現 在 食 事 の 欧 米 化 や ラ イ フ ス タ イ ル の 変 化 交 通 機 関 の 発 達 な ど に よ り 人 々 の 摂 取 エ ネ ル ギ ー は 増 加 し 消 費 エ ネ ル ギ ー は 減 少 傾 向 に あ り 肥 満 や 生 活 習 慣 病 患 者 数 は 増 加 の

博士（栄養学）学位論文

論文題目

キノコ類及び植物性食品の消化酵素阻害についての研究

Studies on the Inhibitory Activities on Digestive Enzymes

of Mushrooms and Vegetables Extracts

2012 年

指導教員 青柳 康夫 教授

大内 和美

OHUCHI, Kazumi

1 現 在 、食 事 の 欧 米 化 や ラ イ フ ス タ イ ル の 変 化 、交 通 機 関 の 発 達 な ど に よ り 、人 々 の 摂 取 エ ネ ル ギ ー は 増 加 し 、消 費 エ ネ ル ギ ー は 減 少 傾 向 に あ り 、肥 満 や 生 活 習 慣 病 患 者 数 は 増 加 の 一 途 を た ど っ て い る 。 こ う し た 状 況 で 、 食 品 の 三 次 機 能 に 着 目 し 、 食 品 中 の 生 理 作 用 物 質 に よ っ て 疾 病 を 予 防 、改 善 を 目 的 と し た 機 能 性 食 品 が 開 発 さ れ て い る 。 本 研 究 は 、 肥 満 、 糖 尿 病 な ど の 予 防 、 改 善 を 目 的 と し た 新 た な 機 能 性 食 品 の 開 発 と し 、キ ノ コ 類 及 び 植 物 性 食 品 の 消 化 酵 素 阻 害 作 用 の 検 索 を 行 っ た 。野 生 キ ノ コ を 中 心 に キ ノ コ 類 及 び 山 菜 、 ハ ー ブ 類 に つ い て 、 α-ア ミ ラ ー ゼ 、 α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 、リ パ ー ゼ の 消 化 酵 素 阻 害 活 性 ス ク リ ー ニ ン グ を 行 い 、阻 害 が 認 め ら れ た も の に つ い て は 、 そ の 阻 害 成 分 の 検 索 を 試 み た 。 第 1 章 で は 糖 質 消 化 酵 素 阻 害 活 性 ス ク リ ー ニ ン グ お よ び 阻 害 成 分 の 検 索 を 行 っ た 。1 97 種 の 野 生 及 び 栽 培 キ ノ コ 子 実 体 の 熱 水 抽 出 物 、 エ タ ノ ー ル 抽 出 物 を 調 製 し 、 α-グ ル コ シ ダ ー ゼ 、 α - ア ミ ラ ー ゼ の 阻 害 活 性 ス ク リ ー ニ ン グ を 行 っ た 。 α- グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 活 性 が 認 め ら れ た キ ノ コ は 、197 種 中 28 種 で あ っ た 。 特 に 強 い 阻 害 活 性 を 示 し た の は ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ 、ウ ス フ ジ フ ウ セ ン タ ケ 、 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 、 キ ヌ ガ サ タ ケ 、 コ ウ モ リ タ ケ 、 ク ロ カ ワ な ど で あ っ た 。 こ の う ち 、 ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ 、 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 、 ウ ス フ ジ フ ウ セ ン タ ケ 、 キ ヌ ガ サ タ ケ は 熱 水 抽 出 物 、 エ タ ノ ー ル 抽 出 物 と も に 活 性 が 認 め ら れ 、こ れ ら 4 種 の キ ノ コ は 同 一 の 阻 害 成 分 の 存 在 が 示 唆 さ れ た 。 α- ア ミ ラ ー ゼ 阻 害 活 性 を 示 し た の は 、ア ミ ガ サ タ ケ 、ニ オ ウ シ メ ジ な ど で あ っ た 。し か し 、 こ れ ら の キ ノ コ は 全 体 的 に 阻 害 活 性 が 弱 く 、こ れ 以 上 の 阻 害 成 分 の 検 索 は 行 わ な か っ た 。 第 2 節 で は 山 菜 、 ハ ー ブ 類 4 8 種 の α

-2 グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 ス ク リ ー ニ ン グ を 行 っ た 。1 0 種 の 試 料 に 阻 害 が 認 め ら れ た が 、全 体 的 に 強 い 阻 害 は 認 め ら れ な か っ た 。さ ら に 、 第 ３ 節 で は 、 第 １ 節 の α- グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 ス ク リ ー ニ ン グ で 強 い 阻 害 を 示 し た 6 種 の キ ノ コ と 、 48 種 の 山 菜 、 ハ ー ブ 類 を 試 料 と し 、 α- グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 作 用 が 報 告 さ れ て い る ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の 検 索 を 行 っ た 。4 種 の キ ノ コ （ ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ 、 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 、 ウ ス フ ジ フ ウ セ ン タ ケ 、 キ ヌ ガ サ タ ケ ）で ノ ジ リ マ イ シ ン で あ る α- ホ モ ノ ジ リ マ イ シ ン（ 以 下 HNJ ）、 7-o- β -D - グ ル コ ピ ラ ノ シ ル -α - ホ モ ノ ジ リ マ イ シ ン （ 以 下 gluco-HNJ ）が 検 出 さ れ た 。現 在 、キ ヌ ガ サ タ ケ よ り HNJ 、ツ バ フ ウ セ ン タ ケ よ り gluco -HNJ が α -グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 物 質 と し て 報 告 さ れ て い る 。し か し 、そ の 他 の 知 見 は 本 論 文 が 初 め て の も の で あ る 。ま た 定 量 を 試 み た と こ ろ 、キ ノ コ 凍 結 乾 燥 粉 末 中 の ノ ジ リ マ イ シ ン 総 量 は 1 .3 ‐ 3 .0 mg/g で あ っ た 。こ れ は 同 じ く α -グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 物 質 で あ る 1- デ オ キ シ ノ ジ リ マ イ シ ン が 単 離 さ れ た ク ワ 葉 に も 劣 ら ず 、こ れ ら の キ ノ コ は ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の 良 い 給 源 に な る と 思 わ れ た 。 第 2 章 で は キ ノ コ 類 の リ パ ー ゼ 阻 害 成 分 の 検 索 を 行 っ た 。第 1 章 と 同 じ 197 種 の キ ノ コ を 試 料 と し 、リ パ ー ゼ 阻 害 活 性 ス ク リ ー ニ ン グ を 行 っ た と こ ろ 、197 種 中 19 5 種 の キ ノ コ が リ パ ー ゼ 阻 害 活 性 を 示 し た 。ま た 、ツ ク リ タ ケ や ブ ナ シ メ ジ な ど の 主 要 食 用 キ ノ コ も 強 い 阻 害 を 示 し 、キ ノ コ 類 は リ パ ー ゼ 阻 害 成 分 の 良 い 給 源 に な る と 考 え ら れ た 。最 も 強 い 阻 害 活 性 を 示 し た の は 、ハ イ イ ロ シ メ ジ 、 タ モ ギ タ ケ 、 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 、 ク ロ カ ワ 、 コ ウ モ リ タ ケ 、ク サ ハ ツ な ど で あ っ た 。こ の 6 種 の キ ノ コ の 阻 害 成 分 の 概 要

3 を 把 握 す る 目 的 で 、極 性 の 異 な る 溶 媒 に よ る 抽 出 を 行 い 、そ の 抽 出 性 を 検 討 し た と こ ろ 、 こ れ ら の キ ノ コ に は 異 な る 性 質 を 持 つ 、 複 数 の 阻 害 成 分 が 存 在 す る 可 能 性 が 考 え ら れ た 。し か し 、タ モ ギ タ ケ は 比 較 的 単 純 な 阻 害 成 分 分 子 種 の 存 在 が 示 唆 さ れ た 。本 研 究 の 目 的 は 、新 た な 機 能 性 食 品 と し て の リ パ ー ゼ 阻 害 成 分 の 検 索 で あ り 、機 能 性 食 品 の 開 発 に は 安 全 性 、供 給 性 の 確 保 は 必 須 条 件 で あ る 。こ の 6 種 の キ ノ コ の 中 で タ モ ギ タ ケ は 唯 一 こ の 条 件 を 満 た し て い た 。 そ こ で 、 タ モ ギ タ ケ 抽 出 物 を シ リ カ ゲ ル カ ラ ム 、 分 取 HP LC な ど を 用 い て 、 分 画 、 精 製 を 行 っ た 。 生 成 し た 阻 害 物 質 を ESI -TO F/ MS に よ り 分 析 し た と こ ろ 、 [M＋ H]＋_{m/z782.5745、 炭} 素 数 合 計 3 6 の 脂 肪 酸 を 2 つ も ち 、 な お か つ 二 重 結 合 が 4 つ 存 在 す る レ シ チ ン で あ る 可 能 性 が 考 え ら れ た 。し か し 、正 確 な 構 造 解 析 と 同 定 に は さ ら な る 検 討 が 必 要 で あ る 。 タ モ ギ タ ケ は 栽 培 可 能 で 、す で に 市 場 に も 多 く 出 回 っ て い る キ ノ コ で あ り 安 全 性 、 供 給 性 の 点 で 問 題 は な い 。 ま た 、 今 回 同 定 を 試 み た 物 質 は 非 常 に 強 い リ パ ー ゼ 阻 害 を 示 す も の で あ っ た 。こ れ ら の こ と よ り 、 タ モ ギ タ ケ は 安 全 性 、 供 給 性 、 機 能 性 に お い て 優 れ た 機 能 性 食 品 素 材 で あ る と 思 わ れ 、今 後 新 た な 素 材 と し て 十 分 期 待 で き る 存 在 で あ る と 考 え ら れ る 。 今 回 の 阻 害 活 性 ス ク リ ー ニ ン グ は 、試 料 数 が 非 常 に 多 か っ た た め 、 最 も 一 般 的 で 簡 便 ・ 迅 速 な 測 定 法 を 選 択 し た 。 し か し 、 異 な る 基 質 や 酵 素 を 用 い た 場 合 、異 な る 活 性 を 示 す こ と も 考 え ら れ る 。 今 後 は 他 の 酵 素 や 基 質 を 用 い た 測 定 法 を 用 い て 、多 面 的 に 阻 害 作 用 を 評 価 す る こ と や 、 動 物 実 験 な ど に よ り Vi vo 的 に 評 価 す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ る 。

