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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

導電性固体酸化物を用いた医療用N_2Oセンサに関す る基礎的研究

金沢, 英一

九州大学総合理工学研究科物質理工学専攻

https://doi.org/10.11501/3180458

出版情報:Kyushu University, 2000, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

第3章 Sn02への第二成分添加によるN20検知特性の改善

3.1緒言

前章で、N20検知が可能な金属酸化物について検討した結果、 代表的なガスセンサ 材料として知られているIn203, Sn02, W03, ZnOの4種類の金属酸化物をN20検知材料 として半導体ガスセンサに用いた場合、比較的良好なN20応答を示し、このうちSn02 単独素子が最も優れたN20検知特性を示し、ベース材料としては最も有望であること を見出した1)。 しかし、 これら単独金属酸化物ではN20検知に対してまだ十分な感度 が得られていない。 そこで、 本章で、はN20感度のさらなる向上を第一の目的とし、 セ ンサ特性の改善を試みた。 第l章でも述べたように、 半導体ガスセンサでは、 ベース 材料に対して表面修飾を行うことによりセンサ特性(ガス感度、 選択性、 安定性)を 改善することが可能である。 特に、 ガス感度の向上に関する表面修飾法としては、 表 面添加物による修飾が最も一般的な方法として採用されている。 これは、 貴金属や金 属酸化物を感ガス体である酸化物半導体(ベース材料)表面に微量担持することによ りセンサ表面の性質を変化させ、センサ特性そのものを改善するために行われる方法 である。 最も一般的な担持法は、 酢酸塩や塩化物を酸化物半導体に含浸する方法が挙 げられる。 これらの方法により作製された半導体ガスセンサがH2. CH4. COなどの可 燃性ガスあるいはそれ以外の特殊ガスなどの検知に対して良好な特性を示すというよ うな研究例が数多く報告されている2・17)。 従って、 本研究におけるN20応答特性の改 善についても、 この表面添加物による方法を採用した。 ベース酸化物に第二成分とし て金属酸化物あるいは貴金属を微量担持した焼結体型センサ素子を作製し、それらの 添加効果についてセンサ特性を評価することにより検討を行った。第二成分添加効果 の検討は、Sn02をベース酸化物として用いることにより行った。また、 ベース酸化物 に対する第二成分金属酸化物あるいは貴金属の添加量は、 センサ感度に大きく影響す ると考えられる 一般に添加量には最適値が存在するとともにその幅が狭く、 過剰の 添加はその効果が十分に現れにくい場合がある18)。 従って、 添加量を過剰にすると添 加効果が不明瞭になると考えられるため、金属酸化物の場合には比較的微量のO.5wt%

に設定し、貴 金属の場合はO.05wt%あるいはO.1wt%に設定した。また、本章では、種々 の第二成分の添加効果を検討した結果について述べ、センサ素子がそれぞれ異なる感 度を示した原因についての詳細な考察は第4章で述べることにする。

- 34 -

(3)

3.2実験

3.2.1 貴金属担持試料の調製19-21)

貴金属の担持法にはいくつかの方法22)があるが、 比較的粒子径分布が小さく、 ま た、 高分散状態で担持が可能とされるコロイド吸着法によりSn02への貴金属粒子の 担持を試みた。 図3.1 �こ試料の調製手順を示す。 貴金属の担持には、 貴金属のコロイ ド溶液(濃度1 .5-2.5 mmol、 戸田工業(株)製) を用いた。 150 meshに整粒したSn02

3.2.2金属酸化物添加試料の調製19引,23,24)

図3.2�こ金属酸化物添加試料の調製手)1慎を示す。まず、仮焼成を行ったベース金属酸 化物を粉砕し、 150 meshに整粒した後、 これらに第二成分金属酸化物を添加した。 出 発原料として酢酸塩(水和物が存在する場合

は含水物)を用いる含浸法により行った。最終 粉末に対して0 .05wt%または O.1wt% の貴 金属が担持されるように貴金属コロイド溶 液を加えた後、 十分に試料を混合 できるよ うに蒸留水を加え、 スターラーを用いて約 2h 室温において撹持させることにより貴 金属微粒子をコロイド吸着させた。 その 後、 混合物を蒸発乾固させ、 乾燥器で約 12 h乾燥させ、 粉砕した後、 得られた粉末を 6000C, 1 h で焼成することにより貴金属担 持試料を調製した。

的に添加される金属酸化物がO.5wt%になるよ うにベース金属酸化物に酢酸塩を混合し、 さ らに蒸留水を加え、 スターラー で約2h室温に おいて撹持させた後、 蒸発乾固させた。 その 後、 試料を乾燥器で約12h乾燥させ、 粉砕し た後、得られた粉末を6000C.5 hで焼成するこ とにより第二成分金属酸化物添加試料を調製

した。

戸、d「、d

Sn02粉末

添加

貴金属 キーー蒸留水約50cm3 コロイド溶液

(貴金属コロイドをWに吸着、蒸発乾固』

(乾燥、粉砕、焼成(6000C)】

図3.1 コロイド吸着法を用いた貴金属の 担持方法

Sn02粉末 添加

+ 噂国=::1蒸留水約50cm3 酢酸塩

(酢酸塩をSn02に含浸、蒸発乾固

尽辺

乾燥、粉砕、焼成(6000C) 図3.2 含浸法を用いた金属酸化物の

添加方法

(4)

3.2.3センサ素子の作製および特性評価19引,25)

センサ素子の作製および測定法は前章と同様の方法で、行った。蒸留水で、ぺースト状 にした種々の第二成分添加試料をアルミナ管の周りにできる限り均一の厚さになるよ うに塗布した後、空気中、 6000Cで3h焼結させることにより通常の焼結体型センサ素 子を作製した。 得られた素子の応答回復特性の測定は、 合成空気 および合成空気希釈 のN20(10",4500ppm)流通下で、行った。測定温度は4000C'" 6000Cとした。 N20 ガス感 度(S)は、 合成空気中の素子抵抗値(Ra)に対するN20中の素子抵抗値(Rg)の比(Rg/

