家 庭 科 と 家 庭 環 境 に つ い て
一 本校 中学生 の家庭環境 の一部 の調査 ―
横 井 操
I緒
言家 庭 科 が家 庭 生 活 を基 盤 とす る学 科 で あ り
,
家 庭 は その実 践 の場 で あ るか ら,家
庭 科 教 育 と家 庭 環 境 とは非 常 に 関係 が深 い。本 校 中学校 は女 子 の み で
,全
部 が本 校 高校 に進 学 す るの で 中学 の家庭 科 (職 業 庭 家科)は
高校 家庭 科 と一貫 す る必 要 が あ る。従 って教 材 配 当 もこのり点を考 慮 に い れ て 定 め た い。 更 に環 境 も他 の 中学校 と異 る点 が多 いの で,そ
れ に即 し た家庭 科 教 育 をす るた め に は,ま
ず生徒 の家 庭 生活 と家庭環 境 とを調査 す る必 要 が あ る と考 え この調 査 を行 った。更 に将 来 今回行 わ な か った 中学 生 の家庭 生 活 及 び家庭環 境 を調査 し
,次
に高 校・ 他校 との比較 調 査 とす す め て行 きた い と考 え る。I
調査
方
法
昭 和31年11月 5日 よ り数 日にわ た って
,中
一・ 中二・ 中三全 員406名の生徒 に調 査 用紙 二枚 を配布 し,生
徒 及 び その母 に各 々各 自記 名 して,各
項 の解 答 を 求 め提 出 させ た。調
査
用
紙
比 の紙は恐れ入 りますがお母様御記入御願い致 します。
中学
年
組
番
生徒氏名 下の線上に適当に記入 して下 さい。
(D
現住所̲̲̲̲市
(2)家から日常品売場 までの距離
約
̲̲̲̲̲粁
13)家 族 の 人 数
̲人
に
)家
族中の手L幼児数̲̲̲̲人
(5)家族中の老人 (60才以上
)̲̲̲̲人
16)家族中の病人 (1カ 月以上病臥
) ̲̲̲人
(7)家 事 手 伝 人
̲̲̲人
(1)
遠 藤 メゝ じ 子
(8)家
の 職 業下の適当な答を⊂⊃ でか こんで下 さい。
(9電
話有
無
⑩
お家にお客様が来 られてお食事を出す時は仕出屋のお料理を出され ますか。
いつも仕出屋のを出す
時 々出す
殆んど仕出屋のは出さない
llll お家のお献立は どのようにしてきめられ ますか。
お母様一人できめる
子供の希望 もいれてきめる
l121 お弁当は どなたがつ くられ ますか。
お母様
家事手伝人
生徒 自身
其の他 的
家族■同その日にあった ことを話 しあ う時があ りますか。
大体毎 日
一週間に三回以上
一週間に一度
全 くない l14 お小遣をきめて与えられ ますか 。
1カ月に 100円 以上
300円
以上500円
以上与えない a51 家庭の衣類は主 としてどなたが仕立てられ ますか。
家族の人
家事手伝人
他人 L61 電気洗濯機を使用 して居られ ますか。
使用 している
使用 していない
lη
下の衣類の洗濯は家庭でなさいますか。
ワイシャツ
シーツ
ね まき
足袋
エプロン
l18 冬期 お母様は洋服か和服かどちらを用いられ ますか。
家庭内で……洋服のみ
主 として洋服
同じ位
主 として和服
和服のみ 外出の際……
″
″
〃
〃
〃 こ
9
お正 月や外出時等に (子供に)和
服を着せ られ ることがあ りますか。あ
る
な
い
001 子供のつ くったお料理をよろこんで召 し上 りますか。
ほめる
批評をしてやる
食べる
食べない に
J
子供のつ くった衣類をよろこんで着ておや りにな りますか。ほめる
批評をしてやる
着 る
着ない
此 の紙はあなた方各 自で記入して下 さい。
中学
年
組
番
氏名 下の適当な答を⊂⊃ でか こみなさい。
tl)お食事の用意及び後片附をしますか。
用
意
1日
に二度1日
に一度時 々す る
全 くしない 後片F付
″
″
″
″ 曖
)お
客様のお取次をしますか゛よくす る
あまりしない
全 くしない
(2)
家 庭Fi・ と 家 庭 環 境 に つ い て (3)今年の夏休みにお料理をしましたか。
