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インプラント周囲炎を惹起してから 1 ヶ月毎に 4 ヶ月間 放射線学的周囲骨レベル probing depth clinical attachment level modified gingival index を測定した 実験 2: インプラント周囲炎の進行状況の評価結紮線によってインプラント周囲

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Academic year: 2021

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学位論文の内容の要旨

論 文 提 出 者 氏 名 MADI Marwa Ibrahim Khalil Ibrahim

論 文 審 査 担 当 者 主査 和泉雄一

副査 山口朗 寺島達夫

論 文 題 目

The Influence of different implant surface modifications on peri-implantitis progression and treatment

(論文内容の要旨) (緒言) 近年インプラントの骨結合を促進するためにインプラント表面を様々に改変したインプラント が開発され、インプラントの臨床成績は著しく向上した。現在、骨結合型の歯科インプラント(以 下インプラント)を用いた補綴治療(以下インプラント治療)は確実な治療法となっている。一 方で、長期症例においてインプラント周囲組織が炎症性に破壊される「インプラント周囲炎」が 大きな問題となっている。特に、骨結合を促進する目的で表面改変されたインプラントは、イン プラント周囲炎に罹患し易く、その進行も早いことが報告されている。さらに、インプラント表 面改変の手法として、骨と親和性の高いハイドロキシアパタイト(HA)をインプラント表面にコー ティングしたインプラントは、骨結合が速いため初期の臨床成績に優れるが、長期の臨床性成績 に劣ることも報告されている。 そこで、インプラントとして代表的な表面処理である「機械研磨」と「サンドブラスト酸エッ チング処理」、さらに HA コーティングとして代表的な「プラズマ溶射 HA コーティング」、そし て最近臨床応用された薄さ 1-µm の「スパッタリング HA コーティング」の4種類の表面処理の 異なるインプラントにおいて、インプラント周囲炎の発症とその進行が異なるかを明らかにする 目的で、イヌを用いて実験をおこなった。インプラントをイヌの下顎に埋入し、インプラント周 囲炎を惹起させ、放射線学的および組織学的に評価をおこなった。 (方法) 本研究の動物実験は、東京医科歯科大学実験動物委員会の承認を得ておこなった。 9 匹の雌ビーグル成犬を用い、抜歯およびインプラント埋入手術は、全身麻酔および局所麻酔 下でおこなった。下顎両側小臼歯を抜歯し、3 ヶ月後に 72 本の 4 種類の異なる表面性状(機械研 磨、サンドブラスト酸エッチング、薄さ 1-µm スパッタリング HA コーティング、プラズマ溶射 HA コーティング)のインプラントをランダムに埋入した。インプラントを埋入して 3 ヶ月後に、 結紮線を用いインプラント周囲炎を惹起した。 実験1:インプラント周囲炎の惹起とインプラント周囲炎初期の状況の評価 - 1 -

(2)

インプラント周囲炎を惹起してから、1 ヶ月毎に 4 ヶ月間、放射線学的周囲骨レベル、probing depth 、clinical attachment level、modified gingival index を測定した。