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目 次

目 次……… … ………… ……… …. .1 -3 序 論………… …… …… …… … …… ……… ……..… ……4 -7 第1 章 植 物 性 食 品 の 糖 質 消 化 酵 素 阻 害 活 性 ス ク リ ー ニ ン グ な ら び に 阻 害 成 分 の 検 索 緒 言……… …… … ……… ………8 -11 第 １ 節 キ ノ コ 類 の 糖 質 消 化 酵 素 阻 害 活 性 ス ク リ ー ニ ン グ 実 験 方 法… ……… ……… ……… 12-15 1. 試 料 2. 試 薬 3. ス ク リ ー ニ ン グ 試 料 の 調 製 4. α -グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 活 性 の 測 定 方 法 5. α -ア ミ ラ ー ゼ の 阻 害 活 性 の 測 定 方 法 結 果…… …… …… …… ……… …… ……… ……….15 -16 1. α -グ ル コ シ ダ ー ゼ に 対 す る 阻 害 作 用 2. α -ア ミ ラ ー ゼ に 対 す る 阻 害 作 用 考 察……… … …… …… …… ……… ………… ……… …. …16 -18 1. α -グ ル コ シ ダ ー ゼ に 対 す る 阻 害 作 用 2. α -ア ミ ラ ー ゼ に 対 す る 阻 害 作 用 第 ２ 節 山 菜 、 ハ ー ブ 類 の α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 活 性 ス ク リ ー ニ ン グ 実 験 方 法…… …… …… …… … ….. ……… ………1 9 結 果… … …… …… …… ……… …… ……… ….. ……….19 考 察… ……… …… ……… ….19 -20

2 第 ３ 節 植 物 性 食 品 中 の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の 検 索 お よ び 定 量 １ ） キ ノ コ 試 料 中 の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の 検 索 及 び 定 量 実 験 方 法. ... .. ... .. .. ... ... .. ... .. ... ... .. ... . ... ... .. ... .. ... ... .. ... . 21-19 1. キ ノ コ 試 料 中 の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の 検 索 及 び 定 量 2. ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の L CMS に よ る 定 量 結 果…… …… …… …… … …… ……… ………. …23 -25 1. α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 作 用 を 有 す る キ ノ コ 試 料 中 の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の L CMS に よ る 検 索 2. ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の L CMS に よ る 定 量 考 察 … … … .25 -27 ２ ） 山 菜 、 ハ ー ブ 類 の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の L CMS に よ る 検 索 実 験 方 法… … …… …… …… ……… ……… ……….. 28 結 果 ・ 考 察… …… …… ……… ………… ……… ………. .28 要 約… …… ……… …… ……… ………29 第 ２ 章 キ ノ コ 類 の リ パ ー ゼ 阻 害 活 性 緒 言………… …… …… …… ……… ………… ……… …………..30 -31 第 １ 節 リ パ ー ゼ 阻 害 活 性 ス ク リ ー ニ ン グ 実 験 方 法… … …… …… …… ……… ……… …………32-33 1. 試 料 2. ス ク リ ー ニ ン グ 試 料 の 調 製 3. リ パ ー ゼ 阻 害 活 性 の 測 定 方 法 結 果… ……… … …… ……… …….33 -34

3 考 察 … … … .34 -35 第 ２ 節 キ ノ コ 類 の リ パ ー ゼ 阻 害 成 分 に つ い て の 検 討 １ ） 試 料… ……… ……… ……… ..…36 ２ ） 強 い リ パ ー ゼ 阻 害 を 示 し た キ ノ コ 類 の 活 性 成 分 の 溶 媒 抽 出 性 実 験 方 法… … …… …… …… ……… ………… ……… ……... ..36 結 果……… …… ……… ………3 7 考 察………… …… …… ……… …… … ………. …37 -39 ３ ） タ モ ギ タ ケ の リ パ ー ゼ 阻 害 成 分 実 験 方 法… ……… ………… ………40-45 1. 抽 出 2. シ リ カ ゲ ル カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ る 分 画 3. T-3 画 分 の 阻 害 成 分 の 精 製 4. T-5 画 分 の 阻 害 成 分 の 精 製 5. T-3 、 T-5 -2 -Ⅳ 定 性 分 析 6. T-5 -2 -Ⅳ の L CMS 分 析 結 果………… …… …… …… … …… ……… ……… ………4 5 考 察……… … …… …… …… ……… ………… ……… …….46 -47 1. T-3 画 分 の 阻 害 成 分 2. T-5 画 分 の 阻 害 成 分 要 約… …… ……… ………… ……… ………. ..48 総 括……… … ………… ………..……49 -53 謝 辞………… …… …… …… ……… ………… ……… ………54 参 考 文 献… … …… …… …… ……… …… ……… ……….55 -67 図 表… …… … …… …… …… ……… …… ……… ………68

4 序 論 近 年 、ラ イ フ ス タ イ ル の 変 化 や 交 通 手 段 の 発 達 、食 生 活 の 欧 米 化 な ど に よ り 、摂 取 エ ネ ル ギ ー は 増 加 し 、消 費 エ ネ ル ギ ー は 減 少 傾 向 に あ る 。こ れ に よ り 肥 満 者 数 は 年 々 増 加 し て お り 、肥 満 は 糖 尿 病 、高 脂 血 症 、高 血 圧 症 な ど の 生 活 習 慣 病 を 引 き 起 こ す 危 険 因 子 と な っ て い る 。 平 成 20 年 度 の 生 活 習 慣 病 に よ り 医 療 機 関 を 受 診 し て い る 総 患 者 数 は 、 高 血 圧 、 糖 尿 病 、 虚 血 性 心 疾 患 、 脳 血 管 疾 患 、 悪 性 新 生 物 を 合 計 し て 14 0 0 万 人 に 上 る 。 ま た 、 平 成 20 年 度 国 民 医 療 費 は 8 兆 2 034 億 に 上 り 、一 般 診 療 費 の 31 .6 ％ を 占 め て お り 、生 活 習 慣 病 に よ る 国 民 医 療 費 の 増 加 は 社 会 問 題 と な っ て い る 1）_{。疾 病} の 予 防 対 策 に は 、 健 康 を 増 進 し 、 発 病 を 予 防 す る 一 次 予 防 、 早 期 発 見 、早 期 治 療 を 目 的 と す る 二 次 予 防 、リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン な ど に よ る 社 会 復 帰 を 目 的 と し た 三 次 予 防 が あ る 。こ の う ち 、生 活 習 慣 病 は 生 活 習 慣 の 改 善 に よ り か な り の 予 防 が 可 能 で あ り 、特 に バ ラ ン ス の と れ た 食 生 活 と 適 度 な 運 動 に よ る 一 次 予 防 が 重 要 で あ る と さ れ て い る 。 し か し な が ら 、 飽 食 の 時 代 と い わ れ る 今 日 、 日 々 の 忙 し さ や 種 々 の 理 由 に よ り 適 切 な 食 事 バ ラ ン ス を 保 つ こ と が 困 難 な こ と も 多 く な っ て い る 。食 品 に は 生 命 活 動 の 維 持 に 必 要 な 栄 養 素 を 摂 取 す る と い う 第 一 次 機 能 、お い し さ 、嗜 好 性 な ど を 満 足 さ せ る 第 二 次 機 能 、そ し て 生 体 リ ズ ム の 調 節 、疾 病 予 防 な ど の 生 体 機 能 を 維 持 す る 機 能 で あ る 第 三 次 機 能 の 三 つ の 機 能 が あ る と さ れ る 。現 在 、不 十 分 な 食 生 活 の 補 完 の た め 、こ の 第 三 次 機 能 を 積 極 的 に 活

5 用 す る こ と に 注 目 が 集 ま っ て い る 。そ の た め 、さ ま ざ ま な 生 理 機 能 成 分 に つ い て 研 究 さ れ 、多 く の 報 告 が な さ れ て い る 。そ の 中 で 、 肥 満 や 糖 尿 病 の 予 防 、改 善 を 目 的 と し て 、種 々 の 食 品 成 分 に よ る 糖 質 や 脂 質 の 消 化 酵 素 阻 害 作 用 の 検 索 が 行 わ れ て い る 。 食 事 と し て 摂 取 し た 糖 質 は 、 ま ず だ 液 α - ア ミ ラ ー ゼ に よ る 消 化 を 受 け る 。 小 腸 内 で 膵 臓 よ り 分 泌 さ れ る α - ア ミ ラ ー ゼ に よ っ て さ ら に 小 粒 子 に 分 解 さ れ 、最 終 的 に 小 腸 粘 膜 上 皮 細 胞 の 膜 表 面 に 局 在 し て い る α - グ ル コ シ ダ ー ゼ に よ り 消 化 さ れ 、 小 腸 粘 膜 上 皮 細 胞 か ら 吸 収 さ れ る 。 糖 質 消 化 酵 素 阻 害 剤 は 、 α - ア ミ ラ ー ゼ や α - グ ル コ シ ダ ー ゼ の 働 き を 阻 害 し て 糖 質 の 消 化 を 抑 制 し 、 吸 収 を 遅 延 さ せ る 。こ れ に よ り 血 糖 値 の 急 激 な 上 昇 を 抑 制 し 、摂 取 エ ネ ル ギ ー の 低 下 を 導 き 、肥 満 、糖 尿 病 の リ ス ク を 低 下 さ せ よ う と す る も の で あ る 。こ の 目 的 で 、現 在 ア カ ル ボ ー ス や ボ グ リ ボ ー ス な ど の α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 剤 が 市 販 さ れ て い る 。こ れ ら は 、 食 事 療 法 や 運 動 療 法 だ け で は 血 糖 値 が う ま く コ ン ト ロ ー ル で き な い イ ン ス リ ン 非 依 存 性 糖 尿 病 患 者 に 効 果 が 期 待 さ れ て い る 。し か し 、 市 販 の α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 剤 は 副 作 用 と し て 下 痢 や 腹 部 膨 満 感 な ど の 消 化 器 症 状 や 肝 機 能 障 害 な ど の 症 状 が 報 告 2）_さ れ て お り 、 必 ず し も 最 適 な 手 段 で は な い 。 食 事 と し て 摂 取 し た 脂 質 の 大 部 分 は ト リ グ リ セ リ ド （TG ） で あ る 。TG は 主 に 膵 液 に 含 ま れ る リ パ ー ゼ に よ っ て 、 2-モ ノ ア シ ル グ リ セ ロ ー ル と 脂 肪 酸 に 分 解 さ れ 、胆 汁 酸 と と も に ミ セ ル を 形 成 し 、 小 腸 粘 膜 上 皮 細 胞 よ り 吸 収 さ れ る 。 そ の 後 、 小 腸 粘 膜 上 皮 細 胞 内 で TG に 再 合 成 さ れ 、 キ ロ ミ ク ロ ン を 形 成 し 、 リ ン パ 管 よ り 胸 管 を 経 て 、 全 身 へ と 運 ば れ る 。 脂 質 消 化 酵 素 阻 害 剤 は 、 リ パ