御飯たき
お味噌汁
煮物
其の他 141 お使いに行 きますか。
毎 日
一週に一度以上
た まに行 く
全 く行かない
0
お家でお掃除をしまずか。自分のお部屋
毎 日
一週に一度以上
たまにする
全 くしない
お 庭 〃 〃 〃 〃
その他 の場所
〃
〃
″
〃
(0
あなた方は 自分 のお部屋や居間 の美化に気 をつけてい ますか。お花 をいけ る
手芸品 を飾 る
其 の他
(7)お家 を住み よ くす る為 の工夫 を した ことが あ ります か。
自分 のお部屋
居間
台所
其 の他 (8)家庭 の年 中行事 に どの よ うな ことを します か。
お
正
月
製作品 を プ レゼ ン トした
御馳走 をつ くった
其 の他
家族 の人 の誕生 日
〃
″
〃
ク
リ ス マ ス
〃
//
″ お 愛≧″ 〃
〃
O)自
分 で洗濯 します か。ハ ンカチ
靴下
下着類
ェ プロン
運動服
其 の他 QOl 靴 をみが きます か。
自分 の靴
家族 の引L
llll 電話 のある方 は取次 を しますか。
よ くす る
あ ま りしない
全 くしない
l121 お小遣を もらってい る方は小遣帳 に記入 してい ますか。
い る
いない
l133 家族 に平L幼児
,病
人,老
人 のい る方 は世話 を してあげ ますか。よ くす る
あ ま りしない
全 くしない
0
中学校 の家庭科 の時間に習 った被服製作,調
理実習をお家 で してみた ことがあ り ますか品 目を下 にあげな さい。被 月艮……
調
理 ……
Ⅲ 調 査 の 結 果
前記調査 の結果 を各学年毎 に ま とめ
,別
紙 のA・B三
表 とした。A表
は母,B表
は生徒 が記入 した ものの結果であ る。二表共に各学年 の人員 (在籍者 と解 答者 は各学年 とも同数)は
中‑135名 ,中
二136名,中
三 135名,計
406名であ る。
Ⅳ 結 果 に 対 す る 考 察
上記A・
B表
の各項 につ いて考 察 して,下
に述 べ るこ とにす る。但 し表 にあ らわれた結果 の み で,
それ以上考 察 の結 果説 明 を必要 としない項 目につ いて は,省
略す る。A表
に つ い て⑩
お客様 が来 られてお食事 を出すのに
,時
々出すのが最 も多 いのは,住
居が 都市 (に)を参照)で ,仕
出屋の便利 があるため と考 え られ る。殆 ん ど仕 出屋の は 出 さないのが これに次 く゛のは
,主
婦 の教養の程 度があ らわれている もの と思 われ る。 これは家庭科教育上 のぞ ま しい家庭環境の一端 であ る と思 う。llll お家の献立 を子供 の希望 もいれて きめ るのは
,民
主的 な家庭 を築 く上 に重 要 な事 であ り,同
時 に学校 での学習を応用す る機 会 を与 えるこ とともな る。上 表 に示 す通 り,こ
れ が86。8%で
あ るこ とは よろこば しい。u鋤
お弁 当をつ くるのに
,家
事手伝人 のいる家庭 が約半数 (0)を 参照)に
もか かわ らず,母
親 が 自 らつ くられ るのが81。1%で
あ るのは,
子供 に対 す る親 の 愛情 の発露 として当然 のこ とと思われ る。l131 家族一 同話 しあ う時 を もつ こ とはのぞ ま しいが
,そ
れが大体毎 日であ るの は81.1%で
あ る。一週 に 三 回 以上 が11。1%,一
週 に一度が6。15%,全
くないのが1。
4%で
あ る とい うのは,父
親 の職業上 の出張・ 外 出等 が原 因 とな ってい る もの と考 え られ る。 これ等 少数 の話会 う機 会 の少 ない家庭 の生徒程 明朗性 を 欠 くょ うに観 察 された。uO
お小遣 をあたえるのが低学年程 多数 を示 しているのは,中
一 において,教
材 に小 遣帖の記 入があ るため興 味 を もつ ためか とも考 える。 これに反 して
,一
