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製作学習における「関心・意欲・態度」に関する基礎的研究

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(1)製作学習における「関心・意欲・態度」に関する基礎的研究 教科・領域教育専攻 生活・健康系コース 氏名 大塚 泰信. 1.はじめに. は2年生において他学年より低い傾向を示し、有意. 平成元年の指導要領における評価観点項目「関. な差であった。また、基本的な行動因子(道徳上の. 心・意欲・態度」については、これまでに様々な議. 模範的な態度を抽出)においては1年生が他の学年. 論がなされ、教育現場においてもそのあり方につい. よりも高い結果が得られた。しかし、先入観因子(教. て疑問視する意見も少なくない。しかし、この問題. 科に対する不安感や恐怖感を抽出)においては学年. に関しては「意欲を高める」というキーワードで平. 間における有意な差は認められなかった。次に男女. 成元年前後、研究主題として設定している例を多く. の比較において達成感因子は男子の方が高く、先入. 目にするように、教育現場においても重要であるこ. 観因子、基本的な行動因子は女子の方が高い結果と. とは言うまでもない。この観点において、教育現場. なった。学校間の比較においては、達成感因子、基. ではどのような評価がなされているか調査したとこ. 本的な行動因子において有意な差が認められるもの. ろ、「客観性に欠ける」、「管理目的としての評価にな. の、先入観因子において有意な差は認められなかっ. りがち」という回答が得られた。本来、指導目的(指. た。宇野(1996)の調査データとの比較を行った結果、. 導する教師が自己の授業を見るもの)、学習目的(学. 達成感因子において有意な差は認められた、しかし、. 習者自身が自己の形成度をみるもの)が、授業形成. 先入観因子、基本的な行動因子において有意な差は. において必要な評価であり、客観性は必要不可欠で. 認められなかった。これらの結果を考察すると、意. ある。このような状況から、評価観点を明確にし、. 欲・達成感は諸条件によって変化しうるものである. 生徒の授業場面における情意面に関する状況を把握. ことが考えられ、また、恐怖感・不安感において、. することにより、客観的であり、授業形成に必要な. 性差はあるものの条件に左右されにくいものである. 評価方法を提示できるのではないかと考える。. ことが考えられる。模範的な行動は学校や地域の状. 2.製作学習における情意的意識に関する尺度か. 態が影響することが示唆された。. ら得られる心的要素の分析 前項でも述べたことから、評価対象となる生徒の. 3.製作学習における情意面に対する教師の評価 と生徒の自己評価との比較. 情意面に着目し調査を行う必要があると考え、「製作. 客観的な評価を行う際に、教師が生徒の状態を正. 学習における情意尺度」(達成感因子、先入観因子、. 確に把握できているかという点が問題になる。従っ. 基本的行動因子から構成される)を用い福岡県の中. て、授業中において教師は情意面について的確に評. 学校5校(男子531名、女子508名)を対象に調査. 価する基準を設定することが可能であるか、また、. を行った。なお、データに欠損値がある、データの. 生徒個々の性質とどのように関係しているかについ. 関係に矛盾があるデータは削除し、性別、学年、学. ての調査により、この問題について改善することが. 校、調査時期における比較を行った。その結果、学. できると考えた。そこで、兵庫県のF中学校の電気. 年の比較において達成感因子(意欲や達成感を抽出). 領域(5単位時間)を対象に予備調査において抽出.

(2) した生徒の自己評価と教師の評価について「製作学. とができるものを作りたい」と回答し、自己効力感. 習における情意尺度」を用いて調査を行った。その. が興味に影響することが考えられる。. 結果、達成感因子において生徒の回答に一貫性が無. 5.製作学習における「関心・意欲・態度」の評価. く、予備調査における生徒の態度得点と教師と生徒. 尺度構成. の評価の一致数においても有意な相関は認められな. 客観的な評価を行うために、尺度を用いた評価法. かった。基本的な行動因子においても、予備調査に. は効果的であると考えられる。しかし、製作学習に. おける生徒の態度得点と教師と生徒の評価の一致数. おける「関心・意欲・態度」を測定するための的確. においても有意な相関は認められなかった。しかし、. な尺度はない。これまでに調査に用いた尺度はあく. 先入観因子においては、予備調査における生徒の態. までも情意面の傾向を調査するためのものであり、. 度得点と教師と生徒の評価の一致数において強い有. この尺度を評価に使うことは困難であると考えた。. 意な相関r=0.92(F(1,4)=21.17,P<0.01)が認められた。. そこで、予備調査項目の作成として、技術、工業担. 各因子における生徒と教師の不一致の傾向を調べた. 当の教師から「関心・意欲・態度」の具体的な評価. ところ、達成感因子、基本的な行動因子は生徒の評. における視点をいくつか示してもらい、その回答を. 価基準の方が教師よりも高く設定し、逆に、先入観. まとめ、29項目を準備した。さらに、言葉遣いを. 因子は生徒の評価基準の方が教師よりも低く設定し. 校正し、中学校1年生において解釈可能な項目であ. ていることが明らかになった。. るか調査し、Likert法による尺度構成の手続きに則. 4.ものづくりに関する生徒における興味と教師. って尺度を構成した。構成した尺度について内部一. による題材設定との比較. 貫性の信頼性検定を行ったところαニ0.87であり、. 「製作学習における情意尺度」を用いて調査して. 十分に信頼できる尺度であることが証明された。さ. きた結果、達成感因子は生徒の回答に一貫性が認め. らに、他校と平行テストにおける相関を求めたとこ. られず、その理由として授業で取扱う題材が影響し. ろ、r=0.92(F(1,27)=140.06去りの強い有意な相関が. ている可能性があることが考えられる。つまり、生. 認められた。. 徒の興味の対象になっていない状態であるというこ. 6.おわりに. とである。そこで、ものづくりにおける生徒の興味. 本研究において、製作学習に対する不安感の把握. と教師の題材設定の調査を行い、状況を把握するこ. と統制の必要性あり、生徒が興味を持つものが、必. とを試みた。その結果、生徒のものづくりに関する. ずしも教師の設定した題材とは一致しないことが明. 興味において「必要」「欲求」「嗜好」の要素が抽出. らかになった。生徒の自己評価と教師の評価の比較. され、教師の題材設定においては「個人」「技術」「感. においても、「意欲」、「不安感」、「模範的な行動」に. 情」の要素が抽出された。それぞれの要素において. おける傾向が示唆された。これまで、観点項目「関. は生徒・教師間に内容的な一致傾向はあるものの、. 心・意欲・態度」について問題提起、情意面におけ. 一対一の対応であるとは言えない。しかし、生徒の. る傾向を調査してきたが、教育現場における問題を. 興味の要素において統制できる可能性がある「必要」. 解決し、具体的な実践に耐えうる評価については緒. について追求することにより、生徒の興味に添う題. についたばかりである。今後は、本研究の結果を基. 材設定ができるのではないかと考えられる。また、. 礎として、、仮説に対する検証を継続レていきたいと. 教師の題材設定においては教科的な理由が多く、生. 考える。. 徒のものづくりにおいて、約1!4の生徒が「作るこ. 指導教官 松浦 正史.

(3) 修士論文. 製作学習における. 「関心・意欲・態度」に関する基礎的研究. 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 教科・領域教育専攻 生活・健康系コース. 大塚 泰信.

(4) 目 次. 1. 第1章 緒論 1.1 本研究の目的 ・・・・・・・・・・・・…. 1. 1.2 「関心・意欲・態度」の評価の捉え方について. 1. 1.3 関心・意欲・態度の評価に関する現状 …. 3. 1.3.1 調査結果 ・・・・・・・・…. 3. 1.3.2 調査結果の考察 ・・・・・…. 6. L4 先行研究 ・・・・・・…. 7. ..”.”. 1.5 研究仮説 ・・・・・・・・・・・・・…. 7. 文献. 8. 第2章 製作学習における情意的意誰に関する尺度から得られる心的要素の分析. 9. 2.1 緒言’・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 9. 2.2 調査における手続き ・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 9. 2.3 調査の分析結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 11. 2.3.1 学年間比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・…. 11. 2.3.2 男女間比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・…. 12. 2。3.3 学校間比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・…. 13. 2.3.4 先行研究との比較 ・・・・・・・・・・・・・…. 14. 2.4 考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 15. 2.5 結言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 16. D…. 文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 16.

