九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
金属配位官能基を有するDNA配位子の合成と機能評価
末田, 慎二
九州大学工学応化分子分子システム工学
https://doi.org/10.11501/3135034
出版情報:Kyushu University, 1997, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
第3章 金属配位官能基を有するオリゴヌクレオチドと DNAの相互作用
3 -1 緒言
第2章では、 金属配位官能基 を有するDNAインターカレータとDNAの相互 作用について述べた。 DNAインターカレータは、 その基本構造が非常に単純
であるにも関 わらずDNAに対する結合能を有するため、 インターカレータを 基体としたDNA配位子については、 DNAとの相互作用に関する基礎的な知見 を得るのに適している。 しかしながら、 その構造が単純であるが故に、 DNA への 塩基配列特異的な結合はほとんど期待できない。 そこで、 本章では、 塩 基配列特異的な結合が可能なDNAオリゴヌクレオチドを基体としたDNA配位
子を設計し、 そのDNAとの相互作用を調べた。
第l章で述べたように、 DNAオリゴヌクレオチドはHoogs teen型の水素結合 を形成して、 DNA二本鎖とDNA三本鎖を形成することが可能である(図1-3)。
DNAオリゴヌクレオチドの三本鎖形成は、 現在知られている うち最も高い塩 基配列選択性を有するDNAの認識モチーフの1つである4)。 この性質のため、
DNAオリゴヌクレオチドは、 人工の遺伝子発現手段としての 活用が検討され ている。 例えば、 三本鎖形成によって、 遺伝子の特定領域への転写制御因子 (タンパク)の結合を妨げることによって、 その遺伝子の発現を制御した例
がいくつか報告されているの.3010
一方で、 天然の遺伝子発現制御機構をみると、 何らかの刺激に応じてその 遺伝子の発現がon、 of fされていることがわかる。 例えば、 メタロチオネイン (MT)遺伝子の発現がその良い例である。 ここではまず、 細胞内の重金属イ オンの濃度の上昇に伴い、 金属依存性の転写制御因子が活性化される。 そし て、 活性化された転写制御因子がMT遺伝子の上流にあるプロモーター領域に 結合することによって、 MT遺伝子の発現が起こる。 この ように、 MT遺伝子 の発現は、 細胞内の重金属イオンによって制御されていると いうことができ
-63-
る。
このような観点から、 DNAオリゴヌクレオチドを利用して人工的に遺伝子 発現を制御する場合においても、 何らかの刺激に応じて、 そのDNA二本鎖、へ の結合(三本鎖形成)が制御できることが望ましい。 そこで、 本研究では、
DNAオリゴヌクレオチドの三本鎖形成能を 金属イオンによっ て、 制御するこ とを試みた。
また、 第l章で述べたように、 DNA結合性タンパクの認識サイトの多くは、
C2対称、配列となっている。 そこで、 本研究では、 このようなC2対称配列をタ ーゲットとした。
上記の目的のために、 金属配位子として、 イミノ二酢酸部位を導入したオ リゴヌクレオチド (4、ふ 6)を合成した(図3-1 )。 このようなオリゴヌク レオチドは、 先のDNAインターカレータの系で観られたよう に、 適当な金属 イオンの添加により、 金属イオンと イミノ二酢酸部位との1 : 2錯体の形成を 通じて、 二量化することが予想される。 DNAオリゴヌクレオチドのDNA二本
H (' _OH
HOOCー,, /'... _; ん 人 ?.
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図3-1 イミノ二酢酸部位を有するオリゴヌクレオチド
-64-
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DNA二本鎖
〆
イミノ二酢酸部位を有する DNAオリゴヌクレオチド
、金属イオン
図3-2 金属イオンによるDNA三本鎖形成の制御
鎖に対する親和性(三本鎖形成能)は、二量体として協同的に結 合する こと によって増大すること が期待される。 そのため、 金属イオンによるDN A三本 鎖形成の 制御 が可能であ ると考えられる(図3-2)。 また、 このような戦略で は、図3-2に示すように、 当然C2対称な配列をターゲットとすることが可能で あるため、 このような配列へのオリゴヌクレ オチドの結合を金属 イオンによ って制御することが可能であると考えられる。
本章では、 DNAオリゴヌクレオチド4、 5、 6とDNA二本鎖との相互作用に ついて、}II買に述べていく。
-65-
3-2
イミノ二酢酸修飾ピリミジン7量体
会OH
H ('
HOOC ー"" /"....
人 人 ?
5' 3T... N� �C"'- "-/' 、O-P-O一一一 TTTTTTT HOOC ---/ ス
。'-J 。 4
まず、 イ ミノ二酢酸修飾ピリミジン7量体(4)を合成し、 そのDNAと の相互作用を検討した 。 このオリゴヌクレオチド4のターゲ ットとな る DNA二本鎖として は、 図3-3に示す ような27me r、 28mer、 29me rを合成し た。 これらのDNA二本鎖は、 その配列内に 4の結合サイトとなる連続した アデニン配列をそれぞ、れ2箇所有している。 また、 27mer、 28mer、 29mer
は、 それぞれ 連続したアデニン 配列の間に、 l、 2、 3 塩基ほど余分な塩基 を有している。 これ は、 4が 金属錯形 成を通じて二量化した際のリンカ一 部分の長さを考慮して導入した。 従っ て、 これらの配列は、 実際のところ 疑似C2対称、配列ということになるが、 基礎的な検討を行う本研究にはこの ような配列 で十分であると考えられる 。
27mer
28mer
29mer
5'-CTGGACTTTTTTTGAAAAAAACAGGTC-3' 3'-GACCTGAAAAAAACTTTTTTTGTCCAG-5'
51-CTGGACTTTTTTTGCAAAAAAACAGGTC-31 31-GACCTGAAAAAAACGTTTTTTTGTCCAG-51
51-CTGGACTTTTTTTGCGAAAAAAACAGGTC-3' 3'-GACCTGAAAAAAACGCTTTTTTTGTCCAG-51
図3-3 4のターゲットとなるDNA二本鎖
第l章で述べたよう にDNA三本鎖形成反応には方向性があ る。 すなわち、
三本自のピリミ ジン鎖は、 二本鎖のプリン塩基に平行に 配向して結合する 。 したがって、 図3-3のDNA二本鎖 に対しては、 2分子の4がイミノ二酢酸部 位を互いに向き合わせた形で結合することになる(図3-4)。 ゆえ に、 キレ ート部位における金属錯形成を通じた4の二量化が期待できる。
-66-
オリゴヌクレオチド4
3' 3・
3'
3・ 5'
図3-4 DNA二本鎖上での金属イオンとの錯形成を通じたDNAオリゴヌク レ オ チ ドの二量化
3 -2-1 オリゴヌクレオチドの合成
以下に示すような、 27m er 、 28m er、 29m erを構成するオリゴヌクレオチ
ド及び、 4の合成前駆体となる末端にアミノ基を導入し たオリ ゴヌ ク レオ
チド7を合成した 。 合成は、 DNA自動合成装置(Pharmacia LKB Gene Assembler Plus)を用い、 ホスホロアミダイト法にて行った。 図3-5に合成 装置内で行われる合成反応を示す。
27mer-a 27mer-b
28mer-a 28mer-b
29mer-a 29mer-b
7
5'-CTGGACTTTTTTTGAAAAAAACAGGTC-3' 5'-GACCTGTTTTTTTGAAAAAAAGTCCAG-3'
5'-CTGGACTTTTTTTGCAAAAAAACAGGTC-3' 5'-GACCTGTTTTTTTGCAAAAAAAGTCCAG-3'
5'-CTGGACTTTTTTTGCGAAAAAAACAGGTC-3' 5'-GACCTGTTTTTTTCGCAAAAAAAGTCCAG-3'
OH H2凡 人
〉 ‘O-?
