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胸骨弓下2断面アプローチとコントラスト・

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(1)

日本小児循環器学会雑誌 12巻5号 646〜651頁(1996年)

〈原  著〉

心エコー検査による純型肺動脈閉鎖症の術前評価 胸骨弓下2断面アプローチとコントラスト・

カラードプラー併用法による評価一

(平成8年2月5日受付)

(平成8年9月18日受理)

桃井 伸緒

福島県立医科大学小児科学講座

佐藤 守弘  佐藤  敬 鈴木

仁 Key words:純型肺動脈閉鎖症, Albunex,コントラストエコー法

      要  旨

 純型肺動脈閉鎖症の新生児6例に対し,胸骨弓下からの直交する2断面の断層エコーにより右室の形

態観察,および右室拡張末期容量の測定を行い,カテーテルによる造影法と比較検討した.右室の形態 は,カテーテル検査による造影法の正面像とほぼ同様の形態が心エコー法の前額面で,また側面像と同 様の形態が矢状面で観察可能であり,心内構造の観察については心エコー法が優れていた.シンプソン 法による右室拡張末期容積の測定では,心エコー法は造影法と良い相関を示したが(r=0.99),心エコー 法で小さく計測される傾向があった.最近経験した2例に対しては,類洞交通の検索を目的として,カ ラードプラー法とアルブネックスによるコントラスト法の併用を試みた.類洞交通を有する症例では,

心筋内に鮮やかなカラー信号が検出され,これらの両者の併用は類洞交通の検索に有用であると思われ

た.

         はじめに

 純型肺動脈閉鎖症に対する手術方針の決定には,右 室形態,右室容積,三尖弁輪径,類洞交通(sinusoidal communication)形成の程度を検索することが必須で ある.三尖弁輪径の検索は心エコー法においても,充 分可能であり,特にコントラスト法を併用することに より造影法に優る評価を得ることができる.しかし,

右室形態の観察,右室容積測定および類洞交通に関し ては,カテーテル検査により術前評価を行っているの が現状である.今回,著者らは胸骨弓下からの直交す る2断面の断層エコーにより,右室の形態観察,容積 測定を行って,造影法と比較検討したので報告し,ま たコントラスト法とカラードプラー法の併用により類 洞交通の程度を推定できる可能性についても言及した

別刷請求先:(〒960−12)福島市光ケ丘1番地      福島県立医科大学小児科学講座       桃井 伸緒

い.

         症  例

 1994年10月から1995年9月までの1年間に当科に入 院した純型肺動脈閉鎖症の新生児6例を対象とし,右 室造影による右室拡張末期容積(RVEDV.%of nor−

ma1)が小さい順に,検査時体重,右室流出路の有無,

初期手術方法を記して表1に示した.肺動脈弁は,症 例1を除き膜様閉鎖であり,流入部(inlet portion)・

肉柱部(trabecular portion)・流出路(outlet portion)

の3portionを有していた.全例に手術を施行し,症例

/,2はBlalock−Taussig短絡手術(BT shunt)を,

症例4,5,6ではブロック手術による肺動脈弁切開 を行い,症例3では肺動脈弁切開とBT shuntを同時 に施行した.

         方  法

 心エコー法による評価は心臓カテーテル検査の前日 に行った.胸骨弓下からの描出は,トリクロリールシ

(2)

H/J\祈†元志  12 (5), 1996 647−一(3)

表 1

症例

   一  1

体・巨

(k9)

RVEDV

(°。ofN) RvEI)V

 (ml) 流川路

一一

         f・術方法      一

   3.6 13.s 126 BT shUllt

2 2.9  −一 15.1 Ll3 .一 BT shUnt

り  咋.)..)

