• 検索結果がありません。

脳卒中病型別理学療法の開発に向けた脳梗塞後および脳出血後の脳内改善機序の基礎的比較検証

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "脳卒中病型別理学療法の開発に向けた脳梗塞後および脳出血後の脳内改善機序の基礎的比較検証"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)理学療法学 第 156 44 巻第 2 号 156 ∼ 157 頁(2017 年) 理学療法学 第 44 巻第 2 号. 平成 26 年度研究助成報告書. 2.脳卒中モデルラットの作製  ペントバルビタールナトリウム腹腔内投与麻酔下にて,ラッ. 脳卒中病型別理学療法の開発に向けた脳 梗塞後および脳出血後の脳内改善機序の 基礎的比較検証. トを脳定位固定器に固定した。頭部の皮膚を切開して頭蓋骨を 露出させた後,ドリルでブレグマ縫合から左外側 3.6 mm の位 置に小穴を開けた。ステンレス製カニューレを頭蓋骨表面から 深度 6.0 mm まで挿入した。脳出血モデルラットの作製には血 管壁を脆弱化させるコラゲナーゼ(TypeIV,50 U/min,4.0 µ l,. 1)2)3). 玉越敬悟(PT, PhD). 3). Sigma 社),脳梗塞モデルラットの作製には血管を攣縮させる. ,石田和人(PT, PhD). エンドセリン -1(100 pmol,4.0 µ l,Calbiochem 社)を,マイ 1). クロシリンジポンプ(Eicom 社)を用いて 0.5 µ l/min の流速で. 2). 8 分間注入した。注入終了後,切開した頭部の皮膚を縫合し,. 3). 切開部を消毒した。. 新潟医療福祉大学医療技術学部理学療法学科 新潟医療福祉大学運動機能医科学研究所 名古屋大学大学院医学系研究科. 3.運動機能評価  運動機能評価には Horizontal ladder test を用いて,先行研. キーワード:脳出血,脳梗塞,理学療法. 究を参考に術後 1 日目,14 日目における前後肢のステッピン 緒  言. グ機能を評価した 2)3)。ランダムに配置された全長 1 m ある梯.  脳卒中は,我が国の3大死因のひとつであり,発症後に介護. 子の上を 3 回ずつ渡らせ,その様子を側面からビデオカメラを. が必要となる疾患の原因第 1 位である。脳卒中の病型分類のう. 用いて撮影した。梯子の位置は毎回ランダムに配置した。麻痺. ち脳梗塞と脳出血は,特に発症頻度が多く,脳梗塞は脳卒中全. 側前肢または麻痺側後肢で梯子を正確に把握した数(Correct. 体の約 75%,脳出血は約 20% を占める。脳卒中データバンク. rate)と麻痺側前肢または麻痺側後肢が梯子から落下した数. 2015 では,入院時の意識障害は各病型ともに同等の頻度で認. (Fall rate)を全ステップ数に対する割合でそれぞれ求めた。. められるが,片麻痺を認める頻度は,脳梗塞の方が脳出血より. また,それぞれの割合について前後肢を合算した割合を Total. 多い。しかし,予後不良の割合は,脳梗塞より脳出血の方が多. correct rate または Total fall rate として求めた。. いことが記されている。これまでにリハビリテーションを施行. 4.組織学的評価. した場合の脳梗塞患者と脳出血患者の機能改善について比較検.  術後 15 日目に深麻酔下にて 0.9% 生理食塩水で経心的に脱血. 証した臨床研究が報告されている。年齢,発症後経過日数,性. を行った後,4% パラフォルムアルデヒドで灌流固定を行った。. 差,入院時神経症状スコア,入院時日常生活活動(ADL)ス. 脳組織を採取し,同溶液で後固定を行った。ブレグマを起点に. コア,リハビリテーション期間が同等の脳梗塞患者 135 名と脳. 前方 +1.4 mm から 500 µ m 毎に 6 枚の凍結切片を作製し,ク. 出血患者 135 名に対してリハビリテーションを実施したとこ. レシルバイオレット溶液を用いて染色を行った。画像解析ソフ. ろ,神経症状スコアおよび ADL スコアはともに脳出血患者の. ト ImageJ を用いて傷害体積を解析した(図 1)。. 方が脳梗塞患者より有意な改善を認めたと報告されている. 1). 。. 5.統計学的手法. リハビリテーションを実施した場合の機能予後は脳出血患者の.  Horizontal ladder test および傷害体積のデータの群間比較に. 方が脳梗塞患者より良好であり,リハビリテーションの効果は. は Student’s t test を用いた。なお,有意水準は 5% とした。. 病型で異なる可能性が高いと考えられる。. 結  果.  動物実験において,部位・傷害範囲を同等にした脳梗塞モデ.  術後 1 日目では,前後肢のステッピング機能において両群間. ルラットと脳出血モデルラットを用いて,運動機能障害の自然. に有意差はなかった(P > 0.05) 。術後 14 日目において,脳出. 回復過程を比較検証した研究では,脳出血モデルラットの方が. 血群の Total fall rate および後肢の Fall rate が脳梗塞群より有. 脳梗塞モデルラットより運動機能障害の自然回復が有意に早い. 意に低値を示した(P < 0.05) 。術後 15 日目における傷害体積. ことが報告されている. 2). 。しかし,出血または梗塞による傷害. は両群間に有意差は認められなかった(P > 0.05) 。. の大きさを限局した部位で同程度にしたときの機能回復過程を. 考  察. 比較検証した報告はない。本研究は,線条体に限局して脳出血.  本研究の結果から脳出血または脳梗塞による組織傷害が同程. および脳梗塞を人為的に発症させ運動機能回復の自然回復を比. 度のとき,機能障害の自然回復は脳出血の方が脳梗塞より早い. 較検証することを目的とした。. ことが示された。大脳皮質感覚運動野および線条体の両部位に. 方  法. 出血または梗塞を同程度の傷害体積になるように発症させ,後. 1.実験動物と実験群. 肢のステッピング機能の自然回復を比較検証した先行研究で.  本研究には,Wistar 系雄性ラット(n=15)を用いた。全ラッ. は,脳出血は脳梗塞より回復が早いことが示されている 2)。本. トは 12 時間の明暗サイクルの下,餌と水を自由摂取できる標. 研究は先行研究の結果と同様の結果が得られ,線条体に限局し. 準ケージで飼育した。すべての処置は新潟医療福祉大学動物実. た傷害においても脳出血の方が脳梗塞より機能回復が早いこと. 験委員会の承認を得て行った。実験群には脳出血群(n=6)と. を示した。. 脳梗塞群(n=9)を設けた。.  脳虚血後では,虚血周囲において過剰に放出されたグルタミ ン酸による興奮毒性,酸化ストレスによって生じたフリーラジ.

