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博 士 ( 理 学 ) 濱 野 幸 治

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 濱 野 幸 治

学 位 論 文 題 名

   Genesis of stratabound deposits in the Tokoro belt,  eastern Hokkaido‑with special reference to formation  processes of bedded manganese deposits on seamount

   ( 北 海道 東部 ,常 呂帯 の層 準規 制型鉱 床の 成因 論的 研究 一特 に海 山.における層状マンガン鉱床の形成について−)

学 位 論 文 内 容 の 要旨

  北 海道北 東部 ,常呂 帯仁頃 層群は ,ジ ュラ紀 後期〜 白亜紀 前期に 形成 された海山の付加体で あ り,本 層群中 には 含銅硫 化鉄鉱 床・居状含マンガン鉄鉱床(以下,単に屈状鉄鉱床と呼ぶ).

ブ ラウン 鉱卓越 型層 状マン ガン鉱 床・赤 白珪石 鉱床 の4種の層準規制型鉱床が含まれる,含銅硫 化 鉄鉱床 および 層状 鉄鉱床 は,常 呂帯北部に分布が限られるのに対して,層状マンガン鉱床は,

常 呂帯全 域にわ たっ て広く 分布す る,母 岩の放 散虫 化石に よると ,層状 鉄鉱床の鉱化時期は,

ジ ュラ紀 中〜後 期と 白亜紀 前期中 葉の2期あ り,― 方層状マンガン鉱床は,大局的には白亜紀前 期 中葉の ほぼ同 時期 に形成 された ,東亜 鉱床で は, ハイア ロクラ スタイ 卜を下盤とする層状鉄 鉱 床の約8m上位 の赤色 層状チ ャ―ト 中に 層状マ ンガン 鉱床が 胚胎す る. 本鉱床では,両タイプ の 鉱床か ら白亜 紀前 期中葉 の放散 虫化石 が得ら れて いるが ,両者 は同一 層準に胚胎していない こ とが明 らかで ある ,従っ て,常 呂帯の すべて の層 準規制 型鉱床 は厳密 には同時に形成された も のでは ない.

  含 銅硫化 鉄鉱 床は, 緑色岩 中に胚 胎し ,レン ズ状の 形態を なすも のと 脈状の形態をなすもの に 分けら れるが ,前 者の武 士鉱床 には, 現世の 海底 熱水性 硫化物 鉱床に 普遍的に見いだされる コ ロフオ ―ム状 組織 や再堆 積組織 などが 認めら れる ことか ら,海 底熱水 活動に伴なう硫化物鉱 床 である と考え られ る.

  層 状 鉄鉱 床 は , 下 盤を 枕 状溶 岩,上 盤を赤 色層状 チャ ートと して走 向延長 約100m, 厚さ最 大 約2−3mのマ ウンド 状の 形態を なす. 鉱石は 主とし て微 粒の赤 鉄鉱と 微生物 起源 の石英 から な り,そ の鏡下 組織 は,鉱 床が初 生的に は微細 な鉄 ・マン ガン水 酸化物 として堆積したことを 示 す,本 鉱床は ,火 山活動 の末期 に放散 虫チャ 一卜 の堆積 場で形 成され ,熱水噴出口付近の海 底 に 放 出 し た 熱 水 か ら 沈 殿 し た マ ウ ン ド 状 の 重 金 属 堆 積 物 で あ る と 考 え ら れ る ,   層 状 マン ガ ン 鉱 床 は, 走 向 延 長 約100m, 厚さ 最 大約2―3mのレン ズ状の 形態を なす .鉱床 は 上盤・ 下盤を とも に赤色 チャー トーミクライト質石灰岩互層または赤色層状チャートとする.

鉱 体内に 挟まれ る放 散虫チ ャ―ト は,規 則的に 泥岩 やミク ライト を挟ま ないが,鏡下では母岩 の チャー ト層に 類似 し,加 えて, 縞状鉱 石のチ ャ― ト縞と マンガ ンに富 む縞との関係は,マン ガ ンに窩 む縞が 放散 虫チャ ートを 切った り,放 散虫 チャー トの間 に注入 している産状が観察さ れ る,鉱 体の下 位側 には多 くの場 合放散 虫化石 を認 めるこ とがで きない 特殊なチャートが観察 さ れる. 若佐鉱 床で は,下 盤側に 膨縮に 富む不 連続 な白色 チャー トが産 し,これは縞状鉱石の 放 散虫チ ャート 縞や マンガ ンに富 む縞と は不調 和で ,より 後期の 形成で あるが,産状から考え