(5) 第3章 製作学習における情意面に対する教師の評価と生徒の自己評価との比較. 17. 3.1 緒言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 17. 3.2 調査の方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 17. 3.2.1 手続き ・・・・・・・・・・・・・…. 3.3. 3.4. 3.5. ... 17. 3.2.2 予備調査 ・・・・・・・・・・・・・・…. 18. 3.2.3 本調査 ・・・・・・・…. .・。....。. 19. 結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 21. 3.3.1 生徒の評価における予備調査と本調査の比較 ・. 21. 3.3.2 因子別に見た教師の評価と生徒の評価の比較 ・. 22. 3.3.3 生徒別に見た教師の評価と生徒の評価の比較 ・. 23. 3.3.4 製作過程別に見た教師の評価と生徒の評価の比較. 27. 考察 ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 28. 3.4.1 因子別に見た教師の評価と生徒の評価 ・…. 28. 3.4.2 生徒別に見た教師の評価と生徒の評価 ・…. 28. 3.4.3 製作過程別に見た教師の評価と生徒の評価の比較. 28. 結言 ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 29. 文献. 第4章 ものづくりに関する生徒の興味と教師による題材設定との比較 4.1 緒言 ・・・・・・・・…. 29. ............. 30 30. 4.2 調査1一教師対象の調査 ・・・・・・・・・・・…. 30. 4.2.1 調査の方法 ・・・・・・・・・・・・…. 30. 4.2.2 調査1の結果 ・・・・・・・・・・・…. 31. 4.3 調査2一ものづくりに関する生徒の興味 ・・… D・ 4.3ユ 調査の方法 ・・・・・・・・・・・・…. 34 34.

(6) 4.3.2. 34. 調査2の結果. 4.4 考察 ・. 40. 4.5 結言 ・. 40. 文献・…. 41. 42. 第5章 製作学習における「関心・意欲・態度」の評価尺度構成 5.1 緒言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 42. 5.2 尺度構成の手続き ・・・・・・・・・・・…. 42. 5.3 尺度構成の結果と信頼性の検:討 ・・・・・…. 44. 5.4 結言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 48. 文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 48. 49. 第6章 結論 6.1. 49. 「関心・意欲・態度」の評価に関する現状から ・・・・・…. 49. 6.1.1 製作学習における情意面の傾向 ・・・・・・・… 6.1。2 「関心・意欲・態度」の評価における. 教師と生徒の評価に関する比較 ・ 6.1.3 生徒のものづくりに関する興味と教師の題材設定の現状把握. 謝辞. ・・. @50. ・・. 6.2. 具体的な評価法の開発に関して ・・・・・・・・・・・…. 51. 6,3. おわりに ・・・…. 52. ”.●’●.●●●●.●●’●’●. T1. 53.

(7) 製作学習における「関心・意欲・態度」に関する基礎的研究 教科・領域教育専攻 生活・健康系コース. 氏名 大塚 泰信. 1.はじめに. は2年生において他学年より低い傾向を示し、有意. 平成元年の指導要領における評価観点項目「関. な差であった。また、基本的な行動因子(道徳上の. 心・意欲・態度」については、これまでに様々な議. 模範的な態度を抽出)においては1年生が他の学年. 論がなされ、教育現場においてもそのあり方につい. よりも高い結果が得られた。しかし、先入観因子(教. て疑問視する意見も少なくない。しかし、この問題. 科に対する不安感や恐怖感を抽出)においては学年. に関しては「意欲を高める」というキーワードで平. 間における有意な差は認められなかった。次に男女. 成元年前後、研究主題として設定している例を多く. の比較において達成感因子は男子の方が高く、先入. 目にするように、教育現場においても重要であるこ. 観因子、基本的な行動因子は女子の方が高い結果と. とは言うまでもない。この観点において、教育現場. なった。学校間の比較においては、達成感因子、基. ではどのような評価がなされているか調査したとこ. 本的な行動因子において有意な差が認められるもの. ろ、「客観性に欠ける」、「管理目的としての評価にな. の、先入観因子において有意な差は認められなかっ. りがち」という回答が得られた。本来、指導目的(指. た。宇野(1996)の調査データとの比較を行った結果、. 導する教師が自己の授業を見るもの)、学習目的(学. 達成感因子において有意な差は認められた、しかし、. 習者自身が自己の形成度をみるもの)が、授業形成. 先入観因子、基本的な行動因子において有意な差は. において必要な評価であり、客観性は必要不可欠で. 認められなかった。これらの結果を考察すると、意. ある。このような状況から、評価観点を明確にし、. 欲・達成感は諸条件によって変化しうるものである. 生徒の授業場面における情意面に関する状況を把握. ことが考えられ、また、恐怖感・不安感において、. することにより、客観的であり、授業形成に必要な. 性差はあるものの条件に左右されにくいものである. 評価方法を提示できるのではないかと考える。. ことが考えられる。模範的な行動は学校や地域の状. 2.製作学習における情意的意識に関する尺度か. 態が影響することが示唆された。. ら得られる心的要素の分析 前項でも述べたことから、評価対象となる生徒の. 3.製作学習における情意面に対する教師の評価 と生徒の自己評価との比較. 情意面に着目し調査を行う必要があると考え、「製作. 客観的な評価を行う際に、教師が生徒の状態を正. 学習における情意尺度」(達成感因子、先入観因子、. 確に把握できているかという点が問題になる。従っ. 基本的行動因子から構成される)を用い福岡県の中. て、授業中において教師は情意面について的確に評. 学校5校(男子531名、女子508名)を対象に調査. 価する基準を設定することが可能であるか、また、. を行った。なお、データに欠損値がある、データの. 生徒個々の性質とどのように関係しているかについ. 関係に矛盾があるデータは削除し、性別、学年、学. ての調査により、この問題について改善することが. 校、調査時期における比較を行った。その結果、学. できると考えた。そこで、兵庫県のF中学校の電気. 年の比較において達成感因子(意欲や達成感を抽出). 領域(5単位時間)を対象に予備調査において抽出.

(8) した生徒の自己評価と教師の評価について「製作学. とができるものを作りたい」と回答し、自己効力感. 習における情意尺度」を用いて調査を行った。その. が興味に影響することが考えられる。. 結果、達成感因子において生徒の回答に一貫性が無. 5.製作学習における「関心・意欲・態度」の評価. く、予備調査における生徒の態度得点と教師と生徒. 尺度構成. の評価の一致数においても有意な相関は認められな. 客観的な評価を行うために、尺度を用いた評価法. かった。基本的な行動因子においても、予備調査に. は効果的であると考えられる。しかし、製作学習に. おける生徒の態度得点と教師と生徒の評価の一致数. おける「関心・意欲・態度」を測定するための的確. においても有意な相関は認められなかった。しかし、. な尺度はない。これまでに調査に用いた尺度はあく. 先入観因子においては、予備調査における生徒の態. までも情意面の傾向を調査するためのものであり、. 度得点と教師と生徒の評価の一致数において強い有. この尺度を評価に使うことは困難であると考えた。. 意な相関r=0.917(F(1,4)=21.172,P<0.01)が認められ. そこで、予備調査項目の作成として、技術、工業担. た。各因子における生徒と教師の不一致の傾向を調. 当の教師から「関心・意欲・態度」の具体的な評価. べたところ、達成感因子、基本的な行動因子は生徒. における視点をいくつか示してもらい、その回答を. の評価基準の方が教師よりも高く設定し、逆に、先. まとめ、29項目を準備した。さらに、言葉遣いを. 入観因子は生徒の評価基準の方が教師よりも低く設. 校正し、中学校1年生において解釈可能な項目であ. 定していることが明らかになった。. るか調査し、Likert法による尺度構成の手続きに則. 4.ものづくりに関する生徒における興味と教師. って尺度を構成した。構成した尺度について内部一. による題材設定との比較. 貫性の信頼性検定を行ったところαニ0.8704であり、. 「製作学習における情意尺度」を用いて調査して. 十分に信頼できる尺度であることが証明された。さ. きた結果、達成感因子は生徒の回答に一貫性が認め. らに、他校と平行テストにおける相関を求めたとこ. られず、その理由として授業で取扱う題材が影響し. ろ、r=0.916(F(1,27)=140.06粉の強い有意な相関が. ている可能性があることが考えられる。つまり、生. 認められた。. 徒の興味の対象になっていない状態であるというこ. 6.おわりに. とである。そこで、ものづくりにおける生徒の興味. 本研究において、製作学習に対する不安感の把握. と教師の題材設定の調査を行い、状況を把握するこ. と統制の必要性あり、生徒が興味を持つものが、必. とを試みた。その結果、生徒のものづくりに関する. ずしも教師の設定した題材とは一致しないことが明. 興味において「必要」「欲求」「嗜好」の要素が抽出. らかになった。生徒の自己評価と教師の評価の比較. され、教師の題材設定においては「個人」「技術」「感. においても、「意欲」、「不安感」、「模範的な行動」に. 情」の要素が抽出された。それぞれの要素において. おける傾向が示唆された。これまで、観点項目「関. は生徒・教師間に内容的な一致傾向はあるものの、. 心・意欲・態度」について問題提起、情意面におけ. 一対一の対応であるとは言えない。しかし、生徒の. る傾向を調査してきたが、教育現場における問題を. 興味の要素において統制できる可能性がある「必要」. 解決し、具体的な実践に耐えうる評価については緒. について追求することにより、生徒の興味に添う題. についたばかりである。今後は、本研究の結果を基. 材設定ができるのではないかと考えられる。また、. 礎として、仮説に対する検証を継続していきたいと. 教師の題材設定においては教科的な理由が多く、生. 考える。. 徒のものづくりにおいて、約1/4の生徒が「作るこ. 指導教官 松浦 正史.

