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交通処理方法が歩行者の横断挙動に与える影響に関する研究

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Academic year: 2022

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(1)土木学会第55回年次学術講演会(平成12年9月). Ⅳ-32. 交通処理方法が歩行者の横断挙動に与える影響に関する研究 横浜国立大学大学院. 学生員. 熊井. 大. 横浜国立大学工学部. フェロー. 大蔵. 泉. 横浜国立大学工学部. 正. 員. 中村. 文彦. 1、はじめに モータリゼーションの進展とともに高度化更新が進められてきた信号制御において、既存の交差点施設の 有効利用により、優れた交通制御システムの構築を行なうことができないかという視点から、特に歩行者環境 の確保を目的として研究を行なうことにした。本研究では、現示の変わり目(クリアランス時)における交通 制御方法が歩行者の安全性、円 滑性、快適性に大きな影響を与えると考え、クリアランス時における歩行者の 挙動特性を現象解析を通じて明らかにし、歩行者現示の点滅時や全赤時の設定方法について研究を行なうこと にした。 2、交通現象の観測および、歩行者の挙動の分類 本研究の交通現象の観測は、実際に観測する交差点のビデオ撮影をおこない、それを1/30(コマ/秒)の 再生を用いながら、分析に必要な歩行者の挙動を集計することでおこなっていった。歩行者の挙動の分類とし て、歩行者赤現示開始時に横断歩道上にいた歩行者の割合の分析、現示のタイミング毎における歩行者の横断 歩道上の歩行速度の分析、そしてクリアランス時における全赤現示終了までの停止確率の分析を行なった。停 止確率は歩行者が横断歩道に進入する際の縁石を歩行者にとっての停止線と考えて、各交差点毎の全歩行者数 を分母とし、縁石前後で横断歩道に進入せずに停止した歩行者数との比率として定義した。 3、現示の構成、交差点の構成 現示の変わり目における歩行者の挙動は、歩行者点滅現示の長さによって異なることは科学警察研究所(科 警研)交通規制研究室の研究報告(交通編、40 巻1号)にて示されている。科警研の研究報告においては、 田町の交差点において実験的に歩行者点滅現示を 8 秒から 23 秒に延ばすことによって、歩行者の全赤時にお ける横断歩道内の進入が抑制されることを示されている。本研究では、実際に比較的長い点滅現示で運用され ているニューヨークの計2交差点(横断歩道長は 16m と9m、点滅現示は 10 秒と 16 秒、サイクル長は共に 90 秒)における観測結果に基づいて、科警研で行なわれた分析と比較/検討した。 4、点滅現示方式の効果に関する分析. 14%. 1)全赤現示時に横断歩道上にいた人の割合の比較. 田町事前 12%. 図−1(a)に青点滅秒数を横軸にとった場合、図 広島平均. 10%. 1( b)に青時間中に占める青点滅の比率を横軸に. 東京平均 8%. とった場合の結果を示した。いずれにおいても、点. NY1. 滅時間の比率が大きくなる程、全赤現示開始時にお. 6%. ける横断歩道上にいた歩行者の割合は低くなる傾向. 田町事後. 4%. NY2. が知られた。. 2%. 2)クリアランス時における歩行者歩行速度の比較 0%. 図−2より、丸で囲った田町実験前のクリアランス. 0. 5. 時の歩行速度に比べて、点滅現示を長くした田町の実 験時のものとニューヨークでの交差点 NY2での. 10. 15. 20. 図−1(a). 全赤現示時に横断歩道上にいた歩行者の割合. キーワード:信号制御交差点、歩行者挙動特性 連絡先:〒240‑8501. 横浜市保土ヶ谷区常盤台 79‑5. 25. 青点滅秒数(s). TEL:(045)339‑4039. FAX:(045)331‑1707.

(2) 土木学会第55回年次学術講演会(平成12年9月). Ⅳ-32. 歩行速度は、現示のどのタイミングにおいても低い. 14%. 田町事前. 結果を得た。これは、点滅現示を長くすることによ. 12%. って、クリアランス時の歩行者に進入を抑制する働. 広島平均. 10%. きが生じたため、現示の終了間近に無理をして横断. 東京平均 8%. しようとする歩行者が減少したためと考えられる。. NY1. 3)残り時間に対する歩行者の停止挙動の比較. 6%. 図 3はクリアランス時における全赤現示終了までの. 4%. 田町事後. NY2. 歩行者の停止確率を示したものである。ニューヨーク. 2%. での2交差点を比較することによって、横断歩道長が 0% 0%. 16m で通常の点滅現示の交差点における点における歩. 10%. 20%. 30%. 40%. 50%. 60%. 歩行者青現示時間に対する青点滅秒数の割合(%). 行者よりも、横断歩道長が9m で点滅現示の長い交差. 図−1(b). 点の歩行者のほうがクリアランス時における停止. 全赤現示時に横断歩道上にいた歩行者の割合. 確率の増加が比較的 急激に高い割合なる 4. ことが知られた。これは、通常の点滅現. 3.5. 示における横断歩道長の長い交差点に. NY2. おいて、クリアランス時における歩行者. 事前. 3. 事後. 2.5. が横断に対する判断/選択をおこなう のに時間がかかると考えらる。それに対. 2. し点滅現示の長く、横断歩道長が短い交. 1.5. 差点においては、クリアランス時におけ. 1. る歩行者が横断歩道の進入に対して抑. 0.5 0. 制される効果が考えられる。. -20. -10. 0. 5、結論と今後の課題. 20. 30. 40. 50. 60. 現示のタイミング(s) 図 2. 今回の結果をまとめると以下のよう になる。. 10. 田町と NY2における歩行者歩行速度の比較. 1.2. ・実際に運用されている交差点におい. NY2 全赤 1. て調査することにより、通常より長 0.8. い割合の点滅現示を用いた信号現示 方式の効果が、時間経過による歩行. 0.6. 者の慣れによって効果に与えられる. 0.4. 影響を考慮しても信号現示方式の効. NY1全赤 NY1点滅. 0.2. NY2 点滅. 果として有効であることを示すこと 0. ができた。. 25. 15. 10. 5. 0. 残り時間(s). ・停止確率を調べることにより、通常 より長い割合の点滅現示を用いた信. 20. 図 3. クリアランス時における全赤現示終了までの停止確率. 号現示方式におけるクリアランス時の歩行者の挙動が明確になった。 今後の課題として、通常より点滅現示の長い現示方式の歩行者において、クリアランス時に停止した歩行 者が、次回のサイクルの青現示を待ちきれずに赤現示時において、車両のギャップをついて違反横断を選択す る行動がビデオ観察時にみられた、そのため今後も続けて調査をおこなうことが必要であると考える。 【参考文献】 齋藤. 威、森. 健二、矢野 伸裕:交通錯綜の軽減を意図した歩行者用信号の現示方式に関する一考察、科学. 警察研究所報告(交通編)40 巻1号、1999..

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