     一

:}Ls 2.71 川」動脈弁切目日TBT shUnt

り  「、

」.、) 61.7 5.31 1       肺動脈弁切開一一一

5 3.9 s.67 1 崩∫/]脈弁切開

6−一

 り  一  ,).,ハ

88.9

−−

116.7 [〔LO5

肺動脈弁切開

ロップR睡眠ドに,軽く腹部を圧迫しながら行い,最・大 の右室内脱面積が得 )れるように前客貞面と, これに∫直

交する矢状面を記録した.右室拡張末期容積

(RVEDV)の測定は,造影法ではbiplalle cineallgio−

9ramの正而・側lhi像を川いてtrabeCulaeの最外縁を トレースしてシン17ソン法にて計測し,心エコー法で は先に述べた前額而と矢状拍iから乳頭筋を無視し,心 内腔をトレースして1司様にシンプソン法を川いて引 測

した.造影法のRVEDVの正常値としてはRVEDV=

75.1(BSA)]sを川いた1).三尖弁輪径を正確に測定す る日自勺て㍉全例にアノレブネックスll{によるコントラス ト法を併川した.また,最近経験した右室の小さい症 例1と2については,類洞・交通を検索する目的でカ

ラードゾラー下にアルブネックス [Sを注人する方法も 併川した.アルブネックス R は末梢静脈に留置した24G

カニューレから,0.2ml/kgを約1秒で注入した.

図] 症例2の右室造影(左)と胸骨弓ドからのエコー断面(右).E段:正面像(前  額面),下段:側面像(矢状而).心エコーの青線は容積測定の際のトレースを示す.

(3)

6・18 (4) H本小児循環器学会雑誌第12巻第5号

図2 症例4の右室造影(左)と胸骨弓1 からのエコー断面(右).

 客貞而D, 一下ド斐:f則面f象 (矢斗犬[lrli)

上段 正面像(前

      結  果  1.右室形態の観察

 心エコー法による前額而・矢状面の描1{{において最 人而積を得るためには,やや断而を川転する必要が あったが,カテーテル検査による造影法の止面像とほ ぼ同様の形態が心エコー法の前額面で,また側而像と 同様の形態が矢状而で観察可能であった.容積の小さ い症例と比較的大きい症例の造影法と心エコー法を比 較して図1,2に示した.

 2.右室容積の検討

 右室容積について,造影法を川いた場合と心エコー 法を用いた場合の関係を図3に示した.両者の問には 相関係数O.99と非常に強い相関を認めた.方法の項で 述べた如く,心エコー法での心内腔のトレースは図1 の青線の様に乳頭筋を無視して行ったが,計測した容 積は全例で心エコー法が造影法を・ド回っていた.

 3.二尖弁輪径の検討

 造影法では,症例5で測定が不可能であったが,心 エコー法では弁の開放が不卜分で測定困難な症/ 帖コ

∈︶

只︶    6     4︑    ︵∠

O

口↓斑ー﹇H口︑

00

Y=−0.075+0.90X r=0.99

2   4   6   8   10 造影法によるRVEDV(ml)

図3 造影法と心エコー法による右宅拡張末期容積の  比較.両者は良好な相関を示したが,全例でエコー  法が小さく司 測された.

 RVEDV:オ〒等ミ初:弓長末}切容]漬

(4)

平成8年1川JI口 649 (5)

図1 コントラスト法併川による二尖弁輪径の測定.弁の開放が不十分な症例もコン  トラスト法の併用にて正確な弁輪径の測定が可能であった(症例2).

ントラスト法の併用により全例で測定が可能であった

(図4).心エコー法と造影法による測定値の関係を図 5に示したが,両者は良好な相関を示した.

 4.類洞交通の推測

 造影法にて,6例のうち症例2だけに著明な類洞交 通を認めた.心エコー法では通常のBモードで類洞交 通の有無を確認することは困難であった.カラードプ ラー法を用いると心筋内にチラチラするカラー信号が 見られたが明らかなものではなかった.コントラスト 法を用いた場合は,図6中央に示した如く姐洞交通が 著明であった症例2は,症例1に比較して心室中隔に 強くコントラスト信号を認めた.コントラスト法とカ ラードプラー法を同時に施行すると,類洞交通が見ら れた症例では,図6右に示した如く心筋内にモザイク 状の強いカラー信号が出現し,症例1と2との間で明

らかな相違が観察された.

