九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
含フッ素テトラアリールホウ酸イオンによって疎水 性溶媒中に可溶化されたアルカリ金属イオンの反応 性の研究
苑田, 晃成
九州大学総合理工学研究科分子工学専攻
https://doi.org/10.11501/3065549
出版情報:Kyushu University, 1992, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
4-4 ベタイン色素のハロクロミズムに及ぼす溶媒効果
DTPの溶液にアルカリ金属TFPB (HFPB)の結品を加えたときの 溶 媒効果について検討した。 アルカリ金属TFPB (HFPB)は吸湿性のない 安定水和物を用いた。 DTPーアルカリ金属イオン付加錯体の 吸収極大の短波 長シフトの大きさとその半減期 を、 Table 4-2にまとめた。
Table 4・2. Hyps∞hromic Shifts of DTP by Addition of Alkali - me-匂|
T etraarylborates Sa仕s.
M TFPB ð.λmax / rm (τ)
Ph-CI C H2CI2 MeCN 10%CH2CI2/ Et20
Blank 776nm 699町n 6Ð rrn 765 rrn
しiTFPB 295nm(偽ec) 227nm(131銃犯) 例nm(145min) 1銃nm (2αnin),
1ωnm(119min)肯 Na TFPB 181nm(2偽ec) 192nm(221 sec) 21nm(699川n) 155nm(59min),
155nm(318sec)*
KTFPB 171伽m(39偽ec) 148nmσoぉec) 5nm(ー) 14命lm(18min),
155nm(32min)官
Rb TFPB 14伽m(1関白ec) 12.伽m(必5Osec) 1nm(ー) 141nm(49min)
Cs TFPB 14伽m(38(泌氏) 14伽m(311sec),
155nm(22min)*
* HFPB salts
表中第4欄の10% CH2C12 /民0を溶媒として使用した理由は、 DTPがエ ーテルにほとんど溶解しないので、 DTPをよく溶かすジクロロメタンを10
%加えて、 DTPを可溶化させるためである。 この場合、 特に乾燥させた溶媒 は用いていない。 表中に示した半減期の中には測定点の少ないもの、 相関係数
-113-
が低いものも含まれるため、 半減期か らの結果から議論は行わない。 着色種の 波長はTFPBとHFPBとであまり大きな違いは見られない。
DTPとTFPBを共に溶解し、 溶媒和能が小さく 、 しかもプロトン酸の発
生する可能性のない クロロベンゼンを用いて、 疎水性溶媒中に可溶化された ア lレカリ金属イオンの求電子能の比較を行った。
ジクロロメタンに比べて極性の低いク ロロベンゼンの方が大きなハロクロミ
ズムを示している。 これに対し、 ジクロロメタンより も呉値の低いジエチ ルエ ーテルの存在す る溶液(10% CH2C12 /Eら0)系では短波長シフトの大きさが小 さくなっている。 これは、 アゾベンゼ ン色素のハロクロミ ズムの場合と同様、
エーテルのドナー性 によって、 アルカリ金属イオンが溶媒和を受けているため と考えられる。
一方、 カチオン種の 効果について比較してみると、 カリウムイオンよりイ オ
ン半径の大きなアル カリ金属イオンは 、 あまり大きなハロ クロミズム効果を示 していない。 その理由の一つには溶解度の関係で試料中の濃度が低いことが挙 げられるが、 アセトニトリル中のように溶解度の大きい場 合でさえ、 短波長 シ フトの大きさが小さいことから、 金属 イオン固有の求電子 性がリチウムイオ ン やナトリウムイオンに比べて小さいものと考えられる。
いずれの系でも、 リチウムイオンが 最 も大きなハロクロ ミズムを示し、 アル カリ金属イオンのな かで最小のイオン半径を有するリチウムイオンが、 最大の 求電子能を有する ことが伺える。 アゾベンゼン色素の系では、 リチウムイオ ン とナトリウムイオン の求電子性の大き さが結品水の数によ って逆転する現象が 見られたが、 DTPのハロクロミズムの場合、 極大吸収波長の逆転は見られな かった。
ー114-
4-5 実験
D T P 6-�は、 Aldrichより購入し たものをそのまま用いた。 m.p.= 271-275L;
(文献値;205-276,θ273-275プ269-273� L;) • 約10 mgを秤取 り、 重クロ ロホ ルムに溶かしてlH-NMRを測定したところ、 2水和物ではなく、 1メタノ
lレ付加体(C.nH290N'CH40= 583.73)であることが確認された。
可視紫外吸収スペクトルの測定は、 目立製自記分光光度計U-3200型を、 ま た、 吸収スペクトル変化の高速追跡は、 大塚電子製MCPD-1000型装置を用い て行った。
4ふ1 ジクロロメタン中、 DTPに0.7当量のNa百'PBを添加したとき の経時変化
DTP'MeOH (FW=583.73) 4.478 mgをジクロロメタン50.00 mlに溶解希釈し た(1.534 X 10-4 M)。 この溶液を2倍希釈し吸収スペクトルを測定した。
7.67 x 10・5M;λmax= 694 nm, 0.643 Abs,ε= 8380, (695nm,ε= 8460)
DTPのジクロロメタン(1.534 X 10-4 M) 2.00 mlに、 NaTFPBのジクロロ メタン溶液(4.22 X 10-4 M) 0.500 ml (0.7 eq.)を添加して吸収スペクトlレ変化 を
瞬間マルチ分光光度計で測定した([ DTP] = 1.22 x 10-4 M)。
4ふ2 ジクロロメタン中、 DTP の Na耳、PB添加量依存性
DTP'MeOH (FW= 583.73) 12.658 mgを水素化カルシウムから蒸留直後のジク ロロメタンで10.00mlに溶解希釈した(2.17x10・3M)。
この溶液を1mlづっホールピペットで量り取り、10mlメスフラスコに入れた。
2.43 x 10-4 M Na TFPB を0, 2, 3, 4, 5, 6, 8 ml加えて蒸留ジクロロメタンで希釈 した。 1時間後に吸収スペクトルを測定したが、平衡に達していなかったので、
半日後に測定した。
-115-
Table4・2. Dependence of Spectra upon Addition of Na TFPB.
両aTFPB / ml
。
2 3 4
5 6 8
[Na TFPB] [Na TFPB] λ円lax Absorbance
x 105 / M / [DTP] / nm
2.0
5
1 5 Cコ Cコド、h圃,;
ω1.0 に2c .。c 0
15
0.5〈
0.0 0
。 。 697
4.86 0.22 700
7.29 0.34 697
9.72 0.45 700
12.2 0.56 700
14.6 0.67 700
19.4 0.89 697
y =
1.6262 - 0.18369x R^2
=1.000
2 4 6
Na TFPB / ml
8
1.500 1.257 1.071 0.903 0.699 0.530 0.154
10
Fig.4・5. Dependence of DTP Spectra upon Addition of Na TFPB.
