深在性真菌症診断における国内
3種の
(1→3)β―D―グルカン測定試薬の比較
新潟大学大学院医歯学総合研究科呼吸器・感染症内科
番場 祐基 茂呂 寛 永野 啓 袴田真理子 島津 翔 尾方 英至 小泉 健 張 仁美 青木 信将 林 正周 佐藤 瑞穂 坂上亜希子 小屋 俊之 菊地 利明
(平成30年11月15日受付)
(平成31年4月15日受理)
Key words :(1→3)β-D-glucan, invasive fungal infection, false positive
要 旨
[目的]国内
3種の(1→3)―
β―D―グルカン(以下
β―D―グルカン)測定試薬における測定結果と患者の臨床 背景を比較し,深在性真菌症の診断における有用性および試薬間での測定結果の乖離,偽陽性の要因につい て評価する.
[方法]新潟大学医歯学総合病院において
2017年
8月から
2017年
11月にかけて
β―D―グルカン検査が提出された患者を対象とし,測定残余血漿を用いて以下の
3試薬について測定した.(1)ファンギテック
Gテ
スト
MKII「ニッスイ」(以下MKII法),(2)ファンギテック
Gテスト
ES「ニッスイ」(以下ES法),(3)
β―グルカンテストワコー(以下ワコー法).
[成績]171 患者,245 検体が対象となった.深在性真菌症患者は疑診を含め
7例であった.β―D―グルカン 測定値は,同一検体間の比較で
MKII法が最も高く,次いで
ES法,ワコー法の順であったが,互いに有意 に相関していた.感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率などの診断特性は各試薬によって異なっていた.
MKII
法で偽陽性を比較的多く認めたものの,深在性真菌症(疑診含む)診断における
ROC曲線下面積に は有意差はなかった.いずれかの試薬による偽陽性を呈した
14例について,階層型クラスター分析を用い て分類したところ,偽陽性のパターンに一定の傾向が認められた.
[結論]各測定試薬による
β―D―グルカン測定の結果は概ね相関しているが,測定値は大きく異なっており,異なる試薬同士の比較は困難である.深在性真菌症診断における差は小さいが,それぞれの試薬の診断特性 を理解し使用するべきである.また試薬によって偽陽性の原因が異なる可能性が示唆された.
〔感染症誌 93:500〜506,2019〕
序 文
本邦において問題となる深在性真菌症の多くは宿主 の免疫能低下を背景とした日和見型であり,特徴的な 臨床所見を呈さないだけでなく,臨床背景による修飾 を受けるため,その診断は一般に困難である.1995 年,日本で開発された(1→3)―β―D―グルカン(以下
β―D―グルカン)測定法
1)は,深在性真菌症診断におけ る有用な血清診断法としてその地位を確立してきた
2).
国外においても
EORTC/MSG診断基準
3)でも菌学的 基準の一つに採用されており,ムーコル症とクリプト コックス症を除く深在性真菌症への適応が示されてい る.
一方,国内で使用可能な複数の測定キット間では,
いずれの方法もリムルステストを応用しているが,前 処置方法,標準物質,定量方法,カットオフ値などが 異なっているため,その診断性能に違いがあることが 報告されてきた
4)5).近年,新たな
β―D―グルカン測定試薬が登場したことを受け,現在国内で使用可能な
3試薬を用いて臨床検体における
β―D―グルカンを測定 原 著別刷請求先:(〒951―8510)新潟市中央区旭町通1―757 新潟大学医歯学総合研究科呼吸器感染症内科
茂呂 寛
Table 1 Patient characteristics n=171 Age, median (IQR) 65 (47-76)
Male, n (%) 83 (49)
IFI (Definite), n (%) 5 (2.9) IFI (Probable), n (%) 2 (1.2) Under treatment for IFI, n (%) 6 (3.5) IFI (incl. probable)
Candidemia 2
PCP 2
Aspergillus empyema 1
Candida peritonitis 1
Invasive Aspergillosis 1
IFI; invasive fungal infection PCP; Pneumocystis pneumonia
し,深在性真菌症の診断特性を評価した.また患者背 景との比較から偽陽性例について,その原因を検討し た.
