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J. Jpn. Coll. Angiol. 58(supplement): S95-S102 (2018)

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特別企画1

大動脈疾患の分子病態:オーバービュー

久留米大学循環器病研究所

○青木 浩樹

 大動脈瘤と大動脈解離は日常診療でしばしば遭遇する代表的な成人大動脈疾患であるが、根本的な病態メカニズムには不明な点が多 い。積極的な治療介入は大径大動脈瘤あるいは上行大動脈解離に対する人工血管置換術であり、予後を改善する内科的治療は充分確立 されているとは言い難い。人工血管置換術のアプローチやデバイスが急速に進歩し、予後改善や低侵襲化に寄与しているのに対して、 病態解明や内科的治療の開発はなお発展途上にある。大動脈瘤は慢性の経過を辿るのに対して大動脈解離は急性疾患である。いずれの 疾患も大動脈壁の破壊を特徴としており、近年の研究から炎症応答の重要性が注目されている。炎症応答は多種類の細胞や細胞外分子 が関わる複雑なネットワークを形成しており、一元的に捉えられるものではないことが大動脈疾患の病態解明を困難にしている。大動 脈疾患における炎症の役割として、当初は組織破壊の側面が注目されたが、近年の研究からは組織保護の面でも重要であることが明ら かになりつつある。本企画では、大動脈疾患の分子病態について最新の知見を交換し、炎症応答の多面性を検討したい。 Key words:aortic aneurysm,aortic dissection

MicroRNA-33の欠損は複数の抗炎症経路を介して大動脈瘤の形成を抑制する

1

京都大学 循環器内科、

2

久留米大学循環器病研究所

○尾野 亘

1

、中尾 哲史

1

、堀江 貴裕

1

、木村 剛

1

、大野 聡子

2

、青木 浩樹

2  大動脈瘤は無症状のまま径が拡大し、一旦破裂すると8~9割死亡するという重大な疾患である。大動脈瘤に対する治療標的の候補と しては、血管組織を破壊して脆弱性を惹起するプロテアーゼやそのシグナル伝達に関わる分子と考えられているが、まだ臨床応用には 至っていない。複数のシグナル経路や、血管炎症全般を同時に抑制することが有用である可能性がある。microRNA(miR)は様々な標 的遺伝子を転写後調節により抑制し、特に miR-33 の抑制は脂質代謝や炎症の改善につながることが明らかとなってきた(Mol Cell Biol 2018 in press, Circ Res 2017, Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2017, J Neurosci 2015, Sci Rep 2014, Nature Communications 2013, J Am Heart Assoc. 2012, Proc Natl Acad Sci U S A. 2010)。また、miRを制御する核酸医薬技術が臨床応用されつつあるため、今後の創薬の 対象となりうる可能性がある。今回、miR-33の欠損により大動脈瘤の形成を抑制することができたため、その詳細について報告する。 Key words:microRNA,aortic aneurythm

遺伝性大動脈瘤に対する分子標的治療への挑戦

東京大学 循環器内科学

○赤澤 宏

 マルファン症候群(MFS)は FBN1 の遺伝子異常により全身の結合組織の構造・機能破綻を来す常染色体優性の希少難治性疾患であ るが、とくに大動脈の組織脆弱性に起因する大動脈瘤、大動脈解離が患者の予後やQOLに関わっている。その病態形成にtransforming growth factor(TGF)-βシグナルの過剰な活性化の関与が想定され、選択的アンジオテンシン II(Ang II)1 型(AT1)受容体拮抗薬ロサ

ルタンがこれらを抑制して病態進展を防ぐ可能性が動物実験により示唆されていた。しかし、無作為化比較対照臨床試験ではロサルタ ンにβ遮断薬プロプラノロールを上回る効果が得られなかった。本疾患の分子病態は依然として不明な点が多く、AT1受容体活性化と

TGF-βシグナル活性化との因果関係も明らかでない。我々はMFSモデルであるFbn1C1039G/+マウスの大動脈において酸化ストレスが増

加していることを見出し、その産生に関わる血管内皮由来の酵素を同定した。この酵素の阻害薬を投与することで大動脈における弾性 線維の断裂や中膜肥厚、外膜へのマクロファージ浸潤が抑制され、大動脈瘤形成も抑制された。FBN1 遺伝子変異により大動脈瘤形成

(3)

