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115 EntryNo. 44 Clostridium difficile の培養検査からみえてきた当院の現状と今後の課題 金澤雄大 1) 佐藤真喜 1) 村山久恵 1) 中村尚子 1) 鎌田恵理子 1) 奥田千晶 1) 秋山怜美 1) 堀内弘子 1) 八戸市立市民病院 1) 目的 Clostrid

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(1)

【はじめに】ノロウイルスは感染力が強く少量のウイルス でも感染が成立するため、迅速かつ高感度に検出する検査 体制の構築が望まれる。高感度な検査法として厚生労働省 が推奨するリアルタイムRT-PCR 法があるが、操作が繁雑 であり、結果を得るまでに約4 時間を要する問題点がある。 また、ノロウイルス抗原キットは操作が簡便かつ迅速性に 優れている反面、十分な感度を有していないことが指摘さ れている。近年、これらの問題点を克服するためTRC Ready ノロウイルス (TRC 法:東ソー)が開発された。本検 査法は、核酸の抽出・増幅・検出までを自動化した遺伝子 解析装置を利用するため操作が簡便であり、さらに測定時 間も約50 分と迅速性に優れている。そこで、今回我々は、 TRC 法によるノロウイルスの検出能について評価した。 【対象】ノロウイルス感染疑い患者の便60 検体とした。 【方法】TRC 法による検出は、自動遺伝子検査装置 TRC Ready-80 を用いた。比較対照のリアルタイム RT-PCR 法は、 TaKaRa qPCR Norovirus (GⅠ/GⅡ) Typing Kit (タカラバイ オ)と LightCycler Nano システム (ロシュ・ダイアグノステ ィックス)を用い測定した。さらに、陽性を示した検体は遺 伝子型解析を行い、Genotype を決定した。 【結果】リアルタイムRT-PCR 法では、60 件中 GenogroupⅠが 4 件、GenogroupⅡが 20 件、GⅠ・ GⅡの混 合感染が1 件の計 25 件が陽性を示し、ウイルス量は、 3.14×108 – 1.54×10 copies/μL であった。また、遺伝子型は、 GenogroupⅠは GⅠ.1 (1 件)、GⅠ.2 (2 件)、GⅠ.3 (2 件)、 GenogroupⅡは GⅡ.2 (1 件)、GⅡ.4 (6 件)、GⅡ.13 (2 件)、 GⅡ.17 (12 件)であった。一方、TRC 法では、24 件が陽性を 示し、リアルタイムRT-PCR 法との陽性一致率は 96.0%で あった。TRC 法で偽陰性であった検体は、GⅠ.2 で 1.54×10 copies /μL とウイルス量が極めて少ない検体であ った。 【結語】TRC Ready ノロウイルスの検出能は、リアルタイ ムRT-PCR とほぼ同等であり、測定時間も短く操作も簡便 であるため、日常検査に有用と考えられた。        連絡先011-611-2111【内線 3645】

自動遺伝子検査装置

TRCReady-80 を用いたノロウイルス検出能の性能評価

◎佐藤 勇樹1)、品川 雅明1)、韮澤 慎也1)、八鍬 佑貴1)、佐伯 理知1)、東 恭悟2)、淺沼 康一1)、高橋 聡1) 札幌医科大学附属病院 検査部1)、札幌医科大学附属病院 病理部2)

EntryNo. 35

【はじめに】壊死性筋膜炎は急激な経過を辿り、死亡率も 高い感染症であり、早期診断、治療を要する。β 溶血性連 鎖球菌による壊死性筋膜炎は主にA 群溶連菌(以下 GAS) が起炎菌として知られている。今回、短期間にG 群溶連菌 による壊死性筋膜炎を2 例経験したので報告する。 【症例1】91 歳、男性。慢性心不全、完全房室ブロックな どの既往歴あり。2015 年 9 月 10 日夜から発熱、右手背の 疼痛があり、SPO2低下に伴い、9 月 11 日深夜に当院へ救 急搬送された。来院時より右手背の皮下出血斑と前腕にか けての腫脹があり、精査中に血圧の低下と右前腕の腫脹の 急速な悪化を認めた。同日夕方に入院時提出の血液培養が 陽性になり、G 群溶連菌が分離されたことから、デブリー ドマン目的に緊急手術が行われた。その後PCG、CLDM 投 与による治療が続けられ、第64 病日目に軽快退院となった。 【症例2】83 歳、女性。慢性心不全、高血圧の既往歴あり。 以前より左下肢に浮腫を認めていたが、2015 年 9 月頃より 悪化していた。10 月 30 日に転倒、その後から左下肢に水 疱が出現、自宅で様子を見ていたが11 月 2 日当院受診した。 左足部から大腿近位にかけて後面以外に水疱形成があり、 壊死性筋膜炎が疑われ、水疱内容液と血液培養2 セットが 提出された。水疱内容液のグラム染色にて連鎖球菌を認め たため、ストレプトLA「生研」(デンカ生研)を使用して 水疱内容液から直接ラテックス凝集反応を実施しG 群溶連 菌と報告した。緊急手術にて左大腿の切断が行われ、 PCG、CLDM 投与による治療が続けられたが、多臓器不全、 循環不全となり、翌日永眠された。また、血液培養からは 菌は検出されなかった。 【まとめ】2 症例とも精査の結果、Streptococcus

dysgalactiae subsp. equisimilis(以下 SDSE)と同定された。

SDSE は特に高齢者に対して、GAS と同様な感染症を引き 起こすことが知られており、近年注目されている菌である。 今回の2 症例から壊死性筋膜炎が疑われる場合は臨床側と 連携をとりつつ、グラム染色形態などから迅速に起炎菌を 推定し、報告する必要があると改めて感じた。 連絡先 025-522-7711(内線 2566)

短期間に経験した

G 群溶血性連鎖球菌による壊死性筋膜炎の2例

◎山本 絢子1)、郷 裕昭1)、齋藤 芳弘1) 新潟県立中央病院 臨床検査科1)

EntryNo. 40

【目的】Clostridium difficile は C. difficile 感染症(CDI)の

起炎菌であり、院内感染の原因菌でもある。しかし、現在 市販されている迅速診断キットは、toxin の検出感度が低く、 抗原であるGlutamate dehydrogenase(GDH)のみ陽性の場 合の解釈が難しい。今回GDH のみ陽性の場合に培養検査 を追加し、菌株からtoxin を再検査することの有用性と、調 査から見えた当院の課題について検証した。 【対象・方法】対象は2015 年 1 月から 2016 年 5 月までに CDI を疑い提出された糞便 536 検体。GDH と toxin の検出 にはC. DIFF QUIK CHEK コンプリート(アリーアメディ

