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濵 耕子論文内容の要旨 主 論 文

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Academic year: 2021

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濵 耕子論文内容の要旨

主 論 文

Evaluation of Quality of Life in Japanese Normal Pregnant Women

(日本人妊産婦のQOL評価)

濵 耕子,高村 昇,本田純久,安部恵代,矢倉千昭,宮村庸剛,小濱正彦,

森崎正幸,今村定臣,青柳 潔

掲載雑誌名 Acta Medica Nagasakiensia 52495-99-2008 [5頁]

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻

(主任指導教員:青柳 潔教授)

緒 言

先進国において、出生率の低下は大きな社会的問題である。日本においても独身女 性の増加や晩婚化などに伴い、2005 年の出生率が 1.26 と世界でも最も低いレベルに まで低下している。先進国における出生率の改善のためには社会経済的政策に加え、

初産婦、経産婦問わず、妊娠女性の健康に対するきめの細かい対応も重要となってく る。

妊娠は女性にとって乳房の痛みやつわり、全身倦怠感などの身体的影響に加え、精 神的そして社会的にも大きな変化をもたらすが、これらの変化は女性の活動性を制限 し、QOL の低下を招くと考えられる。QOL の評価ツールであるSF-36 を用いたこれ までの研究では、妊娠の早期の段階で「身体機能」が、中期から後期の段階で「日常 役割機能(身体)」や「体の痛み」といった下位尺度が低下することが報告されてい る。

その一方、初産婦と経産婦におけるこれまでの比較研究では、腰背部痛や肥満など 身体面についての評価が報告されているが、QOL の側面に着目したものは少ない。

そのため本研究では、正常経過を辿る日本人妊婦の QOL 変化と出産回数の関連につ いて検討を行った。

対象と方法

本研究の実施に先立ち、県立長崎シーボルト大学の倫理委員会において承認を得た。

調査は長崎県の産婦人科医院および診療所の計4施設において行い、合併症のない190 名の妊婦を対象に調査を開始した。調査期間中に合併症を併発した16名、他に転院し た12名、初産、経産についての記載がなかった3名を除外し、最終的に159名を解析の 対象とした。対象者は、SF-36(アキュート版)を用いて、妊娠初期から24週まで4 間に1度、24週以後は出産まで2週間に1度の頻度で回答した。得られた回答より、SF-36 の下位尺度である「身体機能」、「日常役割機能(身体)」、「体の痛み」、「活力」、

「社会生活機能」、「日常役割機能(精神)」、「全体的健康感」、「心の健康」の 得点について、妊娠期間中の変化を評価し、さらに初産婦と経産婦についてそれぞれ

(2)

の下位尺度で違いがあるかどうかについても検討した。

結 果

解析対象者の調査開始時の平均年齢は29.5±4.2歳、BMI20.3±2.4であった。対象 者のうち、初産婦が67名(42.1%)、1回経産婦が69名(43.4%)2回経産婦が22

(13.8%)、3回以上の経産婦は1名(0.6%)であった。

SF-36 の下位尺度のうち、「身体機能」「日常役割機能(身体)「体の痛み」は、

妊娠週数の進行に伴って低下した。その一方、「社会生活機能」「日常役割機能(精神) といった下位尺度は、妊娠後期において低下していた。また、「活力」は妊娠 12~15 週時を除いて変化はなく、「全体的健康感」や「心の健康」に変化はみられなかった。

初産婦、経産婦別の QOL 得点は、「身体機能」「日常役割機能(身体)「全体的 健康感」といった下位尺度では両群に差はみられなかった。その一方、「体の痛み」、

「活力」、「社会生活機能」、「日常役割機能(精神)」、「心の健康」は両群の変化に有 意差がみられた。具体的には、「体の痛み」や「活力」は妊娠12~15週時から妊娠16

19週時にかけては経産婦が高かったが、妊娠3637週時から妊娠3839週時にか けては逆に初産婦が高かった。

考 察

本研究において、正常妊婦の QOL は、「身体機能」「日常役割機能(身体)「体 の痛み」といった身体的側面のQOLは妊娠週数の進行に伴って低下したが、「全体的 健康感」や「活力」「心の健康」といった精神的側面の QOL の大きな変化はみられ なかった。このことは、今回QOL の評価に使用したSF-36が、特に妊娠女性の身体 的側面のQOL評価に有用であることを示唆するものである。

さらに本研究では「身体機能」、「日常役割機能(身体)」、「全体的健康感」といっ た下位尺度では初産婦、経産婦別の QOL 得点に差はみられなかった。また「体の痛 み」、「活力」、「社会生活機能」、「日常役割機能(精神)」、「心の健康」といった下位 尺度では、妊娠の時期に応じて初産婦、経産婦との間に QOL 得点に差がみられてお り、初産婦のみならず、経産婦においても QOL の低下に応じた対応が必要であるこ とが示唆された。

先進国における出生率の低下は、将来的な人口の減少につながるものと危惧されて いる。日本では現在「子ども・子育て応援プラン」として「若者の自立とたくましい 子どもの育ち」「仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し」「生命の大切さ、家庭の 役割等についての理解」、それに「子育ての新たな支え合いと連帯」を重点課題とし て少子化対策を検討しているが、このような政策と同時に妊娠期や妊婦の特性、QOL に合わせたきめの細かい対応も重要であると考えられる。

参照

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