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濵田英里 論文内容の要旨 主 論 文

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Academic year: 2021

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濵田英里 論文内容の要旨

主 論 文

Anionic Complex with Efficient Expression and Good Safety Profile for mRNA Delivery

(mRNA送達のための高い発現効率と安全性を有するアニオン性複合体)

濵田 英里、黑﨑 友亮、橋詰 淳哉、原澤 仁美、中川 博雄、中村 忠博、

兒玉 幸修、佐々木 均

(Pharmaceutics, 13

1

号, 2021年, 〔126-139〕

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 医療科学専攻

(主任指導教員:佐々木 均 教授)

緒 言

遺伝子・核酸は、次世代医薬品として、ワクチン、酵素補充療法、遺伝子疾患治療などへ の応用が期待されている。近年では、

DNA

より副作用の少ない

messenger RNA

(mRNA)が 注目されている。しかしながら、mRNA を単独で生体に投与しても、細胞内取り込みが低 く、速やかに分解され、臨床応用が困難である。そのため、

mRNA

を安定に細胞へ標的化で きるドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発が望まれている。

当研究室では既に核酸医薬品に様々な高分子を静電的に自己組織化させた一連の三元複 合体を開発してきた。なかでも、

plasmid DNA

(pDNA)とカチオン性高分子の

polyethylenimine

(PEI)、アニオン性高分子の

γ-polyglutamic acid(γ-PGA)を用いて構築した三元複合体

(pDNA/PEI/γ-PGA複合体)は、高い安全性と遺伝子導入効果を示し、メラノーマの抗原を 脾臓に高率に発現し

DNA

ワクチンとして有用であった1)

mRNA

pDNA

とは構造が異な り、類似した物性と異なる分子量を有する。

そこで本研究では、

mRNA

を対象として、三元複合体の調製法を確立し、その毒性やタン パク発現量を検討した。

対象と方法

モデルとしてホタルルシフェラーゼをコードした

mRNA

を用いた。

PEI、 γ-PGA

を様々な 電荷比で混合し、

mRNA/PEI

複合体および

mRNA/PEI/γ-PGA

複合体を調製した。得られた複 合体の粒子径と表面電荷を測定し、アガロースゲル電気泳動で

mRNA

の放出や安定性を評 価した。マウスメラノーマ細胞株である

B16

細胞に各複合体を添加し、ルシフェラーゼ発 現量や細胞障害性を評価した。また、赤血球と各複合体を混合し、凝集を確認した。さらに、

(2)

各複合体を

ddY

系雄性マウスへ静脈内投与し、経時的に肝臓、腎臓、脾臓、心臓、肺におけ るルシフェラーゼ発現量を測定した。

結 果

粒子径や表面電荷、安定性などの物理化学的特性を基に適正な

mRNA/PEI

複合体および

mRNA/PEI/γ-PGA

複合体を調製した。mRNA

PEI、γ-PGA

を電荷比

1:8:0

または

1:8:12

混合することで、粒子径が

46.3 nm

で表面電荷が+47.4 mV

mRNA/PEI

複合体と粒子径が

52.0 nm

で表面電荷が-35.5 mV

mRNA/PEI/γ-PGA

複合体が調製できた。B16細胞において

mRNA/PEI

複合体は高い細胞障害性を示し、赤血球と混合した結果、凝集が認められた。一

方で、アニオン性の

mRNA/PEI/γ-PGA

複合体は細胞障害性や赤血球凝集を顕著に抑制し、

mRNA/PEI

複合体に匹敵する高いルシフェラーゼ発現を示した。さらに、マウスに静脈内投

与した結果、mRNA/PEI/γ-PGA複合体は脾臓と肝臓で強いルシフェラーゼ活性を示した。

考 察

本研究では

mRNA

を細胞内に送達できる安全性の高い複合体の開発を行った。調製した

mRNA/PEI/γ-PGA

複合体は

mRNA

を安定に内包し、

mRNA

RNase

による分解を保護した。

mRNA/PEI

複合体は赤血球凝集と高い細胞障害性を示したが、mRNA/PEI/γ-PGA 複合体は、

赤血球凝集や細胞障害性がほとんど認められず、高い安全性が示された。アニオン性高分子

である

γ-PGA

を添加することで複合体の表面が負に帯電し、細胞や赤血球との静電的な相

互作用が減弱したものと考えられる。一方で、

mRNA/PEI/γ-PGA

複合体は

B16

細胞において 高いルシフェラーゼ発現を示した。負電荷の

mRNA/PEI/γ-PGA

複合体の細胞内取り込みに は何らかの特殊な機構が関与している可能性がある。

さらに、

mRNA/PEI/γ-PGA

複合体は静脈内投与後に脾臓と肝臓で高いルシフェラーゼ発現

を示した。脾臓には免疫担当細胞が豊富に存在しており、

mRNA

を用いた核酸ワクチンの臨 床開発が期待できる。また、肝臓における高いルシフェラーゼ発現から、酵素補充療法への 有用性も考えられる。

以上、mRNAを細胞内・臓器に送達してタンパク質を発現できる安全性の高い

DDS

の開 発に成功した。

1)Kurosaki T. et al., Biomaterials, 30, 2846-53 (2009).

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