1
-o-T T T T T T T。
-67-
@
1. Detrytilation
I
3. Coupling
ー
R,:ーCH2CH2CN
DMTr:
OCH3
2. Acti vation tetrazole
DMTO
W
o
- P ....
R1 0'" � N ( i-Pr h
n-mer oligonucleotides
図3-5 オリゴヌクレオチドの自動回相合成
-68-
NVo, L N 人
人
DMTの�
NC
�人 人
人
、、.,ノ噌,Eムftt、
(2)
末端にアミノ基を有するオリゴピリミジン7の合成にあたっては、 まず、
通常のアミダイト試薬( 1 )を用いてチミンの7量体を合成 し、 最後 にアミ ダイト 試薬(2)をカップリングさせることによって、 5'末端へのアミノ基 の導入を行った。
反応の各段階で生じるトリチルカチ オンの吸収からカッ プリング反応の 収率を概算した結果、 いずれ のオリゴヌクレオチドについても、 ほほ98---
99%で各段階の反応が進行したこ とがわかった。
(オリゴヌクレオチドの精製)
DNA自動合成装置内での反応後、 280/0のアンモニア水で、 550Cで一晩処 理することにより、 回相担体からの切り出し、 及び脱保護反応を行った。
これを逆相HPLCにより精製した。 図3-6の( a)に、 代表してオリゴヌクレオ チド7についてのクロマトグラムを示す(保持時間22分のピークを分取)。
この段階では、 まだオリゴヌクレオチドの5'-末端にはDMTr基 が存在す る。 このDMTr基を除去するために、 次に、 80 %の酢酸水溶液で20分間処 理した。 これを逆相HPLCにより精製した。 図3-6の(b)にクロマトグラム
を示す(保持時間8分のピークを分取)。
-69-
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図3-6 オリゴヌクレオチド7の逆相HPLCクロマトグラム ( a)回相担体からの切り出し後 (b)脱トリチル反応後
カラム: LiChrospher.100RP-18(e) (Cica-MERK) j答離液A: O.lM TEAA緩衝液(pH7.0)
j容離液B: アセトニトリル
グラジエント: 30分間でBを10→40%
流速 1ml / min 検出: UV (260nm)
(ストック溶液の調製)
精製したオリゴヌクレオチドを200μlの蒸留水に溶解し、 数mM程度のス トック溶液を作成した。 各オリゴヌクレオチドについて以下のように吸光 係数εを算出し、 吸光度から各ストック溶液の濃度を決定した。
一吸光係数の算出一
l本鎖DNAをN 1 N2 N3 -一一- Nn・1 Nn と表すと、 そのDNAの中性条件 下での260nmにおける吸光係数εは以下のように表される。
ε= 2(εNIN2 +εN2N3 +一一一ー +εNv-IN) -εN2 εN3 一一一一εNv-I
ここで、 εNV-INvは隣り合った2つのヌクレオチド(ジヌクレト チド)の 吸光係数であり、 εNv-Iはモノヌクレオチドの吸光係数である。 各吸光係数 については文献値を参考にした32)0
-70-
3-2-2
イミノ二酢酸修飾ピリミジン7量体(4 )の合成
以下のようなスキームに従い、 オリゴヌクレオチド4を合成した。
EtOOC一、
NH EtOOCーノ
8
9 +
+ BrCH2COOH N(CH2CH3)3 EtOOC一、、NーノCOOH
+ DCC
。
EtOOC-ー/
8
。 EtOOC -一\一〈一n
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N -C EtOOCーノ H
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H2N2
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NaOH
7 OH
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HOOCー'"N ' 、C '
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" ... 、O-P-O一一一TTTTTTT HOOCーノ o 又 0
4
3-2-2-a
ニトリロ三酢酸ジエチルエステル(8 )の合成
EtOOC一、
NH EtOOC_/
+ BrCH2COOH
N(CH2CH3)3 EtOOC一、、 ...COOH EtOOC_/N-'
8
ブロモ酢酸2.78g(2 0mmol )、 イミノ二酢酸ジエチ ルエステル3.78 g (20mmol)及びトリエチルアミン2.23g(22mmol)をエタノール40mlに溶解し
た。 600Cに加熱して4時間撹祥を続けた。 加熱撹持後、 析出していた白色 -71-
の結晶をろ別し、 ろ液を減圧留去した。 残盗 にエーテルを加え、 不溶物を ろ別し、 ろ液を減圧留去した。 残澄をシリカゲルカラム処理(クロロホル ム:メタノール:酢酸= 100 : 10 : 3)により精製し、 目的物を得た。 化合 物の同定はlH-NMR測定により行った。
収量(収率)
3.2g (65%) 性状 黄褐色粘性液体lH-NMR (CDCl3, 250MHz)
S値 帰属
積分比 分裂 4.20 c 4.3H q J=6.7 。':l b 'ïj
_ _�. _�
3.62 b 3.7H S
HOOC
人N
f C - OCH2CH33.55 a 2.0H s '\.ーÇ-OCH2CH3
b 11
1.30 d 6.0H t J=6.7 LJ 0 c d
3-2-2-b
スクシンイミドエステル(9 )の合成
EtOOC一" _COOH Nーノ +
EtOOC_J 8
OKν。
DCC
o
EtOOCー" ...-... ムN' .C - -N 、y
人
EtOOC
J S ふJ
9 0
化合物81 .48g( 6.0 m m ol )とジシク ロヘキシルカルボ、ジイミド
(DCC)1. 36g(6 .6mmol)を溶解した20mlのD MF溶液に、 撹持下N-ヒド ロキ シスクシンイミド0.76g (6.6mmol)を溶解した20mlのDMF溶液をゆっくり と滴下した。 最初2時間は氷浴下で、 その後室温で20時間撹祥を続けた。
反応後、 析出国体(DCUrea)をろ別し、 ろ液を減圧留去した。 残 盗を酢酸 エチルに分散させ不溶物をろ別し、 ろ液を水で洗浄した。 硫酸ナトリウム で乾燥後、 ろ液を減圧留去した。 残濯を2 -プロパノールに溶解し、 再結晶
ー72-
させ目的物を得た。 化合物の同定はIH-NMR測定、 及び元素分析により行 った。
収量(収率)
0. 84g (41%)性状 淡黄色針状結晶
融点 63. 5 --- 64. OOC
冗素分析
H C N C/N
実測
値
5.82 48.76 8.08 6.03計算値