6 ー ゼ の 働 き を 阻 害 す る こ と に よ り 、脂 質 の 吸 収 を 遅 延 し 、食 後 の 血 中 中 性 脂 肪 の 上 昇 を 抑 制 し て 、肥 満 等 の 予 防 、改 善 を 求 め る も の で あ る 。現 在 、リ パ ー ゼ 阻 害 剤 と し て オ ル リ ス タ ッ ト が 抗 肥 満 薬 と し て 医 師 の 処 方 の も と 使 用 さ れ て い る 。し か し 、こ れ も 副 作 用 と し て 脂 溶 性 ビ タ ミ ン の 吸 収 阻 害 、下 痢 、脂 肪 便 な ど が 報 告 さ れ て い る 3）_。 こ の よ う な 消 化 酵 素 阻 害 作 用 の あ る 食 品 や そ の 阻 害 成 分 を 食 品 と し て 摂 取 す れ ば 、 薬 剤 に 比 べ 作 用 は 小 さ い が 穏 や か で あ り 、 食 品 由 来 で あ る の で 安 全 性 が 高 い と い う 利 点 が あ る 。ま た 、日 常 的 に 摂 取 し や す く 、副 作 用 の 危 険 性 も 少 な い と 考 え ら れ る 。機 能 性 食 品 と は 、 こ の よ う な 食 品 成 分 の も つ 生 体 調 節 機 能 を 活 用 し 、 そ の 機 能 性 成 分 を 分 離 、濃 縮 し て 通 常 の 食 品 に 配 合 す る こ と に よ り 、食 品 に 新 し い 機 能 を 付 与 し た も の で あ る 。こ の よ う に 食 品 の 機 能 性 成 分 に よ る 、健 康 の 維 持 や 向 上 へ の 寄 与 を 目 的 と し て 、多 く の 機 能 性 食 品 が 開 発 さ れ て い る 。ま た 、消 費 者 庁 は 特 定 の 保 健 機 能 や 安 全 性 な ど の 科 学 的 な 根 拠 を 審 査 し 、機 能 の 有 効 性 を 示 し た も の は 特 定 保 健 用 食 品 と し て 認 可 し て い る 。 キ ノ コ は 古 く よ り 日 本 の 食 卓 に 上 っ て き た 、日 本 人 に な じ み の 深 い 食 品 で あ る 。 ま た 、 β - グ ル カ ン に よ る 抗 腫 瘍 作 用 4 , 5） 、 エ リ タ デ ニ ン に よ る 抗 コ レ ス テ ロ ー ル 作 用 6 , 7）_{の ほ か 、血 圧 降 下 作 用} 8）_{、 抗 糖 尿 病 作 用 9 - 1 2}）_{等 多 く の 機 能 性 1 3 - 1 5}）_{が 報 告 さ れ て い る 。} し か し 、キ ノ コ の 消 化 酵 素 阻 害 作 用 に 関 す る 報 告 は ほ と ん ど な い よ う で あ る 。 著 者 が 所 属 す る 研 究 室 は キ ノ コ に つ い て 長 年 研 究 し て お り 、野 生 キ ノ コ 子 実 体 を 豊 富 に 所 有 し て い る 。そ こ で 、本 研 究 で は 新 た

7 な 機 能 性 食 品 の 開 発 を 目 的 と し 、野 性 キ ノ コ を 中 心 に 栽 培 ・ 市 販 品 キ ノ コ を 加 え た 197 種 の キ ノ コ な ら び に 48 種 の 山 菜 、 ハ ー ブ 類 に つ い て 、 熱 水 抽 出 物 及 び エ タ ノ ー ル 抽 出 物 を 試 料 と し 、 α -ア ミ ラ ー ゼ 、 α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 、 リ パ ー ゼ の 阻 害 活 性 ス ク リ ー ニ ン グ を 行 な っ た 。 こ の 結 果 、 多 く の 試 料 に 強 い α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 や リ パ ー ゼ 阻 害 が 認 め ら れ た 。 そ こ で ま ず 、 強 い α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 活 性 を 示 し た 試 料 に つ い て 、 α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 作 用 が 知 ら れ て い る ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の 存 在 を 検 索 し た 。 さ ら に 、 リ パ ー ゼ 阻 害 活 性 を 示 し た キ ノ コ に つ い て 、 阻 害 成 分 の 性 質 を 検 討 し 、タ モ ギ タ ケ に つ い て 阻 害 成 分 の 同 定 を 試 み た も の で あ る 。

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第 １ 章 植 物 性 食 品 の 糖 質 消 化 酵 素 阻 害 活 性 ス ク リ ー ニ

ン グ 及 び 阻 害 成 分 の 検 索

緒 言 現 在 、 肥 満 に よ る 糖 尿 病 、 高 脂 血 症 の 予 防 、 改 善 の た め 、 消 費 者 庁 よ り 「 食 後 の 血 糖 値 の 上 昇 を 穏 や か に す る 」「 食 後 の 血 中 中 性 脂 肪 が 上 昇 し に く い ま た は 身 体 に 脂 肪 が つ き に く い 」等 の 表 示 を 認 可 さ れ た 特 定 保 健 用 食 品 が あ る 。「 食 後 の 血 糖 値 の 上 昇 を 穏 や か に す る 」と い う 表 示 が 認 可 さ れ た 機 能 性 成 分 に は 、難 消 化 性 デ キ ス ト リ ン な ど 食 物 繊 維 に よ る 糖 質 排 出 効 果 1 6 , 1 7）_{を 示 す も の} や 糖 質 消 化 酵 素 阻 害 作 用 を 持 つ 機 能 性 成 分 を 利 用 し た も の が あ る 。 糖 質 消 化 酵 素 の 阻 害 作 用 と は 、消 化 管 内 、小 腸 粘 膜 上 皮 細 胞 上 で α - ア ミ ラ ー ゼ 、 α - グ ル コ シ ダ ー ゼ な ど 消 化 酵 素 の 働 き を 阻 害 し 、 栄 養 素 の 吸 収 を 抑 制 、 遅 延 さ せ る も の で あ る 。 そ の 結 果 、 当 初 の よ う な 保 健 機 能 を 発 揮 す る も の で あ る 。現 在 、多 く の 消 化 酵 素 阻 害 物 質 が 機 能 成 分 と し て 認 可 を 受 け て い る 。そ の た め 、特 定 保 健 用 食 品 の 開 発 を 目 的 と し て 種 々 の 食 品 に つ い て 消 化 酵 素 阻 害 活 性 成 分 の 検 索 が 進 め ら れ て い る 。 天 然 の α - ア ミ ラ ー ゼ 阻 害 物 質 と し て は 、 小 麦 ア ル ブ ミ ン 1 8 - 2 0） や 豆 鼓 エ キ ス 2 1）_{、 茶 と し て 飲 用 さ れ る バ ナ バ 葉 抽 出 物 2 2 , 2 3}）_{、 グ} ァ バ 葉 抽 出 物 2 4 , 2 5）_{、豆 類 ポ リ フ ェ ノ ー ル 2 6 , 2 7}）_{、紅 茶 タ ン ニ ン 2 8}） な ど が 報 告 さ れ て い る 。 α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 を 示 す 食 品 と し て は 、 ム ラ サ キ イ モ 2 9 , 3 0）_{、 ニ ガ ウ リ 3 1 , 3 2}）_{、 コ ー ヒ ー 豆 抽 出 ク ロ}

9 ロ ゲ ン 酸 3 3 , 3 4）_{な ど が 報 告 さ れ て お り 、 シ ソ 抽 出 物 よ り ロ ス マ リ} ン 酸 3 5）_{、 ク ロ ー ブ か ら は オ イ ゲ ニ ン 、 カ ス ア リ ク チ ン 3 6}）_{、 コ タ} ラ ヒ ム ブ ツ 、サ ラ シ ア 属 植 物 か ら は チ オ 糖 ス ル ホ ニ ウ ム 硫 酸 構 造 を も つ コ タ ラ ノ ー ル 、 サ ラ シ ノ ー ル 3 7 , 3 8）_{、 ト チ ノ キ 種 皮 で は サ} ポ ニ ン 3 9 - 4 1）_{、 ク ワ 葉 か ら は 1 -デ オ キ シ ノ ジ リ マ イ シ ン な ど が 阻} 害 成 分 と し て 報 告 4 2 - 4 5）_{さ れ て い る 。 特 に ク ワ 葉 よ り 単 離 さ れ た} 1- デ オ キ シ ノ ジ リ マ イ シ ン は 著 名 な α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 物 質 で あ り 、 機 能 性 食 品 と し て 利 用 が 進 め ら れ て い る 。 ま た 、 ム ラ サ キ イ モ か ら は 紫 色 素 で あ る ア ン ト シ ア ニ ン や プ ロ ア ン ト シ ア ニ ジ ン な ど の 多 く の ポ リ フ ェ ノ ー ル 類 4 6 - 4 8 )_{も 阻 害 成 分 と し て 報 告} さ れ て い る 。 一 方 、 キ ノ コ 類 の 血 糖 値 降 下 作 用 に つ い て は 、 シ イ タ ケ 4）_{、 ヒ} ラ タ ケ 5）_{、 マ イ タ ケ 9 , 1 0}）_{、 ヤ マ ブ シ タ ケ 11}）_{、 タ モ ギ タ ケ 1 2}）_{、 ツ} バ フ ウ セ ン タ ケ 4 9）_{、 マ ン ネ ン タ ケ 菌 糸 体 5 0}）_{、 メ シ マ コ ブ 菌 糸 体} 5 1）_{な ど が 報 告 さ れ て い る 。 キ ノ コ は 食 物 繊 維 が 豊 富 に 含 ま れ て} い る 食 品 で あ り 、こ れ ら の 作 用 の ほ と ん ど は 水 溶 性 食 物 繊 維 な ど に よ る 糖 質 吸 収 阻 害 と さ れ て い る 。し か し 、こ の う ち の ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 、 マ ン ネ ン タ ケ 菌 糸 体 、 メ シ マ コ ブ 菌 糸 体 で は α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 作 用 に よ る 血 糖 値 上 昇 抑 制 効 果 で あ る と さ れ て い る 。 著 者 が 所 属 す る 研 究 室 で は 、多 数 の 野 生 キ ノ コ 子 実 体 を 凍 結 乾 燥 粉 末 と し て 所 持 し て お り 、こ れ ら 報 告 の あ る キ ノ コ 以 外 に も 消 化 酵 素 に 対 す る 阻 害 を 示 す も の が 期 待 さ れ た 。そ こ で 野 生 キ ノ コ に 栽 培 キ ノ コ を 加 え た 19 7 種 の キ ノ コ 子 実 体 の α -ア ミ ラ ー ゼ 、 α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 活 性 ス ク リ ー ニ ン グ を 行 う こ と と し た 。

