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多孔質媒体中を運動する汚染粒子の動的挙動解析

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Academic year: 2022

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(1)

多孔質媒体中を運動する汚染粒子の動的挙動解析

鹿島建設(株) 学生員 ○池田 隼人 筑波大学 非会員 内山 祐介

1.序論

福島第一原子力発電所事故に起因する大量の放射性 物質による土壌汚染に代表されるように,近年,土壌・

地下水中での汚染物質の挙動に対する関心が高まって いる.これまで,土壌のような多孔質媒体中の物質の 動態を理解するために,様々なフィールド・ラボスケ ール実験,数値解析,理論研究が個別で発展してきた が,未だに統一的な見解が得られていないのが現状で ある.本研究では,流体の基礎方程式に基づく,多孔 質媒体中の物質移動に関する新たな確率モデルの提案 と,地下水中の流れを模擬した実験による検証を行う.

2.理論

2—1.多孔質媒体中の流体モデル

Tartakovsky ら 1)によると,多孔質媒体中の流体運動

は間隙スケールとより大きな Darcy スケールで記述で きる.間隙スケールで支配的なNavier-Stokes方程式は 次式で表される.

D! v Dt =−∇p

ρ +g+µ ρ∇2!

v (1) ここで,D/Dtは物質微分を,g は重力,µは粘性係数,

ρは密度をそれぞれ表す.一方,Darcyスケールへ拡張・

平均化されることで式(1)は次のように表される.

D! v Dt =−∇p

ρ +g−γ!

u (2) ここで,γは摩擦係数を表す.

本研究では,式(2)に対して局所空間平均法を適用す ることで,仮想的な流体粒子の運動方程式を導出する.

その際に,圧力変動は流体粒子に対する水分子の衝突 により生じると考える事で次の運動方程式が得られる.

D! v Dt =−γ!

uR(t) (3) ここで,R(t)は平均が0,自己相関関数が

R(t)R(t ') =Dδ(tt ') (4)

で与えられる正規白色雑音である.また式(3)において 重力項は無視した.式(3)はOrnstein-Uhlenbeck過程とし て知られる確率微分方程式であり,定常状態における 確率密度関数は正規分布となる.

−2.超統計

既往の研究で,多孔質媒体中の流速分布が正規分布 に従わない例が報告されている.このような非正規分 布 を 記 述 す る モ デ ル と し て ,Beck と Cohen2)は superstatistics(超統計)と呼ばれるモデルを提案してい る.超統計とは,正規分布の分散の逆数が揺らぐこと で,非正規分布を表現するモデルである.確率密度関

数はBayseの定理により以下のように与えられる.

p(u)= p(u |β) f (β) dβ

0

(5)

ここで,p(u|β)は条件付き確率を表しており,逆温度 β

=2γ/σ2)を持つ正規分布

p(u |β)= β

2π exp −β 2u2

⎝⎜ ⎞

⎠⎟ (6) である.確率変数 βu と異なるスケールで変動する 確率変数である.βが従う確率密度関数f(β)が以下で示 すガンマ分布

f (β)= ba

Γ(a)βa−1exp(−bβ) (7) に従う時,非正規分布p(u)は一般化Cauchy分布 p(u)= c2b−1

B d−1 2,1

2

⎝⎜ ⎞

⎠⎟ 1

(x2+c2)d (8)

に帰着する.ここで,B(x,y)はベータ関数である.図 1 に正規分布と一般化Cauchy分布のグラフを示す.後者 はいずれも裾野の広い分布を示している.

本研究では,流体の基本方程式から導かれた式(3) に対して超統計の考えを適用する事で,非正規性を 示す流速分布を再現できるモデルを提案する.

キーワード 多孔質媒体,Darcyスケール,超統計,非正規性, LAT-PIV,間隙流速分布

連絡先 〒182-0036 東京都調布市飛田給2丁目19-1 鹿島建設(株) 技術研究所 TEL042-485-1111 土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑313‑

Ⅱ‑157

(2)

図1. 正規分布と一般化Cauchy分布 3.LAT-PIV実験

多孔質媒体中における物質の動態を直接的に把握す る方法の一つとして,竿本ら3)によって提案された,

Laser-Aided Tomography Particle Image Velocimetry (LAT-PIV)と呼ばれる可視化手法がある.試験体は,流 体部分と固体部分からなっており,流体部分にはトレ ーサ粒子(直径数十ミクロン)を混入させたシリコン オイルを,固体部分にはガラス粒子を用いている.試 験体にシート状にしたレーザー光(波長532,緑色)を 照射することで,シート状でのトレーサ粒子の位置を 把握できる.シリコンオイルは定流量ポンプを用いて 上から下に循環させている.図2に実験の概要図を示す.

図2. 実験概要図

間隙流体速度の定量化は,画像処理(相互相関関数と 緩和法を統合したアルゴリズム:ICCRM法)により行 った.本研究では,表1 の通り異なる 4つの媒体条件 で実験を行った.

表1. 実験条件

4.実験結果とモデルの検証

LAT-PIV 法を用いて多孔質媒体中の間隙流速分布を

取得した.図3に各条件において取得した流速分布と,

式(8)によりフィッティングを行った結果を示している.

粒子の形状や粒径に関わらず,いずれの実験条件につ いても裾が広い分布形状になっている.式(8)による再 現性が高いことも確認でき,本研究で提案したモデル の有効性が確認できる.

図3. 間隙流速分布とモデルフィッティング 5.結論

多孔質媒体中の流れについて,Darcyスケールにおけ る仮想流体粒子が従う運動方程式を導出した.また,

超統計の考えを適用する事により,裾野の広い分布を 生起する確率モデルを提案した.一方,多孔質媒体中 の流れを模擬した実験から取得した流速分布が非正規 性を示す事を明らかにし,提案したモデルにより良好 に再現できる事を示した.

今後の課題は,逆温度揺らぎの物理的背景を明らか にすることである.

参考文献

1) Tartakovsky, A.M. (2010) Langevin model for reactive transport in porous media. Physical Review E, 82(2), 026302 2) Beck, C. and E. G. D. Cohen. (2003) Superstatistics.

Statistical Mechanics and its Applications. Physica A 322(1), 267-275.

3) 竿本 英貴, 松島 亘志, 山田 恭央 (2005) LAT-PIV可視化 実 験 手 法 の 開 発 と 粒 子-流 体 系 へ の 応 用 土 木 学 会 3 601-608

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b)

-0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 10-5

10-4 0.001 0.01 0.1 1

Velocity@mmêsecD

Probablity

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a)

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10-4 0.001 0.01 0.1 1

Velocity@mmêsecD

Probablity

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c)

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10-4 0.001 0.01 0.1 1

Velocity@mmêsecD

Probablity

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d)

-0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 10-5

10-4 0.001 0.01 0.1 1

Velocity@mmêsecD

Probablity

-10 -5 0 5 10

10-4 0.001 0.01 0.1 1

Variable

Probablity CauchyHc=2,d=1LCauchyHc=1,d=2L

CauchyHc=1,d=1L Gauss

(ml/h) (mm)

a 5

b 7

c 2 ~ 10

d 5 ~ 20

450

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

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Ⅱ‑157

参照

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