5.87 48.82 8.14 6.00IH-NMR (CDC13, 250MHz)
Sイ直 帰属
積分比 分裂4.3H q J=6.7 4.20 c
4.06 3.67 2.85 1.28
a 2.0H 4.0H 4.0H 6.0H
S
dH
Hd ハU ハU cH H c c c o o
ouC
CHO bfL a〈 M川 b
。 CHO
。
。 は e ρν
b S
e S
d t J=6.7
3-2-2-c
オリゴヌクレオチド(10)の合成(カップリング反応:
EtOOCー" --"- 。 λN' 、C"'--N'o ')
E100CJ 6 レJ
9 0
+
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7 7TT TT37 OH
H (
1
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EtOOCJ S ら
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司、d「/
、、自』,,QノH ny J'『店、、
ゴヌ クレ オチ ド70.49μm 01を Na2 C 03・NaHC03緩衝液 オリ
この溶液に9を 2 4.5μmol含むO.llmlの (1 .3mM
)
。O.37 mlに 溶解した
室温で一晩振とうさせた。 反応混合物を蒸留水で 1 mlに DMSO溶液を加え、
を用いて蒸留水 (Pharmacia Sephadex G-2S)
N AP-l 0カラム 希釈した後、
これを濃縮して
保持容量1
ml --1 .7 mlの部分を分取した。を溶離液として、
(b)に反応前後のクロマトグラムを示 図3-7の(a)、
逆相HPLCで分析した。
王に2つのピークが新た 明らかに 原料7のピークが減少し、
反応後、
す。
活性エステル この うち3分付近に出現した成分については、
に出現した。
した が ドであるこ とを確認した。
ドロキシスクシンイミ 9が分解したN-ヒ
1 2分付近に出現した原料7よりも疎水性の高い成分が目的物10であ 分取した。
ると判断できたので 、 って、
0.38μmol (77%)
収量 (収率)
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(a)
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カップリング反応前後のオリゴヌクレオチドの逆相HPLCクロ マトグラム ( a)反応前(オリゴヌクレオチド7 ) (b)反応後 図3-7
カラム LìChrospher 100RP-18(e) (Cìca-MERK) 溶離液A: O.lM TEAA緩衝液(pH7.0)
溶離液B: アセトニトリル
グラジエント: 30分間でBを10→40%
流速 1ml / mìn 検出: UV (260nm)
-74-
3-2-2-d
オリゴヌクレオチド(4 )の合成(アルカリ加水分解)
H 〆OH
EtOOCー"" .."..._ ん
L
? 5・1N'、C� ー '-./ 、O-P-O 一一 TTTTTTT
EtOOC..J ら 。
10
NaOH
H ( OH
I \ O.
HOOC 一"" .."..._ N 入 ; 5・ 3・
IN'、C� '-./、O-P-O 一一一 TTTTTTT
HOOC-./ ;':" O �
4
20mMのNaOH水 溶液 0.5mlに、4 0.18 μmolを含む50μlの水溶液を加え、
室温で2時間放置した。 その後、反応溶液に酢酸を加え中和した。 反応、溶 液にO.lMTEAA 緩衝 液を加えて1 m 1と し た 後、 NAP-I0カラ ムを用いて 0.1 MTEAA緩衝液を溶離液として、保持容量1 ml --- 1 .7 mlの部分を分取した。
これを濃縮して、逆相HPLCで分析した。
当初、 先のカップリング反応物の分析時と同様に、(シリカゲル担体の
逆相カラムである) ODSカラムを用いて分析を行 ったのであるが、 この場 合、反応 生成物がほとんど溶出してこなかった。 そ こ で、 ポリマー担体の 逆相カラムであるODPカラムを用いて分析を行った。 その結果、この場合、
反応生成物の溶出が確認できた。 図3-8の( a)、(b)に、反応前後のオリゴヌ クレオチドのクロマトグラムを示す。 反応後、 明らかに原料のピ ークが消 失し、7 分付近に新たなピークが確認でき た。 この原料よりも親水性の高い 新たな成分が目的物4であると判断できたので、分取した。
収量(収率) 0.15μmol (82%)
-75-
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アルカリ加水分解反応前後のオ リゴヌクレオ チドの逆相HPLC クロマトグラム ( a)反応前(オリゴヌクレオチド10) (b)反応後 図 3-8
カラム: Asahipak ODP・50
j容離液A: o.山'1 TEAA緩衝液(pH7.0) 溶離液B: アセトニトリル
グラジエント: 30分間でBを10→40%
流速 1ml / min 検出: UV (260nm)
とDNA二本鎖 (4 )
イミノ二酢酸修飾ピリミジン7量体 の相互作用
3-2-3
DNA二本鎖や三本鎖の安定性を評価するために一般 的に用いられる手法 を測定する方法がある。 DNAは二本
m T
そ の複合体の融解温度 として、
その吸収スペク 塩基聞のスタッキングにより 、
鎖及び三本鎖形成に伴い、
トルにおいて吸光度の減少が観察される。 従って、 温度を連続的に変化さ その際生じる吸収スペクトル変化を特定波長において追跡することに せ
三本鎖の融 解及び形成過程を観察することができる。
DNA二本鎖、
より、
を模式的 図3-9にDNA三本鎖の温度変化に伴う吸光度変 化(
À =260nm)
i1fu が観察される。
(吸 光度変化) 2つの遷移
ー76-
に表した図を示す。 一般的、
度上昇に 伴う解離過程の場合を考えると、 低温側での遷移は、 Hoogsteen 型の水素結合でDNA二本鎖に結合 していた一本鎖DNAの解離に基づくもの である。 高温側での遷移は、 より熱力学的に安定な DNA二本鎖の解離に基 づくものである。 Tmはそれぞれの遷移の中間点の温度 として考えることが できる。 本研究では、 このTmを 複合体の安定性の指標として用いた。 なお、
Tmは、 通常行われているように、 融解曲線を微分し、 その微分曲線の頂点 から見積もった(厳密にはこ の温度は「真のJ Tm とは多少異なる)。
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図3-9 DNA三本鎖の融解由線の模式図
本研究では、 オリゴヌクレオチド4のDNA二本鎖との会合挙動を調べる ため、 図3-9における低温側での遷移のTm しを使って評価する。 そして、 タ ーゲットとなる金属イオン共存下、 非共存下において、 TmLを比較するこ