が生じる分子病態と、MFSの新たな分子標的治療の可能性について紹介する。 Key words:Marfan syndrome,Oxidative stress

動脈硬化・大動脈瘤形成におけるNLRP3インフラマソームの役割

自治医科大学分子病態治療研究センター 炎症・免疫研究部

○高橋 将文

 心血管疾患や生活習慣病における無菌性炎症の惹起経路の一つとして、NLRP3 インフラマソームと呼ばれる自然炎症経路が注目さ れている。NLRP3 インフラマソームは、パターン認識受容体である NLRP3 とアダプター分子である ASC、さらにその下流のカスパー ゼ-1から構成され、危険シグナルによって活性化されると、強力な炎症性サイトカインであるIL-1βの産生および炎症性細胞死である Pyroptosisが引き起こされて炎症が惹起される。私たちは、これまで様々な心血管疾患や腎疾患における無菌性炎症が、このNLRP3イ ンフラマソームを介して惹起されてくることを報告してきた。動脈疾患では、血管傷害後の新生内膜形成や高コレステロール食で誘導 した動脈硬化病変、さらに腹部大動脈瘤の形成がインフラマソーム構成分子の欠損によって抑制され、動脈壁における炎症でもインフ ラマソームを介した炎症惹起が重要であることを明らかにしている。また最近、私たちは、コレステロール結晶やリン酸カルシウム結 晶に加えて、過剰な飽和脂肪酸がマクロファージに取り込まれて細胞内で結晶化し、リソソームの破綻を引き起こしてインフラマソー ムを活性化することも報告している。一方、2017年秋に、完全ヒト抗IL-1β抗体であるカナキヌマブを用いた心血管イベントの再発予 防効果を検証する臨床試験(CANTOS)の結果が報告され、動脈壁の炎症を介した心血管イベントにおけるIL-1β阻害の有効性が示唆さ れている。本シンポジウムでは、NLRP3インフラマソームとIL-1βを中心に、動脈壁での炎症の役割とその治療標的としての可能性に ついて考察したい。 Key words:Inflammation,Aorta

特別企画2

血管看護の多様性と専門化

西南女学院大学

○溝部 昌子

 血管看護は血管障害患者に対する看護ではあるが、厳密にはその技術を以て対象を看護することがその専門領域かと思われる。とい うのは、米国Society for Vascular Nursing(SVN)の学会誌や学術集会には、血管障害患者ではない腹膜透析や血液凝固にかかわる治療 の看護が含まれており、Vascular Nurseが患者の治療や療養の場所で提供している看護が血管看護と認識されており、私たち日本の血 管看護師においても同様の感覚があるからだ。  米(1982)、加(2000)、英(2008)にそれぞれ血管看護学会組織が設立され、日本においても2015年日本血管看護研究会設立に至った。 歴史のあるSVNについてみると、その扱うテーマは、動静脈疾患やリンパ、血液透析シャントに限らず、例えば静脈血栓予防の対象は、 入院患者、介護施設入居高齢者、手術患者、産科領域、地域住民など多様で、そこには血管外科医あるいは循環器内科医との直接のか かわりのない対象が含まれる場合がある。また、Vascular Nursing を標題とする書籍からみると、看護が用いる手法は、周術期管理、 創傷管理、疼痛管理、薬物療法の支援だけではなく、栄養管理、運動療法、禁煙療法、在宅療養、心理的支援、社会支援など上記の血 管診療医以外の専門家と共同する必要が生じている。  血管障害に関係する領域を広く血管看護ととらえ、多様な患者に対して、多様なケア技法を駆使すると念頭に置いたとしても、現時 点では血管看護師がその専門性を発揮していることを立証できるエビデンスは示されていない。平成 28 年新収載された「認知症ケア加 算」に関する日本老年看護学会の取り組みを参考に、今後求められる取り組みについて示したい。 Key words:Vascular Nursing,Vascular Nurse

(4)