Ra)として定義した。

3.3貴金属によるN20 検知特性の改善 3.3.1貴金属担持によるセンサ特性の検討

半導体ガス センサの実用性を高めるには貴金属による増感効果が有効な方法であり、

市販の半導体ガスセンサには通常この方法が採用されている。貴金属増感効果はSn02 系やZnO系素子について数多く確認、2・13)されており、 それにより高感度で安定性の高 いセンサが得られるようになった。 しかし、貴金属は主に、水素、 メタン、 プロパン、

一酸化炭素のような可燃性ガス検知に対する増感剤として使用されている。 センサ感 度の増大する理由のーっとしては、貴金属が酸化物半導体の活性を向上させる化学的 相互作用3,18,26)により説明づけられている。 一方、N20中でのセンサの高抵抗側への 抵抗値変化は、 第l章で述べたN20 分解反応の式で示されているように、分解過程で 生成する 0-の吸着が起因していると考えられており、従って、センサ材料の触媒活性 がセンサ応答に影響すると推察される。 また、貴金属のうち、特にPd,悶1, Ru等がN20 分解触媒として有効であることが寺岡らの研究で報告されていることなどから考えて、

貴金属添加剤が示す触媒活性によりN20分解反応を制御で、きればN20検知特性 を改善 につながる可能性が予測される そこで、Sn02応答特性に対する貴金属の添加効果に ついて検討を行った結果を次に示す。

3.3.2貴金属担持 Sn02素子

Sn02に対しては、 Ag, Au , Pd, Rh , Ruの各 種貴金属をO.05wt%あるいはO.lwt%担持し た。 AuまたはPdを担持した Sn02焼結体型 素子の4500Cにおける応答回復特性を図3.3,

3.4 に示す。 測定した全ての作動温度で、 セ ンサ抵抗値は、N20濃度に依存してベース抵

- 36 -

7.1

7.0

"‘、

。 6.9

、、、

、句_,

∞6.8

6.7

4500C

10 20 30 40 50

Time/ min

図3.3 O.lwt%の貴金属を担持したSn02系 素子の応答回復特性

(5)

抗値よりも高 抵抗側への変化を示した。 応 答回復速度は、高い温度領域(4500C以上)で は比較的迅速で、あったが、 4000C以下では遅 くなる傾向を示した。 図3.5に O.05wt%Pd 担 持素子のガス感度の作動温度依存性を示す。

この図より 、ガス感度はN20濃度に関係なく 4500Cで最大値を示すことがわかった。 ま た、作動温度を4500Cから変化させると感度 は大きく低下する傾向 がみられ、 他の素子 も同様の傾向を示した。 図3.6にAu担持素 子のAir中および300ppmN20中のセンサ抵 抗値の作動温度依存性を示す。これより、Air 中の抵 抗値は全ての 作 動 温 度 におい て O.05wt%の担持で無担持に比べ約1桁増大 し、 O.lwt% の担持によりさらにわずかに増 大した。 従って、 添加量の微量の増大でも ベース抵抗値に影響することがわかる。 図 3.7にSn02単独素子 および貴金属担持素子 の4500CにおけるN20ガス感度の 濃度依存

〆'‘、 7.0

、、、

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7.5

4500C

5.5 0

Pd/Sn02 ー』ー�

20 40 60 80

Time/ min

図3.4 O.05wt%の貴金属を担持したSn02系 素子の応答回復特性

4.5 --0-50

・ー&… 100

・ーロー-300 -<>-900

・-・…1500 - -.- -3000 -・-4500 0.05wt%Pd/Sn02

4.0

1.5

1.0

300 350 400 450 500 550 600

Temperature / oc

濃度についてO.05wt%のAg,Au, Pdの担持で

性を示す。 これより、ガス感度は全てのN20 図3.5 O.05wt%PdlSn02素子の50"-'4500ppm N20 に対するガス感度の作動温度依存性

108 ーーーーーーm alr

- - - _ . in 300ppm N20

。107

ω 0

5

106

105

300 350 400 450 500 550 600

Temperature / oc

図3.6 Sn02単独及びAuを担持したSn02系 素子のAir中または300ppmN20中の

抵抗値の作動温度依存性

ウー司、J

4.5

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3.0

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1.0

0 1000 2000 3000 4000 5000

N20 concentration / ppm

図3.7 Sn02単独及び各種貴金属を担持したSn02 系素子のN20ガス感度の濃度依存性

(6)

Sn02単独素子より もわずかに大きくなり O.lwt%の担持では逆に減少した。 ただし、

貼,Ruはガス感度の向上効果をほとんど示さなかった。

以上の結果から、貴金属担持Sn02素子のガス感度は、いずれの素子もほぼ4500Cで 最大値を示す傾向があるため、この温度付近で最もN20分解による酸素吸着が起こっ ていると予想される。 また、 これ以下の温度では、 応答速度、 ガス感度が減少傾向に あることから、逆にN20分解により 生成する負電荷吸着酸素が減少していると考えら れる。 N20分解触媒として有効とされているRh.Ruあるいは担持量の増大は感度の減 少を導いた。 ただし、 O.05wt%の微量の担持はガス感度をわずかに増大させた。 従っ て、貴金属の種類によって異なる触媒作用の効果がセンサ感度に影響を及ぼ している ことは応答特性の測定結果より明白であるが、 その効果はN20検知に対して大きく現 れていないため、 貴金属添加斉IjはN20分解活性が比較的高いことが考えられ、センサ 特性の改善に対してあまり効果的ではない。