10 ま た 、 α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 活 性 が 報 告 さ れ て い る 食 品 の 多 く は 、ア ン ト シ ア ニ ン 、フ ラ ボ ノ イ ド な ど ポ リ フ ェ ノ ー ル 類 が 阻 害 成 分 と し て 報 告 2 9 , 3 0 , 4 6 - 4 8 )_{さ れ て い る 。 山 菜 は 一 般 的 に エ グ 味} が 強 く 、ア ク 抜 き し な け れ ば 食 す る こ と が で き な い よ う な も の が 存 在 す る 。エ グ 味 の 原 因 は ポ リ フ ェ ノ ー ル で あ り 、山 菜 に は 豊 富 に ポ リ フ ェ ノ ー ル が 含 ま れ て い る も の が 多 い 。ま た 、ハ ー ブ に も ポ リ フ ェ ノ ー ル が 豊 富 に 含 ま れ て い る 。こ の こ と か ら 山 菜 、ハ ー ブ 類 は α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 活 性 を 有 す る も の が あ る と 考 え ら れ た 。 そ こ で 今 回 は 、 山 菜 、 ハ ー ブ 類 計 48 種 に つ い て も 、 熱 水 抽 出 物 、 エ タ ノ ー ル 抽 出 物 を 試 料 と し 、 α- グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 活 性 の ス ク リ ー ニ ン グ を 行 っ た 。 キ ノ コ で は キ ヌ ガ サ タ ケ よ り α - ホ モ ノ ジ リ マ イ シ ン が 、 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ よ り 7 -o - β -D - グ ル コ ピ ラ ノ シ ル - α - ホ モ ノ ジ リ マ イ シ ン が 報 告 4 9 )_{さ れ て い る 。ノ ジ リ マ イ シ ン は F ig. 1-3 に 示 す よ} う に 糖 に よ く 似 た 構 造 を し て い る ア ザ 糖 で あ る 。 α - ホ モ ノ ジ リ マ イ シ ン は α - グ ル コ ー ス に よ く 似 た 構 造 を し て お り 、 ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 は α - グ ル コ シ ダ ー ゼ を 競 争 阻 害 す る こ と が 報 告 さ れ て い る 5 2 - 5 5）_{。 そ こ で 、 第 1 節 の ス ク リ ー ニ ン グ で 最 も 強 い 阻} 害 活 性 を 示 し た キ ノ コ 6 種 に つ い て 、 LCMS を 用 い て α -ノ ジ リ マ イ シ ン 、7 -o - β - D - グ ル コ ピ ラ ノ シ ル - α - ホ モ ノ ジ リ マ イ シ ン 、 1-デ オ キ シ ノ ジ リ マ イ シ ン の 3 種 の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の 検 索 を 行 う こ と と し た 。さ ら に 、ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の 存 在 が 確 認 さ れ た 試 料 に つ い て は 標 準 品 を 用 い て 定 量 を 行 う こ と と し た 。 ま た 、1 -デ オ キ シ ノ ジ リ マ イ シ ン は ク ワ 葉 に 存 在 す る こ と が 報 告 さ れ て い る 。し か し 、ク ワ 葉 以 外 の 植 物 に お い て の ノ ジ リ マ イ

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シ ン 類 縁 体 の 存 在 に 関 す る 報 告 は 見 当 た ら な い よ う で あ る 。そ こ で 今 回 は 、 第 2 節 で ス ク リ ー ニ ン グ を 行 っ た 際 に 使 用 し た 山 菜 、 ハ ー ブ 類 48 種 に つ い て も 同 時 に ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の 検 索 を 行 う こ と と し た 。

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第 １ 節

キ ノ コ 類 の 糖 質 消 化 酵 素 阻 害 活 性

ス ク リ ー ニ ン グ

実 験 方 法 1. 試 料 ス ク リ ー ニ ン グ は 197 種 の キ ノ コ 子 実 体 を 用 い た （ Tabl e.1 ）。 な お 、 科 別 の 試 料 数 は Ta ble.2 に 示 し た 。 試 料 の 大 部 分 は 関 東 、 中 部 、 東 北 地 方 に て 採 取 し た 。 一 部 、 シ イ タ ケ 、 ブ ナ シ メ ジ 、 エ ノ キ タ ケ 、 ツ ク リ タ ケ （ マ ッ シ ュ ル ー ム ）、 エ リ ン ギ 、 ナ メ コ 、 マ イ タ ケ 、 タ モ ギ タ ケ 、 マ ツ タ ケ は 市 販 品 （ マ ツ タ ケ 以 外 は 栽 培 品 ） を 購 入 し た 。 入 手 し た キ ノ コ は 石 づ き を 除 去 し て か ら 洗 浄 、 冷 凍 し 、凍 結 乾 燥 機 に て 凍 結 乾 燥 し た 。乾 燥 後 は 粉 砕 し 密 封 し て 冷 蔵 保 存 （4 ℃ ） し た 。 2. 試 薬 ス ク リ ー ニ ン グ に 使 用 し た 4 メ チ ル ウ ン ベ リ フ ェ リ ル α Ｄ -グ ル コ ピ ラ ノ シ ド は S IG MA 社 製 の も の を 、 溶 性 デ ン プ ン は MERCK 社 製 の も の を 使 用 し た 。 そ の 他 の 試 薬 は 関 東 化 学 工 業 （ 株 ） の 特 級 品 を 使 用 し た 。 3. ス ク リ ー ニ ン グ 試 料 の 調 製 試 料 粉 末 に 20 倍 量 の 熱 水 を 加 え 、 20 分 間 還 流 加 熱 抽 出 後 、冷 却 し 、 遠 心 分 離 （10000 rpm、 15 分 間 ） に よ り 得 た 上 清 を 熱 水 抽 出 物 と し た 。 エ タ ノ ー ル 抽 出 物 は 、 同 じ く 試 料 粉 末 に 20 倍 量 の

13 エ タ ノ ー ル を 加 え 、 20 分 間 還 流 加 熱 後 、 冷 却 、 ろ 紙 （AD VANT EC,No .3 ） で ろ 過 し 、 そ の ろ 液 を エ タ ノ ー ル 抽 出 液 と し た 。こ の 熱 水 抽 出 物 、エ タ ノ ー ル 抽 出 物 を ス ク リ ー ニ ン グ の 試 料 溶 液 と し た 。 4. α -グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 活 性 の 測 定 方 法 α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 の 測 定 法 は 石 原 ら 5 1）_{の 方 法 を 一 部 改 変} し て 行 な っ た 。 酵 素 溶 液 の 調 製 方 法 は ラ ッ ト 小 腸 ア セ ト ン 粉 末 （ SIG MA ； I1630 ）に 20 倍 量 の 0 .1m ol /L リ ン 酸 緩 衝 液 (pH7. 0 )を 加 え 、氷 中 に て ホ モ ジ ナ イ ズ 後 、 遠 心 分 離 （15 000 rpm ,15 分 間 ,5 ℃ ） し た 。 そ の 上 清 を 0 .1m o l/L リ ン 酸 緩 衝 液 で 希 釈 し 粗 酵 素 液 （ 5 mg /m L ） と し た 。 基 質 溶 液 は 4 - メ チ ル ウ ン ベ リ フ ェ リ ル - α -D - グ ル コ ピ ラ ノ シ ド を リ ン 酸 緩 衝 液(pH7. 0 )に 溶 解 し 、 0 .2 mm ol/L に 調 製 し た も の を 用 い た 。 マ イ ク ロ プ レ ー ト セ ル （Fal con 社 ） に 試 料 溶 液 50 μ L 、 基 質 溶 液 50 μ L を と り 、 粗 酵 素 液 25 μ L を 加 え 、 反 応 を 開 始 し た 。 37 ℃ で 30 分 間 反 応 し た 後 、0 .2 mol / L 炭 酸 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液 100 μL に て 反 応 を 停 止 し 、遊 離 し た 4 - メ チ ル ウ ン ベ リ フ ェ リ ン を マ イ ク ロ プ レ ー ト リ ー ダ ー （ コ ロ ナ 電 気 株 式 会 社 ；MT P -80 0AF C） を 用 い て 励 起 波 長 365nm 、 蛍 光 波 長 450nm で 蛍 光 強 度 を 測 定 し た 。阻 害 活 性 は 以 下 の 式 に て 算 出 し た 。な お 、阻 害 の 強 さ は I C5 0 （ 反 応 液 中 で 5 0 ％ 阻 害 を 示 し た と き の 乾 燥 試 料 粉 末 量 （mg/ mL ）） に て 評 価 し た 。

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Inhibi tion(%)= 1 0 0− (Sa m ple − Bla nk)／ (Cont rol − Blank)×10 0 Sam pl e ： ス ク リ ー ニ ン グ 試 料 を 加 え た 場 合 の 蛍 光 強 度 Cont rol ： 水 を 加 え た 場 合 の 蛍 光 強 度 Bla nk： 酵 素 反 応 さ せ て い な い 場 合 の 蛍 光 強 度 5. α -ア ミ ラ ー ゼ 阻 害 活 性 の 測 定 方 法 α-ア ミ ラ ー ゼ 阻 害 の 測 定 法 は ヨ ウ 素 法 5 6）_{で 行 な っ た 。} 酵 素 溶 液 は ブ タ 膵 ア ミ ラ ー ゼ（S IG MA；A3176 ）に 、5 0mm ol/ L NaCl 、5m mol /L CaCl2を 含 む マ ッ ク ル ベ イ ン 緩 衝 液（pH6 .9 ）を

加 え て 、5U/ mL に 調 製 し た も の を 使 用 し た 。 基 質 溶 液 は 可 溶 性 デ ン プ ン を 水 で 0 . 2％ に 溶 解 し た も の を 使 用 し た 。 マ イ ク ロ プ レ ー ト セ ル に 試 料 溶 液 1 0 μ L 、 基 質 溶 液 10 μ L 、 50m mol /L Na Cl 、 5 m mol /L Ca Cl2 を 含 む マ ッ ク ル ベ イ ン 緩 衝 液 （pH6 .9 ）10 μ L を と り 、酵 素 溶 液 10 μ L を 加 え て 反 応 を 開 始 し た 。3 7 ℃ で 10 分 間 反 応 し た 後 、0 .5 m ol/ L 酢 酸 100 μ L で 反 応 停 止 し 、0 .15 ％ ヨ ウ 素 -1 .5 ％ ヨ ウ 化 カ リ ウ ム 水 溶 液 130 μ L を 加 え 、 残 存 す る デ ン プ ン を ヨ ウ 素 デ ン プ ン 反 応 で 発 色 し 、マ イ ク ロ プ レ ー ト リ ー ダ ー（VERS Amax； Mol e cular Dev i ce s）で 7 00nm の 吸 光 度 を 測 定 し た 。

阻 害 活 性 は 以 下 の 式 に て 算 出 し た 。 な お 、 阻 害 の 強 さ は I C5 0 に

て 評 価 し た 。

Inhibi tion(%)= 1 0 0− (Sa m ple − Bla nk)／ (Cont rol − Blank)×10 0 Sam pl e ： ス ク リ ー ニ ン グ 試 料 を 加 え た 場 合 の 吸 光 度