対象と方法
新潟大学医歯学総合病院(新潟県新潟市,827 床)
で
2017年
8月から
2017年
11月にかけて院内で深在 性真菌症が疑われ,β―D―グルカン検査が提出された
18歳以上の成人を対象とした.本研究については,同 施設の倫理委員会の審査を受け,承認された(承認番 号
2015-2431).対象患者の血漿中
β―D―グルカンにつき,(1)ファンギテック
Gテスト
MKII「ニッスイ」(日水製薬,以 下
MKII法,カットオフ値
20pg/mL),(2)ファンギテック
Gテスト
ES「ニッスイ」(日水製薬,以下ES法,カットオフ値
20pg/mL),(3)β―グルカンテストワコー(富士フイルム和光純薬,以下ワコー法,カッ
トオフ値
11pg/mL)をそれぞれ用いて測定を行い,同一検体間で測定結果を比較した.
β―D―グルカンの測 定は,エスアールエル(MKII 法)および富士フイル ム和光純薬(ES 法,ワコー法),に委託した.
対象となった症例の臨床背景について,電子カルテ の情報に基づき,年齢,性別,基礎疾患,各検体の培 養結果,使用薬剤について調査を行った.また,β―D―
グルカン検査偽陽性の原因となる可能性がある因子と して
2),セルロース素材の透析膜を用いた血液透析,グ ロブリン製剤など血液製剤の
1カ月以内の使用,
β―D―
グルカン製剤の使用,3 カ月以内の開腹または開胸手 術歴,菌血症,漢方薬の使用の有無について確認した.
深在性真菌症の診断については,国内のガイドライ ンに基づき
2),調査期間内に発症し,真菌学的に真菌 が証明され,臨床経過がこれに矛盾しないものを深在 性真菌症確診例とし,真菌が同定されないが,臨床経 過や検査所見(β―D―グルカンの結果を除く)などが 矛盾しない症例を深在性真菌症疑診例と定義した.こ
の診断結果に基づき,各試薬の深在性真菌症診断(確 診例および疑診例)における診断精度を評価した.こ の際に同一症例の重複を避けるため,複数の検体が採 取された症例においては,うち初回
1検体のみを対象 とし,また
β―D―グルカン測定のタイミングで既に抗真菌薬による治療が開始されていた症例は除外した.
さらに,いずれかの測定試薬のカットオフ値を超え ていながら,深在性真菌症確診例,疑診例に当てはま らない症例を偽陽性例として抽出し,偽陽性例と判定 された症例については,上記の偽陽性の原因について 検討するとともに,各試薬の結果に基づいて偽陽性例 を分類した.
統計解析は
JMP13.2.0(SAS Institute Inc)を用いた.2 変量の相関については
Spearmanの順位相関係 数
rにより評価した.カテゴリー変数の検定は
Fisherの正確検定を用いた.また各試薬における深在性真菌 症診断に対する
ROC曲線を作成し,AUC を算出,比 較した.さらに偽陽性の原因についてデータマイニン グを目的に,階層型クラスター分析(Ward 法)を用 い,各試薬により測定された
β―D―グルカン値の近いもの同士をまとめ,偽陽性例を分類した.有意水準は
p<0.05とした.
成 績 1.対象症例
171
例,245 検体が選択基準を満たし,その患者背
景を
Table 1に示した.疑診例を含め新規に深在性真菌症と診断された患者は
7例(4%)であった.深在 性真菌症確診例は
5例(ニューモシスチス肺炎
1例,
アスペルギルス膿胸
1例,カンジダ菌血症
2例,カン ジダ腹膜炎
1例),疑診例は
2例(ニューモシスチス 肺炎
1例,侵襲性アスペルギルス症
1例)だった.ま た調査期間前より抗真菌薬の投与が開始されていた症 例(以下,既治療例)が
6例含まれていた(慢性肺ア スペルギルス症
3例,アスペルギルス抗原陽性
3例).
2.3
試薬による
β―D―グルカン測定値の相関それぞれの測定試薬間の
β―D―グルカン値を比較し た(Fig. 1).各試薬間に相関を認めたが,ワコー法 と
MKII法が
r=0.82と強い相関を認める一方,ES 法 とワコー法,
MKII法の相関係数はそれぞれ
0.63,0.59とやや低い結果であった.
β―D―グルカン測定 値 は
MKII法が最も高く,次いで
ES法,ワコー法の順で あった.また一部検体で測定値の乖離が認められた.
