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比較宗教学概論Ⅱ 比較宗教学、残された課題群へ 『金枝篇』

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2018/6/5

1 比較宗教学概論Ⅱ

比較宗教学、残された課題群へ

『金枝篇』

20180608 九州大学 飯嶋秀治 [email protected]

本日の講義内容

• 本日の講義内容

• 前回の復習

• 聖書を持つ宗教

• 『金枝篇ー比較宗教学研究』

• 成熟について

前回の復習

シラバス

• 出席:1/3以上の出席で試 験受験可能(15点)

• レポート:毎回

[email protected] へ 感想・質問を提出(15点)*

当日提出

• 試験:(全て持ち込み可)講 義の概要をまとめ(20点)、

自ら設問した(20点)うえで 自らが体験した具体的な事例 を考察せよ(20点)

学問:関心の経緯・それを支える方法

生まれようとしている発達課題

• 人は現在に生きている(これ から生きるためにもう生きた 体験を活かす/もう生きたこ とからこれからも生きる)

• 未整理のことを整理すること でより自らを成長させる

先行研究の探し方

メディア表象とそれを支える世界

• 世界の中の日本 • 戦争・国債・貯蓄

メディアの投資構造

①日本テレビ←読売新聞

②Tokyo Broadcasting System←毎日新聞

③フジテレビ←ニッポン放送(サンケイ・グループ)

④テレビ朝日←朝日新聞

⑤テレビ東京←日本経済新聞

言語メディア圏 日本語

映像メディア圏 テレビ局(FBS福岡放送、RKB毎日放送、TNCテレビ西

日本、KBC九州朝日放送、TVQ九州放送)

文字メディア圏 新聞(西日本新聞)

大株主

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2018/6/5

2

世界のキリスト教、日本のキリスト教 世界の仏教、日本の仏教

学問(含比較宗教学)は解釈と責任を伴う

•【意訳】私たちが大学で探求するものと は諸個人である。その諸個人とは、世界 がその当初の見かけ以上に複雑であると 知るだけではなく、その複雑さゆえに、

解釈的な決断がなされねばならないと知 る諸個人の探求である。判断の決定とは 実際的な帰結を伴い、その帰結のために は人がその責任を取らねばならならず、

専門家ではないからというごまかしで逃 れられないかもしれない責任である。

聖典を持つ宗教学

『比較宗教学の誕生』

(日本語版)

•Thomas Aquinas (1225-1274)

1266-1273『神学大全』

•Benedictus De Spinoza(1632- 1677) 1670『神学・政治論』

•Hermann Samuel Reimarus(1694-1768) 1774-1778『匿名者の断章』

•Friedrich Max Müller(1823-1900) 2014(1856)『比較神話学』

2014(1873)『宗教学序説』

「非常な好条件が続いたおかげで、古代世界の主要な宗 教のうち三つの聖典が最近復元された―ヴェーダ、ゼン ド・アヴェスター、三蔵仏典である。しかし、こうして バラモン教徒、ゾロアスター教徒、仏教徒の古代宗教を 研究するための最も真正なる文書に接することが可能に なっただけではない。ギリシア、ローマ、テュートン、

スラヴ、ケルトの神話の真の起源を発見することにより、

これらの民族の聖伝における、真に宗教的な要素を、そ れらの周囲を取り巻く神話的外殻から切り離し、古代 アーリア世界の真の信仰について、より明確な知見を得 ることも可能になったのである」[ミュラー 2014(1867):153-154]

『セム族の宗教』

•Julius Wellhausen(1844-1918年) 1887年『異教徒アラブの残骸』

•William Robertson Smith (1846-1894年) 1941(1889)『セム族の宗教』

「供儀食の中に直接表現されている唯ひとつの ことは、神とその礼拝者とが『共食者』であ るということで、彼らの相互関係の他の全て の点はこれが包含することのうちに含まれて いるのである。共に食にあづかる者共は、あ らゆる社会的効果のために結合せしめられて いる。共に食にあづからぬ者は、宗教上の親 交もなく、互恵的な社会的意義も負わずして、

相互に敵対関係に立っている」[スミス1943

(1894):88]

「セム族の動物供儀の主要観念は、神に捧げら れる貢ぎ物のそれではなくして、共食の行動 のそれであり、神と人とが神聖な生贄の肉と 血をともに摂取することによって結合すると いうのである」[スミス1943(1894):22]

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2018/6/5

3

『金枝篇-比較宗教学研究』

James George Frazer (1854-1941)

「[W・]マンハルトが出版した著作の中でもっとも重要な のは、まず第一に二つの小冊子、『ライ麦の狼とライ麦の 犬』と『穀物霊たち』である。…彼は着実に研究を進め、