ベッドサイドで実践するバスキュラーアクセス管理 −看護師・臨床工学技士の視点から−

国際医療福祉大学 福岡看護学部

○岩倉 真由美

 慢性腎不全患者にとって、血液透析治療を長期間安定して継続できることはQOL維持・向上の重要な側面となる。この血液透析治療 を安定し円滑に実施するためには良好なバスキュラーアクセス(Vascular Access)が必須となり、血管看護の質保証として適切なバス キュラーアクセス管理が求められる。  バスキュラーアクセスの95%以上はシャントである。シャントは血液透析治療のために作成された人工的かつ非生理的なものである ため、閉塞や狭窄、瘤形成、感染症など多様なリスクを含有する。また、リスクの背景には、患者の身体的要因として、透析の長期化、 高齢、心機能障害、糖尿病などによる血管の脆弱性が挙げられる。そして、医療者側の要因として、不適切なバスキュラーアクセス管 理技術が挙げられる。  本講演では、バスキュラーアクセス管理における血管看護として、1. リスク低減と血管障害の予防についての教育 2. 血管障害の起こ り、兆候、症状、治療について 3. 血行の評価 4. 血管障害の進行を抑え、血管障害のリスクを下げる 5. ケアの継続性の保持、という5 つの内容について考えていきたい。 Key words:Vascular Nursing,Vascular Access

静脈血栓塞栓症予防における手術看護の役割と課題

一般財団法人住友病院 手術室

○中山 佳之

 血管に関連する手術には、大血管疾患に対する人工血管置換やステントグラフト術、末梢動脈疾患に対するバイパス手術、静脈瘤に 対する手術、また血液透析用のバスキュラーアクセスや虚血肢の切断術など、様々な外科診療科の術式があり、その周術期に関わる手 術看護と血管看護は深い関係があると言える。今回「血管看護の多様性」というテーマに対し、周術期における血管看護について情報共 有したい。麻酔や手術において血管に関わる重篤な二次的合併症として、静脈血栓塞栓症(VTE)が挙げられる。手術侵襲による生体反 応はじめ、近年の内視鏡下手術やロボット支援下手術による特殊体位、手術患者の高齢化、基礎疾患などがその因子となる。手術室看 護師は、術前にそのリスクを評価し、術前、術中、術後に指示された予防策を実践し、病棟看護師へ継続していく。また合併症予防に 関連する理学療法や早期離床などの患者教育にも携わる。つまりVTEの病態やリスク因子をアセスメントし、予防策に必要なデバイス や薬物を理解する必要がある。周術期の二次的合併症予防に関わるチームの一員として、手術看護の役割は大きい。手術看護認定看護 師としての看護実践や活動を通じ、今後の課題を検討する。 Key words:OPN,VTE

特別企画3

管腔面に生える『毛』の機能と新動態

広島大学大学院医歯薬保健学研究科 解剖学及び発生生物学/科学技術振興機構さきがけ

○池上 浩司

 ヒトを含む哺乳動物では,身体を構成するほとんど全ての細胞に『一次線毛』と呼ばれる直径200~300nm,長さ2~10µmの毛が1本 ずつ生えている。『ほとんど全て』という言葉どおり,体内の管腔面を覆う上皮についても、その発生学的由来(中胚葉性の漿膜中皮, 腎臓尿細管上皮や集合管上皮,脈管内皮;内胚葉性の胆管上皮,膵管上皮)を問わず一次線毛が生えている。一次線毛には成長因子やホ ルモンの受容体や,イオンチャンネルが特異的に局在している。これらの分子局在が示すように,一次線毛は細胞外因子の『ケミカルセ

(5)

ンサー』や,細胞外環境の物理学的変化(たとえば水流)の『メカノセンサー』として機能している。一次線毛が全身の細胞でセンサーと して機能していることから,一次線毛を完全に欠損する個体は発生異常により胎性致死となる。一次線毛の不完全な形成や機能失調で は,器官や組織の形成から細胞の代謝まで幅広い異常を呈する。これら線毛の異常に起因する幅広い症状を示す疾患群を,近年『線毛病 (ciliopathy)』と呼び,原因遺伝子変異が次々と明らかになっている。演者らは主に腎臓集合管上皮を用いた研究により,センサーとし て働く一次線毛の先端が切断されて細胞外に放出される現象を発見し,その分子メカニズムの一端と一次線毛端切断の意義を明らかに した。本講演では,脈管系に加えて一次線毛研究が最も盛んな腎臓内の管腔に関する知見も交えて,管腔面に生える一次線毛の機能と その異常に起因する疾患に関する研究の世界的動向を紹介し,演者らが発見した新しい現象,一次線毛端の切断・放出について,その 将来展望などを討論したい。 Key words:primary cilia,extracellular vesicle

