博 士 ( 理 学 ) 加 世 堂 公 希
学位論文題名
DIFFERENT 工 AL GEOMETRY OF
SPACELIKE SUB:N/IAN 工 FOLDS 工 NDES 工 TTER SPACE (ド・ジッター空間内の空間的部分多様体の微分幾何学)
学 位 論 文 内 容 の 要 旨
本論文ではド・ジッター空間内の空間的部分多様体から構成される写像が持つ特異点の幾何学 的意 味 を 調ベ 、 低 次元 の 場 合に 分 類 され る 特 異点 の 幾 何 学的 性 質 につ し ゝ て研究し た。
泉屋、Pei、佐野氏らは双曲空間内で超曲面からガウス像を定義し、ルジャンドル特異点に関す る理論を用いて微分幾何学的な研究を行った。
4次元ド・ジッター空間はEinstein方程式を満たす真空解のーつで、ミンコフスキー空間内で 正の定曲率をもつ空間である。したがってド・ジッター空間の幾何学はミンコフスキー空間内の 擬球面の幾何学ととらえられる。本論文ではルジャンドル特異点に関する理論を用いて、ド・ジ ツター空 間内で超 曲面・ 余次元2以上 の部分多 様体の幾 何学を 研究する ことを 目的とする。
第I部ではド・ジッター空間内にある空間的超曲面の研究を行った。まず超曲面の光的法線方 向によって定められる写像を光錐ガウス像とし、光錐ガウス像から光錐主曲率・光錐ガウス曲率 を定義した。これらの曲率は口ーレンツ変換で不変な量である。
次に超曲面の形と曲率の関係を調べた。各点で主曲率が全て一致した全臍的なタイプの超曲面 は3つの種類に分類されることが分かった。これに対してユーク1」ッド空間内の全臍的な曲面は 超球面 と超平面の2種類しかない。したがってド・ジッター空間内の全臍的超曲面の方が1種類 多い事が分かる。ガウス曲率がOの全臍的な曲面は平坦な曲面ととらえられるので、本論文では ド・ジッター一ホ口球面と呼ぶことにする。
さらに光錐高さ関数と呼ばれる関数族を定義した。光錐ガウス像は光錐高さ関数の判別集合で、
光錐ガウス像の特異点は超曲面上にある光錐ガウス曲率Oの点と対応する。この特異点上で高さ 関数のへッセ行列が退化する。本論文では光錐高さ関数がモース超曲面族であることを示し、光 錐高さ関数を生成族とするルジャンドルはめ込み芽を構成した。
また3次元ド・ジッター空間上のすべての曲面を近似するジェネリックな曲面のクラスを考え、
光錐ガウス曲率が0になる点の近傍で曲面がどのような幾何学的性質を持つかを研究した。光錐 ガウス曲率0の点の集合は曲面上で滑らかな正則曲線をなし、この正則曲線上においてガウス像 はA2型(カスピダルエッジ)とA3型(スワ口ーテイル)という2種類の特異点を持つことが分かっ た。さらにそれぞれの特異点をもつ曲面がド・ジッターーホロ球面と接触した場合の接触型を調 ベ、実際の例も構成した。
第H部では余次元2の空間的部分多様体の研究を行った。泉屋・ Pei. Romero Fuster氏らは ミンコフスキー空間内の空間的部分多様体の光的法方向を一意的に正規化することで研究を行っ た。本論文では泉屋氏らの方法によって決まる光的法方向を光的ガウス写像と定め、光的ガウス 曲率と光的主曲率を定義した。
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次に部分多様体の光的法方向に沿って伸びる線織面を構成した。これを光的超曲面と呼ぶ。光 的超曲面 の特異 点は光的主曲率が0でない値を持つときに現れる。主曲率Oに対応する特異点は 無限遠に あり、 光的超曲面上には現れないふ特異点のcorankは光的主曲率の値の重複度と対応 する。特 にcorankが最 大でか つ光的ガ ウス曲率が0(平坦)ではない場合は、空間的部分多様 体がある光錐の上に存在することが分かる。
さらに光的ガウス写像の特異点の幾何学的解釈を調べた。この特異点は光的ガウス曲率0の点 に対応し、corankは0の値をとる光的主曲率の数に等しい。したがって光的ガウス写像の特異点 は光的超曲面の特異点と異なる幾何学的意味を持つことが分かる。
最後に4次元ド・ジッター空間内のジェネ1」ックな空間的曲面を考察した。光的ガウス写像の 特異点はA2,A3型の2種類が現れる。また光的超曲面の特異点はA2,A3,A4,D4十,D4一型の5種 類が現れる。A2,A3,A4型のcorankは1で、一つの光的主曲率に対応する特異点である。一方、
