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固体酸化物形燃料電池の多孔質電極に対するイメージベース解析

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Academic year: 2022

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固体酸化物形燃料電池の多孔質電極に対するイメージベース解析

○東北大学工学部 学生員 高橋 健  東北大学大学院 正 員 加藤 準治  東北大学大学院 正 員 寺田 賢二郎  東北大学大学院 正 員 京谷 孝史

1. はじめに

固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell, SOFC)

は他の燃料電池に比べ,1000℃の高温で作動するため,排 熱利用による発電システムの高効率化が期待されるエネル ギーシステムである.一方で,高温稼動のために材料の強 度特性が低下,Ni粒子の焼結による化学的劣化も生じる.

現在,様々なシミュレーションからSOFC電極の高効率化,

劣化の研究がされている.しかし,そのシミュレーション はミクロ構造の劣化のみを対象としており,マクロ物性評 価のための解析は行われていない.そこで,本研究では,

ミクロ構造分析データをマクロ物性評価にも用いられるよ うにボクセルモデリング手法を開発する.

2. ボクセルモデリング

本研究で,ボクセルモデル生成に用いたデータは実験 により得られたFIB/SEM画像データ・分子動力学シミュ レータデータ・擬似的多孔質構造データの3つである.

まず,FIB/SEM画像1)はSOFC燃料極を実験的に微 細加工し,その断面形状を観察して得られたデータである.

この断面のピクセルデータを輝度値により3値化を図り,

図–1に示すように,ピクセルサイズと同じ間隔でピクセ ルデータを並べて,ボクセルデータ化する.

次に,分子動力学データ2)とは,分子動力学シミュレー タにより生成されたNi,O,Zr,Yの四元素が三次元構 造内に分布する原子の座標情報である.このO,Zr,Yは セラミックスYSZを構成する元素であるので,これら3 つの元素の座標データ全てをYSZのものと見なし,モデ リングを行う.このデータは三次元構造内に座標点として 存在しており,さらにその点同士が離れているため,それ ぞれの粒子形状が把握できていない状態である.ボクセル FEMによる均質化解析に適用するために,図–2のように 粒子形状を持たせる.まず,原子同士が離れているためそ の間を埋めることを考える.Ni/YSZの材料情報をもつボ クセルを対象とし,1×1×1の材料ボクセルを3×3×3 ボクセルに拡大させる.その結果,実際のシミュレーショ ンで仮定した空孔率0.49とは大きく離れた0.21となって しまう.ここで必要以上に大きくなった材料ボクセルの体 積を小さくするために,空孔ボクセルを増やすことを考え る.空孔ボクセルをx・y・z方向に1ボクセルずつ拡大し て,材料ボクセルのボリュームを減らす.これにより空孔 率は0.50となりシミュレータで仮定したデータに近い値 となった.

最後に,擬似的に多孔質構造体を生成するシミュレー タ3),三次元多孔質シミュレータにより得られたデータを ボクセル化する.これは構成粒子の空孔率・体積混合率・最 大許容重複率により与えられた多孔質構造を有する粒子の 座標データである.図–3のような手順で粒子形状データ をボクセル化する.まず,この粒子形状データをCADソ フトにより三次元セル構造内に無作為に発生させ,三角形 メッシュソリッドのSTL形状データに変換する.そして,

このデータをボクセルデータ生成ソフト(VOXELCON)

によって,三次元ボクセルデータへと変える.このとき材 料情報が存在しない領域は全て空孔としたが,無作為に発 生させた粒子データであるので格子形状が存在しない.し たがって,ボクセルデータへと変換した後に格子形状内に 収まるボクセルデータだけを残し,多孔質構造体とする.

また,このとき粒子同士が重複する領域は,YSZ粒子を優 先させ,モデル化を行う.