Co nt rol ： 水 を 加 え た 場 合 の 吸 光 度

15 結 果 キ ノ コ 197 種 に つ い て 水 抽 出 、エ タ ノ ー ル 抽 出 を 行 い 、そ れ ぞ れ の 抽 出 物 の α- グ ル コ シ ダ ー ゼ 、 α -ア ミ ラ ー ゼ の ス ク リ ー ニ ン グ を 行 っ た 。 抽 出 物 原 液 で 50 ％ 以 上 の 阻 害 活 性 を 示 し た も の は 数 段 階 の 希 釈 溶 液 を 調 製 し 、 阻 害 活 性 を 測 定 し て I C5 0（m g/ mL ） 値 を 算 出 し た 。 抽 出 物 原 液 で 50 ％ 以 上 の 阻 害 の な か っ た も の は 「 − 」 と 表 記 し た 。 α- グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 活 性 ス ク リ ー ニ ン グ の 結 果 は Tabl e. 3 、 Fig .4 に 示 し た 。 α - ア ミ ラ ー ゼ に つ い て は Table.4 に 示 し た 。そ の う ち 阻 害 活 性 の 強 い 上 位 30 種 を Fi g.5 に 示 し た 。 1. α -グ ル コ シ ダ ー ゼ に 対 す る 阻 害 作 用 抽 出 液 原 液 で 5 0 ％ 以 上 の 阻 害 を 示 し た の は 28 種 で あ っ た 。こ れ ら 全 て の 種 で は 熱 水 抽 出 物 に 阻 害 を 示 し 、こ の う ち 5 種 は 熱 水 抽 出 物 、 エ タ ノ ー ル 抽 出 物 と も に 阻 害 活 性 を 示 し た 。 し か し 、 エ タ ノ ー ル 抽 出 物 の み に 阻 害 を 示 す キ ノ コ は 見 当 た ら な か っ た 。ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ 、 ウ ス フ ジ フ ウ セ ン タ ケ 、 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 、 キ ヌ ガ サ タ ケ 、 コ ウ モ リ タ ケ 、 ク ロ カ ワ 、 キ ホ ウ キ タ ケ な ど が 強 い 阻 害 を 示 し た 。 そ の う ち 食 用 の キ ノ コ は 、 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 、 キ ヌ ガ サ タ ケ 、ク ロ カ ワ な ど で あ っ た 。全 体 的 に 熱 水 抽 出 物 に の み 活 性 を 示 す キ ノ コ が 多 か っ た が 、最 も 活 性 の 高 か っ た ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ 、 ウ ス フ ジ フ ウ セ ン タ ケ 、 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 、 キ ヌ ガ サ タ ケ は 熱 水 抽 出 物 、エ タ ノ ー ル 抽 出 物 と も に 阻 害 活 性 が 認 め ら れ た 。ま た 、ド ク ツ ル タ ケ の み 熱 水 抽 出 物 の 方 が エ タ ノ ー ル 抽 出

16 物 よ り も 強 い 阻 害 が み ら れ た 。ま た 、ホ ウ キ タ ケ 科 の キ ノ コ は 全 体 的 に 高 い 阻 害 活 性 を 示 し た 。 シ イ タ ケ 、 ブ ナ シ メ ジ 、 エ ノ キ タ ケ 、 ナ メ コ 、 ツ ク リ タ ケ （ マ ッ シ ュ ル ー ム ）、 エ リ ン ギ 、 マ イ タ ケ 、マ ツ タ ケ な ど 一 般 的 に よ く 知 ら れ て い る 主 要 食 用 キ ノ コ に は 阻 害 活 性 は 認 め ら れ な か っ た 。 2. α -ア ミ ラ ー ゼ に 対 す る 阻 害 作 用 ア ミ ラ ー ゼ 阻 害 を 示 し た の は 、全 て エ タ ノ ー ル 抽 出 物 の み で あ っ た 。43 種 の キ ノ コ が 阻 害 を 示 し た 。ニ オ ウ シ メ ジ 、ク ロ ハ ツ 、 ア ミ ガ サ タ ケ 、ナ ギ ナ タ タ ケ な ど が 強 い 阻 害 を 示 し た 。こ の う ち 食 用 と な る も の で は ニ オ ウ シ メ ジ 、 ク ロ ハ ツ 、 ア ミ ガ サ タ ケ 、 ア ラ ゲ キ ク ラ ゲ な ど で あ っ た 。主 要 食 用 キ ノ コ に は 阻 害 活 性 は 認 め ら れ な か っ た 。 考 察 1. α -グ ル コ シ ダ ー ゼ に 対 す る 阻 害 作 用 阻 害 活 性 を 示 し た の は 全 て 熱 水 抽 出 物 で あ っ た 。よ っ て 、キ ノ コ に 含 ま れ る α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 物 質 は 水 溶 性 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 現 在 、 阻 害 物 質 と し て サ ポ ニ ン 3 9 - 4 1 )_{や ポ リ フ ェ ノ} ー ル 類 4 6 - 4 8 )_{の よ う な 水 溶 性 成 分 が 報 告 さ れ て い る 。 ま た 、 チ オ} 糖 3 7 , 3 8 )_{や ア ザ 糖} 5 2 - 5 5 )_{の よ う な 糖 に 良 く 似 た 構 造 を も つ 阻 害 成 分} も 報 告 さ れ て お り 、こ れ ら は 構 造 的 に 水 溶 性 の 性 質 を 示 す 。今 回 も こ の よ う な 阻 害 成 分 が 存 在 す る の で は な い か と 考 え ら れ た 。 強 い α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 を 示 し た キ ノ コ は 、 ニ セ ア シ ベ ニ

17 イ グ チ 、 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 、 ウ ス フ ジ フ ウ セ ン タ ケ 、 キ ヌ ガ サ タ ケ 、 ク ロ カ ワ 、 コ ウ モ リ タ ケ な ど で あ っ た 。 こ の う ち 、 ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ 、 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 、 ウ ス フ ジ フ ウ セ ン タ ケ 、 キ ヌ ガ サ タ ケ の 4 種 は 他 の 試 料 と は 異 な り 熱 水 抽 出 物 、エ タ ノ ー ル 抽 出 物 と も に 阻 害 活 性 を 示 し た 。特 に 熱 水 抽 出 物 の 方 が エ タ ノ ー ル 抽 出 物 よ り も 強 い 阻 害 を 示 す こ と が 共 通 し て お り 、同 一 の 阻 害 成 分 の 存 在 が 示 唆 さ れ た 。I C5 0は 最 も 阻 害 活 性 の 高 か っ た ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ で 水 抽 出 物 0.0 9m g/m L 、 エ タ ノ ー ル 抽 出 物 0.28 mg/ mL で あ っ た 。ク ロ カ ワ 、コ ウ モ リ タ ケ の 2 種 は 熱 水 抽 出 物 の み に 活 性 を 示 し た 。I C5 0 は コ ウ モ リ タ ケ 水 抽 出 物 で 1. 53m g/ mL で あ り 上 記 4 種 よ り も 活 性 が 弱 か っ た 。こ の 2 種 の キ ノ コ に は 異 な る 阻 害 成 分 の 存 在 が 示 唆 さ れ た 。ム ラ サ キ イ モ よ り 分 画 さ れ た ア ン ト シ ア ニ ン の I C5 0は 0 .35 − 2.49 mg / mL2 9）、ニ ガ ウ リ 抽 出 物 の I C5 0 は 2 .6 − 1 2.0 mg/ m L3 2）_{、 ト チ ノ キ 種 皮 よ り 分 画 さ れ た サ ポ ニ ン の} IC5 0 は 6.9 − 320 μg/m L4 1）と 報 告 さ れ て い る 。 こ れ ら と 比 較 し て も 、今 回 の ス ク リ ー ニ ン グ で 阻 害 が 認 め ら れ た キ ノ コ は 強 い 阻 害 成 分 を 含 有 し て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ 、阻 害 成 分 の 検 索 は 価 値 が あ る と 思 わ れ た 。 現 在 ま で に 、 キ ノ コ の α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 成 分 と し て キ ヌ ガ サ タ ケ よ り α - ホ モ ノ ジ リ マ イ シ ン（Fi g.1 ）、ツ バ フ ウ セ ン タ ケ よ り 7 -o- β -D - グ ル コ ピ ラ ノ シ ル - α - ホ モ ノ ジ リ マ イ シ ン （F ig.2 ） が 報 告 4 9 )_{さ れ て お り 、 さ ら に ク ワ 葉 よ り 同 じ} ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 で あ る 1- デ オ キ シ ノ ジ リ マ イ シ ン が 報 告 さ れ て い る （Fig . 3 ）4 2 - 4 4）_{。 そ こ で 、 強 い 阻 害 活 性 を 示 し た キ ノ} コ に つ い て 、こ の 3 種 の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の 検 索 を 行 な う こ と と し た 。ま た 、ホ ウ キ タ ケ 科 の キ ノ コ は 全 体 的 に 強 い 阻 害 を 示

18 し た 。同 科 で あ る た め こ れ ら に は 同 一 の 阻 害 成 分 の 存 在 が 示 唆 さ れ た が 、ホ ウ キ タ ケ 科 の キ ノ コ は 毒 性 が あ る 種 が 多 い た め 、今 後 有 用 活 用 す る こ と が 難 し い と 考 え ら れ 、こ れ 以 上 の 阻 害 成 分 の 検 索 は 行 わ な か っ た 。 2. α -ア ミ ラ ー ゼ に 対 す る 阻 害 作 用 α - ア ミ ラ ー ゼ 阻 害 作 用 を 示 し た の は 、 全 て エ タ ノ ー ル 抽 出 物 で あ り 、熱 水 抽 出 物 に 阻 害 を 示 さ な か っ た こ と か ら 、阻 害 成 分 は 脂 溶 性 成 分 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。し か し 、ア ミ ラ ー ゼ 阻 害 の 最 も 強 か っ た ニ オ ウ シ メ ジ の I C5 0 は 1 .34 mg/ mL で あ り 、 α -グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 ス ク リ ー ニ ン グ で 最 も 強 か っ た ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ の 0.09 mg / mL 、 後 述 の リ パ ー ゼ 阻 害 ス ク リ ー ニ ン グ で 最 も 高 か っ た ハ イ イ ロ シ メ ジ の 0 . 118 mg/ mL に 比 べ る と 、 1/1 0 以 下 と 弱 く 、今 回 測 定 し た キ ノ コ の ア ミ ラ ー ゼ 阻 害 作 用 は 注 目 に 値 す る も の で は な い と 考 え ら れ た 。ま た 、食 用 栽 培 キ ノ コ に は 阻 害 が 認 め ら れ な か っ た 。

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第 ２ 節 山 菜 、 ハ ー ブ 類 の α -グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 活 性

ス ク リ ー ニ ン グ

実 験 方 法 1 . 試 料 試 料 に は 、購 入 し た 山 菜 、ハ ー ブ 類 計 48 種 を 使 用 し た（ Ta ble.5 ）。 可 食 部 以 外 を 除 去 し た 後 、 冷 凍 、 凍 結 乾 燥 し た も の を 粉 砕 し 、 密 封 し て 冷 蔵 保 存 （4℃ ） し た 。 ス ク リ ー ニ ン グ の 方 法 、 α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 活 性 の 測 定 方 法 は 前 節 と 同 様 で あ る 。 結 果 結 果 は Tabl e.6 に 示 し た 。48 種 の う ち 原 液 で 阻 害 が 認 め ら れ た も の は 10 種 の み で あ っ た 。 ま た 、 阻 害 活 性 を 示 し た の は 全 て 熱 水 抽 出 物 で あ り 、 エ タ ノ ー ル 抽 出 物 は 阻 害 が 認 め ら れ な か っ た 。 最 も 高 い 阻 害 活 性 を 示 し た の は フ キ ノ ト ウ で あ り 、 I C5 0 は 1.37 mg/ mL で あ っ た 。 考 察 α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 活 性 の ス ク リ ー ニ ン グ で は 、 熱 水 抽 出 物 に の み 阻 害 が 認 め ら れ 、エ タ ノ ー ル 抽 出 物 は 阻 害 を 示 さ な か っ た 。 最 も 阻 害 活 性 の 高 か っ た の は フ キ ノ ト ウ で あ っ た が 、I C5 0

