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上水汚泥を緑化基盤材としたのり面景観の評価に関する研究

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Academic year: 2022

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上水汚泥を緑化基盤材としたのり面景観の評価に関する研究

日本大学 正会員 〇大木 高公 日本大学 正 会 員 大木 宜章 日本大学 正会員 高橋 岩仁 日本大学(院) 学生会員 木科 大介 日本大学 (院) 源 佳子

1 はじめに

山岳や丘陵地形の多いわが国では、鉄道や道路の建設に伴い、のり面が施工される。こののり面には、一 般にのり面防護工が施工されている。のり面防護工としては、緑化が可能な場合、植生による緑化が行なわ れる。しかしながら、のり面緑化における植生評価指標(特に景観について)は未だ明確化されていない。

本研究では、緑化したのり面と無施工のり面での植生の景観の相違を、スペクトルメーターを用いて評価 するものである。

2 分光反射特性

植物の分光反射特性には次のような特性のあることが知られている。

1) 緑葉では、光合成機能が働いている場合、 680nm付近の波を吸収する

2) 秋期の黄葉、及び、紅葉では、光合成機能領域である680nm付近の波の吸収が低下する 3) 葉の色に関係なく、近赤外域にて反射率が高くなるのは、葉の重なりが多い場合である

3 測定条件

測定に使用したスペクトルメーターはOcean Optics社製のUSB2000 である。この機器は光を電気信号に変換する装置である。

1) 主な仕様

データ出力範囲 波長 340〜 1,025nm、0.38〜0.39nm間隔 2) 測定箇所

a) 緑化のり面

開発により一度手を加えた後、新たに緑化した箇所 b) 無施工のり面(以下「隣接のり面」と記述する)

a)の現場に隣接する、何ら手を加えられていないのり面 図- 1 スペクトルメーター測定模式図

3) 測定対象植生

常緑(寒地)型の草本類とした。この植生選定の主な条件は次のとおりである。

a) 施工後の維持管理を減らすため草丈の低い種類であること

b) 冬枯れする種類は火災の危険性があり、また、冬枯れした状態は景観もよくないので採用しない c) のり面の表層部をしっかりと縛れるように根がよく繁茂するもの

4) 測定方法、及び、解析方法

測定に先立ち、予め、受光部からの光を遮断してダークデータを取得した。次に標準較正白色板からの反 射スペクトルデータを取得した。この反射スペクトルデータからダークデータを差し引いた値を基準反射ス ペクトルと記述する。測定は図- 1に示すとおり、対象のり面より 2m離れ、地面高1.0mを標準とし水平に 測定した。得られた測定値を専用のデータ解析ソフトを用いて解析し、ダークデータを差し引いて反射スペ クトルを算出した。この反射スペクトルの基準反射スペクトルに対する比を反射率として求めた。

4 結果

図−2に施工後 2年目(2005年度) の緑化のり面反射率の推移、及び、図−3に施工後 2年目(2005年度)の 隣接のり面反射率推移のグラフを示す。また、図−4に施工後 2年目(2005年度)の緑化のり面反射スペクト ルの推移、及び、図−5に施工後 2年目(2005年度)の隣接のり面反射スペクトル推移のグラフを示す。

緑化のり面においては、四季を通じて植生に緑が保たれており、また、可視光領域(380〜770nm)にて反射 率、及び、反射スペクトルとも波形に大きな変化は確認できなかった。一方、隣接のり面では秋期に植生が

キーワード : 植生、のり面、スペクトル、葉緑素、景観

連絡先 : 日本大学生産工学部土木工学科 〒275-8575 千葉県習志野市泉町1-2-1 Tel 047-474-2343

7-171 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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図- 2 2005年度緑化のり面反射率の推移 図- 3 2005年度隣接のり面反射率の推移

図- 4 2005年度緑化のり面反射スペクトルの推移 図- 5 2005年度隣接のり面反射スペクトルの推移 枯れている。また、反射率、及び、反射スペクトルのグラフにて、 680nm付近の波にて葉緑素による吸収 が減少していることを示している。このことは、光合成機能の減少を示している。また、近赤外領域での反 射が減少している。このことは葉の重なりの減少を示している。

反射率(従来の方法)のグラフと反射スペクトルのグラフを比較すると、可視光領域では、反射スペクトル グラフの方が、緑化のり面、及び、隣接のり面とも、景観の状況をよく表している。特に、光合成機能の状 態を表すのに優れている。

従って、植生の景観を表す方法として反射スペクトルに依る方法を提案する。

5 まとめ

緑化のり面において、葉緑素部分の吸収割合は、四季を通じてほとんど変化がない。また緑色部分(500〜

600nm)も変化は少ない。これは、四季を通じて光合成機能が働いていると共に緑色が保たれている事を示し、

年間を通して枯れず緑を保つという植生選定条件に合致した結果となっている。一方、隣接のり面では秋期 に植生が枯れ、景観を著しく損なっている。この場合、反射スペクトル波形にもその特徴が顕著に表れてい る。

以上の結果より、今回提案するスペクトルメーターを用いた反射スペクトルに依る方法は、景観だけでな く葉緑素による活性度も判断でき、植生景観評価指標として充分利用可能といえる。

今後は長期にわたる観測から季節変化や経年変化の影響を調べ、のり面植生景観評価指標として確立化を 目指すものである。

参考文献

吉村晴佳、他 樹葉の分光反射特性変化およびその色彩の数値的解析についての研究 日本リモートセン シング学会誌、Vol.11、No. 2、pp.5〜17、1991.6.

0.00 0.10 0.20 0.30 0.40

380 480 580 680 780 880 980 波長(nm)

反射率

7月 2月

10月 5月

0.00 0.10 0.20 0.30 0.40

380 480 580 680 780 880 980 波長(nm)

反射率

5月 10月

2月 7月

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000

380 480 580 680 780 880 980 波長(nm)

Intensity(count/sec)

5月

10月 2月 7月

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000

380 480 580 680 780 880 980 波長(nm)

Intensity(count/sec) 10月

2月

7月

5月

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