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ると 放散 虫 チャ ート が 固化 する 以 前に 形成 された .北海道鉱床の場合 ,下盤赤色塊状チ ャート は不 均質 な 岩石 で, 赤 鉄鉱 に宜 む 縞を しば しば含 み,また局所的に多 数の石英細脈と角 礫状の 赤色チャ―卜から構 成される赤白珪石 となる,

  麿状マンガン 鉱床の鉱石は,― 般にブラウン鉱と 石英を主とし,赤鉄 鉱,方解石,量晶 石,バ イロ ルー ス 鉱な どを 伴 なう ,鉱 石 中の ブラ ウン鉱 またはその露天酸化 鉱物であるパイロ ルース 鉱な どの マ ンガ ン鉱 物 から なる 初 生的 な組 織は, 大きく結晶の集合形 態とその内部組織 に分類 さ れ る , 結 晶 の 集 合 形 態 は , マ ン ガ ン 鉱 物 か ら な るGrowth (Mn‑rich band, Micr onodule‑ shell−like,and Replacement or adhere growth of radiolarians),Nodule, Globular,Sea ur chin−likeの各組織に分けら れる,このうち,Gr owth textureの内部組織は,

micr onodule,shel|−like,col‖loformに分けられる,初生組織の産状は,本組織が放散虫の遺 骸が 堆積 ・ 埋没 して か らあ まり 時 間を 置か ずに形 成されたものである ことを示す,鉱床 の下盤 をな す塊 状 チャ 一卜 は ,鏡 下で 放 散虫 化石 の 痕跡 がし ば しば 認め られること ,赤鉄鉱に1む鴇 や泥 岩を 不 規則 に挟 む こと から , 本来 母岩 をなす 互層であったものが ,熱水の影響によ り再結 晶・無構造化したチ ャ―トであると考 えられる.

  常呂帯の層状マン ガン鉱床に認めら れる成長組織は, 次のような特徴をも つ,(1)鉱体内で水 平的 にも 垂 直的 にも 多 くの 場合 , 層序 的下 位 側に 向か っ て成 長し ている(Downward gr owth).

(2)鉱体 内で水平的にも垂 直的にもその大きさ および形態の変化は認められない,(3)内部組織 は, 常にmicr onodule‑*shel|―|ike→ colloform textureへと連続 的に変化する.Downward growthは , 美濃 帯舟 伏 山地 域の べ ルム 紀前 期〜中 期に形成された海山 の付加体中に産す る層状 マン ガン 鉱 床で も確 認 され る, 現 世海 底熱 水性マ ンガンクラストと常 呂帯や美叢帯の層 状マン ガン鉱床を比較検酎 した結果,この特 徴的なDownward growthは, 鉱床がその場(¨in―situ ) の熱 水活 動 によ り, 海 底面 直下 の 未固 結堆 積物中 で,下方から上昇じ てきた熱水によっ て形成 したことを示唆する 証拠であると考え られる,

  以 上述 べ た特 徴を 考 慮す ると , ブラ ウン 鉱卓越 型層状マンガン鉱床 の形成プロセスは ,以下 のように推定される ,基盤玄武岩中を 循環する間に恐ら く低温(く1 00' C)で玄武岩と反応し,鉄 に乏 しく マ ンガ ンに 富 む組 成を 有 する 熱水 溶液が ,基盤中の割れ目を 通して上昇し,未 固結の 堆積 物中 に 流入 する . 堆積 物中 に 入っ た熱 水溶液 は,堆積物中に広く 拡散してさらに上 昇し,