20 は 1 .37 mg/ mL で あ り 、 全 体 的 に 高 い 阻 害 活 性 は 認 め ら れ な か っ た 。 ま た 、 特 に 特 定 の 科 に 阻 害 が 認 め ら れ な か っ た 。 し か し 、 フ キ ノ ト ウ と フ キ （ 茎 ） は と も に 活 性 が 認 め ら れ 、 同 一 の 阻 害 成 分 の 存 在 が 考 え ら れ た が 、 フ キ （ 葉 ） に は 活 性 が 認 め ら れ ず 、 活 性 成 分 が フ キ の 植 物 体 の 中 で 異 な る 分 布 を し て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。 α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 物 質 と し て 水 溶 性 ポ リ フ ェ ノ ー ル が 多 く 報 告 さ れ て い る 2 9 , 3 0 , 4 6 - 4 8 )_{。 山 菜 に は ポ リ フ ェ ノ ー ル 化 合} 物 を 主 体 と す る ア ク 成 分 が 多 く 、ア ク 抜 き を 行 わ な け れ ば 食 用 に 適 さ な い も の が 多 い 。つ ま り 、ア ク 抜 き を 行 う と 有 用 な 水 溶 性 成 分 が 流 出 し て し ま う こ と に な る 。そ の 中 で フ キ ノ ト ウ は ア ク 抜 き を し な い で も 食 す る こ と が で き る 山 菜 で あ り 、 α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 成 分 を そ の ま ま 摂 取 す る こ と が で き 、 有 効 な α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 食 品 と す る こ と が で き る と 考 え ら れ た 。 今 回 ス ク リ ー ニ ン グ を 行 っ た 4 8 種 の う ち 、 カ モ ミ ー ル は 川 端 ら 5 7）_{に よ り α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 を 示 す こ と が 報 告 さ れ て い る 。} し か し 、今 回 の ス ク リ ー ニ ン グ で は カ モ ミ ー ル は 阻 害 活 性 を 示 し た が 、 さ ほ ど 強 い 阻 害 で は な か っ た 。 こ れ は 、 川 端 ら は 50 ％ メ タ ノ ー ル で 抽 出 を 行 っ て お り 、 本 実 験 で は 熱 水 、100 ％ エ タ ノ ー ル で 抽 出 を 行 っ て い る た め 、抽 出 溶 媒 の 影 響 に よ る も の だ と 考 え ら れ る 。

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第 ３ 節 植 物 性 食 品 中 の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の 検 索

及 び 定 量

１ ） キ ノ コ 試 料 中 の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の 検 索 及 び 定 量 実 験 方 法 1. α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 を 有 す る キ ノ コ 試 料 中 の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の L CMS に よ る 検 索 ス ク リ ー ニ ン グ に 使 用 し た も の と 同 一 の 試 料 粉 末 2 g に 70 ％ エ タ ノ ー ル 50 mL を 加 え 、 30 分 間 還 流 加 熱 抽 出 を 行 な っ た 。 そ の 後 冷 却 し 、 ろ 過 し て 抽 出 液 を 得 た 。 残 渣 は さ ら に 2 回 、同 様 の 操 作 を 繰 り 返 し て 抽 出 を 行 っ た 。全 て の ろ 液 を 合 わ せ ロ ー タ リ ー エ バ ポ レ ー タ ー で 濃 縮 乾 固 し た 。こ れ を エ タ ノ ー ル に 再 溶 解 し て 5 0m L に 定 容 し 、 0 .2 μ m の メ ン ブ ラ ン フ ィ ル タ ー で ろ 過 し て L CMS に よ る 分 析 に 供 し た 。 な お 、L CMS の 測 定 に は 、 関 東 化 学 工 業 （ 株 ） の L CMS 用 試 薬 を 使 用 し た 。 ま た 、 α-ホ モ ノ ジ リ マ イ シ ン と 7 -o-β -D-グ ル コ ピ ラ ノ シ ル-α -ノ ジ リ マ イ シ ン の 標 準 品 は 北 陸 大 学 浅 野 先 生 よ り ご 提 供 い た だ い た 。1 -デ オ キ シ ノ ジ リ マ イ シ ン は SIG MA 社 製 の 標 準 品 を 使 用 し た 。

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LCMS の 測 定 条 件 は 以 下 に 示 し た 。  装 置

MS: L CT P re mier (Wat ers) HP LC: al lia nce 2 695 (Wa ters)  HP LC 測 定 条 件

カ ラ ム ：T SK gel Ami de-8 0 (2.0 mm ×1 0.0 cm ;TO SO H)

移 動 相 ：6 .5m mo l/ L 酢 酸 ア ン モ ニ ウ ム を 含 む 81 ％ ア セ ト ニ ト リ ル 流 量 ：0. 2mL /mi n カ ラ ム 温 度 ：4 0 ℃ 注 入 量 ：10 μ L  MS 測 定 条 件 ESI 法 Ca pill a ry Volta ge s： 2 000 V

Desolva tio n Tem pe rat ure ： 30 0 ℃ Ga s Fl ow ： 350 L/ hr

Mode ： Posi tiv e I on W O pti cs

Sca nni ng Ma ss：m/z100-1000 Am u： 3s/ sca n

23 2. ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の L CMS に よ る 定 量 αホ モ ノ ジ リ マ イ シ ン は 0. 01 、0. 1 、0. 2 μ m ol/ L 水 溶 液 、7 o -β-D-グ ル コ ピ ラ ノ シ ル -α -ホ モ ノ ジ リ マ イ シ ン は 0 . 01 、0. 1 、0. 2 、 1 μ mol/L 水 溶 液 を 調 製 し 、 定 量 用 標 準 溶 液 と し た 。 測 定 は 上 記 の 測 定 条 件 で L CMS に よ り 行 い 、 シ ン グ ル イ オ ン プ ロ ッ ト の マ ス ク ロ マ ト グ ラ ム の ピ ー ク 面 積 に よ り 検 量 線 を 作 成 し た 。こ の 結 果 、良 好 な 直 線 性 が 得 ら れ た の で 、キ ノ コ 抽 出 物 中 の 定 量 を 行 な っ た 。 結 果 1. α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 を 有 す る キ ノ コ 試 料 中 の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の L CMS に よ る 検 索 α-グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 活 性 が 最 も 強 か っ た 6 種 の キ ノ コ 、 ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ 、 ウ ス フ ジ フ ウ セ ン タ ケ 、 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 、 キ ヌ ガ サ タ ケ 、 ク ロ カ ワ 、 コ ウ モ リ タ ケ に つ い て 、 α- グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 作 用 が 報 告 さ れ て い る α- ホ モ ノ ジ リ マ イ シ ン （ 以 下 HNJ ） と α -ホ モ ノ ジ リ マ イ シ ン の 7 位 の 炭 素 に β 型 の D -グ ル コ ー ス が グ リ コ シ ド 結 合 し た 7 -o - β -D - グ ル コ ピ ラ ノ シ ル - α - ホ モ ノ ジ リ マ イ シ ン(以 下 gluco-HNJ )、 さ ら に ク ワ 葉 よ り 単 離 さ れ た 1-デ オ キ シ ノ ジ リ マ イ シ ン（ 以 下 DN J ）の 検 索 を 行 っ た 。分 析 は 、 凍 結 乾 燥 キ ノ コ 粉 末 を 70 ％ エ タ ノ ー ル で 抽 出 し 、 親 水 性 相 互 作 用 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー （HIL IC） 用 カ ラ ム TSKg el Ami de-80 装 着 の LCMS（ TO F -MS）で 行 っ た 。こ の 条 件 で 、α -ホ モ ノ ジ リ マ イ シ ン 、7 -o-β -D -グ ル コ ピ ラ ノ シ ル -α -ホ モ ノ ジ リ マ イ シ ン の 標

24 準 品 は そ れ ぞ れ リ テ ン シ ョ ン タ イ ム 5.5 分 、12.1 分 に 検 出 さ れ た （Fig. 6 ）。 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 抽 出 物 （Fi g.7 ） で は HNJ の [M+ H]+_m/z194 の マ ス ク ロ マ ト グ ラ ム で 標 準 品 と 同 じ リ テ ン シ ョ ン タ イ ム に ピ ー ク が 現 れ た 。 ま た 、gluco-HNJ の [M+ H]+_{m/z356 の マ ス ク ロ マ} ト グ ラ ム で 標 準 品 と 同 じ リ テ ン シ ョ ン タ イ ム に ピ ー ク が 現 れ た 。 さ ら に 、 こ れ ら の ピ ー ク の 元 素 分 析 を 行 っ た と こ ろ HN J ； C7H1 6NO5 ， 分 析 値 m/z194.1022 、 理 論 値 m/z194.1028 、 gluco -HNJ ； C1 3H2 6N O1 0， 分 析 値 m/z 356.1531 、 理 論 値 m/z 356.1 557 と 元 素 組 成 が 一 致 し た 。 ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ 抽 出 物 で は[M+ H]+_{の m/z 194 の ク ロ マ ト} グ ラ ム 、[M+ H]+m/z 356 の ク ロ マ ト グ ラ ム で そ れ ぞ れ 標 準 品 と 一 致 す る リ テ ン シ ョ ン タ イ ム に ピ ー ク が 現 れ た 。元 素 分 析 の 結 果 で も そ れ ら が そ れ ぞ れ HNJ 、 gl uco -HNJ で あ る こ と を 支 持 し て い た （Fig .8 ）。 ウ ス フ ジ フ ウ セ ン タ ケ 抽 出 物 で も 同 様 に ピ ー ク が 現 れ た の で 、2 種 の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 で あ る と 同 定 し た（ Fi g.9 ）。 キ ヌ ガ サ タ ケ 抽 出 物 で は[M+ H]+m/z 194 の ク ロ マ ト グ ラ ム に ピ ー ク が 現 れ HNJ が 確 認 さ れ た 。し か し 、[M+ H]+_{の m/z 356 の ク} ロ マ ト グ ラ ム で は 、 リ テ ン シ ョ ン タ イ ム 12. 1 分 の ピ ー ク は ノ イ ズ が ひ ど く 、 検 出 限 界 以 下 で あ っ た （Fig. 10 ）。 今 回 、α-グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 の 強 か っ た 6 種 の キ ノ コ の う ち 、 水 抽 出 物 、エ タ ノ ー ル 抽 出 物 と も に 阻 害 活 性 が 認 め ら れ た ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 、 ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ 、 ウ ス フ ジ フ ウ セ ン タ ケ 、 キ ヌ ガ サ タ ケ の 4 種 の キ ノ コ で HNJ と gluco-HNJ が 検 出 さ れ た 。こ れ ら の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 は α- グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 が あ る こ