とにより、 金属イオンによる(オリゴヌクレオチド4の二量化に基づく) 三本鎖形成制御の可能性について検証する。 な お、 本研究ではすべ て、 温 度上昇に伴う複合体 の解離過程を観察した。
づI勺/
(DNA二本鎖のハイブリダイゼーション)
DNA三本鎖の形成に先立ち、 まずオリゴピリミジン4のターゲットとな るDNA二本鎖(27mer、 28mer、 29mer)のハイブリダ イゼーションを行つ
た。 ハイブリダイゼーションを確実にす るために以下に示すような高塩濃 度、 高DNA濃度(実際に測定に 用いる濃度の100倍)条件下でハイブリダ イズさせた。
DNA二本鎖:50μM NaCl:O.5M
HEPES (pH7.5) : O.lM
DNA二本鎖のTmに関しては、 経験上以下のような式 が導かれており33)、
Naイオン濃度や、 DNAのGC含量、 塩基数Nから、 おおよその値を見積も ることができる。
Tm ニ81. 5 + 16. 6(log,o[Na+]) + 0.41(%G+C) - (600/N)
上式よりこ の条件下でのDNA二本鎖(27 mer 、 28mer、 29mer)のTmは 6S0C程度と考えられた。 用いるDNAの長さにもよるが 、 ハイブリダイゼー ションの速度はTmよりも15---200C低いところで最大となる。 そこで 、 これ らのDNA二本鎖の場合、 溶液を500Cで3時間インキュベートし、 その後室 温に戻してハイブリダイズさせた。
(DNA三本鎖のハイブリダイゼーション)
水溶 液中で安定な三本鎖を形成させるためには、 DNA鎖聞の電荷の反発 を抑えるためにマグネシウムイオン等の2価金属や、 高塩濃度のナトリウ ムイオンを共存させる必要がある。 そこで、 マグネシウムイオン等の適当 な金属イオン共存下 、 先に調製した二本鎖のストック溶液を用い て、 ooC、
3時間イ ンキュベートして、 DNA二本鎖とオリゴヌクレオチド4をハイブリ -78-
ダイゼーシ ョ ンさせた。 以下に、 安定化剤として、 20m Mのマグネシウム イオンを共存させた場合の測定条件の一例を示す。
DNA二本鎖: 0.5μM
オリゴヌクレオチド4 : 1μM MgC12 : 20mM
NaCl: 5mM
HEPES (pH7. 5) : 1 mM
なお、 オリゴヌクレオチド4のターゲットとなる金属イオン、 すなわち、
4を二量化させるための金属イオンとして は、 Cu(II)やFe(III)、 ランタノ イドイオンを用いた。 これらの金属イオン共存下での測定では、 溶液に目 的の金属イオンを0.5 μM 共存させて、 同様にインキユベーシ ョ ンした後に、
測定を 行った。
(結果)
まず、 ターゲットとなる金属イオン非共存下で、 オリゴヌクレオ チド4 とDNA二本鎖を含む溶液の融解曲線の測定を行 った。 様々な条件で測定を
行ったのであるが、 DNA二本鎖の解離に基づく吸光度変化が観察 されるの みで、 4の解離に基づく吸光度変化は、 観察できなかった。
次に、 銅イオンなどのターゲットとなる金属イオンを共存させて 、 様々 な条件で測定を行ってみた。 その結果この場合も、 4の解離に基づく吸光 度変化 は、 いず れのDNA二本鎖(27mer、 28mer、 29mer)を用いた場合も 観察できなかった。 図3 -10に、 代表して、 MgCh 20mMの条件下で、 ター ゲットとなる金属イオンとしてCu(II)を共存させた場合の融解曲線の測定 例を示す。
このよう に、 4は 通常の測定条件下で は、 DN A二本 鎖 と安定な複合体 (DNA三本鎖)を形成することが難しい と判断できた。 このような状況下
では、 金属錯形成を通じた4の二量化に基づくDNA三本鎖 形成の制御の可 能性について、 検討することは実質不可能であると考えられた。
ー79-
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30
ハU 20
0.26 0
の複合体の融解曲線(実線) 及びそれらの微分曲線(点線)
(a) 27 mer, (b) 28mer, (c) 29mer
4: 1μM,DNA二本鎖: 0.5μM, CuCh: 0.5μM, MgCb: 20mM, NaCl: 5mM, HEPES(pH7.5): 1mM 温度変化速度:0.50C/min,検出波-長: 260nm
28mer、 29mer) Cu(II)共存下における4とDNA二本鎖(27mer、
図3-10
3-2-4 まとめ
ここでは、 DNAオリゴヌクレオチド4の合成、 及び4とDNA二本鎖との 相互作用について述べた。 末端にイミノ二酢酸部位を有するオリゴヌクレ オチド4は、 オリゴヌクレオチド7と活性エステル9を反応させ、 その後、
エチルエステル部位を アルカリ加水分解することにより得た。 活性エステ ル9については、 満足の いく収率で、 高純度の ものが得られた。 また、 オ リゴヌクレオチド7と活性エステル9の カップリング反応、 及びその後のア ルカリ加水分解 についても、 高収率で目的物が得られた。 カップリング反 応及び加水分解反応生成物については、 マススペクトル等による同定は特
別には行わなかった。 しかし ながら、 これらの反応条件では、 他の反応は 考えられず、 生成物も基本的にHPLCで単一ピークであることから判断し
て、 目的物は得られているものと判断できる。
様々な条件で4とDNA二本鎖の混合溶液の融解曲線を測定したのである が、 いずれの条件においても、 DNA三本鎖の形成は確認できなかった。 4 の塩基数が7とかなり短すぎたため、 安定 な複合体 を形成できなかったもの と考えられる。 この7塩基という鎖長 については、 できるだけ短 い鎖長の 方が二量化した際の効果が現れやすいのではないかと判断して選択した(こ の7塩基という鎖長は、 過去の研究例25)・34)か ら判断して三本鎖の形成が確 認できるギリギリのレベルである予想された)。 しかし、 オリゴヌクレオ チドへの末端修飾が三本鎖 複合体の安定性に影響したせいか、 複合体は観 察できなかった。
-81-
3-3
イミノ二酢酸修飾ピリミジン14量体(その1)
前節では、 イミノ二酢酸修飾ピリミジン7量体4を用いて 検討を行った のであるが、 その鎖長が短すぎたために DNA三本鎖の形成が確認できず、
金属錯形成 を通じたオリゴヌクレオチドの二量化の効果を検討することは できなかった。 そこで、 ここでは塩基数を2倍に したイミノ二酢酸修飾ピ
リミジン14量体5を合成し、 そのDNA二本鎖との相互作用 を検討した。
H (' _OH
I I 0・
HOOC一"" /".... _
N‘ 人 í
5' 3'N -
-C� ""'" -0 -P-O一一一 TTTTTTTTTTTTTTHOOC-d/ l!- . 1!