3.4 第二成分金属酸化物によるN20検知特性の改善 3.4.1金属酸化物添加によるセンサ特性の検討

N20を高感度に検知するためには、N20中でセンサの抵抗値が大きく変化できるよ うに材料設計を行う必要がある。Sn02素子などのN20中で、の高抵抗側への抵抗値変化 は、第1章で、述べたN20分解反応の式で示されているように、 分解過程で生成する 0ー の吸着が起因していると考えられ、 従って、 センサ材料の触媒活性がセンサ感度を大 きく左右すると考えられる。 貴金属による表面修飾ではセンサ特性の改善に対して効 果が認められなかったため、 以下では金属酸化物によるセンサ特性の改善を試みた。

また、 第1章で述べたように種々の 酸化物半導体 のN20分解に対する触媒活性の順列 は一般にp型>i型(絶縁体) > n型という報告例がある27)。 従って、N20検知には第 二成分酸化物固有の触媒作用によりN20 の分解反応をコントロールすることでセンサ の高感度化が期待できると推察される。 そこで、 n型酸化物およびp型酸化物のいず れの場合についてもSn02へ添加した素子を作製し検討を行った結果を以下に示す。

3.4.2 Ce02, C0304, Mnz03, NiO添加系

ここで、は一般にN20分解活性が高いことが報告されている金属酸化物(Ce02, C0304,

Mn203, NiO)について検討を行った。 これらSn02 系焼結体型素子の4500Cにおける N20対する応答回復特性を図3.8に示す。 比較のためにSn02単独焼結体型素子の応答 回復特性を同図に示した。 Mnz03 を添加した素子は、 全ての測定条件において応答が 殆ど見られなかった。 測定した全ての作動温度(400oC",5500C)でN20 中の素子抵抗値

- 38 -

(7)

4500C 8.0 7.5

はAir中のベース 抵抗値よりも高く、N20濃

度の増加と共に増大した。 0.5wt%の金属酸

化物を添加した素子はいずれもAir中の抵抗 ".-‘、α、、、 7.0

、・_, 凶6.5

値がSn02単独素子に比べて高くなり、

N20 に対する応答がいずれの場合も減少し また

6.0

32

Sn02単独及び0.5wt%の金属酸化物を 添加したSn02系素子の応答回復特性

0.5wt%NiO/Sn02

28

�50 …合…100 -ーロ・・300 ーベ>-900

"".…1500 - -. - - 3000 一一・-4500

-

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24

12 16 20

Time/ min

8 4

図3.8

3.0

1.5

è 2.0

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υつ

た。 図3.9にNiOを添加した素子のN20 ガス 感度の 作動温度依存性を示す。 作動温 度 4500Cにおける感度の最大値を境に前後の作 動温度でガス感度は減少する傾向を示した。

また、他の素子についても同様の傾向がみら れ、ガス感度は3種類の金属酸化物のどれを 添加した場合でもSn02単独素子よりも減少 これらのAir

中および、300ppmN20中における 抵抗値の作 動温度依存性を示す。 これより、金属酸化物 添加によりSn02単独素子に比べAir中の抵 抗値は1--2桁増大する ことがわかった。

図3.10に、

する傾向を示した。

1.0 350

た、図3.11に示すセンサ素子の4500C におけ るN20感度の濃度依存性より、測定を行った

600

0.5wt%NiO/Sn02素子の50"'4500ppm N20 に対するガス感度の作動温度依存性

450 500 550

Temperature / oc

400

全ての N20 濃度に対してこれらの酸化物の 図3.9

添加による 増感効果はいずれについても認め

4500C

ー-0-ーPureSn02

・・・合…0.5wt%Ce02 -ーロー・0.5wt%C0304 .・0・・0.5wt%NiO -e←ー0.5wt%Mru03 4.5

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G) 106

5000 4000

1000 2000 3000

N20 concentration / ppm

1.0 0 600

550

450 500

Temperature / oC

105 350

Sn02単独及び各種金属酸化物を添加 したSn02系素子のN20ガス感度の 濃度依存性

図3.11

400

Sn02単独及び0.5wt%の金属酸化物を添

加し たS n 0 2 系 素 子 の Ai r 中または 300ppmN20中の抵抗値の作動温度依存性 図3.10

AVJ 「、d

(8)

られないことがわかった。 従って、 ガス感度が大きく低下した原因としては、 第二成 分添加による Air 中のベース抵抗値が増大したことおよびこれらの 添加物が報告され ている通り高いN20分解活性を示したことなどが考えられる。

3.4.3 CuO, Fe203, Pr6011添加系

図3.12にSn02単独及び 0.5wt%の各種金属酸化物(CuO, Fe203, Pr6011)を添加した Sn02系焼結体型素子の5000CにおけるN20濃度変化に対する応答回復特性を示すo測 定した全ての作動温度で、N20中の素子抵抗値はN20濃度に依存して、 Air中のベース 抵抗値よりも増大した。金属酸化物を添加した素子は全てAir中の抵抗値が Sn02単独 素子に比べ約1",2桁増大した。 N20中でのAirに対する抵抗値変化は、 どのN20濃度 に対してもFe203添加素子はSn02単独素子とほぼ同程度であま り変化が見られなかっ たが、 CuO,Pr6011添加素子につい

てはAir中の抵抗値が増大したのに も関わらず若干増大した。 応答回 復速度は、4500C以上の温度領域で はどの素子も比較的迅速で、あった が、 4 000C以下では、第二成分添加 系素子に対して遅くなる傾向を示 した。 センサ応答は400",5000C の 温度範囲で 濃度が高い場合に明確