一八七五年には主著『ゲルマン民族およびその近隣の種族 における樹木崇拝』を出版した。これに一八七七年の『古 代の森の祭祀と野の祭祀』が続く。『神話学研究』は彼の 死後、一八八四年に出版された」[フレイザー 2003(1890)a:14]

「マンハルトに多くを負っているものの、私はそれ以上に 多くを、友人のW・ロバートソン・スミス教授に追ってい る。古代社会史に対してわたしが最初に興味を抱いたのは、

E・B・タイラー博士の著作[『未開文化』]に刺激されての ことで、それは、以前のわたしであれば夢想だにしなかっ た精神の展望を切り開いてくれた。…最近の著書『セム族 の宗教』でさらに展開された見解は、宗教の歴史的研究に 新たな始まりをしるしづけるものであり、またその広大無 辺な影響力は、本書においても見いだされることだろう。

実際、わたしの論文の中心概念、殺される神という概念は、

この友人から直接来ているものだと思う」[フレイザー 2003(1890)a:14]

『金枝篇―比較宗教学研究』(1890年)

The Golden Bough:A Study in Comparative Religion

•第1章 森の王 第1節 アリキアの木立 第2節 太古の人間と超自然的なるもの 第3節 人の姿を取った神々 第4節 樹木崇拝 第5節 古代の樹木崇拝

•第2章 魂の危機 第1節 王と祭祀のタブー 第2節 魂の本質 第3節 王と祭祀のタブー(承前)

•第3章 神殺し 第1節 聖なる王を殺すこと 第2節 樹木霊を殺すこと 第3節 死神を追放すること 第4節 アドニス 第5節 アッティス 第6節 オシリス 第7節 デュオニソス 第8節 デメテルとプロセピナ 第9節 リテュエルゼス

•第3章 神殺し(承前) 第10節 動物としての穀物霊 第11節 神を食すること 第12節 神聖な動物を殺すこと 第13節 害悪の転移 第14節 害悪の追放 第15節 スケープゴートたち 第16節 メキシコの神殺し

•第4章 金枝 第1節 天と地の間 第2節 バルトル 第3節 民話における外在の魂 第4節 習俗における外在の魂 第5節 結び

•補遺初収穫の献納

問題

• 問題

「この聖なる木立にはある種の木が生えており、

その木の周りでは、昼日中、そしておそらく は夜中まで、奇妙な姿がうろついているのが 目にされたことだろう。この男は抜き身の剣 を手にし、いつ何時に襲われるかもしれない といった様子で、用心深くあたりを見回して いた。彼は祭司であり殺人者であった。そし て彼が探している男は、遅かれ早かれ彼を殺 し、彼の代わりに祭司職に就くことだろう。

これがこの聖所の掟であった。祭司職を志願 する者は、現在の祭司を殺すことによっての み、その職に就くことができる。そして殺し てしまえば彼は、より強く狡猾な男に彼自身 が殺されるときまで、その職に就いているこ とができる。」[フレイザー2003(1890)a : 20]

「[もともとはクリミアの]この半島の岸辺に上陸 した者はだれでも、ディアナ女神の祭壇で生 贄に捧げられた、と言われている。だがイタ リアに移し替えられると、儀式は穏やかな形 式となった。ネミの聖所の中には、枝を折っ てはならないある種の木が生えていた。逃亡 奴隷だけが、もし可能ならば、一本の枝を切 ることが許されていた。この試みに成功すれ ば、祭司と決闘する権利が与えられ、もし彼 が祭司を殺せば、代わりに彼が森の王の称号 を得、支配権を握った。伝説の主張するとこ ろによれば、この運命の枝はアエネアスが黄 泉の国への危険な旅に乗り出す前に、巫女の 命により折りとった、黄金の枝であった。」

[フレイザー2003(1890)a :22]

「答えなければならない問は二つある、第一に、

なぜ祭司は前任者を殺さなければならないの か? そして第二に、なぜ殺す前に、『黄金 の枝』を折り取らねばならないのか?本書 は以下、これらの問いに答える試みとな る。」[フレイザー2003(1890)a:25]

方法と主題

• 方法

「民衆の迷信と農民の風習は、その断片的な性格に も関わらず、先史アーリア人の原始宗教に関して 現在われわれが手にすることができる、最も充実 した、もっとも信頼のおける証言である。」[フレ イザー2003(1890)a :12]

「現存の伝統・伝説から供給される証言と比べれば、

初期の宗教を扱った古書が証明してくれることは 非常に少ない。というのも、文学は思想を前進さ せるもののその速度は早く、このため、緩やかに 前進することしかできない口頭の言葉による意見 は、距離を隔てたはるか彼方に置き去りにされて しまうからである。」[フレイザー2003(1890)a : 12]