5 -
オリゴヌクレオチド5のターゲットとなるDNA二本鎖としては、 図3 -11 に示すような41mer、 42mer、 43merを新たに合成した。 これらのDNA二本
鎖は先ほどと同様に 、 その配列内に5の結合サイトとなる 連続したアデニ ン配列 をそ れぞれ2箇所有している。 その連続したアデニン配列の聞には、
1、 2、 3塩基ほど余分な 塩基を導入した。
5'-CTGGACTTTTTTTTTTTTTTGAAAAAAAAAAAAAACAGGTC-3'
41mer
3'-GACCTGAAAAAAAAAAAAAACTTTTTTTTTTTTTTGTCCAG-5'
_ 5'-CTGGACTTTTTTTTTTTTTTGCAAAAAAAAAAAAAACAGGTC-3'
42mer
- 3'-GACCTGAAAAAAAAAAAAAAGCTTTTTTTTTTTTTTGTCCAG-5'
43mer 5' -CTGGACTTTTTTTTTTTTTTGCGAAAAAAAAAAAAAACAGGTC-3 ' 3'-GACCTGAAAAAAAAAAAAAACGCTTTTTTTTTTTTTTGTCCAG-5'
図3 -1 1 5のターゲットとなるDNA二本鎖
オリ ゴヌクレ オチド5の合成は、 4の合成法に準じて行った。 なお、 DNA 二本鎖4 1 mer、 42mer、 43merを構成するオリゴヌクレオチドの合成では HPLCで 精製するに際に、 これらが高次構造を形成するのを避けるために 、
カラム温度を上昇させ、 500Cで精製を行った。
ー82-
3-3-1 イミノ二酢酸修飾ピリミジン14量体行)とDNA二本鎖 の相互作用
3-3-1-a 測定条件の検討
まず、 ターゲット(二量化 の制御因子)とな る金属イオン非共存下にお いて 、 オリゴヌクレオチド5の DNA二本鎖との三本鎖形成能を評価した 。
DNA二本鎖 としては、 42merを用いて検討を行った。 5と42merを含む溶液 の融解曲線を測定 したところ、 明らかに5の解離に基づく吸光度 変化が観 察され、 三本鎖複合体の形成を 確認するこ とができた。
図3-1 2 の(a)に、三本鎖複合体を安定化 させる(DNA鎖聞の反発を抑え る ) ために20mMのMgCbを共存させて測定を行った場合の融解曲線を示す(こ
の測定条件は、 先の4についての 検討における図3-10に相当する条件であ る)。 図3-1 2の(b)には、 同一条件で42merのみの融解曲線を 測定した結果 を示す。 これよ り、 図3-1 2の(a) では明ら かに42merの解離に基づく吸光度
変化の他に、 低温側に5の解離に基づく吸光度変化が観察 できる。
ただ、 図3-12の条件では、 三本鎖の形成は確認 できるものの 、 その微分 曲線からわか るようにTmが低すぎて複 合体の安定性を正確に評価すること がで きない。 そこ で、 より安 定な三本鎖複合体が形成さ れるよう な 測定条 件を検討した(図3-13,14)。
まず、 MgC12濃度を50mMに 増大させて 測定を行った(図3-13)。 その 結果、 複合体の安定性が増大し、 Tm は180C程度と評価できた。 ただ、 高濃 度のMg(11)の使用は、 本研 究目的にはあまり適していないと考 えられるo Mg(II)とイミノ二酢酸の会合定数は、本研究でターゲ ットとしているCu (11) やFe(111)等の遷移金属イオンのそれと比べるとオーダー的にか なり低くい のであるが、 測定条件ではかなりの高濃度の Mg(11)を共存させるため、 目 的とする金属イオンとイミノ二酢酸の 会合をMg(11)が阻害する可能性が十 分考えられる。 その ため、 本研究ではMg(11)の使用はできるだけ避けたい。
-83-
己〉\仏、円(H-C
凶)
1.4
1.2
ハU-EEA
0.8 0.6 0.4 0.2
(a)
0.50
どミ0.45
0.40
0.35 0
己〉\(目、叶(〉ハ-()凶)
0 80
1.4
0.2
nu --A
1.2
0.6 0.8
0.4 70
50 60
温度tc
40 20 30
10
、、Ej'hu 〆's・‘、、口AU「3nu
0.36
0.34
0.32
0.30
0.28
。沼N〈
。 80 70 40 50 60
温度tc
20 30 10 0.26
0
42mer(b)の融解曲線及び微分曲線 5: 1μM, 42mer: 0.5μM, NaCl: 5mM, MgC12: 20mM, HEPES(pH7.S): 1mM 温度変化速度:O.SoC/min,検出波長:260nm
5と42merの複合体(a)、
図3-12
-84-
(円〉\仏、吋(H-O
凶)
1.4 1.2 1.0
0.6 0.8
0.4 0.2
, .・. . . , ・ . . ・ ' . ・ . ・ . a ・ . .
- . ・
. . . . . . . . . . - . . e
, .
0.55
0.50
5
0 450.40
0 80 70 40 50 60
温度tc
20 30 10 0.35
0
(M g Clz 5 0m M) 5: 1μM, 42mer: 0.5μM, NaCI: 5mM, MgC12: 50mM, HEPES(pH7.5): 1mM 温度変化速度: 0.50C/min検出波長: 260nm
0.38 0.36
(】〉\〔日叶(M-O
凶)
8.0 7.0
6.0 5.0
2.0 1.0 4.0 3.0
5と4 2m erの複合体の融解曲線及び微分曲線
0.46 0.48
0.44
0.42
、。Cコ
<t. 0.40
図3-1 3
0 80 70 60 40 50
20 30 10 0.34
0
温度tc
(N aCl 2 M) 5: 1μM, 42mer: 0.5μM, NaCl: 2M, HEPES(pH7.5): 1mM
温度変化速度: 0.50C/min,検出波長: 260nm
5と4 2merの複合体の融解曲線及び微分曲線
図3-14
-85-
そこで、 次に三本鎖DNAを安定化させるために、 高塩濃度のNaClを使用し て測定を行った。
図3 - 14に、 2MのNaCIを加えて 融解曲線の測定を行った結果を示した。
この場合、 三本鎖のTmは先ほどより もさらに上昇し、 300C程度と評価でき た。 このように高濃度のナトリウムイオンを用いれば、 十分に三本鎖安定 化することができることがわかった。 ただ、 この高濃度のNaCIの使用にも 問題がないわけではない。 というのは、 高濃度のNaCIを加え ると 結果的に 高濃度の塩素イオンが系内に共存する ことにな る 。この塩素イオンはCu (II)
等のいわゆるHややソフトなH金属イオンと多少の親和性を有するため、 目 的とする金属イオンとイミメ二酢酸 との錯形成を阻害する可能性が考えら れる 。 そのため、 ナトリウムイオンのカウンターイオンとしては、 配位能 力が実質ないと考えられる過塩素酸イオンや硝酸イオンが望ましい。
そこで、 実際にNaCIの代わりにNaCI 04やNaN03 を共存させて 測定を行 ったのであるが、 結果的に両者とも本研究には使えないことがわかった。
まずNaN03については、 DNAの最大吸収波長領域に吸収を有しており、 融 解曲線の測定が不可能であることがわかった。 また、 NaCI04については、
融解曲線の測定は可能なのであるが、 三本鎖DNAを安定化する能力をほと んど有していないことがわかった。
以上のような検討から 、 本研究では多少の問題 はあるが、 高濃度のNaCl を用いて三本鎖DNAを安定化させ、 融解曲線の測定を行 うことにした。
