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β-リ ポ 蛋 白 関 本 博 金沢大学医学部第二内科

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(1)臨床 化 学 ・第1巻 第1号(1971)64〜69 《 特 集. β‑リ 関. ポ. 蛋. 本. ・血 清 脂 質 》. 白. 博. 金沢大学医学部第二内科. ま. え. が. き. 以 下 い くつか の β‑リポ蛋 白 の 特 性 を 利 用 し た臨 床 的定 量 法 の概 略 を述 べ て み よ う。 β‑リポ 蛋 白の 定 量 法. β‑リポ 蛋 白は 正常 で は血 清 の総 蛋 白量 の5% 程 度 存 在 す る とい われ て い るが,細 か い 分 析 の. 1)超 遠 心 法1):こ の方 法 は低 比 重 リポ蛋 白の. 数値 につ い て はか な りば らつ きが あ り,必 ず し. 分 離 法 と して,も っ と もひ ろ く用 い られ て い る。. も一 致 し た成 績 は え られ て い な い 。. 測定 原 理 は,各 種 の リポ蛋 白の 重 さに違 いの あ. この 分 画 に は血 中脂質 の 大 部 分 が含 ま れ て お. る こ とを 利用 し,比 重 の違 っ た溶 液 を使 って 超. り,体 内 の 脂 質 の輸 送 に きわ め て重 要 な役 割 を. 遠 心 に よ っ て分 離 す る方 法 で あ る。 しか しな が. 演 じて い る こ とが し られ て い る。. らこの方 法 で は1つ の検 体 の定 量 に も きわ めて. β‑リポ蛋 白の 名称 は,こ の分 画 が 電 気 泳 動 で. 長 時 間 が必 要 で,数 多 く血 清 に つ い て 分 析 を行. β‑グロブ リ ンに近 い移 動 度 を しめす こ とか ら名. な う こ とは むつ か し く,経 済 的 に も決 して 安価. 付 け られ た が,比 重 に よ る分 類 で は1.02〜1.05. な もの で はな い 。 この よ うな い くつ か の点 か ら,. の低 比 重 リポ 蛋 白 〔low density lipoprotein. 本 法 を臨 床 的 に十 分 使 い てな す こ とは 容 易 な て. (LDL)〕. とで はな い。. とよ ばれ,超 遠 心 法 で は そ の浮 上 す る. 度合 か らSf0‑20が 中 心 とな って い る分 画 とそれ ぞれ 同 じ物 質 を意 味 して い る。 従 来 か ら数 多 く行 わ れ て きて い るβ‑リポ蛋 白 の定 量 は,こ. の よ うな い くつ か の表 現 を用 い て. 行 われ て きた。 化 学 の 領 域 や生 物 化 学 の 研 究 と して の 測定 と は異 り,臨 床 的 に用 い られ る定 量 法 の条 件 と し. この方 法 で分 離 され たLDLは,後. で のべ る. 陰 性 荷 電 を もった硫 酸酸 性 多 糖 類 で分 離 した も の とは か な り質 的 に差 が あ り'分 離 操 作 中 に若 干 の 変 性 を来 た す とい う点 で も検 討 の余 地 が 残 され て い る。 2)ク. ロ マ ト グ ラ フ ィー:DEAE‑cellulose. の カ ラム を用 い てLDLの. 単 離 や 純 化 が ここ う. て は'多 少 の精 度 の低 下 は 加 わ って も定 量 性 の. み られ て きてい る。また一 方 で は,デ キ ス トラ ン. あ るか ぎ り簡 易 で,経 済 的 で,数 多 くの検 体 を. 硫 酸 な どのpolyanionを. 短 時 間 内 に 処 理 し うる とい った点 が必 要 な条 件. 画 を,DEAE‑cellulose2)やDEAE. として あ げ られ る。. を用 い てpolyanionと. 用 い て 沈 澱 させ た分 sephadex3). 混入 した 他 の 蛋 白 質 を. 除 去 で きる よ うに な った。 てれ らの方 法 の 分離 能 は きわ め て 良 好 で あ るが定 量 法 として 臨床 検. β‑Lipoprotein HIROSHI 2nd of. SEKIMOTO. Department. of. Internal. Medicine,Kanazawa. Medicine,School. University. Takaramachi'Kanazawa,Japan. 金 沢 大 学 医 学 部 第 二 内 科(金. 体 を多 数 分 析 す るに は あ ま り適 当 な方 法 とは い えな い 。 この よ う低 比重 ポ リ蛋 白 は各 種 の 吸着 剤 に 強 い親 和 性 を も って お り,て の性 質 を利 用. 沢 市 宝 町13番1号). して い くつか の純 化 ・単 離 方 法 が 行 な われ て き て い るが4),い つ れ も手 法 が や や 繁 雑 で 簡 易 な. 64.