      考  案

 純型肺動脈閉鎖症の治療方針としては,右室が大き い症例では肺動脈弁切開術または右室流出路パッチ拡 大術を行い,逆に小さい症例では将来のFOntan型手 術を日指してBT shuntをはじめとする体肺短絡術を 選択し,その中間の症例では両者を組み合わせた治療 が選択される。選択の基準としては,Kirklinらは三尖 弁輪径を最重要に考え,Z−valueで 4以下は体肺短絡 手術のみを行い,−4から一2では右室流出路の手術に 加えて短絡手術を行うとしている2)3}.三尖弁輪径の評 価については,心エコー法が造影法よりもむしろ優れ ていると考えられ,実際今回の検討でも造影法では測 定不可能な症例が存在したのに対し,心エコー法では コントラスト法を併用することにより全例が測定可能

 18

    Y=−2.18+1.173×

2 16R−・・99

、ξ14

罎12

‡1・

〜8 苫6

↑4

H 2

  0

   024681012141618

     造影法による三尖弁輪径(mm)

図5 造影法と心エコー法による三尖弁輪径の比較.

 両者は良好な相関を示した.症例5は造影法による  測定が不rl∫能であった(心エコー法では9.71nm).

であった.

 しかし,右室拡張未期容積を選択基準として適応を

決定している報告も多く,本邦でも山[らは

RVEDV,三尖弁輪径および右室流出路径から右室発 達係数を求めて,これを選択基準にしておりり,八木原

らはRVEDVと三尖弁輪径の組み合わせにより適応

を決定している5).また,適応の決定には類洞交通の有 無も重要な因子であり,sinusoidからcorollary fistula を形成し,右室造影にて大動脈起始部が造影されるよ うな症例に対して肺動脈弁切開を行うことは,右室圧 の低下から心筋虚血を生じさせる危険があるとされて いるt) 6).この右室容積測定と類洞交通の検索には,従

(5)

650  (6) 日本小児循環器学会雑誌 第12巻 第5号

 、謹・←一   二ぷ  講,1池一叉。

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図6 卜段:症例1,一ド段:症例2.左:右室造影正面像,中:albUnexによるコントラストエコー  前額而,右:カラードフラー法とコントラストエコー法の併用

来,カテーテルによる造影法が用いられてきた.しか し,心エコー法の様に非侵襲的な]三技で造影法に匹敵 する情報が得られることは望ましく,また,最近にな り広まりはじめたカテーテルによる経皮的バルーン肺 動脈弁穿刺拡大術の適応の決定は,カテーテル検査前 になされていることが必要である.今回の検討で,右 室形態の観察,RVEI)Vの測定に関しては,胸骨弓下 からの2断面エコーが有川であった.心内の肉柱,乳 頭筋の観察には,心エコー法がむしろ優れていると思 われた.心エコー法では2断面が完全に直交するとは 言えないので,容積の測定にシンプソン法を適用する ことは理論的に問題があるが,造影法と強い相関を示 していたことから有用であると考えられた.造影法に 比して心エコー法の方が,やや容積が小さく計測され

る傾向が見られたが,これは造影法の方が肉柱の中に 入った造影剤までトレースするために,大きく計測さ れることに起因すると考えられた.

 類洞交通を検索する際に,カラードプラー法で心筋 内のチラチラするカラー信号がその存在を示唆すると されているカgan,今[司コントラスト法とカラードプ ラー法の併用を試みた結果,類洞交通の有無で史に明 らかな相違が見られた.これは類洞交通から心筋内に 入ったコントラスト剤がカラー信号を増強しているた めと考えられる.この併用法は類洞交通の存在やその 程度を推定する上で有用な方法と考えられ,今後更に 症例を集積し検討を加えたい.

      結  語

 1.胸骨弓・ドからの前額面・矢状面心エコー法は,右 室形態・右室容積を推定する一ヒで有用であった.