8.0 7.5

,-... 7.0

、、、

巳6.5a。g 6.0

5 10 15 20 25 30 35

Time I min

に現れた が 、 そ れ以下 の温 度や 図3.12 Sn02単独及びO.5wt%の金属酸化物を添加したSn02

300ppmより低 濃度になると低下し た。

図3.13に代表例としてPr6011添加素子 のガス感度の作動温度依存性を示す。ガス 感度は、 Pr6011添加素子では4500Cにおい て最大値を示した。それ以下の作動温度で はガス感度は減少したが、CuO添加系素子 に関しては低温域でも比較的良好な応答を 示した。これら3種類の素子のうち、Pr6011 の増感効果は比較的大きいことがわかっ た。また、金属酸化物 添加によりこれらの 素子はいずれの場合も Sn02単独素子に比

系素子の応答回復特性

7.0 〈- 企〉…- 510 00

ーーー-300

6.0ト \ �900 一.…1500

ー-.-・3000

\一→・-4500

、、、

3.0

2.0

1.0 250 300 350 400 450 500 550 600

Temperature IOC

図3.13 O.5wt%Pr60Jl/Sn02素子の50'""'4500ppm N20に対するガス感度の作動温度依存性

- 40 -

(9)

べてAir 中の抵抗値は増加した。 従って、 抵 抗値が大きく増大する素子ほど低温度になる につれて空気中のベース抵抗値が高くなるた め実用的なセンサ材料として用いるのは難し いことがわかった。 図3.14 に各素子の4500C におけるN20ガス感度の濃度依存性を示すo これより、 CuOを添加した場合ガス感度は、

Sn02単独よりもわずか に増加し、 Pr6011 を 添加 し た 場合に はさら に 大 き く なっ たO Fe203 の添加ではSn02とほぼ同程度の感度

を示した。ガス感度の増大傾向を示した第二

7.0

â 6.0

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1.0

o 1 000 2000 3000 4000 5000

N20 concentration / ppm

図3.14 Sn02単独及び各種金属酸化物を添加 した Sn02系素子のN20ガス感度の 濃度依存性

成分酸化物(CuO, Pr6011)はAir中の素子抵抗

の増大を引き起こしたが、 センサ感度はSn02単独よりも増大した。 従って、 3.4.2で 示した酸化物とは対照的に、 これらの第二成分添加によりN20分解活性は比較的低い 状態を示した結果、 センサ感度が増大した可能性が考えられる。

3.4.4 Bi203, PbO, Nd203添加 系

図3.15 にO.5wt%のBi203, PbOまたはNd203を添加したSn02系焼結体型素子の5000C におけるN20濃度変化に対する応答回復特性を示す。測定した全ての作動温度で、N20 中の素子抵抗値は、Air中のそれよりも高くなり、N20濃度の増加と共に増大した。N20 中でのAirに対する抵抗値変化は、 Bi203, PbO, Nd203添加素子共に同程度の変化を示 した。応答回復速度につい てもほぼ同様の傾向を示し、4500C以上の温度領域では比較 的迅速であったが、4000Cでは、若

干遅くなる傾向を示した。 センサ 8.2 5000C

応答は特に450--5000Cの温度範囲 7.8

で比較的明確に現れ、 それ以下の 温 度 に な る と 低下し た が 、 â

7.4

、、、

100ppm以下の N20濃度に対して g,o 7.0

も応答を示した。

6.6

図3.16に代表例として Bi203添

加素子のガス感度の作動温度依存 5 10 15 20 25 30 35 40

性を示す 。 ガス感度は4500C で最 Time/ min

図3.15 O.5wt%の金属酸化物を添加したSn02系素子

大値を示した。 その他の素子も同 の応答回復特性 - 41 -

(10)

様の傾向を示し、 4500C以下の作動温度では、 感度は減少する傾向を示した。 感度は、

Sn02にBi203, PbOまたはNd203を添加することによりどの素子も Sn02単独素子に比

ベて増大した。 図3.17にAir中および300pp mN20中の素子抵抗値の作動温度依存性を 示す。 金属酸化物添加によりSn02単独素子

ーベ)-50

・・合一100

・ーロー・300 ーベ>--900 ...…1500

・-.- -3000 0.5wt%Bi203/Sn02

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7.0

6.0

3.0

4

5 0

6

è 4.0

C/J

に比べてAir中の抵抗値は1桁以上増加し 特にNd203 添加素子の抵抗値はかなり 高い値を示した。図3.18に各素子の4500Cに おけるN20ガス感度の 濃度依存性を示す。

ガス感度は全てのN20濃度につ た。

これより、

いてどの添加素子もSn02単独素子より大き

く増大した。従って、一般に分解活性が高い 2.0

600

O.5wt%Bi203/Sn02 素子の 50'"'-'3000ppm N20に対するガス感度の作動温度依存性

550 450 500

Temperature / oc

400 1.0

350

図3.16 と言われているp型酸化物で、はあるがBi203,

PbOおよび希土類酸化物のNd203はN20検 知に対して比較的有効な増感剤であると考

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106

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350 3000

Sn02単独及び各種金属酸化物を添加 したSn02系素子のN20ガス感度の 濃度依存性

2500 500 1000 1500 2000

N20 c oncentration / ppm

図3.18

600

Sn02単独及びO.5wt%の金属酸化物を添 加し たS n 0 2 系 素 子 のAir 中または 300ppmN20中の抵抗値の作動温度依存性

450 500 550

Temperature /oC

400

図3.17

3.4.5 SrO, CaO, Sm 203添加系

図3.19にO.5wt%のSrO, CaO, Sm203を添加した Sn02焼結体型素子の5000C におけ るN20濃度変化に対する応答回復特性を示す。 これより、 N20中でのAirに対する抵 抗値変化は、 全てのN20濃度に対して SrO添加素子が最も大きかった。応答回復速度 については、し、ずれの素子も比較的迅速であり、5000CにおいてSrO添加素子で、応答時