25 と が 報 告 さ れ て い る 。 ま た 、 ク ワ 葉 よ り 単 離 さ れ 、 阻 害 作 用 が 報 告 さ れ て い る 。D NJ に つ い て も 検 索 を 試 み た が 、6 種 全 て の キ ノ コ で 確 認 さ れ な か っ た 。ま た 、熱 水 抽 出 物 の み 阻 害 が 確 認 さ れ た ク ロ カ ワ と コ ウ モ リ タ ケ で は 全 て の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 が 検 出 さ れ な か っ た 。 2. ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の L CMS に よ る 定 量 ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 が 検 出 さ れ た キ ノ コ に つ い て 、標 準 品 を 用 い て 検 量 線 を 作 成 し た と こ ろ 、 良 好 な 直 線 性 が 得 ら れ た た め 、 ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の 定 量 を 行 な っ た（Fig. 11 ）。結 果 を Tabl e7 、 Fig.1 2 に 示 す 。 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ に は HN J が 0.9 mg/ dry g 、 gluco -HNJ は 1. 2 mg/ dry g 含 ま れ て お り 、 gl uco -HNJ の 方 が 若 干 多 い が 2 種 の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 が ほ ぼ 同 量 含 ま れ て い る と 考 え ら れ た 。 ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ で は HNJ が 2 .1 m g/ dry g 、 gluco -HNJ は 0. 9 mg/ dry g で あ っ た 。 ウ ス フ ジ フ ウ セ ン タ ケ は HNJ が 1 .6m g/ dry g 、 gl uco-HNJ は 0 .7 mg/ dry g で あ り こ の ２ 種 は HNJ の ほ う が gl uco -HNJ よ り も 多 い と 考 え ら れ た 。キ ヌ ガ サ タ ケ で は HN J が 1.3 mg/ dry g 、 gluco-HNJ は 検 出 限 界 程 度 の 微 量 し か 含 ま れ て い な か っ た 。 考 察 キ ノ コ 類 の 血 糖 値 降 下 作 用 に つ い て は 、シ イ タ ケ 4）_{、 ヒ ラ タ ケ} 5）_{、 マ イ タ ケ 3 7 , 6}）_{、 ヤ マ ブ シ タ ケ 11}）_{、 な ど が 報 告 さ れ て い る 。 し} か し 、こ れ ら は ほ と ん ど が 水 溶 性 食 物 繊 維 に よ る 糖 質 吸 収 阻 害 作

26 用 や β - グ ル カ ン の 免 疫 仲 介 能 に よ る 抗 糖 尿 病 作 用 で あ る と さ れ て い る 。 消 化 吸 収 阻 害 と し て は タ モ ギ タ ケ 1 2）_{、 ツ バ フ ウ セ ン タ} ケ 、 キ ヌ ガ サ タ ケ 4 9）_{、 マ ン ネ ン タ ケ 菌 糸 体 5 0}）_{、 メ シ マ コ ブ 菌 糸} 体 5 1）_{が 報 告 さ れ て い る 。 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ で は g l u c o -H N J 、 キ} ヌ ガ サ タ ケ で は H NJ が 活 性 成 分 と し て 報 告 さ れ て い る 。 熱 水 抽 出 物 、エ タ ノ ー ル 抽 出 物 と も に 阻 害 が 確 認 さ れ た ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ 、 ウ ス フ ジ フ ウ セ ン タ ケ 、 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 、 キ ヌ ガ サ タ ケ の 4 種 の キ ノ コ か ら は 、 HNJ と gl uco-HN J の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の 存 在 が 確 認 さ れ た 。 ま た 、LCMS に よ り 、 キ ノ コ 中 の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 の 定 量 を 行 な っ た と こ ろ ツ バ フ ウ セ ン タ ケ に は HN J と gl uco -HNJ が ほ ぼ 同 量 含 ま れ て い た 。ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ 、 ウ ス フ ジ フ ウ セ ン タ ケ は HN J の 方 が 多 く 含 ま れ て い た 。 キ ヌ ガ サ タ ケ で は gl uco -HN J は ほ と ん ど 検 出 さ れ ず 、 キ ヌ ガ サ タ ケ の 阻 害 作 用 の 主 成 分 は HN J で あ る と 思 わ れ た 。 高 崎 ら 4 9 ) _{に よ り キ ヌ ガ サ タ ケ か ら HN J 、 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ か ら} gluco -HNJ が グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 物 質 と し て 報 告 さ れ て い る が 、 そ の 他 の 知 見 は 本 論 文 が 初 め て の も の で あ る 。ま た 、ク ワ 葉 よ り 単 離 さ れ て α-グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 物 質 で あ る D N J も 分 析 を 行 っ た が 、検 出 さ れ な か っ た 。今 回 の 測 定 で の 2 種 の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 の 合 計 量 は 、ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ が 最 も 多 く 3 .0m g /dry g で あ り 、 次 い で ウ ス フ ジ フ ウ セ ン タ ケ 2 . 3mg/ dry g 、 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 2 .1 mg / dry g は ほ ぼ 同 程 度 で あ っ た 。 キ ヌ ガ サ タ ケ は HNJ の み 検 出 さ れ 1 .3m g /dry g と 最 も 少 な か っ た 。ス ク リ ー ニ ン グ の 結 果 も 、ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ が 最 も 活 性 が 高 く 、ウ ス フ ジ フ ウ セ ン タ ケ 、ツ バ フ ウ セ ン タ ケ が 同 程 度 で あ り 、キ ヌ ガ サ タ ケ が 最 も 低

27 か っ た 。 こ れ は α- グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 に ノ ジ リ マ イ シ ン 類 の 存 在 が 起 因 し て い る と い う こ と を 支 持 し て い る と 思 わ れ る 。 Kim ura ら 4 4）_{は ク ワ 葉 中 の DNJ の 定 量 を 行 っ て お り 、ク ワ 葉 凍} 結 乾 燥 粉 末 中 の D NJ 含 量 は 1.0 − 4. 8mg/ g と 報 告 し て い る 。こ れ と 比 較 し て も 、こ れ ら 4 種 の キ ノ コ は ク ワ 葉 に 劣 ら ぬ ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の 給 源 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 糖 吸 収 阻 害 薬 と し て は ア カ ル ボ ー ス 、ボ グ リ ボ ー ス が 治 療 薬 と し て 使 用 さ れ て い る 。 し か し 、 副 作 用 と し て 下 痢 、 鼓 腹 、 腹 部 膨 満 な ど が 報 告 さ れ て お り 、肝 臓 疾 患 死 亡 例 も 報 告 2）_{さ れ て い る 。} ツ バ フ ウ セ ン タ ケ や キ ヌ ガ サ タ ケ は 食 用 と さ れ る キ ノ コ で あ り 、 人 工 栽 培 も 可 能 と な れ ば 糖 吸 収 阻 害 の 機 能 性 食 品 と し て の 利 用 が 可 能 と 思 わ れ る 。 ま た 、熱 水 抽 出 物 に の み 阻 害 活 性 が 見 ら れ た ク ロ カ ワ 、コ ウ モ リ タ ケ で は ノ ジ リ マ イ シ ン 類 は 検 出 さ れ な か っ た 。こ の 2 種 の キ ノ コ は ノ ジ リ マ イ シ ン と は 異 な る 他 の 水 溶 性 の 阻 害 成 分 の 存 在 が 示 唆 さ れ た 。 水 溶 性 α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 物 質 と し て は 、 ア ン ト シ ア ニ ン 、フ ラ ボ ノ イ ド 類 な ど 水 溶 性 ポ リ フ ェ ノ ー ル 類 が 数 多 く 報 告 さ れ て い る 2 9 , 3 0 , 4 6 - 4 8 )_{。 こ れ ら の キ ノ コ も ポ リ フ ェ ノ ー} ル 類 が 関 与 し て い る の で は な い か と 考 え ら れ る 。 キ ノ コ を 科 別 に 分 類 す る と ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 、ウ ス フ ジ フ ウ セ ン タ ケ は ハ ラ タ ケ 目 フ ウ セ ン タ ケ 科 の キ ノ コ で あ り 、ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ は ハ ラ タ ケ 目 イ グ チ 科 、キ ヌ ガ サ タ ケ は ス ッ ポ ン タ ケ 目 ス ッ ポ ン タ ケ 科 で あ っ た 。ク ロ カ ワ は ヒ ダ ナ シ タ ケ 目 イ ボ タ ケ 科 、 コ ウ モ リ タ ケ は ヒ ダ ナ シ タ ケ 目 タ コ ウ キ ン 科 で あ り 、特 に 分 類 と ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の 分 布 と の 関 係 は み ら れ な か っ た 。

28 ２ ） 山 菜 、 ハ ー ブ 類 の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の L CM S に よ る 検 索 実 験 方 法 測 定 試 料 の 抽 出 方 法 と L CMS の 測 定 条 件 は 、 第 1 節 と 同 様 に 行 っ た 。 結 果 ・ 考 察 LCMS に よ る 分 析 の 結 果 、 ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 は 48 種 全 て の 試 料 で 検 出 さ れ な か っ た 。山 菜 は 一 般 的 に ア ク が 多 く 、ポ リ フ ェ ノ ー ル の 多 い 食 品 で あ る 。 山 菜 の α - グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 作 用 は ポ リ フ ェ ノ ー ル 類 に よ る も の と 思 わ れ る 。ま た 、ハ ー ブ 類 は 色 素 が 多 く 含 ま れ て い る 。ア ン ト シ ア ニ ン な ど の 色 素 も 阻 害 作 用 が 報 告 さ れ て お り 、 色 素 の 影 響 も 考 え ら れ た 。

29 要 約 キ ノ コ 子 実 体 及 び 山 菜 、ハ ー ブ 類 の 熱 水 抽 出 物 、エ タ ノ ー ル 抽 出 物 を 調 製 し 、 α - ア ミ ラ ー ゼ 、 α - グ ル コ シ ダ ー ゼ の 糖 質 消 化 酵 素 阻 害 活 性 ス ク リ ー ニ ン グ を 行 っ た 。197 種 の キ ノ コ の α -グ ル コ シ ダ ー ゼ 、 α - ア ミ ラ ー ゼ の 阻 害 活 性 ス ク リ ー ニ ン グ を 行 っ た と こ ろ 、28 種 の キ ノ コ に α -グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 活 性 が 認 め ら れ た 。 こ の う ち 、 ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ 、 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 、 ウ ス フ ジ フ ウ セ ン タ ケ 、 キ ヌ ガ サ タ ケ な ど が 強 い 阻 害 を 示 し た 。43 種 の キ ノ コ に α - ア ミ ラ ー ゼ 阻 害 活 性 が 認 め ら れ た 。 し か し 、 全 体 的 に 活 性 は 弱 く 、今 回 測 定 し た キ ノ コ の ア ミ ラ ー ゼ 阻 害 作 用 は 注 目 に 値 す る も の で は な い と 考 え ら れ た 。 山 菜 、 ハ ー ブ 類 48 種 の 、α -グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 活 性 ス ク リ ー ニ ン グ を 行 っ た 。10 種 の 試 料 が 阻 害 活 性 を 示 し た 。 し か し 全 体 的 に 活 性 は 弱 か っ た 。 LCMS に よ り 、 強 い α -グ ル コ シ ダ ー ゼ 阻 害 を 示 し た 6 種 の キ ノ コ と 48 種 の 山 菜 、 ハ ー ブ 類 の ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 の 検 索 を 行 っ た 。 ニ セ ア シ ベ ニ イ グ チ 、 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 、 ウ ス フ ジ フ ウ セ ン タ ケ 、 キ ヌ ガ サ タ ケ の 4 種 の キ ノ コ に α -ホ モ ノ ジ リ マ イ シ ン と 7 -o- β -D - グ ル コ ピ ラ ノ シ ル - α - ホ モ ノ ジ リ マ イ シ ン が 検 出 さ れ た 。 定 量 を 試 み た と こ ろ 、 ノ ジ リ マ イ シ ン 総 量 で 1.3 − 3.0m g/ dry g で あ っ た 。 こ れ は 、 ク ワ 葉 中 の ノ ジ リ マ イ シ ン 含 量 と 比 較 し て も 遜 色 な い 量 で あ り 、こ れ ら の キ ノ コ は ノ ジ リ マ イ シ ン の 良 い 給 源 に な る と 思 わ れ た 。 山 菜 、 ハ ー ブ 類 は 4 8 種 全 て で ノ ジ リ マ イ シ ン 類 縁 体 は 検 出 さ れ な か っ た 。

