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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

ニワトリにおけるTRPV1の酸感受性とその制御機構

梁, 若君

http://hdl.handle.net/2324/4060217

出版情報:Kyushu University, 2019, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

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氏 名 梁 若君

論 文 名 Acidic Sensitivity of TRPV1 and its Regulation Mechanisms in Chickens (ニワトリにおけるTRPV1の酸感受性とその制御機構)

論文調査委員 主 査 九州大学 職名 教授 氏名 田畑 正志 副 査 九州大学 職名 准教授 氏名 西村 正太郎 副 査 岩手大学 職名 准教授 氏名 川端 二功

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

ニワトリは重要な産業動物であるとともに、生物学においては鳥類のモデル動物でもある。本研 究では、ニワトリの痛み受容機構の解明のため、特に代表的な発痛刺激の一つである酸の受容メカ ニズム並びにその制御機構について明らかにすることを目的とした。そこで、酸刺激による痛みの 受容体の一つとして知られているtransient receptor potential vanilloid 1(TRPV1)に着目し、

哺乳類のモデル動物であるマウスと比べることにより、比較生理学的観点からニワトリの特徴を明 らかにする研究を行った。

まず、受容体タンパク質をリポフェクション法により一過的に強制発現させた HEK293T細胞を 作製し、ホールセルパッチクランプ法を用いて電気生理学的解析を行った。 酸(pH 3.8)刺激は ニワトリTRPV1(cTRPV1)とマウスTRPV1(mTRPV1)をともに活性化したが、ピーク電流は cTRPV1 の方がmTRPV1 よりも小さく、かつ cTRPV1は繰り返しの酸刺激で mTRPV1よりも脱 感作しにくいことを見出した。TRPV1 の C 末端のカルモジュリン結合部位は TRPV1 の脱感作制 御において重要な部位であることが報告されていたので、本研究ではcTRPV1のC末端のカルモジ ュリン結合部位をmTRPV1のC末端のカルモジュリン結合部位に置換したキメラcTRPV1を作製 した(cTRPV1-mCaM)。cTRPV1-mCaM の解析の結果、酸に対する脱感作の程度は mTRPV1 と 類似していたとともに、酸に対する応答性もcTRPV1と比べて有意に高まっていた。また、TRPV1 が一部発現していると考えられる背根神経節細胞(DRG)をマウス(C57BL/6J)およびニワトリ

(Rhode Island Red)ヒナから単離培養し、酸刺激に対する応答を比較した。ニワトリヒナのDRG はマウス DRG と比べて酸刺激に対して脱感作されにくいことを見出した。これらの結果より、酸 刺激に対する痛み感受性がニワトリとマウスで異なっていること、並びにそれらの現象がcTRPV1 のC末端カルモジュリン結合部位のアミノ酸配列の違いに由来していることが示唆された。

次に、cTRPV1の痛み受容体としての制御機構をさらに理解するため、cTRPV1の558番目のア ミノ酸であるアラニンを、それに対応するmTRPV1の 551番目のアミノ酸であるトレオニンに変 異させた点変異体(cTRPV1-A558T)を作製し、機能解析を行った。その結果、cTRPV1-A558T は辛み成分カプサイシンに応答し、かつ酸刺激に対して野生型のcTRPV1よりも有意に大きな反応 を示した。cTRPV1-A558Tにおいて、カプサイシン刺激によって脱感作は観察されたものの、酸刺 激による脱感作は野生型のcTRPV1と同様に観察されなかった。さらに、cTRPV1のA558に対応 する mTRPV1 の T551をニワトリ型に変異させた点変異体 mTRPV1-T551Aを作製し、酸刺激に よる脱感作を検証した。mTRPV1-T551Aでは、酸刺激に対する脱感作が野生型のmTRPV1と比べ て有意に減弱していた。これらの結果は、mTRPV1のT551がカプサイシンの結合に重要な部位で あるという既知の結果を再確認しただけでなく、cTRPV1がカプサイシンに対する反応を失った原

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因となるアミノ酸が A558であることを示唆した。また、 mTRPV1 の T551と cTRPV1の A558 が酸に対する感受性、並びに脱感作を制御している鍵となる部位であることも明らかとなった。さ

らに、TRPV1 の脱感作の制御機構は、カプサイシンや酸といった刺激の種類によって異なってい

ることも示唆された。

以上要するに本論文は、ニワトリおよびマウスの TRPV1 の酸感受性、並びに脱感作制御機構の 一部を明らかにするとともに、鳥類の痛み受容機構の理解にも大きく貢献したものであり、畜産学 並びに比較生理学の発展に寄与する価値ある業績と認める。よって本研究は博士(農学)の学位に 値すると認める。

参照

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