3.診断特性の比較
既治療例を除外した初回測定検体(165 例,165 検 体)について,各測定試薬のカットオフ値における診 断結果は中程度以上に一致していた(Table 2).また,
各試薬の深在性真菌症(疑診含む)診断における診断
精度を評価した結果(Table 3),いずれの試薬も高い
Fig. 1 Comparison of beta-D-glucan concentration measured by 3 detection kits
Wako method (pg/mL)
MKII method (pg/mL)
ES method (pg/mL)MKIImethod (pg/mL)
y =2.5x-0.2 r =0.63 P<0.0001
y =0.9x-1.1 r =0.59 P<0.0001
y =2.6x+2.3 r =0.82 P<0.0001
ES method (pg/mL)
Wako method (pg/mL)
ES method; Fungitec G Test ES Wako method; Beta-glucan Test Wako MKϩmethod; Fungitec G Test MKϩ
Table 2 Concordance rate of each beta-D-glucan test.
ES Total
Negative Positive
Wako Negative 147 5 152
Positive 5 8 13
Total 152 13 165
κ=0.58
ES Total
Negative Positive
MKII Negative 144 4 148
Positive 8 9 17
Total 152 13 165
κ=0.56
Wako Total
Negative Positive
MKII Negative 148 0 148
Positive 4 13 17
Total 152 13 165
κ=0.85 ES; Fungitec G Test ES Wako; Beta-glucan Test Wako MKII; Fungitec G Test MKII
感度,特異度を有していた.ただし
ES法では
1例の 偽陰性例(カンジダ菌血症)を認めたため感度が低く,
MKII
法ではやや偽陽性が多い傾向を認めた.ただし,
ES
法による偽陰性の
1例はその後採取された検体で
ES法陽性が確認できた.また深在性真菌症(疑診含 む)診断における
ROC曲線を作成し,比較した(Fig.
2)が,いずれもAUC>0.9
と良好な結果であり,有
意差を認めなかった.
4.偽陽性例の分析
いずれかの試薬による
β―D―グルカン偽陽性は
14例,22 検体に認められた.22 検体のうち,期間内で
最初に提出された
14検体を対象とし,3 つの
β―D―グルカン測定値を用いて階層型クラスター分析(Ward
法)を用いて
4つのクラスターに分類した(Fig. 3).
Fig. 2 Receiver Operating Characteristic (ROC) curves of each beta-D glucan detection kit
Area Under Curve (95% CI)
ES method 0.976(0.921- 0.993)
Wako method 0.991(0.961- 0.998)
MKII method 0.992(0.962- 0.998)
p = 0.18
Sensitivity
1- Specificity
ES method; Fungitec G Test ES Wako method; Beta-glucan Test Wako MKII method; Fungitec G Test MKII
Table 3 Comparison of diagnostic efficacy of each beta-D-glucan de- tection kit.
Sensitivity Specificity PPV NPV LR+ LR−
ES 85.7 (6/7) 95.5
(151/158)
46.1 (6/13)
99.3 (151/152)
19.0 0.1
Wako 100 (7/7) 96.2 (152/158)
53.8 (7/13)
100 (152/152)
26.3 0.0
MKII 100 (7/7) 93.6
(148/158) 41.1
(7/17) 100
(148/148) 15.6 0.0 ES; Fungitec G Test ES
Wako; Beta-glucan Test Wako MKII; Fungitec G Test MKII PPV; Positive predictive value NPV; Negative predictive value LR; Likelihood ratio
クラスター
4は
1例のみで,いずれの測定法でも異常 高値であった.これ以外のクラスター
1,2,3について,
各クラスターに含まれる症例における各測定法の陽性 率と測定値の平均,さらにこれまでに知られている
β―D―グルカン偽陽性となる要因の中で該当するものを
Table 4にまとめた.クラスター1
は
MKII法のみが
陽性,クラスター
2は
MKIIと
Wako法が陽性であっ
たが,
ES法の測定値も高い傾向を認めた.クラスター
3は主に
ES法のみが陽性であった.また偽陽性例の
うち
4例は漢方薬を内服していたが,真陰性例(144
Fig. 3 Hierarchical classification of false positives based on measurements with the three kits
Cluster 1
Cluster 2 Cluster 3
Cluster 4
Table 4 The beta-D-glucan value of each measurement kit and false-positive factors in the cluster.
