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当院における気管支洗浄細胞診の評価 : 気管支擦過細胞診との対比を中心に 利用統計を見る

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平成8年4月1日

当院における気管支洗浄細胞診の評価

―気管支擦過細胞診との対比を中心に― 山梨医科大学附属病院検査部 石井喜雄 中澤久美子 弓納持勉 早川直美 久米章司 同 第二内科 西川圭一 小澤克良 同 第二病理 加藤良平 順天堂大学医学部第一病理 須田耕一 【はじめに】  現在当院においては気管支擦過細胞診とともに、肺癌の末梢型を中心にして内視鏡的に 病変が不明瞭な場合や生検等でうまく採取されない場合、両者と共に気管支洗浄細胞診が 行なわれている。今回気管支洗浄細胞診の成績を気管支擦過細胞診の成績と対比し、細胞 像も含め比較検討した。 【対象および方法】  対象は1988年から1995年までに施行された気管支洗浄細胞診および気管支擦過細胞診で ある。そのうち病理組織学的に悪性と診断した症例は124例で、その症例別内訳は扁平上 皮癌29例、腺癌74例、小細胞癌10例、その他悪性腫瘍ll例である。また当院での気管支 洗浄細胞診は生検鉗子、気管支擦過ブラシの洗浄液および気管支肺胞洗浄液を一括した洗 浄液である。 【気管支洗浄細胞診および気管支擦過細胞診の細胞像】  気管支洗浄細胞診と気管支擦過細胞診の両法の細胞像を比較すると、気管支洗浄細胞診 では、標本観察に時間を要し時として線毛円柱上皮の線毛の欠如や、細胞集団の重積性に より悪性細胞との鑑別が難しい場合がある。しかし肺胞上皮癌のような異型の少ない症例 においてはかえって異型が強調されたり(図1ab)、また適度に細胞がばらけることに より、小細胞癌に出現し易い核線等のアーチファクトがなく細胞診判定を容易にすること も少なくない(図2ab)。 【気管支洗浄細胞診および気管支擦過細胞診の成績】  気管支洗浄細胞診および気管支擦過細胞診の件数とその内訳を各々表1および表2に示 す。気管支洗浄細胞診件数は気管支擦過細胞診の3割強であり、Class IV, Vの悪性判定の 比率は両法ともに3割程である。特に気管支擦過細胞診材料は年々減少傾向にあるが、 Class I,llの良性判定件数が減少してきている。気管支洗浄細胞診材料はここ2年くら

(2)

山梨肺癌研究会会誌 9巻1号 1996 いが件数が延びており、積極的に行なわれている。  次にこれらの気管支洗浄細胞診で生検あるいは手術材料にて組織診断の裏付けのある 124例の肺癌の組織診と気管支洗浄細胞診判定の比較を示す(表3)。肺癌症例において 気管支洗浄細胞診にて悪性(ClasslV, V)と診断されたのは124例中92例(74%)であった。 このデータを気管支擦過細胞診成績と対比し、その一致率を示す(表4)。まず両法でと もに悪性(ClassIV, V)と診断されたのは124例中81例(65%)で、両法でともに疑陽性 あるいは陰性(Class皿以下)と診断されたのは124例中23例(19%)であった。また気管支 擦過細胞診にて悪性と診断できず、気管支洗浄細胞診にて悪性であった症例は124例中11 例(9%)、これとは反対に気管支洗浄細胞診にて悪性と診断できず、気管支擦過細胞診にて 悪性であった症例は124例中9例(7%)であった。 【考察】  今回検討した気管支洗浄細胞診材料は生検鉗子、気管支擦過ブラシの洗浄液および気管 支肺胞洗浄液を含み、また気管支洗浄細胞診を適用した症例も限定されている。従って採 取法自体の陽性率を単純に気管支擦過材料と気管支洗浄液材料とで比較評価することはで きない。しかし両法併用にて診断陽性率は124例中101例(84%)となり、気管支擦過細胞 診で悪性と診断できなかった症例11例を含んでおり、有意義であると考える。  次に気管支洗浄細胞診および気管支擦過細胞診でともに悪性と診断できなかった症例に おいては、両法でともに疑陽性あるいは陰性(Class皿以下))と診断された23例(19%) のうち13例にっいては組織生検で腫瘍が採取されているにも拘らず、細胞診で悪性細胞が 認められなかった。この不一致の要因については、腫瘍の組織型との関連性等は明確でな い。また残り10例にっいては同時に提出された組織生検においても腫瘍が採取されておら ず、再検にて悪性の診断がっいた症例であった。  気管支洗浄細胞診は肺癌の特に末梢型や微小癌等において組織生検や気管支擦過細胞診 で検体採取の困難な場合に、有効な補助手段と考える。 【まとめ】 1.当院における気管支洗浄細胞診を気管支擦過細胞診と対比し比較検討した。 2.肺癌症例における気管支洗浄細胞診の陽性率(ClassIVおよびV)は124例中92例(74%)  であった。 3.肺癌症例における両法での悪性判定一致率は124例中81例(65%)であった。 4.両法併用により124例中101例(84%)の悪性判定が診断可能となった。