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(10) 第1章 緒論 1.1本研究の目的 平成元年に改訂された指導要領において、「関心・意欲・態度」の評価・つまり情意面. の評価が非常に強く意識づけられた。それは、平成10年の改訂でも引き続き評価におけ る中核となるわけだが、実は昭和36年の改訂において「興味・態度」の観点が採り上げ られており、次の改訂(昭和46年)で、一度は削除されたという経緯がある。削除され た理由として情意面の評価の難しさを一番に捉えている学者もおり、現に次節で述べる現 職教員の意識調査においても問題視する傾向が読みとられる。そもそも教育評価とはいく つかの目的を持ち、橋本1)は諸家の研究をまとめ、①指導目的(指導する教師が自己の授 業を見るもの)、②学習目的(学習者自身が自己の形成度をみるもの)、③管理目的(学校. や会社が管理的な役割としてみるもの)、④研究目的の4つに分類している。授業形成にお いて必要な評価は指導目的、学習目的による教育評価であるにも関わらず、指導要録、通 知票、調査書などに記載する条項について管理目的とする教育評価を主に捉える傾向がみ られる。実際、管理目的による評価を行わなくてはいけないことは周知の事実であるが、. 後者の立場による評価が前者のもつ授業形成の目的を妨げることが危惧される。その原因 として考えられるのは明確な基準の存在である。技術・家庭科が観点別評価項目として設 けているのは「関心・意欲・態度」、「知識理解」、「創意工夫」、「技能」で、たとえば知識. 理解はテスト法や口頭試問、技能であれば作業の分析や製作物の点検、創意工夫であれば 生活に生かせる工夫の有無等、つまり「あるかないか」、「正しいか間違いか」といった誰. から見ても評価できる基準を設けることは可能である。しかし、関心や意欲、態度をどの ような方法で測定したとしても、最終的に評価をする者の主観にゆだねられる。このよう な問題において製作学習における生徒の情意面を把握し、評価の尺度及び方法の開発の必 要がある。. 1.2 「関心・意欲・態度」の評価の捉え方について. 「関心・意欲・態度」はそれぞれの語意においても多義であり、特に生徒の情意面の評. 価について研究を進める際その観点について明確にしておく必要がある。なぜならば、 他の項目とは違い、評価する子どもの内面的な事象を評価するため、解釈の違いによって は正当に評価されない場合があるからである。学校教育において柱となる現行及び新学習 指導要領と、解説一技術・家庭編、学習指導と評価から「関心・意欲・態度」の評価に関 わる記述を抜き出してみると、次のような項目が挙げられる。なお、下の現行)、新)はそ れぞれ、現行学習指導要領2)(平成元年)、新学習指導要領3)(平成10年)を指す。. 1.

(11) 現行). 「自ら学ぶ意欲と社会の変化に対応できる能力の育成… 」 「…. 新). 進んで工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる。」. 「…. 進んで生活を工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる。」. 「…. 技術が果たす役割について理解を深め、それらを適切に活用する能力と. 態度を育てる。」. 「…. 実際の生活の中で生かすことの出来る能力と態度を育てる… 」. 「…. 生徒自らが生活に関心を持ち、実践的・体験的な学習活動… 」. 学習指導と評価)4). 「…. 生活の充実向上を図る能力と実践的な態度を目標としている。… 」. 「生活や技術について関心を持ち、生活を充実向上するために進んで実行しようと する」. 「「工夫・創造」や「実践的態度」を踏まえ、各領域で学習する生活や技術について. 一層の関心を持ち、課題を見いだし、課題解決を目指して意欲的、積極的に仕事に 取り組み、仕事を計画的、創造的に進めるとともに、習得した知識や技術を積極的. に活用して生活を工夫したり創造したりする実践的な態度が育ったかどうかを見 ようとするものである。」. 「各領域における指導事項に対して関心を持ち、生活をよりょくするために進んで 計画し実践しようとする意欲や態度について評価する。(生徒一人一人の学習状況 や変容の姿などを多面的、長期的に把握すること)」. 「方法としては、例えば、教師による観察記録や生徒の自己評価などが一般的。実 習計画立案への積極性、毎時間の取組み状況、作品の構想についての創意工夫、実 習の進度、作品の提出状況、レポートや作文、家庭実践の記録などにより多面的に 評価する。」. さらに、この内容に付随して北尾・大森・堀江5)は、技術・家庭科の評価の観点として、. 「社会の変化に対応できる能力を育てるために一人一人の生徒が、家庭や社会での生活に. 関心をもち、少しでもよりょくするために生活を見直し、課題を発見し、習得した知識や 技術を活用しようとする意欲を評価し、また、計画的に作業を進め、創意工夫して積極的、. 意欲的に取り組もうとする態度を評価することが極めて重要である。」と述べている。これ らのことをまとめると、「関心・意欲・態度」を評価するための具体的な観点は次のように なると考えられる。. 2.

(12) 関心→「生活や技術に対する関心」、「学習事項に対する関心」 意欲→「自ら学ぶ意欲」、「課題解決に対する意欲」、「生活で実践しようとする意欲」 態度→「工夫し創造する態度」、「技術を活用しようとする態度」「実践的な態度」. これらの観点をもとに、「関心・意欲・態度」が教育現場でどのように捉えられているかを. 明確に把握し、その相違点と問題を解決するための方法を考えていく。. 1.3 関心・意欲・態度の評価に関する現状. 全国47都道府県の200校の技術・家庭科の教師を対象に「関心・意欲・態度」の評 価について調査を行った。その結果、回収率35%、有効回答数70校(技術担当65名、. 家庭担当46名)の回答を得ることが出来た。なお調査は平成11年11月中旬から平成. 11年12月下旬に行った。 1.3.1 調査結果 質問1.「関心・意欲・態度」の評価に対して問題を感じることがありますか。 技術. 家庭. 20%. 田はい. ロはい. 囮いいえ. 幽いいえ.. 80% Fig−1.1 「関心・意欲・態度」の評価に目する問題意識. 質問2.どんなことが問題と考えられますか。次から選んでください。(複数回答可). ※質問1で「ハイ」と回答したもの対象. a.客観性がない b.どこを(何を)見て良いかわからない. c.授業時間内では時間的に不可能 d.勤務時間内では時間的に不可能 e.どのように評価して良いか、方法がない. f.その他. 3.

(13) 家庭. 技術 13%. 14%. 目a 國b. 11%. 目a Zb. 9%. 39%. ■c 口d. 44% 5%. ■c 口d. 10%. 團e 口f. 囲e 口f 19%. 19%. 8%. 9%. Fig・1.2 「関心・意欲・態度」に関する評価に関する問題の詳細内容. 質問3.教育現場において質問2の問題を解決することは可能ですか。 ※ 質問1で「ハイ」と回答したもの対象 技術. 家庭. ロはい. ロはい 36% 44% 56%. Zいい7し 64%. Fig−1.3 「関心・意欲・態度」に関する評価の問題解決意識. ①「ハイ」と回答した人の「解決方法」 ・ 経験を積む。. ・ 自分の見解を確立させる。. ・ 地区の教科部会の教師間で共通理解をしていく。 ・ ティームティーチングや相互評価を行う。 ・ クラスの人数を減らす。 ・ 生徒に評価方法を明示する。. ・ 学習や制作活動の過程をポートフォリオし、視点を明らかにする。 ・ 教材の選び方を変え、選択制にする。. ・ 忘れ物や紛失、遅刻、提出物などの点検をする。 ・ 担当教師同士で共通認識をもてるよう話し合う。 ・ 膨大な資料と、あらゆる評価法を使用する。 ・ 発表頻度や作品製作に意欲的であるかをみる。. ・事前事後の自己評価やアンケートでみる。. ②「いいえjと回答した理由 ・ 教科に対する好き・嫌いがあるのは自然なことだから。. 4. 囲いいス..