Cluster 1 (n=3)
Cluster 2 (n=5)
Cluster 3 (n=5)
ES Positive cases 0/3 1/5 5/5
Mean±(SD) 7.8±3.1 16.2±2.3 25.8±2.4
Wako Positive cases 0/3 5/5 0/5
Mean±(SD) 6.5±1.3 13.2±1.0 7.4±1.0
MKII Positive cases 3/3 5/5 1/5
Mean±(SD) 34.5±6.2 44.8±4.8 15.4±4.8
Cases with previously reported false-positive factors
2/3 4/5 1/5
・ Intravenous
antibiotics ・ Intravenous
antibiotics ・ Blood product
・ Previous laparotomy
・ Traditional Chinese medicine
・ Traditional Chinese medicine
・ Blood product
・ Esophageal candidiasis ES; Fungitec G Test ES
Wako; Beta-glucan Test Wako MKII; Fungitec G Test MKII
例)と比較すると有意に漢方薬内服患者が多かった(p
=0.004).
考 察
生物学的製剤の使用増加や移植医療の進歩などを背 景に,深在性真菌症の重要性はますます高まっている.
深在性真菌症の確定診断にあたり,原因真菌の分離,
同定が必要とされるが,一方で深在性真菌症を疑う患 者はしばしば重症であり,侵襲的検査が困難であるた め,場合によっては先制攻撃的な治療を要することが 多い.また適切な検体が採取できたとしても,培養の
陽性率が低く,培養時間も長いため結果報告まで時間 を要する.このため血清学的検査,特に真菌の構成成
分である
β―D―グルカン測定の有用性は高く,特に侵襲性カンジダ症や侵襲性アスペルギルス症,ニューモ シスチス肺炎の診断においては,国内外のガイドライ ンで測定が推奨されている
6)7).
β―D―グルカン検査の問題点としては,測定試薬間
の結果の乖離と偽陽性が挙げられる.測定試薬間の比 較としては,ワコー法と現在では供給が停止された ファンギテック
Gテスト
MK(MK法),
β―グルカン テストマルハ(マルハ法)を対象とした複数の調査で,
ワコー法とマルハ法は感度は低いが特異度が高く,
MK
法は感度に優れているという結果が報告されてい
る
4)5).MK 法の後継である
MKII法は
MK法と良好
な相関が得られており
8)9),同様の診断特性を有するも
のと考えられる.一方で,β―D―グルカン測定試薬は
稀少なカブトガニの血液を用いている事情もあり,近
年国内で複数の測定試薬が改良,追加または製造中止
となったことを受け,現在使用可能な測定試薬を対象
とした再評価が必要と考えられた.こうした背景のも
と,本研究では,現在本邦で用いられている
β―D―グルカン測定試薬
3種,MKII 法,ワコー法,ES 法に
ついて,測定値および診断特性,偽陽性の原因につい
て調査した.MKII 法は
MK法と同様に感度が高い一
方でやや偽陽性がやや多く,ES 法とワコー法は特異
度が高い結果であった.ES 法は
MKII法同様にカイ
ネティック比色法による測定試薬であるが,今回の検
討では
MKII法との結果の一致率は一定の水準に留ま
り,むしろその診断特性はワコー法に近いものであっ た.また
ES法と
MKII法はワコー法のそれぞれ
2.5倍,2.75 倍ほどの測定値を呈しており,一部に結果の 乖離を認めることから,各試薬による測定値を直接比 較することは困難と考えられた.深在性真菌症の血清 学的検査にあたり,感度と特異度のどちらを重視すべ きかは,対象とする病態,あるいは施設により異なる.
ゆえに,こうした診断特性の違いから測定試薬の優劣 を判断すべきでなく,特性を把握した上で意識して測 定試薬を使い分けることや,結果の解釈に役立ててい くべきだと考えられる.
次に,β―D―グルカン検査の偽陽性については,免 疫グロブリンなどの血液製剤
10)11),セルロース系透析 膜
12)など,様々な原因が報告されている.前述した環 境や薬剤に含まれる
β―D―グルカン汚染によるものの 他に,検査試薬の非特異的反応による偽陽性が生じる とされている.使用薬剤の検証では,偽陽性例に有意 に漢方薬内服例が多かったことから,これらに含まれ る
β―D―グルカンが偽陽性の原因の一つとなった可能 性がある.