カル)、分離培養にはCCFA 培地(日本 BD)を使用した。 検体でtoxin 陽性(Ⅰ群)、検体で GDH のみ陽性のうち菌 株でtoxin 陽性(Ⅱ群)、菌株で toxin 陰性(Ⅲ群)の 3 群 に分け、該当患者の治療内容から評価を行った。 【結果】総検体数536 検体のうちⅠ群 47 件。GDH のみ陽 性だった54 件を培養したところ、43 検体で C. difficile の発 育を認めた。菌株でtoxin を再検査するとⅡ群 15 件、Ⅲ群 28 件であった。それぞれの群で治療を行ったのは、Ⅰ群 42 人(89.4%)、Ⅱ群 6 人(40%)、Ⅲ群 11 人(39.3%) であった。治療期間の中央値はⅠ群12 日間、Ⅱ群とⅢ群は 10 日間であった。(治療中の転院・死亡症例は除いた) 【考察】GDH のみ陽性検体の C. difficile 培養後の toxin 陽 性率は27.8%で、他報告(39.4%~82.2%)と比較して低か った。Ⅰ群とⅡ・Ⅲ群では治療を行った割合に差が認めら れたが、Ⅲ群でも約4 割が治療を行っていた。また当院の 傾向として、toxin 産生の有無に関わらず、臨床症状から CDI として治療している症例も多く、「toxin 陰性」が治療 中止の根拠となるのか不明であった。今後、菌株での toxin 再検査の結果を臨床に還元し、その効果について検討 していきたい。さらに今回の調査で、検査の適応とならな い症例(治療効果判定)や、長期入院にも関わらず、便培 養が同時に提出されている症例も散見された。糞便検体が 提出された際には細菌検査室でもアセスメントを行い、検 査の適応に関して、医師とディスカッションする必要性が あると思われた。 連絡先:0178-72-5111(内線 2430)

Clostridium difficile の培養検査からみえてきた当院の現状と今後の課題

◎金澤 雄大1)、佐藤 真喜1)、村山 久恵1)、中村 尚子1)、鎌田 恵理子1)、奥田 千晶1)、秋山 怜美1)、堀内 弘子1) 八戸市立市民病院1)

EntryNo. 44

【はじめに】腸管出血性大腸菌感染症はベロ毒素を産生す る腸管出血性大腸菌(以下EHEC)の感染によって起こる 全身疾病である。重症例においてはベロ毒素の作用により、 溶血性貧血、急性腎不全をきたし、溶血性尿毒症症候群 (以下HUS)を引き起こすことがある。今回 HUS を発症 したEHEC 感染症を経験したので報告する。 【症例】患者は78 歳女性、2014 年 8 月 19 日腹痛、嘔吐、 血便を認め22 日に近医を受診。腹部レントゲンを施行する も異常なし。点滴にて改善したためLVFX を処方され帰宅。 23 日症状が再燃したため当院 ER を紹介受診。感染性腸炎 の疑いで入院となった。 【入院時検査所見】WBC:18,200/µl RBC:556 万/µl   Hb:16.8g/dl PLT:17.9 万/µl CRP:5.18㎎/dl 【細菌学的検査】入院時に血性水様便、入院4 日目に緑色 水様便の便培養が提出されたが35℃2 日培養ではいずれの 検体も大腸菌の発育は認めなかった。入院3 日目に主治医 よりEHEC による HUS 疑いの連絡を受けたため、入院時 提出の便検体にて大腸菌O-157 抗原検査(キャピリア O157)を行い陽性となった。引き続き外注検査にて、便検 体によるベロ毒素迅速検査(オーソVT1/VT2)を依頼し、 入院時提出の便検体で陽性となった。 【まとめ】 EHEC 感染症は 3 類感染症として全数届出が 義務付けられている。確定診断には検体から大腸菌を分離 し、分離株のベロ毒素産生性の確認またはVT 毒素遺伝子 の検出が必要である。しかし、溶血性尿毒素症候群 (HUS)症例に限っては菌が分離されない場合においても 便中のベロ毒素検出または患者血清中の抗大腸菌抗体の検 出によって診断し届出が必要である。本症例ではEHEC 感 染症からHUS を続発したため大腸菌を分離できなかったが 迅速診断キットにてO-157 抗原およびベロ毒素の検出によ ってEHEC 感染症の診断が確定した。病原性大腸菌による 感染が強く疑われる場合は培養検査と並行して迅速キット の活用や便検体からの毒素の検出も考慮することで早期診 断や早期治療開始に貢献できると考えられる。 連絡先 0258-35-3700(内線 3883)

溶血性尿毒素症候群を発症した腸管出血性大腸菌感染症の一症例

◎石井 幸恵1)、安藤 昭子2)、村山 由美子3)、飯塚 麻里1) JA 新潟厚生連 長岡中央綜合病院1)、JA 新潟厚生連 豊栄病院2)、JA 新潟厚生連 三条総合病院3)

EntryNo. 98

溶血性尿毒症症候群を発症した腸管出血性大腸菌感染症の一症例

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(2)