ー116-
4ふ3 ジクロロメタン中、 DTPに過剰j量のNa TFPBの結晶を添加したと きの経時変化
DTP'MeOH (FW=583.73) 4.601 mgを6時間室温で減圧乾燥(約1 To汀)した 後、 水素化カルシウムから蒸留したてのジクロロメタンで25.00 m1に溶解希釈 した (3.15X 10-4 M)。 この溶液を2倍希釈した溶液にNa TFPB・2.5H20、 U 恒PB'4H20の結品を過剰量添加してその吸収スペクトルの変化をマルチスキャ
ン分光光度計で追跡した。 K TFPB、 RbTFPBについては、 3.15X 10-4 Mの溶液 を約3倍に希釈した溶液を用いて同様の測定を行った。
Table4・3. Spectral Changes 01 DTP - Lithium, and - Sodium Complexes.
Li TFPB
Time/sec. λmax Abs. Time I sec.
。 472 0.254 8
17 472 0.209 32
37 472 0.193 81
236 472 0.079 201
458 470 0.020 307
545
Li TFPB : k = 2.30 x 10-3 I sec, 'l = 0.994
τ= 1 31 sec = 2.2 min
Na TFPB : k = 1.36 x 10・3 / sec,
'1/
= 1.000τ= 221 sec = 3.7 min
ー117-
Na TFPB
λmax Abs.
506 0.553
507 0.478
507 0.399
507 0.285
507 0.200
507 0.095
Table 4・4. Spectral Changes of D TP - Potassium, and ・Rubidium Complexes.
,--戸
K TFPB Rb TFPB
ドーー
Time/min λmax Abs. Time I min λmax
』ー-
8 10 11 15 19 23
611 0.209 3 575
597 0.440 33 576
591 0.407 65 579
567 0.326 78 579
556 0.270 108 580
551 0.215 138 584
168 584
K TFPB: k = 4.28 x 10-4 / sec,
"'l
= 0.996τ = 703 sec = 11.7 min
R b TFPB: k = 6.61 x 10る/ sec, ,/ = 0.998
τ = 4550 sec = 75.9 min
Abs.
0.483 0.366 0.273 0.244 0.181 0.133 0.103
K耳、PB、 Rb TFPBの場合、 アルカリ金属イ オンの求電子能が低いため、 ア
ルカリ金属錯体の形成に時間を要する。錯形成反応と加水分解反応が同時に進 行することから uτ下PBやNa TFPBのように加水分解速度を単純に求めるこ とはで、きない。 上述の解析では、 アルカリ金属イオン錯体 のモル吸光係数は吸 収極大の位置に拘わらず一定であるという仮定のもと、 吸収波長は無視して極 大吸収の吸光度の値を一次反応速度式で解析した。
-118・
4-6 まとめ
含フッ素テトラアリールホウ酸イオンによって疎水性溶媒中に取り込まれた アルカリ金属イオンは、 DTPと反応し、 付加錯体中間体を経て水酸化物を生 成す る。 DTPーアルカリ金属イオン付加錯体は、 金属イオンの種類によって 吸収極大波長が異なり、 真のハロクロミズムが観測される。 また、 同時に通常 観測されない加水分解反応が進行する。
アルカリ金属イオンのイオン半径が小さいほど、 その付加錯体は 短波長側に 吸収極大を有し、 かつ、 その寿命が短くなることから、 アルカリ金属イオンの 求電子能の定量的評価を試みた。
この中間体の吸収極大波長のシフト並びにその加水分解速度は関与するアル カリ金属の求電子能に密接に関与している。 しかし、 同時 に、 これらの効果は 溶媒中の微量水分に大きく影響される。
無水の系で行えば、 加 水分解を抑制できると考えられるが、 DTPに対し てl当量の水が反応 するとすれば、 事実上、 無水の系にすることは不可能であ る。たとえば、 ジクロロメタンの場合、 水素化カルシウム から蒸留直後のもの でも、 約9ppmの水を含んでおり、 モル濃度に換算すると6.6X 10-4 Mである。
DTPの濃度が1X 10-4 Mとしても、 6倍以上の水が存在していることになる。
また、Li百'PB.Na百‘PBには、 容易に取り除くことのできない結晶水があり、
こちらの水の影響も無視できない。
以上示したように、 再現性に問題があるため、 疎水性溶媒中 に おけるアルカ リ金属イオンの求電子性 の定量的な指標とすることは困難であることが判明し た。
ー119-
参考文献
1) S. W加stein,E. Grunwa1d, H. W. Jones, J. Am. Chem. Soc. , 7 3, 2700 (1951)
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pp339-405).
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Chem., 661,1, (1963).
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8) J. G. Daw加, R. A Williams, J. Ch飢Socリ Farωiay Trans.1,82,
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9) B. P. Johnson, B. Gabrielsen, M.島faωlenko, J. G. Dorsey, AnaL Lett.,
19,939 (1986).
-120-
第5章 疎水性溶媒中のスピロピラン型色素の吸収スペクトル に及ぼすアルカリ金属ホウ酸塩の効果
5-1 はじめに
スピロピラン型化合物はフォトクロミック材料として最も多く研究されて いる化合物の一つで、ある。 スピロピラン(S p)体は、 紫外光照射によりスピ ロの炭素一酸素結合が開裂して、 双極性構造を有するメロシアニン(MC)体 に異性化する。 非極性溶媒中ではMC体は不安定なため、 安定なSP体に熱的 に戻る(Scheme5-1)。 これはScheme 5-2に示す反応座標ーエネルギー相関図 において、 MC体からSP体への異性化の活性化エネルギ-ßE' が小さいた めである。 MC体の熱的異性化反応の抑制、 制御がフォトクロミック材料実用 化への大きな課題となっている。
MC体の熱的異性化反応を抑制するために、 心極性溶媒の溶媒和を利用す
る、 1) b)長鎖のアルキル基を導入して会合を利用する、2,3) c)電子求引性の
置換基を導入し、 共鳴安定化させる、4) d)プロトン化による、5,θ e)遷移金 属イオンのキレーションを用いる、7,8) f)分子内イオンーイオン相互作用を用 いる等、9)多くの方法が考えられている。
本研究では疎水性溶媒中における、 含フッ素テトラアリールホウ酸イオン の脂溶性と" 裸" のアルカリ金属のスピロピラン酸素原子に対する反応活性、
並び、にFig.5-1 に示すようにイオ ン対形成によるMC体の双極性構造の安定化 の可能性を検討した。
ー121-
0- (M+) h v (U V) or
( M+ Borates- ) ム or h v' (v i s )
Spiropyran ( S P ) (colorless)
Merocyanine ( M C ) (colored) Scheme 5-1. Photochromism of Spiropyrans.
v
一
T・・ElElEEEZEB--
hßE
SP-10rm
Scheme 5・2. Energy Diagram 01 Spiropyrans on Photochromism.
