礎データの検討を行うことを目的としている。対象は 15 人制ラグビーの練習中もしくは試合中に発生した ACL 損傷の既往を有する男性ラグビー選手とし、アンケート調査を実施した。その結果、①Indirect 損傷の傷害.

(2) 発生率は 20%程度である、②合併症の特徴は Non-contact 損傷に類似している、③攻撃時のボールキャリ―中 に外力を受け受傷することが多い、④17 歳に好発する、⑤外力が加わった部位は上半身上部が最も多い、⑥ 外力の種類は相手から押される場面が多い、という結果が得られた。今後予防プログラムを検討するにあたり、 本研究で得られた情報をもとに動作解析などを行い、Indirect 型の外力が ACL に与える影響についての更なる 検証が必要であることが明らかとなった。 以上の結果を踏まえ、研究 3 では ACL 損傷に対する Indirect 型タックル(介達外力)の進入方向の違いが ACL 損傷の危険肢位に対しどのような影響があるのかについて三次元動作解析を用い検討することを目的とし た。対象は男性ラグビー選手 10 名とし、左側方および前方からタックルを受けた際の右脚着地時の膝関節と股 関節の屈曲角度、回旋角度を測定した。ボールキャリア―が体幹部へのタックル(Indirect タックル)を受ける場 面をハイスピードカメラで撮影し、動作解析ソフト(Frame-DIASⅤ)を用い三次元解析を行った。解析対象は右 足を接地した試技とし、解析対象時間は足接地後 0~50msec までとした。その結果、膝屈曲角度は前方及び側 方からのタックルいずれにおいても ACL 損傷の危険肢位である軽度屈曲位であった。股関節の外旋角度につ いては側方からのタックルにおいて、有意に高値を示した。足接地時の部位は、側方からのタックルにおいて踵 接地が 66.7%と高値を示した。これらの結果から、Indirect 型タックルの進入方向については、前方より側方から の方が相対的に ACL 損傷の危険肢位に近い肢位をとる可能性が高いことが示唆された。 以上の 3 つの研究結果より、ACL 損傷には Indirect 損傷という受傷機転が存在することが明らかとなった。また Indirect 損傷は傷害予防の検討を進める余地のある受傷機転であることが示された。これらの結果は傷害予防 プログラム開発の基礎情報となりえる。特に、従来は Non-contact 損傷を予防するために体幹部コントロール (proximal control)に加えてジャンプの着地や切り返し動作などで膝とつま先を同方向に維持する動作訓練が 行われおり、一定の予防効果を上げている。しかしこのような身体接触のない条件での予防プログラムに加えて、 上半身への物理的接触を加えた状態での動作訓練を行い、その際に物理的外力に耐えられる体幹筋機能、バ ランス能力、股関節外旋による衝撃緩衝能力を向上させること、そして外力が加わった直後に踵接地しないよう な動作訓練が Indirect 損傷を予防するうえでは必須と考えられた。このように、本研究成果は ACL 損傷メカニズ ムとして Indirect 損傷という新たな考え方を提唱し、その予防方法に関する基礎情報を与えるものとして学術的 にも臨床的にも非常に意義深いものである。 以上より、砂川憲彦氏の学位申請論文は、現在のスポーツ医学における重要な課題である前十字靭帯損傷 予防に対して非常に大きな知見を加えるものであり、博士(スポーツ科学)の学位を授与するに十分に値するも のと認める。. 関連業績 砂川憲彦, 広瀬統一, 倉持梨恵子, 竹村雅裕, 土屋篤生, 福林徹. ラグビー選手における Indirect 型 ACL 損 傷の分析 : 受傷機転の分類, 日本臨床スポーツ医学会誌 23(3), 427-432, 2015..

(3)

参照

関連したドキュメント

第 3 章および第 4 章の議論より、第 2

研究の出発点となる事実の様式化が行われている。すなわち、 1990 年代以降の日本企業の戦略展開の概

Fiegenbaum and

(3)第

第2節 水道事業の特性 第3節 先行研究の整理 第4節 計量分析 第5節 まとめ. 第5章

(2)

そして、もう一つ注目すべき点は、ASEAN を一つの市場をみなす企業が増えたことである。それによっ

個人を取り巻く環境、業績も含まれる。またサンプリング手法は、定量調査では、低コス