- 42 -

(11)

20 30

Time/ min

40 60

8.6 5000C

〆-、 8.2

、、、

8.0

-bo o

7.8 7.6

図3.19 0.5wt%の金属酸化物を添加したSn02系素子の応答回復特性

聞が約15s旬、 90%回復 時間は1min以内であっ た。低濃度でも特にSrO 添加素子は比較的良好 な応答を示し、 100ppm 以下のN20濃度につい ても応答は見られた。

図3.20にSrO添加素子 のガス感度の作動温度 依存性を示す。ガス感度

は、 測定温度 範 囲 内で はいずれの場合も

10

4500Cで最も高かった。 図3.21にAir中およ び300ppmN20中の素子抵抗値の作動温度依 存性を示す。 CaO, Sm203添加素子は、 特に 4500C以下での測定では抵抗値が高くなりす ぎる傾向がある。 図3.22に各素子の4500Cに おけるN20ガス感度の濃度依存性を示す。 こ の図から明らかなように、 特に、 SrO 添加素

子は全てのN20 濃度に対して最も良好な N20検知を示し た。また、CaOあるし\はSm203

についても測定濃度範囲内で増感効果が認め

109

108

〆-、

、、、

ω 107

106 Pure ・­

SnÜ2

105

400 450 500 550 600

Temperature / oC

図3.21 Sn02単独及び0.5wt%の金属酸化物を添 加 し たS n 0 2 系 素 子 のAi r中または 300ppmN20中の抵抗値の作動温度依存性

- 43 -

50

14

12

0.5wt%SrO/Sn02

&

一ー0--50

・・ 100 -ーロー・300

--<>--900

…・---1500

--.- - 3000

、、

8

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6 4) CIコ 4

2

400 450 500 550 600

Temperature / oC

図3.20 0.5wt%SrO/Sn02 素子の 50"-'3000ppm N20に対するガス感度の作動温度依存性

14 司L

nu

。o

rO

A斗

(司出、出)\ωωロ528』℃ωN号E。z ーベ〉ーPureSn02

-→・-0.5wt%SrO -・企…0.5wt%CaO ー-・- - 0.5wt%Sm203

4500C

2

o 500 1000 1500 2000 2500 3000 N20 concentration / ppm

図3.22 Sn02単独及び各種金属酸化物を添加 したSn02系素子のN20ガス感度の 濃度依存性

(12)

られた。 以上のことから、 アルカリ土類酸化物(C a O, SrO) はどちらも、 また、前述ま での結果からも明らかなように希土類酸化物(Pr6011, Nd203, Sm 203)等はN20検知に 対して比較的有効な増感剤であると考えられる。 これらの酸化物のうち特にSrOはセ ンサ材料に最適なN20分解活性を導き、N20分解反応過程において負電荷吸着酸素の 生成を促進させたためセンサ感度が最も増大したと考えられる。

3.4.6 Li 20, Na20, K20, La203, Gd203添加系

ここではアルカリ酸化物およびここまで、検討を行っていない他の希土類酸化物を添 加した結果を示す。 図3.23に0.5wt%のNa20, K20, La203, Gd203を添加した各種Sn02 系焼結体型素子の 5000CにおけるN20濃度(600---- 1800ppm)に対する応答回復特性を示 す。 測定した全ての作動温度でいずれの素子もAir中のベース抵抗はN20 中で高抵抗 側への変化を示した。 また、 いずれの素子も比較的良好な応答回復特性を示した。 応 答回復速度については、前節までのSn02系素子と同様に比較的迅速であり、 5000Cに おいていずれの素子も

応答時間は数十秒程度、

90%回復時間はlmin以 内であったが、 作動温

度 4000C 付近では若干 遅くなる傾向が見られ

8.8

8.4

8.0

、、、

p:::

ヨ7.6

7.2

6.8

Na20/Sn02

0 4 8

1500

La203/Sn02 Gd20J/Sn02

12 16

Time/ min 20

1800 5000C

K20/Sn02

24 28 32

た。 また、 300ppm 以下

の低濃度のN20に対し 図3.23 O.5wt%の金属酸化物を添加したSn02系素子の応答回復特性

てもLa203, Gd203添加

素子を用いた場合、 比較的良好な応答がみ られた。

図3.24に代表例としてNa20を添加した Sn02系素子のN20ガス感度の作動温度依存 性を示す。 これより、前節までのSn02系素 子の測定結果と同様に、 ガス感度は4500C付 近で最大値を示し、4000C付近では感度は低 下した。

図3.25 にこれらSn02系素子のAir中およ

び300ppmN20中の抵抗値の作動温度依存性 を示す。 これより、し、ずれの素子も抵抗値は

- 44 -

2.0

0.5wt% Na20/Sn02 -0-50

1.8

1.6

〉、

.召 1.4

I;/J

1.2

1.0 350

図3.24

・・合… 100

F、 ~ 、一 一ロー300

I �900

I ….… 1500

--.・・3000

&

600

0.5wt%Na20/Sn02 素子の 50'"3000ppm N20に対するガス感度の作動温度依存性

(13)

Sn02単独素子に比べて増加した。このうち希土類酸化物のLa203, Gd203の添加はセン サ抵抗値を大きく増加させた。 図3.26に0.5wt%の金属酸化物を添加したSn02系素子 の作動温度5000CにおけるN20ガス感度の濃度依存性を示す。 これより三種類のアル カリ酸化物(Li20, Na20, K20)添加素子については、 Sn02単独素子と比較しでも殆ど 増感効果を示さずむしろ感度を低下させ、 一方、 希土類酸化物(La203, Gd203)は対照 的にどちらも感度の向上効果を示すことがわかった。