特別企画4

大動脈解離の分子病態におけるmTORの役割

1

久留米大学病院 心臓・血管内科、

2

久留米大学循環器病研究所

○堀 真貴子

1

、青木 浩樹

2

、大野 聡子

1

、西原 通秀

1

、古荘 文

1

、平方 佐季

1

、西田 憲史

1

、伊東 壮平

1

 橋本 洋平

1

、眞島 涼平

1

、福本 義弘

1  急性大動脈解離は致死的救急疾患として知られるが、その発症メカニズムは未だ明らかになっていない。我々は解離の分子病態を明 らかにするため、コラーゲン架橋酵素阻害薬であるBAPNとアンジオテンシンIIの持続投与によりマウス解離モデル(BAPN+AngIIモ デル)を作成し、解離発症前のマウス大動脈組織を用いて評価を行った。ベイズネットワーク解析では炎症応答、増殖応答を含むいく つかの遺伝子クラスターを形成することが分かった。そこで我々は増殖応答に着目し、増殖応答阻害薬としてmTOR阻害薬であるラパ マイシンを選択した。増殖応答の評価のため Ki67、G1 サイクリンを用いて定性・定量評価を行ったところ、これらは BAPN+AngII 刺 激により増加し、ラパマイシン投与により抑制された。そして、ラパマイシンは BAPN+AngII 刺激による解離発症を完全に抑制した。 mTORを介する解離発症の分子病態を明らかにするためさらにベイズネットワーク解析を行ったところ、ラパマイシンは増殖応答に対 して強い抑制効果を示した一方、炎症応答に対してはほとんど抑制効果を示さなかった。さらにラパマイシンによる解離への治療効果 を検証するため、解離発症後のモデルマウスに対しラパマイシンを投与したところ、解離の進展及び破裂を有意に抑制した。以上から、 mTORが解離の分子病態において中心的な役割を果たしており、発症だけでなく進展においても重要である事が示された。これらの結 果から、mTORは新たな治療ターゲットとなりうる重要な分子であるといえる。 Key words:Aortic dissection,mTOR

脂質代謝を標的とした新規大動脈瘤薬物治療の可能性;microRNA-33の視点から

1

京都大学医学部付属病院 循環器内科、

2

Medical and Population Genetics Program, Broad Institute

○中尾 哲史

1,2

、堀江 貴裕

1

、尾野 亘

1 【背景】腹部大動脈瘤は、CTの普及等により早期発見例も増加する一方で、進行を予防する確立した薬物療法がなく、無症状にも関わら ずリスクを伴う予防的手術が必要となる。我々は、薬物療法の開発を目指し、脂質と炎症の調節因子であるmicroRNA-33(miR-33)に注 目し、その大動脈瘤に対する影響を検討した。

【方法】マウスの大動脈瘤モデルとして、炎症を主体とするCaCl2モデル、脂質代謝の悪化を伴う Apoe 欠損マウスに Angiotensin II を負

荷するモデルの二つを用いた。また、in vitroおよび骨髄移植実験を行って機序を検討した。 【結果】二つの大動脈瘤モデルいずれにおいても、miR-33欠損マウスで大動脈瘤径が抑制された。

次に、マクロファージと血管平滑筋細胞についてin vitroで検討したところ、miR-33欠損では、それぞれJNK、p38 MAPKの活性低下 によりMMP9、MCP-1の発現が低下していた。また、miR-33欠損マウス由来のHDLは、より強い抗炎症効果を示した。

(6)

よびレシピエントのいずれでmiR-33が欠損しても、動脈瘤形成が抑制されることが明らかになった。 【結語】現在最も有用な可能性のある薬剤はスタチンであるが、その効果は粥状硬化の抑制による間接的な抗炎症効果とpleiotropic effect による直接的な抗炎症効果の相乗効果と解釈できる。miR-33の抑制は、同様のメカニズムを有する上に、スタチンの使用によりmiR-33 が上昇することから、スタチンとの相乗効果が期待できる。現在、相補的核酸薬によるmiR-33抑制の大動脈瘤治療効果、スタチンとの 併用効果について検討中である。 Key words:Abdominal aortic aneurysm,Lipid metabolism

