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多孔質触媒層を利用したマイクロコンバスタ

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Academic year: 2021

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多孔質触媒層を利用したマイクロコンバスタ

1. はじめに

 ミリサイズ以下の空間で燃焼を維持 する微小な燃焼器(マイクロコンバス タ)への期待が近年高まっている.マ イクロコンバスタは単に微小なバーナ としてだけではなく,熱電素子や燃料 電池と組み合わせることで微小電源と しての可能性をもっており,また将来 的にはウルトラマイクロガスタービン の燃焼器としても利用が期待される.

燃焼現象は,高温になった燃焼ガスの 熱が,予熱帯を通して未燃側に伝わる ことにより伝ぱするが,燃焼器のサイ ズが小さくなると壁面への熱損失が増 大して消炎が生じる.たとえばメタン と 空 気 を 利 用 す る 場 合 に は, 直 径 3mm 以下の管内では燃焼を維持する ことが通常できない.この消炎が生じ る管直径を消炎直径と呼ぶが,マイク ロコンバスタはこの消炎直径以下の空 間において燃焼を維持させることを目 指す.消炎直径は壁面への熱損失によ り決まってくるため,燃焼空間を予熱 したり,壁面に触媒を担持させたりす ることで燃焼器サイズを小さくするこ とができる.これまでに,燃焼ガスの 熱エネルギーを未燃ガスに循環させて 予熱を行う方法や,多孔質状の基質を 作製し,そこに触媒を坦持させる方法 などさまざまな手法が試みられている が,ここでは触媒粒子を焼結法により 多孔質状に壁面に坦持させる方法と,

このマイクロコンバスタを発電に応用 した例を紹介する.本手法は,製造コ ストが大変安価で,かつ複雑な内面形 状を持つ燃焼器にも適用が可能である という特徴を持つ.

2. 多孔質触媒層作製法

 燃焼器外壁には内径 0.8mm,外径 1.2mm のムライトセラミックス製の 円管を使用し,このセラミックス管内 部に多孔質状の触媒層を形成して燃焼 器を作成する(図 1).セラミックス 管は熱電対の保護管として容易に入手 可能なものである.触媒には,粒径 1μm の白金粒子を用いる.まず,こ の触媒を重量比 2:1 でパーム油と混 濁させ,コロイド状のペーストを生成 する.触媒ペーストを,セラミックス

管先端内部に 5mm ほど注入し,マッ フル炉内で 1 時間 500℃で乾燥させて,

ペーストの溶媒成分を揮発させる.こ の時点では,セラミックス管内壁では 白金粒子が互いに弱く吸着した状態で あり,強度がなく実用に堪えない〔図 1(a)〕.ここで,当量比 1.6 のメタン

-空気予混合気を供給し,触媒層部分 を外部から加熱すると,各粒子が表面 反応による熱で溶融して近傍の粒子と 架橋構造をつくり,多孔質状の触媒層 が形成される〔図 1(b)〕.使用してい る触媒量は燃焼器一つあたり 5mg で あり,トータルの製造コストは実験室 レベルでも 100 円程度である.

3. 燃焼特性および発電試験

 このマイクロコンバスタに量論比の メタン-空気予混合気を 96cm3/min の流量で供給して作動させたものが,

図 2 である.着火は触媒部分を加熱す ることでおこなう.上述の供給量は発 熱量で 5W 相当,燃焼部分の長さは約 2mm 程度なので,体積当たりの発熱 密度は 5GW/m3,燃焼器出口での放 熱密度は 10MW/m2に相当する.燃 焼器出口における排気温度は 1 000℃

程度あるため,優秀な点熱源として利 用できる.また,触媒を利用している ため,当量比 0.8~ 6.0,流量 30cm3/ min~ 200cm3/min と広い範囲に作動 域を持つ.排ガス組成から求めた燃焼 効率は,85~ 95%程度であり,触媒 の耐久性は作動条件によるが,当量比 1.6,流量 70cm3/min の条件で 500 時 間 以 上 の 連 続 作 動 を 達 成 し て い る

(2008 年 9 月現在).

 この燃焼器を Bi-Te 型の熱電素子 と組み合わせて発電試験を行ったとこ ろ,投入発熱量 5W(図 2 と同条件)

に対して,電圧 1.5V で 100mW の出 力(電流値 67mA)を得ることに成功 した.この結果は最終変換効率 2.0%

に相当し,報告されている他の結果と 比べても十分高い値である.高温域で も利用可能な Zn-Sb/Bi-Te のような カスケード型の熱電素子を利用するこ とで,さらなる高効率化も期待できる と考えられる.図 3 はブタンを燃料と した燃焼器と熱電素子の組み合わせ

で,マイコンを作動させることをイ メージしたモジュールのモックアップ である.約 5cm3の燃料タンクで 25 時間駆動でき(30mW 発電時),無人 センサや災害時のバックアップ電源な どへの応用が考えられる.

4. おわりに

 マイクロコンバスタはまだ黎れい明期に あり,その利用方法自体を模索してい る状況である.燃料の供給のみで,連 続的に高いエクセルギー効率で微小な 熱エネルギーを発生させることのでき るマイクロコンバスタが広く知られ,

そのニーズが広がることを期待してい る.

(原稿受付 2008 年 10 月 1 日)

〔高橋周平 岐阜大学〕

●文 献

( 1 )高橋周平,多孔質触媒層を使った超小型燃 焼器の開発,技術総合誌 OHM,3(2008),

2-3.

図1 燃焼器概要と触媒層の SEM 画像 燃焼ガス 予混合気

セラミックス管 セラミックス管 触媒層

触媒層

熱の流れ 触媒反応 気相反応

0.8mm 1.2mm

(a)焼結前の触媒層(b)焼結後の触媒層

5μm 5μm

図 3 “燃焼”電池モジュール(モックアップ)

燃料タンク マイクロコンバスタ

熱電素子 空気取入口

図 2 作動時のマイクロコンバスタ 日本機械学会誌 2009. 6 Vol. 112 No.1087

501

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参照

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