(2) β‑リ. ポ. 蛋. 白. 定 量 法 と して はか な らず し も適 当 と は い え な. 硫 酸 基 の数 が 少 な く分 子 量 の小 さい時 は不 溶. い。しか し なが ら将 来,病 態 生 理 学 的 事 項 を 明 ら. 性 の結 合 物 を形 成 して し ま うため 比 濁法6)や 重. か にす る上 で さ らに 細 か いLDL. 量 法 に は 適 応 で きな い 。 また,Mg,Ni,Co,な. subfraction. の分 離 定 量5)が 必 要 とな る よ うな場 合 には て う. どが 存 在 す る場 合 には,不 溶 性 の結 合 物 を形 成. い った方 法 が最 も優 先 して用 い られ る よ うに な. し,一 部 で は 他 の血 清 蛋 白分 画 との結 合 沈 澱 促. る と思 わ れ る。. 進 して しま うた め,濁 度 や重 量 に 影響 を受 け る. 3)電 気 泳 動法:血. 清 リポ蛋 白は ての方 法 に. よ って α‑リポ蛋 白,pre‑β‑リ ポ蛋 白,β‑リ ポ蛋 白 な どに分 離 され た。 ての 測定 原 理 は,リ. ポ蛋. 白 の表 面 を覆 って い る蛋 白質 に よ る荷 電 の 差, あ るい は 支持 体へ の吸 着 の 差 な どを利 用 して分 離 す る方 法 で あ る。 最 近 で は,他. た方 が よい 。Ba,Sr,はLDL,VLDL,と. の結 合. 沈 澱物 を形 成 す る以 外 にpolyanionと. 直接 結. 合 沈 澱 せ しめ て しま うた め に 定 量 性 を悪 くす る か ら反 応 液 中 の てれ らの 陽 イオ ンの 存在 に は, 充 分 留意 す る必 要 が あ る。 ま た てれ らの 硫 酸 酸 性 多 糖 類 は 等 電点 よ り酸. の 章 で 詳 し く述 べ ら るよ うに. β‑リポ蛋 白の 先 に あ らわれ るpre‑β‑リ. ポ蛋 白. の有 無 か ら高 脂血 症 の分 類 が 行 な われ るよ うに な った が これ な どは緩 衝 液 に ア ル ブ ミン を添 加 し濾 紙 へ の 吸 着 を抑 制 し,分 離 が可 能 とな った 例 で あ る。. 性 側 で他 の 血 漿 蛋 白分 画 と も結 合 す るた め反 応 は等 電 点 よ りもア ル カ リ側 で 行 な う 必 要 が あ る。fibrinogenと. も同 時 に結 合 反 応 す るた め. 検 体 は血 清 を用 い る必 要 が あ る。 ての定 量 法 で は検 体 も僅 か で,し か も短 時 間 で反 応 が完 了 し,適 当 な時 間,濁 度 の持 続 が み. この方 法 で α‑,pre‑β‑,β‑,broadβ‑chyro‑ micronな. か らで き るだ け この よ うな金 属 塩 の 混入 は避 け. どの分 画 に 分 け る こ とが 出来 るが絶. られ る こ とか ら比 濁法 の 濁度 の測 定 には 後述 の ご と く簡 易 な チ ャー トを用 い る方 法 と光 電 比 色. 対 量 の 表 示 が むつ か し く,相 対 濃 度 の半 定 量 的. 