【はじめに】ノロウイルスは感染力が強く少量のウイルス でも感染が成立するため、迅速かつ高感度に検出する検査 体制の構築が望まれる。高感度な検査法として厚生労働省 が推奨するリアルタイムRT-PCR 法があるが、操作が繁雑 であり、結果を得るまでに約4 時間を要する問題点がある。 また、ノロウイルス抗原キットは操作が簡便かつ迅速性に 優れている反面、十分な感度を有していないことが指摘さ れている。近年、これらの問題点を克服するためTRC Ready ノロウイルス (TRC 法:東ソー)が開発された。本検 査法は、核酸の抽出・増幅・検出までを自動化した遺伝子 解析装置を利用するため操作が簡便であり、さらに測定時 間も約50 分と迅速性に優れている。そこで、今回我々は、 TRC 法によるノロウイルスの検出能について評価した。 【対象】ノロウイルス感染疑い患者の便60 検体とした。 【方法】TRC 法による検出は、自動遺伝子検査装置 TRC Ready-80 を用いた。比較対照のリアルタイム RT-PCR 法は、 TaKaRa qPCR Norovirus (GⅠ/GⅡ) Typing Kit (タカラバイ オ)と LightCycler Nano システム (ロシュ・ダイアグノステ ィックス)を用い測定した。さらに、陽性を示した検体は遺 伝子型解析を行い、Genotype を決定した。 【結果】リアルタイムRT-PCR 法では、60 件中 GenogroupⅠが 4 件、GenogroupⅡが 20 件、GⅠ・ GⅡの混 合感染が1 件の計 25 件が陽性を示し、ウイルス量は、 3.14×108 – 1.54×10 copies/μL であった。また、遺伝子型は、 GenogroupⅠは GⅠ.1 (1 件)、GⅠ.2 (2 件)、GⅠ.3 (2 件)、 GenogroupⅡは GⅡ.2 (1 件)、GⅡ.4 (6 件)、GⅡ.13 (2 件)、 GⅡ.17 (12 件)であった。一方、TRC 法では、24 件が陽性を 示し、リアルタイムRT-PCR 法との陽性一致率は 96.0%で あった。TRC 法で偽陰性であった検体は、GⅠ.2 で 1.54×10 copies /μL とウイルス量が極めて少ない検体であ った。 【結語】TRC Ready ノロウイルスの検出能は、リアルタイ ムRT-PCR とほぼ同等であり、測定時間も短く操作も簡便 であるため、日常検査に有用と考えられた。        連絡先011-611-2111【内線 3645】

自動遺伝子検査装置

TRCReady-80 を用いたノロウイルス検出能の性能評価

◎佐藤 勇樹1)、品川 雅明1)、韮澤 慎也1)、八鍬 佑貴1)、佐伯 理知1)、東 恭悟2)、淺沼 康一1)、高橋1) 札幌医科大学附属病院 検査部1)、札幌医科大学附属病院 病理部2)

EntryNo. 35

【はじめに】壊死性筋膜炎は急激な経過を辿り、死亡率も 高い感染症であり、早期診断、治療を要する。β 溶血性連 鎖球菌による壊死性筋膜炎は主にA 群溶連菌(以下 GAS) が起炎菌として知られている。今回、短期間にG 群溶連菌 による壊死性筋膜炎を2 例経験したので報告する。 【症例1】91 歳、男性。慢性心不全、完全房室ブロックな どの既往歴あり。2015 年 9 月 10 日夜から発熱、右手背の 疼痛があり、SPO2低下に伴い、9 月 11 日深夜に当院へ救 急搬送された。来院時より右手背の皮下出血斑と前腕にか けての腫脹があり、精査中に血圧の低下と右前腕の腫脹の 急速な悪化を認めた。同日夕方に入院時提出の血液培養が 陽性になり、G 群溶連菌が分離されたことから、デブリー ドマン目的に緊急手術が行われた。その後PCG、CLDM 投 与による治療が続けられ、第64 病日目に軽快退院となった。 【症例2】83 歳、女性。慢性心不全、高血圧の既往歴あり。 以前より左下肢に浮腫を認めていたが、2015 年 9 月頃より 悪化していた。10 月 30 日に転倒、その後から左下肢に水 疱が出現、自宅で様子を見ていたが11 月 2 日当院受診した。 左足部から大腿近位にかけて後面以外に水疱形成があり、 壊死性筋膜炎が疑われ、水疱内容液と血液培養2 セットが 提出された。水疱内容液のグラム染色にて連鎖球菌を認め たため、ストレプトLA「生研」(デンカ生研)を使用して 水疱内容液から直接ラテックス凝集反応を実施しG 群溶連 菌と報告した。緊急手術にて左大腿の切断が行われ、 PCG、CLDM 投与による治療が続けられたが、多臓器不全、 循環不全となり、翌日永眠された。また、血液培養からは 菌は検出されなかった。 【まとめ】2 症例とも精査の結果、Streptococcus

dysgalactiae subsp. equisimilis(以下 SDSE)と同定された。

SDSE は特に高齢者に対して、GAS と同様な感染症を引き 起こすことが知られており、近年注目されている菌である。 今回の2 症例から壊死性筋膜炎が疑われる場合は臨床側と 連携をとりつつ、グラム染色形態などから迅速に起炎菌を 推定し、報告する必要があると改めて感じた。 連絡先 025-522-7711(内線 2566)

短期間に経験した

G 群溶血性連鎖球菌による壊死性筋膜炎の2例

◎山本 絢子1)、郷 裕昭1)、齋藤 芳弘1) 新潟県立中央病院 臨床検査科1)

EntryNo. 40

【目的】Clostridium difficile は C. difficile 感染症(CDI)の

起炎菌であり、院内感染の原因菌でもある。しかし、現在 市販されている迅速診断キットは、toxin の検出感度が低く、 抗原であるGlutamate dehydrogenase(GDH)のみ陽性の場 合の解釈が難しい。今回GDH のみ陽性の場合に培養検査 を追加し、菌株からtoxin を再検査することの有用性と、調 査から見えた当院の課題について検証した。 【対象・方法】対象は2015 年 1 月から 2016 年 5 月までに CDI を疑い提出された糞便 536 検体。GDH と toxin の検出 にはC. DIFF QUIK CHEK コンプリート(アリーアメディ

カル)、分離培養にはCCFA 培地(日本 BD)を使用した。 検体でtoxin 陽性(Ⅰ群)、検体で GDH のみ陽性のうち菌 株でtoxin 陽性(Ⅱ群)、菌株で toxin 陰性(Ⅲ群)の 3 群 に分け、該当患者の治療内容から評価を行った。 【結果】総検体数536 検体のうちⅠ群 47 件。GDH のみ陽 性だった54 件を培養したところ、43 検体で C. difficile の発 育を認めた。菌株でtoxin を再検査するとⅡ群 15 件、Ⅲ群 28 件であった。それぞれの群で治療を行ったのは、Ⅰ群 42 人(89.4%)、Ⅱ群 6 人(40%)、Ⅲ群 11 人(39.3%) であった。治療期間の中央値はⅠ群12 日間、Ⅱ群とⅢ群は 10 日間であった。(治療中の転院・死亡症例は除いた) 【考察】GDH のみ陽性検体の C. difficile 培養後の toxin 陽 性率は27.8%で、他報告(39.4%~82.2%)と比較して低か った。Ⅰ群とⅡ・Ⅲ群では治療を行った割合に差が認めら れたが、Ⅲ群でも約4 割が治療を行っていた。また当院の 傾向として、toxin 産生の有無に関わらず、臨床症状から CDI として治療している症例も多く、「toxin 陰性」が治療 中止の根拠となるのか不明であった。今後、菌株での toxin 再検査の結果を臨床に還元し、その効果について検討 していきたい。さらに今回の調査で、検査の適応とならな い症例(治療効果判定)や、長期入院にも関わらず、便培 養が同時に提出されている症例も散見された。糞便検体が 提出された際には細菌検査室でもアセスメントを行い、検 査の適応に関して、医師とディスカッションする必要性が あると思われた。 連絡先:0178-72-5111(内線 2430)