109 3.0

ー一ーーー一ー 10 alr 5000C

-・・・・in 300ppm

N20

2 5

t

" ,

108 "

〆'‘、 、、、 U.5wt%

、、、

2.0

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出的乱』

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E ?E

Z 1 5

106

:下、

1.0

450 500 550 600 50 100 150 200 250 300

Temperature / oC N20 concentration / ppm

図3.25 Sn02単独及びO.5wt%の金属酸化物を添 図3.26 Sn02単独及び各種金属酸化物を添加 加 し たS n 0 2 系 素 子 のAir中または したSn02系素子のN20ガス感度の 300ppmN20中の抵抗値の作動温度依存性 濃度依存性

3.4.7 MgO, BaO, ZnO添加系

図3.27に0.5wt%MgO,0.5wt%BaO, 0.5wt%ZnOを添加した各種Sn02系焼結体型素子 の作動温度5000CにおけるN20濃度(10-300ppm )に対する 応答回復特性を示す。 これ より、測定した全ての作動温度で前節までのSn02系素子の測定結果と同様、いずれの

素子もAir中のN20濃度 に依存した高抵抗側への 抵抗値変化を示した。ま た、し、ずれの素子も比較 的良好な応答回復特性を 示した。 5000Cにおける BaO添加素子の90%応答 時間は数十秒程度、 90%

回復時間はlmin以内で あった。また、300ppm以

8.2 8.0 7.8 ..- 7.6

ð 7.4

200 7 2 7.0 6.8

6.6 10

5000C

10 0.5wt%MgO/SnÜ2

20 30 40 50

Time/ min

図3.27 O.5wt%の金属酸化物を添加したSn02系素子の応答回復特性

戸、JA斗

(14)

下の低濃度範囲のN20に対して、特にBaO添加素子 で 比較的良好な応答回復特性が得 られた。

図3.28にこれら各種金属酸化物を添加したSn02系素子の300ppmN20に対するガス 感度の作動温度依存性を示す。 これより、 測定温度範囲 では いずれの金属酸化物を添 加した場合においても、 他の Sn02系素子の測定結果と同様 、 ガス感度は4500C付近で 最大値を示し、4 000C では逆にガス感度は低下した。また、し、ずれの素子 も単独素子に 比ベガス感度は 増大し、 BaO添加素子は最もガス感度が増加傾向を示した。

図3.29にSn02系素子のAir中 および300ppmN20中の抵抗値の作動温度依存性を示 す。これ より、 これまでの傾向と同様に第二成分添加によりベース 抵抗値は Sn02単独 素子に比べて1--2桁増大した。 また、 4500C

以下の測定では抵抗値が 高くな る傾向が見ら れた。 図3.30に0.5wt%の金属酸化物を添加 したSn02系素子の作動温度5000Cにおける

N20 ガス感度の濃度依存性を示す。 これよ り、 全ての素子は300ppm以下の低濃度範囲 でも比較的良好なN20応答を示し、 Sn02単 独素子 よりも高いガス感度を示した。特に、

BaO添加により低濃度側のN20感度が増加 できたため、前で述べた他のアルカリ土類酸 化物(SrO, CaO)と同様に有効な増感剤である と考えられる。

109

一一一ーーーm alr

- - - _ . in 300ppm N20

108 .、

0

、、

、... 、\、、\国0.5W1

BaO 、

、�

"",一MgO

8 107

e司 vl 色』

106

105 400

---:

SnÜ2

450 500 550

Temperature I oc

600

図3.29 Sn02単独及び0.5wt%の金属酸化物を添 加 し たS n 0 2 系 素 子 のAi r中または 300ppmN20中の抵抗値の作動温度依存性

- 46 -

5.0 4.5 4.0

3.5

ð 主、 3.0

'C

'fñ 2.5

v

2.0

1.5

1.0 350 400 450 500 550 600

Temperature I oc

図3.28 0.5wt%の金属酸化物を添加したSn02系

3.0

õb d 2.5

也A(.)

s

.� 2.0

8

"'0 v N

E 1.5

Z

素子の300ppm N20に対するガス感度の 作動温度依存性

5000C

50 100 150 200 250 300

N20 concentration I ppm 図3.30 Sn02単独及び各種金属酸化物を添加

したSn02系素子のN20ガス感度の 濃度依存性

(15)

3.5本章のまとめ

各種第二成分 (貴金属、 金属酸化物)を添加したSn02系焼結体型素子の 4500C また は5000CにおけるAir中のセンサ抵抗値を表3.1に示す。 これより、添加剤の種類によっ て値に違いはみられたが、 ベース抵抗値は単独素子に比べて増大する傾向を示した。

このように素子抵抗値が増大した理由のーっとして、添加した第二成分によりSn02粒 界部の電位障壁がさらに高くなったためとも考えられる。 また、 実験結果からも明ら かなように、 第二成分添加素子はいずれの場合も 4500C付近でセンサ感度が最大値に なる傾向を示したが、4500Cではベース抵抗値が1080と比較的高い値を示す素子もあ り、一方、応答回復速度も若干遅くなる傾向があるため、5000C付近がセンサの最適作 動温度であると考えられる。

各種第二成分(貴金属、金属酸化物)を 添加したSn02系焼結体型素子の5000Cに おける300ppmN20に対するガス感度を図 3.31に示す。 これより、添加した第二成分 の種類によりN20 ガス感度は異なる値を 示した。 O.lwt%の貴金属を添加した場合