計 に よ る方 法 が用 い られ て い るが,い つ れ も絶. 表 現 が その 限 界 とな るた め,定 量 精 度 に は 問題. 対 値 の表 示 が 可能 で検 量 曲 線 作 製 時 をの ぞ けば. が あ る。. 全 く手 軽 に定 量 が 可能 で あ る。. 最 近 で は 特 殊 な 支持 体 が数 多 く用 い られ る よ うに な り,不 連 続電 気 泳 動法 な どで は,正 常 人 血 清 で もpre‑β‑リ ポ蛋 白が み とめ られ,だ ん だ ん 分 画 の数 が増 加 して きて お り,リ ポ蛋 白の よ り詳 しい分 析 に今 後 さ らに そ の 適用 が 拡大 され る可 能 性 が強 い。 4)結 合 沈 澱 法,:LDL,VLDL,は. 5)マ. イ ク ロ ネ フ ェ ロ メ リ ー7):こ の 定 量 法 は. 添 加 試 薬 を ほ とん ど使用 しな い で ネ フ ィ ロメ ー タ ー を 用 い,LDLの を 利 用 し,散. 持 つ 光 を 散 乱 させ る 性 質. 乱 の 度 合 か らβ‑リ ポ 蛋 白 の ト リ グ. リセ ラ イ ド を定 量 化 す る方 法 で,食. 餌 に由 来 す. る直 径 の大 きい カ イ ロ ミク ロ ン を除去 す る た め. 陰性 荷電. に,100mμ. の フ ィル タ ー で 濾 過 し た 後,生. 食. の高 分 子 物 質 の稀 薄 な 溶 液 に 強 い 親 和 性 を も. 水 で 稀 釈 し た もの を用 い て 比 濁 計 測 す る。100. ち,結 合 して一 部 不 溶 性 の 沈 澱 物 を形 成 す る。. mμ. の 小 孔 を 持 っ た ミ リ ポ ア フ ィル タ ー を 通. この結 合 能 を 利用 して 沈 澱 物 の 重 量 や 濁 度 を測. す た め,濾. 定 して定 量 が行 なわ れ て い る。 この方 法 で は 高. され て し ま う。 す な わ ち 直 径 が70〜200mμ. 比 重 リポ蛋 白 は結 合 せ ず,Sf0‑20,Sf20‑400の. のsmall. 分. 過 に よ っ て 大 き な β‑リ ポ 蛋 白 は 除 去. particleす. な わ ちbroad‑β. とよ ばれ. 画 が主 と して結 合 不 溶 性 物 質 を形 成 す る。 用 い. る分 画 の 一 部 と カ イ ロ マ イ ク ロ ン が 除 去 され た. られ る陰性 荷 電 の高 分 子 物 質 と して 硫 酸 基 をか. もの(β‑,preβ‑,small. な り数 多 く組 み入 れ た硫 酸 硫 性 多 糖 類 が もっ と. 測 定 す る こ と に な る。 て の 方 法 に よ っ て 産 出. も しば しば 使用 され るが 時 に は 中 性 の 重合 高 分. され る. 子 物 質 の用 い られ る こ と もあ る。. Van. particlesの)一. 部 を. β‑リ ポ 蛋 白 の ト リ グ リセ ラ イ ドは,. Handel. and. Zilversmit法. に よ る化 学 分 65.