-
1 22-
N02
SP(benzo) ; 1 SP(nitro) ; 5
CI
SP(naphtho) ; 25 OX(naphtho, CI) ; 26
Fig.5四1. Spiropyrans.
本章に吸収スペクトルの図がいくつか出てくる。 Fig.5-1からFig.5-10にお いては、 横にホウ酸塩による違いを線の種類で示している。 これらの線の中に 一部重複するものもあるが、 吸収強度の大きい順に上から示している。 ブラン クの場合、 ほとんど可視部に吸収が無いので注意深く見ないと判り難い。
-123-
5-2 アルカリ金属イオンによるスピロ環の開裂
ジクロロメタンやトルエンのような疎水性有機溶媒中、 1,3,3-trimethylspiro-
[indoline-2,3'-[6H]-naphtho[2,1-b]pyran] (Fig. 5-1, SP(naphtho) ; 2 5 )は等モル 量のNa宵PBを加えると、 相当するメロシアニン体に帰属される吸収を示した。
ジクロロメタン中、 様々なTFPB塩とSP(naphtho)を等モル量、 混合した場 合のスペクトル変化をFig.5・2に示した。 Fig.5-1に示した他の3種のスピロピ
ラン色素についての同様の系のスペクトル変化を、 Fig.5-3、 5-4、 及び5-5に 示した。 これらの結果とHFPB温を用いたときの結果を あわせてTable 5-1に 新たに現われた最も長波長側にある吸収極大波長とその時の吸光度をまとめた。
28000
... 〉、
'> 21000
噛da
‘園。
�
ω 14000nu nu nu マf
』202
。
Li TFPB :
U HFPB :----一一
Na HFPB :-一一一一一
Na TFPB :
H30 TFPBァー・一一一一- Blank ;
300 400 500 600 700
Wavelength / nm
Fig.5-2. Spectral Changes of SP{naphtho) in Dichloromethane by Addition of A Molar Equivalent of H30 TFPB, Li TFPB, Na TFPB, Li HFPB, Na HFPB or (CHJ4N TFPB. Spectrum of Last Case Was Superimposable to 11冶t of Blank, Where [SP(naphtho)] = 6.7 x 10-6 M.
-124-
dec. Na HFPB一一ー一一ー一一 H30 TFPB --
Na TFPB
しiHFPB Li TFPB
Blank 15000
7500
P3za』Oωad』202
。
700 Wavelength / nm
Flg.5・3.Spectral Changes 01 SP(benzo) in Dichloromethane by Addition 01 A Molar Equivalent 01 H30 TFPB, Li TFPB, Na TFPB, Li HFPB, Decomposed Na HFPB, or (CHJ4N TFPB. Spectrum 01 Last Case Was Superimposable to官凶01 Blank, Where [SP(benzo)] = 6.7 x 10-6 M.
600 400 500
300
H30 TFPB -
dec. Na HFPB一一一一ー一- B凶lk
『、、一、・・. • 4y ・...、・・・・・
4旬
、
..
.. 句、••.• 、、••.• ‘‘ 1・1ー、i---i、:・llh114}11 1141111 t ih --ih1 111 hh、k目 f.4p・、、、1
、,
,,,F
・
••.• ,, ・‘,,'J
a・・・・‘.
,,d・1.、
・..
、、
15000
7500
と3za』Oωa《均一02
。
700 Wavelength / nm
Flg.5・4. Spectral Changes of SP(nitro) in Dichloromethane by Addition of
Molar Equivalent of H30 TFPB, Decomposed Na HFPB, or (CH�4N TFPB.
Spectrum 01 Last Case Was Superimposable to That of Blank, Where
[ SP(nitro) ] = 6.7 x 10・5 M.
A
500 600 300 400
-125-
10500
1/ 4 H30 TFPB Li HFPB Na HFPB
Na TFPB - しiTFPB
, _"・\l
I _/ \. ',
I .1 、 1
1/ 11
、 1/ \ '.
f\ 1 / .1.1
\. / 、六
一----,.,.�-�
ヤ
ヘ、~J/ 、\
\、、、、、
喝、『
5250
含3za』OωD4』502
。
700 Wavelength / nm
Flg.5・5. Spectral Changes of OX(naphtho, CI)れDistilled Dichloromethane b y Addition of A Molar Equivalent of H30 TFPB(1/4 Scale), Li TFPB, Na TFPB,
Li HFPB, or Na HFPB. In The Case of Li TFPB, Spectrum Was
Superimposable to有国of Blank, Where [OX(naphtho, CI) ] = 6.7 X 10-6 M.
600 400 500
300
しiHFPB Na TFPB -
UTFPB
dec. Na HFPB -一一一一一 10600
5300
b3za』Oωa〈』202
。
700 Wavelength / nm
Flg.5・6. Spectral Changes 01 OX(naphtho, CI) in Dichloromethane by Add ition of A Molar Equivalent of Li TFPB, Na TFPB, Li HFPB, Decomposed Na HFPB or (CH�4N TFPB. Spectrum 01 Last Case W;ぉSuperimposable to lhat of Blank, Where [OX(naphtho, CI)] = 6.7 x 10-6 M.
500 600 400
300
ー126-
Table 5・1. Absorption Bands Due to MC Form Stabilized b y Tetraarylborate Salts in Tautomeric Equilibria of SPs in Dichloromethaneω.