Clostridium difficile の培養検査からみえてきた当院の現状と今後の課題

◎金澤 雄大1)、佐藤 真喜1)、村山 久恵1)、中村 尚子1)、鎌田 恵理子1)、奥田 千晶1)、秋山 怜美1)、堀内 弘子1) 八戸市立市民病院1)

EntryNo. 44

【はじめに】腸管出血性大腸菌感染症はベロ毒素を産生す る腸管出血性大腸菌(以下EHEC)の感染によって起こる 全身疾病である。重症例においてはベロ毒素の作用により、 溶血性貧血、急性腎不全をきたし、溶血性尿毒症症候群 (以下HUS)を引き起こすことがある。今回 HUS を発症 したEHEC 感染症を経験したので報告する。 【症例】患者は78 歳女性、2014 年 8 月 19 日腹痛、嘔吐、 血便を認め22 日に近医を受診。腹部レントゲンを施行する も異常なし。点滴にて改善したためLVFX を処方され帰宅。 23 日症状が再燃したため当院 ER を紹介受診。感染性腸炎 の疑いで入院となった。 【入院時検査所見】WBC:18,200/µl RBC:556 万/µl Hb:16.8g/dl PLT:17.9 万/µl CRP:5.18㎎/dl 【細菌学的検査】入院時に血性水様便、入院4 日目に緑色 水様便の便培養が提出されたが35℃2 日培養ではいずれの 検体も大腸菌の発育は認めなかった。入院3 日目に主治医 よりEHEC による HUS 疑いの連絡を受けたため、入院時 提出の便検体にて大腸菌O-157 抗原検査(キャピリア O157)を行い陽性となった。引き続き外注検査にて、便検 体によるベロ毒素迅速検査(オーソVT1/VT2)を依頼し、 入院時提出の便検体で陽性となった。 【まとめ】 EHEC 感染症は 3 類感染症として全数届出が 義務付けられている。確定診断には検体から大腸菌を分離 し、分離株のベロ毒素産生性の確認またはVT 毒素遺伝子 の検出が必要である。しかし、溶血性尿毒素症候群 (HUS)症例に限っては菌が分離されない場合においても 便中のベロ毒素検出または患者血清中の抗大腸菌抗体の検 出によって診断し届出が必要である。本症例ではEHEC 感 染症からHUS を続発したため大腸菌を分離できなかったが 迅速診断キットにてO-157 抗原およびベロ毒素の検出によ ってEHEC 感染症の診断が確定した。病原性大腸菌による 感染が強く疑われる場合は培養検査と並行して迅速キット の活用や便検体からの毒素の検出も考慮することで早期診 断や早期治療開始に貢献できると考えられる。 連絡先 0258-35-3700(内線 3883)

溶血性尿毒素症候群を発症した腸管出血性大腸菌感染症の一症例

◎石井 幸恵1)、安藤 昭子2)、村山 由美子3)、飯塚 麻里1) JA 新潟厚生連 長岡中央綜合病院1)、JA 新潟厚生連 豊栄病院2)、JA 新潟厚生連 三条総合病院3)

EntryNo. 98

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(3)

【背景】 IgG 感作赤血球は間接抗グロブリン試験におい て凝集が認められない場合に添加し、血球洗浄の確認、抗 ヒトグロブリン試薬の活性や入れ忘れを確認するために用 いられる。このIgG 感作赤血球は抗ヒトグロブリン試薬を 用いた検査において使用される重要な試薬であるが海外か ら輸入されるため、試薬メーカーで異なるが2 ヵ月前から の予約注文が必要である。また、試薬単価は使用頻度を考 えると安い試薬ではない。そのため、使用頻度やコストの 面などを考えてIgG 感作赤血球を作製している施設もある。 しかし作製方法は教本などで示されているが、不明な点も 多い。そこで本研究は、安定したIgG 感作赤血球の作製を 目的として条件検討をおこなった。 【材料と方法】 IgG 感作赤血球は、O 型 RhD 陽性赤血球 にポリクローナル抗D を感作させて作製することが知られ ている。そこで赤血球量を500μL(500 万個/μL) 使用する 条件下で、1)抗D 試薬量と使用期限、2)加温時間、3) 抗D 試薬ロット間差、4)供血者血球差について、抗ヒト グロブリン試薬を用いて反応強度を比較・検討を行った。 なお、作製は輸血・移植検査技術教本に準じて実施し、研 究に用いた輸血検査用試薬はオーソ社製を使用した。 【結果・考察】 O 型赤血球に加える抗 D 試薬量と使用期 限を検討した結果、50μL で 1+、100μL で 2+、150μL で 3+であり、100μL 群と 150μL 群では作製後 14 日目まで 2+以上の反応強度が示され、21 日目では 3 群共に溶血が認 められた。また、抗D 試薬を 100μL 加えて加温時間と反応 強度の関係を測定した結果、50 分加温で 3 回実施した全て 2+となった。次に、抗 D 試薬のロットを変えてロット差が 結果に与える影響を検討した結果、50μL 群、100μL 群およ び150μL 群の全てにおいてロット差は認められなかった。 最後に、O 型赤血球を 2 検体、B 型赤血球を 1 検体用意し て個人差と血液型による差を検討した結果、抗D 試薬を 150μL 使用する系で検討した3検体全てで 2+以上であった。 以上のことから、検討した条件下では抗D 試薬を 150μL 使 用した場合、抗D 試薬のロットに関係なく 37℃で 60 分感 作すると、安定したIgG 感作赤血球が作製されることが示 唆された。連絡先 ― 025-257-4529

安定した

IgG 感作血球の作製条件の検討

◎渡邊 愛1)、金田 航1)、竹中 航太1)、田邊 幸1)、川村 宏樹1) 新潟医療福祉大学 医療技術学部 臨床技術学科 1)