特別企画5

お味噌の効能 味噌は脳卒中を抑えるか

広島大学 名誉教授

○渡邊 敦光

【目的】我々は味噌が放射線防御作用や様々ながんに対し抑制効果があることを動物実験で明らかにしてきた。一方女性でイソフラボン を多く取る人には脳梗塞や心筋梗塞が少ないことが報告されている。食塩感受性Dahlラットに味噌を与えても血圧が上昇しないことを 以前に明らかにした。今回は別の系統である脳卒中易発性高血圧自然発症ラットSHRSPを用いて、味噌の効果を検討した。 【方法】4週令のSHRSP(Izm)雄ラット36匹を日本SLCより購入し、3群に分けた。0.3%食塩の入った普通餌群(低食塩群)、味噌群(6か 月熟成した神州一製辛口米赤みその凍結乾燥味噌味10%に普通餌90%混入、最終食塩濃度2.8%)並びに食塩を2.8%にした高食塩群とし た。一日朝、昼、夕方3回動物の行動や健康状態に異常が無いかを観察し、瀕死の状態のラットは採血後剖検し、組織切片を作り、染色し、 一部は免疫組織学的な検索を行った。更にソフトロン血圧計を用いて血圧を測定した。64日目で実験を終了した。 【成績】線形回帰直線により低食塩群、味噌群に比較し高食塩群は最高血圧並びに最低血圧が有意に増加した。Kaplan-Meier検定で脳卒 中は高食塩群が味噌群や低食塩群に比べて有意に早く発生したが低濃度群と味噌群間では差はなかった。脳の大出血は高食塩群のみで みられ、脳血管は血栓が見られ、高食塩群が味噌群や低食塩群に比べて高頻度であった。更に腎臓の病理学的並びに免疫組織学的変化 では味噌群は高食塩群に比べて軽度であった。今回の結果でも味噌の食塩は高食塩群と同じ食塩濃度を含まれているにもかかわらず血 圧の上昇を抑制した。 【結論】この結果は味噌には血圧抑制作用があり、脳卒中を予防する可能性が示唆された。 Key words:SHRSP,stroke

循環器病予防のための生活習慣改善について

国立循環器病研究センター 予防健診部

○小久保 喜弘

 高血圧は循環器病の最大の危険因子であり、さらに近年では認知症、がんなどその他の疾患の危険因子であることが分かってきた。 高血圧の生活習慣改善のポイントには、減塩、野菜・果物を多く摂取、飽和脂肪酸よりも魚を摂取、適正体重の維持、適正飲酒、禁煙、 運動習慣が挙げてある。欧米の高血圧の生活習慣改善のポイントは、表現方法はかわるものの、内容は日本の高血圧ガイドラインとほ ぼ同様であることから、人種、文化を超えて同様なものと言え、普遍性がみられる。これらの生活習慣改善を行うことで、高血圧の予 防のみならず、高血圧を危険因子とする様々な疾患の予防も期待できる。さらに、動脈硬化性疾患予防ガイドラインの生活習慣改善の ポイントは、高血圧のポイントに、食物繊維、大豆製品を加えた形になっている。日本人のためのがん予防法のポイントは、高血圧の ポイントに、熱いものを避ける、感染対策を加えた形になっている。これらの事から高血圧の生活習慣改善ポイントは、そのほかの疾 患ポイントの基本形であると考えられる。循環器病予防のための生活習慣改善のポイントは、高血圧のポイントに食物繊維と大豆製品 を加えた形になっている。今回の指定セッションにおいては、循環器病の生活習慣改善のポイントのうち、食事要因である、減塩、野菜・ 果物、魚、大豆製品、食物繊維についての知見についてまとめる。 Key words:lifestyle modification,preventive hypertension

(7)