(2) 脳梗塞後と脳出血後の運動機能回復の比較検証. 157. 図 1 (A)脳梗塞および(B)脳出血後の組織傷害 図は脳の前額面断像を示しており,線条体部の組織傷害体積を解析した.術後 15 日目において両者の組織 傷害体積は同程度であった.. カルや活性酸素,炎症性サイトカインが神経細胞に対してアポ トーシスを誘導する. 4). 。一方,脳出血では,血腫や脳浮腫によ. る圧迫や血腫に含まれるヘモグロビンやトロンビンが脳組織の 破壊に関与しており,出血巣や周辺部において,神経細胞もし くはアストロサイトのアポトーシスが起こる 5)。また,脳出血 もしくは脳梗塞発症直後における病巣部位の遺伝子発現を調査 した研究では,増減する遺伝子の種類が両者で異なることが報 告されている 6)。さらに,傷害周辺部におけるアストロサイト の数が脳出血の方が脳梗塞より多い傾向にあることが報告され ている 7)。これらのことから出血および梗塞による脳内細胞へ の影響は両者で異なるといえ,傷害中心部や周辺部におけるグ リア細胞,神経保護作用や神経可塑性の作用機序の違いが機能 回復過程に影響を与えていると考えられる。今後の課題として 神経細胞やグリア細胞における両者の影響を比較検証し,脳内 作用機序から機能障害の自然回復過程の差異について追究する 必要がある。そして,脳卒中病型別理学療法の必要性を提言す る科学的根拠を構築するためにリハビリテーションの介入効果 について比較検証を行う必要があると考えている。 文  献 1)Paolucci S, Antonucci G, et al.: Functional outcome of ischemic and hemorrhagic stroke patients after inpatient. rehabilitation: a matched comparison. Stroke. 2003; 34: 2861‒2865. 2)Mestriner RG, Miguel PM, et al.: Behavior outcome after ischemic and hemorrhagic stroke, with similar brain damage, in rats. Behav Brain Res. 2013; 244: 82‒89. 3)Metz GA, Whishaw IQ: Cortical and subcortical lesions impair skilled walking in the ladder rung walking test: a new task to evaluate fore- and hindlimb stepping, placing, and co-ordination. J Neurosci Methods. 2002; 115: 169‒179. 4)Mehta SL, Manhas N, et al.: Molecular targets in cerebral ischemia for developing novel therapeutics. Brain Res Rev. 2007; 54: 34‒66. 5)Matsushita K, Meng W, et al.: Evidence for apoptosis after intercerebral hemorrhage in rat striatum. J Cereb Blood Flow Metab. 2000; 20: 396‒404. 6)Ren C, Guingab-Cagmat J, et al.: A neuroproteomic and systems biology analysis of rat brain post intracerebral hemorrhagic stroke. Brain Res Bull. 2014; 102: 46‒56. 7)Mestriner RG, Saur L, et al.: Astrocyte morphology after ischemic and hemorrhagic experimental stroke has no influence on the different recovery patterns. Behav Brain Res. 2015; 278: 257‒261..

(3)

図 1 (A)脳梗塞および(B)脳出血後の組織傷害

参照

関連したドキュメント

  BCI は脳から得られる情報を利用して,思考によりコ

にて優れることが報告された 5, 6) .しかし,同症例の中 でも巨脾症例になると PLS は HALS と比較して有意に

 膵の神経染色標本を検索すると,既に弱拡大で小葉

に時には少量に,容れてみる.白.血球は血小板

前項では脳梗塞の治療適応について学びましたが,本項では脳梗塞の初診時投薬治療に

の改善に加え,歩行効率にも大きな改善が見られた。脳

脳卒中や心疾患、外傷等の急性期や慢性疾患の急性増悪期等で、積極的な

園内で開催される夏祭りには 地域の方たちや卒園した子ど もたちにも参加してもらってい