EntryNo. 104

【はじめに】 平成26 年 12 月に赤血球型検査ガイドライン (以下GL)が改訂されたことを受け、我々は GL に準じた 活動を行ってきた。新潟県合同輸血療法委員会で実施して いるアンケート調査結果をもとに、新潟県における輸血検 査の現況と課題について報告する。 【対象と方法】 新潟 県内で輸血を行う主要80 施設を対象とし、県医務薬事課か らアンケート調査用紙を発送、回答はFAX 返信とした。同 様に過去3 年間に輸血用血液の供給実績のある小規模 63 施 設にも実施した。 【調査結果】 主要80 施設すべてから 回答を得た。①検体の種類:血液型検査では血漿が 51 施 設(64%)を占めるが、不規則抗体検査と交差適合試験では血 清と血漿の割合は半数ずつであった。②血液型検査:方法 は試験管法56 施設(70.0%)、カラム法 19 施設(23.8%)でカラ ム法が微増傾向、外注は3 施設。試験管法の施設における Rh コントロールの使用は平成 26 年度の 36 施設から平成 27 年度は 43 施設に増加した。同一患者二重チェックは 74 施設(92.5%)、同一検体二重チェックは 63 施設(78.8%)で 行われていた。③不規則抗体検査:方法は試験管法 40 施(50.0%)、カラム法 33 施設(41.3%)、外注と未実施は各 3 施設。術式は酵素法&クームス法 27 施設(36.5%)、生食法 &クームス法 17 施設(23.0%)、クームス法単独 16 施設 (21.6%)の順であった。クームス法の反応増強剤は、平成 26 年度の PEG 19 施設・アルブミン 19 施設から平成 27 年 度はPEG 33 施設・アルブミン 5 施設と大きな変化があっ た。自己対照の使用は39 施設(48.8%)で減少傾向。臨床的 意義のない抗体が検出された場合の臨床報告では、「陽性」 報告が53 施設(68.8%)、「陰性」報告が 22 施設(28.6%)であ った。 小規模施設の調査では44 施設から回答を得た(回 収率69.8%)。不規則抗体検査の未実施 11 施設、検査技師 以外が検査を実施している状況が散見された。 【考察】 GL 改訂を受け、我々が啓蒙活動を行ってきた試 験管法におけるクームス法の反応増強剤切り替え、酵素法 や自己対照の省略等についてはある程度の成果が得られた。 一方で、小規模施設では輸血検査を含めた安全な輸血療法 実施のための体制整備が急務である。       連絡先 025-230-1770

新潟県における輸血検査の現況と課題

◎松山 雄一1)、古俣 妙1) 新潟県赤十字血液センタ-1)

EntryNo. 101

【はじめに】危機的出血時では、RhD 陰性患者が抗 D を 保有していなければRhD 陽性 RBC を輸血することがある。 今回、緊急手術に際し、RhD 陰性患者へ RhD 陽性 RBC を輸血した症例を経験したので報告する。 【症例】68 歳女性。作業事故により転院搬送、右上腕動脈 吻合手術施行。出産歴2 回。O 型 RhD 陰性、ccEE、不規 則抗体陰性。当院での検査歴・輸血歴は無かったが、前医 よりO 型 RhD 陰性との事前連絡があった。また、前医で の輸血はなかった。 【経過】緊急輸血オーダーを受け、準備していたO 型 RhD 陰性RBC を 8 単位出庫し、その後患者の RhD 陰性を確認 した。緊急手術後の出血に対し、血液センターと調整を図 り対応していたが、供給が間に合わず、RhD 陽性 RBC を 8 単位輸血した。大量出血状態を脱した後も供給の不足に より、更にRhD 陽性 RBC を 4 単位輸血した。輸血量は、 10 日間で RBC が 61 単位(RhD 陽性を含む)、FFP240 が 12 本、FFP480 が 14 本、PC が 100 単位であり、FFP と PC は全て RhD 陽性を輸血した。また、当院の輸血同意書 には、RhD 異型製剤使用の説明・同意に関する適切な文言 の記載がなく、患者又は家族への説明に苦慮した。 【輸血検査】RhD 異型輸血から 1 か月間定期的に検査を実 施した。血液型検査では、抗D との反応が異型輸血後 1 日 は4+、2 日目は mf を示し、3 日目からは陰性となった。 SCR/DAT は全て陰性であった。一方、抗 D を用いた吸着 解離試験では、全て3+程度の強い凝集を認めた。また、異 型輸血から約2 ヵ月後の検体を、血液センターで FCM 検 査したところ、1%程度の RhD 陽性赤血球が残存していた。 【考察・結語】本例では抗体産生の可能性が高い約一か月 という期間では抗D は産生されなかった。このような事例 では、輸血後の患者のフォローアップが重要となることか ら、検査結果に応じた具体的な手順を含めたフローチャー トを整え、臨床医に報告できる体制の構築が必要と考えら れた。また、輸血同意書の内容を、緊急時に速やかに説明 し同意が得られるように、異型輸血の説明をRhD 型も含 め対応できるものに改訂することとし、検討している。 連絡先 018-829-5202 (内線 5621)

RhD 陽性 RBC を輸血した RhD 陰性患者の緊急輸血症例

◎田仲 宏充1)、横山 一二美1)、鶴田1) 秋田赤十字病院1)

EntryNo. 84

【はじめに】新潟県は、魚沼地域に不足する救命救急医療 や高度医療を確保するため、H27 年 6 月 1 日に「新潟大学 地域医療教育センター魚沼基幹病院」を開院した。新卒新 採用が5 名いて、他にも輸血業務の経験の浅い検査技師も 多く、開院前より輸血の基本的なトレーニングは必須であ った。開院前から現在に至るまでの日当直に入る検査技師 への指導や緊急輸血の経験を報告する。 【緊急輸血の体制】輸血オーダーには「通常」、「緊急」 、「超緊急」の3 つの依頼区分がある。「超緊急」は医師 が電話で依頼し、検査技師が臨床現場まで血液製剤を運び、 検査技師と現場スタッフでダブルチェックをして払い出し ている。一度の出庫はO 型 RBC 6 単位、AB 型 FFP 6 単位 までで繰り返しの出庫は可能である。同型血への切り替え は電子カルテでのオーダーであり、血液型が2 回別時点で 確定し、出庫時、使用時の認証操作が可能であることであ る。 【日当直者への指導】開院前より日当直に入る検査技師 18 名(新人含む)に輸血担当者 3 名で輸血に関するトレー ニングを行った。全自動輸血検査装置(オーソ オートビ ュー)の操作、用手法(オーソ バイオビュー、試験管法) 、FFP の融解の仕方、輸血システムの操作、緊急輸血時の 対応等を指導した。開院後、緊急輸血が日勤帯にあった場 合、実際に輸血担当者以外のスタッフに製剤の準備から払 い出しまで実践してもらった。 【緊急輸血の経験】これまで緊急輸血は日勤帯に14 件、日 当直帯に17 件あった。輸血トレーニングの成果もあり、実 際に緊急輸血が発生したときは円滑に行うことができてい る。 【終わりに】輸血のトレーニングは日当直に入る者に必要 である。また定期的な輸血のトレーニングを行うことで、 輸血の知識が身に付き、迅速な輸血の対応が可能になる。 連絡先:025-777-3200(内線:2202)