3-3-1-b
複合体の安定性に及ぼす金属イオンの効果
次に、 ターゲットとする金属イオンを共存させて、 オリゴヌクレオチド 5とDNA二本鎖の複合体の融解曲線を測定し、 5の二量化に基づく複合体の 安定化効果が観察できるかど うかを調査した。 金属イオンとしては、Cu(II)、
-86-
Fe(111)、 及びLu(111)を使用した。
(Cu(II)の添加効果)
まず、 Cu (11)共存下において、 5とDNA二本鎖の複合体の融解挙動を検 討した 。 DNA二本鎖として41mer、 42mer、 43merを使用し、 Cu( 11)共存下、
非共存下における融解曲線 を測定した。 その結果、 いず れのDNA二本鎖を 用い た場合も、 Cu(I1)共存下、 非共存下でほとんど融解曲線に違いは観ら れず、 本実験条件下においてはCu (11)は複合体の安定性に影響を及ぼさな い こヒがわかっ?こ。
これについては先述したように、 Cu(I1)が、 系内に大過剰に存在する塩 素イオンによってマスクさ れてしまい 、 5の イミノ二酢酸部位と十分に錯 形成できなかったこと が原因として考えら れる。
(Pe(III)の添加効果)
イミノ二酢酸と高い 親和性 を有し、 Cu(I1)の 場合のように、 塩素イオン と の親和 性があまり問題にならない Fe(111)を使用して検討 を行った。 その 結果この場合も、 41mer、 42mer、 43merのいず れのDNA二本鎖、を使用した 場合において も、 Fe(111)共存下、 非共存下でほとんど融解曲線に違いは観
られなかった。
これについては、 Fe(OH)3の溶解度積定数Ks pが関係してい る のではない かと 考えられた。 すなわち、 Fe(OH)3のKs pは1x10-36とかなり小さく、 本 測定条件下においては溶液内に加えられたFe(I11)の大部分はイミノ二酢酸 と 錯形成せずにFe(OH)3と して沈殿してしま った可能性が考えられる。
(Lu(III)の添加効果)
次に、 ランタノイドイオンのlつ であるLu(I11)の添加効果を検討した。
図3-15の(a)、 (b)、 (c)に、 それぞれDNA二本鎖として 41mer 、 42mer、
43merを使用した場合のLu(111)共存下、 非共存下における融解曲線を示す。
2.0 0.41 (a)
0.40 0.39
0.38
f s 037
0.36 0.35
0.34 II I I II II I I II I 0
o 10 20 30 40 50 60 70 80
温度(C
、.、』j'hu 〆'EE‘.、、
2.0 0.41 (c)
2.0
1.5
ロ〉ー
、、、
1.0角 0.38 〆〉'ー4、、
ト・4
、、 ーCノtコ;) 0.37 0.5
0.35
o 10 20 30 40 50 60 70
温度(C
1.5
1.0
0.5
0.36 目目目目 I! II ! I J J 11' I , I I 1 I 10
o 10 20 30 40 50 60 70 80
温度(C
図3-15 Lu(III)共存下(点線)、 非共存下(実線)における5とDN A二本鎖(41mer、 42mer、 43mer) の複合体の融解曲線及びそれらの微分Illl線
(a)41mer, (b)42mer, (c)43mer
5: 1μM,DNA二本鎖: 0.5μM, LuCb: 0.5μM, NaCl: 2M, HEPES(pH7.5): 1mM 温度変化速度: 0.50C/min検出波長: 260nm
1.5
1.0
0.5
表3-1 Lu(田)共存下、 非共存下における5とDNA二本鎖の複合体 の融解温度Tm CC)、 及び融解温度差6. Tm
融解温度Tm CC)
Lu(Ill)非共存下 Lu(III)共存下 ムTm 41mer
42mer 43mer
00 ハU OAU つ- 1d っ“
2 3 1
勺コ 司、J 2J
A斗・
「コ 勺コ
表3-2 Tma)おけるLu(III)共存下、 非共存下で の吸光度A、
及び吸光度差ムA
吸光度A
Lu(皿)非共存下 Lu(田)共存下 ムA
41mer 0.3666 0.3599 0.0067
42mer 0.3772 0.3599 0.0035
43mer 0.3867 0.3834 0.0033
a) Lu(皿)非共存下での各複合体のTm
この場合、 Lu(I II)の添加によって 融 解曲線に明ら かな変化が生じた。 各 融 解曲線を微分し、 微分曲線の頂点から、 三本鎖 複合体のTmを見積もった。
その結果を、 表3-1にまとめて示す。 4 2m er、 4 3m erについては、 Lu(III)の 添加によって、 Tmが約30C上昇し、 41m e rについては、 約40C上昇した。 い ずれ の場合においても Lu(III)の添加によって 複 合体の安定性が増大するこ と がわかった。
ここで、 Tmは 各融 解曲線を微分し、 その微分曲線の頂点から見積もった のであるが、 各微分曲線の頂点の判別が難しいため 、 微妙な 温 度差を議論 すること は困難であるように思われた。 そこで、 L u(III)によ る安定化 の効 果を評価するパラメーターとして淡色効果の大きさを利用した。 すなわち、
ある温 度 おけるLu(III)共存下、 非共 存下 における吸光度の差を安定化の尺 度として捉えてみた。 その 温度としては、 各 複合体におけるLu(III)非共存 下におけるTmを採用した。 その結果を表3-2にまとめて示す。 この よう評 価法をとった場合、 DN A二本鎖として 41m e rを使用した場合 の吸光度変化
-89-
41m erを使用した場合に Lu(111)によ る大きな安定化が得られたと考えることができる。
が、 他と比べると極め て大きいため、
ここで観察されたLu(111)による安定化効果 が何に基づくものであ 次に、
以下 いくつかのコントロール実験を行った。 まず、
る かを調べるために、
をオリゴヌクレオチド5のイ℃わりに のような未修飾のチミン14量体(T14)
同様の測定を行った。
用いて、
5'-TTTTTTTTTTTTTT-3'
T14
非共存下におけるT14と43merの複合体の融 Lu(111) 共存下、
図3-1 6に、
Lu(111)の この場合、 融解曲線は、
及びそれらの微分曲線 を示す。
解曲線、
図3-15で観察され このことか ら、
添加によって全く影響を受けな かった。
たLu(111)による 安定化効果は、 5のイミノ二酢酸部位とLu(111)の錯形成に 基づくものであると考えられる。
(】〉\丘、叶(凶円。凶)
2.0
ハU・1A
1.5
0.5 0.42
0.4
ぷ
0.390.41
0.38
0.37
0.36 0
0 70 80 60 40 50
30
-IA ハU 20
温度rc
Lu (111)共存下(点線)、 非共存下(実線)におけるT14と43merの複 合体の融解曲線、 及びそれらの微分曲線
T1 4: 1μM, 43mer: 0.5μM, LuCb: 0.5μM, NaCl: 2M, HEPES(pH7.5): 1mM 温度変化速度: 0.50C/min検出波長: 260nm
図3-16
-90-
以下の ような 5の二量化に基づく安定化効果を検証するために、
次に、
その配列内に5の結合部 この26merは、
を合成した。
(2 6mer) DNA二本鎖
5の二量 体 としての結合は不可能であ 位をl箇所しか有し ていないため、
る。
5'-CTGGACAAAAAAAAAAAAAACAGGTC-3' 3'-GACCTGTTTTTTTTTTTTTTGτ'CCAG-5 '