(3) 臨 床 化学 ・第1巻. ・第1号(1971). 析 値 に よ く一 致 し8)β‑リポ蛋 白 との 間 に も きれ い な相 関 が あ る9)。 臨 床 的 に は使 い や す い方 法 の 一 つ で あ る。 6)免. 疫 沈 降 法:(immunocrit法),ヒ. ト. β‑リポ蛋 白 に対 す る抗 血 清 と,検 体 と して ヒ ト 血 清 を等 量 混 和 し,毛 細 管 内 に 吸 引 した の ち一 端 を溶融 封 鎖 し越 夜 後遠 心 し,そ の 沈澱 の高 さ か らβ‑リ ポ蛋 白の量 を換 算 定 量 化 す る 方 法 で あ る。測 定 原 理 は沈 降抗 体 と抗 原 の反 応 を利 用 した もの で あ る。 衆 知 の よ うに抗 原 抗 体 反 応 の 最 も好 い 条 件 は抗 原 稀釈,抗 体 稀 釈 の最 適 比 を 見 出す点 に あ るが,こ の方 法 で は す べ て の検 体 につ い て好 い 条 件 づ けが む つか しい と こう に難 点 が あ る。著 者 の試 み た範 囲 で は β‑リポ蛋 白 の 濃 度 が 芝500mg%付. 近 で 沈 澱 量 が 頭 うち に な. り,い わ ゆ る抗 原 過 剰状 態 とな り,病 的 な 高 い 値 で の表 示 が う ま くゆか な い 。 7)そ の 他:上 述 のい くつ か の 方 法 の ほか に 古 くか ら用 い られ て来 てい る もの に塩 析 法 や エ タノー ル分 画 法 な どが あ るが,い ず れ の 方 法 も 操 作が むず か し く,そ の 上,リ. ポ蛋 白に 変 性 を. 惹起 せ し め るた め に臨 床 的 定 量 検 査 には あ ま り 使用 され な い。 b)貯. 蔵 用 デ キ ス ト ラ ン硫 酸 溶 液. デ キ ス ト ラ ン 硫 酸 粉 末500mgを100mlの. β‑リポ 蛋 自の 簡 易定 量 法. 溜 水 に 溶 解 し,stock. solutionと. 蒸. して冷 暗 所 に. 1)デ キ ス トラ ン硫酸 法 保 存 す る。 こ の 際 褐 色 共 栓 付 試 薬 瓶 を 用 い 防 腐. A)比. 濁. 法. 剤 と し て トル エ ン を1〜2滴. 測定 原 理 は 前項 で述 べ た ご と くで あ る。分 析. 添 加 して お く とよ. い。. に 使用 す る デ キス トラ ン 硫 酸 は15〜16%のS 含量 を もち,相. 対 比粘 度0.988〜1.097の. もの. が 良好 な 結 果 を示す ので著 者 らは ての 条 件 に合. c)デ. キ ス トラ ン 硫 酸 測 定 用 試 薬. 貯 蔵 用 デ キ ス ト ラ ン溶 液8.0mlを1.0lの. メ. った もの を用 い て い る。(名 糖 産 業,興 和新 薬. ス コ ル ベ ン に ホ ー ル ピ ペ ッ トを 用 い て 分 取 し,. 販売)測 定 法 の大 略 は 図1に 示 し た。. 前 述 の チ ト ラ ー ト 加 生 食 水 を て れ に 加 え,全. B)測 a)チ. 水 で1.01に. a)検 量 曲 線 の 作成. エ ン 酸 ソ ー ダ(C6H5Na3O7・. 2H2O)2.20549.を. そ れ ぞ れ 秤 量 分 取 し,蒸. 溶 解 す る。. して 使 用 に供 す る。. C)測 定 方 法. ト ラ ー ト加 生 食 水. NaC18.55gク. 66. 量 を1.01と. 定用試薬. 溜. 図1の 右 の 方 法 に よ って 絶 対 値 を算 出 す る。 以下 この 方 法 につ い て述 べ る。 血 清 コ レス テ ロ.

(4) β‑リ. ー ル 値300〜400mg%程. ポ. 度 の高 脂 血 症 の 患 者. 蛋. 白. 易 で よ い。 た とえ ば コ レス テ ロー ル が200mg%. 血 清 を標 準 に用 い る とか な りの重 量 を示 す た め. の プ ー ル血 清 の吸 光 度 がaで. 都 合 が 好 い 。 この血 清 を0.8mlと. 光 度aと. 薬20mlを25cc容. り,測定 用 試. 量 の遠 心管 に と り,充 分 混 和. し たの ち氷 冷水 中 に ひ た し,15分. 後4,000rpm. 20分 間,冷 凍遠 心 し,上 清 をす て た の ち沈 渣 を 氷 冷 蒸 溜 水 で 洗 滌,同. 様 条 件 で 遠 心 上 清 をす. β‑リポ 蛋 白(200×3.3)mgの. 