特別企画6

北海道CVTの会活動報告

1

北海道大野記念病院 臨床検査部、

2

北海道医療センター 心臓血管外科、

3

製鉄記念室蘭病院 臨床検査科、

4

手稲渓仁会病院 臨床検査部、

5

北海道CVTの会

○青木 朋

1,5

、及川 明日香

5

、大宮 裕樹

5

、小笠原 祐太

5

、沖野 久美子

5

、菊地 実

5

、高柳 由佳

5

、中森 理江

5

 三森 太機

5

、柳谷 貴子

5

、工藤 朋子

4,5

、寺澤 史明

3,5

、川崎 正和

2,5  北海道CVTの会(旧北海道CVT連絡会)を発足し8年が経過した。更に2014年からは北海道CVTの会「脈管研究会」を開催し本年で5 年目を迎える。広大な面積を有する北海道において、CVT間の連携や情報の共有が困難な場合も多い。更に更新単位取得が可能な研究 会の開催は他地域に比べ少ないのが実情であり、資格取得更新が難しい場合もある。そのような状況の改善を目的として2013年に北海 道 CVT の会「脈管研究会」を立ち上げる運びとなった。2018 年現在、北海道に在籍する CVT は 85 名となり、全員から北海道 CVT の会 への賛同及び登録を頂いている。登録者には脈管関連のセミナーや講習会開催に当たっての情報発信などを随時行っている。2014年に 更新単位取得の推進やスキルアップを目的に北海道CVTの会「第1回脈管研究会」を開催し、本年11月には第5回目の開催を予定してい る。更なるCVT資格取得者増を目指し種々の活動を行っているが、そこで問題となるのが受験資格のための認定講習会への参加、なら びに5年毎の資格更新単位の取得である。地域の特性上CVT取得に必要な認定講習会への参加や、次回更新時から資格更新の条件となっ た全国学会への参加が厳しい施設も少なくない。更に更新単位取得可能な認定講習会や学会は札幌市に集中している。北海道血管検査 法研究会では各年で地方開催を行っているが、それでも地方に在籍するCVTにおいては更新単位取得自体が厳しい場合がある。それら 問題点に加え、特別企画「血管診療技師 各地域での活動の現状」開催にあたり、北海道に在籍するCVTにアンケートを実施したのでそ の結果も交え報告する。 Key words:CVT,vascular

東北地区の活動の現状と課題

東北大学病院 生理検査センター

○三木 俊

【はじめに】東北地区における血管診療技師が関わっている研修会・講習会は「東北CVTの会」「東北血管エコーセミナー」「弘前超音波研 究会」「宮城超音波倶楽部」「グローバルエコーセミナー」があり、講演や血管ハンズオンやライブレクチャー等を数多く企画・開催して いる。 【東北CVTの会】東北CVTの会は脈管診療を行う医療関係者の知識と技術の習得、臨床に関する情報交換を目的として2016年2月に発 足した研修会である。本会は原則として年2回の本会(特別講演、教育講演、ハンズオンなど)を開催し、年1回は仙台で開催、年1回は 宮城県以外の東北地方で開催、東北6県の血管診療技師や脈管専門医が役員を務めている。現在、第5回まで開催しており、医師や検査 技師、放射線技師、看護師、理学療法士、臨床工学士など毎回 100 名程度の参加者がある。東北内で連携をとり、知識と技術の習得と 情報交換に貢献している。 【東北地方の課題】東北地方は広く、交通等で全ての研修会に参加できない会員も多い。東北6県の連携を密にして積極的に関わり、各 県にて継続的な講習会・研修会の開催が望ましい。また、積極的に若手医師や血管診療技師を演者や実技講師にして、意識の向上を目 指し、次世代の育成が必要である。本セッションでは各地区の現状と課題、今後についてディスカッションしたい。 Key words:CVT,tohoku

(8)

関東CVTの会における活動と当施設のCVTとしての取り組み

1

東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部、

2

東邦大学医学部医学科 内科学講座循環器内科学分野

○八鍬 恒芳

1

、丸山 憲一

1

、宮坂 匠

1

、内村 智也

1

、桝谷 直司

1

、原田 昌彦

1

、原 文彦

2  CVTの地域活動の場として,関東CVTの会は2012年に発足し活動を続けている.活動内容としては,1)研究会(年2回),2)研究会 の資料配信,3)CVT に関連する学会等の告知,4)CVT が共同参画できる活動などの告知,5)会員登録の管理などがある.主な活動内 容はホームページにて掲載している.研究会は基本的に関東地区CVTの方々や脈管専門医の先生などに症例検討や講演のご協力をいた だいている.講演内容は配付資料として会員の方に配信している.研究会を定期的に行うことで情報共有も行えるため,血管診療に対 する全体的なレベルアップに繋がっていると考えている.参加者が徐々に増加しているため,会場の手配などが今後の課題である.し かしながら,多職種が協力的に参加できる研究会として成長してきていることは当初の目的通りと考えている.関東CVTの会は事務局 が当施設の検査部となっているため,会員へのメール配信や問い合わせ対応などを当施設のCVT(4名)が分担で行っている.また,当 検査部では日常業務に加え CVT に特化した業務を行っている.CVT としての業務内容は以下のものが上げられる.1)外来診察室にお ける検査;CVTが外来診察室で超音波検査を行い,診療の効率化と精度向上を図っている.2)血管内治療における検査;エコーガイド 下の血管内治療では,CVTがエコーを行い,医師と連携して正確な治療が行えるように協力している.3)施設内活動;院内血管診療チー ムに参画し,診療アルゴリズム策定などを共同で行っている.CVTとしての地域活動の詳細と課題,および今後の展望も含めて報告する. Key words:Clinical vascular technologist,Kanto region