26mer
非共存下において測 Lu(I11)共存下、
5 と2 6merの複合体の融解曲線を、
これより求めたTm及び淡色効果 また、
その結果を図3-1 7に示す 。 定した。
Lu (111)による安定化の程度は、
この場合、
の程度を表3 - 3にまとめて示す。
先の42merと についても、
(i1 A) 淡色効果の程度
また、
L1 Tmについても、
先の41 merと5の
、�
..._ー
したカぎって、
(]〉\己、吋(H-O凶)
2.0
l.5
1.0
0.5
このこと カ、ら、
複合体に対するLu(111)の 効果が特異である と考えら れる。
。。J
43merを用いた場合とほぼ同じであった。
0.5
0.49
0.48
0.47
0.46
0.45
0 80 0.44
0 10 20 30 40 50 60 70
における5と26merの複合 温度tc
Lu(I11)共存下(点線)、 非共存下(実線) 体の融解曲線、 及びそれらの微分曲線
5: 1μM, 26mer: 0.5μM, LuCb: 0.5μM, NaCl: 2M, HEPES(pH7.5): 1mM 温度変化速度: 0.50C/min 検出波長: 260nm
図3-17
-91-
表3-3 Lu(I11)共存下、非共存下における5と26merの複合体の融解温度Tm(t) 及び 融解温度差ム Tm、 並びにTma)おける吸光度A及び吸光度差ム A
融解温度 Tm CC)
Lu(皿)非共存下 26
吸光度 A 0.4618
a) Lu(111) 非共存下 で の各複合体のTm
Lu(III)共存下 29 0.4585
ムTmあるいはムA 3
0.0033
の現象は L u (I 11)との錯形成を通じた5 の二量化に基づくものであることが 示唆される。 ただ、 安定化の程度がTmか ら判断すると 2 6mer を用いた場合 とそれほど明瞭な 差 がないことから、 5は、 錯形成部位にお ける立体障害
等から、 完全に二量化するに至っていない のかもしれない。
なお 、 2 6merや42mer、 43 merにおいて観察されたL u(11 I)による安定化は、
主にLu(I1 1)との錯形成に基づく5のイミノ二酢酸部位におけるプラス荷電 の増加によ るもので はないかと考 えら れる。
3-3-2 まとめ
ここで はイミノ二酢酸修飾オリゴヌクレオ チド5とDNA二本 鎖との相互 作用について検 討 した。 前節の7量体のオリ ゴヌクレオチド4の場合、 三 本鎖複 合体の形成は確認できな かっ た のであるが、 14量体のオリゴヌクレ オチド5の場合、 複合体の形成を確認することが できた。 また、 融解曲線 を測定するための溶液条件の検討も行った。 その結果、 本研究目的に は、
高濃度 のNaClを用いて三本鎖 DNAを 安定化させる のが適当であると考え ら れたので、 以下、 そのような条件で 融解曲線の測定を 行った。
C u (11)、 Fe(III)、 Lu(1I1) が 複合体の安定性に及ぼす効果につ いて検討を 行った。 c u (11)、 Fe(I II)について は、 複 合体の安定 性に全く影響を 及ぼさ
ないことがわかっ た。 一方、 Lu( I I1)については、 複合体を安定化させるこ - 92-
とがわかった。 Lu(111)は典型的なハードな金属イオンであるため、 Cu (1 1) の場合のような塩素イオンとの親和性についての問題は無視できる。 また、
Lu(OH)3の溶解度積定数Ks pは1x10・27と3価の金属イオンとしては異常に 大きな値であるため、 Fe(111)の場合のように水酸化物として沈殿する可能 性もほとんどない と考え られる。 このような要因から 、 Lu(111)の場合にお
いてのみ複合体の安定化が観察されたものと考えられる。
41 merと5の複合体については、 Lu (111)添加による淡色効果の程度が他 の系と比べて大きかったことから、 5が二量体として協同的に41merに 結合 している可 能性が示唆された。 これについては、 CPKモデルから、 5が二 量化した際のリンカーの長さとしては、 l、 2塩基程度が適当であると考え られたことからも納得ので きる結果である(41merはその配列の中心に 1塩 基ほど余分な塩基を有している)。 ただ、 Lu(111)添加に伴うTmの増加の程 度は、 他の系と それほど差がな かったことから、 5は、 41mer上でLu(1 11)
との錯形成を通じて完全には二量化するに 至っていないと考えられた。 5 については、 イミノ二酢酸部位とヌクレオチドをつなぐリンカーの長 さが 短く剛直であるため、 コンフォメーシ ョン的な自由度が小さい。 そのため、
2つのイミノ二酢酸部位 が同時にLu(1II)に十分に配位 できるようなコンフ オメーシ ョ ンがとれないことが原因 で 、 完全な二量化には至らなかったの ではないかと考えられる。
-93-
3-4 イミノ二酢酸修飾ピリミジン14量体(その2)
前節では、 オリゴヌクレオチド5とDNA二本鎖との相互作用につ いて検 討を行った。 その結果、 Lu(IJI)共存下、 5は二量体として協同的に41 mer に結合することが 示唆された。 しかしな がら、 その協同性 は、 複合体 のTm にはほとんど反映されておらず、 満足のいくものではなかった。 これにつ いては、 5のイミ ノ二酢酸部位とヌクレオチドをつなぐリンカ一部位の剛 直性に問題があるのではないかと 考えられた。
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N � ‘C�
HOOCJ
S
6
0・
o-ro
--TTTTTTTTTTTTTT
。
ここでは、 リンカ一部位のメチレン鎖を延ばし、 その柔軟性を増した オ リゴヌクレオチド6を新たに合成し、 DNA二本鎖との相互作用 を検討 した。
6が金属錯形成を通じて二量化した際の(2 つのオリゴヌクレオチド をつ
なぐ)リンカーの長さとしては、 CPKモデルから3、 4塩基程度が適当で ある と考 えら れた。 そこ で、 6のターゲットとなるDNA二本鎖としては、
以下のよ うな42mer、 43mer、 44merを使用 し、 6との相互作用を検 討した (42nler、 43mer、 44merは、 それぞれ中心に2、 3、 4塩基ほど余分な塩 基を有する)。
42mer 5' -CTGGACTTTTTTTTTTTTTTGCAAAAAAAAAAAAAACAGGTC-3 ' 3'-GACCTGAAAAAAAAAAAAAACGTTTTTTTTTTTTTTGTCCAG-5'
43mer 5' -CTGGACTTTTTTTTTTTTTTGCGAAAAAAAAAAAAAACAGGTC-3 ' 3 '-GACCTGAAAAAAAAAAAAAACGCTTTTTTTTTTTTTTGTCCAG-5 ,
�rner 5 '-CTGGACTTTTTTTTTTTTTTGACGAAAAAAAAAAAAAACAGGTC-3 ,
3'-GACCTGAAAAAAAAAAAAAACTGCTTTTTTTTTTTTTTGTCCAG-5'
オリゴヌクレオチド6は、 図3- 1 8に示す ような 末 端にアミノ基を有する オリゴヌクレオチド から、 4の合成法に準じて合成した。 この末端にアミ
-94-
ノ基を有 する オリゴヌクレオチドはDNA自動合成装置により、 ホスホアミ ダイト法により合成した。 5'末端へのアミノ基の導入にあたっては、 図3-