新設病院における緊急輸血の体制の構築と日当直者への輸血指導

◎小林 徹1)、加藤 瑞希1)、柴田 真由美1)、小池1) 新潟大学地域医療教育センター 魚沼基幹病院1)

EntryNo. 77

120

119

(4)

【背景】 IgG 感作赤血球は間接抗グロブリン試験におい て凝集が認められない場合に添加し、血球洗浄の確認、抗 ヒトグロブリン試薬の活性や入れ忘れを確認するために用 いられる。このIgG 感作赤血球は抗ヒトグロブリン試薬を 用いた検査において使用される重要な試薬であるが海外か ら輸入されるため、試薬メーカーで異なるが2 ヵ月前から の予約注文が必要である。また、試薬単価は使用頻度を考 えると安い試薬ではない。そのため、使用頻度やコストの 面などを考えてIgG 感作赤血球を作製している施設もある。 しかし作製方法は教本などで示されているが、不明な点も 多い。そこで本研究は、安定したIgG 感作赤血球の作製を 目的として条件検討をおこなった。 【材料と方法】 IgG 感作赤血球は、O 型 RhD 陽性赤血球 にポリクローナル抗D を感作させて作製することが知られ ている。そこで赤血球量を500μL(500 万個/μL) 使用する 条件下で、1)抗D 試薬量と使用期限、2)加温時間、3) 抗D 試薬ロット間差、4)供血者血球差について、抗ヒト グロブリン試薬を用いて反応強度を比較・検討を行った。 なお、作製は輸血・移植検査技術教本に準じて実施し、研 究に用いた輸血検査用試薬はオーソ社製を使用した。 【結果・考察】 O 型赤血球に加える抗 D 試薬量と使用期 限を検討した結果、50μL で 1+、100μL で 2+、150μL で 3+であり、100μL 群と 150μL 群では作製後 14 日目まで 2+以上の反応強度が示され、21 日目では 3 群共に溶血が認 められた。また、抗D 試薬を 100μL 加えて加温時間と反応 強度の関係を測定した結果、50 分加温で 3 回実施した全て 2+となった。次に、抗 D 試薬のロットを変えてロット差が 結果に与える影響を検討した結果、50μL 群、100μL 群およ び150μL 群の全てにおいてロット差は認められなかった。 最後に、O 型赤血球を 2 検体、B 型赤血球を 1 検体用意し て個人差と血液型による差を検討した結果、抗D 試薬を 150μL 使用する系で検討した3検体全てで 2+以上であった。 以上のことから、検討した条件下では抗D 試薬を 150μL 使 用した場合、抗D 試薬のロットに関係なく 37℃で 60 分感 作すると、安定したIgG 感作赤血球が作製されることが示 唆された。連絡先 ― 025-257-4529

安定した

IgG 感作血球の作製条件の検討

◎渡邊 愛1)、金田1)、竹中 航太1)、田邊1)、川村 宏樹1) 新潟医療福祉大学 医療技術学部 臨床技術学科 1)

EntryNo. 104

【はじめに】 平成 26 年 12 月に赤血球型検査ガイドライン (以下GL)が改訂されたことを受け、我々は GL に準じた 活動を行ってきた。新潟県合同輸血療法委員会で実施して いるアンケート調査結果をもとに、新潟県における輸血検 査の現況と課題について報告する。 【対象と方法】 新潟 県内で輸血を行う主要80 施設を対象とし、県医務薬事課か らアンケート調査用紙を発送、回答はFAX 返信とした。同 様に過去3 年間に輸血用血液の供給実績のある小規模 63 施 設にも実施した。 【調査結果】 主要 80 施設すべてから 回答を得た。①検体の種類:血液型検査では血漿が 51 施 設(64%)を占めるが、不規則抗体検査と交差適合試験では血 清と血漿の割合は半数ずつであった。②血液型検査:方法 は試験管法56 施設(70.0%)、カラム法 19 施設(23.8%)でカラ ム法が微増傾向、外注は3 施設。試験管法の施設における Rh コントロールの使用は平成 26 年度の 36 施設から平成 27 年度は 43 施設に増加した。同一患者二重チェックは 74 施設(92.5%)、同一検体二重チェックは 63 施設(78.8%)で 行われていた。③不規則抗体検査:方法は試験管法 40 施(50.0%)、カラム法 33 施設(41.3%)、外注と未実施は各 3 施設。術式は酵素法&クームス法 27 施設(36.5%)、生食法 &クームス法 17 施設(23.0%)、クームス法単独 16 施設 (21.6%)の順であった。クームス法の反応増強剤は、平成 26 年度の PEG 19 施設・アルブミン 19 施設から平成 27 年 度はPEG 33 施設・アルブミン 5 施設と大きな変化があっ た。自己対照の使用は39 施設(48.8%)で減少傾向。臨床的 意義のない抗体が検出された場合の臨床報告では、「陽性」 報告が53 施設(68.8%)、「陰性」報告が 22 施設(28.6%)であ った。 小規模施設の調査では44 施設から回答を得た(回 収率69.8%)。不規則抗体検査の未実施 11 施設、検査技師 以外が検査を実施している状況が散見された。 【考察】 GL 改訂を受け、我々が啓蒙活動を行ってきた試 験管法におけるクームス法の反応増強剤切り替え、酵素法 や自己対照の省略等についてはある程度の成果が得られた。 一方で、小規模施設では輸血検査を含めた安全な輸血療法 実施のための体制整備が急務である。       連絡先 025-230-1770

