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教師のジェンダー意識 ―生育環境,家庭環境,学校環境との関連に着目して―

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Academic year: 2021

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教師のジェンダ一意識

一 生 育 環 境 , 家 庭 環 境 , 学 校 環 境 と の 関 連 に 着 目 し て 一 教科・領域教育専攻 生活・健康系コース(家庭) 中 林 啓 1. はじめに 学校教育とジェンダーに関する研究から,学 校教育がジェンダーを再生産し,児童・生徒の ジェンダー意識に関与することが示唆されてい る。男女平等な学校教育の実現には,教師がジ ェンダーに敏感になるとともに 自身のジェン ダー意識を理解する必要がある。 先行研究より,教師のジェンダー意識に関連 する要因を生育環境,家庭環境,学校環境とし た。生育環境とは,生まれ育った家庭の環境で あり,家庭環境とは現在の家庭の環境,学校環 境とは教師として勤務する学校に関する環境で ある。教師のジェンダー意識とジェンダーへの 興味との関連は調査されていなかった。本研究 は,生育環境,家庭環境,学校環境,ジェンダ ーへの興味との関連から,教師のジェンダー意 識を多面的に分析し,学校教育や教育現場に対 して提言を行うことを目的とする。 基本属性 生育環境 家庭環境 ジェンダーへの興味 図 分 析 枠 組 み 指 導 教 員 黒 )I[衣 代

2

.

方 法 調査は,教師を対象とし

2

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9

9

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-

-

1

0

月に 質問紙法による自記式アンケートを実施したc 質問紙は

2

0

0

部配布し

1

4

7

部が回収され,回収 率は

7

3

.

5

%

で、あった口調査対象者は,女性が

7

7

(

5

4

.

6

%

)

であり,男性が

6

4

(

4

5

.4%)で あった。女性の平均年齢は

3

5

.

7

歳,標準偏差は

1

1.

8

であり,男性は平均年齢が

3

5

.

3

歳,標準 偏差は 11.6で、あった。 < 基 本 属 性 > (以下, <>は概念を示す。)に 関する調査内容は「性別J(以下, rJは変数を 示す。)と「年齢」であり,<生育環境>に関す る調査内容は,

r

きょうだいの有無J,

r

性役割の 期 待J,r父親の家事参加J,r母親の就労形態J, 「小学生のころの家事参加J,

r

中高生のころの 家事参加」である。<家庭環境>に関する調査 内容は, r配偶者の有無J,r子どもの有無J,r配 偶者の就労形態J,

r

夫婦の家事分担J,

r

夫婦の 子育て分担」であり<学校環境>に関する調 査内容は, r勤務校の校種J,r勤務地J,r勤続年 数人「ジェンダー問題への取り組みに意欲的な 学校への勤務の有無J,

r

ジェンダーに関心のあ る同僚の有無と人数および交流回数J,

r

学校内 研修経験J,r学校外研修経験J,r授業実践経験J, 「児童・生徒の性別による自然な分離の経験J, 「児童・生徒からの男女の違いに関する主張の 経験」であるロ「ジェンダー意識」は, Dreyer らの作成した

r

A Scale to Measure Sex. Role

(2)

-389-Orientation(性役割志向性尺度)J を用いて測 定した。「ジェンダーへの興味」は,その有無と 興味をもったきっかけ・経験を聞いた。 分析は分析枠組み(図)に基づいて統計的に 千子ったc 3.結果および考察 <基本属性>と<生育環境>,<家庭環境>, 「ジェンダー意識」の関連を分析したところ, <生育環境>の「性役割の期待J, i中高生のこ ろの家事参加J,<家庭環境>の「配偶者の就労 形態」や「ジェンダー意識jには男女差が認め られたため, iジェンダ一意識」の関連要因は男 女で異なると考え, iジェンダ一意識」と<生育 環境>, <家庭環境>, <学校環境>, iジェン ダーへの興味」の関連分析は男女別に行った。 女性の「ジェンダ一意識」が関連していた要 因は<生育環境>の「きょうだいの有無」と, <家庭環境>の「子どもの有無」で、あった。そ の他の要因は,女性の「ジェンダ一意識J と関 連が認められなかった。 同性のきょうだいがし、る女性のほうが,ジェ ンダーにとらわれていなかった。同性のきょう だいがいた環境の場合,異性のきょうだいと比 較されずに育てられることが多いため,性役割 にとらわれない考え方が育まれたと推察できる。 また,同性のきょうだいと日頃感じた性差別に ついて話し合い,気持ちを共有することで男女 平等への関心を高めたとも推察される。 子どもを有する女性のほうが,ジェンダーに とらわれていなかった。「夫婦の子育て分担Jで は,約 7割の女性が主に子育てをしたのは自分 と答えたことから,女性に負担の大きい子育て を経験することで男女平等意識が高まったと考 えられる。また,子どもに性役割の束縛なく育 つことを望んで、いるとも推察できる。 男性のジェンダ一意識が関連していた要因は, <生育環境>の i.父親の家事参加J と「小学生 のころの家事参加J,i中高生のころの家事参加J, <学校環境>の「勤務校の校種」で、あった。そ の他の要因は,男性の「ジェンダー意識」と関 連が認められなかった。 父親が家事に参加した環境で、育った男性のほ うがジェンダーにとらわれない考え方を有する ことから,男子は向性である父親の行動を見て ジェンダー意識を形成すると考えられるD 小学生,中高生のころに家事に参加した男性 のほうが,ジェンダーにとらわれた考え方を有 していたD 一般的に母親の仕事と認識される家 事に参加したことによって,性別役割分業意識 が育まれたと考えられるが,先行研究の結果と 異なるため,さらなる検討が必要である。 「勤務校の校種」では,小学校勤務者のほう が中学校勤務者よりもジェンダーにとらわれて いなかった。小学校は女性の勤務者が多いため, 男性の多い職場よりも男女平等意識が浸透した 場であるといえよう。そのような環境で働く男 性はジェンダーにとらわれない考え方に影響さ れる推察できる。 ジェンダーに興味をもったきっかけ・経験で は,男女ともに大学(院)の授業をあげる人が 多かったことから,ジェンダーについて教える ことの有効性が示唆されたといえる。

4.

おわりに 教育現場においては,特に男性教師は自らの 行動が男子児童・生徒のジェンダー意識に影響 を与え得ることを自覚する必要があるといえる。 また3 女性教師は3 女子児童・生徒の共感者と なり話を聞くことが重要であろう。 本研究からは,ジェンダー意識と学校環境の 関連があまりみられなかったが,実践や参加の 継続性といった,ジェンダーに関する取り組み への態度を調査し検討することが必要であろう。

参照

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