偽陽性例を対象としたクラスター解析の結果では,
試薬ごとの測定結果の違いから
4つのクラスターに分 類可能であった.クラスター
1は
MKII法,クラスター
3は
ES法が全例偽陽性を示す一方,他の試薬の偽陽 性例が限定的であることから,それぞれの試薬特有の 非特異的反応が偽陽性の原因である可能性が示唆され た.これらのクラスターでは,比濁時間分析法による ワコー法の上昇がほとんど認められておらず,カイネ ティック比色法との測定方法の違いに起因している可 能性
13)も考えられた.なお,クラスター
3においては 前述のような既知の
β―D―グルカン偽陽性の要因が5例中
1例しか認められておらず,ES 法が偽陽性とな る未知の要因が存在している可能性が示唆された.一 方,クラスター
2においては,MKII 法とワコー法の 偽陽性に加えて,ES 法でもカットオフ値を超えない 範囲で高値を示す傾向があり,クラスター
4とともに,
使用薬剤の汚染による
β―D―グルカンの混入など,各試薬間で共通の要因が偽陽性の原因として関与してい る可能性が考えられた.今回は少数の偽陽性例が対象 であることから,偽陽性の要因と各測定試薬との関連 については,より多くの症例を用いた検証が望まれる.
本研究のリミテーションとしては,第一に対象症例 において,深在性真菌症と診断された症例が少なかっ た点が挙げられる.このため,各試薬における診断特 性について,感度および陽性的中率を過大または過小 評価している可能性が残される.ただし,β―D―グル カン検査において問題となる偽陽性については,一定 数の症例を確保できたものと考える.第二に症例ごと
に
β―D―グルカン測定のタイミングが異なることが挙げられる.特に,発症ごく早期に採取された検体では
β―D―グルカン値の上昇が十分でなく,ある試薬ではカットオフ値を超えているが,他の試薬ではカットオ フ値をぎりぎり下回るという状況が起こりうる.例え ば
ES法に認められた偽陰性例もその後の測定では カットオフ値を超えており,このことが試薬の感度に 影響を与えている可能性がある.
本研究の結論として,各測定試薬による
β―D―グルカン測定結果は良好な相関を示していたが,測定値そ のものは大きく異なっており,異なる測定試薬間での 比較は困難であると考えられる.深在性真菌症診断に あたり一部に結果の乖離がみられ,各診断試薬の特性 を理解した上で結果を解釈する必要がある.また使用 する試薬によって生じる偽陽性の原因が異なる可能性 があり,注意を要するとともに,今後の知見の蓄積が 期待される.
謝辞:新潟大学医歯学総合病院検査部の中村岳史検 査技師,椎谷恵子検査技師,小林清子検査副技師長,
星山良樹検査技師長に深謝します.
利益相反自己申告:申告すべきものなし
文 献1)Obayashi T, Yoshida M, Mori T, Goto H, Yasuoka A, Iwasaki H,et al.:Plasma (1-->3)- beta-D-glucan measurement in diagnosis of inva- sive deep mycosis and fungal febrile episodes.
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4)茂呂 寛,塚田弘樹,小原竜軌,諏佐理津子,田 邊嘉也,鈴木栄一,他:臨床検体を用いた血中
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11)茂呂 寛,古塩奈央,番場祐基,小泉 健,張 仁美,青木信将,他:静注用人免疫グロブリン 製剤が(1→3)―β―D―グルカン測定結果に及ぼす 影響.感染症誌 2017;91:1―6.
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Comparison Between Three (1→3)-β-D-glucan Measurement Kits in Japan for the Diagnosis of Invasive Fungal Infection
Yuuki BAMBA, Hiroshi MORO, Kei NAGANO, Mariko HAKAMATA, Sho SHIMAZU, Hideyuki OGATA, Takeshi KOIZUMI, Hitomi CHO, Nobumasa AOKI, Masachika HAYASHI,
Mizuho SATO, Akiko SAKAGAMI, Toshiyuki KOYA & Toshiaki KIKUCHI Department of Respiratory Medicine and Infectious Disease,
N II gata University Graduate School of Medical and Dental Sciences
Serum (1→3)-β-D-glucan (BDG) measurement is a useful tool for the diagnosis of invasive fungal infec- tions (IFIs), and is often used. On the other hand, contamination of BDG and nonspecific reactions by the kit can cause false positives. Three BDG measurement kits, Fungitec G test MKII, Fungitec G test ES, and β- glucan test Wako, are available in Japan. However, not only their method of quantification but also their cut- off levels for the diagnosis of IFI are different. To clarify the difference between each kit and verify the causes of false positives, we measured and compared serum BDG levels using these kits.
Measures of diagnostic accuracy varied somewhat among the kits, but the areas under the receiver op- erating characteristic curves of the kits were not significantly different. The results of the cluster analysis suggested that the cause of false positives varies depending on the kit.
Although the difference between each kit in diagnosis of invasive fungal infection is small, we should in- terpret the results of BDG tests considering the characteristics of each kit.