(3)

平成8年4月1LI

a

↓   ぱ   烹,∪パ

蟹騨

漣織 ’t/tf       図1 肺胞上皮癌  a)では線毛円柱上皮(矢印)と殆ど類似した腫瘍細胞集団をみるが、b)では核は腫 大し核小体も目立ち、異型が強調される。a)気管支擦過細胞診像. b)気管支洗浄細胞 診像

     轟嚇

  鵡 盤

      図2 小細胞癌  a)では核が引き伸ばされて核線となり、個々の細胞核の判別は困難だが、b)では個 々の識別が明瞭であり、判別が容易である。a)気管支擦過細胞診像. b)気管支洗浄細 胞診像

(4)

       山梨肺癌研究会会誌 9巻1号 1996 訳 1

H

IV

V

1988

29

2 2 6

13

‘ 52

1989

19

4

2 0

17

42

1990

22

7 5

4

17

55

1991

14

1 2 2 6

25

1992

26

0

2 1

10

39

1993

26

3 0 0 5

34

1994

44

4

3 1

20

72

1995

43

7 5 0

22

77

223

28   2

1

14   1

10

396

(56%) (7%) (5%) (4%) (28%) 1 ∬ IV

V

1988

116

26

16

3

48

209

1989

121

22

4

2

51

200

1990

84

31

11

4

60

190

1991

88

10

8 2

51

159

1992

93

14

12

3

53

175

1993

90

10

7 2

45

154

1994

64

13

10

1

51

139

1995

57

7 3 2

44

113

713

133

71   1

9

403

1339

(53%) (10%) (5%) (1%) (30%)

(5)

平成8年4月1日

   表3

の比  1988∼1995.ll

  鯛診

g篇診 1 皿 IV

V

扁平上皮癌

@腺癌

ャ細胞癌

ォ性腫瘍寧

 8

P4

@2

@2

0100 2300 0303

19

T3

@8

@6

29(23%) V4(60%) P0 (8%) P1 (9%) 計

26

i21%) 1(0.8%) 5(4%) 6(5%)

86

i69%)

124

表4

にお↓る

*低分化癌および転移性腫瘍を含む

   と     ’      との 1988∼1995.ll 擦 遇 1     皿 IV

V

計 洗 浄 1 1 7      2 1 1 5 2 6 (14%) (1.6%)  (0. 8%)  (0. 8%》  (4%》 皿 0     0 0 0 1 1 (0.8%) 皿 1     0 2 0 2 5 (0. 8%) (1.6%) (1.6%) IV 0      1 0 2 3 6 (0.8%》 (1.6%) (2.4%)

V

3     2 5 0

76

8 6 (2. 4%)  (1.6%) (4%) (61%) 計 2 1     5 8 3

87

1 2

4

参照

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