(14) 客観性の基準の設定が難しい。. 教師によって考え方や人間関係の築き方が違う。 公平に評価するものではないから。. 授業の態度はその生徒の性格で左右されるから。 生徒の意識の問題であり、信頼性に欠ける。 (評価の)項目が多岐にわたるから。. 内面的に隠れている事を評価するのは難しい。 知識や技能のように外に現れるものだけでは尺度が不十分だから。 すべての生徒にフィットするのは不可能だから。 主観が入るので、個人差をどう考えるのか。 授業中の観察から評価することは無理、内面的な事を評価できない。. 内面を知ることは不可能、評価する根拠がない 集団によって基準が違ってくるから。. 時間的に不足がちになる。条件や生徒の変化に対応できない。 現在の教科の授業の時間数では難しい。 生徒に評価させるだけの時間がない、マンネリ化もする。 家庭での実践化の兼ね合いで難しい。 学校生活での主観が入るから。 持ちクラス数が多いと限界がある。. 質問4.どのような方法で評価を行っていますか。(自由記述). ※質問1で「イイエ」と回答したもののみ対象 ・ 作品を作るまでの過程を重視して評価する。. ・ ものづくりが好きな子は意欲があり、疑問や質問を寄せてくる。 ・ 忘れ物や授業態度、作業への意欲をみる。. ・ ポイントを絞り、課題毎の評価の累積、一定期間で評価する。生徒のチェックシートを渡 し、自己評価・相互評価をさせる。 ・ 授業中の活動、レポート、ワークシートの蓄積によるポートフォリオ。. ・ 日を決めて人数を絞って評価する。特に目立つ行動の生徒は、その日以外でもチェックす る。(挙手、ノート、プリント、作業の様子) ・ 授業中の観察、生徒の表現から判断する。. ・ チェックリスト、作品の評価、ペーパーテスト、他者評価、自己評価から総合的に評価す る。 ・ 授業進度毎に観点別評価を行い、最終的に総合評価を行う。. 5.

(15) ・ 事前に生徒に「やる気」、「意欲」とはどんなものかを伝え、自分の主観のみでやる。 ・ 疑問や感想など、また習得した技術・知識を家庭で実践させ、そのレポートを提出させる。 ・ 授業中の生徒の目、自由記述で感想を書かせる。. ● 生徒のやる気を十分引き出して体験、活動させる。その参加度をみる。. 1.3.2 調査結果の考察. 今回の調査において技術・家庭科の教師が回答するものには前項1.2で述べたような観 点でみることが出来ない、もしくは見ていないことが示唆される。それは、上述の問題も あるが、情意面の評価における明確な指標がないことも事実である。 調査の回答を通じて、次の2つの状況が明らかになった。. ○. 「関心・意欲・態度」の評価について問題意識を持つ教師が多い。. ○ 評価の客観性や授業時間内での評価について問題視している回答が多い。. また、具体的な評価方法や問題解決のための方策については、自由記述における回答結果. から関心・意欲・態度を評価する具体的な方法として、複数の者(教師・生徒)による観 察(ティームティーチング、相互評価等)、客観的に数量化できる項目のチェック(忘れ物、. 提出物、発表などの回数)、生徒の反応について観察(評価観点の公表、感想文等)が考え. られる。しかし、いずれの場合も定量的に評価する場合、評価の基準は各教師が定めてい. るが、ここで、問題点としてあがっていることをクリア出来るかを考える。今回の調査で 「関心・意欲・態度」の評価をする際の問題点を大別すると、①客観性についての問題(基 準設定や観察項目等)、②観察時間の問題(授業時間と指導対象数の関係等)、③性格や個. 性などの内面的問題(好み、生活環境、経験の有無等)④生徒のセルフモニタリング、耐 性の問題(マンネリ化、発達段階の差等)に分けられる。これらの問題については上記の 具体的評価方法を持ってしてもすべて解決することは難しく、特に②の問題については個 人の努力で解決出来るものではない。逆に時間を評価に費やすことにより、個別指導や学 級指導など疎かになることはわかる。つまり、②を解決するにはティームティーチングの ための教員配置、学級定員の削減など、行政的な配慮が必要になる。しかし、①,③,④ については一般的な方法をベースとして複合的に活用する方法よって、解決することが出 来るのではないかと思われる。. 本研究では、具体的な評価を行うための現状調査と評価に用いる尺度構成を中心に「関 心・意欲・態度」に関する評価について考察する必要があると考える。. 6.

(16) 1.4 先行研究. これまで述べてきたような「関心・意欲・態度」の評価に関する視点および問題点は、 平成元年の指導要領が施行されてからずっと論点とされてきた。方法論において金井6)は、. 関心・意欲・態度の評価は教師による直接観察法、子どもの自己評価による間接観察法、 子どもの相互評価による間接観察法に大別できるとしている。また、「関心・意欲・態度」. の評価については各教科で模索されているが、どの方法においても評価における「関心・ 意欲・態度」の定義付けが明確でなく、渋谷7)は評価の技術論よりもどの様に「関心・意 欲・態度」を捉えるか重要であると示唆しており、関心・意欲を高めるための方法論につ いて研究をしている。同様に新井8)もBanduraのいう自己効力感(self・efficacy)と評価の. 関わりについて述べ、自己効力感が育つことが評価に影響され、評価の方法によっては、 客観的能力(生得的に得られた能力と生後の経験によって培われた能力)および、主体的 能力(客観的能力をどの様に本人が見積もっているか)の高低に差が生じ、特に低い生徒 は「関心・意欲・態度」の評価によって自己効力感が奪い去られることを示唆している。 実践研究については、音楽の授業においては天野・藤澤9)は福岡県内の高校・中学の音楽 担当教師に評価に関する調査を行い、その客観性と評価尺度の必要性ついて指摘している。 保健体育の授業において小林lo)は、学期始め及び、学期末において質問紙を用い生徒の「運. 動のよろこび」「授業内容に対する評価」「授業の価値観」で構成される態度について授業. 分析を行っている。方法は従来の尺度を用いた質問紙法と同じく、得点化したものを態度 スコアとして学級平均値を求めている。この方法は授業における態度スコアと比較する基 準を三要素・学年毎にもうけており、客観的に生徒の態度について授業での状態を把握す ることができる。しかし、学期内を通しての態度測定であり、時間毎の細かい情意面の変. 化を追跡することが困難であり、質問紙の項目が30項目と学年が下がる毎に回答の信頼 性が下がることなどの問題がある。技術・家庭の授業において井上11)は、論文体テストを 用いて情意面を測定、製作題材において「自由課題・自由構想型」「指定課題・自由構想聖」. 「指定課題・指定構想型」における比較を行っている。しかし、論文体テストは客観性に. 欠ける点が指摘されており、測定結果が必ずしも妥当なものであるとは言えず、授業評価 を毎時間行うためには処理する時間の捻出等についても問題がある。. 1.5 研究仮説. 「関心・意欲・態度」に関する研究をすすめていく上での基本的な考え方として2つの視. 点を設けた。まず、現状から見て情意面における評価については具体的な方法が確立して おらず、現状は授業者の主観によるものになってしまっている。したがって、生徒に対す る管理目的の教育評価の傾向となり、意欲や態度の低下につながる可能性がある。つまり、. 評価の客観化を図ることにより、学習目的における評価としての意味合いを強め、生徒の 7.