新潟県における輸血検査の現況と課題

◎松山 雄一1)、古俣1) 新潟県赤十字血液センタ-1)

EntryNo. 101

【はじめに】危機的出血時では、RhD 陰性患者が抗 D を 保有していなければRhD 陽性 RBC を輸血することがある。 今回、緊急手術に際し、RhD 陰性患者へ RhD 陽性 RBC を輸血した症例を経験したので報告する。 【症例】68 歳女性。作業事故により転院搬送、右上腕動脈 吻合手術施行。出産歴2 回。O 型 RhD 陰性、ccEE、不規 則抗体陰性。当院での検査歴・輸血歴は無かったが、前医 よりO 型 RhD 陰性との事前連絡があった。また、前医で の輸血はなかった。 【経過】緊急輸血オーダーを受け、準備していたO 型 RhD 陰性RBC を 8 単位出庫し、その後患者の RhD 陰性を確認 した。緊急手術後の出血に対し、血液センターと調整を図 り対応していたが、供給が間に合わず、RhD 陽性 RBC を 8 単位輸血した。大量出血状態を脱した後も供給の不足に より、更にRhD 陽性 RBC を 4 単位輸血した。輸血量は、 10 日間で RBC が 61 単位(RhD 陽性を含む)、FFP240 が 12 本、FFP480 が 14 本、PC が 100 単位であり、FFP と PC は全て RhD 陽性を輸血した。また、当院の輸血同意書 には、RhD 異型製剤使用の説明・同意に関する適切な文言 の記載がなく、患者又は家族への説明に苦慮した。 【輸血検査】RhD 異型輸血から 1 か月間定期的に検査を実 施した。血液型検査では、抗D との反応が異型輸血後 1 日 は4+、2 日目は mf を示し、3 日目からは陰性となった。 SCR/DAT は全て陰性であった。一方、抗 D を用いた吸着 解離試験では、全て3+程度の強い凝集を認めた。また、異 型輸血から約2 ヵ月後の検体を、血液センターで FCM 検 査したところ、1%程度の RhD 陽性赤血球が残存していた。 【考察・結語】本例では抗体産生の可能性が高い約一か月 という期間では抗D は産生されなかった。このような事例 では、輸血後の患者のフォローアップが重要となることか ら、検査結果に応じた具体的な手順を含めたフローチャー トを整え、臨床医に報告できる体制の構築が必要と考えら れた。また、輸血同意書の内容を、緊急時に速やかに説明 し同意が得られるように、異型輸血の説明をRhD 型も含 め対応できるものに改訂することとし、検討している。 連絡先 018-829-5202 (内線 5621)

RhD 陽性 RBC を輸血した RhD 陰性患者の緊急輸血症例

◎田仲 宏充1)、横山 一二美1)、鶴田 聡1) 秋田赤十字病院1)

EntryNo. 84

【はじめに】新潟県は、魚沼地域に不足する救命救急医療 や高度医療を確保するため、H27 年 6 月 1 日に「新潟大学 地域医療教育センター魚沼基幹病院」を開院した。新卒新 採用が5 名いて、他にも輸血業務の経験の浅い検査技師も 多く、開院前より輸血の基本的なトレーニングは必須であ った。開院前から現在に至るまでの日当直に入る検査技師 への指導や緊急輸血の経験を報告する。 【緊急輸血の体制】輸血オーダーには「通常」、「緊急」 、「超緊急」の3 つの依頼区分がある。「超緊急」は医師 が電話で依頼し、検査技師が臨床現場まで血液製剤を運び、 検査技師と現場スタッフでダブルチェックをして払い出し ている。一度の出庫はO 型 RBC 6 単位、AB 型 FFP 6 単位 までで繰り返しの出庫は可能である。同型血への切り替え は電子カルテでのオーダーであり、血液型が2 回別時点で 確定し、出庫時、使用時の認証操作が可能であることであ る。 【日当直者への指導】開院前より日当直に入る検査技師 18 名(新人含む)に輸血担当者 3 名で輸血に関するトレー ニングを行った。全自動輸血検査装置(オーソ オートビ ュー)の操作、用手法(オーソ バイオビュー、試験管法) 、FFP の融解の仕方、輸血システムの操作、緊急輸血時の 対応等を指導した。開院後、緊急輸血が日勤帯にあった場 合、実際に輸血担当者以外のスタッフに製剤の準備から払 い出しまで実践してもらった。 【緊急輸血の経験】これまで緊急輸血は日勤帯に14 件、日 当直帯に17 件あった。輸血トレーニングの成果もあり、実 際に緊急輸血が発生したときは円滑に行うことができてい る。 【終わりに】輸血のトレーニングは日当直に入る者に必要 である。また定期的な輸血のトレーニングを行うことで、 輸血の知識が身に付き、迅速な輸血の対応が可能になる。 連絡先:025-777-3200(内線:2202)

新設病院における緊急輸血の体制の構築と日当直者への輸血指導

◎小林 徹1)、加藤 瑞希1)、柴田 真由美1)、小池 敦1) 新潟大学地域医療教育センター 魚沼基幹病院1)

EntryNo. 77

122

121

(5)

【はじめに】 PIVKA-II は肝細胞癌の患者血中に高率に出現する。その ため、PIVKA-II は肝細胞癌の診断・予後診断や B 型慢性肝 炎、C 型慢性肝炎、肝硬変患者などの肝細胞癌ハイリスク 者のモニタリングに使用される。また、肝細胞癌症例にお いて、AFP と PIVKA-Ⅱの間には相関関係が認められず相 補的関係にあるため、AFP と PIVKA-Ⅱを組み合わせて測 定することにより診断能は向上する。 今回、「アーキテクト・PIVKA-II」の基礎的検討を行う機 会を得たのでその結果を報告する。 【使用機器と対象】 測定機器としてARCHTECT アナライザー i2000SR をも ちいて検討を行った。同時再現性、日差再現性の検討には 検体として「ARCHITECT PIVKA-II ・コントロール M」(500mAU/mL)を使用し、検討を行った。希釈直線性試 験には「ARCHITECT PIVKA-II ・キャリブレータ」を使用 し、希釈系列を作成し、検討した。相関性試験での使用検 体は外部委託(エーディア社 ピコルミ PIVKA-II MONO を 使用)により PIVKA-II を測定した血清検体を用いて検討を 行った。 【結果】  同時再現性(n=10)の結果、CV=2.94%であった。日差再現 性は13 日間測定した結果、CV=3.15%であった。希釈直線 性試験の結果、30000mAU/mL から 10mAU/mL までの直線 性が確認出来た。相関性試験(n=46)では、回帰式 y=0.8436x+132.82、相関係数 r=0.98 となり、良好な結果と なった。 【結論】 今回の検討から、本試薬の基礎性能を確認出来た。本試 薬の基礎的性能は再現性試験、相関性試験、希釈直線性試 験において良好な結果であり、日常分析項目として使用で きる性能を有していることが確認することが出来た。本試 薬を日常分析項目として導入した場合、結果の報告時間を 短縮することが出来るため有用性が高いと思われる。 連絡先―025‐232‐5220 内線―2234