海底 面直 下 の酸 化面 に 達す ると , 酸化 的な 海水と 接して透水性の高い チャ一卜一ミクラ イ卜互 層の ミク ラ イト を, ま たは 層状 チ ャ一 卜の 赤色泥 岩挟みに浸透してマ ンガン酸化物を沈 殿させ た, マン ガ ン酸 化物 は ,赤色チャートとミ クライ卜または赤 色泥岩挟みの境界 部から熱水fマン ガン)が供給さ れる方向,っまり 下位の堆積物に向 かって成長する,堆 積物表層に層状の マンガ ン鉱 体が 形 成さ れれ ば ,鉱 体が 後 期の 熱水 に対し てcap rockの役割を 果たすので,後期 の熱水 はマ ンガ ン 鉱体 の下 部 に比 較的 長 く滞 留す ること になる.従って,母 岩が再結晶・塊状 無層理 化し ,鉱 床 下盤 の塊 状 チャ ート が 形成 され たと考 えられる.北海道鉱 床で認められる赤 白珪石 は, 層理 面 と直 交す る 方向 に2―3mの 幅 をも って 発 達し てお り ,熱水 の主要な上昇帯を 示す可 能性 があ る ,こ のプ ロ セス で形 成 され た層 状マン ガン鉱床は,海底硫 化物鉱床のチムニ ―のよ うな 明瞭 な 熱水 噴出 口 を持 たな い とい う特 徴を持 ち,層状マンガン鉱 床に対して従来漠 然と考 えら れて い た, 熱水 噴 出口 付近 に 沈殿 し, マウン ドを形成するという モデルとは全く異 なる,

  海 山に お ける 層準 規 制型 鉱床 の 形成 場は 含銅硫 化鉄鉱床から層状鉄 鉱床,層状マンガ ン鉱床 の順 で熱 源 であ る海 山 本体 から 離 れる 傾向 にある と考えられる,これ らの鉱床は,それ ぞれ異 なる 熱水 系 で生 じた 鉱 床で あり , 同― の熱 水噴出 口から放出された重 金属が,熱水噴出 口から の距 離に 伴 なう 化学 的 挙動 の違 い によ って 分離し ,沈殿した鉱床では ないと結諭される .  .

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学位論文審査の要旨 主 査    教授    石 原舜 三 副 査    教授    藤 野清 志 副査   助教授   松枝大治 副 査    講師    三 浦裕 行

学 位 論 文 題 名

 Genesis of stratabound deposits in the Tokoro belt, eastern Hokkaido‑with special reference to formation processes of bedded manganese deposits on seamount

   ( 北 海 道東 部, 常呂 帯の 層準 規制 型鉱 床の 成因 論的研 究

― 特 に 海 山に おけ る層 状マ ンガ ン鉱 床の 形成 につ いて― )

  近年 ,日本 の中古 生層 は徹化 石居序 などの 進歩 によっ て大きく改められた.特に,中古生層 の主 要岩相 である 層状チ ャ― トは遠 洋性の 堆積物 で,そ の鴇状構造は古海洋のグローバルな環 境変 化と密 接に関 係して いる 可能性 が指摘 されて いる. しかし,層状チャ―ト中に胚胎される 層状 マンガ ン鉱床 の近代 的手 法およ び発想 による 研究は 充分とは言えず,ここにおいて北海道 およ び中部 地方の 成因論 的研 究を実 施した .

  北海 通北東 部,常 呂帯 仁頃層 群はジ ュラ紀 後期 〜白亜 紀前期の海山付加体であり,含銅硫化 鉄鉱 床・層 状含マ ンガン 鉄鉱 床・プ ラウン鉱卓越型層状マンガン鉱床・赤白珪石鉱床の4種の層 準規 制型鉱 床が含 まれる .

  含銅 硫化鉄 鉱床は ,レ ンズ状 の形態 をなし て緑 色岩中 に胚胎し,現世の海底熱水性硫化物鉱 床に 相当す る.

  層状 含マン ガン鉄 鉱床 は,下 盤を枕 状溶岩 ,上 盤を赤 色層状 チャ― トとし て走 向延長約100 m, 厚さ最 大約2‑3mのマ ウンド 状の形 態をなす,鉱石は主として微粒の赤鉄鉱と石英からなり,

その 鏡下組 織は鉱 床が初 生的 には微 細な鉄 ・マン ガン水 酸化物として堆積したことを示す.本 鉱床 は火山 活動の 末期に 放散 虫チャ ―卜の 堆積場 で形成 され,熱水噴出口付近の海底に堆積し た1金属マ ウン ドであ る.

  層 状 マ ン ガン鉱 床は, 走向延 長約100m,厚さ 最大 約2‑3mの レンズ 状の形 態をな す.鉱 床は 上盤 ・下盤 をとも に赤色 チャ ―ト― ミクラ イ卜質 石灰岩 互層または赤色層状チャートとし,そ の胚 胎層準 は基盤 のハイ アロ クラス タイト の上位10m以 内で ある. 鉱石は 鑷状を 呈し,績状鉱 石の 放散虫 チャ一 卜鴇と マン ガンに 奮む鑷 には, マンガ ンに1む缶 が放 散虫チ ャ―トを切った り, 放散虫 チャ― トの間 に注 入して いる関 係が観 察され る.鉱体の下位側には放散虫化石の痕 跡に 乏しい 特殊な チャート(塊状チャ―ト・赤白珪石)が観察される.これらは母岩の層状チャ

―ト や鉱石 のマン ガンに 宜む 鑷とは 不調和 で,よ り後期 の形成であるが,産状から考えると放 散虫 チャ― トが固 化する 以前 に生じ た.