Pure Sn02 j:.: &Y 0.1 wt% Au I'j川 O.lwt% Pd 1-.) O.lwt% Rh H 0.5wt% Mn203

0.5wt% Fe203

0.5wt% C0304 0.5wt% NiO 14' 0.5wt% CuO鋭狩

O.5wt% Bi203 0.5wt% PbO 0.5wt% Li20 0.5wt% Na20 I議

0.5wt% K20 Htx' 0.5wt% MgO

1.0 1.5

図3.31 各種第二成分を添加したSn02系素子の5000C における300ppm N20に対するガス感度

- 47 -

表3.1 各種Sn02系素子の4500Cまたは5000Cに おけるAir中のベース抵抗値

4500C 5000C

Sample

Ra/ Q Ra/ n

Pure Sn02 5.8 X 105 3.4 X 105 0.5wt%MgO 1.3 X 108 5.6XI07 0.5wt号令CaO 1.8 X 108 8.1 X 107 0.5wt% SrO 6.5 X 107 3.0XI07 0.5wt% BaO 1.2 X 107 5.6 X 106 0.5wt% PbO 1.5 X 107 7.0X 106 0.5wt% Bi203 4.5XI06 2.0X 106 0.5wt% La.203 1.5 X 108 5.7X 107 0.5wt% Pr6011 5.6XI07 2.0XI07 0.5wt% Nd203 1.2 X 108 4.0XI07 0.5wt% Srm03 1.5 X 108 6.3 X 107 0.5wt% Gd203 1.4 X 108 4.9XI07 0.5wt%ZnO 4.0 X 107 1.6 X 107 0.5wt% Li20 9.4 X 107 2.4XI07 0.5wゆもNa.20 1.0 X 108 3.1XI07 0.5wt% K20 4.4X 107 1.6 X 107 0.5wt% Mm03 5.7X 107 2.2 X 107 0.5wt% Fe203 2.2 X 107 8.2 X 106 0.5wt% C0304 1.4XI07 4.3 X 106 0.5wt%NiO 3.4 X 107 1.1XI07 0.5wt% CuO 1.1 X 107 3.5 X 106 0.5wt% Ce02 1.0 X 107 3.4 X 106 O.lwt%Au 6.4 X 106 2.5 X 106 O.lwt% Pd 5.4 X 106 1.8XI06 O.lwt%Rh 7.7 X 106 2.3 X 106 O.lwt% Ru 1.3XI07 3.8 X 106

一ー一一」ー

(16)

(5000C)

にはN 20ガス感度の向上効果を示さ ず、むしろ感度は減少傾向を示した。一 方、金属酸化物を添加した場合には、金 属酸化物の違いにより感度は大きく左 右された。特に、一部の p型半導性酸化 物 (Bi203, PbO)、 アノレカリ土類酸化物 (CaO, SrO, B aO)、 あるいは希土類酸化 物(La203,Nd203, Sm203, Gd203) におい てN20に対する増感効果が見られた。

このうちS r O を添加した場合 には 、

R=3.6X 107Q Air_j '--..J --ー 一ー 、一ー '-R=3.0X 107Q

300ppm 200ppm 100ppm 50ppm 25ppm 10ppm 180 s

トー-4

Aír

300ppm 300ppm 300ppm 300ppm 300ppm 300ppm 300ppm

Sn02単独素子に比べて 3倍以上高い感 図3.32 O.5wt%SrO/Sn02素子の5000Cにおける

度が得られ、図3.32に示すように、 N20 応答回復特性

濃度変化に対する応答特性、 また、繰り返し応答特性のどちらについても比較的良好 な結果が得られた。 アルカリ酸化物については増感効果は認められな かった。 このよ うに数種類の金属酸化物が感度の向上効果を示した理由のーっとして、 これらの添加 剤が、Sn02単独試料に比べてセンサ材料の最適なN20分解活性を引き起こさせること

により負電荷吸着酸素の生成を促進させているためと推察される。

以上の結果より、 本章で明らかにな った内容をまとめると以下の通りである。

(1) Sn02に第二成分を添加することによりN20検知特性の改善が可能である。

(2)貴金属はN20感度の増大に対する添加剤としては適さず、 金属酸化物のうちアル カリ土類酸化物や希土類酸化物などがN20感度に対する有効な 増感剤である。

(3) Sn02にS rOを添加した場合、 特にSn02単独素子に比べて高い感度が得られ、

10,..,300pp mの低濃度範囲においても比較的良好な N20検知が可能である。

(4) N20感度は 4500Cで、最大値を示したが、 センサ抵抗値や応答回復特性などから考察 して第二成分添加素子の最適作動温度は 5000Cである。

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- 49 -

(18)

第4章半導体センサにおけるN20検知機構解明のための検討

4.1緒言

第2章および3章において、 N20高感度検知のためのベース材料の探索および第二 成分添加による感度の向上を試みた。その結果、 ベース酸化物としてはSn02、 増感剤 としてはSrO, BaO, Sm203などが有効で、あることがわかった。 しかしながら、 センサ 素子の作製条件が 特性におよぼす影響については未検討であった。 そこで本章では、

Sn02 の焼成温度、 第二成分酸化物の添加量、さらに薄膜型センサ素子によるN20応答 特性の改善について検討を行った。

一方、実際にセンサとして使用するためには、 通常のセンサ作動条件下において存 在する水蒸気による影響について調査する必要がある。そこで、Sn02系焼結体型素子 の湿潤空気中でのN20応答特性の検討を行い、 センサ特性への湿度の影響について検 討を行った。 また、 N20分解活性を評価することにより、 N20検知機構に関する検討 を行った。

4.2実験

4.2. 1 金属酸化物試料の調製ト5)

Sn02 試料粉末は塩化スズ(SnC14)の加水分解により得られたαースズ酸を電気炉に より空気中、 種々の温度(7000C", 12000C)で3 h熱分解することにより調製し、 粒子 径の異なる粉末を得た。 得られた粉末は150 meshに整粒した後に、 第2章で示した 方法で焼結体型素子を作製した。