1 8に示すようなアミダイト試薬を使用した。
H2N 0-十0一一TTTTTTTTTTTTTT
O' ( S' 3'0
末端にアミノ基を有するDNAオリゴヌクレオチド
F3CyN H
O アミダイト試薬
。人人
NC�人
図3-1 8 末端にアミノ基を有するDNAオリゴヌクレオチド(6の合成前駆 体)及びその合成に使用したアミダイト試薬
3-4-1 イミノ二酢酸修飾ピリミジン14量体(6 )とDNA二本鎖 の相互作用
3-4-1-a 複合体の安定性に及ぼす金属イオンの効果
先のオリゴヌクレオチ ド5を用いた検討では、 金属イオンとしてLu(III) を用い た場合に複合体の安定化が観察された。 そこで、 ここで はLu(III)を 中心としていくつかのランタノイドイオンを用い て、 それらが、 オリゴヌ クレオチド6とDNA二本鎖の複合体の安定性に及ぼす効果を調査した。
(Lu(III)の添加効果)
まず、 Lu(IIl)の添加効果を検討した。 図3-1 9に、 Lu(III)共存下、 非共存
2.0
1.5
1.0
0.5
0 80 70 30 40 SO 60
温度tc
20 10
ω一 nu
0.41 2.0
1.5
1.0
0.5
70 60 30 40 SO
温度tc
20 10
、lノー。
/11\
「ノ』A『
nU
0.41
。司〉
、、、
1.0叶巳ー
〆'ー、、
><
ト_.o w
、、_"
0.5 2.0
1.5
0 80 60 70
30 40 SO
温度tc
20 10
\Eノa
バ叶ハU f'\
0.35 0 0.4
0.39
cuJ
0.37
0.36
ー巾va'
44mer) 43mer、
における6とDN A二本鎖(42mer、
の複合体の融解曲線及びそれらの微分山線 (a)42mer, (b)43mer, (c)44mer
6: 1μM,DNA二本鎖: 0.5μM, LuCb: 0.5μM, NaCl: 2M, HEPES(pH7.5): 1mM 温度変化速度:0.50C/min,検出波長: 260nm
(実線) 非共存下
Lu (111)共存下 (点線) 図3-19
表3-4 Lu(ill)共存下、 非共存下における6とDNA二本鎖の 複合体の融解温度Tm CC)及び融解温度差ムTm
融解温度Tm CC)
Lu(皿)非共存下 Lu(ill)共存下 ムTm 42mer
43mer
00 勺/
1i ウん 勺ん つ臼
2 1 1
1d 勺コ
「コ
A斗 バ斗T
噌''A ハU
44mer
下における6と DNA二本鎖 (4 2 me r、 4 3 mer、 44mer)の複合体の融解曲線 を示す。 いずれの DNA二本鎖、を用いた場合もLu(III)の添加によって、 融解 曲線が大きく変化した。 各融解曲線を微分し、 各複合体の融解 温 度 T mを見 積もった。 その 結果をまとめて表 3-4に示す。 いず れの複合体 について も
Lu(III)の添加によって明らかにTmが上昇し、 その安定性が増大することが
わかった。 特に、 6と44mer の複合体について は、 Lu (III)の添加によって
Tmが約100C上昇し、 大きな安定化が観察された。 こ の安定化効果は、 6の 二量体として の協同的な結合に基づくものであると考えられる。 これにつ いては、 Lu(III)共 存下に おける(融解曲線 の)微分曲線が非共 存 下の もの と比較す ると、 極めて鋭くなってい ることからも推測される(微分曲線の
鋭さは2つのオリゴヌクレオチドの協同的な結合の指標となり得る)。
次に、 図3-19で観察されたLu(III)添 加に よる安定 化効果が、 6の二量体 とし ての協同的な結合に基づくものであるとい うことを裏付ける ために、
コントロール実験を行った。 具体的には前節で行った ように、 DNA 二 本鎖 として以下のよう な 2 6 merを使用して、 同様にLu(III)の添加効果 を検討し た。
26mer 5'-CTGGACAAAAAAAAAAAAAACAGGTC-3' 3'-GACCTGTTTTTTTTTTTTTTGTCCAG-5'
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(円〉\仏、円安-cu) 2.0
1.5
0.5 1.0 0.5
0.49
0.48
ぷ
Cコ 0.470.46
0.45
0 80 60 70
40 50
温度tc
20 30 10 0.44
0
Lu(III)共存下、 非共存下における6と26merの複合体の融解曲線 、 及びそれらの微分曲線
図3-20
6: 1μM, 26mer: 0.5μM, LuCb: 0.5μM, NaCl: 2M, HEPES(pH7.5): lmM 温度変化速度: 0.50C/min,検出波長:260nm
非共存下における6と26merの複合体の融解 Lu(III)共存下、
図3-20に、
Lu(III)は複合体の安定性にほとんど影響を与えな この場合、
曲線を示す。
図3-1 9で観察されたLu(III)添加による 安定化効果 このことから、
かった。
6の二量体としての協同的な結合 に基づくものであるということが確 認できた。
が、
(その他のランタノイド金属イオンの添加効果)
同様に複合体の Lu(III)だけでなくイ也のランタノイドイオンについても、
La(III)、
ランタノイドイオンとしては、
安定性に及ぼす効果を検討した。
各金属イオン共存下における6と 図3-21、
Tb(III)を使用した。
、、、B,ノyaA YEyti r,,、、HU R・μ
(図には、 併せて金属イオン非 Lu(III)共存下におけるデータも示している)
43merの複合体の融解曲線をまとめて示す
共存下、 。 これより、 La(III)、
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表3-5 ランタノイドイオン共存下、 非共存下 における6と43merの複合体の融解温度 Tm CC)及び融解温度差ムTm
Tm CC) ムTm
none 27
La(皿) Eu(皿) Tb(III)
Lu(II1)
00 ハU 噌l tI 勺L qd 弓3 2J
1i 司3 A『
バH.
表3-6 ランタノイドイオンとイミノ二酢酸 の会合定数(文献値28))
会合定数(logKML)
La(皿) 5.88
Eu(皿) 6.73
TbロII) 6.78
Lu(II1) 7.61
Eu(111)、 T b(111)についても明らかに複合体の安定性に影響を及ぼすことが わかった。 各融解曲線を微分し、 各複合体のTmを見積もった。 図3-22に 図3-21の各融解曲線の微分曲線を、 表3- 5に、 各複合体のTm値を まとめて 示す。 いずれのラ ンタノ イ ドイオンを添加した場合も、 複合体のTmは上昇 し、 これらの 金属イ オンも複合体を安定化させることがわかった。 安定化 の程度は、 L a(111)< Eu(111)< T b(111)の順に大きくなった。 ここで得られた 安定化の序列は、 各金属イオン とイ ミ ノ 二酢 酸の親和性を反映したもの で
あると考えられる(表3-6) 。
次に6 と44merの複合体についても同様に、 La(I 11)、 Eu (111)の添加効果を 検討した。 図3-23と3-24に、 各金属イオン共 存下に おける融解曲線、 及び そ れらの微分曲線をそれぞれまとめて示す。 また、 各複合体のTmを表3- 7にま
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