Te廿aaryト Absorption Maxima /町n (;ε)
Borate Salts SP(naphtho) SP(benzo) SP(nitro) OX(naphtho, CI)
Blank お1 (4,51ω 'Æ7 (6,820) 345 (9,720) 317 (9,130)
Na TFPB 483 (10,αね) SG凶 NCb) まあ(1,ω0)
483 (13,ぼ氾I)C) 一 一 ま三3 (位。I)C)
LiTFPB 483 (5,2切) 位o (1ぷ児) NC ま立 (870)
4æ (28,8∞)ο 一 一 NCC)
(CH:J4N TFPB NC NC NC NC
H30 TFPB 440 (11,3∞) :131 (10,ω) SC 缶7(30ぷ氾)
Na HFPB 483σ,480) 400 (5,例O)d) SCd) ffi2 (39乃d
483 (17,7∞I)C) 一 一 553 (659)。
Li HFPB 483 (5,910) 410 (1 ,7�ω) NC まヨ3 (1,辺0)
4æ (24,α氾)。 一 一 553 (6,特0)。
I
(CHムN HFPB NC NC NC NCa) Dotite4Þ "spectrosole" dichloromethane was used.
b) "NC" and "SC" mean no・ and small spectral changes, respectively.
c) Dichloromethane which was distilled from calcium hydride was used.
d) Decomposed HFPB was used. In the case of SP(naphtho), decomposed Na HFPB induced a change of absorption maxiam to 529 nm (42,800) and 505 nm (42,1∞).
H30τ'FPBは、 2M硫酸とNa TFPBのジクロロメタン溶液を二相系で振とう することにより調製した。 ジクロロメタン相は硫酸中の水で飽和されているた め、 溶媒中の水によりオキソニウムイオンの活性は無水の系に比べて低下して いる。
ー127-
Li TFPBは、 TFPBの合成反応を停止する際、 炭酸ナトリウムの代わりに 炭酸リチウムを用いて調製した。
LiHFPBは、 テトラメチルアンモニウム塩のジクロロメタン溶液を過剰の塩 化リチウム水溶液と二相系で振とうし、 イオン交換することにより調製した。
テトラメチルアンモニウムTFPBは、 ジクロロメタン溶液ではイオン交換で きないが、 ジエチルエーテル溶液にすると二相系でのイオン交換が可能であっ た。
Table 5-1より、 SP(naphtho)以外はアルカリ金属イオンの添加に際して吸収ス ペクトル変化の小さいことがわかる。 SP(benzo)はわずかなスペクトル変化が 見られるが、 電子求引性のニトロ基の導入されたSP(nitro)ではスペクトル変化 をほとんど示さない。 このことから、 ピラン環酸素の電子供与能がアルカリ金 属イオン付加による熱的炭素一酸素結合開裂反応に影響しているものと考えら れる。 また、 OX(naphtho, Cl)の吸収スペクトル変化が小さいことは、 メロシア ニン構造において、 スピロピラン類が双性イオン構造と言われていることに対 して、 スピロオキサジン類はキノイド構造をとることに関係すると考えられる。
SP(naphtho)の場合を除いて、 H30百‘PBがスピロピラン型色素の吸収スペク
トルに与える効果は、 アルカリ金属TFPBと比べて大きい。 アルカリ金属イ オンと異なり、 プロトンの場合、 フェノラート酸素との共有結合が可能なこと がこの一因と考えられる。 なお、 H30班、PBは有機ホウ酸イオン自体の耐酸性 が低いので調製していない。
スペクトル変化におけるアルカリ金属イオン及び、 ホウ酸イオンの種類によ る差異は、 溶媒や試料の乾燥状態による差異が更に大きいため、 明確に特定す ることができなかった。
蒸留したジクロロメタンと安定剤の添加されている市販のジクロロメタンを
ー128-
用いて溶媒効果の比較実験を行ったところ、 スピロピラン色素の吸収スペクト
lレ変化に添加物の影響が現われた。 OX(naphtho, Cl)の場合には、 溶媒の影響は あまり大きくないが、 SP(naphtho)の場合には、 非常に大きく、 見かけのモル吸 光係数が5倍以上違う場合もある。 このことは、 微量の水やアルコールが、 活 性化されたカチオン種に影響することを意味している。 電子スペクトルの変化 を観測するため、 色素溶液の濃度が限定され、 本実験における試料の濃度は1x 10-4Mから3x10・5Mの範囲である。 これに対し、 ジクロロメタンの水含量を
10-4 M以下に乾燥することが困難であるために、 水の濃度は色素濃度より高く
なる。 水濃度の制御が困難であると同時にその変動効果を無視することはでき ない。
テトラメチルアンモニウム塩についてメロシアニン構造の安定化効果がみら れないのは、 アンモニウムイオンが配位飽和のため、 カチオン中心に炭素一酸 素結合を切断する求電子能がないためと理解できる。
以上の結果は、 ホウ酸塩によって疎水性溶媒中に可溶化されたリチウム、 ナ トリウム、 オキソニウムイオンが、 SP体のピラン環酸素に求電子攻撃するこ とにより熱反応的に炭素一酸素結合を開裂させ、 SP体をMC体ヘ異性化させ る効果と、 生成した双性イオン構造のMC体とイオン対形成することによりM C体を安定化させる効果を有していることを示している。
-129-
5-3 スピロピラン体からメロシアニン体への互変異性化反応における 溶媒中の水分の効果
ジクロロメタン中の水含量を増やすと、 溶存するアルカリ金属イオンの水和 数が増し、 アルカリ金属イオンの求電子性が低下すると予測される。
ジクロロメタン中の水含量を変えて、 アルカリ金属TFPB塩及びアルカリ 金属HFPB塩とSP(naphtho)との反応を行い、 MC体生成による発色効果を 測定した。 その結果をTable 5-2にまとめた。
Table 5・2. E行ects 01 Moisture on tHal∞hromism 01 SP(naphtho)
Induced by Addition 01 Upophilic Tetraarylborate Satts in Dichloromethane.
Lipophilic Absorption Maximum / nm (c)れDichloromethane.