D4十,D4ー 型はcorankが2とな って曲面 の2つ の主曲 率が一致 する点 に対応する。さらにそれ ぞ れ の 型 に つ い て 空 間 的 曲 面 と 光 錐 の 接 触 の 様 子 を 調 ベ 、 そ の 分 類 を 行 っ た 。 第m部では余次元2以上の空間的部分多様体の研究を行った。泉屋.Pei.高橋・Romero Fuster 氏らは双曲空間上で部分多様体の平行な擬正規直交枠から管状超曲面を構成した。これに対して 本論文ではド・ジッター空間内の空間的部分多様体から2種類の管状超曲面を構成した。前半で は空間的管状超曲面と部分多様体との幾何学的関係を調べ、後半では時間的な管状超曲面につい ての考察を行った。
第m部の前半では管状超曲面の構成の前に、まず部分多様体の空間的法線ベクトル場に依存し て定まる主曲率・ガウス曲率を定義した。この主曲率に関して全臍的な部分多様体は、第I部で 調べた空間的超曲面と類似した分類が与えられる。特に主曲率が全て0になる平坦な部分多様体 はド・ジッターーホロ球面に含まれる。空間的部分多様体の全での主曲率が0の点をド・ジッタ ーーホロ球面的点と呼ぶ。
また空間的管状超曲面の光錐ガウス像の特異点(光錐ガウス曲率0の点)は、空間的部分多様 体のある空間的法線ベクトル場に関するド・ジッター―ホ口球面的点に対応する。この対応は管 状超曲面の半径のパラメータによらない。
さらに本論文では空間的部分多様体のド・ジッターーホ口球面的点を特異点に持っド・ジッタ ーーホロ球面的超曲面を定義した。ド・ジッター―ホロ球面的超曲面は空間的管状超曲面の光錐 ガウス像と相似の関係にあり、2つの写像間の特異点型が一致する。
上述の2つの写像を判別集合とする関数族がそれぞれ定義される。低次元の場合にはジェネル ックな空間的部分多様体は、ド・ジッター一ホロ球面的超曲面・光錐ガウス像と関数族の特異点 型 は1対1に 対応して いる。またこの関係は空間的部分多様体とド・ジッターーホロ球面との接 触型にも対応する。
第皿部の後半では時間的管状超曲面と空間的部分多様体の幾何学的関係を調べた。空間的部分 多様体に対しては、時間的法線ベクトル場に関する主曲率を定義した。時間的管状超曲面に対し ては、泉屋氏が導入した時間的超曲面のド・ジッターーガウス像とド・ジッター主曲率を用いた。
時間的管状超曲面のド・ジッターーガウス像の特異点(ド・ジッターーガウス曲率0の点)は、
空間的部分多様体の主曲率と対応する。しかし空間的管状曲面の場合と異なり、主曲率の値は時 間的管状超曲面の半径のパラヌータに依存する事が分かった。
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学位論文審査の要旨 主査 教授 泉 屋周一 副査 教授 山 口佳三 副査 教授 石 川剛郎 副査 准教授 古畑 仁
学 位 論 文 題 名
DIFFERENT 工 AL GEOMETRY OF
SPACELIKE SUBrvIANIFOLDS IN DE SITTER SPACE
(ド・ジッター空間内の空間的部分多様体の微分幾何学)
本 論 文 で は ド ・ ジ ッ タ ー 空 間 内 の 空 間 的 部 分 多 様 体 か ら 構 成 さ れ る 写 像 の 特 異 点 の 幾 何 学 的 意 味 を 調 べ 、 低 次 元 の 場 合 に 分 類 さ れ る 特 異 点 の 幾 何 学 的 陸 質 に っ い て 研 究 し て い る 。4次 元 ド ・ ジ ッ タ ー 空 間 は Einstein方 程 式 の 真 空 解 の ー っ で 、 ロ ーレ ン ツ 空 間 形 で正 の 定 曲 率 をも っ も の で あり 、 最 近 の イン フ レ ー シ ョ ン 宇 宙 論 の モ デ ル を 提 供 す る な ど 、̲SXrロ 対 陸 理 論 に お い て も 重 要 な 意 味 を 持 っ 空 間 であ る 。 申 請 者は 、 ル ジ ャ ン ド ノ 凵 寺異 , 魚 論 を 用い て 、 ド ・ ジッ タ ー 空 間 内 の部 分 多 様 体 の幾 何 学 を 研 究し た 。 