1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

画像のピクセルサイズ と画像の間隔を同じに 順に並べてボクセル化

ボクセルモデル ピクセル画像

– 1 FIB-SEM画像データのボクセル化

材料ボクセルの拡大

材料ボクセルに接する 空孔ボクセルをx・y・z 方向に1ボクセルずつ拡大 1×1×1材料ボクセル

3×3×3材料ボクセル

に拡大 Ni YSZ 空孔

– 2 分子動力学シミュレーションデータのボクセル化

キーワード:ボクセルモデル

980-8579 仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-06, TEL 022-795-7425, FAX 022-795-7423

I-1

土木学会東北支部技術研究発表会(平成22年度)

(2)

STL形状モデル ボクセルモデル 1)ボクセルデータ化     材料特性を持たない空間   を空孔に

2)格子形状にボクセル   を切り取る

Ni YSZ

YSZ粒子情報を優先させる Ni

YSZ

– 3 擬似多孔質体シミュレーションデータのボクセル化

3. 幾何特性分析

SOFC燃料極セル内のNi粒子間で電子が移動すること により,SOFCセル内に電気が流れる.したがって,電極 の電子導電性は多孔質電極内のNi粒子が幾何性状に依存 する.そこで,全章で生成したボクセルモデルに対する解 析例として,Ni粒子が空間上において他の粒子郡と結び ついて導電しているのかを探索する.

まず,YSZ粒子を空孔とし,Ni粒子のみの幾何特性を 観察できるようにする.図–5に示すようにこのボクセル モデルの両端にポテンシャルT0・T1を持たせて,ボクセ ルモデル内に温度勾配を発生させる.このとき空孔のポテ ンシャルをTfとし,Ni粒子から空孔に流束が生じないよ うにし,Ni粒子のみを伝って熱が流れるようにする.これ により,ボクセル空間内にポテンシャルをもったそれぞれ のNi粒子のボクセルデータが得られる.このポテンシャ ル値にしきい値を設けることで,熱が伝わらなかったNi を孤立したNiを提案することができる.得られた孤立し ているNiの様子とその体積分率を図–??に示す.

また,SOFC燃料極セル内の電気化学反応は,三相界面

(Triple Phase Boundary,TPB)と呼ばれる空孔・金属・

セラミックスとが接する界面で起こる.この反応界面を調 べることにより,SOFC燃料極の電気化学反応の効率が評 価できる.空孔・Ni・YSZボクセルが接する線をTPBと し,ボクセルデータ単位でTPBを探し出した.得られた TPB界面と界面長さを図–6に示す.

この2つの幾何学分析から,SOFC燃料極の導電性・反 応効率をイメージベースで解析するためのボクセルデータ を生成できたといえる.

温度T0 孤立したNi 温度T1

導電性に寄与するNi T  >  T0 1

Tf

– 4 孤立したNi探査手法

(b)分子動力学データ

(c)擬似的多孔質構造データ (a)FIB‑SEM画像データ

0.32%

1.20%

1.32%

– 5 孤立したNi

(a)FIB/SEM画像データ (b)分子動力学データ

(C)擬似的多孔質構造データ 1.07μm/μm

0.61μm/μm

1.78μm/μm3 3

3

– 6 TPB界面

4. おわりに

3つの異なる手法により,実験結果・シミュレーション結 果から得られた多孔質電極のミクロ構造の形状モデルデー タをボクセルデータ化する手法を提示し,生成したデータ を用いて,幾何学的特性及び均質化特性を求めるためのイ メージベース解析を行うことで.提案手法の適用性につい て検証した.

参考文献

1) 鈴江洋典,鹿園直毅,笠木伸英:確率的再構築・格子ボルツマ ン法を用いた固体酸化物形燃料電池燃料極のモデリング.日本 機械工学会論文集,Vol.73BNo.739pp.2557-25672007 2) 松山健男,中村美穂,島崎智実,久保百司:固体酸化物形燃 料電池における機械特性分子シミュレーション.化学工学会 研究発表論文集,Vol.2009fpp.9852009

3) 古山通久,扇谷恵,服部達哉,福永博,鈴木愛,S.Riadh,坪井 秀行,畠山望,遠藤明,高羽洋充,久保百司,A.D.C.Carlos 宮本明:不規則性多孔質体微細構造最適化のための三次元多孔 質シミュレータPOCO2の開発と応用.Journal of Computer ChemistryJapanVol.7No.22008

土木学会東北支部技術研究発表会(平成22年度)

参照

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