実験2:インプラント周囲炎の進行状況の評価

結紮線によってインプラント周囲炎を惹起した 9 匹のイヌの 6 匹のイヌにおいて、4 ヶ月後に 結紮線を除去して、その後のインプラント周囲炎の進行を 5 ヶ月間評価した。具体的には、放射 線学的周囲骨レベル、probing depth、 clinical attachment level、modified gingival index を評価した。 実験3:インプラント周囲炎による骨欠損の種類と大きさの評価 インプラント周囲炎を惹起した 9 匹のイヌの中の4匹では、進行したインプラント周囲炎にお ける骨欠損の種類と大きさを評価した. 外科処置により歯肉を剥離し、インプラント周囲炎によ る骨欠損を直接肉眼で評価し、骨欠損の大きさを測定した。 実験4:インプラント表面性状の変化と周囲組織の評価 インプラント周囲炎を惹起し、その 4 ヶ月後に結紮線を除去し、さらに 5 ヶ月後に、イヌを屠 殺し、インプラント表面性状の変化と周囲骨組織の評価を組織学的に行った。 (結果と考察) 実験1:インプラント周囲炎の惹起とインプラント周囲炎初期の状況の評価 全てのインプラントにおいて、インプラント周囲炎が惹起された。インプラント周囲炎を惹起 してから 4 ヶ月後の放射線学的な観察では プラズマ溶射 HA コーティングのインプラントの周 囲において、他のインプラントに比較して顕著に周囲骨の減少が起きた。骨吸収量は、プラズマ 溶射 HA コーティングで 2.3 ± 0.6 mm、薄膜スパッタリング HA コーティングで 1.4 ± 0.8 mm、 サンドブラスト酸エッチングで 1.2 ± 0.7 mm、機械研磨で 1.3± 0.8 mm であり、プラズマ溶射 HA コーティングのインプラント周囲の骨破壊が最も著しかった。 実験2:インプラント周囲炎の進行状況の評価 結紮線によってインプラント周囲炎を惹起し、その 4 ヶ月後に結紮線を除去してインプラント 周囲炎の進行を、5 ヶ月間評価した。この期間においてすべてのインプラントにおいて probing depth、clinical attachment level の著しい悪化が見られた (p < 0.05)。このインプラント周囲炎の進 行期においても、さらに骨吸収が進行した(機械研磨: 0.2 mm、サンドブラスト酸エッチング: 0.3 mm、薄膜スパッタリング HA コーティング: 0.2 mm、プラズマ溶射 HA コーティング: 0.4 mm)。 インプラント周囲炎が惹起された環境下で、 1µm スパッタリング HA コーティングと機械研磨 とサンドブラスト酸エッチングのインプラントの周囲の組織は同様の反応を示した。薄膜スパッ タリング HA コーティングは骨伝導性に優れる一方で、インプラント周囲炎の進行期おいても、 インプラント周囲の組織破壊が他のインプラントに比較して著しくないことが示された。 実験 3:インプラント周囲炎による骨欠損の種類と大きさの評価 インプラント周囲炎による骨欠損の形態は、噴火口状骨欠損、裂開を伴う骨欠損、水平性の骨 欠損の 3 種類に分類された。クラス1(噴火口状骨欠損)は M, SA, S のインプラント周囲で最も よく観察された. 一方、プラズマスプレーHA コーティングのインプラントにおいてはクラス 2(裂 - 2 -

(3)

開を伴う骨欠損)が観察された。しかし、それぞれのインプラント周囲の骨欠損の深さに、統計 学的有意な差は観察されなかった (P>0.05)。 実験4:インプラント表面性状の変化と周囲組織の評価 インプラント周囲炎を惹起し、その 4 ヶ月後に結紮線を除去し、さらに 5 ヶ月後に、イヌを屠 殺し、インプラント表面性状の変化と周囲骨組織の評価を組織学的に行った。全てのインプラン トにおいてインプラント周囲に骨欠損が存在し、巨細胞を混在した炎症性細胞がインプラント周 囲軟組織で観察された。骨欠損とは対照的に、インプラントに直接接着している薄膜の骨が観察 された。骨とインプラントの組織学的結合を表す bone implant contact ratio の最大値はスパッタリ ング HA コーティングの 98.1%で、最小値は機械研磨インプラントの 70.4%であった。薄膜スパ ッタリング HA コーティングは骨埋入部の先端の 1/3 において完全に吸収され、上部 1/3 の部分に おいてもほとんど吸収されていた。一方、プラズマ溶射 HA コーティングにおいては、完全にコ ーティングされた HA が残っていた。薄膜コーティングされた HA は、骨結合に有利に作用する が、生体内で次第に吸収されることが確認された。薄膜コーティングされた HA のこのようなユ ニークな特徴は、骨と結合した後にインプラント周囲炎が起きた場合においても、有利に作用す ると考えられる。 (結論) これらの一連の実験結果から、インプラント周囲炎を惹起した場合のインプラント周囲組織の 反応は、インプラントの表面性状によって異なることが示唆された。特に、インプラント周囲炎 の進行において、薄膜(1 µm)スパッタリング HA コーティングしたインプラントと、プラズマ溶 射 HA コーティングしたインプラントは異なることが明らかとなった。 - 3 -

(4)

論文審査の要旨および担当者

報 告 番 号 甲 第 4562 号 MADI Marwa Ibrahim Khalil Ibrahim

論文審査担当者 主 査 和泉雄一

副 査 山口朗 寺島達夫

論 文 題 目 The Influence of different implant surface modifications on peri-implantitis progression and treatment