(17) 学習に対する意欲の高揚につながる。 また、生徒の題材に対する関心と教師の題材設定 動機には差炉あるために、授業前に意欲の有無が決定している可能性がある。したがって、. 製作題材を主要因として授業における生徒個々に対する意欲を形成的に評価することは困 難である。つまり、生徒の製作題材に対する関心の要素を分析することで、授業開始時の 意欲の状態を統制することができ」その結果、生徒は自己の意欲を明確に把握できるよう になる。これらの視点に基づき、研究を進めていきたいと考える。. 〈文献>. 1)橋本重治・金井達蔵・辰巳敏夫 教育評価要説 pp 11−14 図書文化 1979 2) 中学校学習指導要領 解説一技術・家庭編一 文部省 1988 3) 中学校学習指導要領 解説一技術・家庭編一 文部省 1999 4) 中学校 技術・家庭科 指導資料 学習指導と評価 文部省 1993. 5) 北尾倫彦・大森明男・堀江和子 中学校技術・家庭 観点別学習状況の評価基準表. 図書文化 1994 6) 金井達蔵 中学校関心・態度一その理論と指導と評価一』 図書文化 1985. 7) 渋谷憲一 関心・意欲・態度の指導・支援と評価(指導と評価96年10月号) 図書文化 1996. 8) 新井野二郎. 「関心・意欲・態度」と自己効力感(指導と評価97年1月号). 図書文化’1997 9) 天野真二・藤澤初美 音楽教育における成績評価に関する研究 福岡教育大学教育実 践研究Vbl.5 1997 10)小林篤 体育の授業研究 大下館書店 pp 170−222 1978. 11)井上尚世 技術要素別解析・評価法の適用研究 日本産業技術教育学会誌Vol.33 pp.269・275. 1990. 8.

(18) 製作学習における 情意的意識に関する尺度から得られる 心的要素の分析.

(19) 第2章 製作学習における情意的意識に関する尺度から得られる心的要素の分析 2.1 緒言. 緒論でも述べたように、客観的な「関心・意欲・態度」の評価を行うためには生徒の情 意についてあらかじめ把握する必要がある。しかし、情意を正確に把握するための方法は 心理学の分野でも難しく、特に特殊な条件における測定の手段は確立されていない。また、. 心理学的手法によるこれまでの生徒の情意に関する調査においても十分であるとはいえな い。これまでの情意に関する研究において、井上Dは技術要素別解析・評価法の適用研究 において、論文体テストによる調査により、与える課題(処遇)と生徒の情意面を比較し ている。しかし、論文体テストは生徒の心理的状態を細かく把握することには適するが、. 客観性に欠ける。また、処遇による事前、事後の比較は行っているものの、一般的な製作 学習に関する情意面の調査した研究ではない。宇野、松浦、安東2)による申学校技術科の. 製作における情意的意識に関する研究において、製作学習における情意尺度(以降、情意 尺度と記す)を構成し、達成感因子、先入観因子、基本的行動因子の三因子を抽出した。. 情意尺度において、達成感因子は製作学習における達成感や意欲を、先入観因子は学習に 対する不安感・恐怖感、基本的な行動因子は道徳的に見た模範的な行動を抽出する。しか し、尺度を用いた調査においては、調査数が少ないために、クラスの特異的なものを抽出 している可能性があること、質問紙の質問項目が多いため、生徒の疲れが結果に反映する. 可能性があること、生徒が正確に質問項目を理解でき、かつ、自己の情意を把握できてい るかということなどの問題点が挙げられる。本研究においては情意尺度を用い、これらの 問題点を解消し、製作学習における生徒の情意について考察する。. 2.2 調査における手続き. 対象校は福岡県内の公立申学校5校。生徒の内訳はTable−2.1のとおりである。 A中学. 校は人ロ120万人をこえる市、B, C, D中学校は6万人程度の福岡県では平均的な規 模の市、E中学校は人口1万人程度の農村の学校である。調査に際し、学校間の生徒数の 格差を取り除くため、各学年無作為に抽出した2クラスを対象とした。尺度は「製作学習. における情意的意識尺度」2>使用し、尺度における三因子21項目(各7項目)を因子負 荷量の多い項目から各5項目を選び、各因子の特定項目に対して反意となる項目を1つっ 加え計18項目の4件法による調査票(Table・2.2)を作成した。その際に反漏する項目ど うしを比較し、矛盾しない回答を行った者について分析を行った。ただし、分析において. は反卜する項目は取り除いた。なお、調査の実施は1999年(H11)6月下旬から7月上 旬に実施した。また、分析においては、反意する項目を削除した後、「達成感因子」、「先入 観因子」、「基本的な行動因子」に分け、A(4点)、 B(3点)、 C(2点)、 D(1点)と 数量化し、態度得点の合計について学年間、男女間、学校間、前回(1996)の比較を行った。. なお、前回との比較については前回と同一の学校を対象として調査した。 9.

(20) Table・2.1 調査対象 A中学校. B中学校. C中学校. D中学校. E中学校. ≡,査対象学系. 6(各学年2). 6(各学年2). 6(各学年2). 6(各学年2). 6(各学年2). 男子生徒. 苫06. 96. 女子生徒. 102. 102. 112 103. 102 105. 担当教師. 30代. 30代. 20代、30代. 20代. 116.. 96 30代. Table・2.2 調査票 技術科の製作学習についての調査 今までの技術科の製作学習の経験にもとづいて、次の18項目の意見に対して、あなたの感じ方の程度を答えてください。なお、調査結果は、 成績には一切関係ありませんので、自分の思った通りに答えてください。. 答え方は、それぞれの項目についてA∼Dまでのアルファベットがついていますから、質問に対して自分の思いとあうアルファベットに○をつ けてください。.. D. 製作学習を、最後までがんばることは大切だと思う。. A. B. C. D. 2). 製作学習は、あまりやりたくない。. A. B. C. I). 3). 製作学習は、むずかしい。. A. B. C. D. 4). 製作学習で、みんなと協力.することは大切である。. A. B. C. D. 5). 製作学習で、作る喜びを知った。. A. B. C. D. 6). 製作学習は、苦手だ。. A. B. C. D. 7>. 製作学習は、うまい人と下手な人との差がわかるのでいやだ。. A. B. C. D. 8). 製作学習の作業のとき、身の回りを整理整頓をする。. A. B. C. D. 9). 製作学習は、意欲がわく。. A. B. C. D. 10). 製作学習は、安全面に気をつける。. A. B. C. D. 11). 製作学習の作業は、おそるおそるしてしまう。. A. B. C. D. 12). 製作学習は、簡単だ。. A. B. C. D. 13). 製作学習で、自分自身の工夫ができたときうれしい。. A. B. C. D. 14). 製作学習は、大変やりがいがある。. A. B. C. D. 15). 製作学習で、最初から最後まで自分で作れたことがうれしい。. A. B. C. D. A. B. C. D. A. B. C. D. A. B. C. D. 16) 17). 18). 製作学習で、工具・機械を使うのは恐い。(糸のこ盤、のこぎり、はんだごてなど) 製作学習のとき、後かたつ. ッをきちんとする。. 製作学習は、自分が終わればそれでよい。. 達成感因子・…. ・5)、 9)、 13)、 14)、 15). 反意として加えた項目. 2)⇔9). 先入観因子・…. ・3)、 6)、 7)、 11)、 16). 反意として加えた項目. 12)⇔3). 基本的な行動因子・. 。1)、 4)、 8)、10)、17). 反意として加えた項目. 18)⇔4). 10.

(21) 2.3 調査の分析結果 2.3.1 学年間比較. 調査対象校における学年別の各項目平均及び因子別平均及び標準偏差をTable−2.3、 Table−2.4に示す。また、因子問の比較を行ったものをFig−2.1に示す。. ※表中F1、 F 2、 F 3はそれぞれ、達成感因子、先入観因子、基本的行動因子を示す。. Table−2.3 態度得点の項目別平均値 項目. 1). 1年. 3). 3.68. 3.24. 4). 5). 3.55. 6). 3.08. 7). 2.60. 2.23. 10) 11) 13). 9). 8). 2.83. 3.51 准.96 3.60. 3.03. で5). 14) 3.11. N. 16) 17). 2,31 336. 3.52. 151/. 334. 2年. 3.66. 328. 3.34. 2.88. 2.57. 2.35. 2.88. 2.93. 3.23. 2.20. 3.38. 3.00. 3.34. 2.34 3.29. 164/. 356. 3年. 3.63. 3」9. 3.46. 3.18. 2.61. 2.47. 2.85. 3.20. 3.22. 2.29. 3.56. 3」6. 3.49. 2.30 3.22. 171/. 350. Table・2.4 態度得点の因子別平均および標準偏差 F1. F3. F1(S[)) F2 F2(SD). F3(SD). 1年. 准6.35. 3.29. 准2.34. 3.28. 16.93. 2.18. 2年. 准5.52. 3.40. 12.74. 3.48. で6.40. 2.34. 3年. 准6.59. 2.90. 12.87. 3.35. 16.37. 2.34. 17 16 15 延 甦14 遡13 12 11 10. 団1年 ・. 囮2年 □3年. 1. Fig−2.1. 基本的行動. 先入観. 達成感. 因子別学年比較. Table−2.5 因子別学年比較. 1年. 1年 2年 3年 **0.01†0.1. 1年. 魔O.05n.sなし. 2年. *. 3年. n.S. 達成感因子. **. 先入観因子. 2年. 3年. **α01†α1. 1年. 麻ソ05郎なし. 2年. n.S. 3年. 飛S. nS. 1年. 2年. 3年. 将α01†α1. 1年. 麻ソ05n.sなし. 2年. *. 3年. *. rLS. 基本的な行動因子. Table・2.5に示すように、因子毎に学年間の多重比較を行った。その結果、達成感因子に おいて、2年生と他の学年の間にF(1,484)=16.33p<0。01の差が認められた。また、基本 的行動因子において1年生と他の学年の間にF(1,484)=6.82p<0.05の差が認められた。な. お、先入観因子においては学年間の有意な差は認められなかった。. 11.