カ月のお小遣の額 が上級になる程増 しているが
,こ
れは当然 のこ とであ る。l151 家庭 の衣類 を仕立 て るのが
,家
族 の人 と他人 と殆 ん ど同数 である とい うこ とは,外
出着 と家庭着,叉
洋服 と和服等 に より,そ
れぞね仕立 て る人が異 るこ とを考 慮 に入れずに,質
問 した結果 と考 え られ るか ら,後
日改めて調 べ たい。u鋤
表 に示 す通 り
,家
庭 内・ 外 出の際共に母親 は和服使用者 が半数以上 であ る こ とか ら見 て も,教
材 として ご く一般 的 な和服 は省 かない方 が よい と考 え られ る。は
9
お正 月や外 出時等 に,子
供 に和服 を着せ る家庭 が半数以̲Lを 占めているか ら,ほ鋤と同様 の考 察がな され る。9o1211 子供 のつ くったお料 理・ 衣類 に対 しての母親 の態度 は
,
家庭教育上影 響 が大 きい と考 え られ るか ら,こ
の母親 の態度 とその子供 の学校 におけ る実習(4)
家 庭 科 と 家 庭 環 境 に つ い て
成績 との関係 を明 らかに し度 い と考 え
,一
応 相関を求 めて見 たが期待 した結果 が得 られなか った。その主な原因 と考 え られ るのは,或
母親 はその都度 ほめ る とか批評す るな どの或一つ の態度を とるとは限 らず,或
時 にはほ め,或
時 には 批評 してや るであ ろ うが,答
は一つに限 っていた し,且
つ食 べては じめて批評 が 出来 るのであ るが,そ
の場合,食
べ る と答 えた者 もあ り,批
評 してや る と答 えた もの もあ った りして,不
正確 であ ったこ とであ る。 この調査 とは別 に,平
常 の被 服 の作品に対 して
,実
際 に母親 の批評 の記録 を求 めた場合,熱
心 に批評 した母親 の子供 のその次の作品が,向
上進歩 した例 を経験 したが,後
日長期間 にわ た って生徒 のつ くったお料理・ 衣類 に対す る母親 の態度 と生徒 の成績の変 化 との関係 を しらべ たい。B表
に つ い ては
)食
事 の用意 も後片附 も時 々す るのが半数以上 であ る とい うのは,こ
の年 令 の 中学生 としては,
普通であ ろ うと考 え られ る。一 日に一度がそれにつ く゛の は
,朝
は登校 のためその余裕 な く,昼
はほ とん ど学校 にい るためであろ う。ほ とん ど学年 差はない。
(2)お
客様 のお取次をす るこ とが出来 るのは, か ら,あ
ま りしない と答 えた者 が多 いのであ ろ 少 な くな るべ きであ る と思 う。t31 夏休 みに したお料理 の中で
,そ
の他 が多 いのは,そ
の中には各種 の料理 を ふ くんでいるためであ る。上級 になるに したが って
,料
理 を した人数 が多 くな ってい るのは,料
理 の手伝 にお いては
,年
令 と経験 が興味 を左右す る もの と考 え られ る。本校 が中三で 調理 を実 習 させ るのは,家
庭科教育法 として適 当な もの と思 う。K41 お使 いに行 くのに
,毎
日行 くのが3。45%で
最 も少な く,
た まに行 くのが65。
3%で
最 も多 いのは通学 のため,日
中家庭 にいる時間が少 ないの と,比
較 的 家庭 に人手 があ り (Att171参 照),且
つ 日用品売場 も近 く(A表
(2)参照)し
か も電話 のあ る家庭 が大部分(A表
(9)参照)で ,ほ
とん ど子供 がお使 いをす る必 要 がないか らであ る と考 え られ る。151 自分 の部屋 の掃除です ら
,
毎 日す るのは僅 かに4。44%で ,全
くしないの が9。36%も
あ るのは,
登校 までに時間が少 ないこ とも考 え られ るが,比
較 的 恵 まれた環境 にあ って,人
手 があ るこ とが却 ってこの結果 にな った もの と考 え られ る。部屋 を与 え る場合 は