一方、 Sn02への第二成分金属酸化物の添加は第3章で示した酢酸塩を出発原料と する含浸法により行った。 最終的な金属酸化物添加量は0.1",2.0wt%の範囲で制御し た。

4.2.2 薄膜型センサ素子の作製6・10)

Sn02ゾル溶液を用いて以下に示す手順により薄膜型センサ素子を作製した。2.0wt%

のSn02ゾル溶液を櫛形Au電極をスクリーン印刷により取り付けたアルミナ基板上に 1200 rpmの回転速度で3固または5回スピンコーティングした。 スピンコーティング が1回終了するごとに、 素子を乾燥器で約10 分間乾燥させた。 全てのスピンコーティ ングを終了した後、 Auベーストを用いてPt線(0.3ゆ)を基板に取り付け、 さらに、 素 子をスポット溶接によりセノレに取り付けた後、100cm3/minの合成Air流通下、6000C,3h で焼結させ、 Sn02単独薄膜型センサ素子とした。

- 50 -

(19)

4.2.3 水蒸気存在下で のセンサ素子の応答・回復特性の測定

各センサ素子の応答・回復特性の測定は、 第2章で示した装置を用いて同様の方法 で、行った。 雰囲気内への水蒸気の添加(相対湿度: 50% ,70 %)は、 水をバブリングさ せることにより行った。 センサの作動温度は、 小型電気炉を用いて、 5000C-6500Cの 温度範囲で制御させ、 雰囲気を 湿潤合成Airから湿潤Air希釈の10 -6000ppm N20に切 り替え、その後再び湿潤合成Airに切り替えることに よりN20応答を回復させた。N20 ガス感度 (S)は、 合成Air中の素子抵抗値(Ra)に対する N20中の素子抵抗値(Rg)の 比(Rg /Ra)として定義した。

4.2.4センサ材料のN20分解活性の測定5,11)

Sn02系試料のN20分解活性試験は、 通常の固定床流通式反応装置を用いて、 Sn02 単独試料、N20感度が増加傾向を示した0.5wt%SrO,0.5wt%Sm203添加試料、逆にN20 感度が減少傾向を示した0.5wt%Li 20,0.5wt%Mll203添加試料の計5種類のサンプルに ついて検討した。 測定は25 -60meshに整粒した各々のセンサ材料0.2gを測定用セノレに つめた後、N20(5%)-02(5%)-He乾燥ガスを50cm3/minの速度で、流通させ、室温から6000C

まで 40C/minで昇温させながら、 ガスクロマトグラフ(S HIMADZU GC-8A)を用いて 行った。

ま た、 水蒸気を添加したN20ガスのN20分解活性試験についても、N20(5%)-02(5%)­

He湿潤ガス(相対湿度50%)流通下 において同様の方法により室温から7000Cまで40CI minで昇温させながら行った。

4.3 Sn02焼成温度の検討

図4.1 に焼成温度の異なる 3種類の Sn02単独焼結体型素子の4500CにおけるN20 (10ppm...,300ppm)に対する応答回復特性を示す。 これより、 いずれの素子もN20中で は高抵抗側への抵抗値 7.2

変化を示し、 比較的良 7.0 好な応答回復特性が得 6.8 られた。 ま た、し、ずれの ê 、\ 6.6

Sn02素子も4500Cにお

、出� 6.4 営6.2

いて最も大きな応答が 6.0 得られた。一方4000C以 5.8

下で は、 センサ応答と 応答回復速度が低下 す

4500C

5 10 15 20 25 30 35 40

Time/ min

図4.1 焼成温度の異なるSn02単独素子の応答回復特性

咽ZEAP、d

(20)

一一一ーー

tn alr

・ ・ ・ ・

in300ppm N20

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る傾向を示した。応答回復速度は4500C 以上 では比較的大きく 900/0応答時間は数十秒程 度、 90%回復時間はlmin以内であった。

だし、全ての素子で、数十ppmレベノレのN20に 対しては十分な応答を示さなかった。

にこれらSn02単独焼結体型素子のAir中お よび300ppm N20中の抵抗値の作動温度依存 た

図4.2

600 550

450 500

Temperature / oC

400 105

350

これより、焼成温度7000C の素子 に比べて 9000Cの素子はベース抵抗値が若干 低下し、 焼成温度がlOOOOC以上の場合には 性を示す。

焼成温度の異なるSn02単独素子のAir 中または300ppmN20中の抵抗値の作

動温度依存性

ベース抵抗値は逆に増大した。一般に焼成温 図4.2

度の上昇とともに結晶子径は増大するため

4500C ーベ〉ー7000C X3h

-…&ー・9000Cx 3h - -ロー・IOOOOCx 3h -0-ー12000Cx 3h

2.4

2.2

5

2 0

(\)

g 1.8

C司

巴 1.6

乱主 N

1.4

E

Z 12 1.0 0

Sn02 粒子が占める空間電荷層の割合

が小さくなり ベース抵抗値は低下すること が予想される。従って、抵抗値が増大した原 因としては、粒子径の増大により素子が多孔 質化し、高次の意味での 粒子間の接触が低下

1 2

1 4)

したことが考えられる。 図4.3にこれらSn02 単独焼結体型素子の 4500C におけるN20 ガ ス感度の濃度依存性を示す。 これより、焼成 温度7000Cよりも高い温度で焼成して得た粉

末を用いた素子の方が N20 感度は 高くなる 50 100 150 200 250 300

N20 concentration / ppm

図4.3

良好な N20 応答を示すことがわかった。

れは、空気中のベース抵抗値の低下および多孔質化によりガス拡散が容易になったこ

焼成温度の異なるSn02単独素子の N20ガス感度の濃度依存性

ことがわかった。特に、9000C 焼成のSn02は、

」ー 、F

今ん戸、J

とに起因すると考えられる。

参照

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