本 論 文は3部 構 成 と な っ て お り 、 第I部 で は ド ・ ジ ッ タ ー 空 間 内 の 空 間 的 超 曲 面 の 研 究 を 行 っ て い る 。 申 請 者 は 超 曲 面 の 光 的 法 線 方 向 に よ り 定 ま る 写 像 を 光 錐 ガ ウ ス 像 と し 、 光 錐 ガ ウ ス 像 か ら ロ ー レ ン ツ 不 変量 で あ る 光 錐主 曲 率 と 光 錐 ガ ウ ス 曲 率 を 定 義 し て い る 。 こ れ ら の 曲 率 を 研 究 す る た め に 光 錐 高 さ 関 数 と 呼 ばれ る 関 数 膜 を定 義 し て そ れ が モ ー ス 超 曲 面 族 で あ る こ と を 示 し 、 光錐 高 さ 関 数 を生 成 挨 と す る ルジ ャ ン ド ル はめ 込 み 芽 を 構成 し て い る 。 さ ら に ル ジ ャ ン ド ル 特 異 ー 齢 侖 を 応 用 す る こ と に よ り 、 光 錐 ガ ウ ス 曲率 の 零 ーrにお い て ド ・ ジッ タ ー ‐ ホ ロ 球 面 と の 接 触 の 週 イ 匕 の 様 子 を 明 ら か に し て い る 。 第n部 で は 余 次 元2の 空 間 的 部 分 多 様 体 の研 究 を 行 っ てい て 、 ド ・ ジ ッ タ ー 空 間 の 特 色 の ー っ で あ る 、 未 来 方 向 の 光 的 測 地 線 が 空 間 内 の 直線 と な る 事 を利 用 し て 、 光 的 ガ ウ ス 写 像 を 定 め 、 光 的 ガ ウ ス 曲 率 と 光 的 主 曲 率 を 定 義 し て い る 。 さ ら に 光 的ガ ウ ス 写 像 の特 異 点 の 幾 何 学 的 解 釈 を 調 べ て い る 。 次 に 部 分 多 様 体 の 光 的 法 方 向 に 沿 っ て 伸 び る 線 織 超 曲 面と し て 定 ま る光 的 超 曲 面 の 具 体 的 径 数 付 を 与 え 、 そ の 特 異 点 を 調 べ て い る 。 光 的 超 曲 面 の 特 異 点 は ブ ラ ッ クホ ー ル の 境 界な ど 様 々 を タ イ プ の 時 空 の 地平 線 の 形 状 と密 接 に 関 連 して お り 、 相 対 論的 宇 宙 論 に おい て も 重 要 なjfj象 で ある 。 申 請 者 は、
相 対 論 的 に 最 も 重 要 と 思 わ れ る4次 元 の 場 合 に 空 間 的 曲 面 に 付 随 す る 光 的 超 曲 面 や 光 的 ガ ウ ス 写 像 の 特 異 点 の 分 類 を ル ジ ャ ン ド ル 特 異 点 論 の 応 用 に よ り 与 え て い る 。 さ ら に 、 第m部 で は 余 次 元2以 上 の 一 般 の 空 間 的 部 分 多 様 体 の 研 究 を 行 っ て い る 。 ユ ー ク リ ッ ド 空 間 内 の 部 分 多 様 体 の 場 合 は 半 径が 十 分 小 さ ぃ管 状 近 傍 の 境 界で あ る 管 状 超曲 面 を 考 え て その 超 曲 面 と して の 陸 質との 如志を 考える のが常 套ヂ ,段で あるが 、この 場合 は、
そ の よ う な 超 曲 面 は 空 間 的 部 分 と 時 間 的 部 分 の2つ の 成 分 を 持 つ 。 申 請 者 は そ れ ぞ れ の 場 合 に 、 ル ジ ャ ン ド ル 特 異 点 論 を 適 用 す る こ と に よ り 、 曲 率 等 を 定 め そ の 幾 何 学 的 意 味 を 明 ら か に し 、2っ の 成 分 上 で は 、 幾 何 学 的 状 況 が 全 く 異 な る こ と を 明 ら か に し た 。 本 論 文 の3つ の 部 分 は 一 貫 し て 、 空 間 的 部 分 多 様 体 の 幾 何 学 的 陸質 をノレ ジャン ドノ 凵寺異 ,鼎侖 の応ミ用により研究するという立場を貫き、その結果、相対悩鰤と関違『.する微
分幾何学において重要で新たな知見をえたものである。
よって著者はゴ鰤萱大判曹:±(1の学位を授与される資格があるものと認められる。
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