rr
etraarylborates Drieda) Lightly Weta) Heavily W eta Water - Saturateda Na TFPB 483 (13,600) 482 (19,000) 487 (14,500) 490 (21,200) Li TFPB 482 (28,800) 484 (10,100) 488 (6,060) 491 (25,700) Na HFPB 483 (17,700) 484 (10,600) 487 (4,680) 490 (33,200) Li HFPB 482 (24,100) 484 (27,900) 487 (9,670) 487 (29,500) a) Water contents were measured in Table 5-4 ( see experimental section ).Table 5-2より、 スピロピラン体からメロシアニン体への異性化反応における 溶媒中の水分の影響は単純ではないことがわかる。 すなわち、 約200ppmの水 を含んだ条件(Lightly Wet )に於て、 すべてのアルカリ金属イオンは約1000 ppmの水を含んだ条件(H伺vily Wet)よりも活性で大きなスペクトル変化を
与えた。 しかしながら、 水分が100ppm以下の乾燥条件(Dried )でのアルカ リ金属イオンの活性は、 Li百PBやNa班、PBのように、 約200ppmの水を含ん
-130-
だ条件よりも高くなることもあれば、 Na TFPBの場合のように最も低くなるこ ともある。 したがって、 乾燥条件下でのアルカリ金属イオンの反応性を溶媒の 水含量から予想することは困難である。 水を飽和させた条件では、 すべてのア ルカリ金属イオンにおいて、 約200ppmの水を含んだ条件の時よりも見かけの モル吸光係数が大きくなっている。
以上の結果から溶媒中の水含量とスピロピラン型化合物の互変異性平衡に及 ぼすアルカリ金属イオンの求電子性の間に相関を見いだすことはできなかった。
溶媒中の水の存在はアルカリ金属イオンを溶媒和するばかりでなく、 溶媒全体 の極性にも影響していることが推察される。
Fig. 5-7 -- 5・10にTable 5・2の吸収スペクトルを示した。
40000
2〉・
30000i
water saturated -一一一一一-a H ‘。a.帥・ lightly wet
heavily wet
‘記
tt''J,r・~-・、・.‘‘、ー、--、
‘伺圃 dried
2 0
10000
。
300 400 500 600 700
Wavelength I nm
Fig. 5・7. Effects 01 Moisture on Chromotropism' 01 SP(naphtho) Induced by Addition 01 Na TFPB in Dichloromethane.
-131-
40000
ー〉-a町
30000
�
dried申〉・・ water saturated -一一一一一
a 』。 凶
;,,/\
lightly wet a 《heavily wet
2 帽0 ‘-
10000
。
300 400 500 600 700
Wavelength / nm
Fig. 5-8.日ects 01 Moisture on Chromotropism 01 SP(naphtho) Induced by Addition 01 Li TFPB in Dichloromethane.
40000
噛〉田.同
30000
�
water saturated -一一一一一〉
H a 。崎‘・ J 、k、 dried
t t
E lightly wet
《a
t t , , ‘ heavily wet
2 話0
10000
。
300 400 500 600 700
Wavelength / nm
Fig. 5・9. Effects 01 Moisture on Chromotropism of SP(naphtho) Induced by Addition of Na HFPB in Dichloromethane.
ー132-
water saturated -一一一一一
dried heavily wet
lightly wet 40000
30000
、、nu nu nu nU 4・・・
20000
』232a』Oωa〈抱一02
。
600 700 Wavelength / nm
500 400
300
5・10. Effects 01 Moisture on Chromotropism 01 SP(naphtho) Induced by Addition 01 Li HFPB in Dichloromethane.
-133- Fig.
5-4 トルエン中、 脂溶性テトラアリールホウ酸塩添加による メロシアニン体からスピロピラン体への熱緩和速度
SP(ni佐0)のSP体は、 紫外光照射により双極性構造を有するMC体に異性化
するが、 非極性有機溶媒中ではMC体が不安定で熱的にSP体に戻る。 溶液中 に脂溶性ホウ酸極が存在すれば、 イオン対形成による安定化によって、 光異性 化によって生じたMC体の熱的緩和が遅延できると期待される。
SP(ni佐'0)のトルエン溶液に、 四種類の脂溶性テトラアリールホウ酸塩を飽和 させ、 紫外光照射 による光定常状態から、 光照射を止めた後の吸収スペクトル の時間変化を追跡した(Fig.5-11、 5-13、 5-15、 5-17、 5-19)。 生成したMC体 の極大吸収波長の吸光度を一次反応速度式で解析することによって、 MC体の 熱緩和速度定数(k)を求めた(Fig.5-12、 5-14、 5-16、 5-18、 5-20)。 これら の結果をTable 5-3にまとめた。
Table 5・3. Reta rding E行ect of Lipophilic Tetraarylborate Salts on Thermal Relaxation Rate of MC Form of SP(nitro) in Toluene.
0- M+
SP �
N02
Tetraaryl- Mole Ratio Mer∞yanine Bands Half-life Time Relative Rate
Borate Salts [ M+ ] / [ SP] λmax/nm τ/sec k剛
Blank 一 ぼ氾 7.9
(CH:J4N HFPB 40 ax> 4.9 1.5
Na HFPB 3 570 13 0.59
(CH:J4N TFPB 7 日0 9.8 0.74
Na TFPB 0.6 日0 æ 0.18
、ーー
ー134-
脂溶性テトラアリールホウ酸塩を添加しない場合、 紫外光照射によって試料 溶液は青色になり、 600nm付近に極大吸収を持つスペクトルを与えるが、 トル エン中ではおよそ1分間で消色する(Pig.5-11, 5-12 )。
試料溶液に脂溶性テトラアリールホウ酸塩を加えたのみでは、 変色はほとん ど見られない。 試料溶液に(CH}4N HPPBを加えた場合、 紫外光を照射すると ブランクと同様、 青く着色し、 光照射 を止めると直ちに消色した。 生成したメ ロシアニン体の吸収スペクトルはブラ ンクの場合とほとんど同じパターンを示 した(Fig. 5-13 )。 消色速度はブランク に比べて相対速度で1.5と なり、 イオ ン対相互作用による遅延効果は認められなかった。
NaHFPBを加えた場合、 紫外光照射によって紫色に着色し、 光照射を止める と黄色ヘ変化した(Pig. 5-15 )。 生成した MC体の吸収スペクトルは、 極大吸 収が570nm付近にあり、 ブランクの場合とは異なっている。 MC体 のスペク トルに対するハロクロミズムが伺える 。 ブランクに対する相対消色速度は、
0.59であり、 MC体を安定化する効果が認められる。
耳、PB塩を加えた場合、 ナトリウム塩、 テトラメチルアンモニウム塩、 共に 紫外光照射によって赤く着色し、 紫外光照射を止めるとオレンジ、色ヘ変化した (Pig.5-17, 5-19)。 生成したMC体の吸収スペクトルは540nm付近に極大が あり、町、PB塩に比べて短波長シフトしている。 テト ラメチルアンモニウム塩 の場合、 相対消色速度で0. 7 4 と大きな安定化効果ではないが、 ナトリウムイオ ンは0. 18と消色速度を5分の一以下に遅らせている。
対カチオン種の効果 を比較すると、 テトラメチルアンモ ニウムイオンよりも ナトリウムイオンが相対消色速度を遅延する効果が大きいことがわかる。 これ は求電子能の高いナトリウムイオンが 、 メロシアニン体のフェノラートイオン と緊密なイオン対を形成できるためと考えられる。
ー135-
また、 対アニオン種の効果を比較すると、 TFPBに比べてHFPBの遅延 効果は小さい。 HFPBはかさ高いアニオン種であるため、 メロシアニン体の カチオン中心に近づけないが、 TFPBはカチオン中心に接近して立体障害に より、 スピロ環への閉環を遅延させるのではないかと考えている。
-136-
Blank y = -1.3790e-2 + 2.27
R^2 = 1.00 0
!f� 3
, ..
f十
x
円Jι
4,
(00~0)C一
。
1.5
0.5 1.0
Time/min
• , 0.0 .e_
SP(nitro).
of Changes Spectral
Fig. 5・11.