点 と原. 点 とを結 ぶ 直線 で検 量 曲 線 に代 行 して もそ う大 きな差 は認 め られ な い。 デ キ ス トラ ン硫 酸 法 に よ っ て全 量 を秤 量 し作 成 した標 準 曲 線 か ら算 出 され た β‑リポ蛋 白 と 血 清 コ レス テ ロー ル との. て,沈 渣 を再 び 同様 に洗 際 し遠 心 す る操 作 を3. 間 には,図2の. 回 く りか え した の ち,80℃. め られ,デ. で4時 間乾 燥 し,重. あ った 場合 は,吸. ご と くで,き れ い な正 相 関 が 認. キ ス トラ ン硫 酸 法 に よ って 沈 澱 す る. 量 測 定 後 遠 心管 を よ く洗 滌 し全量 を化 学 天 秤 で. β‑リポ蛋 白が コ レス テ ロー ル の担 体 と して きわ. 測 定 し,先 の重 量 か らこの 値 を差 し引 い て 沈澱. め て大 きな部 分 を 占 め て い る こ とが わ か る。. し た リポ蛋 白の重 量 を算 出 し てれ に500を 乗 じ た もの が β‑リポ蛋 白の 血 中 濃 度 とな る。 図1. 比 濁 法 で 留意 す べ き点 は,血 清 は 採 血 分 離 後 1日 以 内 に測 定 す る こ とが の ぞ ま しい 。 凍 結,. 左 側 に記 載 した方 法 に よ って被 検 血 清0.2mlに. 融 解 した 血 清 の β‑リポ 蛋 白 は,デ キ ス トラン. 測 定 用 デ キ ス トラ ン硫 酸 試 薬5mlを 加 え,2 〜3回 ,転 倒 混和,15分 後 に被 検 血清0.2mlに. 硫 酸 との結 合 力 が 弱 くな って い る ため 正 確 な 値. 生 食 水5mlを. は 注 意 が の ぞ ま しい 。. 加 え,同 様 に よ く混 和 した もの を. 光 学 系 のblankと. して用 い 吸光 度 を測 定 す る。. この値 を前 述 の絶 対 値 を対 応 させ 検 量 曲線 を作 成 す る。 b)血. を う る こ とが で きな いか ら,血 清 の 保 存 条 件 に 超 遠 心 法 で分 離 した β‑リポ蛋 白 の 標 品 もデ キ ス トラ ン 硫 酸 との 結 合 能 が 低 下 して い る た め,て の 測定 法 の標 準 物 質 と して 利 用 で きな い。 ま た 測定 す る検 体 に つ い ては 被 採血 者 が24. 漿 リポ蛋 白値 の算 出. 時 間 以 内 に ヘ パ リンや 低 分 子 の 硫 酸 酸 性 多 糖 類 前 項 の方 法 に よ り被 検 血 清0.2mlに キ ス トラ ン硫 酸5.0mlを 15分 後 波 長425nmで. 加 え,よ. 測定用 デ. く 混 和 し,. 吸光 度 を測 定 し,検 量 曲. 線 か ら β‑リポ蛋 白 の量 を算 出 す る。 検 査 室 の都合 で 測定 用 の検 量 曲線 が作 成 困難 な 時 は,血 清 コ レス テ ロー ル の ほ ぼ3.3倍. とし. て,検 量 曲 線 を プー ル した血 清 で作 る こ と も簡. の 注 射 を 受 けてい な い て とが 必 要 で 注 射後 短 時 間 で採 血 した もの で は,β‑リ ポ蛋 白が先 に 注 射 され た硫 酸 酸 性 多 糖 類 と結 合 して い るた め 測定 用 の デ キ ス トラ ン試 薬 を加 え て も,混 濁 を きた さず 測 定 が で きな い 。 ま たfibrinogenが. 完 全 にfibrinに. なって. し ま うま で,充 分 に 時 間 をか けて血 清 を分 離 す る こ とが 必 要 で,fibrinogenの. 残 存 した不 完 全. な血 清 や チ トラー ト,オ キサ ラー トを加 え て採 血 した 血 漿 で は,fibrinogenが. デ キ ス トラ ン. 硫 酸 と反 応 し,沈 澱 ・混 濁 を生 じ るた め正 確 な 測 定 が で きな い。 そ の他,表. 面 活 性 の強 い化 学 洗 剤 が 測 定 器. 具 に残 留 して い る場 合 に もデ キ ス トラ ン硫 酸 と β‑リポ蛋 白 との結 合 が 阻 止 され るか ら,こ うい っ た きわ め て初 歩 的 な点 に も充 分 注 意 す る必 要 が あ る。 著 者 らも化 学 洗 剤 の残 留 で酷 い め に あ っ た こ とが あ る。 最 近 リポ蛋 白 のsubunitの. 一部 に 表面活性 67.