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第

2 章 キ ノ コ 類 の リ パ ー ゼ 阻 害 活 性

緒 言 現 在 、 欧 米 型 食 生 活 に よ る PF C バ ラ ン ス の 偏 り や 慢 性 的 運 動 不 足 な ど に よ り 、脂 質 摂 取 量 や 摂 取 エ ネ ル ギ ー は 増 加 し 、消 費 エ ネ ル ギ ー は 減 少 し て お り 、こ れ に よ り 肥 満 者 数 は 増 加 傾 向 に あ る 。 肥 満 は 生 活 習 慣 病 と の 関 連 が 問 題 視 さ れ て お り 、ま た 、脂 肪 分 布 の パ タ ー ン に よ っ て 、代 謝 に 及 ぼ す 影 響 が 知 ら れ て い る 。特 に 内 臓 脂 肪 型 肥 満 が イ ン ス リ ン 抵 抗 性 や 動 脈 硬 化 な ど と 密 接 に 関 係 し て い る 。 そ こ で 、 生 活 習 慣 病 の 予 防 、 改 善 を 目 的 と し て 抗 肥 満 作 用 、血 中 中 性 脂 肪 上 昇 抑 制 作 用 の あ る 食 品 が 開 発 さ れ 、種 々 の 食 品 が 特 定 保 健 用 食 品 と し て 認 可 を 受 け て い る 。こ の う ち「 食 後 の 血 中 中 性 脂 肪 が 上 昇 し に く い ま た は 身 体 に 脂 肪 が つ き に く い 」 と い う 表 示 が 許 可 さ れ て い る 食 品 の 機 能 性 成 分 と し て は 、コ ー ヒ ー 豆 マ ン ノ オ リ ゴ 糖 、 茶 カ テ キ ン 、EPA・ D HA、 中 鎖 脂 肪 酸 、 烏 龍 茶 重 合 ポ リ フ ェ ノ ー ル な ど が あ る 。コ ー ヒ ー 豆 マ ン ノ オ リ ゴ 糖 は 食 物 繊 維 と し て 働 き 、消 化 管 内 で の 脂 質 排 出 作 用 が 報 告 さ れ て い る 5 8） 。 茶 カ テ キ ン は 体 脂 肪 及 び 食 餌 性 脂 質 燃 焼 促 進 作 用 5 9） 、 EPA･ DHA は 肝 臓 で の 中 性 脂 肪 と リ ポ タ ン パ ク 質 の 合 成 と 分 泌 を 抑 制 す る こ と に よ っ て 血 中 脂 質 を 低 下 さ せ る と さ れ て い る 6 0）_。 ま た 、 中 鎖 脂 肪 酸 の 多 い TG は 消 化 管 内 で リ パ ー ゼ に よ る 消 化 を 受 け る 際 、中 鎖 脂 肪 酸 は 低 分 子 で あ る た め 、ミ セ ル を 形 成 す る こ と な く 血 中 に 直 接 吸 収 さ れ る 。す な わ ち 、脂 質 に 再 合 成 さ れ ず に エ ネ ル ギ ー と な る の で 体 脂 肪 を 増 加 さ せ な い と さ れ て い る 6 1）_。

31 烏 龍 茶 重 合 ポ リ フ ェ ノ ー ル は 膵 臓 よ り 分 泌 さ れ る リ パ ー ゼ の 働 き を 阻 害 し 、 脂 質 の 消 化 、 吸 収 を 阻 害 す る こ と に よ り 、 腸 管 か ら の 脂 肪 吸 収 を 抑 制 す る も の で あ る 6 2 - 6 4）_{。 今 回 は こ の リ パ ー ゼ 阻} 害 作 用 に つ い て 注 目 し 、新 た な リ パ ー ゼ 阻 害 作 用 の あ る 食 品 を 検 索 し 、 そ の 阻 害 成 分 の 検 索 を 行 う こ と を 目 的 と し た も の で あ る 。 食 品 中 の リ パ ー ゼ 阻 害 物 質 に つ い て は 、 薬 草 6 5 , 6 6）_{、 海 藻 6 7}）_、 な ど の ス ク リ ー ニ ン グ が 行 な わ れ て い る 。薬 草 の ス ク リ ー ニ ン グ で は 、 ヤ マ モ モ 、 ハ ナ ス ゲ が 強 い 阻 害 を 示 し た と 報 告 さ れ 、 海 藻 で は イ チ イ ヅ タ の 阻 害 作 用 が 強 く 、そ の 阻 害 成 分 は カ ウ レ ル ペ ニ ン と 同 定 さ れ て い る 。 ま た 、 シ ョ ウ ガ 6 8）_{、 セ ー ジ 6 9}）_{、 乳 酸 菌 7 0}） な ど の 阻 害 作 用 も 報 告 さ れ て い る 。 そ の 他 に は 、 サ ポ ニ ン 7 1 , 7 2） や ヘ ス ペ リ ジ ン 7 3）_{な ど の ポ リ フ ェ ノ ー ル 類 の 阻 害 が 報 告 さ れ て} い る 。 キ ノ コ で は 、ブ ナ シ メ ジ の 血 中 中 性 脂 肪 低 下 作 用 に つ い て 報 告 7 4）_{が あ る が 、こ れ は 肝 臓 内 で の 脂 質 代 謝 亢 進 作 用 に よ る も の で 、} 消 化 酵 素 阻 害 作 用 で は な い 。キ ノ コ の 糖 質 消 化 酵 素 阻 害 作 用 に つ い て は い く つ か 報 告 4 , 5 , 4 9 - 5 1） さ れ て い る が 、脂 質 消 化 酵 素 阻 害 作 用 に つ い て の 報 告 は み あ た ら な い よ う で あ る 。本 研 究 で は キ ノ コ 子 実 体 の リ パ ー ゼ 阻 害 作 用 の 検 討 を 行 い 、さ ら に 阻 害 の 認 め ら れ た キ ノ コ の 阻 害 成 分 の 検 索 を 目 的 と し た 。

32 第 １ 節 リ パ ー ゼ 阻 害 活 性 ス ク リ ー ニ ン グ 実 験 方 法 1. 試 料 第 １ 章 と 同 じ 試 料 を 用 い た 。 2. ス ク リ ー ニ ン グ 試 料 の 調 製 第 １ 章 と 同 様 に 行 っ た 。 3. リ パ ー ゼ 阻 害 活 性 の 測 定 方 法 リ パ ー ゼ 阻 害 の 測 定 法 は Bi to u ら 6 7）_{の 方 法 を 一 部 改 変 し て 行} な っ た 。

酵 素 溶 液 は ブ タ 膵 リ パ ー ゼ （Ela stin P ro duct s 社 ； L397 ） を リ ン 酸 緩 衝 液 （pH 7.4 ）に 溶 解 し 、5 U/mL に 調 製 し た も の を 使 用 し た 。 基 質 は 4 -メ チ ル ウ ン ベ リ フ ェ リ ル -オ レ イ ト を 使 用 し た 。 マ イ ク ロ プ レ ー ト セ ル に 試 料 溶 液 2 5μ L 、0.1 mm ol/ L 4-メ チ ル ウ ン ベ リ フ ェ リ ル-オ レ イ ト 50 μ L を と り 、酵 素 溶 液 25 μ L を 加 え て 反 応 を 開 始 し た 。37 ℃ 、 30 分 間 反 応 さ せ 、 0.1 mol /L ク エ ン 酸 ナ ト リ ウ ム 10 0 μ L に て 反 応 停 止 後 、生 成 し た 4 -メ チ ル ウ ン ベ リ フ ェ リ ン を 励 起 波 長 3 20 nm 、 蛍 光 波 長 4 50 nm で 蛍 光 強 度 を 測 定 し た 。 阻 害 活 性 は 以 下 の 式 に て 算 出 し た 。 な お 、 阻 害 の 強 さ は IC5 0（ 反 応 液 中 で 50 ％ 阻 害 を 示 し た と き の 乾 燥 試 料 粉 末 量 （mg/ mL ）） に て 評 価 し た 。

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Inhibi tion(%)= 1 0 0− (Sa m ple − Bla nk)／ (Cont rol − Blank)×10 0 Sam pl e ： ス ク リ ー ニ ン グ 試 料 を 加 え た 場 合 の 蛍 光 強 度 Cont rol ： 水 を 加 え た 場 合 の 蛍 光 強 度 Bla nk： 酵 素 反 応 さ せ て い な い 場 合 の 蛍 光 強 度 結 果 ス ク リ ー ニ ン グ の 結 果 は Tabl e.8 に 示 し た 。原 液 で 5 0 ％ 以 上 の 阻 害 の な か っ た も の は 「 − 」 と 表 記 し た 。 そ の う ち 阻 害 活 性 の 最 も 強 い 上 位 30 種 を Fi g.13 に 示 し た 。 ス ク リ ー ニ ン グ し た 197 種 中 1 95 種 の キ ノ コ の エ タ ノ ー ル 抽 出 物 が 50 ％ 以 上 の 阻 害 を 示 し た 。 特 に 強 い 阻 害 を 示 し た の は 、 ハ イ イ ロ シ メ ジ 、 タ モ ギ タ ケ 、 ツ バ フ ウ セ ン タ ケ 、 ク サ ハ ツ 、 ク ロ カ ワ 、コ ウ モ リ タ ケ な ど で あ っ た 。最 も 阻 害 活 性 の 強 か っ た の は ハ イ イ ロ シ メ ジ で I C5 0 は 0. 118 m g/mL で あ っ た 。 ま た 、 栽 培 さ れ て い る 市 販 キ ノ コ の タ モ ギ タ ケ が 次 い で 活 性 が 高 く I C5 0 は 0.121 mg /mL で あ っ た 。 し か し 、 熱 水 抽 出 物 の 場 合 は 、 抽 出 液 原 液 で 50 ％ 以 上 の 阻 害 を 示 し た の は 、 ニ ガ イ グ チ モ ド キ 、 ク ロ カ ワ 、 コ ウ モ リ タ ケ 、 キ オ ビ フ ウ セ ン タ ケ の 4 種 の み で あ っ た 。最 も 活 性 の 高 か っ た ニ ガ イ グ チ モ ド キ の I C5 0 は 0.17 1m g/m L で あ っ た 。

主 要 食 用 キ ノ コ の み を 抜 粋 し 、Tabl e.9 、 Fig .14 に 示 し た 。 マ ツ タ ケ は 栽 培 で き な い 野 生 キ ノ コ だ が 、一 般 的 に よ く 知 ら れ て お り 、市 場 に も 流 通 し て い る キ ノ コ で あ る た め 表 に 加 え た 。主 要 市 販 キ ノ コ も エ タ ノ ー ル 抽 出 物 の み に 活 性 が 認 め ら れ た 。タ モ ギ タ