(論文審査の要旨) 現在、骨結合型の歯科インプラント(以下インプラント)を用いた補綴治療(以下インプ ラント治療)は確実な治療法となっている。インプラント治療が盛んにおこなわれる一方で、 長期症例においてインプラント周囲組織が炎症性に破壊される「インプラント周囲炎」が大き な問題となっている。特に、骨結合を促進する目的で表面改変されたインプラントは、インプ ラント周囲炎に罹患し易く、その進行も早いことが報告されている。さらに、インプラント表 面改変の手法として、骨と親和性の高いハイドロキシアパタイト(HA)をインプラント表面にコ ーティングしたインプラントは、骨結合が速いため好んで使用さているが、その長期予後が危 惧されている.このような臨床的な状況を考慮し、インプラントの表面改変がインプラント周 囲炎の惹起と進行に及ぼす影響を明らかにする目的で、本研究を計画したことは高く評価でき る。 本研究においては、代表的な表面処理である「機械研磨(M)」と「サンドブラスト酸エッチ ング処理(SA)」、さらに HA コーティングとして代表的な「プラズマ溶射 HA コーティング (P)」、 そして最近臨床応用された薄さ 1-µm の「スパッタリング HA コーティング(S)」の4種類の表 面処理の異なるインプラントが実験に用いられた。これらのインプラントをイヌの下顎に埋入 し、結紮線をインプラント上部に巻くことで、インプラント周囲炎を惹起させた(実験1)。 さらに、インプラント周囲炎を惹起させた後に、結紮線を除去し、インプラント周囲炎の進行 の違いについて評価した(実験2)。そして、進行したインプラント周囲炎における骨欠損の 種類と大きさを評価した(実験3)。さらにインプラント表面性状の変化と周囲組織の評価を おこなった(実験4)。 これらの実験において、臨床的なパラメーターに加えて、放射線学的にインプラント周囲骨 の吸収量を定量し、さらに組織学的な観察と定量をおこなっている。これら一連の実験におい て、使用された材料、インプラント周囲炎の動物実験モデル、解析方法は適切に選択されてい る。 これらの実験において以下の結果を得た。 (1) 全てのインプラントにおいて、インプラント周囲炎が惹起されたが、インプラント周囲 炎を惹起してから 4 ヶ月後の放射線学的な観察では プラズマ溶射 HA コーティングのインプ ラントの周囲骨の減少が、他のインプラントに比較して顕著であった。骨吸収量は、プラズマ ( 1 )

(5)

溶射 HA コーティングで 2.3 ± 0.6 mm、スパッタリング薄膜 HA コーティングで 1.4 ± 0.8 mm、 サンドブラスト酸エッチングで 1.2 ± 0.7 mm、機械研磨で 1.3± 0.8 mm であった。

(2) 結紮線によってインプラント周囲炎を惹起し、その 4 ヶ月後に結紮線を除去してインプ ラント周囲炎の進行を、5 ヶ月間評価した。この期間においてすべてのインプラントにおいて probing depth、clinical attachment level の著しい悪化が見られた。放射線学的解析結果から、進 行期においてさらに骨吸収が進行することが明らかになった。 (3) インプラント周囲炎による骨欠損の形態は、噴火口状骨欠損、裂開を伴う骨欠損、水平 性の骨欠損の 3 種類に分類された。クラス1(噴火口状骨欠損)は機械研磨、ブラスト酸エッ チング、薄膜スパッタリング HA コーティングのインプラント周囲で最もよく観察された。一 方、プラズマ溶射 HA コーティングインプラントにおいてはクラス 2(裂開を伴う骨欠損)が 観察された。しかし、それぞれのインプラント周囲の骨欠損の深さに、統計学的有意な差は観 察されなかった。 (4) インプラント周囲炎を惹起し、その 4 ヶ月後に結紮線を除去し、さらに 5 ヶ月後に、イ ヌを屠殺し、インプラント表面性状の変化と周囲骨組織の評価を組織学的に行った。全てのイ ンプラントにおいてインプラント周囲に骨欠損が存在し、巨細胞を混在した炎症性細胞がイン プラント周囲軟組織で観察された。骨とインプラントの組織学的結合を表す bone implant contact ratio の最大値はスパッタリング薄膜 HA コーティングの 98.1%で、最小値は機械研磨イ ンプラントの 70.4%であった。スパッタリング薄膜 HA コーティングは骨埋入部の先端の 1/3 において完全に吸収され、上部 1/3 の部分においてもほとんど吸収されていた。一方、プラズ マ溶射 HA コーティングにおいては、完全にコーティングされた HA が残存していた。 以上の実験結果は、論文中に明確に提示されており、実験結果に対する考察は論理的に適切 になされていた。 これらの研究結果から、インプラント周囲炎を惹起した場合のインプラント周囲組織の反応 は、インプラントの表面性状によって異なることが示された。また、スパッタリング薄膜 HA コーティングしたインプラントにおいては、プラズマ溶射 HA コーティングしたインプラント に比較して、インプラント周囲炎の進行が遅れることが明らかになった。インプラント治療が 広くおこなわれる一方で、長期症例におけるインプラント周囲炎の発症が大きな問題となって いる。そのため、動物実験を用いてインプラント表面性状とインプラント周囲炎の誘発と進行 について明らかにした本研究は、インプラント臨床に有用な情報を提供し、歯科医学の発展に 大きく貢献すると考えられる。よって、博士(歯学)の学位請求論文として十分価値あるもの と認められた。 ( 2 )

参照

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