博 士 ( 理 学 ) 前 田 展 希
学 位 論 文 題 名
Charged and Neutral Vortex Excitationsln a Mean Field Theory for the Fractional Quantum Hall Effect
(分数量子ホール効果に対する平均場理論における荷電および中性渦糸励起状態)
学 位 論 文 内 容 の 要 旨
一 様 な磁 場 中に お ける 二次元電 子系を考 える。分 数量子ホー ル効果は 電子が ラン ダ ウ 準位 に 部分 的 にっまっ ているよ うな電子 密度におい てクーロ ン相互作 用に よ る 多体 効 果に よ ルエネル ギーギャ ップが形 成されるこ とと不純 物の効果 により説 明される 。しかし 、ランダ ゥ準位が部分的にしかっまっていないとき、
多体 の 電 子状 態 は非 常 に大きな 縮退を持 ち、通常 の摂動諭に よってク ←口ン相 互作 用 に よる 多 体効 果 を調べる のは非常 に困難で ある。ラフ リンが提 案した変 分関 数 は 分数 ホ ール 状 態を良く 記述して いると認 められてい るが、ラ フリンの 理論ではナょぜこの変分関数が実際の物理系を良く記述するのか説明できないし、
物理 量 を 系統 的 に近 似 を良くし て計算す ることが できない。 この論文 では、非 摂動 論 的 な効 果 をと り 入れるた めに汎関 数積分法 において平 均場理論 を構成し filling factorリ=1/3の 量 子 ホー ル 状態 に 適 用し た 。 我々 の 平均 場 理 論で は 微視 的 な ハミ ル トニ ア ンから出 発し電子 場の二点 相関関数に 対する平 均場解と その ま わ りの ゆ らぎ を に取入れ ることに より分数 ホール状態 とその励 起状態を 系統的に調べることができる。
まず、電子場の二点相関関数に対してbi―localナょ補助場U(x.y)を導入し、
電子 場 を 積分 す るこ と に よりUに 対 する 有 効 作用 を 求め、そ の停留条 件から平 均場 に 対 するself−consistency conditionを求 め た。平 均場の形 を電荷密 度 の ゆ ら ぎ を 表 わ すUの 絶 対 値 成 分 とdynamicalな ゲ ー ジ ポ テ ン シ ャ ル を合 む Uの 位 相 部 分に 分 ける こ と によ り 、self−consistency conditionの 式 を一 体
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の電子に対する非線形シュレーディンガ一方程式に書き換えることができる。
その解として電子密度一定の量子ホール状態の基底状態に対応する解と、準粒 子を含む励起状態に対応するトポロジカルな量で特徴づけられる解(vortex 解)
が最近得られた。この論文では特にトポ口ジカルな励起状態にっいて詳しく解 析した。
このトポロジカルな励起状態はvortex (渦)の配位を持ち、渦度と呼ばれる 整数n で 指定 される 。こ の論文では渦度が1 と2 の場合にっいて特に調べた。
vortex
解には二種類あり、ーっは荷電vor tex 解で分数電荷土ne/3 、分数角運 動量土
n/3を 持つ。 もう ーっは中性vortex 解で電荷も角運動量もゼロであっ た。また
vortexの生成エネルギーは平均場エネルギーと平均場のまわりのゆ らぎのエネルギ―の和で計算した。反対の電荷を持つ荷電
vort exの対生成エ ネルギーからギャップェネルギーの磁場依存性を計算した結果、ラフリン理論 等に基づく他の理論値と一致した。
我々 の荷 電vortex 解はラ フリ ン理 論に おける
quasiholeと
quasiparticleに相当する準粒子の励起状態を記述している。また、他の理論では得られてい ない中 性
vortexの生 成エネ ルギ ーは 荷電
vortexの対 生成 エネルギーの約半 分であ った 。こ の中 性vortex は 渦度