「今日のヨーロッパにおいて、口頭のことばによっ て継承されてきた迷信的な信仰や慣習は、概して、

アーリヤ民族の古代文学のほとんとで描写されて いる宗教よりも、はるかに古い形状を備えてい る。」[フレイザー2003(1890)a :12]

• 呪術

「太古の人間には別の概念もあった。自然の法則とい う近代以後の観念の、萌芽とみなせるかもしれない 観念、すなわち、自然とは個人的な媒介者が立ち 入ってくることなどない不変の秩序の中で生起する 一連の出来事である、という自然観である。ここで 言う萌芽は共感呪術と呼びうるものに存する。…共 感呪術の原理のひとつは、どのような効果もそれを 真似ることで生み出される、というものである。」

[フレイザー2003(1890)a :30]

「石はなんらかの神聖な状態にあるとみなされていよ う。雨を得るためにバラントンの泉に十字架を浸す という、ときおり行われる風習からわかる。この風 習は明らかに、石に向かって水を掛けるという古い 方法の代用だからである。」[フレイザー 2003(1890)a :12]

「シャム[タイの旧名]の一地方バッタンバンでは、長 い旱魃によって米の収穫が危ぶまれる場合、統治者 はいきりたってひとつの塔に行き、雨を求めてブッ ダに祈る。請願の後…塔の背後の平地に移動する。

彼らはここで人形を作り、明るい色の服を着せて平 地の中央に置く。…太鼓と鉦と爆竹の騒音で供覧状 態となった象たちは、御者に突き棒で追い立てられ、

人形に突進しこれを粉々に踏みつぶす。こうすれば やがてブッダは雨をもたらす、とされている」[フ レイザー2003(1890)a :12]

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2018/6/5

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考察と結論

• 結論

「日頃は厳密な『タブー』によって過度に防衛を 張り巡らされているものであるが、逆に少しで も老衰の兆しを見せれば、まだ生命力の溢れて いる時期に、早めに殺さなければならない。そ うしてその命を、次の若い身体に移し替えなけ ればならない。ここで当初の第一の問いに回答 が得られる―『聖なる王』は、樹木や動物の生 命を維持するために、非業の死を遂げなければ ならないのである。」[フレイザー 2003(1890)b:496-497]

「オーク[樫の木]に生えたヤドリギは、オークが葉 を落とした後でも青々と繁っている。ここから、

ヤドリギはオークの生命、民話に見られた『外 在の魂』のように、樹木に『外在』する命と考 えられたのではないか。ならばネミの祭司を殺 す際に折り取らなければならない『金枝』とは、

オークの生命であり魂である、ヤドリギのこと だったに違いない―これが第二の問への解答と なる。」[フレイザー2003(1890)b:498]

• タブー

「王の全生命は、もっとも微細な部分に至るまで 統制の取れたものでなければならず、そのため彼 の振る舞いは、それが自発的なものであれ不本意 なものであれ、確立されている自然の秩序を、乱 しあるいは転覆させる可能性がある。この類に属 する君主の典型が、日本の霊的な皇帝『ミカド』

あるいは『ダイリ』である」[フレイザー 2003(1890)a :164]

「超自然的な力を与えられているロアンゴの王た ちについては、王が強ければ強いほど、彼の守ら なければならないタブーも多くなる、と言われて いる。それは、立ったり歩いたり、食べたり飲ん だり、また眠ったり目覚めたりという、あらゆる 王の行動を規定するものである」[フレイザー 2003(1890)a :170]

成熟について

宗教学の術語

• 呪術と禁忌のまとめ

• 呪術論のその後

ブラニスラウ・マリノフスキー

『西太平洋の遠洋航海者』

呪術・儀礼

祈り・聖典 呪術 共感呪術 Sympathetic magic

類感(模倣)呪術imitative magic 感染(接触)呪術contagious magic

参照文献

• 上山安敏2005『宗教と科学―ユダヤ教とキリスト教の間』岩波書店

• フレイザー、ジェームスG.2003(1890)a『初版金枝篇(上)』吉川信訳 ち くま学芸文庫

• フレイザー、ジェームスG.2003(1890)b『初版金枝篇(下)』吉川信訳 ち くま学芸文庫

• ミュラー、フリードリヒ・マックス2014『比較宗教学の誕生―宗教・神 話・仏教』山田仁史ほか訳 国書刊行会

• ロバートソン=スミス、ウィリアム1941(1894)a『セム族の宗教 前 編』永橋卓介訳 岩波文庫

• ロバートソン=スミス、ウィリアム1943(1894)b『セム族の宗教 後 編』永橋卓介訳 岩波文庫

• ヨナス、ハンス1986(1963)『グノーシスの宗教』秋山さと子・入江良平 訳 人文書院

• Smith,Jonathan Z.1983Imagining Religion:From Babylon to

Jonestown.Chicago U.P.

参照

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