ThermaJ Kinetic Plots.
First-order 5・12.
Fig.
In Photo-isomerization after
Relaxation Thermal
of SP(nitro) in Toluene MC Form
Relaxation of Absence of Borate Salts Ì1 Toluene with Lapse
れAbsence of Salts at 6:x) nm.
k= 3.80 x 10εsec・1 of lime, 0, 10, 20, 30, 40,切,印1,An d 70 sec.
Me4N HFPB y = -2.506 3 +
R^2 = 0.999 3
(00~0)C一 2 tQ・
→ '0・ �,。
。
1.5 2.0 1.0
0.5 -・4
Time I min SP(nitro).
Changes of Spectral
Fig. 5・13.
Thermal Kinetic Plots.
First-order 5・14.
Fig.
Photo-isomerization In after
Relaxation Thennal
of SP(nitro) in Toluene MC Form
Relaxation of with
Toluene (CH:J4N HFPB In
Presence of
れPresence of (CH:J4N HFPB at ro> nm.
k= 2.51 x 10εsec・1 Time, 0, 6, 12, 18, 24, 30, 36, 48, 60, An d
Lapse of ωsec.
-137-
Na HFPB
y= ・0.72169+ 1.4136x R^2 = 1.000
,�� 3
4.
�.。
1.0 1.5 2.0 Time/min 2
。
(00~0)C一
'''1、。 ァ。..
'0。 e・・
Thermal Kinetic Plots.
First-order 5・16.
Fig.
SP(nitro).
01 Changes Spectral
Fig. 5・15.
01 SP(nitro) in Toluene MC Form
Relaxation 01 In
Photo-isomerization after
Relaxation Thermal
れPresence 01 Na HFPB at 570 nm.
Presence of Na HFPB in Toluene with Lapse of
k= 6.29 x 10εsec・1 60, 90, 150, 210,
Time, 0, 6, 12, 18, 24, 30, 36, 48,
And 270 sec.
Na TFPB
y= ・0.20398+ 0.43754x R^2 = 1.000
��・ 3
→,
'l'・ 7・9
.�・ '0。
"
1.0 1.5
Time/min 2
0 0.5
(OO\O)C一
'・a' 7・0
SP(n比ro).
01 Changes 5・16. Spectral
Fig.
Thermal Kinetic Plots.
First-order 5・18.
Fig.
In Photo-isomerization after
Relaxation Thermal
of SP(nitro) in Toluene MC Form
Relaxation 01 Presence of Na TFPB in Toluene with Lapse 01
in Presence 01 Na TFPB at 540 nm.
k= 7.29 X 10-3 sec・1 Time, 0, 6, 12, 18, 24, 30, 36, 48, 60, 90, 150, And 210
sec.
ー138-
Me4N TFPB y = -1.2228 + 1.8440x R^2 = 0.997
3
「・・ '0網
‘・・
.�O ,.0
e・
2
。
(OO\O)C一
2.0 1.5
Timel min 0.5 1.0
‘・・
Thermal Kinetic Plots.
First-order 5・20.
Fig.
SP(nitro).
of Changes Spectral
Fig. 5・19.
01 SP(nitro) in Toluene Form
MC Relaxation 01 In
Photo-isomerization after
Relaxation 刊erm剖
れPresence 01 (CH:J4N TFPB at臼Onm.
k= 4.99 x 10εsec・1
-139- with sec.
Toluene Lapse 01 Time, 0, 6, 12, 18, 24, 30, andお
In TFPB (CHJ4N of
Presence
5-5 実験
5-5-1 アルカリ金属ホウ酸塩による スピロピランのハロクロミズム
1 X 10-4 M の Na TFPB, Li TFPB, Na HFPB, Li HFPB と SP(benzo ); 1、
SP(ni佐0);豆、 5-chloro-1,3,3-trim e白ylsp甘か[泊doline-2,3'- [3H] -naph出[ 2,1-b]ox位ine]
(OX(naph出0, Cl) ; 2 6)のジクロロメタン(スペクトル測定用 )溶液を調製 し、 ジクロロメタン1.00mlとスピロピ ラン溶液1.00mlとホウ酸塩溶液1.00 凶をスクリューキャップ付き分光光度計用セル中で混合して吸収スペクトルを 測定した。 測定試料中の濃度はスピロピラン、 ホウ酸塩共に3.3X 10-5 Mであ
る。
OX(naphtho, Cl)におけるTable 5-1の脚注c)の実験は、 蒸留ジクロロメタンを 用いて2 x10-4 Mの各溶液を調製し、 スピロオキサジン溶液1.00mlとNaTFPB、
LiTFPB、H30TFPB、 NaHFPB、 LiHFPB 溶液1.00mlとジクロロメタン1.00 dを同様に混合して測定した。 測定試料中の濃度はオキサジン、 ホウ酸塩共に 6.7 x 10・5Mである。
1 X 10-3 MのSP(naphtho)の溶液1.00m1に対して、 等モル量になるように Na 百四、LiTFPB、 Na HFPB、LiHFPBのジクロロメタン(スペクトル測定用〉
溶液を加えて、 全量が10.00mlとなる ように希釈し、 吸収スペクトルを測定し た。 測定試料中の濃度はスピロピラン、 ホウ酸趨共 に1X 10-4 Mである。
これら以外のテトラメチルアンモニウム塩やブランクの測定は、 2 X 10-4 M の各ジクロロメタン(スペクトル測定用)溶液を調製し、 スピロピラン溶液 、
ホウ酸塩溶液各1.00 mlとジクロロメタン1.00mlを同様に混合して吸収スペク トルを測定した。 測定試料中の濃度はいずれも6.7 x 10・5Mである。
-140-
5-5-2アlレカリ金属ホウ酸塩によるスピロピランのハロクロミズムに及ぼす 溶媒中の水分の効果
5 X 10-4 M のNa TFPB, Li TFPB, Na HFPB, Li HFPBと1x 10・3Mの
SP(naphtho)の乾燥ジクロロメタン溶液を調製した。 スピロピラン溶液1.00m1
とホウ酸塩溶液2.00m1を10m1のメスフラスコに入れてジクロロメ タンで 希 釈した。 この時、 水を飽和させたジクロロメタンを一定割合加えることによっ て、 水含量の違うジクロロメタン溶液を調製した。 Tab1e 5・2における「町i剖」
は 蒸留ジクロロメタンだけで希釈し、 rLight砂WetJは水を飽和したジクロロ メタンを1.00ml、 残りを蒸留ジクロロメタンで希釈した。 r Heavily Wet Jは 水を飽和したジクロロメタンで希釈し、 rWater - Saωm凶」は水を飽和したジ
クロロメタンで希釈したのち、 さら に水相と振り混ぜた後、 遠心分離したジク ロロメタン相である。 これら水含量の異なる4種の溶液はカール・ フイツシャ ー水分測定装置でその水含量を定量し た。 各溶液とも3回測定し、 その平均値 を次の表にまとめた。
Table 5・4. Water Content i1 Dむhloromethane Solutions Prepared 10r
Spectrophotometric Measurements 01 Interaction Between
SP(naphtho) and Lipophilic Borate Salts.