(5) 臨 床 化 学 ・第1巻. ・第1号(1971). 物 質 に よ っ て,容 易 に脂 質 をは な す 分 画 の あ る こ とが 明 らか に され て い るが,お そ ら くこの よ うな分 画 が 測 定 に影 響 を わ よぼ して い る もの と 思 われ る。 ま た比 濁 測 は,試 薬 添 加 後15分 か ら 60分 ま での 濁 度 が 比 較 的 安 定 して い る時 間 に行 な う こ とが の ぞ ま しい 。著 者 らの方 法 と類 似 の 定 量法 も行 な わ れ て い るが,Ca塩. が反 応 溶液. 中 に含 まれ る ため,他 の 血除清 蛋 自分 画 が結 合沈 澱 す るた め に 精 度 もあ ま くな り好 い 方 法 で は な い。 分 光 光 度 計 の な い 場 合 に は,図3の. よ うな簡. 易 な 各 種 の 直 径 を も っ た チ ャ ー トの 前 に10nm の 巾 を持 っ た キ ュ ー ベ ッ トに 前 述 の 測 定 試 薬 を 加 え た反 応 混 液 を 入 れ,小. 円 の配 列 を は っ き り. 判 定 し う る チ ャ ー トの 記 号 を 読 み と る こ と に よ っ て,β‑リ. ポ 蛋 自 の 量 を 算 出 す る変 法 も あ る。. 〔た と え ば,Fの. 配 列 を は っ き り と1つ1つ. を 区 別 し て 見 る こ とが で き る が,Gよ. 表示. 上,Bは,1100〜. で に の べ た が,こ. の方 法. 3βリポ 蛋 白 の 中 性 脂 肪 分 画 が 測 定 し う る 点 で あ それ 以 下とい. っ た 大 ま か な 判 定 が くだ し う る 。)てのFの. 場. 範 囲 に β‑リ ボ 蟹 自 が. あ る とい う こ とに な る〕. Zilversmit法. の 長 所 は 測 定 装 置 が あ れ ば きわ め て 短 時 間 に. 750〜950mg%,Gは,550〜850mg%,Hは,. 合 は,750〜950mg%の. and. 2)β −リ ポ 蛋 白 の 散 乱 光 に よ る ネ フ エ ロ. この 測 定 原 理 は,す. ,Eは,950〜1050mg%,Fは,. 450〜650mg%,Iは,450mg〜. Handel. メ トリー. 1500mg%,Cは,1050〜1300mg,Dは,1000 〜1200mg%. 図4Van. り小 さ. い 直 径 を 持 っ た もの は 不 明 瞭 な 場 合Fと され る 。(Aは,1500mg%以. 円. る 。 測 定 に 先 だ っ て0.1μ の 孔 を 持 っ た メ ン ブ ラ ン フ イ ル タ ー を 用 い て,血. 清 を 濾 過 し,て. よ っ て カ イ ロ マ イ ク ロ とsmall. れに. particleの. 部 除 去 し,食 餌 性 因 子の 影 響 を 除 去 し,内. 一 因性. の β‑リ ポ 蛋 自 の ト ワ グ リセ ラ イ ドを 測 定 す る こ とが で き る。 血 清0.3mlを2.7mlの. 生 食 水 で10倍. 稀釈 し. た もの を メ ン ブ ラ ン フ でル タ ー で 濾 過 し,濾. 液. を ネ フ エ ロ メ ー タ ー(東. キ. 芝 製 ・日 商 販 売)の. ュベ ッ トに 入 れ て 測 定 し,そ. の 数 値 か ら換 算 表. に よ っ て β‑リ ポ 蛋 白 の ト リグ リ セ ラ イ ドを 算 出 す る 。 検 体 を測 定 す る 直 前 に ネ プ エ ロ メ ー タ ー に 付 属 し て い る ポ リス チ レ ン ラ テ ッ ク ス 懸 濁 液 の100%お. よ び50%標. 準液 を用 い て 光電 池. の 安 定 と補 正 を 行 な う必 要 が あ る。 この型 式 の ネ フ エ ロ メー ター を用 い る場合 検. 図3 68. 体 の 液 面 の 泡 は,下. 方 か ら来 る光 に 対 し て 乱 反.