(22) 2.3.2 男女間比較. 調査対象校における学年別の各項目平均及び因子別平均及び標準偏差をTable・2.6、 Table−2.7に示す。また、因子問の比較を行ったものをFig−22に示す。. Table・2.6 態度得点の項目別平均値 項目. 1). 3). 4). 5). 6). 7). 8). 9). 10). 日). 」3). 書4). 15). 16). 17). 男. 3.64. 3.07. 3.36. 3.18. 2.33. 2.23. 2.80. 3.28. 3.30. 1.94. 3.57. 3.29. 3.53. 1.86. 3.22. 女. 3.67. 3.40. 3.53. 2.92. 2.86. 2.48. 2.92. 2.83. 3.33. 2.37. 3.45. 2.90. 336. 2.78. 3.36. N. 244/532 242/508. Table−2.7 態と得点の因子別平均および標準偏差 F1. 臼(SD). F2. F2(SD). F3. F3(SD). 男. 16.84. 3.13. 1t43. 3.15. 16.31. 2.58. 女. 15.46. 3.苫8. 13.90. 3.14. 16.80. 1.95. 18 17 16 艇15 憲14 懸13 12 11 10. 図男. l女−. 達成感. 先入観. 基本的行動. Fig・2.2 因子別男女比較 Table・2.8 因子別男女比較. 達成感因子. df. 要因 男女 誤差 全. SS. 要因 男女 誤差. SS 744.02. 1. 481129. 484. 計. 555 31. 485. 要因. SS. 男女 誤差. 29.19. 231.87. 1. 4832.25. 484. 506412. MS. 231.87. F. 2322帰. 998. 485. *★<01. 先入観因子. df. MS. 744.02. F 74.85個. 9.94. *★<01. 基本的行動因子. 全. Table−2.8に示すように、. df 1. 254881 484 257 00 485. MS. 29.19. F 5。54*. 527. 蔚く05. 3因子とも男女間にp<.05の有意な差が認められた。達成感因. 12.

(23) 子においては男子の方が高い平均を示し、逆に先入観因子は女子の方が高い平均を示した。. 2.3.3 学校間比較. 調査対象校とした学校別の各項目平均及び因子別平均及び標準偏差をTable・2.9、 Table−2.10に示す。また、因子間の比較を行ったものをFig・2.3に示す。. Table・2.9 態度得点の項目別平均値 N. 項目. 1). 3). 4). 5). 6). 7). 8). 9). 10). 11). 准3). 14). 15). 16). 17). A. 3.78. 3.23. 3.53. 3.25. 2.57. 2.10. 2.84. 3.30. 3.31. 2.14. 3.59. 3.43. 3.59. 2.29. 3.42. 102 / 208. B. 3.74. 3」0. 3.54. 3」2. 2.4准. 2.37. 2.94. 3.16. 3.37. 2.26. 3.62. 3.18. 3.51. 2.27. 325. 董06 / 198. C. 3.58. 3.17. 34霊. 3.10. 2.65. 231. 2.76. 3.10. 3.34. 2.准0. 3.43. 3.06. 3.47. 2.40. 3.21. 98 / 215 84 / 207 96 / 212. D. 3.67. 3.29. 3.55. 3.05. 2.73. 2.37. 3.05. 2.98. 3.32. 2.19. 3.45. 3」1. 3.40. 2.49. 3.33. E. 3.49. 3.42. 3.20. 2.70. 2.67. 2.65. 2.71. 2.70. 3.22. 2.08. 3.45. 2.66. 3.24. 2.15. 3.23. Table−2.10 態度得点の因子別平均および標準偏差 F1. F1(SD>. F2. F2(SD). F3. F3(SD). A. 17」7. 2.67. 准2.32. 3.30. 16.89. 2.05. B. 16.59. 2.95. 准2.42. 3.24. 16.83. 2.31. C. 16.で6. 2.92. で2.63. 3.04. 16.30. 2.28. D. 15.99. 2.90. 13.06. 3.71. 准6.92. 2.05. E. 14.74. 4.02. 12.96. 3.57. 重5.84. 2.57. 互8. 正6 延. 憲14 12 10. 達成感. 先入観. 基本的行動. Fig・2.3 因子別学校間比較. Fig・2.3及びTable−2.11に示すように達成感因子は学校毎に平均に差が見られ、 AとC,. D,E及び、 Bと他の学校の間にp<.05の有意な差が認められた。先入観因子においては 学校間における平均の差は認められなかった。基本的な行動因子においては、A, C, D. 間に差はなく、B, Eは他校(B−Cはp<0.1の有意傾向)との間にp<0.5の有意な差が 認められた。. 13.

(24) 因子別学校間比較. Table・2.11. 先入観因子. 達成感因子. A. A. B. C. D. E. B C. n.S. E. D. n.S. **. n.S. n.S. **. **. **. C. D. E 魔O.05n.sなし. n.S. D E. *. B. **0,01†0.茎. B C. 魔O.05n.sなし. *. A. A. **0.Olす0ユ. n.S. n.S. n.S. n.S. n.S. n.S. n.S. n。S. n.S. 基本的な行動因子. A B. A. B. C. D. E **0.Ol†0.1. 魔O.05n.sなし. n.S. C D. †. *. E. n.S. n.S. *. **. **. n.S. **. 2.3.4 先行研究との比較. 1996年に宇野らがC中学校を対象に調査した結果との比較について各項目平均及び因子 別平均および標準偏差をTable−2.12、 Table・2.13に示す。また、因子間の比較を行ったも. のを:Fig−2.4に示す。ただし、1996年の調査においては反意する項目による選別手続きを. 行っていないため、今回も選別手続きをしないものによって比較した。. Table・2.12 態度得点の項目別平均値 項目. 1). 1999. 3.38. 1996. 3.48. 16). 17). N. 2.96. 1.99. 3.00. 2遷5. 3.11. 2.11. 3」4. 278. 13). で4). 15). 3.24. 2.87. 2.67. 3.35. 3.03. 2.78. 5). 6). 7). 8). 9). 10). 胴). 4). 2.86. 2.63. 237. 2.46. 2.78. 2.47. 2.92. 2.01. 3.01. 2.75. 2.54. 2.54. 2.93. 2.60. 3.07. 2.15. 3). Table−2.13 態度得点の因子別平均及び標準偏差 F1. SD(F1). F2. SD(F2). F3. 1999. 13.60. 3.04. 11.68. 3.3准. 准5.31. 2.59. 1996. 准4.28. 3.60. 12.35. 3.66. 15.97. 3.01. SD(F3>. 17 日1999年 田1996年. 16 15 遷14 藍13 12 11. 10 達成感. 先入観. Fig−2.4 因子別調査問比較. 14. 基本的行動.