2を 持ち 、反 対の電 荷を持つ渦度1 のニ つの荷電vortex の束縛状態であると考えられる。
self
−
consistentな
vortex解において電子状態は、非線形シュレーディン ガ一方程式を数値的に解いてー体の電子に対するエネルギ一固有値を計算した 結果、vortex の中心の近くに確率密度が分布している固有状態にっいてエネル ギーの縮退が解けていることがわかった。例えば渦度
1で電荷‑ e/3 の
vortexでは一体の角運動量1=0 の固有状態の固有値が他に比べて大きな値をとり、そ の 結果 と し て
1=
Oの 固有 状態が 空い て電 子密 度がvortex の中 心でe/3 だけ 減少するという物理的解釈が可能である。縮退が一部分解けたことにより我々 が構成した電子状態が平均場ハミルトニアンの固有状態ではなくナょるという困 難が生じる。しかし、この問題は補助場を導入する際の任意性をうまく利用す ることにより解決できることが判った。
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結諭として我々は場の量子論的手法を用いてトポロジカルな励起状態を系統 的に調べ、ギャップェネルギーの磁場依存性や準粒子の性質を計算した。荷亀
vortexはラフリン理論における準粒子と似た性質を持っことがわかった。中 性
vortexは他の理論では得られていない準粒子であり、これが実験で見っか れば我々の理論を裏ずける証拠となるだろう。
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学位論文審査の要旨
学 位 論 文 題 名
Charged and Neutral Vortex Excitationsln a Mean Field Theory for the Fractional Quantum Hall Effect
(分数量子ホール効果に対する平均場理論における荷電およぴ中性渦糸励起状態)
物 理 基 礎 定 数 の 決 定 や 抵 抗 標 準 に 使 わ れ る と 共 に 、 新 し い 型 の 非 圧 縮 性 量 子 液 体 と し て 注 目 さ れ て い る 量 子 * − ル 効 果 の 物 理 的 解 明 は 、 そ の 発 見 後 約 10年 間 で 進 展 し て き た が 、 ま だ 多 く の 未 解 決 の 問 題 が 残 さ れ て い る 重 要 な 課 題 の ー つ で あ る 。 申 請 者 は 、 本 研 究 に お い て1/ 3占 有 数 分 数 量 子 ホ ー ル 液 体 を 2点 場 平 均 場 理 論 に よ り 調 べ 、 励 起 状 態 で あ る 荷 電 渦 糸 、 及 び 中 性 渦 糸 の 性 質 を 明 ら か に し た 。 荷 電 渦 糸 が 、 既 存 の 方 法 で 求 め ら れ て い た も の と 同 様 の 性 質 を 持 つ こ と が 確 か め ら れ る と 共 に 、 異 符 号 の2つ の 荷 電 渦 糸 か ら な る 結 合 状 態 と み な せ る 新 し く 求 め ら れ た 中 性 渦 糸 が 2っ の 荷 電 渦 糸 の エ ネ ル キ ゛ − よ り 小 さ な エ ネ ル キ ゛ − を 持 つ こ と が 示 さ れ た 。 こ れ ら は 、 分 数 量 子 ホ ー ル 状 態 の 重
要な性質を決めるものであり、近い将来、実験による確認がなされることが期待され る。
強 磁 場 下 で の2次 元 電 子 は 、 エ ネ ル キ ゛ ー 的 に 縮 退 し た ぅyタ ゛ ウ 準 位 か ら な り 、 電 子 間 相 互 作 用 の 効 果 が 極 め て 強 い た め 分 数 量 子 * − ル 液 体 ゛ に お け る 相 互 作 用 の 取 り 扱 い に は 、 摂 動 論 と 異 な る 方 法 が と ら れ る 。 分 数 量 子 ホ ー ル 液 体 は 非 圧 縮 性 流 体 で あ る 。 磁 場 の 効 果 で 、 通 常 の 密 度 の 揺 ら ぎ は エ ネ ル キ ゛ ー キ ゛ ヤ77° を も つ 。 そ の た め 、 渦 糸 が こ の 系 で の 励 起 状 態 を き め る と い う 重 要 な 働 き を し て い る 。 よ っ て 渦 糸 の 性 質 の 解 明 は 、 量 子 * − ル 液 体 の 理 解 に と っ て 重 要 で あ る 。