Lipophilic
Borate Satts Dried
Blank 110
Na TFPB 66 Li TFPB 97 Na HFPB 85 Li HFPB 75
Water Content / p p m a) Lightly Wet HeavilyWet
220司 1,400
204 970
210 960
210 950
205 1,000
Water-Saturated 1,800 1,530 1,600 1,870 1,550 a) Minimum amount of water was determined b y Karl-Fischer's method.
-141-
5-5-3トルエン中、 含フッ素テトラアリールホウ酸塩存在によるSP(ni仕0)の MC体からSP体への熱緩和速度
1 X 10-4 MのSP(ni仕0)のトルエン溶液を調製し、 TF PB塩、 HFPB塩の 結晶を加え、 20 t:; における飽和溶液を調製した。対カチオン種にはナトリウ
ムイオン、 テトラメチルアンモニウムイオンを用いた。
脂溶性ホウ酸塩の飽和溶液を蛍光測定用の セル(四面透明) に入れ、 恒温セ ルホルダーにセットし 、 20 t:;に保持した。550W超高圧水銀灯(ウシオ製UI- 501C型〉と東芝UV-D36Cカットフィルターで単離した300nmから400nmの 紫外光を吸収スペクトル測定方向 に対して90度方向から24秒間照射した。M C体の熱緩和は、 瞬間マルチ測光検出器(MCP D-1000)で測定した。熱緩和 速度定数はMC体の極大吸収の吸光度の減少を一次 速度式で解析することによ って求めた。
試料中の脂溶性ホウ酸塩の濃度はトルエンに対する溶解度 から見積っている。
トルエンに対する溶 解度は次のようにして求めた。まず、 ホウ酸塩の飽和溶液 からトルエンを留去し、 残った固体 をジクロロメタンに溶かし、 あらかじめ作
成しておいた検量線より濃度を求めた。その結果をTable 5与に示した。
Table ふ5. Solubilities( M) of Lipophilic Tetraarylborates h Toluene.
�、
TFPB HFPBNa 5.9 x 10・5 2.6 x1 0-4
Me4N 6.7 x 10-4 3.9 x 10-3
Calibration curvesれdむhloromethane
TFPB 270 nm : A = 4.72 x 103 C -0.0015 ( 'y = 1.000 ) HFPB 273 nm : A = 5.45 x 103 C・0.0038 ( 'y = 1.000 )
目142-
」
5-6 まとめ
スピロピラン型化合物の疎水性溶液に添加された含フッ素テトラアリールホ ウ酸アルカリ金属糧は、 次の二つの効果があることを明らかにした。
① 対カチオンの求電子性により炭素一酸素結合を関裂し、 MC体に異性化 させる効果。
② 開環体である双極性のMC体をイオン対形成により安定化する効果。
その場合、 添加する金属塩には、 次の三つの条件が必要と考えられる。
① イオン対が疎水性溶媒に充分溶解すること。
② イオン対の解離性が高いこと。
③ 反応系中で対カチオン種は、 エーテル酸素と相互作用を持つだけの大き
なルイス酸性と、 MC体のフェノラートイオンと安定なイオン対を形成 するだけの十分な" かたさ" を持つこと。
TFPB やHFPBの対カチオンであるアルカリ金属イオンは、 疎水性 溶媒中では脱溶媒和され、 いわゆる" 裸" の状態にあるため、 求電子性が発現 する。 この結果は非配位性溶媒中に溶存するアルカリ金属イオンがLewis酸と して挙動したことを意味し、 " Lewis酸の化学" の範鳴を拡張する新しい知見 である。
アルカリ金属イオンやアンモニウムイオンは、 共有結合性を有しないため、
メロシアニン構造を可逆的に固定化するには至らなかったが、 イオン対相互作 用のような弱い力によるMC体の安定化効果を確認できた。
-143-
参考文献
1) 清水勇、 小門宏、 井上英一,工業化学雑誌、 70,2344(1967).
2) H. Tomioka, T. 1ゎh,J. Chem. Soc. Chem. Commun., 1991,532.
3) A Miyata, Y Unuma, Y Higashigaki, Bull. Chem. Soc. Jpn., 64, 1719 (1991).
4) E.Berman, R. E. Fox, F. D.百lomson, J. Am. Chem. Soc., 81,5605 (1959).
5) 清水勇、 小門宏 、 井上英一、 日本化学雑誌 、 89,755 (1968).
6) 清水勇、 小門宏、 井上英一、 工業化学雑誌、 72,171 (1969).
7) R. C. Bぽtelson," Phot∞hromism, " 副. G. H. Brown, Wiley-Interscience,
NewYtαk (1971), Ch a pt.皿,p .45.
8) T. Tam心ci, K. IchimU1ョ, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1989, 1477.