(6) β‑リ. ポ. 蛋. 白. 射 し散 乱 光 の 測定 に悪 影 響 を お よ ぼす か ら測 定. 療 を行 な うこ とが で きる。 ま た この 分 画 の 減少. 時 に は,エ ー テ ル蒸 気 に よ って,消 泡 しな けれ. す る疾 患 に は 甲状 腺 機 能 充進 症,肝 硬 変 症,栄. ば正 確 な 値 は 得 られ な い。 ま た,測 定 試 験 管 底. 養 失 調,無 β‑リポ蛋 白血 症 な どが あ げ られ るが. か ら液面 ま で の 距離 の短 か い た め,液 面 か らの. 幼 児 ・思 春 期 で は一 般 に成 人 に 比 してか な り低. 反 射 な どに よ る光学 的 な ひ ず み に よ る誤 差 を. い値 を示 す か ら判 定 には 年 令 的 変 化 に注 意 す る. 少 な くす るた め に も,測 定 す る反 応 液 の 量 は. 必 要 が あ る。ま た ネ フ ェ ロメ トリー に よ る高 β‑. 3ml近. くあ る方 が の ぞ ま しい 。 液 量2mlの. 場. リポ蛋 白‑ト. 合 に は 全 く無 相 関 と も思 わ れ る 値 が3mlを. 用. リポ蛋 白 の存 在 を も示 唆 す るか ら,こ れ らの ス. い る こ とに よ って 図4の. よ うに 化 学定 量 法 と,. 実 に み ご とな 相 関 を示 す よ うに な る。 ま た フ ィ. リグ リセ ラ イ ドの 存 在 はpreβ‑. ク リー ニ ン グ に も有 効 な手 段 に な る もの と思 わ れ る。. ル ター を用 い て,濾 過 をす る前 後 で ネ フ ェ ロメ トリーの 値 と化 学 的 定 量 成 績 とを比較 して み て. 文. 献. も濾 過 に よ っ て両 者 の 相 関 が きわ め て きれ い に な る事 実 か ら,濾 過 す る こ とに よ っ て リポ蛋 白 の粒 子 が そ ろ え られ て光 学 的 に定 量 的 に 取 り扱. 1). 2). か わ れ るよ うな状 態 に な る もの と思 わ れ る。 こ の方 法 は,従 来 の β‑リポ蛋 白 の トリグ リセ ラ イ. 3). Gofman,. Biol.. M.. F.. Biol.. R. P.. Stokes,. C. M.,. 4). K.. Cramer:. 5). J. Killander:. Lindgren. &. H.. Elliott:. 179,973(1949). Poullin,. Ann.. Atkeroscler.. え よ う。. F. T.. Ckem.,. J.. ドの 測 定 方 法 に 比 して そ の 簡 略 さ と必要 限 の 定 量性 とい う点 で きわ め て す ぐれ た もの とい. J. W. J.. Vilain,. &. J. L.. Beaumont:. 25,645(1967). A.. Jacobsson Res,. Acta. &. Med. Proc.. K.. W.. Walton:. 7,187(1967) Scand,. Soc.. 121,413(1962). Exp.. Biol.. Med.,115,. 861(1963). 臨 床 的 意 義. 6). 村 上 元 孝,関. 7). B.. β‑リポ 蛋 白 の増 加 は,遣 伝 性 疾 患 で あ る家 族 性 高 脂 血 症 の 場 合 をは じめ とし,ネ フ ロー ゼ,. Med. 8). 甲状 腺 機 能 低 下 症,糖 尿 病,動 脈硬 化症(冠 状 動 脈,大 動 脈,脳 動 脈,そ の 他),脂 質含 量 の多 い 食 餌 摂 取,肝 炎 の初 期 な どに増 加 を きた す が,. 本 博:最. Hood,. W.. 新 医 学22,1727(1967). Szostak. &. G.. Angervall:. Acta. scand.,181,71(1967). M.. C.. T.. B.. Stone, S.. J. M.. Dick:. Thorp,. Clin.. Ckim.. G.. L.. Mills. Acta,. &. 30,809. (1970) 9). M.. C.. Acta,. Stone,. &. J. M.. Thorp:. Clin.. Ckim.. 14,812(1966). この減 少 を指 標 と して,こ れ らの各 種疾 患 の 治. 69.

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