(25) Table・2.14 因子調査問比較. 達成感因子 要因. SS. 調査 誤差. 131.45. 5594.27. 全. 572572. 要因 調査 誤差 全. SS. df MS 1. 131.45. 491. F 11.54★★. 11.39. 492 ★士 く05. 先入観因子 5.18. df MS 1. 5.18. 6090.83. 491. F. 0.42n・s. 1240. 609601. 492. 基本的行動因子 要因 調査 誤差. SS. 全f. df MS. 10.48. 1. 10.48. 396332. 491. 397380. 492. F. 1.30n・s. 807. Fig・2.4及びTable−2.14に示すように達成感因子は調査問の平均に差が見られ、 p<.05の. 有意な差であった。しかし、先入観因子及び基本的行動因子においては平均に有意な差は 認められなかった。. 2.4 考察. 分析結果を考察すると「製作学習における情意尺度」から得られる態度得点の差は、学. 年間の比較においては達成感因子が2年生で低く、3年でまた高い平均を示すことがわか った。これは、2年生で技術における意欲が低くなる傾向がうかがえる。理由として、1 学期に履修した領域の影響などが考えられる(全学校において1年:木材加工、2年:電 気、3年情報基礎を履修)。また、基本的な行動因子が1年で高く、調査時期等を考慮する と中学生活に慣れようと、また、基本的な学習規律を確立しようとする傾向があることが わかる。次に男女間の比較においては達成感因子から意欲に性差があること、また、先入 観因子においては男子よりも女子の方が製作学習に対する不安感が強く存在することが明 らかになった。学校間の比較において先入観因子は学校や地域に影響されない因子であり、. 達成感因子は学校や地域に影響をうけることがわかる。これらを総合的に考えると、学習 環境、学習内容よりも、生徒個々に起因する事が考えられる。逆に達成感因子は学校間の 比較結果からも分かるように、地域、学校、学年、性別、その他、複数の要因が影響する ことがわかる。前回の調査を比較した結果、達成感因子は態度得点の平均の差に有意な差 が認められる。これは、前述のように複数の要因に起因する事が考えられるからであり、 その他の先入観因子、基本的行動因子は平均の差に有意な差が認められない。つまり、指 導者が異なることによる影響は考えにくいということが示唆される。特に基本的行動因子 は地域、学校に起因する可能性が高いことが考えられる。. 15.

(26) 2.5 結言. 今回の調査において、製作学習における生徒の感情を「製作学習における情意尺度」か ら得られる態度得点をもとにまとめると、以下のようになる。. ○達成感因子より求められる達成感及び意欲は、学習内容、指導法などにより、向 上させることは可能で、生徒個々の資質による影響は少ない。 ○先入観因子より求められる不安感及び恐怖感は、性別による差はあるものの生徒 個々に起因することであれば、繰り返し訓練し、製作について慣れることにより、 ある程度統制できる可能性がある。. ○基本的行動因子から求められる模範的な態度は、地域、学校に起因する事が考え られ、指導方法によってある程度改善される可能性はあるものの、短期的に大き な変化は望めない。. 製作学習における「関心・意欲・態度」は、達成感及び意欲を高め、不安感を取り除く ための指導を教師が積極的に行ったうえで評価できるものであり、生徒個々の資質による. 教師の先入観によって評価されるものではない。また、学習規律を含む模範的な態度によ って生徒を評価することは妥当ではなく、むしろ、教育評価の管理目的的な側面により生 徒をコントロールしょうとする効果しか望めない。緒論で述べたとおり、態度の評価は実 践的な態度、技術を活用する態度を見るものであるから、達成感や意欲を高めることによ り表現される生徒個々の内観および行動の変化を細かく分析し、評価しなくてはいけない ことが言える。. 本研究から示唆される今後の課題として、生徒の意欲を高めるための授業や題材、教授 法などがもつ要素とは何か、また、先入観や不安感を取り除くための具体的実践法の開発、. そして、生徒の態度を評価するための具体的な評価法の開発などが挙げられる。. 〈文献>. 1)井上一世 技術要素別解析・評価法の適用研究 日本産業技術教育学会誌VbL33 1990. pp.269・275. 2)宇野哲美・松浦正史・安東茂樹 中学校技術科の製作学習における生徒の情意的意識に 関する尺度構成 日本産業技術教育学会誌Vbl.40 2000 pp.103・110. 16.

(27) 製作学習における情意面に対する 教師の評価と生徒の自己評価との比較.

(28) 第3章 製作学習における情意面に対する教師の評価と生徒の自己評価との比較 3.1緒言 「関心・意欲・態度」の評価はこれまでも述べてきたように、評価者の主観にゆだねら れるものである。しかし、この問題に多くの教師が疑問をもっていることも、調査の結果 から明らかになった。一般的には「関心・意欲・態度」を客観的に評価するための方法と して、生徒自身による自己評価や生徒同志の相互評価を教師が評価の参考とする方法が比 較的多く使われている。自己評価や相互評価を参考とする方法は、ビデオカメラや複数の 教師による観察などと比べ、実施や処理を簡単に行うことが出来るという利点がある。し かし、幾つかの問題点もある。安東、城(1993)の研究1)では、「ラック」の製作過程にお. ける構想図の評価について自己評価と教師の評価及び他の生徒の評価について比較し、そ のズレについて指摘している。この自己評価に関する考え方としてBandura(1977)は社会 的学習理論(Social learning theory)2)において、「自己評価は、行為に対する誘因として. 働くのに加え、それ自体興味をそそるものである。自己満足の水準や自己不満の水準は業 績だけでなく、業績が判断される主観的基準によって決まる。ある人を満足させる遂行行 為や基準が異なるために、他人にとっては、全く不満であることもあり得る。」と述べてい る。自己評価をするための個人的な基準について、Festinger(1954)は社会的比較過程の理. 論3)における基本仮説として「人は、客観的もしくは物理的手段が利用できない場合、他 者の意見や能力との比較を行うことによって自己の意見や能力を評価しようとする。」とし、. 自己の評価基準は身近な人の評価や行動によって主観的に設定され、この理論は評価する 側の教師においてもいえることである。. このようなことから、本研究は仮説に基づき「関心・意欲・態度」における評価を行う 場合、情意や行動はこの評価基準をたてにくく、個人差が生じる可能性があるということ から、自己評価と他者評価における基準の差について個々の性質に照らし合わせ分析をす る必要があると考える。. 3.2 調査の方法 3.2.1 手続き. 兵庫県のA中学校の2年生を対象に宇野ら(1996)の作成した製作学習における情意的意 識に関する尺度4)を用いて予備調査を行った。その結果をもとに調査対象を絞り、本調査. においては前述の尺度を生徒用に4件法10項目(達成感因子3項目、先入観因子3項目、 基本的な行動因子4項目)、教師用に2件法10項目(生徒と同様)の評価票として授業時 間毎に配布した。なお、生徒の回答における影響を教師の評価に与えないために、評価票 の配布及び回収は調査者が行った。. 17.

(29) 3.2.2 予備調査. 予備調査は調査対象のクラス全員に感情と態度に関する尺度を用いた18項目(そのう ち3項目各因子の正規項目に反転する言葉遣いをした項目)の調査票(前章Table−2.2)を. 記入してもらい、回答に矛盾のある生徒を外し、態度得点により顕著な傾向を示す生徒を 抽出した。なお、予備調査において抽出した生徒について調査の最終時点で生徒の授業に 対する印象を聞いた。Fig−3.1は抽出した生徒に関して、達成感因子、先入観因子、基本的. な行動因子における態度得点についてグラフ化したものである。なお、態度得点は5点∼ 20点であるため中央値を原点として作図している。. Table・3.1 予備調査における態度得点の平均と調査対象の得点 全体平均. 生徒a. 生徒b. 生徒。. 生徒d. 生徒e. 生徒f. 生徒9. F葦. 14.6. 20. 6. 6. 16. 15. 20. 14. F2. 12.5. 5. 11. 15. 12. 17. 17. 8. F3. 16.3. 20. 16. 10. 20. 19. 14. 韮5. e. ヰ. A中学校. d. 基本的行動因子. f. o. b. 巳. 達成感因子. c. 先入観因子. 原点は12点. Fig・3.1 調査対象に関する予備調査結果. 1)予備調査の態度得点から見る生徒個々の特徴について. 生徒a…. 製作学習に意欲は高く、授業に対する不安は少ない。模範的な行動が出来. ていると考えている。. 生徒b… 製作学習に対してあまり意欲は高くない。模範的な行動は出来ていると考 えている。. 18.

