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Academic year: 2021

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論文内容の要旨

Cervical Dilatation Curves of Spontaneous Deliveries in Pregnant Japanese Females

日本人産婦における自然分娩の頸管開大曲線

日本医科大学大学院医学研究科 女性生殖発達病態学分野

研究生 印出 佑介

International Journal of Medical Sciences 2018; 15(6): 549-556. doi: 10.7150/ijms.23505

(2)

〔背景と目的〕

頸管開大曲線は適切な分娩進行管理に役立つ臨床的な指標である。分娩進行異常の診断 が不正確であれば、産科的医療介入が不適切に行使される可能性がある。一方で広く用い られる過去の頸管開大曲線に、多様な母児背景と、多数の異常分娩経過や医療介入症例が 含まれている。正常な分娩進行と分娩時間を表す指標を開発する目的で、標準的日本人集 団の、異常分娩経過や医療介入症例を含まない、自然分娩の頸管開大曲線を作成する。

〔対象と方法〕

過去8年間の日本人産婦3172人(初産1047人・一回経産1083人・二回以上経産1042 人)の産科診療録を後方視的に調査した。選択基準は分娩時年齢20~39歳・非妊時体格指 30未満、正期産・単胎・頭位で、新生児期に異常のない胎齢相当出生体重の生児を自然 分娩した症例とした。母体背景や周産期予後のデータは、大学病院〔日本医科大学多摩永 山病院〕とその関連施設〔ベルンの森クリニック・ベリエの丘クリニック・産婦人科コン チェルト・町田産婦人科菜の花クリニック・東府中病院・山口病院〕から得た。

調査項目は、母体:分娩時年齢・分娩週数・身長・非妊時体重・分娩時体重・破水時刻・

陣痛開始時刻・分娩時刻・各内診時刻と頸管開大度・会陰切開・総出血量・臍動脈血pH・

臍帯巻絡、新生児:性別・出生体重・身長・頭囲・Apgarスコア1分値と5分値であった。

異常分娩経過や医療介入症例は除外された。母体背景と周産期予後に関して初産婦と経産 婦(一回経産・二回以上経産)で統計学的な相違や傾向を検討した。

全開大時刻から逆算した経過時間と頸管開大度の関係を調査して分娩進行を検討した。

六次多項式モデルを用いた反復測定回帰曲線が、頸管開大度に対する当てはめに最も適し た。任意の頸管開大度から1cmまたは全開大まで進行するのに要した時間分布を調査して 分娩時間を検討した。

〔統計学的解析結果〕

母体背景と周産期予後:分娩時の母体年齢と体格は経産回数の増加に伴って増加した。

分娩時間は経産回数の増加に伴って減少した。新生児の体格は経産回数の増加に伴って増 加した。

平均頸管開大曲線:初産婦では明確な変曲点を伴わずに加速期にゆるやかなカーブを描 き、経産婦では頸管開大度5cm 付近で加速期に移行した。分娩進行は経産回数の増加に伴 って早くなり、経産婦では一回経産に比較して二回以上経産で活動期が早く開始した。活

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動期の終わりに減速期を認めなかった。

任意の頸管開大度から1cmまたは全開大まで進行するのに要した時間分布:分娩進行は 経産回数と頸管開大度の増加に伴って早くなった。頸管変化が最も加速する頸管開大度は 初産婦で6cm・経産婦で5cmであった。初産婦で6cmが7cmに進行するのに3時間以上・

経産婦で5cmが6cmに進行するのに2時間以上かかり得た。活動期では初産婦は1時間未 満・経産婦は30分未満で全開大し得た。潜伏期でも初産婦・経産婦ともに1時間未満で全 開大し得た。

〔考察と結論〕

異常分娩経過や医療介入を伴わない標準的日本人集団の、正常分娩進行を特徴づける頸 管開大曲線を作成した。分娩進行は経産回数の増加に伴って早くなり、活動期は頸管開大 度5cmまで開始しない可能性があった。過去の頸管開大曲線に比べて、本研究の曲線は活 動期の始まりにゆるやかな加速期のカーブを描き、減速期を認めなかった。

1)頸管変化が最も加速する頸管開大度は初産婦で6cm・経産婦で5cmであった。産婦 は多様な頸管開大度と頸管変化率をもって活動期に入る。近年の諸家の頸管開大曲 線はより多様な母児背景を含み、本研究より分娩進行はゆるやかであった。

2)初産婦で頸管開大度6cmが7cmに進行するのに3時間以上・経産婦で5cmが6cm に進行するのに2時間以上かかり得た。分娩進行異常は研究結果による定義と、母 児の状態を併せて考慮して診断されるべきである。

3)活動期では初産婦は1時間未満・経産婦は 30 分未満で全開大し得た。急産で周産期 合併症や母体合併症が増加する可能性がある。本研究の急産率は米国に比較して高 く、陣痛発来の定義や規則的子宮収縮の診断の相違が推察された。

4)活動期の終わりに減速期を認めなかった。減速期は分娩中の児頭下降が最大化する 部分で、しばしば短いか認められない。過去の頸管開大曲線は難産に伴う遷延性減 速期を多く含み、本研究は難産症例を除外したためにこれを欠いたと推察された。

5)母児背景は時代に伴って変化し、人口動態の変遷は分娩進行や分娩時間に影響しう る。母体年齢の上昇に伴って分娩第一期は早くなり、母体体格の上昇に伴って分娩 第一期は遅くなる。本研究の母体背景は現代の平均的な日本人女性と相違なかった。

以上の結果は産科的管理に有用であり、分娩中の医療介入の必要性を減らす可能性がある。

参照

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