ー144-
第6章 疎水性溶媒中に可溶化されたアノレカリ金属イオンによる トリチルカチオンの発生
6-1 はじめに
トリフェニルメチルカチオンは、 三つのベンゼン環との共役によって安定化 された炭素カチオン種であり、 トリチルカチオンとも呼ばれている。 ベンゼン 環に様々な官能基を導入することによって、 さらに、 カチオン種を安定化し、
カチオン型の色素としての応用が古くから研究されている。
トリチルカチオンは過塩素酸糧、 四フッ化ホウ酸塩、 六フッ化リン酸塩等の 形で溶液中で安定に存在するほど、 安定な炭素カチオン種である。 合成化学的 には、 ヒドリド引き抜き剤や保護基として知られている。 しかし、 過塩素酸イ オン、 四フッ化ホウ酸イオン、 六フッ化リン酸イオンは求電子的なカチオン種 と反応することがある。1,2) これらのアニオン種よりカチオン種との反応性の 低いものにテトラフェニルホウ酸イオンがあるが、 容易に分解したり、 フェニ ル基がπ配位する傾向がある。3-6)
カチオン種との相互作用の小さな安定アニオン種であるTFPBは、 トリチ ルカチオンの対アニオンとして非常に優れていることが予想される。 また、 最 近、 トリチルTFPBの単離が発表され、7) その応用が検討されている。
本章では疎水性溶媒中で発現するアルカリ金属イオンのルイス酸性を利用し、
アルカリ金属ホウ酸塩と入手の容易な凶phenylme白anol (Tr-OH; 27)または 凶phenylmethyl chloride (Tr-Cl;三笠)からトリチルカチオンを発生できるかど
うかを検討した。
ー145-
6-2 アルカリ金属ホウ酸塩によるトリチノレカチオンの発生
Tr-OHは極性溶媒に可溶であるため、 硫酸中で、容易にトリチルカチオン(ε
=38000 ( 409, 428 nm) )を発生できる。8) 疎水性のジクロロメタン中でのトリ チルカチオンの吸収スペクトルを明らかにするため、 まず、 H30百PBを用い てトリチルカチオンの発生を試みた(Fig. 6-1)。
TFPBによって疎水性溶媒中に可溶化されたアルカリ金属イオンにはいわ ゆるルイス酸性が発現するので、 Tr-OH及びTr-C19)を用いてアルカリ金属イ オンのルイス酸性を比較した(Table 6・1,Fig. 6・1,6-2)。
Table 6-1. Generation 01 Trityl Cation in Dichloromethane by Addition 01 T etraarylborate Sa仕s.
M+ Borate- CH2CI2
M+ Borate- Tr-OH
433nm 409nm H30 TFPB 2.344Abs 2.363 Abs Li TFPB no spectral change Na TFPB 414 nm 0.036 Abs Li HFPB 409 nm 0.020 Abs Na HFPB no spectral change
O札札札助伽o町r峨a討仰t恰e
σ
C乃 之 ひ O
TrーCI 433nm
2.448 Abs 0.403Abs 2.208Abs 1.628 Abs 2.238Abs [ Tr-OH] = [Tr-CI] = [M Borate] = 6.7 x 1 0るM
-146-
+ M+X-
409nm 2.462Abs 0.406Abs 2.221 Abs 1.641 Abs
37000
hmw一〉za』Oωa〈』何一02
H30 TFPB ( Na TFPB / 2 M H2S04)
Na TFPB x 10
(CHS>� TFPB and Blank x 10
0
250 350 450 550
Wavelength / nm
650
Fig. 6-1. Absorption Spectra 01 Trityl Cation Generated by Tr-OH and TFPB Salts in Dichloromethane.
37000
、円程〉za』Oωa〈』202 H30 TFPB ( Na TFPB / 2 M H2S04)
Na TFPB
(CHa)4N TFPB and Blank x 10 nu -KJv qζ
nu
350 450 550
Wavelength / nm
650
Fig. 6・2. Absorption Spectra 01 Trityl Cation Generated by Tr-CI and TFPB Satts in Dichloromethane.
-147-
Tr-OHにナトリウムTFPBを添加した場合、 ブランクに比べるとほんのわ ずかではあるが、 トリチルカチオンが発生したことがわかる。 これに対して、
水酸基を塩素に変えたTr-Clを用いた場合、 Fig.6-2に示したようにナトリウム TFPBを等量作用させただけでも、 オキソニウムTFPB と同程度のトリチ ルカチオンを発生できた。 また、 他のアルカリ金属ホウ酸塩について比較して も、 Tr-OHの場合に比べてTr-Clの場合の方がトリチルカチオンの発生率が高い。
これら水酸化物と塩化物による反応性の違いは、 生成物の安定性の違いからく る。 水酸化物の場合は塩基性の水酸化ナトリウムが生成するが、 塩化物の場合 は中性で安定な食塩が生成する。
以上のように、 中性条件下、 疎水性溶媒中に可溶化されたナトリウムイオン に、 塩化トリチルの炭素一塩素結合を容易に開裂させるルイス酸性があること を明かにした。
-148-
6-3 実験 試薬の調製
Tr-OH (FW=260.34) 7.859 mgをジクロロメタン50.00mlに溶かし、 6.04X 10-4 M溶液を調製した。 この溶液をメスピペットで3.3ml量り取り、 10.00mlに希
釈した( [Tr-OH] = 1.99 x 10-4 M )。
Tr-Cl (FW=278.78) 5.628 mgをジクロロメタン10.00mlに溶かし、 2.02X 10-3 M溶液を調製した。 この溶液をホールピペットで2ml量り取り、 20.00mlに希
釈した( [Tr-Cl] = 2.02 x 10-4 M)。
Li TFPB (FW=870.19) 5.704 mgをジクロロメタン 10.00m1に溶かし、 6.56 x 10-3 M溶液を調製した。 この溶液をホールピペットで3m1量り取り、 10.00ml に希釈した( [Li百PB ] = 1.97 X 10-4 M) 0 Li百PBは吸湿性があり、 精秤す ることは困難であった。 無水物として計算しているので実際の濃度は少し薄い と考えられる。
Na TFPB' 2.5H20 (FW=931.29) 18.638 mgをジクロロメタン10.00mlに溶かし、
2.00 X 10-3 M溶液を調製した。 この溶液をホールピペッ トで2m1量り取り、
20.00叫に希釈した( [Na TFPB] = 2.00 X 10-4 M)。
Me4N TFPB (FW=937.42) 2.023 mgをジクロロメタン10.00mlに溶かし、 2.16
X 10-4 M溶液を調製した。
Li HFPB (FW=1765.66) 3.802 mgをジクロロメタン10.00mlに溶かし、 2.15 x
10-4 M溶液を調製した。 LiHFPBは吸湿性があり、 精秤する ことは困難であっ た。 無水物として計算しているので実際の濃度は少し薄いと考えられる。
Na HFPB. 4H20 (FW=1854.68) 37.0 mgをジクロロメタン10.00mlに溶かし、
1.99 X 10-3 M溶液を調製した。 この溶液をホールピペットで1m1量り取り、
10.00凶に希釈した( [Na HFPB] = 1.99 x 10-4 M)。
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