,
その掃除 は中学 生 としては是非毎 日行 うよ う に,家
庭 の協 力を希望 したい。③
年 中行事 に製作品を プ レゼ ン トした り,
学校 か ら帰宅後 と休 日位 であ る う。上級 にな る程全 くしないは
(5)
御 馳走 をつ くった り
̲
るこ とが,相 当行 われてい る とい うこ とは
,家
庭科 に興味 を持 たせ る機会 を得 させ るこ と にな るか ら,望
ま しい こ とであ る。(9)自
分 で洗濯 す る もの には,ハ
ンカチ・ 靴下等 の小物 は多 いが,運
動服等 は 非常 に少 ない。 これは(A表
は0参照)家
庭 に電 気洗濯機 のあ る ものが 81。3%
も占めているため
,家
族 の人や家事手伝人 が電 気洗濯機 を使用す る際,他
の家 族 の洗濯物 と共 に した方 が経済 的・ 能 率的 であ るため,自
分 で しないのはやむ を得 ないこ とと考 え られ る。u動
小 遣 いを もらっている生徒 は
,ど
の学年 に も相 当あ るが (Attl141参照),
記 入 してい る者 は少 ない。 中一 が比較 的記入 して いる者 が多 いのは
,教
材 とし て小遣帖 の記 入を取上 げているため と思 う。上級 にすすむに従 って,家
計簿記 入 に まですすめたい ものであ るか ら,家
庭 で は小 遣帖 の記入 に,協
力を特 にの ぞむ ものであ る。は
3
家族 に乳幼児・ 病人・ 老人 の い る人で世話 をあ ま りしないのが53%も
あ るのは,家
族 に乳幼児・ 病人の数 が案外少な く(A表
④6)参 照),比
較 的老人の数 が多 く (Att151参 照
),し
か も老人を60才
以上 としたため,世
話 のかか ら ない老人 が多 いのであ ろ うと推 察す る。uJ
この調査では,各
生徒 の家庭 で実 習 した品 目があげ られているが,生
徒解 答 用紙 に より個人 の練習 した品 目数 を しらべ,更
に下 の よ うな結果 を得 た。中三調理家庭実習
1
中三被服家庭実習1
中二被服家庭実習20品目 ・00… 3人
9
″ ¨・・・0 2″7
″ 00・0… 1ク6
″ ¨0・・・ 7″5 ″ 000¨・ 12″
4 ″ ¨・¨0 20″
3
″ ‥・¨・ 25〃2 〃 ¨・¨0 16〃
1 〃 ¨0¨0 28″
o
″ ¨¨・021″7品目
6
〃 5 ″4
″3
″2
″ 1 //0 〃
1人 2〃
2〃
10″
29″
28″
26//
37″
5品目
4
〃3 〃
2
〃 1 〃 0 //1人 3〃
6″
17〃
31″
77〃
次 に各個人 の練 習 した品 目数 と調理実習・ 被 服実 習 の成績 との関係 を しらべ て見 た ら
,概
して練習 した品 目数 の多 い ものほ ど,成
績 が上位 を 占めていた。後 日反復練習 した度数 も考 慮にいれ て
,成
績 との相関 を しらべ て見 たい。V
結 論この調査は
,こ
の種の調査 としては,調
査事項・ 被調査者の範 囲が共に比較 的狭範 囲であったこと,調
査者 と被調査者 との連絡が容易であったことと,調
家 庭 科 と 家 庭 環 境 に つ い て
査 が子女 の教育 に関す る ものであ るため
,母
親 の協 力が得 易か ったため,解
答 率 は100%で
あ った。は
)調
査 の結果,家
庭環境 が著 し く異 る家庭 の生徒 は居 ない。家庭 の生活程 度 も略 々同程度であ る。(2)調
査 の結果,被
調査者 の家庭 は,概
して生活程度が高 い と思われ る。 こ のため,家
庭科教育 は比較的行 い易 いが,一
方家庭 において勤労の機会 を得難 い し,叉
比較的物質 に恵 まれた環境 にあ るため,物
の価値 を充分 に認識 し難 い か ら,特
に学校教育 にお いて,そ
れ等 の点 を留意 して指 導すべ きであ る。t31 被調査者 の家庭 は