  層状 マンガ ン鉱床の鉱石は―般にブラウン鉱と石英を主とし,赤鉄鉱,方解石,童晶石などを

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伴 なう .鉱石 中の主 として ブラ ウン鉱 からな る初生 的な組 織は ,Growth,Nodme,Globular, Seaurckn‐likeの各組 織に分けられる.初生組織の産状は,本組織が放散虫の遺骸が堆積・埋没 し てか らあま り時間 を置か ずに 形成さ れたも のであ ること を示 す.Gmwth組織は,(1)鉱体内 で 水 平 的 に も 垂 直 的 に も 多 く の 場 合 , 層 序 的 下 位 側に 向 か っ て 成長 し て い る (Downwam gmwth) ,(2)鉱 体内で 大きさおよび形態の水平的・垂直的変化は認められない,という特徴を 示 す. 現世海 底熟水 性マン ガン クラス 卜と常 呂帯や 美濃帯 のベ ルム紀 海山中に産する層状マン ガ ン鉱 床を比 較検討 した結 果, この特 徴的なDownwardgmwthは鉱床がその場( in‐situ )の 熱 水活 動によ り,海 底面直 下の 未固結 堆積物 中で, 下方か ら上 昇して きた熱水によって形成し た こと を示唆 する証 拠であ ると 考えら れる.

  以上述 ぺた特 徴から ,層 状マン ガン鉱 床の形 成プ ロセス は以下 のように推定される.海水が 基 盤玄 武岩中 を循環 する間 に恐 らく低 温に100℃)で玄武岩と反応し,鉄に乏しくマンガンに奮 む 組成 を有し た熱水 溶液が 生じ ,それ が基盤 中の割 れ目を 通し て上昇 し,未固結の堆積物中に 流 入し た.堆 積物中 に入っ た熱 水溶液 は堆積 物中に 広く拡 散し てさら に上昇し,海底面直下に 達 する と,酸 化的な 海水と 接し て透水 性の高 いミク ライト 挟み または 赤色泥岩挟みに浸透して マ ンガ ン酸化 物を沈 殿させ た, マンガ ン酸化 物は赤 色チャ ―卜 とミク ライト挟みまたは赤色泥 岩 挟み の境界 部から 熱水( マンガン)が供給される方向,っまり下位の堆積物に向かって成長し た .堆 積物表 層に層 状のマ ンガ ン鉱体 が形成 されれば,鉱体が後期の熱水に対してcaprockの役 割 を果 たし, 後期の 熱水は マン ガン鉱 体の下 部に比 較的長 く滞 留する ことになる,従って,母 岩 が 再 結 晶 ・ 塊 状 無 層 理 化 し , 鉱 床 下 盤 の 塊 状 チ ャ ー ト が 形 成 さ れ た ,   海山に おける 層準規 制型 鉱床の 形成場 は含銅 硫化 鉄鉱床 から層 状含マンガン鉄鉱床,層状マ ン ガン 鉱床の 順で熱 源の海 山本 体から 離れる ,これ らの鉱 床は ,従来 同―の熱水噴出口から放 出 され た童金 属が熱 水噴出 口か らの距 離に伴 なう化 学的挙 動の 違いに よって分離し,沈殿した 鉱 床と 説明さ れてい たが, 本研 究によ ってそ れぞれ 異なる 熱水 系で生 じた鉱床であることが実 証 され ,全く 新しい 成因モ デル が提案 された ,

  本研究 で明ら かにな った 層準規 制型鉱 床の形 成場 ・形成 プロセ スは,他の付加体の鉱床にも 適 用す ること が可能 であり ,か つ鉱床 胚胎母 岩の層 状チャ ―ト の形成 場を推定する上で役立つ と 考え られる ,本研 究は, 鉱床 成因鑰 のみな らず, 付加体 の構 造発達 史の解明に貢献するとこ ろ 大で ある, よって 著者は 北海道大学博士(理学)の学位を授与される資格あるものと認める,

参照

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