 2.コントラスト法とカラードプラー法を併用する ことにより,類洞交通の存在を推定できる・∫能性が示 唆された.

 本論文の要旨は第47回北口本小児科学会(1995年,福島 市)において発表した.

(6)

平成8年10月1日 651 (7)

稿を終えるにあたり,鈴木 仁教授の御校閲に深謝いた

します.

      文  献

  1)Nakazawa M, Marks RA, lsabel−Jones J,Jama−

    kani JM:Right and left ventricular volume     characteristics in children with pulmonary     stenosis and intact ventricular septum. Circula−

    tion 1976;53:884  890

  2)Hanley FL, Sade RM, Blackstone EH, Kirklin     JW, Freedom RM, Nanda NC, Congenital     Heart Surgeon s Society: The tricuspid valve     and outcomes in pulmonary atresia and intact     ventricular septum. J Thorac Cardiovasc Surg     (in press)

  3)de Leval M, Bull C, Hopkins R, Rees P,

    Deanfield J, Taylor JFN, Gersony W, Stark J,

    Macartney FJ:Descision making ill the

    definitive repair of the heart with a small right     ventricle. Circulation 1985;72(Suppl II):II−52−

    60

4)山口眞弘,大橋秀隆,今井雅尚,大嶋義博,鄭 輝   男,細川裕平,橘 秀夫:純型肺動脈閉鎖症(PA:

  IVS)の外科治療方針 右室発表指数(RVDI)の   臨床的意義 .日本心臓血管外会誌 1989;19(2):

  173 176

5)八木原俊克,岸本英文,磯部文隆,山本文雄,西垣   恭一,高橋玲比古,藤田 毅:純型肺動脈閉鎖・狭   窄の外科治療.日本心臓血管外会誌、1989;19(2):

  177 179

6)Foker JE, Braunlin EA, St Cyr JA, Hしlnter D,

  Molina JE, Moller JII, Ring WS l Manage−

  ment of pulmonary atresia Wi th intact   verltricular septum. J Thorac Cardiovasc Surg   1986;92:706  715

7)Joshi SV, Brown WJ, Mee RBB:Pulmonary   atresia with intact ventricular septum. J Thor−

  ac Cardiovasc Surg 1986;91:192−199 8)富松宏文:複雑心奇形,大血管の異常.周産期医学   1995;25(Suppl):418 426

Preoperative Evaluation of Neonates with Pulmonary Atresia with Intact   Ventricular Septum using Biplane Subcostal Echocardiography and         Color Doppler Echocardiography in Combination with        Albunex Contrast Echocardiography

Nobuo Momoi, Morihiro Sato, Kei Sato and Hitoshi Suzuki     Department of Pediatrics, Fukushima Medical College

   We reported the effectiveness of the biplane echocardiography from the subcostal region in 6neonates with pulmonary atresia with intact ventricular septum. Frontal and sagittal shapes of the right ventricle(RV)obtained from subcostal echocardiography were similar to frontal and lateral shapes obtained from biplane cineangiograpy. Right ventricular end−diastolic volume

(RVEDV)calculated from echocardiography according to Simpson s rule showed a good corela−

tion with RVEDV calculated from cineangiography(r=0.99), although the RVEDV calculated from echocardiography tended to be smaller than RVEDV calculated from cineangiography. In the last 2 neonates, we used color doppler echocardiography in combination with Albunex contrast echocardiography to evaluate the sinusoidal communication. Since brilliant mosaic color patterns in the ventricular muscle could be observed in patients with major sinusoidal communication, it was suggested that this method was effective to evaluate sinusoidal communi−

catlon.

参照

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 12.自覚症状は受診者の訴えとして非常に大切であ

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 仙骨の右側,ほぼ岬角の高さの所で右内外腸骨静脈

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49)Erlebach M, Wottke M, Deutsch MA, et al: Redo aortic valve surgery versus transcatheter valve-in- valve implantation for failing surgical bioprosthetic valves: Consecutive