ARCHITECT アナライザー用測定試薬「アーキテクト・ PIVKA-Ⅱ」の基礎的検討

◎西 大貴1)、倉島 均1)、田村 大志1)、星山 佳美1)、藤原 誠得1) 済生会 新潟第二病院1)

EntryNo. 85

【目的】現在、HBs抗原の測定が B 型肝炎のスクリーニン グや診断に用いられており、予後や治療効果の判定マーカ ーとして重要視されている。B 型肝炎治療ガイドラインに おいても、HBV-DNA 量の減少のみならず、HBs抗原の消 失が治療の長期目標になっている。また、免疫抑制・抗癌 化学療法後にHBV の再活性化により発症する B 型肝炎 (de novo 肝炎)の予後は、極めて不良なことが知られて いる。そのため、あらかじめHBV キャリアや既感染の有 無を高感度測定法で確認することが、推奨されている。こ れまで高感度HBs抗原の測定はルミパルス G1200 のみで 可能だったが、必ずしも特異性が十分であるとは言えなか った。そのため今回、さらなる感度、特異度を向上させた ルミパルスプレストⅡ搭載試薬、ルミパルスプレスト HBsAg-HQ が開発されたので、その基本性能を評価した。 【対象および方法】1)札幌医科大学附属病院における、入 院および外来患者血清を用いた。2)「ルミパルスプレスト HBsAg-HQ」を使用し、ルミパルスプレストⅡ(いずれも 富士レビオ(株))で測定した。比較対照には「ルミパル スHBsAg-HQ」を使用し、ルミパルス G1200(いずれも富 士レビオ(株))で解析した。 【結果】1)3 濃度の試料を用いた同時再現性(n=20)の変動係 数(CV)は 2.05%-5.22%と良好であった。2)希釈直線性 は、検討した上限の144.8IU/ml まで確認された。3)患者血 清111 例の HBs抗原濃度を、ルミパルスプレスト HBsAg-HQ と対照試薬とで測定した。判定結果で比べると一致率 は82.%(91/111)であり、本試薬でのみ陽性のものが 5 例、 対照試薬でのみ陽性のものが15 例と不一致例が 20 例 (18%)みられた。これら判定結果が一致しなかった症例 について確認試験や他のB 型肝炎マーカーの測定を行った ところ、本試薬の測定結果を支持する結果であった。 【結語】「ルミパルスプレストHBsAg-HQ」は基本性能に 優れており、従来試薬に比べ感度、特異度ともに向上して いることから、日常検査に有用と考えられた。 連絡先:011-611-2111(内線 3646)

「ルミパルスプレスト

HBsAg-HQ」の基礎的検討

◎米澤 仁1)、山田 浩司1)、浅沼 康一1)、高橋 聡1) 札幌医科大学附属病院1)

EntryNo. 53

【背景】 不規則抗体は、輸血後の重篤な溶血性副作用や 胎児新生児溶血性疾患の原因となる。それらの事象を防止 するために間接グロブリン試験(以下IAT)を用いて、臨 床的意義のある37℃で反応する同種抗体の検出を目的とし た不規則抗体検査の実施が推奨されている。IAT では、 PEG ・ LISS の反応増強剤を用いる方法と反応増強剤無添 加の方法があるが、我々はこの2つの方法が、反応時間の 短縮以外にも検出感度などで違いがあるのか否か疑問をい だいた。そこで本研究は、不規則抗体の種類別で PEG-IAT 法と反応増強剤無添加‐PEG-IAT 法(以下無添加-PEG-IAT 法)の 検出感度比較、無添加‐IAT 法では抗体感作条件が検出感度 に与える影響を検討した。 【材料と方法】 検体は日本赤十字社から譲渡して頂いた、 抗Dia、抗 Jka および抗 E を含む血漿を用いた。検討項目 は、1)PEG-IAT 法の加温時間と振とう条件、2)無添加 ‐IAT 法の加温時間と振とう条件、3)抗 Jka を含む血漿を 用い量的効果の反応強度の比較・検討を行った。なお、検 査方法は輸血のための検査マニュアルVer. 1.3 に準じて実 施し、研究に用いた輸血検査用試薬はオーソ社製を使用し た。 【結果・考察】 PEG-IAT 法での加温時間を 10 分と 15 分、 振とうを毎5 分で 0 秒・ 3 秒・ 10 秒の条件で検討した結果、 抗Dia と抗 E では反応強度に変化は認められなかったが、 抗Jka では Jk(a+b+)赤血球群と Jk(a+b-)赤血球群のいずれに おいても反応強度の差異が認められた。次に無添加‐IAT 法 での加温時間を60 分まで毎 15 分、振とう 0 秒・ 3 秒・ 10 秒の条件で検討した結果、全ての検体において振とう 0 秒・ 3 秒・ 10 秒の順で反応強度の上昇傾向が認められた。 反応強度は、抗Dia では加温 60 分、抗 E では加温 45 分で ピークに達した。また抗Jka においては、Jk(a+b+)赤血球群 で加温45 分、Jk(a+b-)赤血球群では加温 60 分でピークとな り、反応強度の上昇に違いが認められた。検出感度につい ては、PEG-IAT 法では学生レベルでも十分に上記抗体の検 出が可能であったが、無添加‐IAT 法では条件によっては検 出できないこともあり、現在、更なる検討をおこなってい る。連絡先 ― 025-257-4529

不規則抗体検査における不規則抗体の種類が反応条件に与える影響

◎岡崎浩太1)、五十嵐 愛琳1)、沖田1)、清野 文香1)、竹中 航太1)、田邊1)、川村 宏樹1) 新潟医療福祉大学 医療技術学部 臨床技術学科1)

EntryNo. 106

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