(30) 生徒。… 製作学習に対してあまり意欲は高くない。模範的な行動は出来ていないと 考えている。. 生徒d…. 製作学習に対して意欲が高く、模範的な行動が出来ていると考えている。. 生徒e… 模範的な行動が出来ていると考えている。しかし、授業に対する不安も多 い。. 生徒f… 製作学習に対して意欲が高く、模範的な行動が出来ていると考えている。 生徒g…. 全項目について平均的な生徒である。. 2)担当教師から見た製作学習に対する生徒個々の印象. 生徒a…. 製作学習に対して意欲的であり、真面目な生徒である。. 生徒b…. 製作学習に対してあまり真面目ではない。しかし、作品を作り上げる。. 生徒。…. 製作学習に対して意欲的ではない。態度も不真面目である。. 生徒d… 一生懸命に学習に取り組み、真面目な生徒である。課題が終わった後も(付 録の)実験をしていた。. 生徒e…. 学習に対して真面目で、よく友達の手伝いをする。. 生徒f…. 真面目な生徒ではあるが、作業は遅い。. 生徒g… 普通の生徒である。物を作ることは好きだが、自分の作業が終わると遊ぶ。. 3.2.3 本調査. 予備調査の結果から抽出した7名について担当教師に評価を行ってもらった。対象につ いてはTable・3.2、作業工程の記録はTable−3.3、生徒に配布した調査票はTable−3.4、教師. の評価票はTable・3.5である。なお、生徒に対する調査票は全員に配り、担当教師には抽出. 調査であることを生徒に悟られないようにチェックを行ってもらった。また、ある程度評 価に集中してもらうために、現職教師1名が実習の補助を行った。. Table−3.2 調査対象. 調査対象. 兵庫県A中学校 2年. 調査対象数/全生徒数. 7/40. 製作題材、製作時間. レスキューライト(電気)、5時間. 担当教師. 30代 男性. 19.

(31) Table−3.3 作業工程. 作業工程. 作業時間. 1. 材料確認. 2. 半田づけ練習. 3. 抵抗器の取り付け. 4. その他の電子部品の取り付け. 1/28 1/28 2/18 2/23. 5. 組み立て. 2/2 5, 3/1 7. Table・3.4 調査票(生徒用). 平成11年. 月. 日. 出粛醤号〔. ,性圃男・立. 今日の旧業を思い田し.次にある項目において自分解当「:ばまるヒ 5うアルフ,ペット仁O印セつけてく琵さい.. ヒうちらか モう思う. と与ちらか. ニいえば. @といえぱ. b、思う. b、思ねない. モう思りない. 1. 今日の二二ほ.おもしろか。た.. A. 日. o. o. 2. 今日の掌習は.う3rい人ヒ下手な人ヒめ差がねかるOでいや筐。た.. A. 日. o. o. 3 ‘今日の掌習Oと表,作業中聾理竪q匝伊董ちんヒで差た.. A. 日. o. D. 4. ’今日の掌習献,意載がわいた馨. A. 日. o. D. 5. 今日の旧習は.支全面に気をつけた.. A. 日. o. D. 5. 今日O掌習。作衆け.おモるおモるしてしまった.. A. 日. o. D. 7. 今日。掌習‘ま.むずかしい.. A. 日. o. D. 6. 今日O掌習で.みんなと焔力するニヒがで董た.. A. 日. o. D. 9 今日。掌習ほ.大度やりがいがあ。た.. A. 日. o. D. 10. A. 日. o. D. ’今日O掌習のヒ熱田かたづけせ乾ちんとで董た昌. 20.

(32) Table−3。5 評価票(教師用) No,. 月. 日. {業内害(. ). a 1. 今日の学習で、みんなと協力することができていた。. 2. 今日の学習のとき、後かたづけができていた,. 3. 今・日の学習は、安全面に気をつけていた。. b. G. d. e. f. g. 4 今日の学習は、大変やりがいを感じていた. 5. 今日の学習では、上手、下手の差を気にしているようだった、. 6. 今日の学習に意欲的に取り組んでいた。. ア. 今日の学習のとき、作業中窪理窪頓biできていた.. 6. 今日の学習を面白いと感じていた。. 9. 今日の学習の作業は、おそるおそるしてしていた。. 10 今日の学習は、むずかしいと感じていた. ※記入の方法…敬師が見て。’そう思ゲ’と思うものにO、”そう思わない”にはXを記入してくだ乱、。. 3.3 結果. 調査したデータについて、生徒用の調査票からは「そう思う」、「どちらかといえばそう 思う」を○、「どちらかといえばどう思わない」、「そう思わない」を×に置き換え、教師の. 評価票のデータとの一致数を調べた。結果については生徒の授業における評価の一貫性を 見るために予備調査と本調査の比較を行い、生徒の性質と教師の評価の傾向との関係を見 るために、生徒の自己評価を因子、生徒毎に教師の評価との比較を行った。また、製作工 程及び、単位時間が生徒の自己評価と教師の評価に与える影響を調べるために、製作工程 及び単位時間と一致率を比較(因子の項目数が異なるために割合によって比較した)、因子 毎の一致の傾向を単位時間毎に比較した。. 表中の記号は、F1…. 達成感因子、 F 2…. 先入観因子、 F 3…. 基本的な行動. 因子である。. 3.3.1 生徒の評価における予備調査と本調査の比較. 予備調査と本調査における態度得点の相関をしらべたところ、達成感因子は相関係数r= 0.22(F(1,4)=0.20,p>0.1)、先入観因子はr=0.95(F(1,4)=38.67,p<0.01)、基本的な行動因子. はrニ0.77(F(1,4)=5.71,p<0.1)で、先入観因子に強い相関が見られ、基本的な行動因子に中. 21.

(33) 程度の相関が見られた。また、達成感因子は無相関であった。. 達成感因子. 先入観因子. 14 12. で4. 10. 10. 12. ◆. 綱 8 粁 6. 4 2 0. ◆. 綱 8. ◆. 十を 6. L. 4 2 0. rニ0.22. 0. ◆ ◆. 10. 20. 0. 30. r=095. ◆. 5. 10. 15. 20. 予備調査 基本的な行動因子. 20 18 霊6. 14 樹12 麗10. ◆. 粁 8. 6 4 2 0. r=0.77. 0. 10. 20. 30. 予備調査. Fig・3.2 予備調査の態度得点と本調査の態度得点の相関. 3.3。2 因子別に見た教師の評価と生徒の評価の比較. Table−3.6に示すように、教師の評価と生徒の自己評価の一致率は、5時間の授業におい. て、達成感因子(F1)が60%、先入観因子(F2)が42.2%、基本的な行動因子(F3) が66.67%であった。項目においては2),6),7),9),10)が低い平均値である。. 22.

(34) Table−3.6教師の評価と生徒の評価の一致数 因子. 円. F2. 項目番号. 項目内容. 平均. 1. 今日の学習は、おもしろかった。. 4.33. 4. 今日の学習は、意欲がわいた。. 3.00. 9. 今日の学習は、大変やりがいがあった。. 1.67. 2. 今日の学習は、うまい人と下手な人との差がわかるのでいやだった。. 2.33. 6. 今日の学習の作業は、おそるおそるしてしまった。. 2.00. 7. 今日の学習は、むずかしい。. 2.00. 3. 今日の学習のとき、作業中整理整頓がきちんとできた。. 3β3. 5. 今日の学習は、安全面に気をつけた。. 3.33. 8. 今日の学習で、みんなと協力することができた。. 3.83. 10. 今日の学習のとき、後かたづけをきちんとできた。. 2.33. F3. 因子平均. 一致率(%). 2.57. 60.00. 1.81. 43.33. 3.33. 66.67. 注)平均及び一致率には生徒。のデータは使用していない。. 3.3.3 生徒別に見た教師の評価と生徒の評価の比較. Table・3.7.xにおけるH, M, Lは予備調査における各態度得点上位25%、平均から上. 下方向に25%、下位25%を意味する。また、項目内で前が生徒、後が教師の評価、表 白の網掛けは生徒と教師の評価が一致していない事を示す。. 1)生徒a(F1−H、 F 2−L、 F 3−H). 達成感因子(F1)においては項目1)、4)において一致数が多く、項目9)にお いては、5回中4回も一致していない。先入観因子(F2)においては、一二上が全項 目とも少ない。基本的な行動因子(F3)は項目10)で一致数が少ない。. 2)生徒b(F1−L、 F 2−M、 F 3−M). 達成感因子(F1)において項目4)、9)において一致数が少ない。しかし、先入 観因子(F2)においては一致回数が多い。 3)生徒。(F1−L、 F 2−H、 F 3−L) 5回中4回の授業を欠課した。. 4)生徒d(F1−M、 F 2−M、 F 3−H). 達成感因子(F1)においては項目9)において一致数が少ない。また、先入観因子 (F2)においては項目2)、7)が一致数が少ない。基本的行動因子(F3)におい ては項目10)の一致回数が少ない。. 23.

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