申 請 者 は 、 ま ず 分 配 関 数 の7エ ル ミ オ ン 場 に 関 す る 経 路 積 分 表 示 で 変 数 を2点 * ゛ ッ ン 場 へ と
三 治
昇 義
健
寛
房
川
井
本
川
石
藤
河
大
授
授
授
授
教
教
教
教
査
査
査
査
主
副
副
副
変数 変換 し、 2点 き. ゾン 場に 関す る有 効理 論を 導い た。 次に2点ホ ゛ッ ン場 に関 する 積分を 停 留 点 で の 値 と そ こ で の 揺 ら ぎ か ら の 寄 与 の 和 と し て 求 め る 停 留 点 近 似 (2点 * ゛ ッ ン 場 平 均 場 近 似 ) を 使 い 分 配 関 数 、 エ ネ ル キ ゛ 一 等 の物 理量 を計 算し た 。停 留点 (平 均場 )の 条 件 は 、 2点 関 数 に 関 す るself−consistencyの 条 件 に 一 致 す る 。 こ の 条 件 を 満 た す 解 と し て 、 空 間 的 に 一 様 な も の が 既 に 求 め ら れ て い た 。 申 請 者 は 新 し く 非 一 様 で あ り 、 か つ 一 点 の 周 り に ト * ゜ ロ シ . 一 的 な 特 異 性 を 持 つい くっ かの 渦糸 の 解を 求め 、そ の性 質を 明 らかにした。
平 均 場 と し て の 渦 糸 は 複 雑 な 非 線 形 徽 積 分 方 程 式 の 解 と し て 求 め ら れ る 。 申 請 者 は 、 数 値 的 手 段 に よ り こ の 方 程 式 を 近 似 的 に 解 き 荷 電 渦 糸 、 中 性 渦 糸 等 い く っ か の 渦 糸 解 を 求 め た 。 さ ら に 、 平 均 場 か ら の 揺 ら ぎ に よ る 補 正 を 次 に 調 べ た 。 補 正 項 は2点 関 数 に 関 す る 伝 幡 関 数 、 即 ち あ る 種 の4点 関 数 、 を 使 い 表 わ さ れ た 。 最 も 大 き な 寄 与 を な す 補 正 項 の 値 が さ ら に 具 体 的 に 求 め ら れ 、 そ れ ら に 基 ず き 渦 糸 の 性 質 が 以 下 の 通 り 明 らかにされた。
(1) 渦 糸 は 磁 気 長 程 度 の 空 間 的 大 き さ を も ち 、 内 部 の 中 心 で は 密 度 が 零 と な り 外 部 の遠方では一様な密度となっている。
(2)荷電渦糸は分数 電荷と分数角運動量をもつ。
(3)荷亀渦糸より求 まる活性化工ネルキ゛ーは実験値より大きい。
(4)中性渦糸が新しく求められた。そのエネルキ゛ーは荷電渦糸対のエネルキ゛−よりも小さくそ の半分より大きい。
荷 電 渦 糸 は 、 こ れ ま で の 他 の 計 算 方 法 の も の と 良 い 一 致 を 示 し て い る 。 新 し く も と ま った中性渦糸については本論文で初めて明らかにさ れたものである。
こ こ で 理 論 的 に 明 ら か に さ れ た 荷 電 渦 糸 に 関 す る 事 柄 は 実 験 と の 一 致 が 概 ね 良 い 。 中 性 渦 糸 に 関 す る 事 柄 は 新 し い も の で あ り 、 近 い 将 来 に 実 験 的 検 証 が 為 さ れ る こ と が 期待される。
本 論 文 で 申 請 者 は 、 新 し い 計 算 方 法 に 基 ず き 新 し い 有 意 義 な 知 見 を 得 た 。 よ っ て 審 査 員 一 同 は 、 申 請 者 が 博 士 ( 理 学 ) の 学 位 を 受 け る に 充 分 な 資 格 を 有 す る と 認 め た 。
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