関西CVTの会の活動について

1

近畿大学医学部奈良病院 臨床検査部、

2

近畿大学大学院医学研究科 心臓血管外科学、

3

松尾クリニック

○小谷 敦志

1,2

、松尾 汎

3  CVT 発足から 8 年経過した 2013 年.血管診療をチーム医療として機能することの重要性と,未だ各施設において CVT の役割を充分 に啓発できていない現状から,多くの血管診療支援への足がかりになるような会として関西CVT連絡会が発足した.基本理念は「CVT の利点を活かした社会貢献と,チーム医療構築のための交流と業務意識向上」である.2017年から「全国CVTの会」に改名したのをうけ, 当会も「関西CVTの会」に改名した.関西CVTの会は,年2回程度の勉強会を開催している.今まで9回開催しているが,運営資金がな いため,機器メーカーや製薬メーカーとの共催が5回,他の研究会との合同開催が2回ある.毎回,開催前に幹事会を開き,次回の開催 内容などをまとめることが通例である.第1回から第6回までの企画は,代表幹事が責任者として開催したが,第7回以降の企画は当番 幹事制で開催した.参加者は毎回50-100名程度であるが,企業共催の場合は医師の参加があるため,すべてがCVTに関わる関係者では ない.その他,CVT クレジットも開催時間に応じ 3-4 単位が取得可能である.過去の企業共催や他の研究会との合同開催では,同時に 関連する他学会の認定資格のクレジットも取得することができるなどの利点があるが,CVTの会としての内容の自由度が低下する欠点 がある.ただ,講師は完全ボランティアでお願いしているが,会場費の支出が大きいため企業との共催や合同開催のご協力により運営 しているのが実状である.収入は参加費のみであるため,会場確保とCVTのためになる自由度の高い開催内容として継続することが今 後の懸念材料である. Key words:CVT,ultrasound

九州における活動の現状と今後の展望

1

済生会熊本病院 中央検査部、

2

福岡山王病院 診療技術部、

3

福岡山王病院 循環器センター、

4

九州大学医学研究院 病態修復内科(第一内科)、

5

御幸病院

○富田 文子

1

、中野 明子

2

、横井 宏佳

3

、小田代 敬太

4

、西上 和宏

5 【CVT九州の会の発足】2017年にCVT九州の会を立ち上げ、九州としての活動を開始した。活動を開始するにあたり、活動内容につい てのアンケートを行ったところ、一番要望が多かったのが、CVT更新点数を取得できる会をという声であった。ほかに、ガイドライン

(9)

のまとめと紹介、症例報告、臨床がもとめる報告書、各検査項目の実技講習、複数モダリティからみた疾患、災害時を見据えた組織作 りと続いた。 【第1回CVTの会】第1回CVTの会では、松尾先生、佐藤先生を熊本までお招きし、講演会を行った。松尾先生からは新しいガイドライ ン「超音波による深部静脈血栓症・下肢静脈瘤の標準的評価法について」をご講演いただいた。大変勉強になる内容で、70分の講演時間 であったが、もっとじっくり聞きたかったという声が多数聞かれた。また、佐藤先生からは、超音波センター開設にともなう、予算立 てから各種数値計算等、交渉のノウハウを具体的にお示しいただいた。普段なかなか聞ける内容ではなかったことから、参加者からは 大変好評であった。 【今後の展望】第1回CVTの会参加者へのアンケート調査結果では、複数検査からみた疾患の理解、血栓や狭窄を見落とさないためのテ クニック、静脈瘤についてといった要望が多く見られた。また、検査の標準化を念頭に、各施設における測定法の違いなどについて調 査など行い九州でのデータをまとめて欲しいとの意見もあった。さらに、CVT設立の目的である、チーム医療の推進のための活動も今後、 行っていきたい。 Key words:CVT,vascular

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